『オズのアン王女』
第六幕 林檎の国へ
皆は沢山歩いてから暗くなったところで川辺の近くにテントを出しました、そしてテントの横でテーブル掛けを出して晩御飯となりますが。
ジョージはこの日の晩御飯を食べつつです、アンにこんなことを尋ねました。今日の晩御飯はポークチャップにトマトと卵を炒めたものにクリームシチューです。そしてパンとジャムもあります。
「ウーガブーの国には黄金の林檎がありますね」
「あの林檎ね」
アンはジョージに応えました、勿論デザートの中には林檎もあります。デザートはフルーツの盛り合わせす。
「食べたいのかしら」
「はい、実はまだ食べたことがなくて」
「黄金の林檎っていいますと」
カルロスはポークチャップを食べつつ言いました。
「神話にも出てきますし」
「ギリシア神話や北欧神話に」
神宝はその神話が何かとトマトと卵の炒めものを食べつつ言いました、卵はといでいてスクランブルエッグになっています。
「出てるね」
「食べると不老不死になるのよね」
ナターシャはその黄金の林檎、神話のそれについてお話しました。
「確か」
「けれどオズの国では皆死なないし歳も取らないから」
恵梨香も言います。
「食べても不老不死にならないのかしら」
「食べると凄く美味しいのよ」
オズの国の黄金の林檎についてです、アンは子供達にお話しました。
「普通の林檎よりもね」
「あっ、そうなんですか」
「オズの国の黄金の林檎は」
「食べると美味しい」
「他の林檎よりもずっと」
「そうした林檎なんですね」
「そうよ、他の黄金の林檎は知らないけれど」
色々な神話に出て来る林檎はというのです。
「ウーガブーの国の黄金の林檎はそうよ」
「栄養も凄くあるの」
ドロシーも子供達にお話します。
「普通の林檎よりもね」
「林檎はかなり栄養がありますよね」
「ビタミンが豊富で」
「一日一個食べるともう大丈夫っていう位」
「そこまで栄養がありますけれど」
「黄金の林檎はさらにですか」
「栄養の塊って言っていいの」
それ程までというのです。
「凄く美味しいだけじゃなくて」
「オズの国にもウーガブーの国でしか採れないのよ」
このことは笑顔で言うアンでした、何処か誇らしげです。
「我が国でしかね」
「それじゃあウーガブーの国に行けば」
「ええ、皆に食べてもらうわ」
ジョージにも笑顔で応えました。
「是非ね」
「ううん、楽しみになってきました」
「是非楽しみにしていて」
こうまで言うアンでした。
「食べる時をね」
「わかりました」
「私も食べるしね」
他ならぬアン自身もでした、アンはパンに林檎のジャムをたっぷりと塗っています。さっきまではクリームシチューを食べていました。
「あの林檎は」
「まさか黄金の林檎を食べられるなんて」
「幾らオズの国でも」
神宝はそのクリームシチューを食べています。
「あるとは思っていませんでしたし」
「あっても食べられるなんて」
ナターシャも言います、彼は居間はポークチャップを食べています。
「まさか」
「私も林檎大好きですけれど」
恵梨香はデザートの中にある林檎を見ています、皆まだデザートは食べていません。
「黄金の林檎は」
「その林檎をどうして食べるのか」
最後にカルロスが言いました。
「そのことも楽しみですね」
「お料理自体は変わらないわよ」
他の林檎を使ったお料理と、とです。アンはこのことはあっさりと答えました。
「アップルパイやアップルティーもね」
「あっ、そうですか」
「それは普通の林檎と同じですか」
「そうしたことは特別じゃなくて」
「普通にお料理が出来て」
「そちらも楽しめるんですね」
「そうよ」
こう五人にお話します。
「だからそちらも楽しみにしていてね」
「わかりました」
「黄金の林檎のお菓子も楽しみにしています」
「アップルパイやアップルティーも」
「そうしたものです」
「食べさせてもらいます」
「そうしたものも食べて」
そのうえでというのです。
「何が起こっても向かいましょう」
「まずは食べることだよね」
トトはクリームシチュー、お皿の中のそれを食べつつ言いました。
「そして元気をつけてからね」
「そう、食べることが必要な人はね」
アンはトトにも応えました。
「まずはね」
「食べることだね」
