『オズのビリーナ』
第七幕 地下への入口
自分のお国をお花で飾ろうと決めてそのお花の一つに虹色の菫を選んだビリーナは菫の種がある地下世界に向かうことにしました。
そのことを決めてです、今回の冒険を共にするキャプテンとトロット、ガラスの猫、エリカ、そしてナターシャ達五人に言うのでした。
「地下は地上とはまた違うのよね」
「ええ、私も何度も行ってるけれど」
トロットが応えます。
「あそこはね」
「地下は地下でね」
「世界が違うわね」
「オズの世界でもよ」
その中にあることは事実です、ですが。
「また違うのよね」
「ええ、私達はこのことを知ってるけれど」
「あんた達ははじめてだからね」
ビリーナはナターシャ達にお顔を向けて言いました。
「注意してね」
「ええ、私達は地下ははじめてよ」
実際にとです、ナターシャが答えました。今は皆で地下世界の入口にビリーナの案内を受けて向かっている最中です。
「だからね」
「不安はあるわね」
「どうしてもね」
「だから私達から絶対に離れないことよ」
ビリーナはナターシャだけでなく五人に強い声で注意しました。
「くれぐれもね」
「ええ、わかったわ」
「迷ったら駄目だから」
「地下は迷路みたいになっているからね」
キャプテンも五人に言います。
「わし等についてくるんだよ」
「はい、若し迷ったら」
「もうその時は」
ジョージと神宝がその場合について考えて言います。
「大変なことになりますね」
「迷子になって」
「そうならない為にも」
「まずはぐれないことですね」
カルロスと恵梨香も言いました。
「第一に」
「それが一番いいことですね」
「そういうことでお願いするわね」
ビリーナは五人にあらためて言いました、そして。
自分の左隣にいるエリカと右隣にいるガラスの猫にも言いました。
「あんた達もよ」
「あら、私達もなの」
「迷子にならない様にって言うの?」
「だって猫はね」
それこそというのです。
「ちょっと何かあったらそれに気を取られるでしょ」
「好奇心旺盛っていうのね」
「そう、だからね」
それでとエリカに言うのでした。
「気をつけなさいね」
「好奇心旺盛の何処が悪いのよ」
「そうよ、いいことじゃない」
エリカだけでなくガラスの猫も言います。
「猫はそうあるべきよ」
「猫の高貴さの証の一つよ」
「いいと思ったものには絶対に関心を向ける」
「悪いことじゃないでしょ」
「そっちに気を取られてふらって行くことは駄目なのよ」
ビリーナが言うことはこのことでした。
「迷子になるもとだから」
「特に迷路みたいな場所だと」
「地下世界だと」
「そう、だから気をつけてね」
「やれやれね、私達にまで注意するなんて」
「徹底してるわね」
「そうしないと、むしろナターシャ達よりもね」
さらにというのです。
「あんた達には注意が必要よ」
「そう言うのね」
「全く、長い付き合いだっていうのに心配性ね」
「用心には用心を重ねることよ」
ビリーナは毅然として言いました。
「そうしてことを進めていくことが成功の第一歩よ」
「そうしたことをわかっているのがビリーナだね」
キャプテンはそのことを見て言いました。
「用心の大切さが」
「そうでしょ」
「だから今までやっていけたしね」
「今回ははじめての子達もいるから」
「余計にだね」
「注意しているよ、じゃあいいわね」
「行きましょう」
こうしたことをお話しながら入口まで進む一行でした、少し歩いていると黄色い煉瓦の道から外れた場所にです。
洞窟への入口がありました、ビリーナはその洞窟の前に着て五人に言いました。
「ここからよ」
「地下世界に入るのね」
「そうよ」
ナターシャに答えます。
「じゃあ行くわよ」
「地下だから」
恵梨香がここでナターシャに尋ねます。
「灯りは」
「それは安心して」
「大丈夫なの?」
「地下の世界とはいってもヒカリゴケがあちこちにあるから」
「光る苔ね」
「それで結構明るいの」
「だから灯りの心配はいらないのね」
「そうよ」
