『恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS』




                               第八話  董卓、城を抜け出すのこと

「ちょっと華雄将軍」
「どうした?」
 銀髪の短い美女がいた。鋭利な顔立ちに鋭い目をしている。胸はブラの如き鎧をしているだであり後ろに長いリボンが見える。目は鳶色だ。
 スカートは深くスリットが入っており両足はタイツで包んでいる。腕にはそこだけの服がある。どの色もダークグレーとなっておりスカートには赤い蝶の模様がある。そうした格好の女が小柄で眼鏡をかけた緑の髪の少女に応えていた。
 少女の髪は一見すると短いがそうではなかった。後ろで二つに分けて編んでいる。その前髪がぴんと張っていてやけに目立つ。黒いミニのスカートを着ていて上には白いエプロンの様な上着を身に着けている。脚は黒いストッキングで覆っていてブーツも黒だ。まだ幼さが残るが随分と気の強そうな表情をしている。黒い目の光も強い。細い眉があがっていて瞳は黒である。
「いきなり」
「月、いえ」
 ここで自分の言葉を一旦訂正させた彼女だった。
「董卓様がいないのよ」
「何、またなのか」
「そうなのよ」
 こうその華雄に言うのである。背の高い彼女を見上げてだ。
「またなのよ」
「ふむ、そうか」
「ちょっと、何で落ち着いてるのよ」
 少女は怒った声で華雄に対して言ってきた。
「そんなに。どうしてなのよ」
「落ち着け賈駆」
 華雄はその彼女の名前を呼んで逆に言葉を返した。
「そんなに慌てて怒ってどうする」
「これが慌てない状況!?」
 しかし賈駆はまた華雄に言い返した。
「領主様がいないのよ」
「だからいつものことではないか」
 二人は今屋敷の廊下にいる。そこであれこれと話をしているのである。賈駆の方がかなり焦ってそのうえで怒っているのである。
「それは」
「いつもでも何でも大変なのよ!」
 賈駆の言葉は変わらない。
「そんなのわからないの!?」
「確かに領主がお忍びで城を出てな」
「そうよ、領内を見回ると言ってそれで共も連れずにって」
「あの方は真面目だからな」
「真面目とかそういう問題じゃないわよ。曹操も袁紹もね」
 この二人の話もするのだった。
「そこまでしないじゃない。ちゃんと領地はまた経営してるでしょ」
「下々の暮らしを見て回るというのはいいことだろ」
「それはね」
 これは賈駆も否定しない。
「領民と直接触れ合うのはいいことよ」
「まあそれはな」
 華雄もそれは悪いとはしない。
「いいことだ。しかし最近はな」
「そうなのよ。領内の辺境の山賊討伐に忙しく」
 賈駆は言う。
「そっちに人手を取られて逆に長安周辺の治安が悪くなってきているし」
「私だけで何とかしている状況だからな」
「それに物価があがって」
 問題はそれだけではないのだった。
「そっちも何とかしないといけないし。問題山積みだっていうのに!」
「それはわかったが」
 華雄はその賈駆が両手で自分の髪の毛を掻き毟りながら言うのを見ながら言ってもきた。
「賈駆、いいか」
「何よ」
「そんなに怒っては早死にするぞ」
 言うのはこのことだった。
「そんなことだとな」
「いいわね、華雄将軍は」 
 賈駆は今度は華雄に対して言ってきた。
「悩みがなさそうで」
「私は武の方が専門だからな」
「そうね。私は文で」
「しかも鍛えているからな」
 華雄は左手を出してそこに力瘤を作って言ってみせた。
「大丈夫だ」
「そうなの」
「そうだ。私は長生きするからな」
「だといいけれど」
「しかし。董卓様の行方を捜さないとな」
「行く先は大体わかってるわ」
 それは察しているというのであった。
「すぐに行くから」
「そうなのか」
「留守を頼むわ。それでだけれど」
「それで?」
「最近あちこちで急に人材が出て来ているけれど」
 賈駆の話が変わってきたのである。
「登用すべきかしら」
「するべきではないのか?」
 華雄は考える顔になった賈駆に対してこう述べた。
「人手が足りないのは確かだしな」
「そうね。曹操にしても袁紹にしても」
「人材を広く集めているようだしな」
「江南の孫策もね」
 この名前も出て来た。
「袁術はどうかわからないけれど」
