『恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS』




                            第十四話  袁紹、お宝を探すのこと

「夏侯淵様、曹操様ですが」
「どうした?」
 夏侯淵は廊下で兵士の言葉に応えていた。
「何かあったのか?」
「官渡におられる曹操様ですが」
「うむ」
「刺客に襲われました」
「何っ!?」
 それを聞いてすぐに目の色を変える。表情こそは変えなかったが。
「それで御無事か」
「はい、夏侯惇様達もおられましたし」
「そうだな。姉者や夏瞬達がいたな」
 夏侯淵はすぐにその目の色を元に戻して述べた。
「それに袁紹殿の兵達も一緒だったな」
「それに他の世界から来た方々やズィーガー様の援軍もありましたので」
「御無事か」
「はい、主だった方々は皆御無事です」
「そうか。亡くなった者達には丁重にな」
 夏侯淵はそのことへの気配りも忘れていなかった。
「それはな」
「はい、わかりました」
「御苦労。それならばよい」
「いえ、まだあります」
 ところがだった。兵士はまだ言うのだった。
「曹操様はもう少し官渡におられるそうです」
「というとだ」
「はい、袁紹様がどうやら」
「やれやれ、やはりか」
 夏侯淵はそれを聞いてだ。困った顔で溜息を出した。
「やはりそうなったのか」
「おわかりなのですか」
「わかるさ。私は華琳様が御幼少の時から常に御傍にいたのだ」
「はい」
「あの方は子供の頃よく袁紹殿と一緒におられた」
 幼い頃の二人の交流である。
「何しろお互いにな。おありだったから」
「ですね」
 夏侯淵も兵士もわかっていたがあえて言わなかった。二人が何故幼い頃孤独だったのかはもう言うまでもないことであったからである。
「だからよく一緒におられたのだが」
「その時からですか」
「袁紹殿は宝探しがお好きでな」
 このことを話すのである。
「そしてだ。華琳様も御一緒されてだ」
「では宝探しが」
「お好きなのだ。姉者も私もな。宝探しはいつもだった」
「そういうことがあったのですか」
「おかげで何かと大騒動に巻き込まれた」
 夏侯淵のその落ち着いた美貌に優しい笑みも宿った。
「宦官の家の庭に入ったりな。そういえば花嫁泥棒もしたな」
「そうしたこともですか」
「華琳様が仰ってな。我等四人と袁紹殿でな」
「色々とされていたのですね」
「袁紹殿は今もお好きだということか。しかし」
「しかし?」
「まさかここでそうなるとはな」
 今度は苦笑いであった。うっすらとではあったがそれは顔に出ていた。
「あの方々も変わらないな」
「それでその間ですが」
「わかっている」
 すぐに真面目な顔に戻った。
「あの者達だな」
「既にこちらに来ていますが」
「少し話がしたい。私から行かせてもらう」
「それでは」
 こうしてであった。彼女の方からそちらに行ってだ。そのうえで話をするのだった。そこにいたのは数人の屈強な男達だった。
「ああ、夏侯淵さんかよ」
「少し話がしたいと思っていてな」
「いいか?」
 こうそれぞれ夏侯淵に対して言うのだった。見ればどれもかなり大柄である。
「うむ。ロイ=ウィルソン殿に、マスター=バーンズ殿、ビッグ=ボンバーダー殿にエチャック=ビッグボム殿だな」
「ああ、名前も覚えておいてくれたのかよ」
「悪いな」
「名前を覚えるのは当然のことだ。これから共に戦う者同士なのだからな」
 だから当然だというのである。
「だからだ」
「そうか、だからか」
「しかし戦う者同士ってことはな」
「もう採用は決定か」
「うむ、それはもう華琳様も決定しておられる」
 こう四人に話す。
「だから安心してくれ」
「しかしその曹操さんはまだなんだな」
「まだ帰って来られないんだな」
「それは」
「うむ、もう少し待ってくれ」
 流石に宝探しをしているとは言えなかった。今はまだだった。四人が曹操という人間についてまだ全く知らないからである。それでだった。
「もう少しな」
「じゃあそうさせてもらうぜ」
「もう少しか」
「早く仕事がしたいけれどな」
「とりあえずは身体を鍛えておいてくれ」
 今はこう言うのに留めるのだった。
「それでな」
「ああ、じゃあそういうことでな」
「何なら一緒に飲むかい?」
「夜にでもな」
「悪くはないな」
 四人の威勢のいい申し出にも笑顔で応える。
「それではだ。今はだ」
「ああ、楽しくやらせてもらうぜ」
「曹操さんを待ちながらな」
 彼等はそんな話をしてからまた遊びに戻る。そしてその頃袁紹側でもだ。
