『オズのカエルマン』
第十幕 青龍と玄武
一行は山を越えていきます、どの山も険しいですが。
一行はどんどんと越えていきます、神宝はその山をまた一つ越えたところで言うのでした。
「何かこんな険しい山なのに」
「越えていってもだね」
「あまり苦にならないです」
こう魔法使いに答えました。
「不思議と」
「最初にオズの国に来た時よりもだね」
「はい」
そうだというのです。
「ずっと楽です」
「オズの国に来たら」
ここで、でした。ジョージが言いました。
「僕達よく冒険に出てね」
「ずっと歩いてるね」
冒険の時はと言う神宝でした。
「本当に」
「それで体力ついてるのかな」
「あと歩き慣れてるのかな」
神宝も首を少し傾けて考える顔で述べました。
「やっぱり」
「そうなのかな」
「エメラルドの都にいてもね」
その宮殿の中にです。
「色々歩いてね」
「それでだからね」
「いつも身体を動かしてるから」
「それで体力ついたのかな」
「そうかも知れないね」
こう二人でお話するのでした。
「僕達も」
「そうなのかな」
「それとね」
魔法使いは二人の男の子ににこりと笑ってでした、その手にあるキャンデーを出して言いました。
「これのお陰だね」
「舐めると凄く力の出るキャンデー」
「魔法使いさんの作られた魔法のキャンデーですね」
「ギリキンのこの辺りはこうした地形になっているのは知っているからね」
だからだというのです。
「持って来たけれど」
「これも舐めているから」
「だからですね」
「力も出る」
「そうなんですね」
「うん、そうだよ」
その通りだというのです。
「これがあるからね」
「疲れなくて」
「どんどん進めるんですね」
「うん、ただ君達自身の体力もね」
それもなのでした。
「かなりついてるね」
「歩くことそれ自体がね」
カエルマンも皆と一緒に歩いています、険しい山もすいすいと進んでいます。「いいんだよ」
「スポーツだからね」
「そうなんですね、スポーツっていいますと」
カルロスの感覚では。
「もっと激しく走ってボールを蹴って」
「それはサッカーだね」
「そうしたものって思ってましたけれど」
「サッカーもスポーツでね」
「こうした山を進むこともですか」
「スポーツだよ、じゃあお昼も食べて」
そしてというのです。
「先に進もう、今日は一日こうだよ」
連なっている山々を進んでいくというのです。
「そしてね」
「一日かけて進んでいって」
「明日にはね」
「青龍さんですね」
「あの人のところに行けるよ」
「いよいよですね」
カルロスは青龍に会えると聞いて目を輝かせます。それは女の子達も同じで。
恵梨香がです、ナターシャに言いました。
「オズの国はドラゴンも沢山いるけれど」
「龍はなのね」
「ええ、いると思っていなかったから」
「会えることが楽しみなのね」
「そうなの、龍も格好いいのよ」
東洋の龍もというのです。
「とてもね」
「私も龍の絵は見たことがあるけれど」
「格好いいでしょ」
「そうね、あの龍もね」
「その龍に会えることが」
恵梨香はとても楽しそうなお顔です。
「楽しみよ」
「そうね、それじゃあ」
「行きましょう」
こうお話してでした、皆で。
山を先に先にと進んでいきます、そしてです。
この日は一日山を進んでいきました、ですが皆そんなに苦しんではいませんでした。そうして夜はたっぷりと食べてゆっくりと寝るのでした。
朝起きるとです、神宝は山から出て来た日の出を見てついです。
恵梨香にです、こんなことを言いました。
「これってね」
「これって?」
「初日の出みたいな感じなのかな」
「ううん、そうかしら」
こう神宝に言われてです、恵梨香は。
少し考える感じになって神宝に答えました。
「やっぱり山から出る」
「日本の初日の出ってこうなのかな」
「確かに日本って山が多いから」
「そうなると思うけれど」
「そうなのかしらね」
「ふとそう思ったんだ」
山からお日様が東から出る光景を見てです。
「奇麗だからね」
「うん、確かにね」
ジョージもその山から見えた日の出を見て言います。
「奇麗だね、こうした日の出も」
「そういえば何か」
ここで神宝はこのことにも気付きました。
「オズの国では平原から出る日の出をよく見るかな」
「オズの国にも山は多いけれどね」
「全体的に平原が多いのかな」
「そうかもね」
「少なくとも僕達のこれまで冒険した場所はね」
「山も結構通ったけれどね」
それでもというのです。
「すぐに平原に出てね」
「そこで休むことが多かったから」
だからだというのです。
「それでかな」
「そうかもね」
