『オズのモジャボロ』
第十二幕 楽しいパーティー
一行は遂にでした、エメラルドの都の輝かしい門の前まで来ました、そしてその門のところには誰がいたかといいますと。
ボタン=ブライトがいました、ボタン=ブライトは右手を上げて大きく振って皆に言ってきます。
「また会ったね」
「ううん、かかしさん達の言った通り」
「本当にここにいたね」
「再会出来たね」
「ほらね、会えたね」
木樵もここで五人に言います。
「ボタン=ブライトに」
「そうですね、本当に」
「ボタン=ブライトには絶対に会えるんですね」
「普通に」
「こうして」
「ボタン=ブライトはそうなんだ」
例えです、迷子になって急にいなくなってもなのです。
「また、それもここぞっていう時に会えるんだよ」
「そうした子なんですね」
「この子は」
「ボタン=ブライトは不思議な子だよ」
まさにというのです。
「急に出て来て急に消える、そしてね」
「また会える」
「そうした子なんですね」
「僕ね、ずっと歩いていたんだ」
ボタン=ブライトも言ってきます。
「黄色い森の中をね」
「ウィンキーの森をなんだ」
「そこを」
「うん、その中を歩いていたら」
すると、というのです。
「気付いたらここにいたんだ」
「エメラルドの都の門に」
「ここに」
「そうなんだ」
「それじゃあだけれど」
恵梨香はボタン=ブライトがどう答えるのかはわかっていました、ですがそれでも彼にこう尋ねたのでした。
「森からどうしてここに来たの?」
「わかんなーーい」
やっぱりです、ボタン=ブライトの返事はこうでした。
「気付いたらここにいたんだ」
「やっぱりそうなのね」
「うん、本当に気付いたらなんだ」
「そこもいつも通りね」
「そうだよ、僕はいつもね」
迷子になって道を適当に歩いていればというのです。
「気付いたらいるんだ」
「そうよね」
「さて、それではね」
かかしがここで言ってきました。
「いいかな」
「はい、それじゃあ」
「今からですね」
「中に入ろう」
エメラルドの都、その中にというのです。
「そうしよう」
「はい、わかりました」
「じゃあ今から」
五人はかかしの言葉に笑顔で頷きました、そうしてでした。
皆で衛兵さんにお話をして門を開けてです、懐かしい緑の都に戻ったのでした。都は今日も明るく緑に輝いています。
その中央の一際立派な宮殿に辿り着くとです、整った顔立ちの青年が来てでした。そのうえでモジャボロに言ってきました。
「お帰り、兄さん」
「ああ、帰って来たよ」
モジャボロはその青年と抱き合ってから言いました。
「今ね」
「うん、待ってたよ」
「留守中何もなかったかな」
「いつも通りだったよ」
つまり平和だったというのです。
「楽しく過ごせていたよ」
「そう、それは何よりだよ」
「うん、それでだけれど」
ここで、なのでした。弟さんはお兄さんにこう言いました。
「姫様がお待ちだよ」
「オズマ姫がだね」
「そう、後はね」
「後は?」
「ベッツイ嬢もトロット嬢も待っているよ」
ドロシーと共にオズの国にいる二人の女の子もだというのです。
「もうパーティーの準備は出来ているから」
「早いね」
「うん、僕達が準備しておいたから」
「ではね」
「そう、今からね」
まさにというのです。
「まずは王女様にお会いして」
「只今の挨拶だね」
「そうしよう」
こうお話してでした、皆はといいますと。
弟さんにです、こう言われました。
「じゃあこれから王女様とお会いするから」
「だからですね」
「今から」
「まずはお風呂に入ってね」
そうしてというのです。
「服を着替えて髪をといてね」
「綺麗にしてですね」
「それからですよね」
「姫様に会ってね」
オズマにというのです。
「それからパーティーだよ」
「ベッツイさんとトロットさんにもお会い出来ますよね」
恵梨香が弟さんに二人のことを尋ねました。
「そうですよね」
「勿論だよ、あの娘達もいるよ」