「食べて元気を出して」
そしてというのです。
「ことにあたりましょう」
「食べることは全てのはじまりだからね」
「その通りよ、食べてお腹が満たされていれば」
「まず安心出来るね」
「そうよ、お腹が空いてことに向かっても」
「何も出来ないわ」
まさにというのです。
「だからね」
「まずは食べる」
「そうしましょう」
こう言ってでした、皆晩御飯を楽しむのでした。大尉とチクタクは食べて飲んでいる皆の笑顔を見て楽しんでいます。
そしてその晩御飯のデザート、勿論林檎も食べてです。アンは皆に言いました。
「後は歯を磨いて」
「川で身体も奇麗にしてですね」
「寝ましょう」
またジョージに応えました。
「そうしましょう」
「そしてぐっすり寝て」
「また出発よ」
「そうですね」
「じゃあまずは男の子達がね」
「川で身体を奇麗にして」
「それから私達がね」
つまり女の子達がというのです。
「入るから」
「わかりました」
「トトはどちらかしら」
「ううん、僕はジョージ達とね」
トトは自分にお顔を向けたアンに答えました。
「奇麗になってくるよ」
「僕が洗うよ」
ジョージが笑顔でトトに言いました。
「実家じゃよく家の猫洗ってるしね」
「前にエリカも洗ってたよね」
「トトはエリカみたいに偉そうにしないから」
洗ってもらう時にというのです。
「全く、エリカときたら」
「猫だからね」
「猫はどうしてもね」
「偉そうな生きものだから」
このことは洗ってもらう時もです、とかく猫というものは気位が高くて威張っている生きものということです。
「仕方ないよ」
「そうだね」
「トトならいつも私が一緒にお風呂に入ってるから」
ドロシーが言ってきました。
「私が洗ってあげるけれど」
「ううん、どうしたものかな」
「貴方がジョージ達と、というならいいけれど」
「そこはどうしようかな」
「トトが選ぶ?」
「そうしていい?」
「ええ、貴方のことだから」
それ故にというのです。
「貴方が選ぶことになるわ」
「それじゃあね」
「ええ、それならね」
「今日はジョージ達と一緒に入るよ」
これがトトのこの場での選択でした。
「そうさせてもらうよ」
「それじゃあね」
「今から一緒に入ろう」
「そして奇麗になろうね」
こうしたお話をしてでした、まずは男の子達が川に入ってボディーソープやシャンプーも使って身体を奇麗にしました。
そして女の子達も入ってでした、ドロシーは身体を奇麗にしてから髪の毛をバスタオルで拭きつつもう奇麗になっているトトのところに来て彼に尋ねました。
「随分奇麗になったわね」
「僕が洗ってです」
「僕が拭きました」
ジョージと神宝がドロシーに言います。
「そしてその間はです」
「カルロスがずっとサポートしてくれていました」
「ここは三人でしようとお話しまして」
そのカルロスの言葉です。
「それでなんです」
「そうなのね、一人でやるよりもね」
「三人ですよね」
「皆でしますと」
「それだけ速く確実に出来ますね」
「三人に奇麗にしてもらったから」
トトも奇麗になった毛並みで言うのでした、シャンプーの香りがかぐわしいです。
「この通りだよ」
「有り難う」
ドロシーは三人にこりと笑ってお礼を言いました。
「お陰でトトが奇麗になったわ」
「いや、本当にエリカを奇麗にするよりもです」
ジョージはここでまたドロシーに彼女の名前を出しました。
「やりやすかったです」
「あの娘は何処を洗え、何をするなとかね」
「凄く五月蝿いですから」
「それがないからよね」
「はい、やりやすかったです」
そうだったというのです。
「本当に」
「それは何よりだったわね」
「はい、それじゃあ皆も奇麗になりました」
「私も全身に油を塗って磨いて」
大尉の身体は夜の中でもピカピカとしています、そこまで奇麗になっています。
「関節に油も差して」
「完璧ですね」
「そうなりましたよ」
「私もーーです」
チクタクの身体もピカピカです、大尉と同じく。
「奇麗にーーなりました」
「そうだね、チクタクもね」
「今夜はーーこの奇麗なーーままで」
「起きてるだね」
「大尉とーー一緒に」
「では今夜は朝までお話しましょう」
大尉はチクタクににこりと笑って提案しました。
