『新オズの腹ペコタイガー』




                 第二幕  カレーライス

 朝起きるとです、恵梨香達はそれぞれの服に着替えてでした。
 宮殿の食堂に出ました、緑の食堂の中にです。
 銀のお皿とスプーンが置かれていてです、白い御飯が用意されていました。恵梨香はその様子を見て言いました。
「カレーライスですか」
「ええ、そうよ」
 食堂にいたジュリア=ジャムが恵梨香に答えました。
「今朝はね」
「いいですね、朝からカレーを食べてですね」
「栄養補給をしてね」
「そして、ですね」
「楽しい一日を過ごしてね」
「朝にカレーを食べますと」
 どうかとです、恵梨香は笑顔で言いました。
「目が覚めるんです」
「カレーの味でね」
「辛くて甘くて」
「しかもカレーは栄養もあるから」
「朝御飯にはいいんですよね」
「最適なのよ」
 ジュリアも言います。
「本当にね」
「だからですね」
「そう、それでなの」
 まさにと言うのでした。
「今朝はカレーにしたの」
「そうなんですね」
「姫からのリクエストもあったし」
「オズマ姫からの」
「それでカレーにしたの」
「そうですか、そういえばオズマ姫も」
「カレー好きでしょ」
 そのオズマのこともお話するのでした。
「それもかなり」
「色々なカレー召し上がられていますね」
「だからね」
「今朝はカレーで」
「ビーフカレーよ」
 そのカレーだというのです。
「それも学校の給食みたいな」
「日本の」
「そうしたカレーよ」
「いいですね、あのカレーって」
 にこにことして言う恵梨香でした。
「最高に美味しいんですよ」
「カレーの中でもね」
「どのカレーも美味しいですけれど」
 給食のカレーもというのです。
「あのカレーも」
「そうよね、あとね」
「あと?」
「私がこの前食べたね」
 トロットは恵梨香にお話しました。
「御飯とルーが最初から混ぜてあるカレーもよかったわ」
「大阪のカレーですね」
「何か大阪にあるのよね」
「はい、大阪の自由軒の」
「あのカレーが出て来たけれど」
「美味しかったんですね」
「凄くね」
 そうだったというのです。
「よかったわ」
「カレーといっても色々で」
 ナターシャも言います。
「美味しいんですね」
「そうなの」
「カレーは日本に来てはじめて食べたわ」
「ロシアにはないのね」
「ロシアは寒いからお米が採れないから」
「パンよね」
「黒パンが多いわ」
 それがロシアのパンだというのです。
「あとジャガイモね」
「ロシアではそうしたものを食べるのね」
「主食としてね」
「ジョージのお国もよね」
「アメリカもパンが主食よ、けれどね」 
 ナターシャはアメリカのこともお話します。
「あそこのパンは白いしお米も採れるから」
「お米も食べるのよね、確か」
「お野菜としてね」
 主食としてでなく、です。
「そうして食べているわ」
「そうよね」
「そこが違うの」
 日本とは、というのです。
「ブラジルも大体そうよ」
「お米が採れるけれどあくまで主食はパンね」
「アメリカやブラジルはね」
「中国はお米、と言いたいけれど」
「あそこは地域によるわね」
「中国のパンを食べる地域もあったわね」
「包や餅をね」
 その餅はといいますと。
「餅といっても麦を練って焼いたもので」
「そうそう、最近日本でもお店とかスーパーで売ってる」
「ああしたものよ」
「そういうので」
「また違うのよ」
 日本にあるお餅とは、です。餅米から作ったそれとは。
「中国にもそうしたお餅があるけれど」
「また違うお餅ね」
「そうなの」
「そうだったわね」
「中国の北の方ではそうしたものや餃子が主食ね」
「水餃子とか」
「だからまた違うのよ」
 日本とは、です。
「他の国の主食は」
「日本では主食イコールお米だけれど」
 今はそうなっています。
