『オズのアン王女』




                  第七幕  ウーガブーの国

 一行はウーガブーの国に着きました、まずはドロシーがこう言いました。
「この国に来たのは暫く振りね」
「そうだね」
 トトがドロシーに応えます、彼の足元で。
「最近他の場所に冒険に行っててね」
「ウーガブーの国はね」
「なかったからね」
「暫く振りに来て」
「やっぱりいいね」
「そうよね」
「さて、それではです」
「これからーーですーーね」
 大尉とチクタクも言います。
「これからどうするか」
「何がーー起こるのかーー調べましょう」
「調べるといってもね」
 アンはチクタクに応えて言いました。
「それがわからないのよね」
「そうーーですね」
「本当に何が起こるのかしら」
「わかればーーいいのーーですが」
「さて、どうしたものかしら」
「そうね、まずはね」
 ドロシーはアンにも言いました。
「三時だから」
「あっ、ティータイムね」
「お茶を飲んで」
 そしてというのです。
「そうしてね」
「お菓子も食べて」
「ちょっとお腹を膨らませて」
 そうしてというのです。
「そしてね」
「あらためてなのね」
「考えましょう」
「お腹が空いてる時に考えても」
 そうしてもというのです。
「何もいい考えは浮かばないから」
「そうなのよね、どうしても」
「だからまずはティータイムを楽しんで」
「それからなのね」
「考えましょう」
 あらためてというのです。
「そうしましょう」
「わかったわ」
 アンはドロシーの言葉に頷きました、そしてです。 
 皆は一旦アンの王宮に向かいました、途中王国の人達が畑仕事をしながら皆を観て笑顔で挨拶をしてくれました。
「王女さんお帰りなさい」
「ドロシー王女久し振りですね」
「トトも来てくれたんだね」
「大尉もチクタクもようそこ」
「あら、あんた達もだね」
 五人の子供達にも声をかけます。
「よく来てくれたね」
「ようこそウーガブーの国へ」
「楽しんでね」
「この国もね」
「あっ、何かこの国って」
 恵梨香は皆に挨拶を返してから言いました、他の子達も挨拶を忘れていません。
「皆気さくで明るくて」
「距離が近いわね」
 ナターシャはこう表現しました。
「どうにも」
「そうだね、これはね」
 神宝も挨拶を返してから言いました。
「他の国と比べても」
「王女さんも皆と明るく親しくお話をしていて」
 カルロスはお国の人達と話をしているアンを観ています。
「距離が近いね」
「オズマ姫もグリンダさんもそうだけれど」
 最後にジョージが言いました。
「この国はもっと」
「そうよ」
 アンも五人に言います、国民の人達とお話をしつつ。
「この国は小さいから」
「だからですか」
「村みたいなものだから」
 規模的にというのです。
「だからね」
「こうしてですか」
「距離が近いのよ」
 そうだというのです。
「お互いにね」
「そうなんですね」
「そうした国なのよ」
 こうお話します。
「小さな中で皆が家族みたいな国なのよ」
「じゃあ王女さんも」
「そう、皆とずっと一緒に暮らしてるから」
 だからだとです、アンはジョージに笑顔で言うのでした。
「距離も近いの、私は皆の国家元首だけれど」
「それでもですか」
「娘でもあるのよ」
 国の人達にとってというのです。
「この国のね」
「成程」
「それとね」
「それと?」
「貴方達はまだこの国をよく知らないわね」
「この前お邪魔したことはありますけれど」
 それでもとです、ジョージは皆を代表して言いました。
「ただ」
「それでもよね」
「確かにあまりよく見たことはありません」
「そうよね」
「だからですか」
「この国をよく観てもらいたいわ」
「じゃあティータイムの後で」
「これから何が起こるか気になるけれど」 
 それでもというのです。
「案内させてもらうわね」
「この国を」
「ええ、どういった国なのかをね」
 まさにというのです。
「案内させてもらうわ」
「宜しくお願いします」
「さて、それじゃあね」
 ここまでお話してでした、皆はまずは王宮の中に入りました。王宮は小さくてそれでいてまとまっている感じです。
 その王宮の中を見回してです、五人はそれぞれ言いました。
「木の装飾が奇麗だね」
「果物も一杯あって」
