『オズのボタン=ブライト』
第五幕 ブロックのお城
この日は王様と皆で楽しく遊んで、です。王様は晩御飯の場で皆にこんなことを言いました。
「明日も遊ぶが」
「何をして遊ぶかよね」
「うむ、そのことじゃが」
オズマに応えて言うのでした。
「さて、何がよいか」
「そうね、昨日今日と宮殿の中で遊んでるわね」
「だからじゃな」
「明日はお外で遊ばない?」
「それはいいのう」
王様はオズマの提案を聞いて早速笑顔になりました。
「それではな」
「ええ、皆でね」
「外で遊ぼう」
「お外で遊ぶことも多いわね」
「色々と遊べるのう」
「ピクニックをしてもいいし」
「ピクニックは最高じゃ」
王様はピクニックも大好きなのです、それでさらに明るい笑顔になりました。
「楽しく歩いてお日様の下でお弁当を食べる」
「いいわね」
「うむ、では明日はピクニックにするか」
「アスレチックに行くのもよくない?」
つぎはぎ娘の提案です。
「この国の自然公園の」
「あそこでか」
「そう、どうかしら」
「ではじゃ」
王様はつぎはぎ娘の言葉も聞いて言いました。
「アスレチックでピクニックじゃ」
「二つ楽しむのね」
「一度に楽しめるならそうすればいい」
「その方が楽しいからよね」
「そうじゃ」
その通りという返事でした。
「それならばな」
「それじゃあ決まりね」
「明日は皆でアスレチックまでピクニックじゃ」
「お弁当持ってね」
つぎはぎ娘は自分の席でもう跳んだり跳ねたりしそうな感じです。
「あたしは食べないけれどね」
「私は煮干がいいわね」
エリカはお弁当にそれがいいと言うのでした。
「最近あれに凝ってるのよ」
「あと燻製だね」
王子が微笑んでそのエリカに言います。
「君が最近好きなのは」
「鶏肉のね」
「そうだよね」
「キャットフードがメインで」
そしてというのです。
「そういったものもよ」
「最近好きだね」
「そうなのよ」
「あの自然公園ならね」
ガラスの猫はアスレチックのあるその公園のことを知っています、何しろこの娘もオズの国中を歩いて回っていますので。
「お弁当の木も一杯あるから」
「あそこでそれぞれ好きなお弁当を手に取ればいいわね」
ジュリアはガラスの猫の言葉を聞いて言いました。
「エリカはエリカで」
「ええ、そうよね」
「それじゃあ皆その足でピクニックに行って」
さらに言ったジュリアでした。
「そしてそこでアスレチックもしてね」
「お弁当はあそこで取ってね」
「食べればいいわね」
こうエリカにも言うのでした。
木挽の馬はその自然公園について言いました。
「今回は急いで行かないね」
「ピクニックは歩いて行ってね」
王子が馬のその言葉に応えます。
「そしてだよ」
「うん、景色を見たりお喋りを楽しむんだね」
「歩きながらね」
「急いで行くものじゃないね」
「ピクニックはそうしたものだよ」
「だからだね」
「君もね」
物凄く早く走ることが出来る馬もというのです。
「急ぐ必要はないよ」
「それじゃあね」
「アスレチックかあ」
そう聞いてです、ジョージは晩御飯の牡蠣フライを食べつつ言うのでした。フライにかけているソースもとても美味しいです。
「僕あれ大好きなんだよね」
「色々出来るからね」
神宝もその牡蠣フライを食べつつ言います。
「楽しいんだよね」
「じゃあ明日はズボンを穿いて」
恵梨香も乗り気になっています。
「行きましょう」
「私もこの服じゃなくてね」
ナターシャは今も黒のゴスロリです、ですが明日はというのです。
「ズボンで行くわ」
「さて、明日はどんな遊びになるのか」
カルロスもかなり楽しみにしています。
「そう思うだけでうきうきしてくるよ」
「じゃあ僕もね」
最後に言ったのはボタンでした。
「明日は皆と一緒にピクニックだね」
「そしてアスレチックだよ」
カルロスはボタンにも言いました。
「楽しみにしていてね」
「そうするね」
「明日はまず朝御飯を食べてじゃ」
王様のお言葉です。
「そして皆で出発じゃ」
「持っていくものは何もなしね」