「山から出る日の出は凄く新鮮ね」
ナターシャはしみじみとした口調でした。
「何かね」
「ああ、ロシアではね」
カルロスがそのナターシャに応えます。
「平原が多くて」
「山が殆どないの」
「ナターシャのいる場所は特にだね」
「見渡すばかり雪と氷の平原で」
「山がないから」
「それどころかずっと夜だったりお昼だったりする月もあるわ」
「白夜だね」
「オーロラも見えるわ」
「ううん、ブラジルにはないからね」
白夜もオーロラもというのです。
「僕はそっちの方を見たいかな」
「そうなのね」
「この山から見える日の出も確かにいいけれどね」
「オズの国でも見られる場所があると思うわ」
「うん、あるよ」
カエルマンは二人にすぐに答えました。
「じゃあ今度そうした場所にもね」
「行けばいいですね」
「白夜もオーロラもいいよ」
カエルマンは微笑んでカルロスにお話しました。
「ああしたものもね」
「だからですね」
「うん、機会があればね」
冒険をしたその時にです。
「行くといいよ」
「わかりました」
「何でも見るものだよ」
「見てそれが、ですね」
「備わっていくからね」
見聞、それが知識となっていくというのです。
「だからね」
「白夜もオーロラも」
「見るといいよ」
「そうします」
「私はもうこの光景が」
ナターシャは日の出を見つつうっとりとさえしています。
「夢みたいです」
「ナターシャにとってはだね」
「はい」
微笑んでカエルマンに答えました。
「本当に」
「そうなんだね、それじゃあね」
「はい、お日様も出ましたし」
「後はね」
「朝御飯を食べて」
「そしてね」
それからなのでした。
「また出発だよ」
「今日の朝御飯は何でしょうか」
神宝がカエルマンに尋ねました。
「一体」
「うん、今日はお饅頭とね」
「中国のですね」
「それと茶卵だね」
「その二つですか」
「中華風でいこう」
こう言うのでした。
「魔法使いさんもそれでいいかな」
「いいね」
これが魔法使いの返事でした。
「それも」
「じゃあ決まりだね」
「朝御飯もバリエーションがあるとね」
「違うんだよね」
「毎朝同じメニューだと飽きるよ」
「そう、だからこそね」
「今日は神宝のお国でいこう」
魔法使いは神宝も見て言いました。
「これからね」
「それじゃあね」
こうお話してでした、まずは朝御飯を食べる一行でした。
その茶卵とお饅頭を食べてです、そしてでした。
神宝はにこりと笑ってです、こう魔法使い達に言いました。
「このお饅頭にです」
「茶卵がだね」
「中国でよく食べられる朝御飯なんです」
「お粥と並んでだね」
「あと麺もですね」
神宝はカエルマンにお話しました。
「よく食べます」
「朝からしっかりとだね」
「食べてます」
それが中国人だというのです。
「やっぱり食べないと」
「そういうことだね」
「じゃあ朝御飯を食べたので」
「出発だよ」
「わかりました」
こうしてでした、皆は立ち上がってテーブル掛けとテントを収めて歯を磨いてお顔も洗ってでした。さらに北に進みました。
周りは次第に仙人がいる、水墨画の様な素晴らしい景色の山々の中に来ました。高いお山の周りに薄い雲があって輪になって覆っています。
その奇麗な風景を見てです、神宝は言いました。
「こうした場所なら」
「青龍がいてもなのね」
「うん、不思議じゃないというかね」
こう恵梨香に言うのでした。
「こうした場所こそね」
「青龍さんがいる場所ね」
「玄武さんがいてもね」
それこそというのです。
「相応しい場所だよ」
「白虎さんや朱雀さんもだね」
ジョージは自分から神宝に聞きました。
「いても」
「そう、四霊獣がね」
「いても不思議じゃない場所だね」
「こうした現実にあってそうでいてなさそうな」
「そうした場所にこそ」
「いるんだ」
それこそというのです。
「だから行こう」
「さて、ここの何処にいるのかな」
カルロスは額に手をかざして遠くを見る様子になっています。
「一体」
「青龍さんはとても大きいのよね」
ナターシャは青龍の大きさについてです、神宝に尋ねました。
「他の四霊獣さん達も」
「そうだよ、それこそ僕達の世界のビルよりもね」
「それだけ大きいのなら」
「すぐに見付かるね」
「そう思うけれど」
「うん、僕もそう思うよ」
カエルマンも言ってきました。
「ここまで来たら青龍さんを見付けることはね」
「簡単ですね」
「うん、そうだと思うよ」
「それじゃあ」
「少し嗅いでみるよ」
カエルマンはここでお鼻をくんくんとさせました。
「青龍さんの匂いをね」
「わかるんですか?」
