『オズのボタン=ブライト』




                 第七幕  不思議な迷路

 自然公園に行った次の日はです、皆は朝起きてまずはお風呂に入ってから食堂で朝御飯を食べました。トーストにハムエッグにフルーツの盛り合わせ、それに牛乳です。
 そのトーストに苺のジャムをたっぷりと付けながらです、王様は皆に言いました。
「今日は迷路に行こう」
「この国には迷路もあるんですか」
「そうじゃ」
 カルロスに笑顔で答えました。
「凄く面白い迷路がな」
「何でもあるんですね」
「遊びは何でもある国じゃ」
「だからなんですね」
「迷路もある」
「それでその迷路で、ですね」
「今日は遊ぼうぞ」
 これが王様の提案でした。
「どうじゃ」
「大丈夫かしら」
 オズマは自分のトーストを食べながら王様に言いました。
「迷路で」
「迷うか、か」
「いえ、迷ってもね」 
 迷路は迷うものです、そこをどう乗り越えるのかが面白いのです。そしてゴールまで行くのが楽しみ方です。
 だからです、オズマはこのことにはこう言うのでした。
「それはいいの」
「最後にゴールまで着けばじゃな」
「いいの、ただね」
「まだあるのか」
「ボタンは大丈夫なの?」
 その彼を見ての言葉でした。
「寝てね」
「うむ、迷路の中でじゃな」
「何処に行ったのかわからなくなると」
 それこそというのだ。
「大変なことになるわよ」
「それはそれで楽しくはないか」
「いや、そうなったら」
 それこそと答えたオズマでした。
「大変よ」
「確かに」
 ジュリアも言います。
「迷路の中でボタンを探すことになったら」
「もうとんでもないことになるわよ」
 つぎはぎ娘は食べなくても食べる皆の笑顔を見て楽しむ為に食堂にいます。
「それこそね」
「しかも迷路にいないかも知れないから」
 木挽の馬もいます。
「ちょっと以上にね」
「これはです」
 王子は王様に直接言いました。
「ボタンについては」
「連れて行かない方がよいか」
「そう思いますが」
「それはよくない」
 王様は一言で言いました。
「皆で行かんとな」
「仲間外れは、ですね」
「わしはそれが一番嫌いじゃ」
 断じてという感じでのお言葉でした。
「それはな」
「皆仲良く、公平かつ平等に」
 オズマはこう言いました。
「オズの国の法律よ」
「そういえば」
 恵梨香も言います。
「オズの国では仲間外れないですね」
「そうよね」
 ナターシャもそのことについて言うのでした。
「皆仲良くで」
「しかも平等でね」
 ジョージはこのことを指摘しました。
「差別がなくて」
「何でも公平で」
 最後に言ったのは神宝でした。
「分け隔てがなくて」
「そうしたことはよくないことでしょ」
 オズマは子供達にも言いました。
「そうでしょ」
「はい、仲間外れになりますと」
 実際にとです、カルロスはオズマに答えました。
「凄く嫌な気分になりますね」
「誰でもね、だからね」
「オズの国では法律として決められているんですね」
「そうしたらいけないとね」
「そうなんですね」
「そう、けれど」
 またボタンを見て言うオズマでした。
「大丈夫かしら」
「わかんなーーい」
 これがそのボタンの返事でした。
「だって僕何時でも何処でも寝てね」
「そして寝ている間にね」
「うん、何処かに行くから」
 自分でも言うのでした。
「それでね」
「そうよね」
「迷路は好きだけれど」
 それでもというのです。
「何処に行くかわからないよ」
「起きてたらいいんじゃないの?」
 つぎはぎ娘はここでこう提案しました。
「迷路にいる間は」
「そうしたらいいっていうんだね」
「これで万事解決よ」 
 つぎはぎ娘はハムエッグを食べているカルロスに答えました。
「そうでしょ」
「確かに起きていればね」
 カルロスはそのハムエッグを食べつつつぎはぎ娘に答えました。
「ボタンは何処にも行かないね」
「その通りね」
「けれど」
 また言ったオズマでした。
「ボタンはすぐに寝るから」
「歩いていたら寝ないよ、僕も」
「それでも休んだら」 
 即座にというのです。
「すぐに寝るでしょ」
「そう言われると」
 ボタンは嘘を言いません、だからここでもオズマに正直に答えました。
「そうだよ」
「ふむ、困ったのう」
 王様もお話を聞いて言うのでした。
「考えてみればこの子が迷路の中の何処かに移動するとな」
「そうでしょ」
「うむ、厄介じゃな」
「私もボタンも一緒に連れて行きたいわ」
 オズマは本音も言いました。