「オズの国のあらゆることを」
「是非ーー共」
「そうしようね」
「それーーでは」
「じゃあ寝ましょう」
アンも身体を奇麗に洗ってです、シャンプーやボディーソープの香りがします。
「これからね」
「それじゃあ」
「日の出まで寝るわよ」
こうしてでした、皆はそれぞれのテントに入って気持ちよく寝ました。日の出までぐっすりと。
そして日の出と共に皆テントから出ました、すると大尉とチクタクが皆に言いました。
「それでは御飯を食べて」
「お顔をーー洗ってーーですね」
「また出発よ」
実際にとです、アンが二人に答えました。
「そうなるわ」
「では今から」
「朝御飯にしましょう」
「さて、今朝はトーストがいいかしら」
ドロシーは早速テーブル掛けを出しています。
「それとハムエッグかしらね」
「オニオンスープもどうかしら」
アンはドロシーに提案しました。
「そちらも」
「そうね、朝のスープはね」
「それとやっぱりね」
「林檎ね」
「林檎は欠かせないわ」
アンとしてはです。
「だからね」
「そうね、じゃあ林檎も出すわね」
「飲みものは何がいいかしら」
「牛乳にしましょう」
アンは飲みものはこれはどうかと提案しました。
「トーストだし」
「いいわね、じゃあね」
「トーストにはマーガリンを塗って」
「そして食べましょう」
こう二人でお話してです、ジョージ達もそのメニューでお願いしますと言ってです。トトも交えて楽しい朝御飯を食べました。
そして朝御飯を食べてです、皆は。
出発します、その道中ですが大尉は周りを見て皆に言いました。
「何か雰囲気が違いますね」
「雰囲気が?」
「はい、何か」
こうアンに答えるのでした。
「出てきそうな」
「カリダとか?」
オズの国でも有名な猛獣です。
「それが出そうな感じなの?」
「そうですね、カリダとはまたです」
「違ったですか」
「そんな感じですね」
「そうなのね」
「何か熊が出そうな」
「そういえば近くに熊センターがあるわね」
皆が今歩いている場所の、とです。アンは思い出しました。
「そういえば」
「そうでしたね」
「あそこの熊さん達かしら」
「それなら特に問題はないですね」
「ええ、あの人達ならね」
それなたというのでした。
「別にね」
「それならいいのですが」
「僕も何か」
トトはお鼻をくんくんとさせています、犬の自慢のお鼻をです。
「匂うよ」
「どんな匂いなの?」
「熊じゃないよ」
トトが嗅いでいる匂いはです。
「そんな感じじゃね」
「そうなのね」
「甘い香りがするよ」
トトはアンに答えました。
「ジャムみたいな」
「ジャムなの」
「そんな香りだね」
「林檎のジャム?」
ここでも林檎をお話に出したアンでした。
「それじゃあ」
「あっ、違うよ」
「そうなの」
「これは苺のジャムの匂いだよ」
「苺ジャムね」
「そうだよ」
「こうしたところでジャムなんて」
アンは周りを見回しました、今皆は右手は山で左手はお池です。その山とお池を見ながらそのうえで言うのでした。
「誰が近くにいるのかしら」
「そうかもね」
「山?お池?」
アンは左右を見回してトトにさらに尋ねました。
「それで」
「山だね」
「そちらからなの」
「ジャムの香りがするよ」
「そう、山なの」
「そこからね」
「どうしますか?」
大尉はアンにジャムの香りがすると言ったところで尋ねました。
「それで」
「そうね、何か気になるから」
「だからですね」
「行ってみましょう」
これがアンの決断でした。
「そちらにね」
「それでは」
「山に入りましょう」
右手のそこにというのです。
「今から」
「それじゃあね」
トトが応えてでした、そのうえで。
皆は山に入りました、するとすぐにです。
大きな黒い熊がいました、熊は皆を見て言いました。
「あれっ、ドロシー王女達じゃない」
「ええ、貴方は」
「僕は熊センターにいる熊のラッシーだよ」
熊は名乗りました、見れば熊のすぐ後ろには見事な苺畑があります。凄く沢山の黄色い苺達が見事に実っています。
「実は最近この山で苺の栽培をはじめてね」
「それでなのね」
「今ここで苺の畑を見てね」
「ジャムも作っていたのかしら」
「あっ、わかるんだ」
「匂いがしたから」
トトが言いました。
「だからわかったんだ」