「犬の鼻もいいけれど蛙もなんだ」
お鼻がいいというのです。
「だからね」
「今ここで嗅がれて」
「探してみるよ」
実際にカエルマンはお鼻をもうくんくんとさせています。
そして暫くしてからです、皆が今いる場所から北北西の方角の山と山の間を指差してそうして言いました。
「あそこだね」
「あそこにですか」
「青龍さんがいるよ」
こう言うのでした。
「あそこにね」
「それじゃああそこに」
「行こう」
こうしてでした、その山と山の間に向かうのでした。
そしてその中で、です。神宝はカエルマンに尋ねました。
「あの、匂いって」
「青龍さんの匂いだね」
「どういった匂いですか?」
「うん、青龍さんは東にいるよね」
「はい」
「そして木を司っていますね」
「じゃあ木の匂いを嗅いで」
「そうなんだ」
それでというのです。
「その木の匂いが強い場所」
「それがですね」
「青龍さんの匂いだって思ってね」
それでというのです。
「嗅いでみたらね」
「山と山の間にですか」
「とりわけ強い木の気配を感じたから」
「そうだったんですか」
「あそこにいると思ったんだ」
「成程、木の匂いですか」
「他の匂いもするね」
ここでこうも言ったカエルマンでした。
「これは」
「これはっていいますと」
「うん、水の匂いもしたし」
カエルマンは今もお鼻をくんくんとさせています、そのうえでの言葉です。
「それもかなり強いよ、お池や川なんてものじゃないね」
「水といいますと」
その匂いということからです、神宝はわかりました。
「玄武さんもですか」
「多分いるね」
「そうですか、じゃあ」
「二匹の四霊獣がいるね」
どちらにもというのです。
「あの山と山の間には」
「じゃあ行けば」
「二匹に会えそうだね」
ネイティブの酋長がお話した様にです、そしてです。
一行は山と山の間に着きました、そこはとても大きな湖でした。その湖の中にです。
とても大きな、全長一〇〇メートルはある真っ黒な亀とです。その亀の五倍はあろうかという細長い身体の青い東洋の龍がいました。
その亀と龍を見てです、神宝はカエルマンに言いました。
「間違いありません」
「青龍さんとだね」
「玄武さんです」
間違いなく、というのです。
「本当におられましたね」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「見たところ」
カエルマンは玄武を見て言うのでした。
「玄武さんの亀はいるけれど」
「はい、それでも」
「蛇の方がいないね」
亀と一緒にいるです。
「そちらが」
「そうですね」
「あれっ、君達は」
ここで、でした。その玄武も青龍もです。
一行に気付いてでした、湖の中からです。
皆にです、こう言いました。
「よくここまで来たね」
「人がここまで来るなんてはじめてじゃないかな」
「よく来られたね」
「凄いね」
「あの、いいかな」
カエルマンが青龍と玄武に尋ねました。
「そちらの亀さんは玄武さんだね」
「そうだよ」
その通りだとです、玄武はカエルマンに答えました。
「僕が玄武だよ」
「そうだね、そして」
「私は青龍だよ」
青龍も自分から答えました。
「私達は共に四霊獣だよ」
「そうだね、けれどどうしてなのかな」
カエルマンは考えるお顔で二匹に言うのでした。
「青龍さんが北にいてね」
「私が東を司っているからだね」
「そして玄武さんの方も」
「蛇君がいないことだね」
玄武も言います。
「そのことだね」
「不思議に思ったのはこの二つだよ」
そうだというのでした。
「どうしてかな」
「実はね、蛇君が今動けないんだ」
玄武が答えました。
「これがね」
「動けない?」
「そう、動けないんだ」
そうだというのです。
「身体の調子が悪くて」
「身体の?」
「そうなんだ」
こうお話するのでした。
「それでずっとこの湖の底で休んでいるんだ」
「身体の調子が悪い」
「それで私も気になって来たんだ」
青龍も言うのでした。
「東からね」
「そうした事情だったんだね」
「私達四霊獣は友達同士で」
カエルマンにお話します。
「特に龍と蛇は近いからね」
「それでどうしても心配になって」
「ずっとここにいるんだ」
「そのことはわかったよ、ただね」
「言いたいことはわかっているさ」
青龍はカエルマンに答えました。
「そのことはね」
「そうなんだね」
「私は東を司っていてね」
「春や木もだね」
「この国は常春だけれど」
「それでも木とかはね」
「色もね」
この場合は青です、青龍のお身体の青はそれこそマンチキンの国に相応しいまでのとても奇麗な青です。
