『オズのカエルマン』




                    第一幕  お洒落な蛙 

 オズの国には色々な人がいます、かかしやブリキの木樵、チクタクの様に何も食べなくて済む人もいればです。
 ムシノスケ教授みたいに元は動物だった人もいます、オズマにしても妖精です。
 本当に色々な人がいます、その中にはです。
「カエルマンさんですね」
「あの人もおられますよね」
「そう、あの人もね」
 今日もオズの国に遊びに来ている恵梨香達五人の子供達にです、ドロシーは一緒に日本のお茶とお菓子を楽しみながらお話します。
「面白い人で」
「蛙みたいに跳ねることが出来て」
「しかもですよね」
「もの知りで」
「いざという時に頼りになるう」
「そうした人ですよね」
「そうよ、普段はイップの村で村の人達と一緒に住んでいるけれど」
 時々なのです。
「オズの国にも来るわよ」
「そうした人ですよね」
「あの人にもお会いしたことがありますけれど」
「とても楽しい人ですよね」
「優しくて僕達にも色々教えてくれて」
「気さくな感じの人ですね」
「ええ、昔は知ったかぶりする癖があったけれど」
 それがなのです。
「なくなってね、最近はムシノスケ教授の王立大学にもよく通ってるわ」
「あそこで、ですね」
 神宝が応えました。
「本を読んだり人とお話をしたりベンキョー錠を飲んで」
「知識や教養を深めてるの」
「学者みたいに」
「前から学者さんみたいな服だったけれど」
 ドロシーから見ればそうなります、カエルマンのその黄色いいタキシードとシルクハットの洒落た服装はです。ムシノスケ教授もタキシードとシルクハットなので。
「今は本当にね」
「学者さんみたいになったんですね」
「そうなの、だから困った時は」
「あの人も智恵を出してくれますね」
「そうしてくれるのよ」
「だから頼りになるんですね」
「しかもあの人はジャンプ力もあるから」
 このこともお話するドロシーでした。
「いざって時は頼りになるわ」
「そうなんですね」
「そうなの、知識を備えてるから」
 それで頼りになるというのです。
「あの人もね」
「わかりました、そうなんですね」
「だから神宝もね」
「何かあればですね」
「かかしさんやムシノスケ教授がいない場合も」
「カエルマンさんがいればですね」
「助けてもらうといいわ」
 カエルマンに智恵を出してもらってというのです。
「そうしたらいいわ」
「じゃあそうさせてもらいます」
「そういうことでね、あとだけれど」
 ここでドロシーは話題を変えました、今度の話題はといいますと。
「最近皆どんな遊びをしているのかしら」
「いえ、こうしてです」
「オズの国にお邪魔して」
「冒険をしたり美味しいものをご馳走になったりして」
「そうして楽しんでますよ」
「今みたいに」
「オズの国じゃなくてあちらでのことよ」
 オズの国の外、五人が本来いる国でのことでした。ここでドロシーが尋ねたのは。
「貴方達のお国のね」
「そうですね、最近は」
 恵梨香が考えるお顔になってドロシーに答えました。
「皆で鬼ごっこをしたり」
「あとサッカーをしたりね」
 カルロスはスポーツでした。
「野球もするし」
「バスケもね」
 ジョージもスポーツでした。
「他にもバレーとか」
「読書もするわね」
 ナターシャはこちらでした。
「小説も漫画も読んで」
「それとパズルだね」
 神宝は笑ってこちらの遊びをお話に出しました。
「ジグゾーパズルもクロスワードパズルも」
「パズルね」
「はい、僕最近それに凝ってまして」
「そうなのね」
「色々しています、迷路の本も買ってます」
 そうして解いているというのです。
「そうしています」
「そうなのね、じゃあ私もね」 
 ここでこう言ったドロシーでした、神宝のお話を聞いて。
「やてみようかしら」
「パズルをですか」
「ええ、神宝のお話を聞いて思ったわ」
「そうですか、オズの国にもパズルはあるんですね」
「この国は色々な遊びがあるのよ」
 ドロシーはくすりと笑って答えました。
「だからパズルもね」
「あるんですね」
