『新オズの腹ペコタイガー』




                 第五幕  二人が来て

 オズマは出発の日になってです、朝御飯のオートミールを皆で食べてからあらためて皆に対して言いました。
「これから出発だけれど」
「はい、それじゃあ」
「これからパーティー分けですね」
「メンバーを決めて」
「それからですね」
「そう、誰がどの食材の調達に行くか」 
 それをというのです。
「決めましょう」
「はい、それじゃあ」
「これからですね」
「それぞれのパーティーのメンバーを決めて」
「どの食材と調達するか」
「全部決めていきましょう」
「そういうことでね、じゃあはじめましょう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 オズマが中心になってパーティーを決めました、ですが。
 モジャボロと船長さんはチクタクと一緒にです、のどかに言いました。
「さて、それじゃあね」
「そう、わし等はね」
「今回はこの宮殿で楽しく」
「ラム酒を飲んだりして過ごすか」
「そうーーですーーね」
 チクタクも応えます。
「私もーー休みーーます」
「貴方達も五人いたら」
 オズマは船長さん達を見て言うのでした。
「来て欲しかったけれど」
「行きたいとも思うけれどね」
「わし等にしても」
 モジャボロと船長さんが応えます、二人もオズの国の人なので冒険が好きなのです。だからこう思っていることも確かです。
 ですがそれでもです、人数のこともあってです。
「まあ今はね」
「ゆっくりと休んでいるよ」
「ここでこうしてね」
「そういうことで」
「ネジーーを切ってーーです」
 チクタクはといいますと。
「寝てーーいまーーす」
「貴方もなのね。仕方ないわね」 
 オズマもこう言ってです、そのうえで。
 今回は三人ずつのパーティーにしようとしました、五つに分けて。
 ですがここで、でした。ふとです。
 皆のところにです、衛兵さんが来て言ってきました。
「かかしさんと木樵さんが来られました」
「あら、そうなの」
 オズマは二人の来客に目を瞬かせて返しました、
「また急ね」
「確かにそうですね」
「けれど来たのなら」
「はい、こちらまでお通しされますね」
「勿論よ」
 一もニもないという返事でした。
「こちらまでね」
「それでは」
 こうしてです、二人が案内されました。かかしと木樵はまずは皆に挨拶をしました。そのうえでなのでした。
 オズマは二人にです、こう尋ねました。
「急に来たけれど」
「うん、気が向いてね」
「それで来たんだ」
 二人はオズマに明るく答えました。
「別に特にね」
「用もなかったけれど」
「オズマやドロシーの顔を見ようってね」
「二人でいる時に話して決めたんだ」
「そうなのね、じゃあ二人共今は時間があるのね」
「だからここまで歩いてきたんだ」
「二人でね」
 これが二人の返事でした。
「冒険に出ようかなっても思っているんだ」
「これからね」
「あっ、じゃあね」
「おじさん組も五人揃ったね」
 今度はモジャボロと船長さんが言いました。
「じゃあ僕達もね」
「行こうか」
「そうしてくれるかしら」
 オズマはモジャボロと船長さんに尋ねました。
「貴方達も」
「うん、揃うのならね」
「わし等も冒険は嫌いじゃない」
「だからね」
「行かせてもらうよ」
「じゃあ船長さんは私と一緒ね」
 トロットは古いお友達の船長さんに応えました。
「やっぱり」
「うん、今回の冒険もね」
「それじゃあそうしましょう」
「一緒だね」
「それで私は」
 ベッツイはハンクを見ています。
「やっぱりね」
「僕と一緒だね」
「ええ、楽しく行きましょう」
「さて、パーティーを組むにしても」
 かかしは腕を組んで考えつつ言います。
「一体どうした組み合わせにするかだね」
「はい、そうですよね」
 恵梨香がそのかかしに応えます。
「それ次第でかなり違いますね」
「冒険そのものがね」
「五つに分けて、ですけれど」
「まず決まったのはね」
 かかしはベッツイとトロットを見つつ言います。
「ベッツイとハンク、トロットと船長さんだよ」
「二組ですね」
「四人は決まったけれど」
 それでもというのです。
「けれどね」
「それでもですね」
「決まったのは四人だけで」
「私達全員はこれからですね」
「君達五人と女の子五人、動物五匹に僕達五人」