オズの国の地下世界ではというのです。
「だから心配しないでね」
「それじゃあね」
「そう、それとね」
「それと?」
「ノーム族に会っても心配しないでね」
「今のあの人達は」
「そう、別に悪いことはしないから」
こうナターシャ達にお話するのでした。
「むしろ友好的だから」
「今のノーム王の王様も」
「そうよ、ラゲドー王じゃなくなってね」
「それじゃあ」
「ただ、私は怖がるからね」
このことも言うビリーナでした。
「私達全員が友好的に接することが出来るかというと」
「それは無理なのね」
「私は無理よ」
到底というのです。
「だからその時は私は隠れているわね」
「ノーム族は卵が苦手だから」
「それでなのよ」
「そのこともわかったわ」
確かなお顔で答えたナターシャでした。
「それじゃあノームの人達のことも頭に入れて」
「行きましょう」
「それじゃあね」
ナターシャが頷いてでした、皆で地下世界に入りました。その中は確かにヒカリゴケで淡い青や緑色に照らされていて暗くはないです。
ちゃんと足元まで見えます、恵梨香はその足元を見て言いました。
「これだとね」
「普通に歩いて行けるわね」
ナターシャはその恵梨香に応えました。
「こうして」
「ええ、ヒカリゴケがあるから」
「こうした苔があるのもオズの国ならではね」
「お陰で助かるわ」
「だから暗くて見えないことはないからね」
トロットが五人にお話します。
「安心してね」
「はい、つまづいたりしないで済みますね」
「頭をぶつけたりする心配もないですね」
「そうよ、後ははぐれないことよ」
このことは注意して欲しいとです、トロットも言います。
「いいわね」
「はい、それじゃあ」
「そうしていきます」
「そういうことでね、それと」
ここでトロットは話題を変えました、その話題はといいますと。
「お昼御飯ね」
「お腹は地下にいても減るからね」
キャプテンも笑って言います。
「そこは注意しないとね」
「そうですね、そのことはどうしてもですね」
カルロスがキャプテンに笑って応えました。
「離れませんね」
「わし等の場合はね」
「この中ではガラスの猫は別にしまして」
神宝はその彼女を見つつ言います。
「僕達は皆そうですから」
「じゃあお昼は何を食べるか」
ジョージはこのことについて考えています、地下の道、青い大地の中がヒカリゴケで照らし出されている十メートル四方はある大きな道を皆と一緒に歩きながら。
「そのことですね」
「さて、何を食べるべきかな」
キャプテンも考えるお顔で言います。
「今日のお昼は」
「そうね、テーブル掛けで何でも出せるけれど」
トロットも言います。
「そこから何を出すかね」
「そうだね、今日のお昼はどうしようか」
「さて、それが問題ね」
「お鍋?」
ナターシャはふと言いました。
「皆で」
「どうしてお鍋なの?」
「何となく今思ったの」
恵梨香の問いにこう返しました。
「お鍋がいいかしらって」
「そうなの」
「そうね、お魚で」
「お魚を入れたお鍋って多いわよ」
「日本にもね」
「結構色々あるわよ」
「お味噌汁でもスープでもそうね」
考えてみればでした、ナターシャはそういった食べものについても考えてそのうえで言うのでした。
「お魚はよく入れるわね」
「日本でもね」
「それじゃあ」
ここでナターシャが思いついたことはといいますと。
「ブイヤベースとか」
「フランスのスープ?」
「あれもお魚沢山入れてるでしょ」
「貝も海老も烏賊もね」
「あれはどうかしら」
「いいんじゃないかしら」
ブイヤベースと聞いてです、恵梨香はこう答えました。
「トマトも美味しいし」
「そうでしょ、香辛料も入ってるし」
大蒜等がです。
「美味しいわね」
「それじゃあ」
「僕もいいと思うよ」
「ブイヤベースでいいんじゃないかな」
「確かに美味しいしね」
男の子三人もブイヤベースにはこう答えます。
「お腹一杯食べられるし」
「色々な魚介類が味わえてね」
「量も期待出来るね」
「お魚なら私は大歓迎よ」