「そこが違うわね」
「他の国ではね」
「麦があったりして」
「そうよ、オズの国でもパンでしょ」
「主食はね」
「麦なのよ」
 このことはオズの国がアメリカが反映される国だからです、アメリカの文明や技術が魔法の形となってオズの国に出て来るのです。
「この国でもね」
「そうなっているわね」
「ええ、だからね」 
 それでとです、また言うナターシャでした。
「ロシアは黒パンかジャガイモでね」
「カレーも食べるのは」
「日本に来てはじめてだったの」
「美味しかった?」
「今では大好物よ」
 微笑んで答えたナターシャでした。
「どのカレーもね」
「それは何よりよ」
「ただ。日本のカレーは」
「日本の?」
「あくまで日本のお料理ね」
「皆そう言うわね」
 恵梨香はナターシャの言葉を受けて言いました。
「日本のカレーは日本のお料理って」
「日本のハンバーガーもラーメンもね」
「うん、どちらもね」
「日本人はそれぞれの国のお料理って思っていても」
「もう違っているのね」
「日本のお料理の中のカレーね」
 インドのお料理ではなく、です。
「そうなっているわ」
「外国から来てる子は皆言うわね」
「インドから来てる子も言ってるわね」
「ええ、インドのカレーとはまた違うって」
「そうなの、私から見てもね」
 実際に食べてみてです。
「そうなっているわ」
「日本人がアレンジして」
「そうなってるわ。けれど美味しいことは確かだから」
「それで大好きなのね」
「幾らでも食べられるわ」
 ナターシャはここでも恵梨香に微笑んでお話しました。
「本当にね」
「それは嬉しいわ」 
 日本人の恵梨香にしてもです」
「それじゃあね」
「ええ、これからもね」
「どんどん食べてね」
「そうさせてもらうわ、あとね」
「あと?」
「いえ、食べてからお話するわ」
 ナターシャは今はここから先は言いませんでした、そしてです。
 皆でテーブルに着いて朝御飯のカレーを食べるのでした、トロットと五人にです、オズマとドロシーそれにモジャボロ、チクタクに臆病ライオンと腹ペコタイガー、ビーナも一緒です。チクタクは何も食べませんが食事の雰囲気を楽しむたくて同席しています。
 皆でいただきますをしてです、ここで。
 ナターシャはまずはカレーにおソースをかけました、そこで恵梨香は言いました。
「そのことがなのね」
「そうなの、恵梨香はカレーに何をかけて食べるのかね」
「私に聞きたかったのね」
「私はこうしておソースをかけるけれど」
 そうして食べるというのです。
「こうしてね」
「それも美味しいわね」
「ええ、それで貴女はお醤油が多いけれど」
「美味しいかっていうのね」
「合うのかしら」
「美味しいわよ」
 恵梨香はにこりと笑ってナターシャに答えました。
「おソースも美味しいけれどね」
「カレーもなのね」
「そう、美味しいの」
 こうナターシャに答えます。
「とてもね」
「あとケチャップもいいよ」 
 見ればジョージは実際に自分のカレーにケチャップをかけています。
「これもね」
「ジョージはそっちね」
「カレーに一番多くかけるのはこれかな」
 ケチャップというのです。
「やっぱりね」
「そうなのね」
「僕はマヨネーズだね」
 神宝はマヨネーズをかけています、そのうえでカレールーと混ぜています。
「味がよくなるんだ」
「マヨネーズね」
「そう、これもね」
「タバスコもいいよ」
 最後にです、カルロスはそれをかけています。
「これもね」
「辛くなって」
「それがいいんだ、刺激的でね」
「私はどれもいいけれど」
 それでもと言う恵梨香でした。
「一番はやっぱりね」
「恵梨香はお醤油ね」
「何といってもね」 
 カレーにかけるものはというのです。
「それがいいわ」
「そうなのね」
「そう、好きよ」
 実際にというのです。
「カレーにはお醤油派よ」