「勿論ジグゾーパズルもクロスワードパズルもね」
 そのどちらもというのです。
「あるわよ」
「そういえば身体がジグゾーパズルの国もありましたね」 
 神宝はここであの人達のことを思い出しました。
「オズの国には」
「ええ、だからね」
「ドロシーさんも」
「少しやってみようかしら」
 こう言うのでした。
「これからね」
「具体的には何をされますか?」
「ええと、クロスワードかしら」
 ドロシーは神宝に少し考えてから答えました。
「ここはね」
「クロスワードパズルですか」
「それをしようかしら」
「それで言葉は」
 神宝はドロシーにさらに尋ねました。
「どれにしますか?英語ですか?中国語ですか?」
「ええと、オズの国の人はどの言葉でもわかるけれど」
 これもオズの国全体にかけられている魔法のお陰です、だからドロシーもあらゆるお国の言葉を話せて読み書きが出来るのです。
「どうしようかしら」
「日本語はどうですか?」
 恵梨香は微笑んでドロシーに提案しました。
「私の国の言葉は」
「日本語ね」
「今私達五人はお互いに日本語でお話してますし」
「日本の学校に通っていて日本にいるから」
「それでなんです」
「私だけの時はそれぞれの言葉を使っています」
 ナターシャはドロシーにこのこともお話しました。
「ですが皆といる時は」
「日本語を使っているのね」
「喋ることも読み書きも」 
 どれもだというのです。
「そうしています」
「そうよね、じゃあ私もね」
 今回のクロスワードはというのです。
「日本語にしようかしら」
「その言葉で、ですね」
「ええ、遊ぼうかしら」
 こう言うのでした。
「そうしようかしら」
「じゃあ早速」
「クロスワードやりましょう」
 カルロスとジョージも言ってきました、そしてです。
 ドロシーはお茶の後早速クロスワードパズルの本を出してきました、日本語のそれをです。そのうえでなのでした。
 ペンを手にはじめました、五人はそのドロシーの周りいます、そしてまずは縦の言葉のうちの一つをでした。
 解こうとします、その答えは。
「ええと、おうどんの中に入れる」
「二文字ですね」 
 神宝が応えます。
「これは」
「ええと、おうどんに入れて二文字」
「それはですね」
「確か」
「揚げですね」
「それよね」
「そうですね、片仮名で書いて」
 神宝はドロシーにこのこともお話しました。
「それで、ですね」
「埋めればいいわね」
「はい、それで」
 こうお話してでした、ドロシーはクロスワードを埋めていきました。そうして一つ一つ埋めていってです。暫くして。
 ドロシーは本を閉じてこう言いました。
「今日はね」
「ここまで、ですね」
「また明日ですね」
「ええ、また明日ね」 
 実際にそうだと五人に答えます。
「楽しみましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「次は何をして遊びますか?」
「そうね、さしあたっては」
 とりあえずはというのです。
「お散歩しましょう」
「お散歩ですか」
「それをしてですか」
「楽しみましょう」
「そうですね、それじゃあ」
「今度は」
 五人もドロシーの言葉に頷いてでした、そうしてです。
 今度は皆でとことこと王宮の中をお散歩しました、ここでなのでした。
 皆はジュリア=ジャムと会いました。ドロシーはここでジュリアにこう言われました。
「あっ、ドロシーさん丁渡いい時に」
「丁渡いい時にって?」
「はい、実はですね」
 ジュリアはこうドロシーに切り出しました。
「面白いものが王宮に入ったのですが」
「面白いものっていうと」
「はい、パズルです」
 これが入ったというのです。
「ジグゾーパズルが」
「実はね」
 ジグゾーパズルと聞いてです、ドロシーはジュリアににこりと笑って言いました。
「私達今はパズルのお話をしていて」
「ジグゾーパズルもですか」
「そうなの、しようかってお話してたのよ」
「そうだったんですか」
「そう、それでさっきまではクロスワードをしてたけれど」