「あと一人いたな。誰だった?」
「これだけよ。他はいないわよ」
「そうだったな。今空き地は徐州、交州、そして益州か」
「徐州は何か三人の芸人の姉妹がコンサートとか開いていることが多いらしいけれど」
 賈駆はこの話もした。
「交州と益州は完全に空き地よ」
「そうだな。領主がいないのが問題だな」
「益州は広くて豊かだけれど」
 賈駆は言いながら眉を顰めさせた。
「それでもね。あの国はねえ」
「広過ぎるな。しかも西と南に異民族がいる」
「私達の今の人手では無理よ」
「そうだな」
 これは二人もわかっていることだった。
「今は擁州だけで手が一杯だ」
「擁州はややこしい場所よ」
 賈駆は眉を顰めさせてきた。そのうえでの言葉だった。
「この長安もあって豊かだけれど」
「西には異民族もいるしな」
「袁紹はあの連中も征伐するつもりみたいね」
「涼州では飽き足らずか。西方にも己の力を誇示したいか」
「あの女は内政マニアなのよ」
 賈駆は袁紹のその本質をよくわかっていた。
「曹操も内政好きだけれどね」
「それであの連中も併合してか」
「そうみたいね。月、いえ董卓様もだけれど」
「その董卓様もな」
「あの娘、いえあの人は少し違うわよ。大人しくて優し過ぎるのよ」
 またその董卓の話になるのだった。
「西方の生まれなのに弱々しくて。それが」
「とにかく董卓様を見つけないとね」
「わかった。それでは留守を守ろう」
「じゃあ行って来るわね」
 こうして賈駆は兵士達を連れてすぐに長安を発った。擁州も擁州で騒動が起こっていた。その頃キング達をあらたに加えた関羽達は森の中を進み続けていた。
 その中でだ。張飛は歌を歌い続けていた。
「例え今が壊れても〜〜〜〜♪」
「何の歌だ、それは」
「私が教えた歌だが」
 キングが関羽に対して話してきた。
「それだが」
「それなのか」
「そうだ、ワールドヒーローズ2というが」
 キングは自分の世界の話をするのだった。
「その世界での歌だ」
「そちらも貴殿達の世界と関わりがあるのだな」
「そうだな。あると言えばある」
「そうなのか」
「すぐに覚えてくれたな。しかも気に入ってくれたようで何よりだ」
「そうですね」
 ナコルルもにこりとしている。
「本当に」
「私実はヘビメタ好きなのよ」
「ヘビメタ!?」
 関羽はそのヘビメタと聞いてふと言った。
「ヘビのメタボリックか?」
「強引な言葉だな」
 趙雲が横から言った。
「今のは随分と」
「そうか?しかしヘビメタとは何だ?」
「私の世界での音楽のジャンルよ」
 舞は笑って説明した。
「そういう音楽もあるのよ」
「そうなのか」
「いいわよ。私も向こうの世界じゃ普通の服だしね」
「というと今の服は普通ではないのか」
 趙雲は舞のその派手どころでは済まない服を見ながら述べた。
「そうなるか」
「否定しないわね。実際にこの格好かなり派手だし」
 胸も脚も露わである。しかも脇もかなり見えている。非常識な格好だった。
「けれど私の家は代々この格好なのよ」
「そういえば私も以前舞さんと同じ服の人と会いました」
 ナコルルもそうだというのである。
「不知火家の女性の方は本当に代々なんですね」
「そうなの。忍者の家でね」
「忍者というと」
 今度言ってきたのは香澄である。
「如月さんもそうですしね」
「あの家とは流派が違うけれどね」
「そうなんですか」
「あの家は確か幕末から出た家で元々剣客なのよ」
「剣客だったのか」
「ええ。あの人も来ているかしら」
 舞は関羽に応えながら述べた。
「やっぱり」
「その可能性はあるわね」
 キングもその可能性は否定しなかった。
「その時は会えるかどうかね」
「そうね、その時は戦うかもね」
 舞はそれは覚悟していた。そんな話をしている時だった。
 不意に前から不穏な声が聞こえてきた。
「約束が違います」
「むっ、あれは」
「女の子の声なのだ」
 関羽と張飛が最初に声をあげた。
「何だあれは」
「こんな森の中で」
「待て、他にも聞こえるぞ」
 趙雲は耳を澄ませていた。
「これは」
「男の声だな」
「はい、それもあまり品のよくない」
 キングと香澄はすぐに警戒する顔になった。
「山賊か」
「私達が倒したのとは別の」
「そうですね。そして若しそうだったら」
