『オズのカエルマン』




                       第十二幕  聖なる獣達と一緒に

 一行はすぐにエメラルドの都に戻りました、帰り道は何もトラブルはなくすぐに戻ることが出来ました。そしてです。 
 皆でオズマ達に冒険のことを全てお話しました、そのお話を聞いてです。
 ムシノスケ教授はとても興味深そうに目を瞬かせてこう言いました。
「いや、カエルマン君達の今回の冒険のことは」
「君にしてもだね」
「とても興味深いね」
 そうしたお話だというのです。
「聞いていてとても楽しかったしね」
「楽しくしかもだね」
「尚且つね」
 それにというのです。
「オズの国のあらたなこともわかったよ」
「オズの国にも五行があるんですね」
「うん、陰陽とね」
 教授は神宝にも応えました。
「あるんだね」
「そうですよね」
「そのこともわかったよ、そしてね」
「そして?」
「中国の五行によると四霊獣がそれぞれの方角にいて」
 そしてというのです。
「中央にはね」
「麒麟や中蛇、黄龍がいますけれど」
「しかしオズの国ではね」
「そうじゃないんですね」
「そう、姫がいるんだよ」
 教授はここでオズマを見ました。
「オズマ姫がね」
「私がなのね」
「中国では中央、そこには確かに黄龍なり麒麟なり中蛇がいるけれど」
「それと共に皇帝がいるのね」
「その皇帝にあたるのがね」
「私なのね」
「オズの国ではね」
 そうなるというのです。
「オズマ姫がオズの国の中心なのだからね」
「じゃあ四霊獣はオズの国を守っていて」
 ドロシーは首を少し右に傾げさせつつ言いました。
「オズマも守っているのね」
「そうなるよ」
「そうなのね、そう思うととても有り難い神様達ね」
「本当にね」
「まあ色は違うけれどね」
 木樵が陽気に言いました。
「五行の色とオズの国の色は」
「それはだね」
 かかしがその木樵に応えます。
「確かに違うけれど」
「それはそれでね」
「オズの国にも五行思想があるということで」
「わかっていればいいね」
「そうだね」
 そうしたことをお話するのでした、そして。
 その中で、でした。ジョージが皆にこのことをお話しました。
「あとその四霊獣さん達が皆さんで都に来られます」
「そうだったわね」
 オズマはジョージにも応えました。
「皆で」
「そうなんですけれど」
「それじゃあ今から皆を迎える準備をしましょう」
 四霊獣の皆をというのです。
「そしてパーティーをしましょう」
「ただ、あの人達はね」
 ここで言ったのはカエルマンでした。
「物凄く大きいから」
「百メートル以上あるのよね」
「そうなんだ、だからその大きさはね」
「頭の中に入れておいて」
「パーティーの用意をしよう」
「四霊獣の皆さんは何を食べるのかな」
 カルロスは彼等のそのことについて考えました。
「一体」
「神様だから何も食べなくていいんだよ」
 神宝がカルロスに答えました。
「霞や霊気だけで充分なんだ」
「じゃあ僕達と同じだね」
「そうだね」 
 かかしと木樵はそれならと応えるのでした。
「パーティーにいること自体を楽しめる」
「そうした人達なんだね」
「ならあの人達の食べものや飲みもの以外のものを用意してね」
 オズマはあらためて言いました。
「それからね」
「そう、ぞれじゃあ」
「広い場所でパーティーの用意をしましょう」
「それならね」
 ここでドロシーが提案しました。
「いい場所があるわ」
「都の外の草原ね」
「あそこでしましょう」
 そのパーティーをというのです。
「そうしましょう」
「それがいいわね」
 オズマもドロシーのその言葉に笑顔で頷きました。
「今回のパーティーはね」
「では早速用意にかかろう」
 魔法使いもにこにことしてです、オズの国の二人の美少女に応えました。
「あの人達を迎えるね」
「いや、何かオズの国はどんどん素晴らしい人達が入ってくれるね」
 モジャボロも目を細めさせています。
「四霊獣の人達も」
「そうですね、それじゃあ私は」
 ケーキが言うことはといいますと。
「今からクッキーを焼きますね」