「そうですか、それは何よりです」
「キャプテン=ビルもいるよ」
この人もだというのです。
「あの人もね」
「そうですか、あの人も」
「皆集まってるよ」
そうだというのです。
「それと君達が招待状を渡してくれた人達も」
「チョッキンペッドに兎の王様に」
「他の王様達もですね」
「もうすぐ来るよ」
彼等もだというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「賑やかにですね」
「うん、楽しもう」
皆で仲良くというのです。
「それじゃあいいね」
「はい、それじゃあ」
「今からですね」
「まずは長旅の疲れをお風呂で癒してね」
こうも言う弟さんでした。
「それからだよ」
「わかりました」
「それじゃあ」
五人は弟さんの言葉に笑顔で応えました、そうしてなのでした。
皆は用意してもらったお風呂に入りました、恵梨香とナターシャは緑の大理石と宝石、金と銀で飾られたとても綺麗で大きな浴室に入りました。ドロシーも一緒です。男の子達はモジャボロとボタン=ブライトと共に入りました。
その浴槽の中で、です。恵梨香は同じ浴槽の中に入っているドロシーに言うのでした。
「ここのお風呂っていいですよね」
「恵梨香って本当にお風呂好きよね」
「はい、大好きです」
恵梨香はドロシーの言葉に笑顔で答えました。
「温かくて身体が綺麗になって」
「だからなのね」
「そうです、大好きです」
「そうなのね、じゃあね」
「今はですね」
「お風呂に入って身体を綺麗にして」
「疲れを癒して」
長い旅のそれをというのです。楽しい旅でしたが疲れがあるのは確かです。しかしその疲れをというのです。
「それからですね」
「そう、オズマに会いましょう」
「オズマ姫もお元気ですよね」
「オズマはいつもそうよ」
元気だというのです。
「だからそのオズマとね」
「今日もですね」
「明るくお話しましょう」
「それからですよね」
「ええ、パーティーよ」
待ちに待ったそれです。
「最後にはそれを楽しんでね」
「わかりました」
「柿もありますよね」
ナターシャが言ってきました。
「あれも」
「ええ、あるわよ」
ドロシーはナターシャににこりと笑って答えました。三人はお湯の中で温まりながらそのうえでにこにことしてお話をするのでした。
「あの果物もね」
「そうですか、それじゃあ」
「楽しく食べてね」
「そうさせてもらいます」
「勿論他の食べものもあるから」
それも一杯、です。
「楽しんでね、このパーティーも」
「わかりました、それじゃあ」
「私も身体を綺麗にしてからね」
そのうえでだとです、ドロシーも言うのでした。
「服も着替えて」
「そうしてですよね」
「それから」
「ええ、オズマのところに行ってね」
そうしてだというのです。
「まずは挨拶をしてね」
「それからですよね」
「今度は」
「そうよ、パーティーも出てね」
「それで、ですよね」
ここで恵梨香がドロシーに笑顔で尋ねることはといいますと。
「これまで招待状をお渡しした皆さんも」
「来てくれるわよ」
「そうですよね、楽しみですよね」
「賑やかなパーティーになるからね」
ドロシーもこう言うのでした、そしてです。
三人はお風呂からあがって綺麗なドレスに着替えました、ドロシーは白の絹のとても可愛らしいドレスです。
恵梨香はピンク、ナターシャは黒です。それぞれのドレスを着てでした。
三人でオズマのお部屋に向かいます、その途中でモジャボロ達に会いましたが皆とても綺麗な服を着ています。
ジョージは赤、神宝は青、カルロスは黄色です。それぞれの色の服を着ています。そしてモジャボロはといいますと。
とても派手な色合いのフリルが沢山ついた服を着てです、お髭も髪の毛も綺麗に幾つもの三つ編みで飾られています。そのモジャボロを見てです。
綺麗なセーラー服を着ているボタン=ブライトがこう言いました。