「ここでも退治ね」
 舞はナコルルの言葉に応える。
 するとだ。すぐにまた声がしてきた。
「おいおい、何だよ」
「折角案内してやったのによ」
 その下卑た男の言葉だった。
「その言葉はねえんじゃねえのか?」
「どうなんだよ」
「村に案内して頂けるとは言われました」
 一行がそっと見るとだった。薄紫の柔らかい髪を首のところで切り揃えた楚々とした少女がいた。小柄で顔立ちは優しい。髪にはリボンがある。
 目はやや垂れ目で赤紫である。服は淡い白と薄紫の中間色である。その色の服を着ているのであった。
 その少女が大木を背にしている。周りを三人の柄の悪い男達が囲みそのうえで言っているのであった。
「けれどここは」
「だから案内してやったんだよ」
「楽しい場所にな」
「今すぐ楽にしてやるぜ」
「楽に?」
 少女は今の言葉を聞いてその眉をぴくりとさせた。
「まさか私をここで」
「ああ、そのつもりはないから安心しな」
「それはな」
 山賊達もそれはしないというのだ。
「今から気持ちよくさせてやるからな」
「へっへっへ、安心しな」
「そうなのか」
 関羽がここで彼等に声をかけた。
「そんなに気持ちいいのか」
「そうさ、もうな」
「病み付きになる程にな」
「わかった」
 山賊達は三人だ。関羽の姿は見えていない。それでこう言葉を返したのである。
「それでは我々も混ぜてもらおう」
「何っ!?」
「誰なんださっきから」
「旅の武芸者達だ」
 こう言ってであった。山賊達の前に出て来てみせたのであった。
「何処にでもこういう下衆はいるな」
「全くです」
 ナコルルも怒った目をしている。そのうえで関羽の言葉に応えたのだ。
「こうした人達は何処にもいます」
「それでだ。どうするのだ?」
 趙雲は既に槍を構えている。そのうえで山賊達に対して問うた。
「我々も入れてくれるのか。どうするのだ?」
「へっ、何かって思ったら女ばかりかよ」
「しかも上玉ばかり七人か」
「それならな」
「まとめて相手してやるぜ!」
 こう言ってまずは関羽達に襲い掛かる。だが戦いは一瞬で終わった。彼等はあっという間に何処かに吹き飛ばされてしまったのである。
「ふん、情けない」
「日本一っ!って言う程もないわね」
 キングと舞は戦いを終わらせたうえで素っ気無く言った。
「さて、この連中はいいとしてだ」
「ねえあんた」
 舞が木のところにいる少女に対して声をかけた。
「またどうしてこんな場所にいるの?」
「それで名前は何ていうのだ?」
「名前ですか」
 まずは張飛の言葉に応えた。
「名前はですね」
「何ていうのだ?」
「董・・・・・・ええと」
 ふと考えてだ。こう言ったのであった。
「董々です」
「董々?」
「はい、そうです」
 微笑んで述べた。
「それが私の名前です」
「いい名前なのだ」
 張飛はその名前を聞いてすぐに笑顔になった。
「鈴々と似ている名前でいいのだ」
「そうですね。似ていますね」
「だから気に入ったのだ」
 こう言うのであった。そしてこの少女はまた行って来た。
「それでなのですが」
「うむ、それで」
「最近この辺りでよくない噂を聞きまして」
「山賊のことですか?」
 香澄はそれではないかと問うた。
「それでしたらもう私達が退治して役人に引き渡しました」
「先程の連中とは別のな」
 キングもそれではないかと返す。
「話はそれで終わりだな」
「いえ、山賊ではありません」
 だが少女はそうではないという。こう一行に言うのである。今は趙雲が案内をしている。彼女の両手には地図がありそれを見ながら進んでいるのだ。
「それは違います」
「というと?」
「この辺りに化け物が出ると聞きまして」
「えっ!?」
「化け物!?」
 化け物と聞いてだった。関羽と張飛がすぐに声をあげた。
「それはまことか」
「困ったことなのだ」
「むっ!?」
 今の二人の言葉を聞いた趙雲はすぐに怪訝な顔になった。そのうえで二人に問うのであった。
「何故御主達がここでそんな顔になるのだ?」
「い、いやそれはだ」
「何でもないのだ」
「そうか。それならいいがな」
 こうは返してもであった。趙雲は何かに気付いたらしく口元を微かに綻ばさせた。しかしそれは一瞬のことですぐに元の顔に戻って言うのであった。
「それでだ。董々殿」