「またか」
「あの方もな」
「困ったことだ」
 辛評と辛?が困った顔で話をしていた。そこには高覧もいる。
「相変わらず遊び好きだから」
「暗殺されかけたというのにすぐになんて」
「全く」
「その通りね」
 高覧もその顔で二人に対して言う。
「けれど戻られるのは伸びたのはね」
「そうなのよね、それはね」
「それまでは留守番をするしかないわね」
「まああれね」
 ここで辛評が言った。
「向こうに文若ちゃんがいるから陳花を行かせなかったのは正解ね」
「そうね、あの娘陳花と犬猿の仲だから」
「それはね」
 二人も辛評のその言葉に頷くのだった。
「出さなくてよかったわ」
「全く。私達ってそんなに曹操側の人達と喧嘩したくないのに」
「曹操様強いしね」
「だからね」
「それによ。今はね」
 高覧の顔がここで曇る。
「烏丸何とかしないといけないから。その為にわざわざ官渡での御二人の話し合いになったんだし」
「そうよね、喧嘩より今は内政とその烏丸」
「あと西の方も」
 彼女達も色々と問題を抱えているのだった。
 そしてだ。ここで辛?が言った。
「それでまた来た異世界からの人材」
「今度もまた大勢来たしね」
「五人ね」
「あれ、六人じゃないの?」 
 ここで三人の話は少し混乱したものになった。
「確か」
「ああ、あれ本人が別人って言ってるだけだから」
 辛評が顔を顰めさせて二人に話す。
「気にしないで」
「ああ、そうだったの」
「それだったの」
「だから五人よ」
 そしてこうされるのだった。
「五人ね」
「少し会って来るわ」
 ここで高覧が二人に話した。
「その五人にね」
「そうそう、今度はレスラーって言ってるわ」
「全員ね」
 こう話す二人だった。
「何でもね」
「何か取っ組み合って戦うらしいわ」
「取っ組み合いね」
「かなり頑健な人達だから」
「肉体労働にも戦いにも期待できるわよ」
 そんな話をしてだった。高覧はその五人のところに来た。そこにいたのは大柄で逞しい身体をした男達だった。高覧はすぐに辛評から受け取った木簡を見ながらだ。そのうえで彼等の名前を言うのだった。
「テリー=ロジャース殿」
「ああ」
「レオ=ブラッドレイ殿」
「ここにいるぜ」
「ザ=レッドドラゴン殿」
「うむ」
 まずはこの三人だった。
「ザ=ガンダーラ殿」
「ここに」
「そしてブラバーマン殿か」
「いや、俺はブルース=ハブラムだがな」
 強引にこう言うのだった。
「そこはちゃんと頼むな」
「ブルース=ハブラム殿だな」
「ああ、そうだよ。ブラバーマンとは別人さ」
「わかったわ」
 高覧は話を合わせることにした。二人から聞いていたからである。
 そのうえでだ。あらためて話すのだった。
「それでだが」
「採用、いや登用だったか」
 ロジャースが言うのだった。
「そうか」
「その登用だけれどね。それはもう決まってるわよ」
 高覧は微笑んで五人に話した。
「五人共ね。宜しく頼むわ」
「それで袁紹殿は」
 レッドドラゴンは彼女のことを問う。
「まだお戻りにはなられていないか」
「少しね。待っていて」
 こう答える高覧だった。
「少しだけね」
「そうか。ならそれまでの間はトレーニングに専念するか」
「そうだな」
 レオとガンダーラはこう話す。
「何か美味いものでも食いながらな」
「カレーでも」
「カレー?」
 カレーと聞いてだ。高覧はある人物を思い出した。それは。
「ミッキーが好きなあれ?」
「ミッキー?ミッキー=ロジャースかよ」
 ブラバーマンはその名前に反応を見せた。
「あのチャンピオンの」
「あれ、知ってるの?ミッキーのこと」
「ああ、よくな」
 笑って高覧に返すブラバーマンだった。
「ファンだしな」
「ファンって」
「応援してたんだよ。そうか、あいつもこっちに来てるのか」
「アクセル=ホークってのもいるわよ」
「おいおい、それはまた豪華だな」
 今度はロジャースが言ってきた。
「他にも誰かいそうだな」
「ボクサーっていうのやっているのなら他にも」
 高覧もここでさらに話す。
「あれよ。マイケル=マックスっていうのもいるし」
「豪華過ぎるな」
「そうだな」
「チャンピオンが三人か」
 彼等はその話を聞いて顔を見合わせて話す。
「しかし何でこの世界にいるんだ?」
「どうしてなんだ?」
 そしてこのことも考えるのだった。
「一体どうして」
「こっちになんだ?」
「それ私も知りたいと思ってるのよ」
 高覧はいぶかしむ顔で彼等に返す。
「それであんた達はレスラーよね」
「その通りだ」