エリカの耳はぴんと立っています、そのうえでの言葉です。
「それでいいわ」
「うん、わしもそれでいいと思う」
キャプテンもブイヤベースと聞いて賛成しています。
「大歓迎だよ」
「私もブイヤベース好きだし」
最後にトロットが言いました。
「それとパンでいきましょう」
「ええ、私は胡桃を大ね」
ビリーナはこちらをご所望でした。
「今日のお昼はね」
「わかったわ、貴女はそちらね」
「ええ、そうするわ」
「じゃあブイヤベースにパンに」
トロットはメニューを考えていきました。
「それとトマトとモツァレラチーズをスライスさせたものを出して」
「イタリア風の」
「後は肉料理はハンバーグね」
「ハンバーグですね」
「それでいいかしら」
ナターシャ達にお顔を向けてあらためて尋ねました。
「皆も」
「はい、ハンバーグ大好きです」
「じゃあそちらにしましょう」
「肉料理はそれで」
「ハンバーグお願いします」
「是非共です」
五人共笑顔で応えます、キャプテンも言います。
「うん、ハンバーグなら問題はないね」
「キャプテンも好きよね、ハンバーグ」
「だからそれでいいと思うよ」
「それじゃあ」
こうしてお昼も決まりました、デザートはフルーツの盛り合わせになって。
皆でその場に腰を下ろしてテーブル掛けを囲みます、そうしてブイヤベースやトマト、それにハンバーグにパンも食べるのでした。
パンにたっぷりと苺のジャムを塗ってです、ナターシャは言いました。
「パンのジャムは今は苺だけれど」
「他にも色々あるわよね」
「はい、林檎もブルーベリーもありますよね」
トロットに笑顔で応えるのでした。
「どれもいいですよね」
「私どれも好きよ」
「オズの国のジャムはどれもとても美味しくて」
そのジャムを塗ったパンを食べつつの言葉です。
「私大好きです」
「私もよ」
トロットは林檎のジャムを塗って食べています。
「あとバターやマーガリンも好きよ」
「そちらもいいですね」
「その時々で、ね」
「塗るものは変えてそれで食べる」
「パンの食べ方ね」
「僕はそのままでもいいかな」
神宝もパンを食べつつ言います、今はマーガリンを塗っていますが。
「お饅頭みたいに中があったら一番だけれど」
「チーズを挟んでも美味しいよね」
ジョージは実際にチーズを上に置いて食べています。
「特に溶けたチーズがね」
「お肉とかを挟んでもいいしね」
カルロスは今はそのまま食べています。
「パンは何でも合うよ」
「そうよね、私は基本御飯だけれど」
そう言う恵梨香も今はマーマレードを塗って食べています。
「パンは何でも合うわね」
「そうよね、私もそう思うわ」
トロットはハンバーグも食べました、フォークとナイフで切って一口ずつです。
「ただ、どっちを食べてもね」
「美味しいですよね」
「パンも御飯もね」
「どっちも主食ですね」
「そういえばパンを食べたら頭がよくなるとか先進国は皆パンとか」
不意にナターシャはこんなことを言いました。
「日本でそんなこと言った大学の先生いたそうね」
「またそれは変なことを言うね」
キャプテンはナターシャのそのお話をブイヤベースを食べながら聞きました、それで首を傾げさせて言ったのです。
「そんなことはないよ」
「そうですよね」
「パンを食べて頭がよくならね」
それこそというのです。
「誰も苦労はしないよ」
「そんなことで頭はよくならないですね」
「ムシノスケ教授にそんなことを言ったら」
オズの国一番の学者さんにです。
「すぐに違うと言われるよ」
「あの人は絶対にそう言いますね」
「何の根拠があって言ったのかな」
キャプテンの首は傾げさせられたままでした。
「その大学の先生は」
「そんなこと言ったら私はどうなるのよ」
ここで言ってきたのはガラスの猫です。
「私何も食べないわよ」
「そうそう、それじゃあどうしようもないじゃない」
エリカも言います。
「私だってパンは食べないわよ」
「その大学の先生は頭が悪いかおかしな人だったのよ」
ガラスの猫は言い切りました。