「はい」
「貴殿はその化け物の話を聞いてここまで来たのだな」
「はい、長安にいたのですが」
「ふむ、長安に」
 ここからかなり離れている。それはもう趙雲の頭の中に入っている。
「そうか、そこからか」
「そうです。それでここまで来て確かめたいと思いました」
「それはいいが」
 ここまで聞いてだ。趙雲は言った。関羽とキングもだ。
「随分と行動力があるな」
「そうだな。ここから長安まで随分とあるが」
「しかもあんたが化け物を退治するのかい?」
 三人はそれぞれ少女に対して言った。
「只怖いもの見たさで来るものだろうか」
「化け物退治には向かないと思うがね、あんたじゃ」
「私達でもないとね」
 舞はこう言ってきた。
「化け物の相手なんて無理よ」
「あっ、それは」
 少女は周囲の言葉に戸惑った。そしてそのうえでこう言うのであった。
「その。実家がこの辺りにありまして」
「そこから帰ったついでにだったんですね」
「はい、そうです」
 香澄の言葉にすぐに頷くのだった。
「その通りです」
「そうですか。それではまず村に入って」
「そうなのだ。全部そこからなのだ」
 張飛はナコルルの言葉に頷いた。
「化け物が本当にいたとしてもなのだ」
「あれ、張飛さん」
 ナコルルはここで張飛が困った顔になったことに気付いた。
「どうしたんですか?さっきから」
「何でもないのだ。気にするななのだ」
「そうですか」
 そんな話をしながらその村に辿り着いた、すると道に幾つもの巨大な石が置かれていた。一行はそれを見てまずは唖然となった。
「な、何だあの石は」
「人間の動かせる大きさではないのだ」
 力の強い関羽も張飛も唖然となる大きさだった。その石は一行の中で最も背の高いキングよりも遥かに大きいものであったのである。
 しかもその質量もかなりのものだ。ナコルルがその石を見て呟いた。
「アースクエイクさんよりも大きいかも」
「確かになのだ。あのデカブツ以上なのだ」
 張飛は唖然とした顔で語る。
「誰がこんなのを置いたのだ」
「確かにな。化け物じみているな」
 趙雲はぽつりと言った。
「では話を聞いてみるか」
「そうだな。とりあえずはだな」
 関羽がその言葉に頷いた。そうしてであった。
 一行は村の長老の屋敷に向かった。そしてそこで話を聞くのであった。
「実はですね。あの石もその化け物が置いていったのです」
「そうなのね」
「はい。我々が村に入った化け物を追おうとすると投げてきたものでして」
「あの巨大な石を」
「それを幾つも」
 誰もがそれを聞いて唖然となった。趙雲も表情は変えないが目の色を怪訝なものにさせている。
「本当に化け物か?」
「まさか」
「はい、それで退治しようとしてもです」
 ここで長老は困り果てた顔で言ってきた。
「役所に話をしても化け物なぞいるかと取り合わず」
「えっ、それは本当ですか!?」
 この話を聞いた少女がすぐに驚いた声をあげた。そうしてであった。
「何て酷いことを」
「どうしたのだ、急に」
「はい、何かあったのですか?」
 キングと香澄がその少女の急な変わり様に目を点にさせて問い返した。
「あっ、別に何も」
「そうですか」
「はい、それでその化け物ですが」
 香澄に応えてすぐに長老に問いなおす少女だった。
「どういったものですか?」
「武芸者達に退治を頼んできたのですが」
「はい」
「誰も歯が立ちませんでした」
 その強さからの話だった。
「まさに化け物の如き強さです」
「まさに、ですか」
「そうです、そしてその姿は」
 今度はその強さの話だった。
「ある武芸者は角があると言い」
「角!?」
「角なのだ!?」
 関羽と張飛がそれを聞いて青い顔になった。
「角が生えているとなると」
「本当に化け物なのだ」
「ある武芸者は全身毛むくじゃらだといい」
「毛が、か」
「まさかだけれど」
 今度はキングと舞が言う。何気に声が似ている二人だった。
「雪男か」
「そうした相手なのかも」
「そしてある武芸者は身の丈三丈になると」
「三丈ですか」
「大きいですね」
 ナコルルと香澄はそれを聞いてあることを考えた。
「大きな相手だと戦法もありますね」
「はい、素早く動き回って」
「まあ待て」
 趙雲が一旦二人を制止した。
「焦らないで最後まで話を聞こう」