「カレーにかけるものは何か」
 ここで言ったのはrドロシーでした。
「それでも分かれるわね」
「はい、皆」
「私はその都度違うわね」
 ドロシーはというのです。
「おソースもケチャップも好きで」
「お醤油もですか」
「それも好きだしマヨネーズもね、タバスコもね」
 それぞれとです、ドロシーは恵梨香にお話します。
「好きよ」
「その都度ですね」
「気分で変えてるの」
「私は何もかけない時が多いわ」
 オズマはそちらでした。
「卵を入れて食べるわね」
「オズマ姫は卵ですか」
「それで混ぜて食べるの」
「大阪の食べ方ですね」
「日本のね」
「自由軒の」 
 ここでまたこのお店の名前が出て来ました。
「あのお店からはじまっているんですよね」
「あの食べ方が好きなの」
 オズマはです。
「だから今もね」
「カレーに卵入れてますね」
「これを食べるわ」
「卵はいい食べものよ」
 雌鶏のビーナは自分の席のところに出て稗をついばみながら言うのでした。
「美味しくて栄養満点でね」
「その通りね」
「だからどんどん食べるといいのよ」
「雛にならない卵を」
「そう、どんどん食べてね」
 そしてというのです。
「満足してね」
「じゃあ私も」
「遠慮は無用よ、卵を食べてね」
「そうするわね」
「カレーを食べる時はね」
 モジャボロが言うことはといいますと。
「お髭がルーで汚れない様にしないとね」
「モジャボロさんの場合はそうですね」
「シチューとかでもそうなんだ」
「お髭の先がルーに入らない様にして」
「お口の周りのお髭に付いたりね」
「それはどうしても付きますよね」
 お髭でカレーやシチューを食べるとです。
「仕方ないことですよね」
「だから食べた後でよく拭いているんだ」
「大変ですね」
「いやいや、食べる喜びに比べたら」
 美味しいものをです。
「拭く位はどうでもないよ」
「そういうものですか」
「そもそも僕はね」
 それこそというのです。
「ずっと昔からお髭を生やしているからね」
「だからですか」
「食事の後でお髭を拭くことは普通なんだ」
「当然のことですか」
「だからいいんだ」
「モジャボロさんはそうですね」
「うん、そして僕がカレーにかけるものは」
 モジャボロはそのお話もするのでした。
「蜂蜜を少しね」
「かけてですね」
「食べているよ」
「モジャボロさんは蜂蜜ですか」
「それを少しかけて」
「カレーを食べるんですか」
「これもまたいいんだ」
 カレーに蜂蜜もというのです。
「今日もそうしているよ」
「本当にカレーといってもそれぞれですね」
「それがーー面白いーーのですよ」
 チクタクは自分の席から言いました。
「百人にーー百人のーー色がーーあって」
「そういうものなのね」
「はいーー恵梨香さんにはーー恵梨香さんのーー食べ方」
 そしてというのです。
「皆さんにはーー皆さんのーー食べ方」
「そして時にはおソースとかでも食べる」
「それもいいわね」
 トロットが応えました。トロットはおソースに卵の組み合わせです。。
「時々違う食べ方をすることもね」
「いいことですね」
「変化が出てね」
 食べ方にです。
「いいのよ」
「ですね、じゃあ」
「今度食べる時は」
「お醤油とはまた別の食べ方をします」 
 こう笑顔で言ってでした、そのうえで。
 恵梨香はこの朝はお醤油をかけたカレーを食べました。その後で。
 臆病ライオンは満足してです、こう言いました。お口の周りを大きな口でぺろりとしたうえで。
「これで一日のはじまりのエネルギーがね」
「手に入ったのね」
「うん、今日も元気に遊べるよ」
 自分の傍に来た恵梨香にお話します。
「何をして遊ぼうかな」
「お散歩とか?」
「いいね、宮殿の中や都をね」
「あと泳いだり」
 プールで、です。
「そうしたり」
「そっちもいいね」