「何も食べない私はこんなに頭がいいのにね」
「そこで自慢しないの」
トロットはガラスの猫のそうしたところはすぐに注意しました。
「貴女の悪い癖よ」
「本当のことだからね」
「言うっていうのね」
「そうよ」
「やれやれね、けれどね」
「おかしな意見よね」
「私が聞いてもそう思うわ」
トロットにしてもそうでした。
「御飯もパンも同じでしょ」
「というか先進国って何?」
ビリーナはこのことから言いました、ビリーナはお話を聞いていてこのことから不思議に思うのでした。
「多分いい暮らしをしてる国のことだと思うけれど」
「大体そうね」
ナターシャはビリーナに答えました。
「言葉の意味は」
「じゃあそれは人それぞれよ」
「オズの国でもそうね」
「オズの国はそれを言ったら先進国の中の先進国よ」
誰もがいい暮らしをしているからです。
「こんな幸せな国はないからね」
「そうよね」
「けれどオズの国では何でも食べるわよ」
「パンでも何でもね」
「ジャガイモでも御飯でもね」
それこそというのです。
「食べるわよ、何を食べても頭のよさは変わらないわよ」
「何かを食べて頭がよくなるなら」
トロットはトマトとチーズを食べました、赤と白の二色の組み合わせはお口の中に入れると最高に美味しいです。
「キャプテンの言う通り苦労しないわ」
「ガラスの猫もそうだけれどかかしさんもだね」
また言ったキャプテンでした。
「あの人も何も食べないよ」
「そもそもね」
「けれどオズの国で一番の知恵者じゃないか」
「そうよね」
「そういうのを見ていたら」
それこそというのです。
「その話がおかしいってわかるよ」
「大学の先生でも変な人いるんですね」
ナターシャはしみじみとして言いました。
「本当に」
「大学の先生だから頭がいいんじゃなくて」
ビリーナは胡桃を一粒一粒丁寧にお口の中に入れて食べています。その隣ではエリカがトロットにお皿の中に入れてもらったブイヤベースを食べています。
「その人自身がどうかよ」
「頭がいいかどうかは」
「そう、それに性格もね」
「大学の先生だから立派じゃないわね」
「その人自身よ、ノーム族でもそうよ」
皆が今いる地下の住人の人達です。
「かつてのラゲドー王みたいな人もいるけれど」
「いい人もいるわね」
「それぞれなのよ」
その人個人によるというのです。
「いい人かどうかはわね」
「そうしたものね」
「まあオズの国は大抵いい人だけれどね」
「そうよね」
「昔のラゲドー王みたいな人は滅多にいないわ」
これが現実です。
「この国にはね」
「けれどその人それぞれ」
「そういうことよ」
「わかったわ」
確かな顔で頷いたナターシャでした、そして。
お昼をさらに食べていってです、全部食べて誰もが満足したところでテーブル掛けがなおされてそうしてでした。
冒険の再開です、皆はさらに進んでいきますが。
途中に道にです、一匹の大きなモグラがお顔を出していました。
そのモグラさんを見てです、ビリーナは言いました。
「あら、迷い出たのかしら」
「この地下道に?」
「ええ、ここは普通はモグラさんは出ないけれど」
「そうなの」
「だって土の中じゃないから」
地下にあってもです、こうナターシャ達にお話します。
「だからお顔を出さないけれど」
「あのモグラさんは出てるわね」
「どうしたのかしらね」
「ちょっと聞いてみましょう」
こう提案したのはトロットでした。
「モグラさん自身にね」
「どうしてお顔を出しているのか」
「そのことをね」
「そうね、それがいいわね」
ビリーナもその言葉に頷きました。
「どうして出て来たのか」
「迷ったのかも知れないし」
「迷っていたらね」
「助けられるのだったらね」
「助けるのがオズの国の法律だから」
「そうしましょう」
こうお話してです、皆はそのモグラさんのところに行きました。そのうえでビリーナがモグラさんに声をかけました。
「どうしたの、お顔を出した」
「いや、土の中を掘っていたらね」
「それでなの」