「モジャボロさんもおめかししてるね」
「うん、僕のね」
まさにそうしているとです、モジャボロも答えます。
「こうしてね」
「とても綺麗だね」
「僕のお洒落は他の人とちょっと違うんだ」
「三つ編みにしてだね、髪の毛もお髭も」
「そう、綺麗に洗って拭いて櫛も入れてね」
そうしてだというのです。
「それからなんだ」
「服も綺麗にしてだね」
「手間はかかるけれど」
髪の毛とお髭があまりにも長くてもじゃもじゃしているからです、モジャボロという名前は伊達ではないといったところでしょうか。
「それでもお洒落はね」
「そうしてだよね」
「うん、たまにはいいかな」
こうしたお洒落もというのです。
「いいね」
「兄さんとても似合ってるよ」
弟さんも見事な礼装姿です、その服でお兄さんに言います。見れば三人の男の子達もそれぞれの色の礼装、タキシードです。
「やっぱり兄さんも綺麗にしないとね」
「たまにはね」
「よく見れば普段のつぎはぎの服も綺麗にしてるね」
「お風呂にも入ってるよ」
そこはちゃんとしているのです、モジャボロも。
「そうしているよ」
「そうだね、じゃあね」
「うん、オズマ姫のところに行こう」
「是非ね」
こうしたことをお話してでした、皆でオズマのところに行きました。するとそこにはもうかかしと木樵がいました。
かかしも綺麗に洗濯してもらってです、中の藁を新鮮なものに詰め替えています。木樵も全身に油を塗ってぴかぴかに磨いています。
その身なりをした姿で皆に言ってきます。
「やあ、ようこそ」
「僕達も丁度オズマのところに来たところなんだ」
「皆綺麗になったね」
「とても似合ってるよ」
「皆久しぶりね」
オズマは金と銀に輝く、刺繍まで丁寧に入れられたドレスを着ています。その頭には薄いヴェールと様々な宝石で輝く冠があります。
「お元気そうで何よりよ」
「お久しぶりです」
「戻ってきました」
五人がオズマに応えます。
「王女様もお元気そうですね」
「何よりです」
「ええ、私も元気よ」
にこりと笑ってです、オズマも五人に答えます。
「それではね」
「はい、もう少ししたらですね」
「パーティーですね」
「はじめるわよ」
そのパーティーをだというのです。
「皆もそろそろ来てくれるわ」
「最初が誰がでしょうか」
「この宮殿に来てくれるでしょうか」
「そのことも楽しみよね」
「はい、そうですね」
「どなたか来てくれるのか」
皆笑顔で応えます、そのうえで皆で宮殿のオズマの間で待ちます。するとそのお部屋に次はです。
二人の少女が来ました、彼女達はといいますと。
「あっ、ベッツイさん」
「トロットさんも」
「あら、あんた達もなのね」
「パーティーに参加するのね」
二人の少女、ベッツイとトロットが来ました。二人共ドロシーよりも少し年下で五人よりは年上の感じです。
その二人が来てです、こう五人に言うのでした。
「私達もパーティーに参加させてもらうから」
「楽しみにしているわ」
「はい、何かベッツイさんともですね」
「トロットさんとも」
恵梨香とナターシャがこう応えます。
「こうしてお会い出来ましたし」
「楽しみです」
「そうよね、今度は私ともね」
「私ともよ」
二人の少女は五人に笑顔で言うのでした、とても明るく嬉しそうなお顔で。
「旅をしましょう」
「一緒にね」
「その時はね」
ここでトロットが言うことはといいますと。
「キャプテンとも一緒だからね」
「キャプテン=ビルさんともですか」
「一緒ですか」
「ええ、そうよ」
トロットにとってキャプテンはまさに心からの友人です、その船長さんも彼女との旅の時には一緒だというのです。
「その時は楽しみにしていてね」
「わかりました、じゃあ」
「今度一緒に旅をしましょう」
「そうしましょうね」
「私もよ」
今度はベッツイが言ってきました、五人に。
「私とも今度旅をしましょうね」
「ベッツイさんともですか」
「一緒に」