「ジグゾーパズルも如何ですか」
「ええ、そのつもりだったし」
 それならというおです。
「そのパズル貸してくれるかしら」
「はい、ギリキンの方からのプレゼントです」
「王宮への?」
「ドロシーさんにオズマ姫、ベッツイさんにトロットさんへのです」
 四人のオズの可愛らしい女の子へのというのです。
「その方からのプレゼントです」
「そう、じゃあ皆で楽しみましょう」
「それなら」
 こうしてです、ドロシーはジュリアにそのジグゾーパズルを貰って皆で楽しむことにしたのです。ですがここでなのでした。
 不意にです、ウィンキーの国からこんな一報が届いてきました。オズマが五人、そして皆と一緒にジグゾーパズルをしようとするドロシーに言いました。
「真実の池でね」
「あのお池で何があったの?」
「ええ、面白いお花が生えたらしいのよ」
「面白いお花?」
「そうなの、何でもジグゾーパズルになっていて」
 それで、というのです。
「それを組み立てるとこれ以上はない奇麗なお花になるの」
「あれっ、またパズルなの」
「またって?」
「いえ、さっきジュリアからギリキンの人から私達へのプレゼントでジグゾーパズルが届いたから今からしようって思ってたの」
「あら、そうだったの」
「それで真実の池でもなのね」
 ドロシーは少ししみじみとした口調で言うのでした。
「奇遇ね」
「そうね、それでどうするjの?」
「そちらも面白そうだから」
 ドロシーはオズマに答えました。
「行ってみるわ」
「それじゃあ誰と行くのかしら」
「あっ、じゃあ僕がお供します」
 神宝がすぐに右手を挙げて名乗り出ました。
「折角ですから」
「そう、じゃあ神宝と」
「はい、私達も」
「いつもみたいにお願いします」
 恵梨香とナターシャも手を挙げます、勿論ジョージとカルロスもです。
「僕達も」
「ご一緒させて下さい」
「これで六人ね。じゃあ皆宜しくね」
「ええ、行って来るわね」
 ドロシーはオズマに笑顔で応えました、そしてです。
 六人でまずは真実の池に行くことにしました、ですが。
 ここでオズマはドロシーにです、こうも言いました。
「もうカエルマンさんには連絡したから」
「あそこで合流ね」
「ええ、そうなるわ」
「わかったわ、それじゃああそこでカエルマンさんと合流して」
「それでよね」
「行くことになるわね」
「すぐに行き来したいかしら」
 オズマはドロシーにこのことを尋ねました。
「どうかしら」
「そうね、今回はね」
 ドロシーは少し考えてからオズマに答えました。
「ジグゾーパズルしたいから」
「それならね」
「そちらのお花のパズルも楽しみだけれど」
「こちらのパズルもなのね」
「ええ、楽しみたいから」
 それで、というのです。
「出来るならね」
「早くよね」
「行き来したいわね」
「それなら気球がいいかしら」
 オズマが最初に出した乗りものはこれでした。
「それに乗る?」
「ううん、気球だと」
 ドロシーは五人を見回してから答えました。
「少しね」
「多過ぎるかしら」
「そう思うわ」
「馬車はどうかしら」
 オズマは続いてこの乗りものを出しました。
「こちらは、それかチャリオットね」
「それに乗ったらね」
「すぐだから」
 このエメラルドの都から真実の池までというのです。
「どうかしら」
「そうね、じゃあ馬車かしら」
「六人乗りのね」
 かなり大きな馬車を用意するというのです。
「それでどうかしら」
「そうね、それじゃあね」
「ええ、じゃあすぐにね」
「行って来るわ」
 こうしてでした、ドロシーは五人と一緒に真実の池まで馬車で行くことにしました。惹くのは木挽の馬です。
 馬はこの木挽の馬だけです、ですが。
「僕だけでもね」
「そうだね、君は凄い力があるから」
「どんな馬車でも曵けるよ」
 こう神宝に答えるのでした。
「任せてね」
「真実の池までの道は」
「あそこにも何度も行ってるから」
 だからと答える馬でした。
「そのことも大丈夫だよ」
「そうだね、それじゃあね」
「すぐに行こう」
「さて、どんなお花かな」
「それが楽しみだね」