 レッドドラゴンが答える。
「我々はレスラーだ」
「身体は丈夫ね。それに食べる量は」
 ここで言うのだった。
「猪々子と同じだけ食べるのね」
「レスラーは食べるのも仕事だからな」
 ロジャースがこう言う。
「悪いがな。それはな」
「わかったわ。まあそれも踏まえてね」
 こう話してだった。そしてだ。
「宜しく頼むわね」
「ああ、それじゃあな」
「これからな」
 こうして彼等もこの世界に入るのだった。また多くの戦士達が加わっていた。そしてであった。曹操は今森の中を許緒達と共に進んでいた。
 先頭を進むのは夏侯惇である。その手には巨大な刀がある。それを持って先に進んでいた。
 そしてその中でだ。後ろにいる曹操に対して言う。
「何かこうしていたら」
「どうしたの?」
「昔を思い出します」
 こう言うのである。
「何か」
「そうね。子供の頃のことをね」
 曹操も微笑んで夏侯惇に返す。
「思い出すわね」
「はい、袁紹殿も相変わらずです」
「全くね。何時になっても子供なんだから」
「いつもどちらかに別れて」
「それで遊んでましたね」
 曹仁と曹洪も話をする。
「この宝探しだけじゃなくて」
「他のことも」
「麗羽も一人だったから」
 それも言うのだった。
「私達で集まってね。ところで桂花」
「はい」
 最後尾には荀ケがいた。彼女は両手に付け根を直角に曲げてそれを柄にしている針金を持っている。そのうえで先に進んでいるのだ。
「反応は?」
「今のところありません」
 こう答える荀ケだった。
「まだ」
「そうなの。まだなの」
「けれどこれを使えば絶対に見つかります」
「そうなんですか」
「ええ、そうよ」
 こう許緒にも答える。
「ですから安心して下さい」
「それはそうと桂花」
「何、夏蘭」
 彼女の言葉にも応える。
「前から不思議に思っていたがどうしてあいつとあそこまで仲が悪いのだ?」
「陳花のこと?」
「そうだ、友若だったな」
「あいつね」
 言いながらむっとした顔になる荀ケだった。その幼さが残るが可愛らしい美貌が歪む。
「あいつはね。ちょっとね」
「従姉妹同士なのだろう?それでどうしてだ」
「従姉妹同士でもよ」
 それでもだというのだ。
「あいつとはね。昔から仲が悪かったのよ」
「それで袁紹殿のところには行かなかったのか」
「そうよ。もっとも袁紹殿のところには最初から行くつもりはなかったけれど」
 それはないというのである。
「それでもね。あいつがいるって聞いて」
「それで余計にか」
「あいつだけは許さないから」
 むっとした顔で言うのだった。
「昔から。本当に」
「訳がわからないわね」
「そうね」
 曹仁と曹洪も話す。
「何が何だか」
「もう」
「まあそれはいいとしてよ」
 曹操がここで言った。
「麗羽よりも先に見つけるわよ」
「はい、わかっています」
「負けてはいられませんから」
 こんなことを話しながら彼女達も進む。それと共にだ。
 袁紹もであった。顔良達と共に森の中を進んでいた。そうしてだ。
「さて、こちらですわね」
「あの、違いますから」
「そっちではないですから」
 田豊と沮授がすぐに言う。
「こっちですよ」
「方向が違いますよ」
「あら、そうでしたの」
 二人に言われてだった。袁紹は足を止めた。見れば彼女だけ逆の方向に向かおうとしていた。本当に彼女だけがそこに向かおうとしていた。
「こっちでしたの」
「そうですよ、逆ですから」
「ちゃんとついて来て下さいね」
「わかりましたわ。それでは」
「何か麗羽様って」
「こういうところが抜けてるんだよな」
 顔良と文醜も呆れた顔だった。袁紹の横にはすぐに審配がつく。彼女を護って一歩も引かない感じで護衛を務めていた。
「他にも策謀とか下手だし」
「子供っぽいところあるしな」
「聞こえてますわよ」
 袁紹が後ろから言う。
「全く。何ですの」
「けれど。今だって方向間違えるところでしたし」
「ちゃんとして下さいよ」
「いつもちゃんとしていますわ」
 本人だけがわかっていない。
「わたくし、これでも」
「じゃあ私達についてきて下さいね」
「頼みますよ」
「わかっていますわ。それにしてもこの森は」
 袁紹は森の中を見回しながらまた述べた。
「随分と深いですわね」
「そうですね。熊が出て来ても」
「おかしくないですね」
 田豊と沮授もそれを言う。
「何時何が出て来ても」
「本当に」
 言っている側からであった。前にだ。
 巨大な熊が出て来た。全長二十メートルはあるだろうか。
 田豊がそれを見てだ。まず言った。