「球技をしたり」
「ボール蹴りしようかな」
 臆病ライオンはこうも言いました。
「とにかく何かをして遊ぼう」
「私達と?」
「勿論だよ、ドロシーや恵梨香達が一緒なら」
「その私達となのね」
「一緒に遊ばせてもらうよ」
 臆病ライオンはにこにことして恵梨香に答えました。
「是非ね」
「それじゃあね」
「そうしようね、少し休んでからね」
「僕十杯食べたよ」
 臆病ライオンと一緒にいる腹ペコタイガーは食べたこと自体に満足しています。
「もう満腹だよ」
「それは何よりね」
「うん、けれどね」
「貴方の場合は食べても」
「すぐにお腹が空くんだよね」
 このことに困って言うのです。
「僕はね」
「カレーを食べてもね」
「どうしたものかな」
「それはもう仕方がないわね」
 すぐにお腹が減ることはと言う恵梨香でした。
「やっぱりね」
「そうだね、僕の体質だからね」
「食べてもすぐにお腹が減ることは」
「どれだけ食べても」
「だからまた食べるのね」
「十時にはね」
 午前のおやつの時間にはです。
「また食べるよ」
「そうするのね」
「ティーセットがいいかな」
 今朝の十時はです。
「それがいいかな」
「ティーセットね」
「甘い紅茶を飲んで」
 舌をべろりと出して回して楽しそうに言うのでした。
「色々なお菓子を食べて」
「そうしてなのね」
「お腹一杯になりたいね」
「それじゃあね」
「うん、だからね」
 また言う腹ペコタイガーでした。
「十時を楽しみに待つことにするよ」
「また食べる時を」
「美味しいもので満腹になる時をね」
「じゃあその時まで我慢するのね」
「食べることはね、じゃあそれまで遊ぼうかな」
 皆で、です。
「何かをして」
「そうね、何をして遊ぼうかしら」
「それが問題だね」
「遊びは一杯あるね」
 臆病ライオンも言います。
「その中から何をして遊ぼうかな」
「鬼ごっこはどうかしら」
 恵梨香はにこりと笑って二匹に提案しました。
「皆でね」
「それだと僕達の方が脚が速いよ」
「四本足だから」
「そうだよ」 
 腹ペコタイガーはこう恵梨香にお話しました。
「それならね」
「そうなるのね」
「だからね」
「鬼ごっこは」
「また別のものにしよう」
 別の遊びにしようというのです。
「そうしよう」
「じゃあかくれんぼとか」
「宮殿の中で」
「それはどうかしら」
「それならいいかも」
「じゃあそれをしましょう」
 鬼ごっこをというのです。
「是非ね」
「それじゃあね」 
 こうしてでした、午前は皆でかくれんぼをして遊ぼうとです、恵梨香は臆病ライオンや腹ペコタイガーと一緒に皆に提案しました。
 その提案を聞いてです、ドロシーと一緒にいるトトが言いました。
「それだと小さい僕やビーナは有利だね」
「そうなるわね」
「うん、今朝はずっと寝過ごして今御飯を食べたけれど」
 だから朝御飯の時いなかったのです。
「寝た分体力があるから」
「そのこともあって」
「しかも僕はお鼻がいいから」
 犬だからです、トトもそのお鼻は凄くいいのです。
「かくれんぼは見付けることも得意だよ」
「トトに見付けられないものはないわよ」
 トトの一番のお友達のドロシーも言います。
「それこそね」
「そうなんですね」
「それでもいいかしら」 
 かくれんぼをして遊ぶことはというのです。
「トトが一番強いけれど」
「そうですね、ですが」
「それでもなのね」
「皆でしませんか?」
 そのかくれんぼをというのです。
「これから」
「恵梨香がそこまで言うのならね」  
 それならとです、ドロシーも頷いてでした。
 皆でかくれんぼをすることにしました、ですが。
 トロットは皆を見回してです、こう言いました。
「オズマは今は」
「ええ、お仕事の時間よ」
 オズの国の国家元首として、です。ドロシーが「トロットに答えます。