 ジョージとカルロスもにこにことしています。
「オズの国は楽しいものが一杯あるけれど」
「ジグゾーパズルのお花なんてね」
「僕達の世界には絶対にないから」
「余計に楽しみだよ」
「そうね、ただ」
 ここでナターシャも言います。
「奇麗なお花だということがわかっていうということは」
「もう私達の他に組み立てた人がいるのね」
「そういうことね」
「ええ、けれどその人にどんなお花か聞いたら」
「面白くないわ」
 ナターシャはこう恵梨香に言いました。
「やっぱりジグゾーパズルはね」
「わからないものを組み立ててね」
「作っていくものだから」
「わからなくていいのよ」
「最初はね」
「そう、だからね」
 それでとです、神宝も応えてです。
 うきうきとしてです、皆に言いました。
「さあ、早く行こうよ」
「あら、今日の神宝は随分と積極的ね」 
 ドロシーはその神宝ににこりとして言いました。
「どうしたのかしら」
「実はパズルが好きで」
「それでなのね」
「はい、ですから」 
 ドロシーにとても明るい笑顔で答えます。
「すぐにでもです」
「行ってそして」
「楽しみたいです」
 是非にというのです。
「じゃあ行きましょう」
「それじゃあね」
「実は神宝は凄く頭がいいんですよ」 
 ジョージがドロシーにこのことをお話しました。
「学校でも成績優秀なんです」
「そうなのね」
「はい、僕達の中でも一番成績がいいんです」
「そういえば色々知ってるわね」
「そうなんですよ」
「その次にナターシャと恵梨香で」
 カルロスもドロシーに学校のお勉強のことをお話します。
「ジョージ、それで僕なんです」
「そうなのね」
「僕も大体中の上です」
「皆それなりにお勉強出来るのね」
「そうなんですよ、嬉しいことに」
「スポーツはカルロスが一番ですよ」
 神宝はカルロスを見て言います。
「特にサッカーが」
「好きだからね」
 それで得意と言うのです、カルロス自身も。
「雨の中でしても大好きだよ」
「泥だらけになってもだね」
「うん、サッカー好きだね」
 そうなってもしたいというのです。
「スポーツの中でもね」
「そういえば君達それぞれ個性があるね」
 馬も五人に言うのでした。
「それも結構強いよ」
「うん、よく言われるよ」
 神宝も馬に笑顔で応えます。
「僕達五人共ね」
「君は知性派でカルロスはムードメーカー」
 まずはこの二人でした。
「ジョージはリーダー、ナターシャはクールなまとめ役」
「じゃあ私は?」
 最後の恵梨香が馬に尋ねます。
「何なのかしら」
「恵梨香はお母さんかな」
「お母さん?」
「そう、皆のね」
 それになるというのです。
「フォローとかしてるから」
「そうだと思うよ」
「私お母さんなの」
「そういえばそうね」
 ドロシーも馬の言葉に頷きます。
「恵梨香って皆に何かあるとフォローしてくれるから」
「だからですか」
「そう、お母さんよ」
 それになるというのです。
「お裁縫とかお料理とかお洗濯も得意でしょ」
「好きです」
 実際にそうだとです、恵梨香も答えます。
「どれも」
「そうよね、それじゃあね」
「私はやっぱり」
「お母さんよ」
「そのポジションですか」
「この前アイロンかけてたけれど」
 オズの国にいた時にです、恵梨香はジュリアからアイロンをかけてお洗濯をした服をそうして整えていたのです。
「糊まで効かして奇麗だったじゃない」
「奇麗になるのが好きで」
「アイロンもかけて」
「はい、そうしています」
「それでよね」
 だからだというのです。
「アイロンも好きなのね」
「やっぱりお母さんは必要だよ」
 馬は今度はこう言いました。
「メンバーの中にね」
「じゃあお父さんは」 
 ナターシャがこのことを尋ねました。
「誰かしら」
「それはナターシャかな」
「私女の子だけれど」
「立場的にね、しっかりしてていつも落ち着いていて」
 それで、というのです。
「リーダーのジョージや知恵袋の神宝の行動や考えにいつも最初に頷くじゃない」
「だからなの」
「物事を決めて背中を押してあげるのがお父さんだから」