「ええ、そうしましょう」
是非にというのです。
「その時はハンクも一緒よ」
「驢馬のですね」
「あの人とも」
「そうよ、一緒だからね」
だからだというのです。
「その時はお願いね」
「はい、それじゃあ」
「その時は」
こうしたことをお話してでした、そうしてです。
五人はベッツイ、トロットとも挨拶をしました。ベッツイはベッツイ=ボビンという自分のお名前も五人に言いました、綺麗な黄色の髪に黒い瞳と薔薇色の唇、白いお肌の女の子です。
トロットはブラウンの髪に青い瞳の愛らしい顔立ちの女の子です。背は四人の少女の中で一番小柄です。勿論二人も綺麗なドレスを着ています。
皆は謁見の間に移りました、するとそこに。
次々と人が入ってきました、その驢馬のハンクにつぎはぎ娘とガラスの猫にビーナ。それに木挽の馬とチクタク。
ムシノスケ博士の次にです、青いコートを着た頭がすっかり禿げてしまった淡い青の目の白いお髭の男の人も来ました、左足は義足になっています。
その人を見てです、トロットが五人に言いました。
「この人がね」
「そうですよね、キャプテン=ビルですね」
「船長さんですよね」
「そうよ、この人がね」
まさにというのです。
「私の一番のお友達の一人よ」
「やあ、ようこそ」
船長さんも笑顔で五人に挨拶をしてきました。
「君達に会えて光栄だよ」
「いえ、僕達の方こそ」
「船長さんにお会いできて光栄です」
「オズの国の名船長さんにお会い出来て」
「ははは、もう船長さんではないよ」
船長さんはこのことは笑って言うのでした。
「船には乗っていないからね」
「だからですか」
「船長さんじゃないんですか」
「そうだよ、今はね」
そうだというのです。
「わしはね」
「けれど船長さんってお呼びしてもいいですよね」
「この呼び方で」
「呼び方は何でもいいよ」
船長さんでも何でもというのです。
「とにかくこれからはわしとも友達になってくれるかな」
「はい、喜んで」
「お願いします」
五人は船長さんに笑顔で応えます、こうしてでした。
五人と船長さんもお友達になりました、この人の他にもです。
沢山の人達が来ます、グリンダも来ました。そして。
ガーゴイルの王様が来てです、こう言いました。
「来たよ」
「待ってたわ」
「やあ、ドロシー王女」
王様がドロシーに笑顔で応えます。
「暫くぶりだね」
「そうね、よく来てくれたわ」
「是非共来ないと」
王様は笑顔でドロシーに言うのでした。
「折角の招待だからね、しかもオズマ姫からの」
「だからなのね」
「来た、そして」
「今からね」
「楽しませてもらう」
これからはじまるパーティーをだというのです。
「今から」
「では他の人達が来たら」
ここでまたです、オズマがお話するのでした。
「はじめましょう」
「はい、いよいよですね」
「パーティーを」
五人が期待している目で応えてでした、オズマの言葉に頷いて。
他の人達もです、次々に来ました。
ミス=チョッキンペッドに兎の王様、狐の王様と驢馬の王様にです。
ミュージッカーも来ました、そしてスクードラーの王様も。
その人達が全て揃ってからでした、オズマは言いました。
「では今から」
「パーティーですね」
「これから」
「皆で宮殿のお庭に出て」
そこでだというのです。
「パーティーをはじめましょう」
「今回は屋外でのパーティーですか」
恵梨香がオズマの言葉を聞いて応えました。
「そうなんですね」
「そう、食堂でとも考えたけれど」
「今回はですね」
「お外でもいいと思って」
それでだというのです。
「そうしたのよ」
「そうなんですね」
「ではね」
今からというのです。
「皆で楽しみましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「今ここに来ていない人達もいるわよ」
そのお庭にというのです。
「ジャックがいるわよ」