「お弁当はあっちにあるのじゃからな」
オズマにすぐに応えます。
「だからな」
「何も持って行かないでね」
「軽い出発じゃよ」
何も背負ったり手に持ったりせずにというのです。
「楽しく歩いて行くぞ」
「それじゃあね」
「さて、ではな」
さらに言う王様でした。
「明日のことを楽しみにして寝ようぞ」
「王様はいつも明日のことを楽しみにしてるね」
「今日のことを楽しんでじゃな」
「うん、そうだよね」
ボタンは王様に尋ねるのでした。
「いつもそうだよね」
「うむ、実際にな」
王様もボタンのその指摘を否定しません。
「わしは一日が終わる時には明日のことを楽しみにしておる」
「今日のことを楽しんでだね」
「そうしておるぞ」
「つまり毎日が楽しいんだね」
「毎日楽しんでおるぞ」
実際にというのです。
「御前さんが言った通りにな」
「やっぱりそうなんだね」
「こうして楽しい楽しいと思うことがいいんじゃよ」
「それだけでだね」
「本当に楽しくなるからもう」
「そうなんだね」
「それこそ何でもな」
まさにというのです。
「だからよいのじゃ」
「成程、わかったよ」
ボタンも頷きます、そしてでした。
王様はこの日もでした、楽しく思っているのでした。ボタンはその王様についてお風呂の中でカルロス達に言いました。
「王様とは何度もお会いしてるけれどね」
「いつもだね」
「うん、ああしてね」
実際にというのです。
「楽しく思ってるんだよ」
「それが王様だね」
「楽しく思っていて楽しく過ごしてる」
「そういう人だね」
「楽しくないって思ってる王様はね」
それこそというのです。
「まず見たことがないよ」
「王様の冒険も凄かったんだよね」
神宝は王様がはじめてドロシー達と知り合うことになった海の冒険について言いました。
「海に出て」
「そうだったんだ」
ボタンもそうだと答えます。
「あの時は凄かったんだよ」
「海の方に悪い人達がいてね」
ジョージも言います、皆今は同じ湯舟の中にいます。
「その人達から困っている人達を助けていたね」
「あの頃は王子もね」
カルロスはその時の王子について言いました。
「驢馬だったんだよね」
「凄く口の悪いね」
「そうだったね」
「あの頃の王子と今の王子は違うよ」
それこそというのです。
「本当にね」
「そうだったね」
「本来のお姿に戻ってね」
「ああした性格になったんだね」
「そうなんだ」
「確かにね、あの時の王子様を見ると」
「どうにもね」
ジョージと神宝も言います。
「お世辞にも性格がいいとは言えないね」
「あんまりにも口が悪かったし」
「あの頃の王子と今の王子はね」
それこそとです、カルロスも言います。
「別人みたいだよ」
「そうだよね」
「僕から見てもね」
「今の王子はとても付き合いやすい人だよ」
ボタンから見てもです。
「とても優しいし気さくだしね」
「そうだよね」
「けれどその驢馬だった頃の王子とも王様は普通にね」
「お付き合いしていたね」
「王様は凄い人だよ」
「心が広いんだね」
「かなりね」
王様がどういった方かもお話されるのでした。
「僕もあの人の心の広さにはびっくりしてるよ」
「あまりにも凄いからだね」
「僕なんかよりよっぽど心が広いよ」
「あれっ、けれどボタンも」
カルロスはこれまでのボタンとのお付き合いから言います。
「怒ったりしないしケチでもないしね」
「心が広いね、確かに」
「ボタンもね」
ジョージと神宝も言います。
「いつも穏やかな顔でいて」
「誰が何をしても態度変えないからね」
「僕もそう思うよ」
カルロスは二人の言葉に頷きました。
「ボタンも心が広いよ」
「そうなのかな」
「うん、本当にね」
「僕が心が広くても」
それでもというのです。
「別にね」
「別に?」
「誰かに迷惑かけてないのよ」
「かけている筈がないよ」
すぐに答えたカルロスでした。
「ボタンの心が広くてね」
「むしろそんなボタンだからね」
「皆好きなんだよ」
ジョージと神宝がまた言います。