「はい、わかりました」
「まずはですね」
「そうだ。最後まで聞くべきだ」
「う、うむ。そうだな」
「その通りなのだ」
 関羽と張飛がまた述べた。
「最後まで聞いてだな」
「それからなのだ」
「その化け物が村の食べ物を奪っていくのです。それを何とかしてもらいたいのですが」
「よし、わかった」
 趙雲がそこまで聞いて述べた。
「それではだ。その化け物退治やらせてもらう」
「御願いできますか」
「最初からそのつもりで話を聞かせてもらった」 
 彼女は腕を組んでいる。そのうえでの言葉だった。
「では。皆もそれでいいな」
「化け物じみた相手はこれまでにも何度も会った」
「ええ、戦いには慣れているから」
「相手が誰でもやらせてもらいます」
 キングに舞、香澄はそれでいいというのだった。
「私は行かせてもらう」
「私もよ」
「是非共」
「私もです」
 ナコルルはにこりと笑って答えた。
「やらせてもらいますから」
「それではだ」
 趙雲は四人の言葉を聞いてだった。そのうえで今度は関羽と張飛に顔を向けた。そしてあらためて二人に対して問うたのであった。
「御主達はどうするのだ?」
「どうするかとは?」
「何がなのだ?」
「御願いできますよね」
 趙雲が言う前にだった。少女が出て来て二人に言ってきた。すぐにであった。これには趙雲も内心驚くものがあった。言葉としては出さないが。
「是非。村の人達の為に」
「村の人達の為か」
「人の為に」
「御願いします」
 二人をじっと見詰めての言葉だった。目を潤ませながら。
「是非」
「そ、そうだな」
「鈴々達もやらせてもらうのだ」
 二人に溢れんばかりの義侠心があるのは確かだ。そして少女の目に負けた。これで全ては決まりだった。
 一行は化け物が潜んでいるというその廃寺に向かった。夜であり周りは真っ暗である。その仲であれこれと話しながら進んでいた。
「ううむ、暗いな」
「全くなのだ」
「今にも出てきそうなのだ」
「けれどそれでもなのだ」
 関羽と張飛がやけに不安な顔になっている。
「行かなければな」
「その通りなのだ」
「二人共」
 その二人に声をかけてきたのは趙雲だった。道中であってもである。
「面白い話がある」
「話?」
「話があるのだ?」
「そうだ。あれは私がまだ若かった時だ」
 こう話すのだった。
「何時だったかな」
「待て、貴殿はまだ十代の筈だぞ」
「愛紗とさして変わらない歳の筈なのだ」
「それはそうだ」
 この辺りは趙雲の悪ふざけであった。
「しかしだ」
「しかし?」
「しかしというと」
「これから話すことはだ」
「う、うむ」
「何なのだ?」
 二人は怯えるものを必死に隠しながら趙雲の話を聞く。その間に廃寺の中に入る。そのうえで話を聞き続ける。当然ナコルル達も一緒だ。
「私がある寺の中で宿を借りて休んでいるとだ。壁にあった穴の中から」
「穴の中から!?」
「どうしたのだ!?」
「女の首が出て来てだ」
「お、女!?」
「女の首なのだ!?」
「そう、そしてその口は耳まで裂けていて」
 趙雲が話していくとだった。関羽と張飛の顔が見る見るうちに青ざめていく。そしてその中で趙雲はさらに話を続けていく。ナコルル達は黙って見ているだけだ。
「それが不気味に笑い私に襲い掛かり」
「き、来たのか」
「そして!?」
「私奇麗!?と叫んで喰らいついてきたのだ」
「あ、あわわわわわ・・・・・・」
「うう・・・・・・怖過ぎるのだ」
 ここで遂に意識を失ってしまった。しかし趙雲はその二人にさらに声をかけてきた。ただしその蝋燭をその手に持ってだ。そのうえでだった。
「二人共」
「う、うむ?」
「どうしたのだ?」
「目をさませ〜〜〜〜〜〜ぇ〜〜〜〜〜」
 蝋燭の火を下からやっての言葉だった。それを仕掛けてきたのである。
 それを見た二人はだ。慌てて飛び起きた。そしてまた趙雲に対して叫んだ。この時二人は互いに抱き合いそのうえでだった。
「なっ、止めろ!」
「怖過ぎるのだ!」
「ほんの冗談だ」
 趙雲は無表情に戻って答えた。
「そこまで焦ることか」
「それで焦らないでどうする!」
「悪質過ぎるのだ!」
「ふむ、私はタチの悪い冗談が大好きでな」
「全く。何処まで悪趣味なんだ」
「やっていいことと悪いことがあるのだ」
「気にするな」