「ちょっとここに出ちゃったんだ」
「迷ってる訳じゃないのね」
「ちょっと間違えただけでね」
「来た道はわかってるのね」
「うん、引き返すよ」
来ていた道をというのです。
「そうするよ」
「じゃあ私達は安心していいわね」
「いいよ」
あっさりと答えるモグラさんでした。
「それでね、そういえば」
「そういえば?」
「トロット王女だね、そちらにいるのは」
トロットを見ての言葉です。
「そうよね」
「ええ、そうよ」
その通りとです、トロットはモグラさんに答えました。
「私はね」
「そうだよね」
「というか私のこと知ってるのね」
「僕もオズの国の住人だからね」
それでという返事でした。
「トロット王女にキャプテンさん達のことは知ってるよ」
「私のこともよね」
「うん、ビリーナさんだよね」
ビリーナを見て返事です。
「そうだよね」
「そうよ」
「それとガラスの猫にエリカさん」
二匹の猫達も見ての言葉です。
「そうだね」
「見てわかるわよね」
「その通りよ」
猫達も答えます。
「まあ私を知らないオズの国の住人はいないでしょ」
「こんな奇麗な猫はいないから」
「うん、それと」
今度はナターシャ達五人を見て言います。
「そっちの子達は確か」
「私達のことは知ってるかしら」
「何か時々オズの国に来るっていう子達がいるって聞いたけれど」
「それが私達よ」
ナターシャはこうモグラさんにお話しました。
「私達五人は時々オズの国に遊びに来てるの」
「それが君達なんだね」
「そうなの」
「その君達にも会うなんてね」
「思っていなかったのね」
「ちょっとね」
実際にと答えたモグラさんでした。
「思っていなかったよ」
「そうだったのね」
「けれどここで君達に会ったから」
それでと言うモグラさんでした。
「これで覚えたよ」
「じゃあ宜しくね」
「こちらこそね、それで皆どうしてここにいるのかな」
モグラさんは皆にあらためて尋ねました。
「冒険だと思うけれど」
「ええ、そうよ」
ビリーナがモグラさんに答えました。
「私達は虹色の菫の種を手に入れる為にここに来ているの」
「ああ、あの種ね」
「知ってるのね」
「この道をずっと行ったらあるね」
「その道は知ってるわ」
「そうだね、ただ最近はね」
ここでモグラさんはビリーナにこう言うのでした。
「この先は最近ノーム族の人達だけじゃなくて」
「何かあるの?」
「ドワーフ族や闇エルフ族の人達がここまで来ていてね」
それでというのです。
「ちょっと揉めてるんだよね」
「あら、ドワーフと闇エルフ」
「うん、そうだよ」
「そういえばドワーフとエルフは相性がよくないところがあったわね」
「闇エルフもエルフだかrね」
この種族の中にあるのは事実だというのです。
「住んでいる場所と肌とかの色は違うけれど」
「それでなのね」
「地下のそれぞれのお国を拡げてる中で鉢合わせして」
そしてというのです。
「揉めているんだ」
「それは困ったことね」
「僕もそう思うよ、ノーム族が仲裁しようとしてるけれど」
「上手くいっていないのね」
「元々相性の悪い関係だからね」
ドワーフ族とエルフ族は、というのです。闇エルフは普通のエルフと違い地下に住んでいますがれっきとしたエルフです。
「だからね」
「仲裁にも苦労してるのね」
「そうなんだ」
「じゃあこの先は物騒かしら」
「そこまではいかないよ」
物騒とまではというのです。
「お互い武器を取ってまでとはいかないから」
「じゃあ今のうちに何とかした方がいいわね」
「そうだね、僕はただ見てるだけだったけれど」
「今のうちに」
「そう、収めた方がいいね」
「この先というと」
このことから考えたビリーナでした。
「種の行き先でもあるから」
「邪魔になるだろうね」
「じゃあこの問題を解決しましょう」
トロットがビリーナに言いました。
「私達でね」
「そうするべきよね」
「ええ、そう思うわ」
実際にとです、トロットはビリーナに答えました。
「ここはね」
「そうね、それじゃね」
「そうしましょう」