「私はお父さんなのね」
「その位置だと思うよ」
「その考えだと」
 それならと言うドロシーでした。
「男の子がお母さんってこともあるわね」
「そうだね、確かに」
「ええ、そうよね」
「こういうことは性別じゃなくて」
「それぞれの個性なのね」
「そうだと思うよ、それでドロシー達は皆のお姉さんになるよ」
 ドロシーだけでなくベッツイやトロットもというのです。
「オズマにしてもね」
「お父さんお母さんのお姉さんなのね」
「そうなるよ」
「何かそれも微妙ね」
 今度はドロシーがこうしたことを言いました。
「それだと叔母さんになるから」
「あはは、神宝達のね」
「そうなるけれど」
「いやいや、お姉さんはお姉さんだよ」
「五人の?」
「このことは血縁じゃなくて立場だから」
 その位置になるからというのです。
「だからね」
「それでなのね」
「ドロシー達は五人のお姉さんになるよ」
「そういうことね。それじゃあ皆いいかしら」
 ここまでお話してでした、ドロシーは。
 その五人にです、言葉で手を引いて言いました。
「行きましょう、皆で」
「はい、じゃあ」
「これから」
 五人も笑顔で応えます、ですが。
 ここで、です。またジュリアが来て皆に言ってきました。
「出発の前に」
「どうかしたの?」
「お茶はどうですか?」
 こう笑顔で、です。ドロシー達に言うのでした。
「これから」
「あっ、もうその時間なの」
「はい、ティータイムです」
「さっきお茶とお菓子を食べたけれど」
「またどうでしょうか、さっきは食後のデザートでしたよね」
「ええ、そうだったわ」
「デザートはデザートで」
 そしてというのです。
「ティータイムはティータイムで」
「それでよね」
「如何でしょうか」
「そうね、それじゃあね」
 ドロシーもジュリアの言葉に頷いてでした、そのうえで五人に言いました。
「じゃあ出発前に」
「はい、これから」
「ティータイムですね」
「まずは」
「ティータイムは守らないと」
 それこそというのです。
「折角だから」
「そうですね、それじゃあ」
 神宝が笑顔で応えます、そして。
 ジョージもです、皆に言いました。
「まずはお茶にしよう」
「いいと思うわ」
 リーダーの言葉にお父さん役のナターシャが微笑んで頷きます。
「これから」
「そうだよね、今度のお菓子は何かな」
 ムードメーカーのカルロスはこのことを楽しみにしています。
「一体」
「イギリス風にね」
 ジュリアが笑顔でカルロスに答えます。
「三段でスコーン、フルーツサンド、エクレアよ」
「わかりました、その三段ですね」
「そうよ、お茶はコーヒーもあるわ」
「紅茶はミルクティーですか?」
 恵梨香はお茶について尋ねました。
「イギリス風ということは」
「レモンティーもあるわよ」
「そちらもですね」
「どちらも楽しんでね」
「はい、わかりました」
 恵梨香は笑顔で頷きました、こうして皆は出発前にティータイムを楽しむことにしました。そしてなのでした。
 ドロシーはレモンティーを飲みつつスコーンを食べて言うのでした。
「イギリス風だけれどね」
「この三段のティーセットは」
 神宝が応えます、見ればこの子もレモンティーを飲んでいます。
「そうですよね」
「ええ、けれどね」
「それでもですね」
「味はアメリカね」
「そちらの味ですよね」
「それもこの味は」
「ニューヨークですね」
 ジョージが答えました、アメリカ人の彼が。
「そちらの洒落た感じの味ですね」
「そちらなのね」
「はい、今の」
「そうなのね」
「アメリカもそれぞれの地域で味に違いがありますからね」
「そうよね、同じものでもね」
「また違います」
 それで今のティーセットはというのです。
「地域で」
「ジョージはニューヨーク行ったことがあるのね」
「はい、遠いですけれど」
 それでもというのです。
「あります」
「それで知ってるのね、私はね」
「ドロシーさんは」
「カンサスで生まれ育ってね」
 それで、というのです。
「ニューヨークの、それも今の味は」
「ご存知ないですか」