「それはいい、ケーキのクッキーは最高だよ」
 カエルマンはケーキがクッキーを焼くと聞いて大喜びでした。
「やっぱり毎日食べていたいね」
「そういえばカエルマンさんって」
「そうよね」
 ナターシャと恵梨香はここで旅の時のことを思い出しました。
「旅の間もずっとね」
「ケーキさんのクッキー食べていたわよね」
「そして毎日ね」
「美味しい美味しいって言ってたわね」
「実際に美味しいからだよ」
 これがカエルマンの返事でした。
「毎日食べているんだ」
「だからなんですか」
「それで」
「そうだよ、ではね」
 それではとです、カエルマンはオズマにも言いました。
「皆でパーティーの準備をしよう」
「これからね」
「じゃあ僕達も」
「一緒に用意させて下さい」
「皆で楽しく」
「パーティーの用意をしましょう」
「これから」
 五人も子供達も応えてでした、そうして。
 仲良く楽しくパーティーの用意をしました、テーブルを出してその上に白い奇麗な絹をかけてでした。それから。
 ご馳走にジュースも用意しました、勿論ケーキが焼いたクッキーもです。
 やがてグリンダも来ました、グリンダは魔法で用意を手伝いました。そうして他のオズの国の名士達も集まってきてパーティーの用意が出来たところで。
 まずは東の方から青龍が飛んで来ました、そこから。
 今度は北から玄武が飛んで来ました、その大きさを見てでした。
 ドロシーは目を見張ってです、神宝に尋ねました。
「この人達がなのね」
「はい、青龍さんと玄武さんです」
「そうなのね」
「大きいですよね」
「とてもね」
 驚いているお顔のままでした。
「大きいわ」
「この人達とです」
「白虎さんと朱雀さんもよね」
「来られますので」
「その人達も大きいわよね」
「うん、大きいよ」
 その通りだとです、青龍がドロシーに答えました。
「二人ももうすぐ来るからね」
「わかったわ、じゃあね」
「その時にあらためて挨拶するから」
 四匹全員が揃った時にというのです。
「宜しくね」
「わかったわ」 
 ドロシーは青龍の言葉に頷きました、そして。
 今度は西からです、玄武と同じ位大きな白い虎がお空を駆けて来ました。
 南からは赤いとてもみらびやかな鳥が来ましたがその鳥を見てです、ドロシーはまた神宝に尋ねました。
「フェニックス?」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「中国ではフェニックスを鳳凰って呼んでいまして」
「その鳳凰の中でもなのね」
「南を司るものが朱雀と思って下さい」
 こうドロシーに説明しました。
「要するに」
「フェニックスということは」
「はい、そうです」
「成程ね」
 ドロシーも納得しました、勿論その朱雀の大きさも玄武と同じ位です。その巨大な獣達が勢揃いしてでした。  
 あらためてです、皆に挨拶をしたのです。
「私が青龍だよ」
「僕が玄武の亀だよ」
「私が玄武の蛇なの」
「僕は白虎というんだ」
「私が朱雀よ」
「わかったわ、私がオズマよ」
 オズマが皆を代表して四霊獣の皆に応えました。
「オズの国の国家元首よ」
「そうだね」
 青龍がオズマに穏やかな声で言葉を返しました。
「これからはね」
「貴方達もオズの国を守ってくれるのね」
「それに姫もね」 
 オズマもというのです。
「そうさせてもらうわね」
「私のことはね」
「いいんだ」
「ええ、私には魔法があるから」
 だからだというのです。
「オズの国をね」
「姫を守る分を」
「そう、守ってね」
「じゃあそうさせてもらうね」
「お願いするわ」
 笑顔で応えたオズマでした、そしてです。
 そうしてでした、オズマは今度はこう言いました。
「じゃあ今から」
「今からですね」
「パーティーですね」
「皆で」
「ええ、はじめましょう」
 こう笑顔で言ってでした、そのうえで。
 皆で楽しくパーティーをはじめました、その中で。
 教授は四霊獣達にです、あらためて尋ねました。
「一ついいかな」
「何かな」
「貴方達は相当な力があるね」
「神様の力のことかな」
「うん、その力でその姿以外にもなれるのかな」