「何か木の中にいるみたい」
「オズの国の他の宮殿とはまた違って」
「そんな感じよね」
「これがこの国の王宮よ」  
 アンも微笑んで五人にお話します。
「石造りじゃないけれどね」
「木ですか」
「木で造って、ですか」
「装飾も施して」
「果物で飾っていて」
「そうした風になっているんですね」
「そうした宮殿なの、国民達が造ってくれたのよ」
 この宮殿をというのです。
「こうしてね」
「宮殿といっても色々なのよね」 
 ドロシーも言います、皆は宮殿の中のアンのお部屋に入りました。
 アンのお部屋もです、木造で色々な果物で飾られています。そのお部屋の中で五人にお話したのです。
「エメラルドの都みたいな宮殿もあれば」
「こうした宮殿もですね」
「あるんですね」
「木造のものも」
「オズの国にも」
「そうなんですね」
「そうよ、この宮殿は実は有名なのよ」
 オズの国でもというのです。
「木造で奇麗なね」
「果物も多くて」
 ジョージはその果物を観て言いました。
「その果物が宝石みたいですね」
「好きなのを好きなだけ食べていいわよ」 
 どの果物もとです、アンはジョージ達に笑顔で告げました。
「何でもね」
「オレンジやバナナもありますし」
「パパイアやマンゴーも」
 神宝とカルロスはそれぞれの果物を見ています。
「林檎は外せない感じですね」
「やっぱりありますね」
「この国の果物の第一はやっぱり」
「林檎なんですね」
 ナターシャと恵梨香はその林檎を見ています、赤くてとても奇麗に輝いている林檎も勿論宮殿の中にあります。
「アン王女もお好きですし」
「いつも食べている位よ」
「そうよ、この国は何といってもね」
 アン自身もにこりと笑ってお話します。
「林檎よ」
「やっぱりそうですね」
「この国の第一の果物は林檎ですよね」
「まず林檎があって他の果物がある」
「そうなんですね」
「柿や梨があっても」
「私はどの果物も好きよ」
 見ればアンの前のお皿の上には無花果に柿、梨に葡萄に桃と色々な果物があります。それを三段セットにしていっています。どれも宮殿の中にあったものです。
「けれどやっぱりね」
「第一は林檎ですね」
「林檎は外せないですね」
「そう、それがないと」
 実際にというのです。
「毎食ね」
「王女としては」
「もう駄目よ」
 こうジョージにも言います。
「私はね」
「林檎は普通に食べても美味しいし」
 ドロシーも林檎が好きでよく食べています、それでこう言うのです。
「お茶やお菓子にしても最高だからね」
「だからドロシ−王女もね」
「好きなのよ」 
 ドロシーはにこりと笑ってアンに答えました。
「とはいっても毎食食べてはいないわね」
「私みたいに」
「貴方は朝昼晩最低でも一個ずつ食べてるわね」
「ええ、そうしてるわ」
「そこまでは食べないわね」
「まあ私は極端な例ね」
「そう思うわ」
 実際にというのです。
「アン王女はね」
「林檎は私の力の源ね」 
 くすりと笑ってです、こうも言ったアンでした。
「まさに」
「そうね、じゃあ今から」
「フルーツの三段セットでね」
「ティータイムにしましょう」
「お茶は何のお茶にするの?」
「普通の紅茶でどうかしら」
 ドロシーは少し考えてからアンに答えました。
「果物ばかりだから」
「ここはかえってシンプルに」
「普通の紅茶でいいんじゃないかしら」
「それじゃあね」
「ええ、それでいきましょう」
「普通のホットティーを出して」
「飲みましょう」
 こうお話してでした、皆で沢山の果物を食べつつでした。そのうえでティータイムをはじめました。王宮の一室ではありますが。
 それにしては質素で、です。アンは自分から言いました。
「他の王宮とは違うでしょ」
「ご自身で言われますか?」
「ええ、わかっているからね」
 こう大尉にも言います、大尉とチクタクはただそこにいて飲んで食べて笑顔になっている皆を見て栄養にしています。
「言ったのよ」
「そうですか」
「小さな国なのよ」
 このウーガブーの国はというのです。
「村みたいな」
「だから王宮もですか」
「小さいのよ」
 この通りというのです。
「この通りね」
「そうですか」
「ええ、けれどね」
 小さいことは事実にしてもというのです。
「この通り快適よ」