 やってから言う趙雲だった。
「そしてだ。舞殿」
「何かしら」
「罠は張っておられるのだったな」
「ええ、地面に小石に混ぜてかんしゃく玉を撒いておいたから」
「かんしゃく玉?」
「私の世界にあるおもちゃでね。刺激を与えたら爆発するのよ」
 そうしたものだと述べるのである。
「それを撒いておいたから」
「それを撒いてどうなるのだ?」
「それが知りたいのだ」
「踏んだら爆発して音が鳴るのよ」
 それでわかるというのである。
「そういうものだから」
「そうか。ではすぐにわかるな」
「ええ。相手がそれに気付かない限りはね」
「相当な相手でもない限り気付かれませんね」
「はい。あとママハハは鷹ですけれど夜目が効きます」
 香澄が応えナコルルが話した。
「見張ってもらっています。ですから出て来たら絶対に見つかります」
「そうですね。それに私達も気配を感じられますし」
 香澄も話す。
「だから大丈夫ですね」
「いや、待て」
 だがここで趙雲が真剣な顔で言ってきた。
「その気配だが」
「この気配は」
 キングもまた顔を凄みのあるものにさせて述べた。
「これ以上にまでなく大きいな」
「そうだ、桁外れだ」
「何っ、来たのか」
「今ここになのだ!?」
「そうだ、御主達もそろそろ感じる筈だ」
「!?確かに」
「今感じたのだ」 
 関羽と張飛も言った。
「この気配は」
「今までここまでは感じたことがないのだ」
「そうだ、桁外れだ」
 また言う関羽だった。
「化け物か!?まさしく」
「少なくとも気配は化け物クラスだ」
 こう表現した趙雲だった。
「これはだ」
「来たか、それなら」
「行くのだ!」
「七人がかりなのは卑怯だがな」
「そうも言っていられる相手ではなさそうね」
 キングと舞も険しい顔になった。
「この気配、ギース=ハワードに匹敵するか」
「桁外れのものがあるのは確実ね」
「では行きましょう」
「すぐに」
 ナコルルと香澄も続く。
「それでは今から」
「戦いです」
 こうして戦いがはじまった。七人は寺の講堂から一斉に出てその前に展開する。彼女達の前には白虎の毛皮を頭から被った者がいた。
 その右手には何か得物を持っているのが見える。その化け物がいた。
「化け物かどうかはわからないが」
「そうだな、少なくとも強さは」
「化け物なのはわかるのだ」
 趙雲、関羽、張飛は構えを取りながら話していく。キング達も同じだ。その圧倒的な気配に気圧されながらもその化け物を取り囲もうとした。
 化け物が右手の得物を下に向けて一閃させた。それだけで、であった。
「かんしゃく玉に気付いていた!?」
「その様ですね」
 それを見て舞と香澄が言った。
「既に」
「そう、どうやらただ強いだけじゃないみたいね」
「勘、いえ物事を察知する力も」
「尋常なものではありませんね」
 ナコルルも目の前にいるそれが何処までの強さか感じ取っていた。夜の闇の中に浮かぶ化け物は身動きに乏しい。しかしであった。
 その気配がまだ発せられている。関羽がそれを見て一同に言った。
「いいな、それではだ」
「行くのだ」
「倒すぞ」
 こうして七人が一斉に襲い掛かる。まずは舞だった。
 その手にある扇を持ってだ。化け物に対して投げた。
「花蝶扇!」
 扇が一直線に飛ぶ。だがそれは化け物が右手に持っている得物を一閃させてあっさりと叩き落してしまった。それで終わりだった。
「当然みたいになのね」
「そうだな。飛び道具は通じないか」
 キングも言う。実は彼女もベノムストライクを出そうとしたがそれは止めたのだ。
「少なくとも単発ではか」
「しかし向こうも出しそうだな」
「えっ!?」
「見ろ、あの動きを」
 関羽が一同に言う。化け物の得物がゆっくりと動いた。そしてであった。
 左から右に一閃された。すると凄まじい衝撃波が襲い掛かってである。
「来た!?」
「衝撃波!」
「皆跳べ!」
 趙雲が叫んだ。
「そして避けろ。いいな!」
「はい!」
「それしかないわね!」
 七人は一斉に跳んだ。それによって何とか攻撃をかわした。そしてそのうえで難を逃れた。関羽はそのうえで話したのだった。
「間合いを置いては駄目だ」
「そうなのだ。あの衝撃波をまた受けるのだ」
「かといってこちらの飛び道具も通じない」
 その問題もあった。