 合わせて二十人です。
「さて、どう分けるかな」
「トトはドロシーと一緒で」
「そう、トトはいつも私と一緒だから」
 ドロシーも言います。
「そういうことでね」
「トトはドロシーと一緒にカウントですね」
「それでお願いするわ」
「はい、それじゃあ」
「私はーーです」
 チクタクが言うには。
「どの方ーーともーー行きたいーーです」
「そうなんだね、チクタクは」
「はいーー」
 チクタクはかかしに答えます。
「どなたーーともーー楽しくーーです」
「集める食材は牛肉、お野菜、スパイス、御飯、蜂蜜と林檎です」
「その五種類だね」
「大きく分けて」
 ジュリアはこうかかしにお話します。
「そうなっています」
「うん、そのこともわかったよ」
 かかしはジュリアの言葉に頷きました。
「それぞれの食材に一パーティーずつ送る」
「それはもう決まっていますね」
「それが一番だからね、さて本当にパーティー編成を考えようか」
「僕は今回はね」
 臆病ライオンが言いました。
「ジュリアと一緒がいいかな」
「私となの」
「うん、ジュリアはあまり冒険に出ていないよね」
「宮殿が仕事場だからね」
「だからだよね、だからね」
「それでなのね」
「知っている道なら教えさせてね」
 こうジュリアに言うのでした。
「僕でよかったら」
「ライオンさんの勇気も期待させてもらうわ」
「ではーーです」
 チクタクも名乗り出ました。
「私もーージュリアさんとはーーはじめてのーー冒険にーーなりますーーので」
「だからなのね」
「お願ーーいします」
「それじゃあね」
「はいーー」
「あっ、じゃあ僕も」
 ジョージも名乗り出ました。
「こっちのパーティーに」
「私達となのね」
「お願いします」
「それじゃあね」 
 こうしてです、まずは一つ目のパーティーが決まりました、そして。
 次はです、ベッツイと船長さんのところにです。
 ビリーナが来てです、こう言いました。
「いいかしら、私で」
「大人しくしていてね」
「出来ない相談よ」
 あっさりと返したビリーナでした。
「私は私だから」
「まあそうよね」
「けれど私の勘を頼りにしてね」
「そうさせてもらうわね」
「ううん、僕はですね」
 神宝はベッツイに名乗り出ました。
「ビリーナの知恵を見たいし」
「だからなのね」
「いいかな」
「ええ、じゃあ神宝は私達と一緒ね」
 ベッツイは微笑んで神宝に応えました。
「宜しくね」
「それじゃあ」
「仲良くいこう」
 船長さんは神宝に優しい笑顔で応えました。
「今回の冒険は」
「はい、お願いします」
「それではね」
「楽しい冒険になるわよ」
 ビリーナは右の翼を上げて言いました。
「今回の旅は」
「ビリーナさんがいるからかな」
「そう、この顔触れだとね」
「そうなる様に力をいれよう」
「是非ね」
 こうお話してでした、二つ目のパーティーも決まりました。
 三つ目のパーティーはです、ドロシーにです。
 かかしがです、にこりと笑って声をかけました。
「僕でいいかな」
「お願いするわ」
 そのかかしにです、、ドロシーもにこりと笑って応えます。
「仲良く行きましょう」
「今回の旅もね」
「ではこちらにはよ」
 今度はエリカが出てきました。
「私が入ってあげるわ」
「えっ、君が!?」
 そのエリカにトトが言います。
「入って来るんだ」
「駄目なの?」
「悪いことしたら駄目だよ」
「安心しなさい、猫らしくしておくわ」
「いやあ、君の場合はね」
 それこそと言うのです。
「日頃の行いがね」
「悪いことしたら怒るわよ」
 ドロシーもエリカには少し厳しいです。
「いいわね」
「何よ、随分と厳しいわね」
「貴女は悪いこともするからよ」
「ふん、そう言うのね」
「ええ、けれど貴女も一緒ね」
「ええ、行ってあげるわ」
「あっ、何か面白そうだし」
 好奇心旺盛なカルロスは早速乗りました、そしてです。
 ドロシーにです、こう申し出ました。
「宜しくお願いします」
「ええ、カルロスはこちらね」
「それでいいですか?」
「勿論よ、ではね」
「お願いします」
 こうしてです、カルロスはドロシー達のパーティーに入りました。こうして三つ目のパーティーも決まりました。
 そしてオズマのところには。
 木樵が来ました、そうしてオズマに声をかけます。
「では僕はね」
「私と一緒に来てくれるのね」