「暮らすにはですね」
「そう、これ以上はないまでにね」
 にこにことしてです、アンは大尉にお話します。
「いつも色々な果物が実っていてね」
「王国の他の場所と一緒で」
「ここもなのよ」
 まさにというのです。
「木造でしかも色々な果実が実って」
「何時でも美味しく食べられて」
「香りもいいでしょ」 
 アンは大尉にこのこともお話しました。
「そうでしょ」
「そうですね、私は食べることはありませんが」
「それでも香りはわかるでしょ」
「はい、果物のかぐわしい香りに満ちていますね」
「様々なーー果物のーー香りがーーです」
 チクタクも言います。
「宮殿の中にーー満ちてーーいますね」
「こんな宮殿他にないわよ」
 にこりと笑って言うアンでした。
「勿論お風呂も全部木造よ」
「えっ、じゃあまさか」
 そのお風呂を聞いてです、恵梨香はお顔をぱっと明るくさせて言いました。
「檜のお風呂ですか」
「あら、わかったの」
「それは素晴らしいですね」
「とても広くて奇麗なお風呂場よ」
「温泉みたいな」
「薬膳湯もあってね」
「アン王女はそのお風呂に」
「この国にいる時は毎日入ってるわ」
 それこそというのです。
「だから皆も入ってね」
「有り難うございます」
「サウナもあるから」
 そちらのお風呂もというのです。
「楽しんでね」
「そういえばアン王女ってお風呂も好きだったね」
 トトも一緒に果物やお茶を楽しんでいます、ドロシーの足元に犬用の容器を出してもらってそこに入れてもらって食べています。
「そうだったね」
「大好きになったのよ」
「最初はそうでもなかったんだ」
「普通だったのよ、けれどね」 
 それがというのです。
「この宮殿を建てた時にお風呂も変わってね」
「その檜のお風呂にだね」
「浴槽も幾つもあってそのうちの一つが薬膳湯で」
 それでというのです。
「毎日変わるのよ」
「そのお湯も」
「ワインになったり柚になったりね」
「今日はどんなお風呂ですか?」
 ジョージは葡萄を食べつつアンに尋ねました、エメラルドグリーンに輝いているとても奇麗なマスカットです。
「一体」
「ええと、今日は」
「ワイン風呂です」
 アンの近くにいた少女のメイドさんが答えてくれました。
「赤ワインの」
「ワイン風呂ですか」
「そうです」
「ああ、今日はワイン風呂なの」
 アンもそのお話を聞いて言います。
「私あのお風呂も好きなのよね」
「それでは」
「ええ、楽しませてもらうわ」
「サウナもですね」
「水風呂もね」
 アンはくすりと笑ってこちらもと言いました。
「是非ね」
「わかりました、では」
「そしてお風呂上がりはね」 
 アンはにこにことしてそちらのお話もしました。
「林檎ジュースを飲むわ」
「ではそちらも用意します」
「それではね」
「ようやく戻ってくれましたから」
 メイドさんは少し苦笑いになってこんなことも言いました。
「また飛び出られて」
「だってこうした時はね」
「いてもたってもいられないからですね」
「ええ、いつもそうだけれど」
 アンの場合はです。
「今回もそうだったわね」
「そうです、出来ればです」
「この国に出来るだけなのね」
「いてくれた方がいいのですが」
「国家元首だからね」
「そうです、まあアン王女ですから」
 メイドさんはそのアンを見てまた苦笑いになりました。
「何かあればですね」
「そう、動かないと気が済まないから」
「今回も出られましたね」
「そうさせもらったわ」
「そのことは言っても仕方ないですか」
「私のこの性分はね」
 いざという時はいてもたってもいられなくなって飛び出るその性分はです。
「変わらないかも」
「では私達はその間は」 
 アンがいない時はといいますと。
「お国をお護りします」
「そうしてくれるのね」
「王女がご自身の為に国を出られることはないので」
 いつもウーガブーの国の為です、中で解決出来ないとなるとそれこそすぐに国を出てそうして冒険をして国の問題の解決の為に必要なものがあればそれを手に入れたり助けてくれる人をr連れて来たりするのです。
「いいのです」
「そうなるのね」
「最初はオズの国征服でしたが」
 アンが最初に国を出た時はそうでした。
「今はそうしたことは考えておられないですから」