「それはね、けれどね」
「ボタンが寝るからのう」
「難しいわ、本当にね」
「うむ、どうしたものか」
「それなら」
 ここでジュリアが言ってきました。
「この子が起きている様にすればいいんですよ」
「と、いうと」
「ボタンにいつもお菓子を食べてもらいましょう」
「お菓子をじゃな」
「はい、ボタンはお菓子が大好きです」
 他の子供達と同じくです、ボタンはお菓子が大好きです。それこそ毎日食べてもそれでも飽きることはない位です。
「お菓子を食べている時は起きてますから」
「うん、その時はね」
 ボタン自身も言います。
「僕は絶対に起きているよ」
「それなら」
 ジュリアはボタンの言葉を聞いてまた言いました。
「ボタンにね」
「迷路にいる間は」
「お菓子をずっと食べていればいいから」
「じゃあ」
「それでどうかしら」
 ジュリアはボタン本人にお顔を向けて尋ねました。
「貴方としても」
「うん、それじゃあね」
 笑顔で応えたボタンでした。
「迷路にはお菓子をたっぷり持って行くよ」
「そしてそれをいつも食べていればね」
「歩きながらね」
「寝ることはないわ」
「そうね」
 オズマもそのお話を聞いて頷きました、そして。
 まずはボタンにです、頭を下げて言いました。
「御免なさい」
「どうして謝るの?」
「貴方だけを差別する様なことを言ったから」
 だからというのです。
「御免なさい」
「いや、僕が寝てね」
 そしてと言うボタンでした。
「何処かに行っちゃうのは確かだから」
「それで、というのね」
「王女様がそう言うのも当然かな」
 こう言うのでした。
「だからいいよ」
「そう言ってくれるのね」
「うん、それじゃあお菓子を一杯持って行くよ」
「色々あるぞ」
 王様はお話が終わったところでボタンに声をかけました、牛乳でトーストを流し込んだ後で。
「チョコレートにクッキー、キャンディにとな」
「ここのお菓子を持って行っていいんだ」
「好きなものを好きなだけな」
 それこそというのです。
「何でもどれだけでも持って行くのじゃ」
「それじゃあそうさせてもらうよ」
「わしは遠慮が嫌いじゃ」
 実際にこの王様はそうです、遠慮は好きではないのです。
「することもされることもな」
「だから」
「そうじゃ、そんなことはせずにな」
「何でもどれだけでも持って行ってもいいんだね」
「そうじゃ」
 まさにと言うのでした。
「ではよいな」
「うん、それじゃあね」
 ボタンは王様の言葉に頷きました、そしてです。
 ボタンは朝御飯の後で王子から貸してもらったリュックにです、色々なお菓子を一杯詰め込みました。そのうえで言うのでした。
「皆の分も入れたよ」
「皆っていうと?」
「一緒に迷路に行く皆の分をだよ」
 聞いてきたつぎはぎ娘への返事です。
「リュックの中に入れたよ」
「食べられる人の分をなのね」
「そう、その皆の分をね」
「そうしたのね」
「そうなんだ」
 リュックを手に持って背負っての言葉です。
「だから皆も食べてね」
「いや、僕達も持って行くから」
 リュックを貸してくれた王子はそのボタンに微笑んで答えました。「だからね」
「君はそのお菓子を好きなだけ食べればいいよ」
「皆持っていってるんだ」
「そうだよ」
「そうなんだ」
「お昼も持って行ってるしね」
 こちらもというのです。
「オズマ姫のテーブル掛けをね」
「ああ、そういえば」
「それがあるね」
「そうだよね」
「だからね」 
 それでというのです。
「君のお菓子は君がたべるといいよ」
「一杯あるけれど」
「一杯あるなら一杯食べればいいよ」
「そうすればいいんだね」
「そう、わかったね」
「うん、わかったよ」
 いつものわからないではなくです、今のボタンは王子にこう答えました。
「それじゃあね」
「そうするんだよ」
「さて、それで迷路の場所だけれど」
 木挽の馬はこのことをです、王様に尋ねました。今皆で宮殿の門を出たところです。
「一体何処なのかな」
「この宮殿の北西じゃよ」
「そこにあるんだ」
「そうじゃ、巨大なピラミッド型でな」
 王様は迷路の形もお話しました。
「地下から入って何層にもなっている迷路をどんどん登っていくのじゃ」
「それはかなり難しそうですね」 
 迷路の状況を聞いてです、神宝はこう察しました。
「一層じゃないなんて」
「そうだね、一層だけでも大変なのに」
 ジョージは神宝のその言葉に頷きました。
「そうした迷路だとね」
「これは迷ったら大変ね」
 ナターシャもその目を考えさせるものにしています。