「あまり長く違う方角にいると」
「よくないよ」
「そうしたものが乱れるからね」
「だからね」
カエルマンは青龍に言いました。
「青龍さんには戻って欲しいけれど」
「わかっているけれど」
「どうしても心配になっていて」
「ここにいるんだ」
玄武の傍にというのです。
「蛇君のことが気になってね」
「あの、それじゃあ」
今度は神宝が青龍に尋ねました、玄武にもです。
「蛇さんは一体どういった感じでしょうか」
「身体がだるいというんだ」
玄武が答えました。
「しんどいってね」
「そうなんですか」
「だからね、この湖の底にね」
「ずっとおられるんですね」
「そうなんだ、原因がわからないんだ」
玄武も困ったお顔です。
「これがね」
「そうですか」
神宝はここまで聞いてでした、そのうえで。
腕を組んで考えるお顔になってです、こう言いました。
「あの、玄武さんは」
「何かな」
「はい、オズの国におられてしかも神様なので」
だからだというのです。
「死にませんし怪我もしませんね」
「そうだよ、僕達はね」
「そうですよね、けれど」
「身体がしんどいっていうんだ」
「ですよね、病気ですか」
「それになるだろうね」
「病気といいましても」
神宝はさらに考えて言いました。
「神様は」
「なるんだ、これが」
青龍が答えました。
「何かあればね」
「死なないまでも」
「身体の調子が悪くなることはね」
今の蛇の様にというのです。
「あるんだよ」
「じゃあこれまでも」
「いや、私達オズの国の四霊獣はこの国に生まれてそれ程経っていなくてね」
「病気になったことも」
「ないんだよ」
「それで、ですか」
「知らないんだよ」
そうだというのです。
「これがね」
「そうなんですね」
「だからどうしていいのか」
青龍の声は本当に困っているものでした、そしてです。
玄武もです、青龍と同じ顔になっていて言うのでした。
「困っているんだ」
「ふむ。君達の身体が悪い」
カエルマンもここで考えて言いました。
「と、なると」
「何かわかったんですか?」
「うん、四霊獣はそれぞれ司っているものがある」
カエルマンはその目を光らせたのでした。
「そしてその司っているものが悪いと」
「それが、ですか」
「影響が出るのかな」
「それで、なんですか」
「蛇さんも調子が悪いんじゃないかな」
「玄武さんの司っているもの」
ここで神宝も考えました。
「そうなりますと」
「何か思いついたかな」
「はい」
そうだとです、神宝は答えました。
「お水ですから」
「オズの国のだね」
「オズの国の何処かでお水が悪くなっている」
「そうなるのかな」
「けれど」
ここまで考えてでしたl、神宝はこうも言いました。
「オズの国でお水が悪いとか」
「まずないね」
「はい、オズの国はお水も木も」
「何もかもがね」
「奇麗ですから」
「だからね」
「普通お水に何かあるとかないです」
このことは外の世界よりもずっとです、オズの国はとても奇麗で素晴らしい自然を持っているからなのです。
「普通は」
「けれど普通というのはね」
魔法使いも言いました。
「あくまで普段はということで」
「その普段のことは」
「変わるんだよ」
「おかしな状況に」
「そのことはオズの国でも同じだよ」
「そうなるんですね」
神宝は魔法使いにも応えました。
「つまりは」
「そう、オズの国の何処かでね」
「お水が悪くなっているんですね」
「そうじゃないかな」
「そうだとすると」
ここでまた言う神宝でした。
「何処が悪いかですね」
「そうだね」
「僕が司っているのはね」
「そしてどっちかな」
カエルマンは少し風変わりとも取れる質問をしました。
「君が司っているのは」
「どっちかって?」
「うん、海水か淡水か」
「ああ、そういうことだね」
「そう、どちらかな」
「僕は海だよ」
そちらのお水だとです、玄武は答えました。
「海水を司っているんだ」
「そうなんだね」
「あれっ、どういうことですか?」
ケーキはカエルマンと玄武の今のやり取りがわかりませんでした、それで首を傾げさせてカエルマンに尋ねたのです。
「今のは」
「うん、お水は一つじゃないからね」
「海水もですか」
「そう、オズの国の中にあるのは川や湖だね」
「はい」
「そうした場所のお水は淡水といってね。塩が入っていないけれど」
それでもというのです。
「その外の。海のお水はね」
「お塩が入っていて」
「塩辛いんだ」
「それが海水ですね」
「どうして玄武さんが亀さんがメインだけれど」
それでもというのです。
「蛇さんもいるかというとね」
「そのことはですか」