「だからね」
「今はいないのね」
「お仕事が終わってから来るわ」
「そうなのね」
「その時まで待ってね」
「そうさせてもらうわね」
 トロットもこう答えました、そしてです。
 皆はかくれんどをしました、するとやっぱりです。
 トトは最後まで見付かりませんし皆をすぐに見付けてしまいます、皆をすぐに見付けたトトにジョージが言いました。
「やっぱり凄いね」
「僕が人を見付けることは」
「うん、別格だよ」
 まさにというのです。
「誰も適わないよ」
「鼻が違うからね」
「うん、犬のお鼻はね」
 神宝も言います。
「他のどんな生きものよりも凄いからね」
「見えないものでもね」
「それでもだね」
「お鼻でわかるんだ」
 その匂いで、というのです。
「全部ね」
「どんな匂いもわかるっていうけれど」 
 カルロスはそのトトに尋ねました。
「それは本当のことかな」
「どんなとはいかないけれど」
「それでもなんだ」
「そうだよ、かなりね」
 他の生きものと比べてというのです。
「わかるから」
「そういうことね」
 ナターシャも尋ねます。
「そのお鼻でも」
「全部わかるかっていると」
 それはといいますと。
「そうでもないよ」
「見えないものがわかっても」
「全部はわからないよ」
 ナターシャにもこう言うのでした。
「けれどね」
「かなりわかるのね」
「僕達犬はあまり目はよくないけれど」
「お鼻が凄くいいから」
「何かとわかるんだ」
「じゃあお鼻が目以上になのね」 
 恵梨香はここでトトに言いました。
「犬にとっては大事なのね」
「その通りだよ」
「じゃあお鼻が詰まったりしたら」
「それだけで困ったことになるんだ」
「やっぱりそうなのね」
「うん、それこそ物凄く細かい匂いでも嗅ぎ分けられるけれど」
 人間ではとてもわからない様な匂いでもです。
「逆に言うとお鼻が悪くなったら」
「困るのね」
「他の生きもの以上にね」
「だから風邪には気をつけてね」 
 ドロシーもトトに言います。
「貴方はね」
「わかってるよ、ただ風邪はね」
「ええ、トトだけじゃなくて」
「皆も気をつけないとね」
「そう、そのことはね」 
 ドロシーもトトのその言葉に頷きます。
「注意しないと」
「そういうことだね」
「ええ、じゃあかくれんぼの次は何しようか」
「お散歩とか?」
 恵梨香はこの遊びを提案しました。
「それにしますか?」
「そうね、それもいいわね」
「はい、ゆっくりと」
「午前のおやつの時間までね」
「他の遊びもありまうし」
「何でもあるわね」 
 遊びはです、オズの国でもです。
「身体を動かす遊びもあれば」
「お部屋の中での遊びもありますね」
「最近インターネットのゲームもあるわね」
 お部屋の中でするゲームの中で、です。
「あれも面白いし」
「オズの国のインターネットゲーム面白いですね」
「そうでしょ、そうしたゲームもね」
「オズの国でもあって」
「皆楽しんでいるのよ」
「ドロシーさんもですね」
「私がオズの国に最初来た時はね」 
 とても、という口調でした。ドロシーはオズの国にはじめて来たその時のことを思い出しながら恵梨香にお話します。
「とててもね」
「インターネットはですね」
「なくてね」
 そして、というのです。
「テレビもラジオもね」
「なかったですね」
「その時と比べたら」
「オズの国もかなり変わりましたね」
「のどかで奇麗な自然はそのままで」
 村や不思議な景色や生きもの達はです。
「技術は進化していってるわ」
「この国ではそうですね」
「そうよ、それでインターネットも入って来て」
「皆楽しんでるんですね」
「この前はウィンキーのファイター大尉と楽しんだわ」
 そのインターネットのゲームの中で、です。
「暫く直接会ってなかったけれど」
「インターネットの中で」
「会えて嬉しかったわ」