「征服なんてね」
 今のアンにとってはです。
「何の意味もないから」
「オズの国は皆のものですね」
「オズマ姫が国家元首でね」
 そのうえでというのです。
「皆のものよ」
「では」
「ええ、だからよ」
「この国の為に」
「外に出ていくわ」
 これからもというのです。
「それ以外では、要請がないと行かないわ」
「私達から」
「そう、貴女達も我儘で呼んだりしないから」
 アンはドロシーに応えました。
「だからね」
「私達のお願いは聞いてくれて」
「行かせてもらうわ」
「それじゃあね」 
 こうしたことをお話してです、そのうえで。
 皆でティーセットを楽しく食べました、そうして空腹でなlくなってからです。皆でこの国で何が起こるのかをお話しました。
 まずは神宝がです、こう言いました。
「誰か攻めて来る?」
「ノームや妖魔みたいな相手が」
 アンはその神宝に尋ねました。
「そう言うのね」
「はい、そうなりますか?」
「あと地震?」
 恵梨香は災害のことを心配しました。
「竜巻とか」
「病気じゃないかな」
 カルロスはこちらではないかと考えています。
「オズの国では誰も死なないけれどそれでも何かの病気が流行るとか」
「寒波か熱波か」
 ナターシャが考えたのは気温のことでした。
「やっぱりオズの国は常春ですが」
「空から隕石が落ちて来る?」
 こう言ったのはジョージでした。
「そういうのでしょうか」
「そのどれもオズの国にはないわよ」
 ドロシーが五人にこう答えました。
「災害も疫病も気候の変化も隕石も」
「妖魔やーーノームもーーです」 
 チクタクはかつてオズの国を攻めようとしたこの人達のことをお話します。
「今ではーー改心ーーしまして」
「平和な種族になってるわ」
 ドロシーはチクタクの言葉は捕捉しました。
「誰もね」
「ですからーー侵略もーーありません」
 チクタクはまた言いました。
「オズの国のーー中からーーは」
「外からは言うまでもなく無理よ」
 アンも言います。
「この大陸は死の砂漠に囲まれていてしかも外からは決して見えないしレーダーとかにも映らないから」
「幻で見えなくしていて」
「レーダーの電波は妨害していて」
「普通にですね」
「何もない場所になってますね」
「普通の手段で行けない場所ですね」
「そうよ、それこそドロシー王女やベッツイやトロットみたいなことじゃないと」
 特別な、漂流の様な入り方でもない限りです。
「ここに来ることは出来ないわ」
「侵略は絶対にないですね」
 大尉っは確信しています。
「この国では」
「じゃあ何でしょうか」
「侵略でも災害でもない」
「疫病でも気候の変化でもない」
「隕石でもないとすると」
「一体」
「悪いことばかりでもないでしょうし」
 大尉はマイナス要素を考える五人にこうも言いました。
「いい場合もあります」
「悪い場合はね」 
 それこそとです、アンも言います。
「色々有り得るけれど」
「悪いことが起こるとは限らない」
「そうなんですね」
「いいことが起こるかも知れない」
「そうなんですね」
「その場合もありますか」
「そうなのよ、そちらの可能性もね」 
 アンは五人にお話しました。
「有り得るのよ」
「考えてみるとあれだね」
 トトはドロシーの足元から言いました。
「悪いことが起こる可能性は少ないね」
「確かにね」
 ジョージがトトに応えました。
「そうだね」
「オズの国の場合はね」
「じゃあいいことが起こるのかな」
「そうじゃないかな」
「いいことだね」
「うん、ただいいことといっても色々だから」
「どんないいことが起こるか」
「それはね」
 今の時点ではというのです。
「わからないよ」
「そうなんだね」
「具体的にはね」
「温泉が出るのかしら」
 アンは自分がお風呂好きであることからこう考えました。
「それかしら」
「それも有り得るわね」
 ドロシーはアンのその言葉に同意して頷きました。
「いいことだから」
「そうよね」
「黄金の林檎が増えるとか」
 大尉はこちらを考えました。
「そういうのでしょうか」
「我が国の特産品の」
「それでしょうか」
「ううん、あの林檎はこの国でも稀少価値のものだから」 
 アンは大尉のお話に腕を組んで考えるお顔になって言いました。
「増えてくれたらね」