「そうした性格だから」
「愛嬌もあってね」
「確かに寝ている間に急に何処かに行くけれど」
「それもご愛嬌ってことでね」
「だからボタンも心が広くて」
それで、と言うカルロスでした。
「それが誰にも迷惑をかけていないよ」
「ならいいよ、僕も」
「そういうことでね、じゃあ明日はね」
「うん、ピクニックだね」
「それにアスレチックだよ」
それもあるというのです。
「どっちも楽しみにしてね」
「それでだね」
「明日も楽しもうね」
「それじゃあね」
こうしたお話をしてでした、そのうえで。
カルロス達は四人でお風呂を楽しんで、でした。同じお部屋で寝ました。そして次の日の朝皆で中国風のお粥と八宝菜を食べてでした。
いざピクニックに出ました、すると。
不意に王様はです、皆にこんなことを言いました。
「わしの髭がピンとしておる」
「その口髭がなのね」
「うむ、そんな感じじゃ」
こうオズマにも言います。
「こうした時は何かが起こるぞ」
「そうした時はいつもなのね」
「よい、楽しいことが起こるのじゃ」
「その前兆なのね」
「さて、何が起こるのか」
王様は本当にうきうきとしている感じです、言葉にも表情にも出ています。
「楽しみじゃな」
「オズの国らしく突然なのね」
「楽しいことが起こるな」
「ボタンもいるしね」
つぎはぎ娘はボタンを見ています、そのうえでの言葉です。
「それは絶対に何かが起こるね」
「偶然があるからのう」
王様はつぎはぎ娘の言葉を受けて彼を見ました。
「この子が招き寄せてな」
「そう、それでどんな偶然が待っているか」
「楽しみじゃ」
「どんな偶然だったらいいの?」
つぎはぎ娘は王様に尋ねました。
「それで」
「いや、偶然はわからぬ」
「わからないの?」
「何が起こるか全くわからぬ」
楽しそうに笑ってです、顎に右手を当てて言うのでした。
「それが偶然じゃ」
「だからなのね」
「わからないしわからなくていい」
「そう言うのね」
「そうじゃ、どんな偶然でも受けて立つぞ」
やっぱり笑って言う王様でした。
「では行こうぞ」
「アスレチックは」
今度はボタンが言います。
「最初から最後までしたいね」
「それがよね」
「うん、一番いいよね」
アスレチックはとです、ボタンはガラスの猫に応えて言うのでした。
「やっぱりね」
「ええ、私もするけれどね」
「猫でもだね」
「猫もアスレチックは出来るから」
だからというのです。
「この身体でね」
「すばしっこくだね」
「そうよ」
「猫なんだね、やっぱり」
「それもとびきりの猫よ」
とても自慢そうにこう言ったのでした。
「全身がガラスのね」
「自慢の身体だね」
「そうよ、こんな奇麗な猫はいないわよ」
「そうね、私程じゃないけれど」
そう言うガラスの猫の横にです、エリカが来て言ってきました。
「あんたは最高の猫よ」
「あら、あんた程度じゃないっていうの」
「ええ、あんたは私の次に最高よ」
「そう言える根拠は何かしら」
「この毛並みよ」
全身のその毛を誇らしげに誇示しています、そのうえでの言葉です。
「どうかしら、この毛並み」
「奇麗だっていうのね」
「こんな毛並み他にはないわよ」
「私は毛がないからっていうのね」
「そう、あんたは私の次なのよ」
「言うわね、じゃああんたにはね」
ガラスの猫も負けじとエリカに言い返します。
「このピンクの脳とハートがあるかしら」
「その二つがっていうのね」
「そうよ、あるのかしら」
「あるわよ、ただ見えないだけよ」
エリカも言い返します、この娘も。
「けれど最高の脳とハートがあるわよ」
「私のこのピンクのものみたいな」
「ええ、あんたのと同じものがね」
「じゃあ毛並みでっていうのね」
「私の方が最高なのよ」
「あんたの身体は透けて輝かないわよ」
「この毛並みのよさを見て言えるかしら」
こう言い合う二匹でしたが。
その二匹にです、ジュリアが言いました。
「二人共どっちが最高とは言えないわよ」
「あら、そうなの」
「どっちともなの」
「どっちも同じ位よ」