「そうなの、ここに来たのはずっと前だし」
 だからだというのです。
「知らないのよ」
「そうですね、言われてみれば」
「ええ、だからこの味がニューヨークの味だって言われると」
「それで、ですね」
「納得するわ」
「そうですか」
「八条学園には出入りしてるわ」
 五人が行き来している時計塔のあの渦を使ってです。
「そうしているわ、けれどね」
「それでもですね」
「ニューヨークには行ってないから」
「けれどイギリスの味は」
「それは知ってるの」
 何故知っているかといいますと。
「イギリス風の味付けのお料理もオズの国にはあるから」
「だからですか」
「イギリス料理、それもイギリス系の人が作った様なね」
「オズの国はアメリカが反映されますからね」
 神宝はこのことから何故オズの国にイギリスの味があるのかも察しました。
「だからですね」
「そう、それで私もイギリスの味を知ってるの」
「イギリスからの一世の人ですね」
「そうなのよ」
「それでイギリスの味は」
「やっぱり私的にはアメリカの味がいいわね」
 この辺りやっぱりアメリカで生まれ育ったからです。
「ティーセットにしてもね」
「そうなりますね」
「そう、だからなのよ」 
 ドロシーはレモンティーのおかわりを自分から入れてお話しました。
「紅茶もね」
「ミルクティーよりはですね」
「レモンティーよ」
 お茶もこちらだというのです。
「ミルクティーを飲む時もあるけれど」
「大抵は」
「そう、レモンティーよ」
 今飲んでいる様にというのです。
「飲んでるわ」
「そうですよね」
「ええ、こうしたティーセットも」
 イギリス風のそれを楽しむ時もなのです。
「私はこちらよ」
「これ和風でもいけません?」 
 ここで恵梨香はこんなことを言いました。
「そういえば」
「日本のお茶と和菓子で」
「はい、そんなこと思いましたけれど」
「そうかも知れないわね」
「お抹茶で」 
 まずはお茶から言う恵梨香でした。
「お菓子はお饅頭とか羊羹、どら焼きやキンツバで」
「あとお団子もね」
「そうしたのでいけますよね」
「聞いてたらそれだけでね」
 ドロシーは恵梨香のお話を聞いてにこにことして言います。
「食べたくなったわ」
「じゃあ今度」
「ええ、食べてみましょう」
 その和風ティーセットをいうのです。
「お話してるだけでいい感じだから」
「それじゃあ」
「あと中華でもいけません?」
 神宝も言いました。
「中国のお茶とお菓子で。ただ」
「それだと飲茶じゃないかな」
 ジョージがその神宝に言います。
「あれだよね、ごま団子とか桃饅頭とか」
「うん、そういうのを食べながらね」
 お茶を飲むというのです。
「大人の人はお酒になったりもするけれど」
「それで蒸し餃子とか小龍包とか焼売を食べて」
「あと麺もね」
「じゃあやっぱり飲茶だよ」
 ここまで聞いてまたこう言ったジョージでした。
「それならね」
「そうなるね、言われてみれば」
「そうだよね」
「じゃあ中華風のティータイムは」
「そのままじゃない」 
 まさに飲茶だというのです。
「アメリカでもあるよ、それ」
「チャイナタウンとかで」
「僕の住んでいた場所にもあったから」
 そのチャイナタウンがというのです。
「僕も好きだよ、飲茶」
「そうだね、そういえばアメリカでも」
「こうしてね、お茶とお菓子楽しむよ」
 今みたいにとです、ジョージは神宝に答えました。
「イギリス風はあまりないけれど」
「けれどお菓子をたっぷり食べて」
「うん、それでね」
「こうしてレモンティーやコーヒーを飲んで」
「楽しんでるよ」
 このことはアメリカでもというのです。
「三段セットもあるけれどそれよりも」
「ドーナツとかパンケーキ、普通のケーキを食べるわね」
 ドロシーもジョージに言います。
「私そちらも楽しむから」
「そうですよね」
「ドーナツいいわよね」
「はい、最高のお菓子の一つですよね」
「ドーナツも食べたくなったわね」
 そちらにも移り気するドロシーでした。
「和風ティーセットも飲茶もいいけれど」
「ドーナツもですね」