 こう笑顔で言うのでした。
「またエメラルドの国に来るって言ってたわ」
「それは何よりですね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「私も何かあれば」
 ドロシーもとです、恵梨香にお話するのでした。
「ウィンキーの国に行くわ」
「ドロシーさんの大好きな冒険をして」
「ええ、そうするわ」
 こうにこりと笑って言うのでした。
「それで大尉と会うわ」
「ご自身から行かれて」
「そうするわ」
「その時は僕達がいれば」
「宜しくお願いしますね」
「お供させて下さいね」
 ジョージと神宝、カルロスがドロシーにお願いします。
「オズの国での冒険は楽しいですし」
「是非です」
「ご一緒させて下さい」
「ええ、その時に貴方達がいればね」
 ドロシーも笑顔で三人の男の子に応えます。
「一緒に行きましょう」
「はい、ウィンキーまで」
「ファイター大尉、それにかかしさん木樵さんともです」
「ジャックさんともお会いしたいです」
「貴方達ウィンキーの皆とも仲がいいからね」 
 このことは当然恵梨香やナターシャもです、かかしや木樵とはオズの国に最初に来た時からとても仲がいいです。
「だからまたお会いしたいわね」
「はい、是非」
「あの人達とまたお会いして」
「そして一緒に遊びたいです」
「そうよね、私もまたね」 
 他ならぬドロシー自身もでした。
「かかしさん、木樵さん達とお会いしたいわ」
「僕達はドロシーの一番古い友達だからね」
 臆病ライオンも言ってきました。
「昔からのね」
「私が最初にこの国に来てからのね」
「その時からの付き合いでね」
「今もだから」
「うん、それでね」 
 まさにと言う臆病ライオンです。
「僕もだよ」
「かかしさん、木樵さんと」
「会いたいよ」
 こう言うのでした。
「機会があればね」
「あの人達はよく都にも来てくれるし」
「その時にも会えるわね」
「そうだよね」
「どちらかがお邪魔したら」
 その時にというのです。
「会えるわね」
「そうなるね」
「遊びに行こうかしら」
 こうもです、ドロシーは言いました。
「ウィンキーの国に」
「今からかな」
 ドロシーの今の言葉には腹ペコタイガーが尋ねました。
「そうするのかな」
「ううん、どうしようかしら」
「ただふらっと行くのも悪くないけれど」
「その前にオズマにお話してからね」
「行くよね」
「そうするわ」
 ウィンキーの国に行く時はというのです。
「その時になればそうするわ」
「そういうことだね」
「その気になれば。けれど今は」
「何をして遊びますか?」
 恵梨香があらためてドロシーに尋ねました。
「それで」
「そうね、お散歩がいいかしら」
「そちらですね」
「ええ、十時まで都の外をお散歩しましょう」
 こう言うのでした。
「これからね」
「そして十時になれば」
 ここでこう言ったのはナターシャでした。
「ティータイムですね」
「そうなるわ、それでね」
 ドロシーは皆に尋ねました。
「今日の十時のおやつは何がいいかしら」
「ケーキはどうかな」
 腹ペコタイガーがドロシーに提案しました。
「シフォンケーキね」
「そのケーキがいいのね」
「僕はね」
「それじゃあそれにしようかしら」
 ドロシーは腹ペコタイガーの言葉を受けて考えるお顔で言いました。
「それで飲みものは」
「紅茶はどうですか?」 
 飲みものは恵梨香が提案しました。
「アップルティーを」
「シフォンケーキにアップルティーね」
「この組み合わせで」
「いいわね、アップルティーといえばアップルパイだけれど」
 林檎に林檎です、定番の一つです。
「シフォンケーキともいいわね」
「それじゃあ」
「ええ、飲みものはアップルティーにしましょう」
 ドロシーはあらためて言いました。