ガラスの猫もエリカもというのです。
「私から見たらね」
「このガラスの身体が最高じゃないの?」
「この見事な毛並みが」
「透けて見える脳とハートが」
「あえて見せない脳とハートが」
「脳ならかかしさんが最高でハートは木樵さんでしょ」
それぞれこの二つについてオズの国で勝てる人はいません。かかしはオズの国で一番の知恵者。木樵はオズの国で最も心優しい人だからです。
「そうでしょ」
「まあその二つはね」
「その人達には負けるわ」
「そうでしょ、それにガラスの身体も毛並みもね」
ジュリアはそれぞれの自慢のもののお話をしました。
「そのままだと汚れたりするでしょ」
「まあそれはね」
「確かにね」
二匹もその指摘には頷くしかありませんでした。
「この身体はいつも磨いてもらわないと」
「ブラッシングが必要よ」
「洗ってもらうことも必要よ」
「お風呂は欠かせないわ」
「幾ら奇麗でもね」
ガラスの身体も毛並みもです。
「手入れしないと奇麗なままでいないでしょ」
「ええ、そうよ」
「どうしてもね」
「磨けば光るってものじゃないし」
だからというのです。
「それならどっちもね」
「同じ位なのね」
「差がないのね」
「私はそう思うわ」
二匹の間に優劣はないというのです。
「貴女達の間にはね」
「そうしたものはなの」
「ないのね」
「どっちも同じだけ最高よ」
そうだというのです。
「それで言い合うのはね」
「ううん、それじゃあ」
「どっちも最高なの」
「そうよ、優劣はないわ」
それこそというのです。
「本当にね」
「私のガラスの身体も」
「そして私の毛並みも」
「どっちもなの」
「最高なのね」
「それで言い合いなんて何の意味もないわよ」
ジュリアは冷静にです、二匹にお話します。そしてでした。
どちらにもです、あらためて言いました。
「身体を磨くこともブラッシングもしないとどうなるの?」
「ええ、確かに」
「そうなるとね」
「そうでしょ、わかったわね」
「ええ、よくね」
「それならね」
二匹もです、ジュリアの言葉に納得しました。
そしてでした、二匹であらためてジュリアに言いました。
「それじゃあね」
「それでわかったわ」
「私もエリカもどっちも」
「最高ってことね」
「そうよ、わかったわね」
「よくね」
「言い合ったのが馬鹿らしくなったわ」
こう二匹でジュリアに言うのでした、そしてです。
そのことをお話しつつ一行は自然公園に向かいます、その自然公園はカドリングの赤い木々や草原でとても奇麗です。
アスレチックもあります、ですが。
皆はその公園の中にあるものを見てです、まずは目を瞬かせました。
それで王子がです、それについて王様に言いました。
「これは」
「ブロックじゃな」
「はい、そうですね」
ブロックのおもちゃです、はめ込んでいって色々なものを作っていく。赤や青、黄色に白に緑と色々な色があります。
「これは」
「そうじゃな、しかしな」
「大きさが違いますね」
「これは両手に持つ位の大きさじゃな」
「普通のブロックは指で摘む位ですが」
「このブロックはな」
「どれもですね」
王子は実際にそのブロックの大きさを見て言いました。
「普通のブロックの百倍位です」
「大きいのう」
「そのブロックの大きさなので」
「またどうしてこんなものがあるのじゃ」
「あっ、王様」
ここで自然公園の管理人さんが来ました、中年のカドリングの赤い服を着た人です。
「来られたのですか」
「遊びでな、それでじゃが」
「このブロック達ですね」
「うむ、何じゃこれは」
「はい、実は調達してきまして」
「何処からじゃ?」
「パズルの国からです」
オズの国、それもカドリングの国の中にある国です。人も何もかもがジグゾーパズルになっている不思議な国です。
「送ってもらいました」
「ああ、あの国からか」
「こうしたブロックもですよね」
「うむ、はっきり言えばな」
「パズルの一種ですから」
「だからあの国でか」
「造っていたもので」
「それをか」
「ここに送ってくれました」