「それではだ」
「間合いを詰めるしかありませんね」
 ナコルルが言った。
「今はだ」
「はい、それでは」
「今から」
 こうしてであった。七人で一気に間合いを詰めた。そのうえで一斉に攻撃を浴びせる。
 だが化け物はその攻撃を全て受け止め続ける。七人で互角だった。
「そんな、七人でも」
「互角!?一体これは」
 ナコルルと香澄は攻撃を仕掛けながら唖然となっていた。
「化け物!?本当に」
「速いだけではなくて・・・・・・くっ!」
 香澄は攻撃を何とか防ぐ。防いでその衝撃に必死に耐えながら言った。
「この威力は」
「ここまでの力は受けたことはないな」
 それを見て言った関羽だった。
「これは長い戦いになるな」
「そうね。これは」
「長い戦いになるのだ」
 舞と張飛もそれを覚悟した。戦いは続く。
 やがて朝になった。ここで化け物の顔が見えた。
「!?女?」
「まさか」
 虎の毛皮の奥から顔が見えた。それは紛れもなく女のものだった。
 赤紫の髪も見える。女であることは間違いなかった。
「しかも人か」
「では化け物ではない!?」
「けれどその強さは」
 こちらの攻撃は防がれ続ける。こちらは防ぐだけで必死だ。その中での言葉だった。
 赤紫の髪は肩までだ。頭から二条長く伸びて虫の触角の様になっている。上着は胸しか覆っておらず右が黒、左が白だ。腕の布も同じで所々に金の装飾がある。
 スカートは白いミニでその上に黒い布で覆いを左右にしている。ハイソックスは黒でブーツも履いている。マントと上着に付けている長い布は赤紫色だ。表情は朴訥としている。少し黒い肌であり顔立ちは整っている。赤紫の目には血走ったものはない。戦っているというよりは起きぬけの顔であった。目は垂れ目でも釣り目でもない。口元も緩めだ。
 その彼女だが強さはかなりだ。そのまま七人と互角の戦いを続ける。
 しかしだった。ふとここで何処からか赤い犬が出てきた。赤毛の小さな犬である。
 美女が得物をまた一閃させた。見ればその得物は槍に似ているがその横に三日月型の刃がある。関羽はそれを見て言ったのだった。
「方天戟!?」
「それなのだ」
「そうか、それを使うか」
 張飛と趙雲も確かにそれを見た。
「この女は」
「その様だな」
 キングも言った。
「かなり手強い武器か」
「突くことも斬ることも自由自在だ」
 こう話す趙飛だった。
「どちらもだ」
「じゃあかなりまずいわよ」
「だから今まで」
 舞と香澄がそれを聞いて言った。
「突いたり斬ったりもできた」
「そういうことなんですね」
「そうだ。そしてだ」
 関羽は二人に応えながらまた述べた。
「また来るぞ」
「来た!?」
「また!」
「皆かわせ!」
 衝撃波が来る。そうしてだった。
 七人は一斉に跳んだ。至近での衝撃波を間一髪でかわした。
 だがその衝撃波は後ろにあった木を真っ二つにした。そこに出て来た犬の上に落ちる。しかしそれは少女が出て来て慌てて助けあげた。
「危ない!」
「くっ!」
 関羽がそれを見てだ。すぐに跳んでその木を下から両手で支えた。咄嗟に戦いよりも少女と犬を救うことを優先させたのである。
「危ないところだったな」
「関羽さん・・・・・・」
「無事か?犬も」
「は、はい」
 少女は犬を抱きながら言葉を返した。
「私もワンちゃんも」
「そうか。それは何よりだ」
「赤兎を助けた」
 女はその関羽を見て言った。
「御前達悪い奴じゃない」
「!?悪い奴じゃない?」
「悪い奴じゃないって」
「悪い奴とは戦えない」
 こう言ったのである。
「だから止める」
「何か急に終わったな」
「そうね」
「もう終わる」
 女の方から終わらせてきたのだった。
「これで」
「終わったことはいいのだ」
 張飛もそれはいいとした。
「けれど御前は何なのだ?名前は何というのだ?」
「呂布」
 女はぽつりと名乗った。
「字は奉先」
「呂布奉先!?」
「それが貴殿の名前か」
「そう」
 無表情な言葉で答えたのだった。
「それが名前」
「しかし何故こんなことを」
「ここでしたのよ」
 香澄と舞がそれを問う。
「村から食べ物を奪うなんて」
「あのワンちゃん一匹だけですか?」
「一匹だけじゃない」
 呂布がこう言うとであった。不意に彼女の側に無数の犬達や猫達が出て来た。そのうえで彼女の足元にじゃれついてきたのである。