「ああ、君は犬だからね」
「ジャムの香りでね」
「ううん、お鼻だと犬に勝てる生きものはいないね」
「僕もそう思うよ」
トトは犬のお鼻のことには胸を張って言い切りました。
「自分でもね」
「そうだね、僕もそう思うよ」
「認めてくれるんだ」
「事実だと思うから、ただね」
「ただ?」
「実はここの苺はね」
ラッシーはその苺のお話をしました。
「王様にも人気があるんだ」
「熊センターのね」
「そうなんだ、王様のお気に入りの苺なんだ」
「そこまでなの」
「実は熊センターではこれまで苺を栽培していなかったんだ」
「へえ、そうだったの」
「うん、そうだったんだ」
ラッシーはアンににこにことお話をしていきます。
「熊の農業自体知らないよね」
「そういえばそうね」
ドロシーも言われて気付きました。
「熊さんは何でも食べるけれど」
「狩猟はしてもね」
「農業はなかったわね」
「うん、けれど最近熊センターでもはじめてみて」
そしてというのです。
「僕は苺をはじめてみてね」
「それが王様にもなのね」
「人気があるんだ」
「そうなのね」
「いや、僕もはじめてみてね」
苺の栽培をです。
「楽しいし幾らでも作られるし」
「失敗はしないの?」
「失敗はあるよ」
農業をしていても他の何でもです、失敗はあります。ラッシーはドロシーに尋ねられたことに正直に答えました。
「けれどね」
「それでもなのね」
「失敗をしてもね」
「もう二度と同じ失敗をしない」
このことを学んでというのです。
「やっていってるからね」
「だからその失敗もなの」
「いいんだ」
そうだというのです。
「これがね」
「農業はね」
ドロシーは元々カンサスで農業をしていました、ヘンリーおじさんそしてエムおばさんとです。ドロシーにとっては懐かしい日々でもあります。
「どうしても失敗があるから」
「肥料をやり過ぎたり少なかったり」
「ちょっと油断したら虫がついたり」
「お水を多過ぎても少過ぎてもね」
「失敗するから」
「そう、だからいつも注意して見ないといけないの」
アンも言います。
「農作物もね」
「そうよね」
「ウーガブーの国でも」
ウーガブーの国では農業が盛んです、だからこそアンもよく見てそうしてそのうえでよく知っているのです。
「よく見ているわ、いつも」
「アン王女はいつもよね」
「ええ、自分でも鍬を持つことも多いわ」
王女自らです。
「身体を動かしてるわ」
「鎌も持つわね」
「勿論よ、草刈機だって」
そちらを使うこともです。
「いつものことよ」
「そうした労苦も厭わずだから」
「農業はね」
「ちょっと油断したら」
面倒臭いと思ってもなのです。
「失敗するわ」
「そうよね」
「そうそう、ちょっと寝坊してもね」
ラッシーがまた言いました。
「よくないからね」
「そう、農業は朝早くよ」
「だからこれまでよく失敗してね」
「その失敗をなのね」
「次に生かす様にしているんだ」
「そしてそれもなのね」
「楽しいんだ」
こうアンにも言います。
「今では僕の生きがいだよ」
「そこまでのものになってるのね」
「自分でも食べるしね」
苺、まさにそれをというのです。
「だからね」
「ジャムも作ってるのね」
「そうだよ、ジャムもいいよね」
「ええ、苺のジャムもね」
アンは林檎が大好きですがどんなお野菜も果物も好きです、それで苺のジャムについてもこう言うのです。
「美味しいわ」
「そう、ただジャムも」
「油断出来ないわね」
「その油断が失敗につながるからね」
「お料理についてもね」
「そうなんだよね」
実際にというのです。
「こちらもね」
「難しいわね」
「色々と難しいよ」
「農業もお料理も」
「僕もこれまで色々と失敗してきたよ」
「そして今ではですね」
恵梨香はその見事な苺畑を見て言いました。
「こうして立派な苺畑になったんですね」
「黄色い苺がいいですね」
カルロスはラッシーが作ったその苺達を見ています、ウィンキー産の苺なので色は奇麗な黄色なのです。
「ジャムも黄色ですね」
「あっ、よく見たら」
神宝は広がる畑を見回しました、するとそこにある苺達は。
「赤や青、緑に紫と色々な苺がありますね」
「オズの国全ての苺があるんですね」
ナターシャも言います。
「ここの苺畑には」