そうだというのです。
「お願いしましたら」
「そうだったのじゃな」
「先日首相にはお話していましたが」
「それでわしもか」
「お聞きになったのでは」
「そういえばそうだったかのう」
この辺りはどうも忘れっぽい王様です、時々そうしたことを聞いてもついつい忘れてしまったりしてしまうのです。
「首相が言っていたか」
「はい、それで」
「ここにあるのじゃな」
「このブロック達も」
「ではこのブロック達をじゃな」
「組み立ててです」
管理人さんは王様にお話します。
「遊べますが」
「ではこれを築いて何が出来るのじゃ?」
「それは私にもわかりません」
管理人さんはこのことについてはこう返しました。
「あちらもお話してくれませんでした」
「一切か」
「はい、組み立ててみてのお楽しみとのことです」
「こうしたものはじゃな」
「その時のお楽しみですね」
「そうじゃな、ではこの公園にじゃな」
「遊ぶものが増えました」
そうなったというのです。
「アスレチック、そして散歩の他に」
「ブロックもじゃな」
「楽しめるようになりました」
「そうか、よく送ってもらってくれた」
王様はここまで聞いて管理人さんに笑顔で言いました。
「今すぐ褒美をやろうぞ」
「おお、それは何よりです」
「これじゃ、持って行くがいい」
こう言ってです、王様は。
服の袖の中に手を入れてです、そこからです。
とても大きな赤いダイアモンドを出してです、管理人さんにあげました。
そしてです、こう言ったのでした。
「これをな」
「何と、それがですか」
「そなたへの褒美じゃ」
にこりと笑って言うのでした。
「取っておくのじゃ」
「何と凄い褒美なのか」
「褒美は弾むものじゃ」
王様はにこりとしたままです。
「だからな」
「これをですか」
「持って行くのじゃ、いいな」
「わかりました」
管理人さんは王様からダイアを受け取ってでした、そのうえで。
その場を下がりました、王様はあらためて皆に言いました。
「それでじゃが」
「うん、このブロックをだね」
王様にです、ボタンが応えます。
「組み立てるかどうかだね」
「そうして遊ぶかのう」
「アスレチックじゃなくて」
「どっちにするかじゃな」
アスレチックかブロックの組み立てかです。
「それは」
「ううん、どっちがいいかな」
「こうした時はね」
オズマが言います。
「コイントスで決めるものね」
「どちらを遊ぶかだね」
「どちらも今すぐに出来るし」
オズマはボタンにもお話します。
「それに何時でも出来るよ」
「じゃあどっちでもいいだね」
「どっちを先にしないといけないものではないわ」
オズマはこのことを冷静に見て考えています。
「だからね」
「どっちでもいいんだね」
「そう、ここはね」
「ううん、それじゃあ」
「コイントスで決めたらどうかしら」
オズマは皆に提案しました。
「それでどっちかを先にして」
「それでじゃな」
「そう、残った方を後でしましょう」
「どっちも遊ぶのじゃな」
「問題はどちらを先にするかよ」
またこう言ったオズマでした、王様として。
「問題は」
「よし、ではな」
王様はオズマの言葉を受けてでした、今度は。
袖の中からコインを出しました、そうしてオズマに聞きました。
「表がブロックでな」
「裏がアスレチックね」
「それでどうじゃ」
「ええ、いいと思うわ」
オズマは微笑んで王様に答えました。
「それでね」
「うむ、ではな」
「これから投げて」
「決めるとしよう」
王様はコインを上に回転する様に真上に放り投げました、そうして。
そのコインを左手の甲で受けてでした、それから。
右手で上から押さえました。そうして出て来たのは。
「表じゃ」
「ブロックね」
「そうなったぞ」
「それじゃあですね」
カルロスはそのブロック、あちこちに散らばっているそれ等を見ながら王様に応えて言いました。かなりの数のブロックがあちこちに散らばっています。
「今から」
「うむ、皆でな」
「このブロックを組み立てていってですね」