「用心が必要ね」
「ここははぐれない様にしないと」 
 恵梨香はこう考えました。
「危ないわね」
「そう、集まって行くべきよ」
 オズマもこう言います。
「一人一人で言ったら迷うわ」
「けれど皆で迷路に行くには」
 カルロスはその場にいる全員を見回して言いました。
「僕達五人に姫様、ジュリアさんにつぎはぎ娘」
「木挽の馬車と僕達に」
 王子がカルロスに応えます。
「ボタンだね」
「十二人ですね」
「確かにあの迷路を通るには多いかな」
 王子は首を傾げさせて言いました。
「十二人で行くと」
「いや、それでもよいじゃろ」
 王様は王子にすぐに言葉を返しました。
「別にな」
「十二人でもですか」
「うむ、よいじゃろ」
「迷うよりは」
「皆で一度に行く方がよい」
「分かれるとですね」
「はぐれるしテーブル掛けは一つではないか」
 王様はオズマを見つつ王子に言うのでした。
「二つ三つに分かれるとおやつや御飯に困るぞ」
「それぞれお菓子を持って行っていても」
「そうじゃ、腹が減っては迷路は進めぬ」
 王様は言い切りました。
「実際にな」
「それでは」
「わしからの提案じゃ」
 皆に言うのでした。
「十二人でまとまって進もうぞ」
「確かに。言われてみますと」
 カルロスも王様の言葉を聞いて頷きました。
「その方がいいですね」
「別に競争をしている訳でもないじゃろ」
 それぞれのメンバーの間で、です。
「ただ迷路を進むだけじゃからな」
「だからですね」
「ここは一つでまとまってな」
「そのうえで、ですね」
「先に進むべきじゃ」
「それじゃあ」
「皆で一つじゃ」
 王様は明るく言い切りました。
「十二人全員で行くぞ」
「出発だね」
 ボタンは王様のその言葉に応えました。
「これから」
「そうじゃ、楽しい迷路じゃ」
「何か色々あるね」
 出発しました、ボタンは背負っているリュックの紐に手をやりつつ王様に言うのでした。
「王様の国って」
「遊ぶもの、遊ぶ場所がじゃな」
「宮殿も自然公園もそうだしね」
「やはりわしが遊び好きだからな」
「それでなんだね」
「そうじゃ、あらゆる遊びが好きだからな」
 それ故にというのです、
「色々な遊びを用意してあるのじゃよ」
「それでなんだ」
「うむ、迷路もあるのじゃ」
「置いたんだね」
「そうじゃ、しかもああした場所があるとな」 
 笑いながら言う王様でした。
「皆が楽しめるじゃろ」
「王様だけじゃなくて」
「わしだけ楽しんでもじゃ」
 それこそという返事でした。
「何がよい」
「独り占めはよくないんだね」
「そんなことは遠慮と同じだけ嫌いじゃ」
「皆で遊んで皆で楽しむだけ」
「それがよいのじゃよ」
 ボタンに笑って言うのでした、そしてでした。
 皆で迷路のところに来ました、すると。
 迷路の入口のところにです、王国の人達が何人かいました。カルロスはその人達を見て王様に尋ねました。
「あの人達も」
「そうじゃ、わし等と同じくな」
「迷路を楽しむんですね」
「その為に来ておるのじゃ」
「そうなんですね」
「まずは地下から入りな」
 そしてというのです。
「そこから一階、二階と進んでいく」
「頂上までですね」
「そうなっておる」
「この形ですと」 
 カルロスはそのピラミッドを見つつ思うのでした。
「上に行くにつれ迷路は小さくなっていきますね」
「その通りじゃよ」
「やっぱりそうですね」
「ピラミッドじゃからな」
 まさにというのです。
「そうなるからな」
「それじゃあ」
「今からよいな」
「はい、まずは地下にですね」
「あそこから入るのじゃ」
 見れば入口は下に続く階段になっています、そこに係の人達がいます。
「よいな」
「あそこから地下一階に入って」
「まずは地下一階の迷路を進むのじゃ」
「皆で」
「そうするぞ」
「じゃあ入ろう」
 ボタンはリュックからクッキーを取ってです、そのうえで。
 ぽりぽりと食べています、そうして言うのでした。
「これからね」
「うむ、そうじゃ」
「皆で」
「しっかり食べるのじゃぞ」 
 王様はボタンにこうも言いました。
「よいな」
「わかりました」
「そしてじゃ」
 さらに言う王様でした。
「起きておるとよい」
「起きてそして」
「そうじゃ、進んでいくぞ」
「そうするね」
 こうお話してです、皆で入口のところに来ました。既に国民の人達は迷路の中に入っています。そして皆の順番になったのです。
 王様がです、係の人達に言いました。
「わし等も行くぞ」
「今日はこちらですか」