「十時になれば皆で食べましょう」
「今から楽しみだよ」
 実際にです、腹ペコタイガーはにこにことしています。
「シフォンケーキたっぷり食べようね」
「ええ、皆でね」
「十時のおやつを食べて」
 今から舌なめずりしながらです、腹ペコタイガーは言います。
「十二時になればね」
「お昼ね」
「その時も楽しみだよ」
「とにかく腹ペコタイガーさんは食べることが好きなのね」
「お腹一杯ね」 
 それこそというのです。
「その満腹になった時の感覚が大好きだよ」
「そうよね、貴方は」
「すぐにお腹ペコペコになるけれど」
 それでもとです、恵梨香にお話するのでした。
「満腹になる時が楽しみだよ」
「じゃあその時になれば」
「楽しみにしてね」
 そうしたお話をしてでした、皆で。
 今度はお散布を楽しみました、そして。
 十時には広場で休憩を取ってそこに敷きものを敷いてでした。テーブル掛けからシフォンケーキとアップルティーを出してです。
 皆で食べて飲みました、腹ペコタイガーはシフォンケーキを塊で食べながらにこにことしています。そのうえで。
 皆にです、こう言いました。
「僕凄く幸せだよ」
「美味しいものを食べられて」
「それでね」
 まさにというのです。
「満腹になっている時とこうして食べる時がね」
「次第にお腹に入っていく時も」
「楽しくて仕方ないよ」
 恵梨香にもお話します。
「本当にね」
「そうなのね」
「うん、このシフォンケーキもいいね」
「タイガーさん本当に何でも食べるわね」
「お野菜や果物の系も食べるし」
「そうよね」
「何でも残さず食べるよ」
 これが腹ペコタイガーです。
「食べられるものは何でも大好きだよ」
「そうよね、カレーでもね」
「今朝のカレーは最高だったよ」
 目を糸みたいに細めさせてそのカレーの味を思い出してです、腹ペコタイガーはまた舌なめずりをしました。
「また食べたいね」
「ええ、本当にね」
「そして今はこのケーキを食べて」
 勿論シフォンケーキの味も楽しんでいます、そしてアップルティーも。
「お腹一杯になるよ」
「そうしましょうね」
「おやつを食べたら」
 それからのことをです、ドロシーは皆に言いました。
「またお散歩しましょう」
「お昼まで、ですね」
「もうすぐオズマもお仕事が終わるから」
 オズの国の国家元首、王女としてのそれがです。
「ぞの時はね」
「オズマ姫も一緒になって」
「それで楽しめるわ」
「そうですね、その時になれば」
「また楽しめますね」
「それで午後は」
 ドロシーは午後のこともお話しました。
「実は予定があるの」
「予定っていいますと」
「おじさんとおばさんのお手伝いよ」
 ヘンリーおじさんとエムおばさんです、ドロシーの親代わりであるこの人達は今は都の外で農園を営んでいるのです。
「あそこに行ってね」
「お手伝いですね」
「林檎や梨の実が実ったから」
「それを取るんですね」
「それのお仕事があるから」
 だからというのです。
「午後はそちらに行きましょう」
「わかりました、じゃあ」
「楽しくお仕事をする」
 こうも言ったドロシーでした。
「それがオズの国よ」
「遊びもお仕事もですね」
「どちらもですね」
「同じだけ楽しむのよ」
 そうするというのです、オズの国では。
「だからね」
「午後もですね」
「楽しみましょう」
はい、それじゃあ」
「林檎や梨の実を取って集めて」
 トロットもにこにことしてお話をします。
「それ自体を食べるのもいいし」
「お菓子にしても」
「アップルパイもいいし」
 トロットは今からにこにこと手を合わせて恵梨香にお話します、
「梨のパイもね」
「あれも美味しいですよね」
「今から楽しみだわ、果物のパイはね」
 そうした林檎や梨だけでなくです。
「私何でも好きなのよ」
「昨日の桃のパイもよかったですね」
「ええ、あれもね」