「何が完成するかな」
「楽しむんですね」
「そうじゃ」
王様もカルロスに答えます。
「それがこれからの遊びじゃ」
「そうですか、それじゃあ」
「皆ではじめるぞ」
「このブロックはね」
ジョージは傍にあった赤いブロックを持ってみました、それは。
「プラスチックで出来ていて軽いよ」
「大きいけれどね」
神宝も持ってみました、確かに普通のおもちゃのブロックの百倍位の大きさがありますがそれでもなのです。
「確かに軽いね」
「硬さもプラスチックね」
ナターシャは持ったそれをこんこんと手で叩いています。
「重さも」
「これならね」
五人の中で最後に持ったのは恵梨香です。
「楽に持ち運び出来るわ」
「ええ、あたしにもね」
つぎはぎ娘は両手に一個ずつ持ってくるくると踊っています。
「気楽に持てるわ」
「これを皆で持って」
ジュリアは白いブロックを両手に持って王様に尋ねました。
「今からですね」
「組み立てようぞ」
「僕は背負えばいいね」
馬はそのブロック、転がっているそれにお顔を近付けています。傍にはガラスの猫とエリカも一緒にいます。
「そうすれば」
「私達が持って」
「そうしてね」
そのガラスの猫とエリカの言葉です。
「背中に持って行って」
「運べばいいね」
「皆で遊べそうね」
オズマも早速一個持っています。
「この遊びは」
「頭使う遊びなんだね」
ボタンは自分の足元に転がっている青いブロックを見ています。
「これは」
「まさにな」
「そうなんだね」
「色は色々あるのう」
王様はボタンと共に見つつ言います。
「そういえば」
「うん、赤に青にね」
「白、黄色、緑」
「そして紫だね」
「オズの国の色は全部あってな」
「他の色もだね」
「虹の色は全部ある」
その七つの色がです。
「そこに白もじゃな」
「そうなってるね」
「ほっほっほ、これはいいのう」
「どうしていいの?」
「色が多いとそれだけ賑やかな感じがするからな」
だからと言う王様でした。
「だからよいのじゃ」
「そうなんだ」
「カドリングの赤はいい色じゃが」
お国のその色は第一です、王様も。
ですがそれでもとです、王様は言うのでした。
「それだけでなくな」
「他の色もあればだね」
「より賑やかになるからのう」
「だからいいんだね」
「うむ」
その通りという返事でした。
「ではな」
「これからだね」
「一体どんな賑やかなものが出来るのか」
「組み立てていくんだね」
「そうするとしよう」
コイントスに従ってというのです、そして実際にでした。
皆でブロックを組み立てていきます、一つ一つです。
組んでいきます、ですが。
そのブロックを組み立てていきつつです、ボタンはこんなことを言いました。
「ジグゾーパズルに似てるけれど」
「ブロックはまた違うね」
「うん、パズルはね」
「どれがどれに入るかね」
「決まってるよね」
「厳密にね」
「けれどブロックは」
その先が出た形のそれはです。
「どんな風にね」
「組み立ててもいいね」
「ある程度以上にね」
「それが楽だね」
カルロスも笑ってです、ボタンに応えます。
「ブロックは」
「そうだよね」
「それにね」
さらに言うカルロスでした。
「色がね」
「その組み立て方次第でね」
「変わるんだよね」
「組み立てる都度ね」
「それもいいよね」
「うん、そうだよね」
「こうして今組み立てていって」
そしてというのです。
「どんな風になるのか」
「楽しみだね」
「そうだよね」
「青いブロックにね」
神宝は自分の色のブロックに赤いブロックを入れています。
「赤いブロックを入れて」
「その赤いブロックにね」
ジョージはその赤いブロックに黄色いブロックを入れました。
「カラフルにすればいいね」
「色々な色を組んでいって」
ナターシャはオレンジのブロックを緑のブロックに入れます。
「素敵な色にしましょう」
「色々な色が組み合わさった」
恵梨香は緑のブロックに白のブロックを入れました。
「そうしたものにすればいいわね」
「何が出来るかわからないけれど」