「じゃあジャムや他のお料理もですね」
最後にジョージが言いました。
「色々な色があるんですね」
「そうだよ、これもね」
ここでラッシーは五人に瓶詰めのジャム達を出しました、それは赤や青、緑に紫にとそれぞれの国の苺から作ったジャム達でした。
「色々なんだよ」
「うわ、奇麗ですね」
「オズの国ならではですね」
「黄色だけじゃなくてそれぞれの色で」
「宝石を溶かしたみたいです」
「苺のジャムじゃないみたいです」
「けれど苺なんだよ」
このことは間違いないというのです。
「この畑で採れたね」
「そうですよね」
「紛れもなくですね」
「苺のジャムですね」
「ラッシーさんが採って作った」
「そうしたジャムですね」
「僕が作ったからはっきり言えるよ」
それこそというのです。
「これは全部苺のジャムだよ」
「外の世界ではそれぞれのお国の色のお野菜や果物はないから」
ドロシーも言います。
「青い苺や緑の苺はないのよね」
「あったらびっくりしますよ」
それこそとです、ジョージはドロシーに応えました。
「オズの国のものだって」
「うふふ、そう思うわよね」
「はい、僕達の世界で見たら」
それこそというのです。
「そう思います」
「そうよね」
「いや、本当にです」
「けれどオズの国でjはね」
「それぞれのお国の色があって」
ジョージはまた言いました。
「それで」
「お野菜や果物もそうなるから」
「それぞれの色の苺もですね」
「あるのよ」
「味は変わらないよ」
ラッシーは五人にこのことを保証しました。
「だから安心してね」
「それじゃあ」
ドロシーはラッシーのそのお話を聞いて言いました。
「丁度時間だから」
「ティータイムですね」
「十時ーーですから」
これまで周りをゆっくりと見回していた大尉とチクタクが応えました。
「では今から」
「苺とーー一緒に」
「お茶にしましょう」
是非にと言ってです、そしてです。
ラッシーも誘ってでした、そのうえでティータイムとなりました。ですが今回はラッシーが皆に言いました。
「あっ、お茶なら僕が用意するよ」
「貴方が?」
「うん、今からね」
まさにというのです。
「紅茶も出させてもらうよ」
「あっ、お茶畑もあるね」
ジョージは苺畑の隣にそれを見付けました。
「あそこでお茶も作ってるんだ」
「そうなんだ、お茶も好きだから」
「栽培してるんだ」
「ストロベリーティーを入れるね」
こちらのお茶をというのです。
「それをね」
「ストロベリーティーっていうと」
「そうしたお茶もあるんだ」
「アップルティーみたいなものかな」
「まあそう考えたらいいよ」
ラッシーはこうジョージに答えました。
「そうした紅茶だから」
「それで今から」
「その紅茶を入れるね、お菓子はね」
そちらはといいますと。
「苺自体も出すしタルトと苺のシロップでコーティングしたクッキーもね」
それもとういうのです。
「出すから」
「ティーセットだね」
「僕もティーセット好きだから」
それでというのです。
「いつもこの時間と三時には楽しんでるよ」
「それじゃあ」
「今からね」
「ご馳走になるね」
ジョージが笑顔で応えてでした、そのうえで。
皆で苺のティーセットを楽しむのでした、ストロベリーティーはとても甘酸っぱくてミルクを入れるととりわけでした。
甘くなってです、アンはにこりと笑って言いました。
「これは素晴らしいわ」
「ええ、かなり美味しいわ」
ドロシーも応えます。
「これはね」
「そうよね、私はアップルティー派だけれど」
何しろ林檎派のアンです、飲むお茶もこちらがメインです。
「こちらの紅茶もいいわね」
「素敵な甘さね」
「苺のお菓子とも合っていて」
「いいわ」
凄くというのです、そして。
アンは今度は苺を食べてそのうえでこう言ったのでした。
「この苺の甘さは」
「程よいね」
「ええ、甘過ぎなくてかえってね」
作ったラッシーに言うのでした。
「食べやすいわ」
「だから王様にもね」
「好まれてるのね」
「苺を作る才能があるとも言ってもらってるよ」
そこまでというのです。
「有り難いことにね」
「ここまで美味しいとね」
「それだけのものがあるかな」
「あるわ、我が国も苺を作ってるけれど」
それでもというのです。