「有り難いですね」
「それだけでね」
「そうですね」
「美味しいし一個食べたら」
 その黄金の林檎をです。
「栄養満点だから」
「一個で、ですか」
「もう一週間分の栄養があるわ」
 それこそというのです。
「人間が摂るべき全部の栄養がね」
「それは凄いですね」
 ジョージはアンのそのお話に驚いて言うのでした。
「一週間のですか
「ビタミンだけじゃなくてね」
「ミネラルやカルシウムもですか」
「蛋白質もね」
 こちらの栄養もというのです。
「全部あるのよ」
「凄い林檎ですね」
「魔法のお薬の元の一つでもあるのよ」
「あっ、じゃあ魔法使いさんやグリンダさんも」
「時々この国に来てくれてね」
 本人さん達が直接というのです。
「私が渡してるの」
「そうだったんですか」
「あの林檎から凄い霊薬が出来るから」
 だからというのです。
「直接来て貰ってくれるの」
「本当に凄い林檎なんですね」
「特別なね、だからあの林檎が増えるのなら」
 それならというのです。
「私も嬉しいわ」
「それなら」
「いいわ、けれど」
 それでもともです、アンは首を少し傾げさせてからこうも言いました。
「何が起こるかわからないから」
「具体的には」
「そうなって欲しいけれど」
「それでもですね」
「そうなるとは限らないのよね」
 実際のところというのです。
「起こるかも知れないことの一つで」
「そうですね」
「まあそうしたことが起こってもね」
「対することはですね」
「考えておきましょう」
「具体的にはね」
 ドロシーが言うには。
「今は何が起こりそうなのか出していって」
「それでよね」
「どんなことが起こっても気構えをしたうえで」
「対することが出来る様に」
「対策も決めておくのよ」
 そうしたお話だというのです。
「今はね」
「そうなるわね」
「ええ、だからね」
「とりあえずはなのね」
「ざっと起こりそうなことを挙げていきましょう」
 皆でというのです。
「そうしましょう」
「じゃあ皆でどんどん」
「晩御飯まで挙げていって」
 起こりそうなことをです。
「晩御飯を食べてお風呂に入ってからね」
「またなのね」
「そのそれぞれの起こりそうなことに対策をお話していく」
「そうしていくのね」
「まずはね」
「それじゃあ私も挙げていくわね」
「これだけいるから」
 ドロシーは場にいる皆も見回しました、確かに結構な数です。
「きっと色々と出るわ」
「絶対に」
「そう、それじゃあ」
「今から出していくのね」
「そうしましょう」
 こうしてでした、皆でです。
 それぞれ思いつく限りです、ウーガブーの国でこれから起こりそうなことを具体的に挙げていきました。そして晩御飯の時になるとです。
 皆でまた宮殿の食堂に行って食べます、その晩御飯はといいますと。
 林檎やパイナップルが入っている甘いサラダにです、南瓜のポタージュと野菜のフライにです。アイスバインとオリーブで炒めた鰯もあります。パンは黄色く焼けているウィンキーのものでデザートにはアップルパイもあります。
 その晩御飯を食べつつです、ジョージは言いました。
「このアイスバインは」 
「美味しいでしょ」
「この豚肉もですか」
「そう、ウーガブーの国の豚よ」
「そうなんですね」
「アイスバインは美味しいわね」
 アンは肉料理にも笑顔になっています。
「何かと」
「最初見てびっくりしました」
 恵梨香の言葉です。
「こんな大きなお肉をって思いまして」
「それでなのね」
「食べられるのかしらって」
「これが案外しつこくないのよね」
 皆の前には巨大な豚の足を茹でたものがあります、大きなお肉の塊ですが。
「じっくりと煮ていてね」
「柔らかくて」
「脂も抜けていてね」
 長い時間煮ているうちにです。
「味付けもあっさりとしているから」
「食べやすいんですね」
「そうよ」
 こう恵梨香にお話しました。
「恵梨香ももう知ってるわね」
「今は」
「そうなの、じっくり煮込むと」
「お肉は、ですね」
「脂が落ちるの、アイスバインはそうしているから」
 だからというのです。
「柔らかくなってるしね」
「あっさりもしているんですね」
「そうなの」
 お話しつつです、アンはそのアイスバインを食べています。そして食べながら笑顔でこんなことも言うのでした。