「果物のパイっていいですよね」
「甘さが余計に引き立ってね」
「パイ生地の味と食感も合わさって」
「凄く美味しいから」 
 だからとです、また言ったトロットでした、
「大好きなの」
「そうですね」
「そう、だからね」
「午後は、ですね」
「おじさん達のところに行きましょう」
 こう言うのでした、そのうえでおやつを楽しんで。
 皆はお昼御飯とおやつも楽しみました、それから午後にはおじさん達のお仕事を手伝って楽しみました。オズの国は今日も平和です。
 その日の夜です、恵梨香はお風呂の後で腹ペコタイガーに尋ねました。どちらもお風呂上がりでとてもいい匂いがします。
「腹ペコタイガーさんっていつもお腹が空いてるけれど」
「今は大丈夫だけれどね」
 晩御飯を一杯食べたからです。
「起きてる時は大抵そうだね」
「そうよね」
「それはね」
「それは?」
「どうも僕の体質なんだ」
「食べてもすぐになのね」
「お腹に入れたものが消化されてしまうんだ」
 その食べたものがです。
「全部ね」
「あっという間に」
「そうなんだ、何でも僕は食べたものがすぐにエネルギーになる体質で」
「それで食べても」
「うん、お腹一杯になってもね」
「すぐに消化されて」
「エネルギーになるんだ」
 それが腹ペコタイガーの体質だというのです。
「だからなんだ」
「いつもお腹ペコペコなのね」
「そうなんだよ」
「それで動く時は活発に動けて」
「エネルギーがあるからね」
「すぐにお腹ペコペコになるのね」
「そうした体質なんだよ」
 こうお話するのでした。
「昔からね」
「だから臆病ライオンさんよりもお腹が空いてるのね」
「ライオン君もかなり食べるけれどね」
「タイガーさんはそのライオンさんの倍位食べてるわね」
「虎の方が大きいしね」
 身体がです、実はライオンより虎の方が大きいのです。臆病ライオンはかなり大きなライオンですが腹ペコタイガーよりも少し小さいのです。
「だからね」
「そのこともあって」
「僕の方が食べるんだ」
「そういうことね」
「いつも何かを食べたくて仕方ないよ」
「けれど何でも食べないことはね」
「僕の良心がそうさせているんだ」
 だから皆を襲ったりはしないのです、オズの国の他の生きもの達と同じくです。
「だからだよ」
「私達ともお友達でいられるのね」
「若し僕に良心がなかったら」
 その場合についてです、腹ペコタイガーは恵梨香に悲しいお顔でお話しました。
「とんでもない生きものになっていたね」
「そうね、誰でも襲って食べる」
「そうした生きものになっていたよ」
「そうなっていたわね」
「そのことをモジャボロさんともお話したことがあるよ」
 こうも言った腹ペコタイガーでした。
「そうなったら終わりだってね」
「そうなのね、そういえばあの人今日は」
「今帰って来たよ」
「ずっと弟さんとお仕事してたわね」
「そうだったね」
「あの人もあの人でやることがあるから」
「おられない時もあるわね」
 モジャボロもいつも宮殿にいるとは限りません、オズの国きっての人気者であるこの人も結構多忙なのです。
「あの人も」
「そうよね」
「一緒になれた時に一緒に楽しむ」
「それがオズの国ね」
 こうしたこともお話してでした、恵梨香は腹ペコタイガーとお別れをして寝室に入りました。そこでナターシャ達と一緒に寝るのでした。



今回は旅に出る事もなく、食べたり遊んだりだな。
美姫 「みたいね。それでも楽しそうね」
だな。本当に楽しそうだな。
美姫 「次はどんな話になるのかしら」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」
ではでは。



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