「そうするんだ、けれどね」
モグラさんはトロットとビリーナのお話を聞いて言いました。
「厄介だよ」
「問題を解決することは何でもそうでしょ」
「それじゃあ」
「ええ、厄介なことでもね」
それでもとです、トロットはモグラさんに笑顔で言いました。
「このことも何とかするわ」
「ううん、流石はオズの国の王女様だね」
「そう言うの?」
「だって厄介なことはね」
こうしたことについてはというのです。
「逃げたくなるじゃない」
「そうしたくなるから?」
「どうしてもそうした感情はあるよね」
「それはね、けれどね」
「そうした感情にもだね」
「向かって勝たないといけないから」
だからというのです。
「私は向かうの」
「そうするんだね」
「そしてこの問題も解決するわ」
「ドワーフ族と闇エルフ族のいがみ合いを収めるんだ」
「そうするわね」
トロットはモグラさんに笑顔で答えました。
「絶対にね」
「じゃあ頑張ってね」
「ええ、そうするわ」
「ノーム族の仲裁しようとしてるし」
「じゃあ今回はノーム族と一緒に働くことになるかしら」
「そうなるかもね、じゃあ僕はこれでね」
ここまでお話してでした、モグラさんは自分の頭を穴の中に少し引っ込めました。
「元の道を戻るよ」
「そうして帰るのね」
「うん、そうするよ」
実際にというのです。
「これからね」
「それじゃあね」
「また機会があったら会おうね」
「その時はまた宜しくね」
「今度はもっとゆっくりお話しようね」
「お茶でも飲みながらね」
こうお話してでした、そのうえで。
モグラさんは道を戻っていきました、モグラさんがいなくなってからでした。ビリーナはナターシャ達に言いました。
「さて、オズの国の冒険らしくね」
「問題の解決ね」
「そうしないといけなくなったわよ」
こう言うのでした。
「これからね」
「そうね、何かが絶対にあると思ったけれど」
「二つの種族のいがみ合いの解決よ」
「ドワーフ族と闇エルフ族ね」
「この二種族は会うとお互い嫌な顔になってね」
「いがみ合うのね」
「どのエルフ族でもね」
それこそというのです。
「ドワーフ族と仲が悪いのよ」
「そうなのね」
「そう、それにね」
さらに言うのでした。
「闇エルフ族といってもね」
「闇ね」
「別に悪い種族じゃないから」
「ただ色が黒いだけね」
ナターシャも闇エルフについてこう言いました。
「そうなのね」
「黒檀みたいなお肌の色で髪の毛は銀髪で目は緑よ」
「それでエルフの外見なのね」
「基本悪い人達じゃないのよ」
闇というと悪い様に聞こえるにしてもです。
「別にね」
「そうなのね」
「よくゲームとかで闇エルフって悪い感じするよね」
「そうそう、敵で出たりね」
「何か企んでたりするんだよね」
ジョージと神宝、カルロスはゲームから受ける闇エルフのイメージをお話しました。
「魔法を使ったり弓を持っていて」
「悪い種族のボスだったりしてね」
「闇の勢力の幹部なんだよね」
「それはあくまでゲームでのお話でね」
トロットが三人にお話します。
「オズの国では違うの」
「悪い種族じゃないんですね」
恵梨香もトロットに尋ねます。
「特に」
「ええ、そうよ」
「それは何よりですね」
「むしろドワーフ族と同じでね」
「いい種族なんですね」
「そうよ、生活自体はドワーフ族に似ている部分が多いの」
そうでもあるというのです。
「同じ地下に住んでいる種族だから」
「似ているんですか」
「そうなの、ドワーフ族も悪い人達じゃないけれど」
「相性が悪いんですね」
「そうなのよ」
「それはゲームの世界でも同じかしら」
ナターシャはドワーフ族とエルフ族の相性についてはこう述べました。
「このことについては」
「そもそも何で相性悪いの?」
「そのことが訳わからないわよ」
ガラスの猫とトロットはこのこと自体について疑問に思うのでした。
「どうもね」
「謎よね」
「それはどうしてかな」
キャプテンも腕を組んで不思議がることでした。
「昔からそうなんだよね」