「なれると言えば?」
「見てみたいけれどいいかな」
 こう尋ねたのでした、応対しているのは青龍です。
「是非ね」
「それならね」
 青龍が応えてです、そうして。
 四霊獣の面々は一旦煙と一緒にどろんと消えてです、その煙の中からそれぞれの姿を見せました。その姿はといいますと。
 五人共それぞれの色の丈の長い中国の服を着たお兄さんとお姉さんになってました、その五人を見てです。
 オズマは目を瞬かせてです、五人に言いました。
「皆とてもね」
「どうかしたのかな」 
 白い服の白虎がオズマに言葉を返しました。
「僕達の顔に何かあるのかな」
「いえ、奇麗だって思って」
「顔が?」
「お顔もスタイルもね」
 そのどちらもというのです。
「奇麗だな」
「蛇さんの髪の毛って」
 恵梨香は玄武の蛇の髪の毛、黒くて腰まである絹の様なロングヘアを見てうっとりとしてこう言ったのでした。
「凄く奇麗で」
「あら、有り難う」
「私もこんな髪の毛になりたいですね」
「朱雀さんも」
 ナターシャは朱雀を見ています。
「凄くお綺麗で」
「そうかしら」
 朱雀は気さくな感じで自分をうっとりとして見ているナターシャに応えました。
「私は別に」
「まるで天女みたいです」
「あら、そう言ってくれるの」
「髪飾りなんかも」
 ナターシャは朱雀の頭にある中国の髪飾り、簪や冠も見ています。そうしたものは全て珊瑚やルビーで作られています。
「素敵です」
「そんなに奇麗かしら」
「はい」
 ナターシャも言うのでした。
「お奇麗です」
「服もよね」
「そうなのよね」
 ナターシャは恵梨香に言葉にも頷きました。
「絹でね」
「色も鮮やかで」
 蛇と朱雀の服も中国のものですが上着もスカートもとても丈が長いです。それはもうとても身分の高い人のものです。
 二人の女の子はその服も見てお話するのでした。
「こうした服をね」
「私達も着たくなるていうか」
「素敵よね」
「中国のドレスね」
「うん、お二人の服がね」
 まさにとです、神宝が二人にお話しました。
「中国の貴婦人の服なんだ」
「チャイナドレスじゃないんだ」
 ジョージはこの服を出しました。
「ああした服じゃないんだ」
「そうなんだ、本来はね」
「チャナドレスじゃなくて」
「こうした服なんだ」
 それが中国のドレスだというのです。
「そうなんだよ」
「そういえばチャイナタウンにも売ってるね」
 ジョージはアメリカのチャイナタウンのことを思い出しました。
「このドレスは」
「そうだよね」
「青龍さん達の服もね」 
 ジョージは青龍と玄武の亀、そして白虎の服も見ました。三人の服もとても立派で奇麗な絹で作られています。
「そうなんだね」
「うん、この服もね」
「中国の礼装なんだ」
「そうなんだよ」
「そうなんだね、中国の服も」
「どうかな」
「格好いいし」
 それに、と言うジョージでした。
「奇麗だね」
「そうだよね」
「僕もね」
 カルロスの目はとても羨ましそうでした。
「この服着たいね」
「あっ、それなら」
 ドロシーがカルロスにすぐに応えました。
「すぐに作るわよ」
「そうしてくれるんですか」
「ええ、絹でね」
 生地はこちらでした。
「作るわよ」
「そうしてくれるんですね」
「貴方達がどうしても着たいのならね」
「お願いします」
 五人共ドロシーにすぐに答えました。
「オズの国にいる間だけでも」
「この服も欲しいです」
「とても格好いいですし奇麗で」
「みらびやかで」
「わかったわ、じゃあ仕立て職人の人にお願いするわね」
 ドロシーはにこりとして五人に答えました。
「パーティーの後で」
「じゃあ次にオズの国に来る時に」
「出来ていて、ですね」
「僕達着られますね」
「そうなるわ、待っていてね」
 ドロシーは五人ににこにことして答えました、ですが。
 青龍がここで皆に言いました。
「いや、こうした服なら」
「服なら?」
「何かありますか?」
「私達は何着でも持っているよ」
 こう子供達に言うのでした。
「それこそ自分達の宮殿の中にね」
「クローゼットの中にですか」
「服が一杯あるんですか」