「お願いしていいかな」
「ええ、今回の冒険は貴方と一緒ね」
 これがオズマの返事でした。
「ではお願いするわ」
「それではね」
「じゃあ僕はこっちかな」
 腹ペコタイガーが言います。
「オズマ、木樵さんとね」
「強くなるわね、木樵さんと腹ペコタイガーさんがいて」
 ナターシャが言います、このパーティーについて。
「オズマ姫も魔法が使えるから」
「そうね、これはね」 
 オズマもナターシャに言われて考えます。
 そしてトロットを見てです、こう言いました。
「トロット、少しいいかしら」
「ええ、私達のパーティーね」
「貴女はハンクと一緒だけれど」
「僕はロバだからね」
 ハンクも言います。
「戦うことは出来ないから」
「何かあったらいけないから」
 それでというのです。
「ここはハンクと腹ペコタイガーを入れ替えたらどうかしら」
「その方がいいかしら」
「僕もそう思うよ」 
 ハンクもトロットに言います。
「今回の冒険はね」
「貴方がオズマのところに行って」
「トロットのところには腹ペコタイガー君が行く」
「それがバランスいいわね」
「そうだね、それじゃあね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 ハンクと腹ペコタイガーが入れ替わってでした、オズマ達はハンクと一緒に行くことになりました。このパーティーにはです。
 ナターシャが来てです、こう言いました。
「私は」
「私達となのね」
「お願いします」
 こう言うのでした。
「私でよかったら」
「ええ、それじゃあね」
「それで」
 こうお話してでした、四つ目のパーティーも決まりました。
 そして最後にです、トロットと腹ペコタイガーのところにです。
 モジャボロが来てです、笑顔で言ってきました。
「今回の冒険はね」
「ええ、モジャボロさんがね」
「同行してくれるんだね」
「そうさせてもらうよ」
 その長いお髭の顔で言うのでした。
「宜しくね」
「はい、こちらこそ」
「お願いするよ」
 これが二人の返事でした。
 そして最後にです、恵梨香がです。
 トロットにです、こう言いました。
「私も」
「ええ、恵梨香もね」
「はい、お願いしていいですか?」
「勿論よ。私達のパーティーも決まったわね」
「メンバーが」
「そうですね、これで」
「五つのパーティー全部が決まったわね」
 にこりとして言うトロットでした。
「じゃあ早速出発ね」
「いつもはまとまって行くんだけれど」
 腹ペコタイガーはオズの国の冒険の話をしました。
「今回は違うね」
「ええ、パーティーごとに分かれてだから」
「特殊な冒険ね」
「そうなるね、こうした冒険も面白そうだね」
「ええ、じゃあ早速出発ね」
「そうしようと思っていたけれど」
 ここで、です。オズマが皆に言いました。
「もうお昼の時間だから」
「だからですね」
「お昼御飯を食べましょう」
 こう言ったのでした。
「それから出発しましょう」
「そうですか、それじゃあ」
 恵梨香がオズマに応えました。
「今からお昼御飯ですね」
「そうしましょう、さて何を食べようかしら」
「お外ですから」
 外だからだとです、恵梨香が出したメニューはといいますと。
「お握りどうですか?」
「出たね、恵梨香の大好物」
「お握りだね」
「恵梨香ってまずお握りなんだよね」
「特にお外だと一日一回ね」
 ジョージ達四人は恵梨香の今の言葉を聞いて応えました。
「まずはお握りだね」
「それを食べるんだね」
「おかずは色々あるけれど」
「それは絶対よね」
「だって美味しいから」 
 これが恵梨香の返事です。
「お握りはね」
「丸いか三角系のよね」
 トロットも応えます。
「それで海苔を巻いた」
「はい、御飯のままでもいいですけれど」
「恵梨香は本当にお握りが好きね」
 ジョージ達が言う様にです。
「何かとね」
「確かに大好きです」
 恵梨香も否定しません、自分がお握りが大好きだということを。
「これがあればっていう位」
「冒険の時もよく食べていて」
「それでお外ですから」
「だからなのね」
「今もと思ったんですが」
「サンドイッチよりもなのね」
「サンドッチも好きです」
 恵梨香にしてもです、ですがそれでもなのです。
「第一はお握りです」
「そちらね、けれどね」
「お握りでいいですか?」
「私はいいと思うわ」
「うん、僕もいいと思うよ」