馬は背中にです、ガラスの猫とエリカにブロックを置いてもらって皆のところに運んでいます。
「カラフルにしようね」
「出来るだけね」
「色々な組み合わせにして」
そのガラスの猫とエリカの言葉です。
「どんなものが出来るか」
「楽しみにしながら組み立ててるのね、私達」
「こうしたブロックもあるしね」
つぎはぎ娘は赤い三角のブロックを持っています。
「これも使うのよね」
「こういうのもあるわ」
オズマは青い扉のブロックを見付けました。
「さて、何に使うのかしら」
「ううん、何か」
王子は橋の一部、白いそれを見ています。
「組み立てていけば次第にわかってくるね」
「ほっほっほ、楽しいのう」
王様はどんどん動いて組み立てつつ笑っています。
「こうして組み立てるだけで」
「王様楽しんでるね」
「この通りな」
こうボタンにも答えます。
「最高にな」
「そうだよね」
「これもまた遊びじゃ」
「王様のお部屋にブロックあるし」
「それもいつも楽しんでいてな」
「大きなこれもだね」
「こうしてじゃ」
まさにというのです。
「楽しんでおるぞ」
「そうなんだね」
「頭を使う遊びも好きじゃが」
「これは身体も使ってるね」
「頭と身体両方の体操じゃ」
そうなっているというのです。
「こんな楽しいことはないわ」
「アスレチックよりも?」
「アスレチックも楽しいがのう」
「こちらもだね」
「楽しいわ」
「そうなんだね」
「どっちも同じだけな」
こう言ってでした、そうして。
王様は率先してでした、組み立てていきます。そのうえで。
ブロックは次第に形になっていきました、門や橋も出来てです。
塔も出来ました、それは。
「あれっ、何か」
「そうだね、これはね」
「お城だね」
「うん、オズの国のね」
それになるとです、カルロスはボタンにお話しました。
「欧州の」
「エメラルドの都の王宮?いえ」
ジュリアはその王宮を見ながら言います。
「違うわね」
「これは西欧のお城ですね」
「外の世界のよね」
「はい、そうです」
「宮殿とは違って」
「ドイツにあるみたいな」
「騎士が住むお城ですね」
恵梨香も言います。
「どうやら」
「そうなのね」
「はい、日本のお城とはまた違いますね」
「城壁かな、これ」
四方を囲む形のそれを見て言ったボタンでした。色々な色のブロックで築かれていてとてもカラフルです。
「それじゃあ」
「そうみたいだね」
カルロスはそのボタンに答えました。
「どうやら」
「そうなんだね」
「それでね」
さらに言ったカルロスでした。
「この城壁の中にね」
「お城が入るんだね」
「そうなるね」
「ああ、丁度いいわね」
お城と聞いてです、オズマも言います。
「城壁は出来たけれど」
「お城自体はだね」
「まだだから」
「この城壁の中でね」
「お城を組み立てればいいんだね」
「ある程度組み立てられている部分もあるから」
ブロック達がです。
「それじゃあね」
「そういったものを城壁の中に持って行って」
「お城を組みましょう」
「今からだね」
「そうしましょう」
「それじゃあ」
こうしてでした、皆はその城壁の中で、です。
ブロックをさらに組み立てていきます、するとです。
徐々にですが形になってきました、その形は。
「お城だよね」
「そうだよ」
カルロスはボタンのその問いに答えました。
「これはね」
「王宮じゃなくて」
「お城だよ」
こう答えるのでした。
「間違いなくね」
「こうしたお城もあるんだ」
「そういえば」
「そういえば?」
「オズの国にこうしたお城ってないね」
「そうなのよ」
オズマがカルロスに言ってきました。
「実はね」
「守る必要がないからですね」
「そうなの、街を城壁で囲みはするわ」
「それはしますね」
「お洒落でね」
そうしているというのです。
「しているけれど」
「それでもですよね」
「こうしたお城はないわ」
「そうですよね」
「守ることはないから」
だからというのです。
「こうしたお城はないの」
「そうなんですね」