「そうじゃ」
 係の人達ににこにことしての言葉でした。
「これから頂上を目指すぞ」
「わかりました、楽しまれて下さいね」
「そうしてくる」
「では迷われた時は」
「迷わぬわ」
 係の人の言葉にです、王様は笑って言うのでした。
「わしはな」
「大丈夫ですか?」
「何じゃ、わしが迷うとでもいうのか」
「王様前に来られた時は迷われて」
 そしてというのです。
「最後私達が迎えに行ったじゃないですか」
「頂上の出口のところでな」
「そうなりましたよ」
「あれはわし一人でな」
 そしてというのです。
「はじめてだったからじゃ」
「迷われたっていうんですか」
「多少な」
「まあ迷われたら」
 その時はとも言う係の人でした。
「私達がいますので」
「安心してよいな」
「はい、是非」
「まあ御主達の世話にはならぬ」 
 そのことは大丈夫だというのです。
「そこで気楽にしておれ」
「では」
「入るぞ」
 王様はにこにことしてです、係の人達に告げてでした。ボタンと一緒に先頭に立って階段を降りました。そしてです。 
 地下に入るとです、そこは床と天井が壁に完全につながっている迷路でした。全て石造りで中はとても明るいです。
 その明るい迷路を見てです、カルロスは首を傾げさせました。
「地下なのに明るいなんて」
「そうした石なんだ」
 王子がカルロスに説明します。
「自分から明かりを出すね」
「そうした石ですか」
「そう、それは弱い光でもね」
「全部その石で造られているから」
「明るいんだ」
 そうなっているというのです。
「この階も他の階もね」
「そういうことなんですね」
「だから明るさは問題ないから」
「安心して行けばいいですね」
「そうだよ、じゃあ行こう」
「わかりました」
 カルロスは王子の言葉に笑顔で頷きました、そして。
 皆で先に進みます、先頭にいるのは王様とボタンで一番後ろにはジュリアが木挽の馬と一緒にいます。そのジュリアにです。
 つぎはぎ娘は軽やかに踊りつつ歩きながら聞きました。
「どうして一番後ろにいるの?」
「ここに私達がいてね」
 そしてと答えたジュリアでした。
「皆がはぐれない様にしているの」
「見張りね」
「そうしたところね」
 実際にという返事でした。
「今の私はね」
「僕もだよ」
 馬もつぎはぎ娘に言います。
「それで一番後ろにいるんだ」
「そうなのね」
「姫様に言われたの」
 他ならぬオズマにというのです。
「私達が一番後ろにいて欲しいってね」
「確かにあたしが一番後ろだとね」
 つぎはぎ娘は今も踊り続けています、その動きは軽やかですが今にも何処かに行ってしまいそうな感じです。
「誰も見ていないとね」
「そのままよね」
「何処かに行ってしまいそうね」
「ジュリアも馬もしっかりしてるからね」
 つぎはぎ娘は言いました。
「一番後ろにいたら安心出来るわね」
「ここで皆を見ているから」
 微笑んで言うジュリアでした。
「安心してね」
「それじゃあね」
「この迷路は」
 王様、そしてボタンの後ろにいるカルロスが言うには。
「モンスターとか出ないですね」
「うむ、そうしたのはおらん」
 全くと答えた王様でした。
「生きものも住みついてはおらん」
「そこがエジプトのピラミッドとは違いますね」
「エジプトって?」
「外の世界にある国でね」
 カルロスはボタンにもお話しました。
「このピラミッドを最初に造った国だよ」
「そうなんだ」
「王様の墓だったんだ」
「リンキィンクの王様じゃないよね」
「エジプトの王様だよ」
 王様は王様でも、というのです。
「そこは違うよ」
「そうなんだね」
「そう、大昔の王様のお墓がね」
「最初のピラミッドだったんだね」
「大昔のエジプトのね」
「そのピラミッドも迷路だったの?」
「迷路じゃなかったけれど迷路みたいになっていたんだ」
 そのピラミッドの中はというのです。
「そうなっていたんだ」
「そうだったんだ」
「うん、それで王様のお墓があるお部屋があって」
 カルロスはさらにお話します。
「宝物を一杯収めているお部屋もあるんだ」
「そうした場所だったんだ」
「昔のピラミッドはね」
「面白そうな場所だね」
「けれど罠とかも多かったらしいから」
「危なかったんだね」
「そうした場所でもあったんだ」
 このこともです、カルロスはボタンにお話しました。
「だからあまりね」
「行っていい場所じゃないんだ」
「ここは罠はないみたいだけれど」
「ないぞ」
 王様からの返事です。
「そうしたものはな」