「やっぱりウーガブーのお料理は美味しいわ」
「そう言って頂いて何よりです」
 その場に控えていたシェフの人が笑顔で応えました。
「私共も」
「食べるとほっとするわ」
「そして帰って来たとですね」
「思えるわ」
 こうもというのです。
「本当にね」
「ではどんどん召し上がって下さい」
「そうさせてもらうわ、ただ」
「ただとは」
「お腹一杯食べると」
 アンはアイスバインに添えてあるザワークラフトも食べています、そのうえで言うのでした。
「眠くなるかもね」
「それは少し我慢して下さい」
 メイドさんがアンに言いました。
「夜までは」
「お風呂に入ってお話をして」
「それまではです」
「そうね、じゃあ十時までは」
「せめて起きておいて下さい」
「冒険の時は八時か九時に寝てたわ」
「その時はその時です」
 あくまで、というのです。
「ですから」
「宮殿ではなのね」
「十時位までは」
「わかったわ、じゃあ努力して起きておくわ」
「やるべきことも多いですし」
「そうね、王女として」
 ウーガブーの国の主としてです。
「起きておくわ」
「それでは」
「ええ、お腹一杯食べてもね」
「コーヒーはどうですか?」
 ジョージが提案しました。
「飲むと目が覚めますと」
「濃いお茶もいいです」
 神宝はこちらを勧めました。
「寝ない為には」
「そういうのを飲んだら」
 カルロスも言います。
「起きられますね」
「そうされますか?」
 ナターシャはコーヒーでもお茶でもというのでした。
「後で」
「いえ、林檎をもう一個食べるわ」
 これがアンの返事でした。
「そうするわ」
「あれっ、林檎ですか?」
「コーヒーやお茶じゃなくて」
「林檎ですか」
「林檎を召し上がられるんですか」
「林檎を食べるとね」 
 そうすればとです、アンは自分の大好物についてにこにことお話します。
「目が覚めるのよ」
「そういえば何か」
 恵梨香も言われて気付きました。
「朝に林檎を食べると目が覚めます」
「そうでしょ、林檎にはそうした効果もあるのよ」
「そういえばアン王女いつもお食事の後は」
 ジョージはまた言いました。
「しゃきっとしておられますね」
「林檎を食べているからよ」
「成程」
「だから林檎をもう一個余計に食べるわ」
 これがアンの決断でした。
「そうするわ」
「ではもう一個お出しします」
 メイドさんもすぐに応えてくれました。
「そうしますので」
「ええ、お願いね」
「林檎の種類は」
「何でもいいわ」
 種類についてはお構いなしに、でした。
「今はどんな種類でも楽しめるから」
「だからですか」
「そう、じゃあね」
「はい、持って来ます」
「そうしてね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 実際にアンは林檎をもう一個食べました、その林檎を食べ終わってから皆に対して明るい笑顔で言うのでした。
「じゃあお風呂に入りましょう」
「檜造りのお風呂ね」
「ええ、皆でね」
 ドロシーに笑顔で応えました。
「そうしましょう」
「では僕達はです」
「お待ちーーしてーーいます」
 大尉とチクタクはお風呂にも入らないのでこう答えるだけでした。
「本でも読みながら」
「そうしてーーいます」
「僕も入らせてもらおうかな」 
 トトも言います。
「お風呂に」
「じゃあ私と一緒に入りましょう」
 ドロシーはトトにすぐに声をかけました、
「それじゃあ」
「うん、じゃあね」
「そしてお風呂に入って」
 そしてというのでした。
「これから起こることの予想はしたし」
「後はね」
「そのそれぞれの対策をね」
 アンに言いました。
「考えていきましょう」
「それじゃあ」
 こうお話してでした、そのうえで。
 皆でお風呂に入るのでした、檜のお風呂に。



とりあえず腹ごしらえを。
美姫 「後は対策を練るという所だけれど」
これがまた難しいよな。
美姫 「何が起こるか分かってないものね」
さてどうなるんだろうか。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。



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