「負けていられないわね」
「ウーガブーの苺もいいわよ」
ドロシーがアンに言います。
「あちらもね」
「どれ位?」
「同じ位ね、ただね」
「ただ?」
「こうしたお茶はないのよね」
ストロベリーティーはというのです。
「ウーガブーの国には」
「飲む人は飲んでるでしょうけれど」
「それでもよね」
「ええ、やっぱり林檎が第一の国で」
「アンもよね」
「アップルティー派だから」
それでというのです。
「このお茶はね」
「ないわね」
「そうよね」
「ストロベリーティーはね」
ラッシーが言うにはです。
「僕も苺畑をはじめてからだよ」
「飲む様になったの」
「そうだよ」
それでというのです。
「自分で淹れてみてよかったからね」
「今もなのね」
「飲んでるんだ」
実際に飲みながらです、ラッシーはアンに答えました。
「こうしてね」
「そうなのね」
「苺はね」
本当にというのでした。
「美味しいし身体にもいいから」
「どんどん食べるべきね」
「そうだよ、ジュースも作ってるよ」
苺のジュースもというのです。
「そちらもね」
「そうなのね」
「ジュースもどうかな」
ラッシーはその苺ジュースも皆に勧めました。
「そちらも」
「あっ、飲んでいいの」
「よかったらね」
「それじゃあ」
こうしてです、皆は苺ジュースも飲みましたがこちらもよかったです。そしてティータイムの後でなのでした。
皆はラッシーと別れてでした、手を振り合い山を後にしました。その後もウーガブーの国への道を歩いていきますが。
大尉はアンにです、こう言ったのでした。
「ウィンキーの国の丁度真ん中にありますからね」
「今はね」
「はい、わかりやすいですね」
「今はそうなのよね」
ウーガブーの国の位置についてです、アンも言いました。
「昔は端にあったけれど」
「かつてはですね」
「ええ、死の砂漠のすぐ横で」
「そこにあって」
「オズの国の辺境の辺境だったのに」
「死の砂漠が移動しまして」
大陸全体を覆う様にです、今はそうなっているのです。
「それで」
「そうなったから」
「今はですね」
「真ん中にあるわ」
ウーガブーの国の場所、それはです。
「今現在はね」
「わかりやすいです」
「真ん中にあると」
「どうしてもです」
「わかりやすいわね」
「はい、有り難いことですね」
「そうね、そういえば木樵さんのお城は」
ウィンキーの皇帝であるこの人の居城はといいますと。
「ウィンキー全体から見てかなり東にあるわね」
「そうですね」
「我が国は北西から見て真ん中だけれど」
真ん中は真ん中でもです。
「そうなっているわね」
「その通りです」
「首都はその国の完全に真ん中かというと」
それはといいますと。
「また違うわね」
「そうですね」
「どうしても」
「そこは違いますね」
「首都の位置はね」
「首都は、です」
大尉が言うには。
「やはり国の中心になりますね」
「必然的にね」
「その首都が左にあると」
「少しね」
「何かが違うのではないかともです」
「思うわ、私は」
どうしてもいうのです。
「何かね」
「ですが首都を中心にです」
そのブリキのお城をです。
「道が整備されていて運河もありますので」
「最初から中心じゃなくて」
「今は、ですね」
「そうなったというのね」
「そうした中心もあるから」
「自分から中心になる」
例え場所が中心でなくてもです。
「それでもいいかしら」
「言われてみれば」
「それもまたね」
「首都もそれぞれですね」
「そういうことね、最初から中心にある場合もあれば」
「中心になる首都もある」
「そういうことね、それに」
ここでこうも言ったアンでした。
「オズの国の首都が一番大事で」
「エメラルドの都ですね」
「もう都ははっきりしているから」
「だからですね」
「それはもうね」
「いいですね」
「そうなるわね」
こう言うのでした。
「ウィンキーの首都がウィンキーの東の方にあっても」
「はい、首都になった場所で」
「しかもオズ全体の首都はね」
「中央にありますので」
オズの国全体のです。
「二つの意味で」
「いいわね」
「はい、そうなりますね」
「ちなみにね」
ここでこんなことも言ったアンでした。
「ウーガブーの国は小さいから」
「だからですか」