「あら、そうなの」
「昔からなの」
「ドワーフ族とエルフ族は相性が悪くてね」
「闇エルフでもなのね」
「それは変わらないのね」
「そうなんだよ」
まさにというのです。
「これがね、それでね」
「今回もなのね」
「そうしたことになってるのね」
「そうみたいだね」
「まあその辺りも気になるけれど」
ビリーナは右の羽根を挙げて言いました。
「何はともあれそのいざかいを解決しましょう」
「ええ、決めたからね」
トロットもビリーナに応えます。
「そうしましょう」
「そういうことでね、じゃあ先に進んでいくわよ」
「この先を進んでいけばね」
トロットは道の先を見ます、先に先にと何処までも続いている様に見える道です。
「種のある場所にも行けるし」
「ドワーフ族とエルフ族にも会えるし」
「先に進むことね」
「まずはね」
「じゃあまずは歩くことよ」
トロットは先を見たまま言いました。
「この道をね」
「そういうことね、じゃあ夜まで歩いて行きましょう」
「わしが時計で時間を確かめているから」
キャプテンは服のポケットから古風な懐中時計を出します。
「安心するんだよ」
「夜になればね」
「うん、晩御飯を食べてね」
「休んでね」
「また明日になれば行けばいいよ」
「そうよね、じゃあ夜まで歩きましょう」
トロットは皆に笑顔で言いました。
「この道をね」
「そうですね、問題を解決するにもまず歩くことですね」
「問題のある場所まで行くことよ」
まさにとです、トロットはナターシャにもお話しました。
「そこからよ」
「その通りですね」
「じゃあいいわね」
「はい、また歩きましょう」
「問題のところまで行って」
そしてというのでした。
「そして問題を解決するのよ」
「そうですね、それじゃあ」
「どんどん行くわよ、ただ」
「ただ?」
「エルフって言っても色々な種族がいるから」
このことをです、トロットは五人にお話するのでした。
「このことは知ってるかも知れないけれど」
「闇エルフは地下にいて、ですね」
「海エルフは海にいるの」
「海にですか」
「それで人魚みたいにして暮らしているの」
こちらの人魚はというのです。
「ニンフ達と一緒にね」
「そうなんですね」
「それで山エルフは山に住んでいて」
トロットはさらにお話します。
「森エルフは森に住んでるの」
「それぞれの場所にですね」
「そうよ、その住んでいる場所によって違うの」
「呼び名が、ですか」
「髪の毛やお肌の色もね」
「違うんですね」
「そうなの」
こうお話するのでした。
「けれど悪い人達じゃないから」
「闇エルフって悪い種族ってイメージありましたけれど」
ジョージはここでもゲームのことからお話します。
「違うんですね」
「少なくともオズの国ではね」
「お肌や髪の毛の色が違うだけで」
神宝はここで皆のそうしたものも見ました、皆それぞれ違います。
「同じエルフなんですね」
「人間と一緒ですね」
カルロスも言いました。
「髪の毛やお肌の色が違うだけで同じ人間なんですね」
「それと住んでいる場所が違うよ」
キャプテンも五人にお話します。
「住んでいる場所が変わるとどのエルフもそうなるんだ」
「それぞれの場所のエルフにですね」
恵梨香がキャプテンに聞きます。
「なるんですね」
「そうだよ、普通にね」
「じゃあ森エルフが地下に住んだら」
「すぐにお肌と髪の毛の色が変わるんだ」
キャプテンは恵梨香にお話しました。
「闇エルフになるんだよ」
「森エルフが」
「海エルフにも山エルフにもなるよ」
「それって凄いですね」
「けれどエルフだよ」
この種族であることは変わらないというのです。
「それは変わらないよ」
「そうですか」
「それでどのエルフもね」
このことは困ったお顔でお話するキャプテンでした。
「今一つドワーフと仲が悪いんだよね」
「そうなんですね」
「困ったことにね」
「そこはゲームと同じですね」
お話を聞いたナターシャが言いました。
「どうも」
「そうなんだね」