「パンケーキもそうだけれどね」 
「中々いいですよね」
「ええ、それもいいわね」
 また言うのでした。
「こうしておやつの時間に楽しむ方法もそれぞれね」
「私のお勧めは」
 ナターシャが言うことはといいますと。
「やっぱりロシアンティーです」
「ジャムを舐めながらよね」
「飲むやり方です。それでお菓子は」
「あのロシア風の」
「硬いクッキーみたいなものです」
「ロシアのケーキもそうよね」
 ドロシーはこのお菓子についても応えます。
「硬くて。けれど凄く甘くて」
「私的にはケーキはそちらです」 
 ロシア人だからです、このことは。
「ロシア風のケーキで」
「そうよね」
「はい、この楽しみ方がお勧めです」
「そちらもよくなってきたわね」
 ドロシーはお菓子についてはかなり移り気です、それでロシアのお茶についてもその移り気を向けたのです。
「何か」
「じゃあコーヒーにうんと甘いお菓子は」
 最後にカルロスが言ってきました。
「どうでしょうか」
「何か皆よくなってきたわね」
「ドロシーさん甘いもの大好きですからね」
 神宝もにこりと笑ってお話します。
「そうですよね」
「ええ、何でも好きだけれど」
 それでもというのです。
「甘いものは特にね」
「大好きですよね」
「そうなの、だからこうしたお話になると」
「自然とですね」
「乗るのよ」
 お話の波、それにです。
「そうなるわ」
「そうですよね、僕達もそうですし」
「甘いものは最高の魅力があるわ」
 それこそというのです。
「もうどれもいいわね」
「甘いものからは離れられないっていいますけれど」
「本当にそうよね」
「はい、こうしてティーセットを楽しむことも」
「いいわよね」
「そしてこのティーセットを楽しんで」
「全部食べたらね」
 その時にというのです。
「真実のいけに行きましょう」
「わかりました」
「それでね、カエルマンさんお元気かしら」
「最近エメラルドの都にも来られてないんですね」
「そうなの、ずっと村にいるの」
 そのイップの村にです。
「そこで村の人達と仲良く楽しく暮らしてるから」
「だからですね」
「都には最近来てないわ」
「何かカエルマンさんは」 
 神宝はこのことを聞いてこんなことを言いました。
「かかしさんや木樵さんと比べてあまり都に来られないですね」
「そうなの、かかしさんや木樵さんはよくね」
「来ますよね」
「あの人達は私の一番の親友の人達だから」
「僕と一緒でね」
 ドロシーの横にいつもいるトトも言います。
「あの人達はドロシーの一番の親友だよ」
「そうだよね」
「そうそう、かかしさんや木樵さん達も呼びましょう」
 この人達のお名前が出たところでドロシーは閃きました。
「それで一緒にジグゾーパズルを楽しみましょう」
「他の人達も呼びましょう」
 神宝はここでドロシーにさらに提案しました。
「かかしさんや木樵さん以外にも」
「それで皆で楽しむのね」
「それでどうでしょうか」
「いいわね」 
 にこりと笑ってです、ドロシーは神宝の提案に頷きました。
「やっぱり皆で楽しむ方がいいから」
「ジグゾーパズルも」
「こうした遊びもね」
「さっきのクロスワードもそうでしたし」
 六人であれこれ考えながらするととても楽しかったです、それで今回のジグゾーパズルもというのです。
「お花のそれも」
「いいわね、じゃあね」
「パズルになっているままで都まで持って行って」
「カエルマンさんがよかったら都まで来てもらって」
「皆でパズルを解きましょう」
「それじゃあね」
 こうしたことも決めてでした、皆はまずはティータイムを楽しんでそうして馬車で真実の池に向かうのでした。



今回の旅はドロシーとみたいだな。
美姫 「みたいね。目的地は真実の池」
花のパズルか。一体、どんなのだろうな。
美姫 「途中でカエルマンが合流するみたいだけれど」
今度の旅はどんな感じになるのか。
美姫 「次回も待っていますね〜」
ではでは。



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