「そういえばジャックさんは」
謁見の間にはいないです、その人はというのです。
「おられないですね、今は」
「そうでしょ、けれどね」
「王宮まで一緒でしたから」
「ジャックはお庭にいてね」
そうしてというのです。
「臆病ライオン、腹ペコタイガーと一緒にいるわ」
「あの人達と一緒だったんですか」
「そうよ、ヘンリーおじさんとエムおばさんもね」
お二人もそこにいるというのです。
「一緒よ」
「そうですか、じゃあ皆が一緒で」
「そう、仲良くね」
そうしてというのです。
「楽しみましょうy」
「わかりました」
恵梨香が五人を代表して笑顔で応えてでした、皆はオズマを先頭にしてそうしてお庭に向かうのでした。
そのお庭にです、ジャックがいてです。
臆病ライオンと腹ペコタイガーもいました、二匹のオズの国の偉大な動物達は一行を見てこう言ってきました。
「やあ、待ってたよ」
「じゃあ今からだね」
「パーティーだね」
「はじまるんだね」
「ええ、そうよ」
その通りだとです、オズマが彼等に答えます。
「今からはじめるわよ」
「わかったよ、じゃあね」
「僕達もそれぞれの場所にいって」
「そうしてだね」
「皆で楽しく」
「僕も楽しませてもらうよ」
ジャックもそのお顔をにこにことさせています、カボチャのそのお顔を。
「これからね」
「あっ、ジャックさんの服も」
「そうだね」
ジョージと神宝はここでジャックの服に気付きました。見ればです。
ジャックは都に来るまでの服とは違いです、綺麗な服を着ています。これまでの服と同じデザインですが綺麗になっています。
その服を見てです、ジョージと神宝は言うのです。
「綺麗になってるね」
「ちゃんとね」
「洗濯もしたしアイロンもかけたし」
「ぱりってしてるよ」
「うん、洗濯してもらってね」
実際にそうだと答えるジャックでした。
「アイロンもかけてもらったんだ」
「だからですね」
「綺麗なんですね」
「そうだよ、パーティーに出るからね」
それ故にというのです。
「僕も服を綺麗にしたんだ」
「そうなんですね、ジャックさんも」
「そうされたんですか」
「あたしもよ」
つぎはぎ娘もこう言ってきました。
「洗濯してもらったのよ、乾かしてもらってね」
「色が落ちるとかは」
「そっちの心配はもういらないの、あたしはね」
こうカルロスにお話します。
「ちゃんと魔法でそうしてもらったから」
「あっ、そうなんですか」
「もうあたしは色落ちも怖くないの」
こうくるくると回りながらカルロスにお話します。
「怖いのは火だけよ」
「それはですね」
「そう、かかしさんと一緒でね」
駄目だというのです。
「けれどそれ以外なら平気だから」
「洗濯しても綺麗になるだけですね」
「どう、今のあたし」
「綺麗です、それに」
「それに?」
「いい匂いもします」
洗剤のその匂いがするというのです。
「とても」
「それは何よりね」
「じゃあ今からつぎはぎ娘さんも」
「あたしは何も食べないし飲まないけれどね」
かかしや木樵、ジャック達と同じくです。ですがそれでもだというのです。
「雰囲気をご馳走になるよ」
「わかりました、それじゃあ」
「あっ、今は」
ここでなのでした、不意に。
オズマはです、場を見回してこう言いました。
「あっ、まだ来ていないわね」
「そうね、そういえばね」
ドロシーもオズマのその言葉に応えました。
「あの娘が来ていないわね」
「まだね」
「そう、あの娘がまだよ」
「あの娘?」
ナターシャは最初は二人の言葉の意味がわかりませんでした。それで首を傾げさせてしまいました。ですが。
すぐにです、はっとなってこう言いました。
「そうですね、あの人がまだですね」
「そう、だからね」
「もう少し待ちましょう」
こう言うのですた、二人はナターシャにも。
「もう少しで来るから」
「それまでの間はね」
もうご馳走に飲みものは全部用意されています、それでもでした。