 腹ペコタイガーもお話します。
「お握りで」
「タイガーさんお握り好きなの?」
「好きだよ、どんどん食べられるから」
「まあ僕達もね、海苔にも慣れたし」
「温かいとだけれど」
 ジョージと神宝はこう言いました。
「お握り食べられるよ」
「確かに美味しいね」
「食べやすいしね」
「手頃ね」
 カルロスとナターシャも賛成でした。
「それじゃあね」
「お握りにしましょう」
「僕達は食べないから」
「皆どんどん食べてね」
「どうぞーーです」 
 かかしと木樵、チクタクの言葉はいつも通りです。
「皆が食べる姿を見せてもらうよ」
「いつも通りね」
「そうさせてーーもらいーーます」
「私達もお握り頂くわ」
 ドロシー達も言います。
「サンドイッチもいいけれどね、こうした時は」
「じゃあサンドイッチも出しましょう」
 これがベッツイの提案です。
「どっちも食べましょう」
「それもいいね、じゃあそうしよう」 
 臆病ライオンはベッツイのその提案に頷きました、
「沢山あって困らないし」
「それじゃあね」
「わかったわ、じゃあ今日のお昼はお握りとサンドイッチよ」 
 オズマはあらためて言いました。
「こうしましょう」
「すぐにテーブル掛け出すわね」 
 ドロシーが応えてでした、そしてです。
 そのお握りとサンドイッチが出されました、そのお握りを食べてです。
 恵梨香はにこりと笑ってです、皆に言いました。
「こうしてお握りを食べていると」
「幸せ?」
「はい、とても」
 両手にお握りを持ってその先から食べながらです、トロットに答えます。
「本当に大好きなんです」
「普通の食べものだけれど」
「それでもなんです」
「大好きなのね」
「一番好きです」
「そこまで好きなの、そういえばね」
 ここでこんなことを言ったトロットでした。
「お握りにはおかずもあるけれど」
「それと、ですね」
「中に具が入っている場合もあるわね」
「梅干とかおかかとか」
「昆布や明太子もあるわね」
「色々と」
「それも楽しみなのね、お握りの」
 トロットも言います。
「御飯と一緒に食べることが」
「そうなんです、そのことも」
「色々なお握りがあるわね」
「炒飯で作ったりハンバーグや目玉焼きと一緒に作ったり」
「ハンバーガーみたいにね」
「そうしたのもありますし」
 それに、と言う恵梨香でした。
「後麦飯で作ったのもあります」
「このお握りね」
 ジュリアは若布とジャコと一緒にです、麦も入って海苔で包んである三角のお握りを食べています。そのうえで恵梨香に言うのです。
「麦が入っているわね」
「はい、この通り」
「これも美味しいわね」
「はい、とても」
「麦飯も美味しいのね」
「そうなんです、お握りにしても」
 それにとも言う恵梨香でした。
「とろろをかけてもいいです」
「山芋ね」
「あとカレーにも合います」
「白い御飯じゃなくてもいいんだ」
 腹ペコタイガーはお皿の上のお握り達を次から次に
「カレーの御飯は」
「そうなの、麦とか雑穀を一杯入れた御飯でもいいの」
「そうなんだ」
「栄養があって美味しいの」 
 そうした雑穀御飯のカレーもというのです。
「それも」
「ううん、じゃあね」
「今度食べてみる?」
「いいかもね。実際に麦飯のお握りも美味しいしね」
「ただしこのお握りはね」
 臆病ライオンが言います、勿論この人も食べています。
「食べてみて思ったけれど」
「どうしたのかな」
「うん、冷えたら味が落ちるかな」
「温かいうちに食べないとだね」
「よくないかな」
「冷えた御飯は何とか食べられる様になったけれど」
 神宝が言うには。
「最初びっくりしたよ」
「君は冷えた食べものには抵抗があるね」
「うん、中国ではそうなんだ」
 こうジョージにも言います。
「冷えた御飯だけじゃなくて食べものはね」
「口にしないんだね」
「そうなんだ」
「それでお握りもだよね」
「最初こんなの食べるんだってびっくりしたよ」
「だからお握りをまず電子レンジであっためて」
「そうして食べていたんだ」
 最初はというのです。
「僕はね」
「まあ僕も海苔が駄目だったし」 
 アメリカ人のジョージはそうだったのです。
「最初海苔をどけて食べていたよ」
「そうだったね、君も」
「うん、アメリカじゃ海草を食べないからね」
「そうしていたね」
「アメリカ人とか中国人って何でも食べる感じがするけれど」