「頭のところが赤くなっているけれど」
「これはまさか」
 沮授もここで言う。
「あの伝説の」
「赤兜・・・・・・」
「えっ、赤兜っていったら」
「あれかよ、この国で一番凶暴な熊じゃんかよ!」
 顔良と文醜も唖然とした顔で言う。
「何でこの熊がここに!?」
「確か南蛮にいたんじゃねえのかよ」
「それはわからないけれど。ただ」
「ここにいるのは事実よ」
 田豊と沮授はそれは間違いないという。
「あの赤い頭が何よりの証拠よ」
「だから」
「袁紹様、ここは」
 審配はその手に剣を抜きながら後ろに護る袁紹に告げた。
「逃げましょう!」
「そうですよ、幾ら何でもこれは」
「相手が悪過ぎますよ」
「そ、そうですわね」
 袁紹も真っ青になっていた。
「それではここは」
「はい、全速力で!」
「逃げましょう!」
 こうして六人は必死に逃げる。流石に巨大熊が相手ではどうしようもなかった。
 関羽達は官渡に入っていた。その中でだ。
 張飛がまた歌っていた。関羽がその彼女に問う。
「熊や虎の為だったな」
「そうなのだ。ただ」
「ただ?」
「流石にいないとは思うなのだが」
「どうしたのだ?」
「鈴々も相手が何丈もあったらまずいのだ」
 張飛のその言葉にすぐ返す馬超だった。
「それはもう化け物だろ」
「そうなのだ。そこまであったら流石に勝つのは難しいのだ」
「難しいというよりは逃げた方がいいな」
 趙雲はこう言った。
「流石にそれだけの相手だとな」
「そうですね。流石にそこまでの相手は」
 香澄もそれを言う。
「けれどナコルルがいたらそれも」
「話をできる獣とできない獣がいます」
 だがナコルルはこう言うのだった。
「ですから」
「そうなの。ナコルルでも話ができない獣がいるのね」
「人間と同じか」
 キングはこう考えるのだった。
「それだとな」
「そうですね。人間と同じですね」
 ナコルルはキングの今の言葉に頷いた。
「言われてみたら」
「人間も動物も一緒なのね」
 舞もナコルルのその言葉を聞いて述べる。
「つまりは」
「そういうことか。どんな奴でも心はあるんだな」
 馬超もそれに頷く。するとだった。
 不意に目の前からだ。六人程が出て来てだ。全速力で一行の間を駆け去っていった。
「あれは?」
「袁紹なのだ」
 関羽と張飛は彼女の姿を認めた。
「どうしてここに?」
「何をしているのだ?」
「それはわからないが」
 関羽は眉を顰めさせながら述べた。
「だが。かなり焦っているな」
「何に焦っているのだ?」
「それだったらよ」
 趙雲と馬超はそれを問題とした。
「あそこまで焦っているとなると」
「しかもあれだけ護衛がいるのにな」
「!?」
 するとだった。ここでだ。一行の目の前にあの巨大な熊が出て来た。何と森の木々から身体が出てだ。その巨体を誇示するようにして見せていた。
「おい、何だよこれ」
「熊だな」
 趙雲は冷静に馬超に返す。
「これは」
「いや、それでも大き過ぎるだろ」
「しかし熊だ」
「だから普通の熊じゃないだろ、あれは」
「そうだな」
 わざとあえて冷静に返すのだった。
「ここまで大きいとな」
「どうするんだい、それで」
 キングは熊を見上げながら一行に問うた。
「この熊を」
「駄目です、お話できません」
 ナコルルがここで言う。
「どうやら冬眠しそびれた様で。それで」
「それじゃあここは」
「どうします?」
 舞と香澄もその熊を見上げていた。
「これだけの相手を」
「一体」
「あっ、こいつは」
 ところがであった。張飛がここで明るい顔になって言うのだった。
「ミーシャなのだ」
「ミーシャ!?」
「誰だよそれ」
「鈴々が昔一緒に暮らしていた熊なのだ」 
 こう趙雲と馬超に言うのだった。
「一緒にだと」
「あの化け物とかよ」
「そうなのだ。とてもいい奴なのだ」
 こう話すのだった。
「少し見ない間に成長したのだ」
「成長どころじゃないぞ」
 キングが突っ込みを入れる。
「あの大きさは」
「そうなのだ?熊は大きいものなのだ」
「あれは。赤兜じゃないんですか?」 
 ここで孔明が言った。
「あの伝説の」
「赤兜だと」
「はい、何百年も生きたとてつもなく巨大な熊がいると聞いています」
 こう関羽達に対して話す。
「しかしそれは南蛮の方にいた筈ですが」
「じゃあ何でここにいるのよ」
「それがわからないのですが」
 舞と香澄が孔明の言葉に問い返す。
「それなら」
「どうして」
「それはわかりません。ですが」
 何故その赤兜がここにいるのかはミーシャにもわからない。しかしであった。