「そうした服が」
「そうだよ、私達はそれぞれとても大きな宮殿を持っているけれど」
 それでというのです。
「服も一杯あってこうした礼装もね」
「沢山持っているんですね」
「そうだよ」
 青龍は神宝にも微笑んで答えました。
「幾らでも作られるしね」
「服を作ることもですぁ」
「私達もそれぞれ仕立て職人を抱えているんだ」
「そうなんですね」
「そうだよ、さっきも言ったけれど立派な宮殿を持っていてね」
 青龍はさらにお話するのでした。
「そしてね」
「その中に沢山の使用人の方がおられて」
「そして仕立て職人も抱えているんだ」
「それで服も」
「絹なんて山積みだから」
 服の生地となるそれもです。
「もう飽きる位ね」
「服を作られるから」
「よかったら私達からプレゼントするよ」
「今回は君達に助けてもらったし」
 玄武も言います。
「よかったらプレゼントするよ、いや」
「いや?」
「そうさせてくれるかな」
「お礼で、ですか」
「そう、君達にプレゼントさせてくれるかな」
「それはいいわね」
 蛇は玄武のその言葉に頷いて同意しました。
「助けてくれたお礼は絶対にしないといけないし」
「それを考えていたけれどね」
「丁渡いいわね」
「そうだよね、ではね」
「私達それぞれがね」
「この娘達に服をあげよう」
 その中国の礼装をというのです。
「それでお礼にしよう」
「そうあるべきだね」 
 白虎も玄武の言葉に同意して頷きました。
「助けてくれたお礼は絶対に忘れない」
「ええ、ではね」 
 朱雀も頷いて言うのでした。
「それぞれ服を出しましょう」
「そしてプレゼントしよう」
 玄武は朱雀にも応えました、そうしてでした。
 玄武は四霊獣を代表して子供達に尋ねました。
「どの色の服がいいかな」
「その礼装のですね」
「色ですね」
「うん、僕達の着る服の色は決まっているけれど」
 四霊獣はそれぞれ司っている色があります、だから礼装も普段着る色の服も決まっているのです。ですが。
「持っている服の色は一杯あるんだ」
「礼装についても」
「そうなんですか」
「着ていなくても持っているんだ」
 それでもというのです。
「だから好きな色を言ってみて」
「わかりました」
「それじゃあ」
 子供達は玄武の言葉に頷いて答えました、そして。
 ここで、です。玄武はオズマとドロシー、そしてケーキ達にも尋ねました。
「君達もどうかな」
「私達にもなのね」
「礼服をプレゼントするよ」
 こう言うのでした。
「これから仲良くやっていく友人同士としてね」
「じゃあ私達も」
 オズマはここで玄武にこう返しました。
「貴方達にプレゼントをさせてもらうわ」
「お互いにプレゼントをし合ってだね」
「そしてね」
「これからの友情の証にするんだね」
「それでどうかしら」
「いいね」
 納得してです、玄武はオズマのその提案に頷きました。
「それではね」
「私達からはね」
 オズマが両手をゆっくりと上に向けて合わせてです、その合わせた掌の上にあるものを出しました。それはといいますと。
 黒い宝石、琥珀でした。とても大きな。
 その琥珀を出してです、玄武に言うのでした。
「まずはこれを貴方に」
「僕になんだ」
「そう、玄武さんだから」
「僕が黒だからだね」
「それでどうかしら」
「有り難う、こんな奇麗で大きな琥珀は」
 それこそというのです。
「これまで見たことがなかったよ」
「それでは」
「喜んで受け取らせてもらうよ」
 玄武はオズマに微笑んで答えました。
「是非ね」
「そしてね」
 その次にでした、その後は。
 蛇にも同じ琥珀を渡しました、それからは。
 青龍にはサファイア、白虎にはダイアモンド、朱雀にはルビーを渡しました。それを渡してそしてなのでした。
 四霊獣それぞれのプレゼントをしてでした、その後で。
 四霊獣はあらためてでした、皆に尋ねました。
「さて、ではね」
「どの色の礼装がいいかしら」
「そうですね、僕は」 
 まずは神宝が答えました。
「青が好きですから」
「青の礼装だね」
「それをお願いします」
「わかったよ」 