 ブラジル人のカルロスは二人を見つつ言いました。
「そうでもないね」
「そうね」
 ナターシャがカルロスのその言葉に応えます。
「どうも」
「好き嫌いあるんだね」
「実はね」
「冷えたものとか海草を食べないんだ」
「私もね」
 ナターシャもというのです。
「そう思っていたけれど」
「少し驚いた?」
「ええ、そうよ」
「そういえばロシア人はね」
 カルロスは今度はナターシャに言いました。
「結構食べないもの多いね」
「ええ、結構ね」
「そこがアメリカ人や中国人と違うんだね」
「そうみたいね、どうしてかはわからないけれど」
「ナターシャもその辺りの事情は知らないんだ」
「調べていないわ、ただ私もお握りは」
 これはといいますと。
「日本で見てはじめて食べたわ」
「ロシアにはお米自体が稀だしね」
「お寿司だって本当に少ないのよ」
 お店自体がというのです。
「そもそもお魚を生で食べるってことも信じられなかったわ」
「お寿司もお刺身も美味しいわよ」
 恵梨香の返事です。
「どれも」
「日本以外の国では違うんだ」 
 カルロスがこう恵梨香に返します。
「ブラジルだってそうだから」
「いつも皆言うわね」
「ブラジルでピラルクとかお刺身で食べたら」
「カルロス危ないって言うわね」
「虫がいるからね」
 そのピラルクの中にとです、カルロスは鮭のお握りを食べつつお話をします。その鮭はちゃんと焼かれています。
「絶対に食べたら駄目だよ」
「ピラルク以外のお魚も?」
「そうだよ、日本以外の国ではね」
 お刺身やお寿司はというのです。
「あまり食べないよ」
「お魚を生では」
「まあね、日本では普通でもね」
「他の国では違ったりするから」
 ジョージは昆布の、神宝はおかかのお握りをそれぞれ食べています。
「このことアメリカでもそうなんだよね」
「中国もなんだよね」
「日本に来て皆がびっくりしたこととか」
「何度もあったよ」
「ううん、お握りは皆好きだと思ってたし」
 恵梨香も言います。
「これは嫌いな人いないって」
「ところがそうじゃないのよね」
 トロットが恵梨香に応えます。
「オズの国なんか特にそうよ」
「そうですね、それぞれ」
「色々な人がいるから」
「普通の人とは外見が違う人も」
「僕達とかね」
「食べることも寝ることもしない人もいるよ」
 かかしと木樵が言ってきました。
「こうしてことは外の世界では普通じゃないね」
「絶対にないことだよね」
「ロボットなら別ですけれど」
 恵梨香はそのかかしと木樵に応えました。
「普通の身体の人ではないですね」
「ロボットとーーいいますーーと」
 チクタクが言うにはです。
「私ですーーね」
「ええ、貴方は本当にね」
「ロボットーーですーーね」
「ゼンマイ仕掛けのね」
 それになるというのです。
「まさにそれよ」
「そうーーですーーね」
「オズの国のね、そう考えたら」
 また言った恵梨香でした。お握りを食べながら。
「オズの国って科学と魔法が一緒にある」
「そうしたーー国ーーですーーね」
「そうよね、素敵な国ね」
「しかも動物も喋るから」
 ドロシーも言います。
「そのことも不思議な国よね」
「オズの国だけのことですね」
「けれどそれがオズの国では普通なのよ」
「他の国ではそうではなくて」
「それぞれの国でそうね」
「そうなんですね、その国の人が普通と思っていることは」
「他の国ではそうじゃないこともあるのよ」
 まさにというのです。
「お握りもそうね」
「そうですね、こんなに皆が食べる美味しい食べものでも」
 日本ではそうであってもです。
「違うってことですね」
「オズの国は昔パンだけだったわよ」
 ドロシーは自分が最初にオズの国に来た時のことからお話します。
「本当にね」
「そうでしたね」
「それが変わったの」
「そうでしたね」
「私もはじめてお握りを見た時何これって思ったわ」
「御飯のボールって」
 ジュリアも笑って言います。
「こうした食べ方があるのかって」
「思ったわよね」
「ええ、私もね」
「お寿司は知っていたけれど」
「また違ってて」
「不思議に思ったわ」 
「けれど食べてみて美味しかったわ」
 そのお握りがというのです。
「今でもオズの国ではパンが主流だけれど」
「御飯を食べる時もあるわよ」
「そういうことですね、いいことがわかりました」