「ただ」
「ただ?」
「普通の人間の相手になるものじゃありません」
 このことを真剣な顔で言うのだった。
「ですからここは」
「そうだな。君子危うきに近寄らずだ」
 趙雲がここで言う。
「だからだな」
「はい、これはもうすぐに」
「だから違うのだ」
 しかし張飛はまだ言う。
「これはミーシャなのだ。鈴々の友達なのだ」
「それで何なんだよ、ミーシャって」
 馬超がその張飛に問う。
「鈴益々と一緒に暮らしていたって?」
「そうなのだ。山の中で一緒に楽しく暮らしていたのだ」
 そうだったというのである。
「けれど大きくなり過ぎてお爺ちゃんが山に戻してそれでお別れになったのだ」
「しかしそれは幽州の話だろう?」
 関羽がそれを言う。
「ここは官渡だぞ。黄河を挟んでいるしだ」
「違うのだ、ミーシャなのだ」
 あくまでそれというのだった。張飛はだ。
「絶対にそうなのだ」
「じゃあ証拠は?」
「あるのだ」
 こう舞にも返す。
「その証拠に頭のところが白いのだ」
「赤いですよ」
 今度は香澄が言った。
「見事なまでに」
「・・・・・・違ったのだ。熊違いだったのだ」
「間違いありません」
 そしてここでまた孔明が言う。
「あれはです。赤兜です」
「逃げるか、ここは」
 関羽も流石に青い顔になっている。
「私達の相手になる存在じゃない」
「赤兜は殆ど不死身と聞いています」
 孔明の説明が再び来た。
「ですから」
「そうだな、ここは」
「逃げるしかありません!」
 こう言ってであった。彼女達も逃げ去る。何とか追って来るその赤兜から逃げようと全速力で駆けはじめた。
 袁紹一行は森の中を駆ける。その中でだった。
「皆さんいますわね!」
「は、はい!」
「ここです!」
「います!」
 五人から声がしてきた。
「ちゃんといますから」
「安心して下さい」
「それならいいですわ」
 それを聞いてまずは安心した声を出す袁紹だった。だがその間も全速力で駆け続けている。当然熊から逃げる為である。その為だ。
「ですがそれでも」
「はい、あんな熊あたいの剣でも斬れませんよ」
「私の鎚でも」
 文醜と顔良も駆けている。
「あそこまで大きいと」
「流石に」
「赤兜は不死身らしいです」
「そう書にありました」
 田豊と沮授はよりによってこう言う。
「殆ど神に近いです」
「荒ぶる神です」
「そんなもの相手にはできません」
 審配は袁紹から離れない。
「ですからここは」
「とにかく逃げましょう!」
「絶対に!」
 顔良と文醜が言ってであった。
「とにかく!」
「何とかまかないと!」
「よし、こっちですわ!」
 袁紹は咄嗟にある場所に向かった。
「こっちに逃げれば」
「あっ、そっちは!」
「駄目です!」
 田豊と沮授は主の動きを見てすぐに叫んだ。
「麗羽様、いけません!」
「地図を見ればそこは」
「えっ!?」
 気付いた時にはだった。もう遅かった。
 五人も慌てて袁紹のところに向かう。するとそこは。
 足場がなかった。宙であった。そしてだ。
「えっ!?」
「つまりは」
「ここは」
 そうなのだった。何もなかった。そうしてだ。
「きゃああああーーーーーーーーっ!」
「崖ーーーーーーーーーーっ!」
 六人はそのまままっ逆さまに落ちていった。気付いた時には小川のほとりに見事に落ちていた。しかしそれで誰かが死んだかというとだ。
「皆さん大丈夫でして?」
「はい、何とか」
「生きています」
「無事です」
 こう言ながらだった。六人共起き上がるのだった。
 そしてそれぞれ周りを見渡す。そこは。
「小川?」
「そうですね」
「ここは」
「あの熊はいませんわね」
 袁紹は周りを見回しながら述べた。
「何とかまいたようですわね」
「そうですね。熊は何とか」
「まいたみたいですね」
 田豊と沮授も当然ながら無事だった。
「一時はどうなるかって思いましたけれど」
「それでも」
「まずはよしとしましょう」
 審配もいた。
「全員五体満足で」
「それで地図にここ載ってるの?」
「それはどうなんだ?」
 顔良と文醜が地図を持っている沮授に問う。
「ええ、そうね」
 沮授がその地図を見ながら二人に返す。
 そのうえでだ。こうも言うのだった。
「それにしてもね。麗羽様が御無事でね」
「ええ、そうよね」
「それはな」
 二人も沮授の今の言葉にすぐに頷く。
「若しも何かあったら」
「一番困るからな」
「そうよね」
 沮授はその袁紹を見る。彼女は今は田豊と審配が傍にいて世話をしている。その服の埃を払ったり怪我はないか必死に見ているのである。