 青龍はにこりと笑ってです、神宝に答えました。そして今度はジョージに尋ねたのでした。
「では君は」
「僕は赤が好きなので」
「赤だね」
「その色を」
 ジョージはこの色でした、そしてカルロスは。
「今着ている服の」
「黄色だね」
「やっぱりこの色です」
「それじゃあ君はその色だよ」
 こうしてカルロスは黄色の礼装となりました、次はナターシャと恵梨香でした。
 女のこ二人にはです、蛇さんが尋ねました。
「貴女達は女の子だから」
「蛇さんや朱雀さんみたいな」
「そうしたドレスになりますよね」
「そう、私達が今着ているみたいな」
 まさにというのです。
「こうした服よ」
「そうですよね」
「それでいいわよね」
「はい」
 まずはナターシャが答えてです、そして。
 恵梨香もです、蛇さんに笑顔で言いました。
「私もお願いします」
「わかったわ、じゃあ色は」
「私は黒を」
 ナターシャは大好きな色を言いました。
「お願いします」
「黒ね」
「はい」
 まさにこの色をというのです。
「お願いします」
「私はピンクを」
「ピンクなのね」
「桃色ですよね」
「そうなるわ、桃色とはね」
 ここで蛇さんは面白そうに笑って言うのでした。
「縁起のいい色ね」
「桃色だとですか」
「そうよ、桃は中国では魔除けの果物だから」
「それで桃色もですか」
「魔除けの色でね」
 そしてというのです。
「縁起がいいのよ」
「そうなんですね」
「だからね」
「私がその色を着れば」
「とても縁起がいいわ、勿論他の皆もね」
 ナターシャ達四人もというのです。
「私達のそれぞれの色で」
「縁起がいいんですね」
「とてもね、では貴方達五人にね」
 それぞれというのです。
「服をプレゼントするわね」
「わかりました」
「それじゃあ」
 こうしてでした、五人の子供達の服の色が決まりました。ただ魔法使いとカエルマンは白虎に少し申し訳なさそうに笑って言いました。
「僕達はね」
「もうこの服があるから」
「このタキシードとシルクハット」
「これが一番気に入っているから」
「中国の服はいいんだね」
「うん、そうなんだ」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
 他のデザインの服を着ることはないからです、だからだというのです。
「そういうことでね」
「服はいいよ」
「わかったよ、じゃあ君達には食事をご馳走するよ」
「お食事?」
「っていうと」
「ここに今料理人達を読んだよ」
 四霊獣それぞれの宮殿にいるその人達をというのです。
「彼等に作ってもらったお料理をね」
「ご馳走してくれるんだ」
「そちらを」
「そうだよ、それをプレゼントにさせてもらうよ」
 こう魔法使いとカエルマンに言うのでした、ただかかしと木樵はです。
「僕達はその皆を見てね」
「楽しませてもらうよ」
 こう言うのでした。
「何しろもう着る必要はないし」
「食べる必要もないからね」
「だからいつも通りね」
「見て楽しませてもらうよ」
 この人達はまた別でした、何しろ普通のお身体ではないので。
 ただオズマとドロシー、そしてケーキにはです。朱雀が尋ねていました。
「貴女達の服の色は」
「そうね、私は」
 ここでオズマが言う色はといいますと。
「エメラルドの都の王女だから」
「緑ね」
「緑の服も好きだし」
 このこともあってというのです。
「その色にさせてもらうわ」
「わかったわ、それじゃあね」
「私はね」
 次はドロシーでした、この娘はといいますと。
「白がいいかしら」
「貴女はその色なのね」
「ええ、今丁渡白のドレスだし」
 それにというのです。
「白が大好きだから」
「それじゃあ貴女は白にするわね」
「その色でお願いするわ」
 こうしてオズマとドロシーが決まりました、そして最後のケーキはといいますと。 
 少し考えてです、こう言いました。
「ウィンキーの生まれ育ちだけれど」
「じゃあ黄色かしら」
「それもいいけれど」
 それでもというのです。
「ここはね」
「他の色にするのね」
「そうしようかしら」
 首を傾げさせての言葉でした。
「ここは」