「はい、私達の世界ではこう言われています」
ゲームでもというのです。
「ドワーフとエルフは仲がよくない」
「それはオズの国でもそうでね」
「どうにもですか」
「仲がよくないんだ」
実際にというのです。
「それで今回の揉めごとにもなってるだろうね」
「相性が悪いことも理由で」
「どうにもね」
「困ったお話ですね」
「全く、どうして相性が悪いのかしらね」
ビリーナもやれやれといったお顔です。
「あの二種族は」
「オズの国だから喧嘩までには至らないけれど」
「確かに仲悪いわね」
エリカとガラスの猫も言います。
「それで地下もって」
「どうしたものかしらね」
「けれどそのいがみ合いもね」
ビリーナは胸を張って言いました。
「私達が解決するわよ」
「ええ、オズの国のトラブルは解決する」
トロットもビリーナに応えます。
「それが政治だからね」
「そうよ、オズの国の政治よ」
「そうよね」
「オズマもそうしてるし」
「オズマを助ける私達もね」
「そうしたことは解決するわよ」
「ええ、絶対にね」
必ずとお話してでした、そのうえで。
皆で夜になるとテントで休んででした、朝になると起きて出発してです。
道を先に先にと進んでいきます、そして。
一日歩いてです、ビリーナは皆に言いました。
「どうもね」
「ええ、そろそろなのね」
「そうよ、何か空気が違ってきたわ」
ナターシャにお話するのでした。
「ドワーフと闇エルフのいざかいの場所に来るわ」
「それじゃあ」
「明日の朝に着くわね」
大体というのです。
「そろそろ夜だと思うから」
「うん、もうね」
キャプテンが懐中時計で時間をチェックしてです、ビリーナに答えました。
「夜の時間だよ」
「じゃあ今日はこれで休んで」
「それで明日の朝ね」
「また出発ね」
「そうだね」
「それでだけれど」
ここでトロットは皆に言いました。
「今日もね」
「はい、今日もですね」
「お風呂は折り畳み式のシャワールームですね」
「それに入ってですね」
「身体を奇麗にしてね」
こう男の子三人に言うのでした。
「順番で入って」
「わかりました」
「じゃあそうします」
「あのシャワールームも便利ですよね」
「中で服も脱いで着られて」
「スポンジもボディーソープもシャンプーもあって」
「凄いですね」
「グリンダと魔法使いさんが発明してくれたのよ」
オズの国の二人の魔法使いがというのです。
「お風呂に入られない旅をする時もあるでしょ」
「今みたいにですね」
「そうした時のことを考えてですか」
「そうしたシャワールームも発明してくれたんですね」
「そうなの」
こうにこにことしてお話するのでした。
このシャワールームについてです、ナターシャも恵梨香に言います。
「じゃあ私達もね」
「ええ、シャワー浴びてね」
「それから寝ましょう」
「奇麗になってからね」
「二つあるからね」
トロットがそれだけ持って来たのです。
「男の子と女の子に分かれて」
「順番で、ですね」
「入ればいいですね」
「昨日みたいにね」
そうすればいいとです、トロットは早速今はハンカチみたいな形のシャワールームをポケットから取り出しました、見れば二つあります。
「入ってね」
「晩御飯の後で」
「そうすればいいですね」
「それで奇麗になって」
「それで、ですね」
「寝ましょう、それで朝になったら」
次の日のです。
「出発よ」
「御飯を食べて」
「そのうえで」
「ええ、そうするわよ」
こう言うのでした、そしてこの日の夜もです。
皆で楽しく晩御飯を食べてでした、順番でシャワールームに入って身体を奇麗にして寝ました。明日のことを考えながら。
菫の種を探すはずが。
美姫 「二種族間のいざこざに」
今回はこの問題解決にあたるみたいだな。
美姫 「結構、難しい気もするけれど」
それでも仲良くできるに越した事はないしな。
美姫 「一体どうなるのか楽しみね」
ああ。次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」