「全く。あの戦いの時といい」
「無茶が過ぎます」
 こう言って彼女の世話をするのだった。二人共心配する顔である。
「何かあってからでは遅いですから」
「気をつけて下さいね」
「え、ええ」
 袁紹はその二人に応えてだ。そうして言うのだった。
「お宝を探すのは好きですけれど」
「はい」
「ですから今も」
「しかしですわね」
 田豊と審配だけではなかった。五人を見ながら言うのであった。
「最も大切なものはそれではありませんわね」
「といいますと」
「それは?」
「民と。そして」
 そしてここからの言葉は。
 微笑んだ。そして。
「いえ」
「いえ?」
「いえ、ですか」
「何でもありませんわ」
 思わせぶりな微笑で言うだけであった。
「別に」
「えっ、何ですかそれ」
「ちゃんと言ってくれないと困ります」
 文醜と顔良がすぐに文句を言う。
「とりあえず麗羽様が御無事で何よりですけれど」
「他にあるんですか?」
「ないですわ。それにしてもここなんですわね」
「はい、そうです」
 沮授は袁紹に対しても述べた。
「この辺りなんですけれど」
「では探しますわよ。ここなら」
「はい、あの巨大な熊もいませんし」
「すぐに」
 田豊と審配が応える。こうしてすぐに周囲を探しにかかる。そこには袁紹も加わっていた。彼女も自分からも探しにかかっていたのである。
「何か麗羽様って自分がやらないと気が済まないんですか?」
「戦いの時でもそうですよね」
「美羽とは違いましてよ」
 こう文醜と顔良に返す。言葉を返しながらそのうえで小川のほとり、小石の場所を見回している。特に大きな岩が集まっている場所を見回している。
「自分から動かなくてどうしますの?」
「ですがあまり前線に立たれますと」
「それは」
 田豊と沮授がすぐに言う。
「危ないですから」
「何かあったら」
「華琳もそうしていましてよ」
「曹操殿もですか」
「だから」
「そうですわ。前線で戦うのがわたくしのやり方でしてよ」
 官渡のこともあるがどうやら実戦派でもあるらしい。そんな彼女であったが今ふと傍にあった大きな岩の一つに手をかけた。するとだ。
「えっ!?」
「なっ!?」
 何とここでだ。岩が急に動いてだ。それが崩れ落ちてそれがあった場所から噴水の如く水が湧き出てきた。そしてその水はというと。
「温かい」
「ってことは」
「これは」
 袁紹側が驚いているとだった。ここにだ。
「ここに何か反応がありますけれど」
「そうなのか」
 夏侯惇が荀ケの言葉を聞いていた。
「ここなのか」
「ええ、ここよ」
 こう夏侯惇に返す。見ればその両手の針金がそれぞれ左右に開いている。
「ここみたいだけれど」
「そうなのか。ここか」
「しかし小川の辺りで?」
「その宝って何なのかしら」
 曹操の左右を固めている曹仁と曹洪がここで話す。
「一体何があるのかしら」
「銀とか金とか?」
「食べ物だったらいいな」
 許緒は笑いながら言った。
「それだったら」
「いや、それはないわよ」
「お宝にはないわよ」
 曹仁と曹洪がそれはないという。
「だって腐るから」
「それは」
「何だ、そうなの」
 許緒は二人にそう言われてすぐに残念な顔になった。
「それだったらよかったのに」
「帰ったら私の料理か秦兄弟の料理を食べましょう」
 曹操が微笑んで許緒に述べた。
「それならね」
「はい、わかりました」
 許緒は曹操の言葉に笑って返した。
「それじゃあ」
「そうしましょう。ところで」
「はい、ところで」
「あれは何かしら」
 前を指差しての言葉だった。その湧き出る間欠泉をだ。
「あれは」
「温泉では?」
 夏侯惇が言った。
「あれは」
「温泉!?」
「あっ、曹操殿」
「いいところに来られましたね」
 田豊と沮授が彼女達に気付いて声をかける。
「どうやら温泉です」
「凄いものを掘り当てまして」
「温泉!?」
 温泉と聞いてだ。曹操も思わず声をあげた。
「そんなものが見つかったっていうの!?」
「どうですか?これから一緒に」
「入りませんか?」
「お風呂って」
 荀ケが困惑した顔で言う。
「何でこんなことに」
「よかったらだけれど」
「どう?」
「筍湛もいないわよ」
 審配はさりげなくこのことも告げてきた。
「どうかしら、それで」
「そうね」
 曹操がそれに応えた。
「悪くないわね。では私達も」
「お風呂ですか」
「今から」
「官渡で汗もかいていることだし」
 このことを曹仁と曹洪に放す。
「今からね」
「はい、じゃあ」
「すぐに」
 そしてであった。今度は。