「じゃあどの色にするのかしら」
「ギリキンの国に行ったから」
 ケーキが考えたのはこのことからでした。
「紫がいいかしら」
「その色ね」
「ええ、実は紫色の服を持っていないし」
「なら余計にいいわね」
「紫の服を持つ為にも」
「貴女は紫ね」
「その色にさせてもらうわ」
 こう朱雀に答えたのでした。
「私はね」
「わかったわ、それじゃあね」
 朱雀はケーキのその言葉ににこりと笑って頷きました、そしてでした。
 皆にそれぞれの服がプレゼントされました、服は一瞬で皆に着られて。
 ナターシャはとても奇麗でかつ可愛らしい恵梨香の中国のドレス姿を見てです、目を細めさせて言いました。
「お人形さんみたいよ」
「ナターシャもよ」
 恵梨香もナターシャににこりと笑って言うのでした。
「とても似合ってるわよ」
「あら、そう?」
「ナターシャもお人形さんみたいよ」
「そうなの」
「とても綺麗で。それで可愛くて」 
 こう言うのでした。
「ずっと一緒にいたい位」
「私もよ。恵梨香とても可愛いから」
「私と一緒になの」
「いたい位よ」
 こうお互いの今の服を見てお話するのでした、そして。
 神宝はジョージとカルロスを見て言うのでした。
「君達似合ってるよ」
「そう言う神宝こそ」
「やっぱり中国人だね」
 これがジョージとカルロスの返事でした。
「青も似合ってるし」
「着こなしがもうね」
「やっぱり違うよ」
「決まってるよ」
「そう言う君達だってだよ」
 神宝はまずジョージに言いました。
「ジョージはやっぱり赤だね」
「好きだけれどね」
「中国の服を着ても赤が一番似合ってるよ」
「そうなんだね」
「とてもね」 
 こうジョージに言ってでした、カルロスにも言いました。
「カルロスは黄色が映えていて」
「しかもだね」
「明るい感じになっているよ」
「僕は元々明るいしね」
「その明るさがよく出ているよ」
 そうだというのです。
「気持ちいい位にね」
「それは何よりだよ」
 カルロスはもうダンスを踊らんばかりです、男の子三人も朗らかにお話していました。
 そしてドロシーはです、オズマとお互いを見ていました。
「何か絹とエメラルドが」
「いいっていうのね」
「オズマがオズの国の主ということをね」
 これ以上はないまでにというのです。
「見せてくれているわ」
「うふふ、有り難う」
「女帝、いえ」
 ドロシーは中国のドレスと髪飾りで着飾ったオズマを見てこう言いました。
「お姫様ね、やっぱり」
「私は女帝じゃないから」
「ええ、王女様だからね」
「お姫様のままなら何よりよ」
 それこそというのです。
「この服も凄く気に入ったわ」
「それはとてもいいことね」
「ドロシーもよ」
 オズマも言うのでした。
「その服がね」
「似合ってるのね」
「最高にね」
 そうだというのです。
「白がとても似合ってるわ」
「それは何よりよ」
「白の絹もダイアもね」
 そのどちらもがというのです。
「ドロシーを映えさせているわ」
「宝石もなのね」
「ええ、けれどドロシーは」
「宮殿にいる時はね」
「着けていてもね」
「けれど冒険の時はね」
 大好きなそれに出ている時はというのです。
「宝石は着けなくて」
「ラフな服になってよね」
「動いているけれど」
 それでもだというのです。
「普段はね」
「やっぱりそうよね」
「それが一番身軽だから」
 こうしたところは昔から変わらないのがドロシーです、やっぱりこの娘は冒険が大好きでその時はいつも身軽でいたいのです。
「だからなの」
「そうよね」
「それでね」
 さらにお話するドロシーでした。
「冒険の時はいつもラフだけれど」
「今は」
「冒険に出ていないから」
 その時はというのです。
「こうして楽しませてもらってるわ」
「こうした奇麗な服を着ることも」
「今みたいにね」
 こう二人でお話していました、そして二人でケーキを見て言いました。
「ケーキもね」
「凄く似合ってるわ」
「普段はそうした服を着ないけれど」
「それでもね」
「そうだったらいいけれど」
 今一つ自信なさげなケーキでした、中国のドレスで着飾っていても。
「この服が」