「首都はないわ」
そうだというのです。
「柵の中全体が国よ」
「そうしたお国ですね」
「強いて言うなら王宮がね」
アンが住んでいるその場所がというのです。
「あの国の首都ね」
「そうなるのですね」
「皆すぐに来てくれるわ」
アンはにこりと笑って言いました。
「首都までね」
「何かあれば」
「そう、すぐにね」
それこそというのです。
「来てくれるわ」
「それは便利ですね」
「全くよ、有り難いわ」
笑顔で言うアンでした。
「来てって言ったら皆すぐに来てくれるから」
「行き来が楽ですね」
「私もすぐに行けるし。そのウーガブーの国まで」
「あと少しですね」
「そうね、近くに来たら」
それこそというのです。
「皆わかるかしら」
「私はわかるわ」
ドロシーが笑顔で答えました。
「何度も行き来してるからね」
「貴女はそうね」
「オズの国の大抵の場所を何度も冒険してるから」
それだけにというのです。
「もうね」
「私の国への道もよね」
「わかるわ」
何処に何があるのかもです。
「だからね」
「貴女の場合はね」
「安心してるわ」
アンもにこりと笑って応えます。
「何しろオズの国一の冒険者だから」
「そうなったわね」
「長い旅の中で、だからわかるわね」
「明日には」
実際にこう言ったドロシーでした。
「着くわ」
「そうね、景色を見たら」
「明日の夕方かしら」
「この調子で歩いていけば」
「その頃ね、ただ」
「ただ?」
「アン王女の歩く速さだともっと速いかしら」
その速さに皆も合わせています。
「そうなるかしら」
「どうかしらね、そこは」
「貴女の調子次第かしら」
「そうかも。私も歩くのが遅い時もあるわ」
「そうなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「わからないわよ、ただそれでも明日の夕方までにはね」
「着けそうね」
「そうだと思うわ」
そうだというのだ。
「私もね」
「じゃあ明日の晩御飯は」
「ウーガブーの国でよ」
そこで食べることになるというのです、そうしたお話もしてでした。皆でウーガブーの国へと歩いていきます。勿論途中でティータイムや御飯も忘れていません。
そしてその中で、でした。お昼過ぎになってアンは目の前を指差して皆に言いました。道を歩くその中で。
「あそこがよ」
「ウーガブーの国ですね」
「いよいよよ」
ジョージにも笑顔で答えます。
「見えてきたわ」
「何かウーガブーの国は」
ジョージはしみじみとして言いました。
「久し振りに行きますね」
「久し振りというか」
それこそとです、恵梨香は言いました。
「この前ウーガブーの国にお邪魔したのはかなり前で」
「申し訳ないですがあまり覚えてなくて」
ナターシャもアンに言います。
「懐かしい感じさえします」
「いや、はじめて見た感じです」
カルロスの口調はしみじみとさえしています。
「今は」
「これからウーガブーの国に入って」
最後に神宝が言います。
「何が起こってもいい様にしますね」
「そうよ、私頑張るわよ」
意気込みさえ見せているアンでした。
「ウーガブーの国の主だからね」
「では今から」
大尉はアンのすぐ後ろから応えました。
「お国に戻りましょう」
「さあ、帰ったら」
意気込んで帰る為準備体操さえしそうな状況で言うアンでした。
「皆をまずおもてなしするわね」
「晩御飯でだね」
「ウーガブーの国の果物やお野菜のお料理でね」
トトにも言うのでした。
「勿論お肉もあるわよ」
「凄く楽しみだよ」
「それーーでは」
チクタクは何も食べる必要がないですがアンに応えました。
「今からーー行きーーましょう」
「それじゃあね」
アンは自分が先頭に立ってそのうえでウーガブーの国への道をあらためて歩きはじめるのでした。皆と一緒に。そして何と三時にウーガブーの国に着きました。
黄金の林檎か。
美姫 「食べてみたいわね」
だよな。とりあえず、今回ウーガブーの国に無事に辿り着いたか。
美姫 「後は大変な事よね」
だな。いよいよ、それが何か分かるのか。
美姫 「どうかしらね。次回が気になる所ね」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」
ではでは。