「普通の迷路ですね」
「そうじゃ、至って平和なな」
 王様は笑って保証します。
「何階もある迷路じゃ」
「難しくても」
「平和じゃよ」
「それならいいですね」
「ただ、ゴミを捨てたりせぬ様にな」
 そこは注意する王様でした。
「掃除用のロボットも巡っておるが」
「ロボットに迷惑をかけない様に」
「せんといかんからな」
 だからというのです。
「そうしたことはない様にな」
「わかりました」
 カルロスも王様の言葉に頷いてでした、お菓子を食べても袋はちゃんと一緒に持って来ているゴミ袋に入れました。
 ボタンもです、お菓子を食べてはいますが。
 食べた後の袋はちゃんとゴミ袋に入れています、オズマはそのボタンに言いました。
「そうしたらいいのよ」
「食べた後はだね」
「そう、お菓子が入っていた袋とかはね」
「こうしてだね」
「ゴミ袋に入れておくのよ」
「エチケットだね」
「そうよ」
 まさにという返事でした。
「だからね」
「こうしたことはだね」
「ちゃんとしないと駄目よ」
「迷路は奇麗に」
「他の場所もそうでしょ」
「うん」
 ボタンはオズマの言葉に頷きました。
「そのことはね」
「だからね」
 それで、というのです。
「奇麗にね」
「そうだね、じゃあね」
 ボタンも頷いてです、そして。
 ゴミをちゃんと収めるのでした、そうしてでした。
 そうしつつお菓子を食べるのでした、チョコレートもクッキーもビスケットもです。そうしていると全然寝ることがなくて。
 そしてです、こうも言ったのでした。
「何かこうしていると」
「寝ないね」
「うん、それに迷路を進んでいると」
 カルロスに言うのでした。
「考えるよね」
「どの道に行くのか」
「そうするから」
「ああ、考えるから」
「だからね」 
 それでというのです。
「寝ないよ」
「あれこれ考えていると」
「どうもね」
 実際にというのです、カルロスも。
「寝ることもないね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「考えることはいいことにしても」
 それでもと言うカルロスでした。
「寝ることも大事だよね」
「うん、そうした時は考えない」
「それも大事だね」
「そうだね」
 こうしたことをお話するのでした。
「考える時は考えて」
「考えない時は考えない」
「そうして起きる時は起きて」
「寝る時は寝るだね」
「そして遊ぶ時は遊ぶじゃ」
 王様の言葉です。
「それが大事なのじゃ」
「王様ならではの言葉ですね」
「ほっほっほ、わしは起きている時は遊ぶ主義じゃ」
 カルロスにも笑って言うのでした。
「即ち起きる時は常に遊ぶ」
「王様の場合は」
「それか食べるのじゃよ」
「どっちかなんですね」
「そして寝る時はな」
「寝られるんですね」
「ベッドに入れば一切考えずにじゃ」
 そうしてというのです。
「寝てそして夢を楽しむ」
「そうされるんですね」
「うむ、そうしておる」
「夢もですか」
「昨日の夢もよかった」
 にこにことしてお話する王様でした。
「お菓子を好きなだけ食べて皆と遊んでな」
「楽しまれていたんですか」
「夢の中でな」
「夢の中でも同じことされてたんじゃ」
「ほっほっほ、夢でも楽しかったぞ」
「そういうことですね」
「うむ、本当にいい夢じゃった」
 にこにことして言う王様でした、そして。  
 ボタンもです、こう言うのでした。
「僕は昨日の夢ではずっと寝てたよ」
「夢の中でも?」
「そうだったんだ」
「夢の中でも寝てるなんて」
 それこそと言うカルロスでした。
「ボタンらしいね」
「そうだよね」
「それでその夢もなんだ」
「うん、楽しかったよ」
「そうだったんだね」
「今日もそうした夢を見たいね」
「それじゃあね」
 こうしたことをお話してでした、そのうえで。  
 皆で一緒に行くのでした、迷路の先を。
 そして迷路を進んでいってです、まずは地下一階をクリアーしてでした。一階への階段に足を踏み入れるのでした。



迷路へと行く事に。
美姫 「結構、大きな迷路ね」
だな。オズマの心配も分かるな。
美姫 「そうよね。でも、その問題も解決したようだし」
いよいよ迷路へと。
美姫 「一体どんな迷路なのかしらね」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」
ではでは。



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