 笑顔で頷いた恵梨香でした、そしてです。
 そうしたお話をしながら御飯を食べてです、それから。
 オズマはあらためてです、皆に言いました。
「では今からね」
「はい、出発ですね」
「それぞれの食材を手に入れる為の冒険に出発ですね」
「そうよ、まずはジュリアとね」
 オズマは皆に言います。
「チクタクと臆病ライオン」
「そして僕ですね」
 ジョージが笑顔で応えます。
「このパーティーですね」
「そうよ、楽しくね」
「そうしてーーきます」
「是非共ね」
 臆病ライオンとチクタクが応えます、オズマはその四人に言います。
「リーダーはジュリアがいいかしら」
「私ですか」
「ええ、何か女の子がリーダーの方がね」
「いいと思ったからですね」
「今回の冒険はどのパーティーもよ」
 ジュリアのパーティーだけでなくというのです。
「女の子がリーダーでどうかしら」
「それでこのパーティーのリーダーはですね」
「貴女なの」
 ジュリアだというのです。
「それでどうかしら」
「姫様がそう仰るのなら」
「それじゃあね」
 こうしてです、ジュリアがパーティーのリーダーになりました。そして。
 オズマは今度はです、ベッツイ達に言いました
「ベッツイと船長さんに」
「私とね」
「僕ですね」
 ビリーナと神宝が続きます。
「この四人でね」
「出発ですね」
「そう、そしてね」
 オズマはこのパーティーにも言いました。
「リーダーはベッツイよ」
「ジュリアと一緒で」
「楽しんできてね」
「ううん、私がリーダーね」
 そのポジションについてです、ベッツイは少し微笑んで述べました。
「それはね」
「意外かしら」
「いつも誰かと一緒に冒険していても」
 リーダーのポジションにいたことがというのです。
「なかったから」
「そうよね、けれどね」
「今回はなのね」
「それでお願いするわね」
「それじゃあ」
 こうしてでした、ベッツイもリーダーになりました。ベッツイは決まったうえでパーティーの皆に言いました。
「じゃあお願いするわね」
「うん、一緒に行こう」
「楽しんで行くわよ」
「宜しくお願いします」
 三人も笑顔で応えます、そしてでした。
 オズマはドロシーに言いました。
「貴女がリーダーでね」
「それでかかしさんとエリカ」 
 ドロシーは二人を見て言います。
「それに神宝だね」
「うん、ドロシーとの冒険もね」
「最近なかったからね」
 そのドロシーとエリカの言葉です。
「どうした旅になるのか」
「楽しみだね」
「ええ、それにね」
 ドロシーは二人に笑顔で応えながらです。 
 カルロスにお顔を向けてです、こう言いました。
「貴方もね」
「はい、僕も一緒にいて」
「楽しい冒険にしましょう」
「皆で、ですね」
「是非共ね」
「私は」
 オズマは自分から言いました。
「自分が言ったことだけれど」
「姫がリーダーでね」
 木樵が陽気に言ってきました。
「そしてだね」
「ええ、貴方とね」
「僕だね」
 ハンクも出てきました。
「はじめてかも知れない顔触れでも」
「面白い冒険になりそうだね」
「そうなりそうだね」
「そしてね」
 オズマは微笑んで、です。ナターシャにお顔を向けました。
「貴女もね」
「宜しくお願いします」
「それではね」
「姫様と一緒に冒険することになるとは」
「思わなかった?」
「はい、いつもお忙しいので」
「確かにお仕事はあるけれどね」
 オズマもというのです。
「私も冒険が好きなの」
「だからですね」
「結構冒険にも出てるし」
「今回もですね」
「行くのよ、ではね」
「はい、ご一緒に」
 ナターシャはそのお人形さんみたいなお顔をにこりとさせて応えました、四つ目のパーティーも出発です。
 最後のパーティーにもです、オズマは声をかけました。
「リーダーはトロットで」
「ええ、そしてよね」
「後のメンバーはね」
「まずは僕だね」
 モジャボロが自分から出ました。
「僕が一緒で」
「ええ、そしてね」
「僕だね」
 今度出て来たのは腹ペコタイガーでした。
「トロット達と一緒に仲良くだね」
「冒険をしてもらうわ」
「そうなるね」
「そして」
 オズマは最後に恵梨香を見て声をかけました。
「貴女よ」
「はい、私もですよね」
「トロットのパーティーでね」
「冒険を楽しんできます」
「では皆ね」 
 それぞれと言うのでした。
「食材を見付けて手に入れてきてね」