「趙雲さんは何処に行かれたんでしょうか」
「ううむ、急にいなくなったな」
 関羽が孔明の言葉に応えていた。
「何処に行ったのか」
「何をされているのでしょうか」
「あれじゃないのか?」
 ここで馬超が言う。
「またな。あの仮面を着けてな」
「仮面って何なのだ?」
「御前本当にわからないのか!?」
 少し呆れながら張飛に返す。
「だからあれはな」
「あの変態仮面は何者なのだ」
 張飛は自分の顎に右手を置いて考える顔になっていた。
「おかしな奴なのだ、本当に」
「おい、それ本気で言ってるんだろうな」
「あの変態仮面の正体も気になるのだ」
 彼女はわかっていなかった。全くである。
 そんな話をしながら小川のところに来てだ。彼女達も見たのである。
「えっ、あれは」
「一体」
「温泉ですね」
 孔明がすぐに言った。
「あれは」
「温泉ですか」
「何でこんな場所に」
「どうやらここにそうした水脈があったみたいですね」
 こうナコルルと香澄に話す。
「それでみたいですね」
「そういえば硫黄の匂いもするわね」
「そうだな」
 舞とキングはこのことに気付いた。
「ってことは」
「本当に温泉か」
「あれ、あんた達は」
「あの時の」
 文醜と顔良がここで彼女達に気付いた。
「何でこんなところにいるんだ?」
「どうして」
「いや、たまたまここに来たのだ」
「熊やらに遭ったけれどな」
 袁紹側と直接面識のある張飛と馬超が応える。
「これから南に行こうと思っているのだ」
「揚州の方にな」
「ふうん、そうなんだ」
「その前によかったら」
「ええ、いいですわよ」
 袁紹も言ってきた。
「随分大きなお風呂になりましたしね」
「ううむ、まさかこんな展開になるとはな」
 関羽は腕を組んで考える顔になっていた。
「温泉か」
「けれど悪いお話ではないですよ」
 ナコルルが関羽に対して言う。
「ここは御言葉に甘えても」
「そうか」
「さあ関羽」
 曹操は思わせぶりな顔で関羽に顔を向けて言ってきた。
「一緒に入りましょう」
「華琳様、では」
「私達も」
 曹仁と曹洪はもう服を脱ぎはじめている。曹仁の下着はピンクのブラとショーツで曹洪はコバルトブルーである。それぞれ下着にはこだわりがあるようだ。
 曹操も白い下着姿になっていた。そのうえでまた関羽に話す。
「入りましょう」
「是非」
「ええ、じゃあね」
「では鈴々達も入るのだ」
 張飛も服を脱ぎはじめていた。
「今は一緒に」
「はい、それじゃあ」
「今から」
 ナコルルと香澄もだった。こうして皆で風呂に入る。それからだった。 
 全員で風呂に入るとだ。袁紹はにこりと笑って言う。
「お宝は見つかりませんでしたけれど」
「温泉は見つけたっていうのね」
「華琳、わたくしに感謝しなさい」
 その笑顔で曹操に言ってきた。
「今回はわたくしの勝ちになりますわね」
「あら、お宝は見つかっていないわよ」
「それでも温泉とさらに素晴しいものが見つかりましたわよ」
「成程ね」
 曹操はその一言でわかったのだった。
「そういうことね」
「その通りですわ。それにしても」
 ここで曹操側の面々を見てだ。続いて自分達も見てだ。こう言うのであった。
「胸に関しても」
「何よ」
 荀ケがすぐに反応を見せる。
「胸がどうしたのよ」
「荀ケさんの穴でわたくし達の勝利になっていますわね」
「大きさは関係ないわよ」
 その言葉にすぐにムキになって返す荀ケだった。
「それは。そもそもそれを言ったらね」
「それを言ったら?」
「孫家には誰も勝てないじゃない」
 こう言うのである。
「あんた達の誰もあそこには勝てないでしょ」
「うっ、あれは確かに」
 孫家の名前が出るとだった。さしもの袁紹も怯みを見せた。
「かなりのものですわね」
「あの家の面々には何時か思い知らせてやるんだから」
 何故か胸のことになると殊更ムキになる荀ケだった。
「後何か黄忠とか厳顔っていうのが大きいらしいけれど」
「ああ、その人達ですね」
 孔明はその二人の名前を聞いてすぐに応える。関羽一行は曹操側と袁紹側の間にいるようにしてだ。そのうえで少し離れた場所で風呂に入っていた。
「凄い弓の使い手らしいですね、黄忠さんは」
「そうらしいわね、それにおいては夏侯淵殿に匹敵するっていう」
「それだけ凄いって」
 田豊と沮授も二人のことは知っているようだ。それでこんなことも言うのだった。
「確か南の方にいるっていうけれど」
「今は揚州の方にいるらしいわね」
「あと厳顔は益州にいるわね」
 荀ケがここでまた言う。
「あの地で城を一つ治めているわ」