「紫もかしら」
「紫の服はこれまで着たことなかったし」
 このことはウィンキーにいるからです、どうしても。
「余計にね」
「けれどね」
「その紫もなの」
「いい感じに似合ってるわよ」
「それだといいけれど」
「ええ、服自体も」
 そのドレスもとです、ドロシーはケーキにお話しました。
「似合ってるし、絹もアメジストもね」
「このアメジストも」
 宝石についても言うケーキでした。
「似合っていたらいいけれど」
「いい感じよ」
「ならいいわ」 
 ケーキにしてもというのです。
「似合っているのなら」
「自信を持っていいわよ」
 ドロイーはケーキにもにりと笑ってお話しました、そうして。 
 そうしたことをお話しながらでした、皆でそれぞれの服を見て楽しんでいました。そうして。
 四霊獣の後ろにです、料理人の人達にです。
 音楽隊の人達もいました、その楽器もでした。
「中国の楽器ですか」
「そうだよ」
 青龍が答えました、神宝に対して。
「我々の楽団だよ」
「凄い数ですね」
 様々な楽器を持っている中国の服を着た人達です。それぞれ青、黒、白、赤の色の服を着ています。その人達も来たのです。
 青龍は皆にです、また言いました。
「音楽も楽しんで欲しいと思って」
「この人達もですか」
「呼んだけれど」
「じゃあこれから」
「音楽もね」
 そちらもとです、青龍は皆にもお話しました。
「楽しんでね」
「それじゃあ」
「料理も楽しんで」
 そして、というのでした。
「音楽も楽しんでいこう」
「何か今回の冒険も」 
 しみじみとして言った神宝でした。
「楽しい終わり方になりましたね」
「そうね、けれどこれがね」
「オズの国なんですね」
「そうなのよ」
 ドロシーは神宝ににこりと笑ってお話しました。
「オズの国の冒険はね」
「途中何があっても」
「最後はハッピーエンドになるのよ」
「そうしたものですね」
「だからね」
「僕達の今回の冒険も」
「こうした終わりになったのよ」
 こうお話するのでした。
「最高のハッピーエンドでね」
「では皆で」
 オズマがここで皆に言いました。
「集まってね」
「はい、この服を着て」
「記念写真を撮りましょう」
「それではね」
 魔法使いが早速オズマの言葉に応えました。
「今から魔法のカメラを出すよ」
「皆で集まってね、勿論ね」 
 オズマは四霊獣も見て言いました。
「青龍さん達もね」
「私達も写真に入っていいのかな」
「ええ、だってオズの国の住人だから」
 それで、というのです。
「皆入って」
「それでは」
「さあさあ、用意は出来たよ」
 魔法使いが皆にです、鞄から出したそのカメラをセットし終えてから声をかけました。
「皆揃ってね」
「オズマが真ん中で」
 ドロシーも言います。
「それで周りは四霊獣の人達と神宝達よ」
「ドロシーさんじゃないんですか?」
「私はいつもオズマと一緒だから」
 ドロシーは神宝にこの時もにこりと笑って言うのでした。
「今はいいわ」
「そうですか」
「私達は貴方達の周りにいるから」
「ではその写真の後で」
 カエルマンも皆ににこにことしてお話します。
「四霊獣さん達のお料理を食べて音楽を楽しんで」
「心ゆくまで、ですね」
「いい思いをしよう」
 こうケーキに言うのでした、そしてです。
 皆で揃って記念撮影をしました。四霊獣の人達もこのうえなくです。オズの国の住人になって楽しく過ごしはじめたのでした。


オズのカエルマン   完


                        2015・3・13



無事に帰ってきてパーティーへ。
美姫 「パーティーも盛況で良かったわね」
だな。今回のお礼としてプレゼントも貰えるみたいだし。
美姫 「良かったわね」
四霊獣が出てきたりと、今回は危ない旅になるかと思ったけれど。
美姫 「大きな問題はもなく解決して良かったわね」
ああ。今回も楽しませてもらいました。
美姫 「投稿ありがとうございました」
ではでは。



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