「最高のカレーを作る為に」
「これからですね」
「そう、皆でね」
 まさにというのです。
「これから出発して行きましょう」
「それじゃあね」
「これから出発しましょう」 
 皆も応えてでした、そしてです。
 皆はそれぞれの食材を求めに出発しました、皆が別れた場所はエメラルドの都の正門でした。そこでお互いに手を振って笑顔でお別れをしました。
「じゃあ次に会う時は」
「食材を持って宮殿で」
 こう一時のお別れの言葉を掛け合ってでした。
 皆はそれぞれの冒険をはじめました。その道を歩きながらです。
 恵梨香は一緒に歩くトロット達にです、こう言いました。
「さて、これから何があるか」
「楽しみよね」
「はい、とても」
 トロットににこりとして応えます。
「どんな冒険になるのか」
「貴女達がオズの国に来たら絶対に冒険になっているわね」
「そうですね、絶対に出ていますね」
「そうした巡り合わせなのね」
「オズの国はいつも冒険がありますよね」
「ええ、皆何かとね」
 宮殿にいる皆とそのお友達、オズの国の名士の人達はです。
「冒険に出ているわね」
「そうした国ですよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「私達もよく冒険に出ているけれど」
「私達もですね」
「よく出ているわね」
「そうなんですね、やっぱり」
「ええ、そうした巡り合わせね」
 その冒険の多いオズの国でもというのです。
「貴女達は」
「そういうことですね」
「そうだね」
 ここで、です。腹ペコタイガーも言ってきました。
「君達は冒険をする運命にあるんだ」
「このオズの国で」
「だからこの国に来たらね」
「絶対に冒険に出ているのね」
「そして楽しんでいるんだ」
「そういうことなのね」
「ただ、今回はね」
 今回の冒険はとです、腹ペコタイガーはこうも言いました。
「変わった冒険になりそうだね」
「これまでは五人一緒だったけれど」
 恵梨香は自分達んことをお話しました。
「それが別れてだから」
「そのことは珍しいよね」
「そうなのよね、だからね」
「不安だよね」
「いつも五人一緒だったから」
 オズの国で、です。もっとも恵梨香達はオズの国にいなくてもいつも五人一緒に楽しく過ごしているのですが。
「それが、だから」
「そうだね、けれど心配はしないでね」
「皆がいるから」
「うん、僕にトロットにね」
 臆病ライオンは恵梨香にお顔を向けてお話します。
「モジャボロさんもいるから」
「だからだね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「皆で力を合わせていこう」
「僕もね」
 モジャボロも恵梨香に声をかけます。
「及ばずながらね」
「いえ、モジャボロさんもおられるなら」
「頼りになるかな」
「はい」
 笑顔で答えるのでした。
「宜しくお願いします」
「そう言ってもらえると嬉しいね、僕も」
「まあ何はともあれね」 
 トロットが皆に笑顔で応えます。
「この旅も楽しみましょう」
「そうですね、これから」
「じゃあ目的地に行きましょう」
「これからね」
「ただね」 
 ここで、です。ふとです。
 トロットはパーティーの皆にこうしたことを言いました。
「食べもののことだけれど」
「はい、そのことはですね」
「テーブル掛けを持ってるから」
 そのトロットがです。
「これで朝昼晩に御飯を食べて食べましょう」
「そういえば冒険の間は」
「いつもテーブル掛けから出しているわね」
「そうですよね」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「そちらは安心してね。テントもあるから」
「冒険の間の心配はいらないですね」
「食べることと寝ることについては」
「そして飲むことについても」
「全部ですね」
「そうよ、安心してね」
 そうだとお話してです、そうしてでした。
 トロット達は皆で冒険にはじめました、食材にある場所に向かって。



無事にパーティーも五つに分かれたし。
美姫 「それぞれに食材探しに出発ね」
だな。どんな食材を持ってくるのか楽しみだな。
美姫 「次回も待っていますね」
待っています。



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