「そういえば益州は」
「そうよね」
「今は特に領主もいなくて」
「結構治安が悪いらしいし」
「誰か治める人がいたら」
 こんな話もするのだった。そしてだ。
「誰かいい人がいたらね」
「いいんだけれど」
「益州か」
 関羽がその州の名前を聞いて述べた。
「一度行ってみたいな、あの地にも」
「そうですね。何かありましたら」 
 孔明が笑顔で応える。
「一度」
「そうだな。縁があればな」
「はい、是非」
 そしてだ。ここでまた荀ケが言うのだった。
「これでお酒があれば」
「またかよ」
 文醜が彼女の言葉に呆れた顔になる。
「おめえ酒ばっかりだな」
「いいじゃない、お酒は止められないのよ」
「それだけはかよ」
「そうよ。お酒と華琳様はね」
 少しツンとした顔で言うのであった。
「皆で飲むのもいいし」
「最近シャルロットやロサと一緒に飲んでいるのだ」
 夏侯惇がここで一同に話す。
「妹は妹で何か見慣れない顔と飲んでいるしな」
「あれ誰かしら」
 何と曹操ですらいぶかしむ顔になる。
「赤い髪の。見たことないけれど」
「そうですよね、白馬に乗ってますけれど」
「あれは」
 曹仁と曹洪も知らないのだった。
「誰なんでしょうか」
「袁紹殿の配下の人ですか?」
「赤い髪の毛で白馬に乗っている?」
 袁紹の方もそれを聞いて腕を組む。
「誰ですの、それは」
「御存知ないですか」
「それは」
「白馬が好きな人間もいませんし」
 袁紹陣営においてはというのである。
「特に」
「そういえば我々には白馬を好む人はいませんね」
 審配はその密かに豊かな胸を湯舟の中に入れつつ述べる。
「だとしたらそれは一体」
「密偵ではないのはわかるが」
 夏侯惇は真剣な顔になっていた。
「誰だ、あれは」
 最後の最後で謎が浮かび出ていた。そしてその夏侯淵はだ。一人で寂しい顔で仕事をしていた。そのうえで兵士達に対して言うのだった。
「これが終わったらだ」
「はい」
「飲みに行って来る」
 こう言うのだった。
「少しな」
「左様ですか」
「丁度公孫賛殿も幽州からここに来ておられるしな」
「誰ですか、それは!?」
 兵士達はその名前を聞いて驚いた声をあげた。
「我が軍の方でしょうか」
「袁紹殿か?」
「いや、孫策殿ではないのか」
「いや、幽州といえば今は太守もいない」
「そこの豪族の方か」
「幽州の太守だ」
 これは曹操ですら知らないことだったりする。当然曹操の陣営においてもこのことを知っているのはこの夏侯淵だけであったりする。
「実はだ」
「幽州に太守がおられたのですか」
「そうだったのですか」
「そうなのだ。誰も気付いていないようだがな」
「何と・・・・・・」
「そうだったのですか」
 皆それを聞いて唖然となる。驚いていた。
「幽州に太守がですか」
「おられたのですか」
「その通りだ。さて」
 ここまで話してだった。丁度筆が置かれた。
「今から飲んで来る。そういえば擁州には華雄という武将もいるそうだな」
「ですが夏侯淵様は存在感ありますから」
「別にそれは」
「だといいのだがな」
 兵士達の言葉に優しい微笑みになる。
「最近擁州では鬼が出るとも聞いているが」
「ああ、何か山賊やらを片っ端から捕まえて」
「休む間もなく働かせ修行をさせている鬼ですね」
「二人いるそうですね」
「世の中恐ろしいものもいるものだ」
 夏侯淵は言った。
「我が陣営にはそこまで残虐なのはいないからな」
「全くです」
「擁州のことは中々わかりませんが」
 そんな話もするのだった。こうして夏侯淵はその公孫賛と二人で飲むのだった。だが巷では彼女は今は一人で飲んでいたと言われるのであった。なお宝はあの巨大熊がねぐらにしていた。深い洞穴の奥にあり熊はそこでようやく冬眠に入った。だが誰も宝のことは忘れてしまっていた。


第十四話   完


                         2010・5・18



宝探しが思わぬ事に。
美姫 「崖から落ちるわ、熊に襲われるわ」
終いには宝も見つからず、か。
美姫 「まあ、代わりと言う訳でもないでしょうけれど、温泉を見つけたみたいだしね」
これはこれで良かったのかな?
にしても、宝は一体何だったんだろう。
美姫 「確かに気になるわね。とは言え、熊の寝床じゃねぇ」
それ以前に曹操たちは見つけてないしな。さて、次回はどうなるのかな。
美姫 「次回も待っていますね」



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