「そう、海水と淡水だったんだ」
「陰陽の意味もあるよ」
玄武も言ってきました。
「僕達玄武は陰性だけれどその中にもね」
「陰陽があるんだね」
「それで僕達は二匹で玄武なんだ」
「そういう意味もあるね」
「そしてね」
「海水でもあってだね」
「淡水でもあるんだ」
そして玄武はさらに言いました。
「僕はオズの国の外の海の水も司っているよ」
「そうだね」
「そう、そして蛇君は淡水だよ」
「蛇君の身体の調子が悪い理由がわかったよ」
カエルマンは頷きつつです、玄武に答えました。
「何故かね」
「どうしてなのかな、一体」
「オズの国の川か湖かお池か。その何処かが」
それが何処かまでは今はわからなくてもというのです。
「悪くなっているんだ」
「だからなんだね」
「蛇さんも調子が悪いんだ」
「そうだったんだ」
「これでわかったよ」
カエルマンも頷いています。
「全てね」
「じゃあ青龍さんは」
神宝がここでまたカエルマンに尋ねました。
「もうこれで」
「うん、心配する必要はないからね」
「東に戻られても大丈夫ですね」
「後は蛇さんの身体を治すだけだからね」
「そういうことですね」
「いや、そうはいかないよ」
しかしです、青龍は皆に強い声で言うのでした。
「ここはね」
「えっ、ですが」
「蛇君は治っていないんだよ」
神宝にこう答えました。
「それでどうして」
「戻られるか、ですか」
「そうだよ、出来ないよ」
「じゃあ蛇さんが治るまでは」
「僕はここから戻らないよ」
東にというのです。
「それはね」
「そうなんですか」
「だからね」
「蛇さんが治ってから」
「それからだよ」
これが青龍の言葉でした。
「今はね」
「それじゃあ」
「じゃあここはね」
カエルマンがそれならとです、落ち着いたお顔で言ってきました。
「その川かお池をね」
「何処か調べて」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「その川なりお池なりを元に戻そう」
「奇麗に」
「そうすれば大丈夫だよ」
「蛇さんも治りますか」
「そうなるよ」
「そうなんですね、じゃあ」
「まずはね」
お話は次の段階に移っていました、カエルマンはその段階の中でお話を続けていくのでした。皆に対して。
「それで次の問題は」
「はい、その川なりお池がですね」
「何処かをね」
「突き止めるんですね」
「そうしよう」
これがカエルマンの考えでした。
「そうすればね」
「蛇さんもですね」
「元気になって」
「青龍さんも戻ってくれる」
「そうなるんですね」
「そうだよ、ただね」
ここで、です。カエルマンは首を傾げさせてこうも言いました。
「オズの国で汚れている川となると」
「あまり、ですよね」
「ないですよね」
「そうしたことは」
「この国では」
「ちょっと」
「そうだよ、この国は何処もすぐに奇麗になるんだ」
この辺りは不思議の国ならではです。
「川もね、それでどうしてなのかな」
「それはその川に行ってみないとわからないね」
魔法使いがカエルマンにこう言いました。
「その川を見ないと」
「そうだね、それじゃあどの川か」
「まずは突き止めよう」
こう言うのでした、すると。
ここで玄武がです、皆に言いました。
「それだとね」
「それだと?」
「それだとっていうと」
「蛇君に直接聞けばわかるよ」
どの川が汚れているのかが、というのです。
「それでね」
「じゃあすぐに聞きたいね」
カエルマンは玄武にこう返しました。
「どの川か」
「それじゃあ少し待っていてね」
こう言ってでした、玄武は一旦御池の中に潜りました。カエルマンは残っている青龍とそのお池の水面を見つつ言いました。
「これでどの川かわかって」
「どういった状況かわかれば」
神宝が応えました。
「後は、ですね」
「そう、その川を元に戻すだけだよ」
「そうすれば」
「私も東に戻るよ」
青龍が一行に答えました。
「安心してね」
「そうだね、ではね」
「その為には私が出来ることなら」
「協力してくれるんだ」
「友達を助ける為ならね」
「四霊獣の方々は」
「うん、そうさせてもらうよ」
青龍はカエルマンに確かな声で答えてでした、まずは玄武がお池の中から戻って来るのを待つのでした。どの川がどう悪いのかを。
青龍が北にいた理由はお見舞いと。
美姫 「みたいね。しかし、体調不良になるのね」
みたいだな。でも、これで蛇が元気になれば問題解決だな。
美姫 「そうね。後はどこの川が悪いのかという事ね」
原因も気になるしな。
美姫 「次回も待っています」
ではでは。