「オジョとウージィも一緒だから」
「二人もあの娘と一緒だからね」
「だからここはね」
「今はね」
「はい、待ちます」
ナターシャが言ってでした、そして。
四人もです、その他の人達もです。
今少しだけ待つことにしました、それから数分経ちますと。
お空から虹が出てきました、その虹からです。
虹色の服を着たポリクロームとです、青いマンチキンの服を着た男の子と四角い木の四本脚の生きものが降りてきました。
その少年と生きものを見てです、ナターシャは言いました。
「幸運なオジョとウージィね」
「そうね、あの子達も来たのね」
「そうなのね」
「遅れて御免なさい」
ポリクロームは虹から降りて出てきました。
「オジョの今の居場所がわからなかったから」
「実はマンチキンの国に戻ってたんだ」
オジョがこう言ってきました。可愛らしいマンチキンの男の子です。
「そのことをポリクロームにお話してなくて」
「それで少し探したの」
そしてというのです、ポリクロームも。
「遅れたのよ」
「御免、言ってなくて」
「いいわ、だってそこにウージィもいたから」
それで見つけられたからというのです。
「それにね」
「そう、私も誘ってもらったからね」
もう一人虹から降りてきました、黄色い軍服とスカート、ブーツを着たその女の子は誰かといいますと。恵梨香が言いました。
「あっ、アン=アンナコレヤ女王」
「私を知ってるのね」
「ベッツイさんと一緒にノームの国に行ってた」
「そう、あの時からオズの国に行ったね」
そしてだというのです。
「そのウーガブーの国の女王よ」
「そうでしたね」
「ええ、それで私もね」
「ポリクロームさんにですね」
「パーティーに呼ばれたの」
彼女もだというのです。
「ポリクロームは他の人も一杯呼んでくれたから」
「それじゃあその人達も」
「今から」
「そう、降りてくるから」
虹からとです、その言葉通りです。
虹からオズの国の名士達が次々と降りてきます、そうしてです。
そのうえでなのでした、オズマが皆が揃ったところで。
蒲萄のジュースが入ったグラスを手に取ってです、そのうえで。
右手に大きく掲げてです、こう言いました。
「それでは今から」
「はい、今からですね」
「パーティーを」
「そうしましょう」
それをはじめようというのです。
「それではね」
「はい、では」
「私達も」
皆もそれぞれです、今来た人達も。
それぞれのグラスを手にしました、他の人達もです。
それからでした、皆で。
「乾杯!」
「乾杯!」
こう言ってでした、そして。
皆でパーティーをはじめるのでした、その中には五人のそれぞれのお国のお料理もあって。
勿論柿もありました、ナターシャはその柿、ナターシャの世界と同じ色の柿を食べつつドロシーに笑顔で言いました。
「美味しいです」
「そうよね、美味しいわよね」
「それに」
ここで、です。お皿の上に置かれているオズの国の柿達を見ますと。
オズの国のそれぞれの色の柿があります。その柿達もです。
ナターシャだけでなく皆も食べました、そして柿も他の果物も楽しんで、です。
五人はパーティーが終わるとオズの国の皆と笑顔で手を振り合って別れてまた自分達の世界に戻りました。そしてまたオズの国にお邪魔しようと思うのでした。
オズのモジャボロ 完
2014・3・16
無事に戻って来たな。
美姫 「そうね。パーティーもつつがなく終わったしね」
かなり楽しんでいたしな。
美姫 「色んな人たちと仲良くもなれたみたいだしね」
良い人たちばかりだからな。
美姫 「パーティーが終わると、五人はまた自分たちの世界へと帰って行ったみたいね」
だな。今回の冒険はこれでお終いっと。
美姫 「またいつかオズの国には来るんでしょうけれどね」
まだ行っていない国もあるしな。
美姫 「とりあえず、今回はここまでなのね」
みたいだな。投稿ありがとうございました。
美姫 「ありがとうございました〜」