「そう、宮殿はあっても」
「こうしたお城はなくて」
「私も宮殿に見えるわ」
オズマにしてもというのです。
「やっぱりね」
「そうですか」
「新鮮ね」
こうも言ったオズマでした。
「こうしたお城は」
「そうなんですね」
「オズの国にあるのは宮殿だから」
「お城はといいますと」
「また違うのよ」
「そういうことですね」
「宮殿はお城から生まれているけれど」
それでもというのです。
「お城じゃないから」
「だから姫様にとってもですね」
「新鮮なの、じゃあ」
「完成させて」
「その姿を見ましょうね」
「それじゃあ」
皆でお話しながらです、そのうえで。
頑張ってお城を作っていきます、そして。
そのお城が完成してです、皆はそのお城を見て言いました。
「何かですね」
「結構早く出来ましたね」
「いや、大きいですね」
「やっぱり」
「うん、本当にね」
それこそと言ったオズマでした。
「大きいわ、しかもね」
「格好いいですよね」
カルロスがオズマに言ってきました。
「このお城」
「ええ、格好よくて」
「カラフルで」
「面白いわね」
「大きなおもちゃのお城だね」
こう言ったのはボタンです。
「本当に」
「ええ、色々なブロックで作られた」
「そうしたお城だね」
「宮殿にしてもね」
オズマはうっとりとして言うのでした。
「凄くカラフルな宮殿ね」
「そうだよね」
「このお城には住めないけれど」
それでもと言ったオズマでした。
「こうしたお城もいいわね」
「そうだね」
「見ているだけでいいわ」
「ううん、何かね」
オズマの言葉を聞きつつです、こんなことを言ったボタンでした。
「またばらばらにして」
「もう一度最初から?」
「うん、作りたくもなったけれど」
「ブロックはそうした遊びじゃな」
王様もここで言います。
「完成させてな」
「そしてだよね」
「そう、一からな」
「また作るものだね」
「そして完成させてな」
それからというのです。
「またな」
「ばらばらにしてだね」
「作るのじゃ」
「そうしたことの繰り返しだね」
「それがブロック遊びじゃ」
「それじゃあ」
「またばらばらにするのもな」
今完成させたお城をというのです。
「よいぞ」
「そういうものなんだね」
「パズルもじゃな」
「ああ、そういえば」
「完成させて飾る人もいればな」
王様は今度はパズルのお話をしました。
「もう一度ばらばらにして作る人もおるな」
「王様はそっちかな」
「そうすれば何度でも遊べるからな」
だからというのです。
「わしはそっちじゃ」
「そうなんだね」
「うむ、まあ今はな」
「今は?」
「このままでよいな」
「完成させたままで」
「このままでな」
これが王様の今の考えでした。
「いいじゃろ、暫くは」
「それじゃあ気が向いたら」
「その時にな」
「またばらばらにするんだね」
「そうすればいい、ではな」
「今はだね」
「さて、今は何時じゃろうか」
王様はここで時間をチェックしました。
「それで」
「十二時です」
カルロスが答えました、自分の時計、オズの国で貰ったそれでチェックしてからそのうえで王様に答えたのです。
「丁度」
「おお、本当に丁度いいな」
「じゃあ今からですね」
「うむ、お昼じゃ」
お昼御飯にしようというのです。
「皆でな」
「わかりました、じゃあ」
「お弁当の木まで行ってな」
そうしてというのです。
「皆で食べようぞ」
「それじゃあ」
また応えたボタンでした、そして皆で実際にでした。
皆でお弁当の木のところまで行ってそのうえでそれぞれが好きなお弁当を手に取って食べるのでした、お城を完成させたうえで。
王様と一緒に遊びまくりだな。
美姫 「今回はこのまま遊び尽すのかしらね」
さて、どうなるかはまだ分からないがな。
美姫 「でも、楽しそうよね」
だな大きなブロックはちょっと面白そうだな。
美姫 「本当にね」
次は何をして遊ぶんだろうか。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。