「皆いるから」
「皆さんがですか」
「皆養わないといけなかった。けれど恋」
 少女に応える中で言ったのだった。
「メイドとかできないから」
「何となく以上にわかるな」 
 キングは彼女の言葉を聞いて頷いた。
「これではメイドは無理だ」
「しかし恋って何なのだ?」
「真名」
 それだというのであった。
「一応言った」
「そうなのだ。それが御前の真名なのだ」
「そう。それが私の真名」
 彼はまた言った。
「だから」
「事情はわかりました」
 ここで少女が言った。
「呂布さんはそれで今まで」
「ああ、いたいた」
 ここで兵士達達が来た。そしてである。
 その先頭には賈駆が来た。そうして少女のところに来て。
「月!探したわよ」
「あっ、詠ちゃん」
「あっ、じゃないわよ。あっ、じゃ」
 その少女に駆け寄りながらの言葉だった。
「もう、擁州の牧がこんなところまで何をしてるのよ」
「何っ、擁州の!?」
「やはりな」
 関羽と趙雲の言葉は正反対だった。
「そうだったか」
「あれ、あんた達は」
 賈駆は一行にも気付いた。
「何なの?」
「この人達はですね」
「見たところこの国の生まれじゃないのもいるわね」
 賈駆はもうそのことを見抜いていた。
「擁州にも来たのね、そういう人が」
「そうね。それでだけれど」
「ええ、それでよ」
「この人達は私を助けてくれたの」
 少女は賈駆にこのことを話した。
「そしてこの人はね」
「この人は?」
 今度は呂布に顔を向けての言葉である。こうして一部始終を話してそのうえでだ。あらためて村の長老のところに戻ってあらためて話をするのだった。
「皆さん」
 文官の服だった。丈が長いえんじ色のスカートに紫の上着、袖はダークグリーンで帯もえんじ色だ。白いマフラーまでしているという見事な服である。頭には冠とヴェールまである。その彼女が誰かというとであった。
「お待たせしました、董卓です」
「何っ、董卓だと!?」
 関羽は董卓と聞いて思わず声をあげた。彼女は今は用意された見事な席の前にいる。その横にはしっかりと賈駆が控えている。
「擁州の牧のか」
「はい、隠していてすいません」
「月、いえ董卓様はね」
 その横から賈駆が説明してきた。
「時々お忍びで外に出てそれで下々を見回るのよ」
「そうなのか」
 趙雲はそれを聞いてふと呟いた。
「曹操殿や袁紹殿とはまた違うのだな」
「あの二人はあの二人よ」
 すぐに賈駆が言ってきた。
「董卓様は董卓様よ」
「それはその通りなのだが」
 張飛はその賈駆の言葉を聞きながら首を少し傾げさせていた。
「けれど御前ムキになり過ぎなのだ」
「それは気のせいよ」
 そう言われるとさらにムキになる賈駆だった。
「気にしないでいいから」
「気にするななのだ?」
「そうよ。あの連中も確かに頑張ってるわよ」
 それは認めるのだった。
「けれどね。董卓様には董卓様のやり方があるのよ」
「そうですね。それでなのですけれど」
 ナコルルが言ってきた。
「ここに化け物が出ると聞いて来られたのですね」
「はい、そのことですが」
 董卓もナコルルに応えて述べた。
「呂布さんのしたことは確かに悪いことです」
「いえ、それは」
 村の長老が董卓に対して穏やかに言ってきた。
「もう済んだことですし」
「いえ、それでもしっかりと終わらせないといけません」
 董卓の声はしっかりとしたものだった。
「ですから」
「そうなのですか」
「はい。しかし身寄りのないワンちゃんや猫さん達を想ってのこと」
 そのことも見ているのだった。
「それに呂布さんも反省されています。ここはその食糧の分を呂布さんの給与から弁償するということで終わらせることとします」
「私の給与」
 呂布は董卓の言葉を聞いて述べた。
「ということは」
「えっ、じゃあ呂布を?」
「はい。呂布さんさえ宜しければ私のところに来てくれませんか」
 こう言うのである。
「それがお嫌でしたら弁償は私の方で」
「いや、御願いする」
 呂布の方からの言葉だった。
「恋、悪いことした。それの弁償しないといけない」
 それはわかっている呂布だった。
「それに董卓様いい人。仕えたい」
「そうですか。それでは」
「やっと人手が入ったわね」
 賈駆はこのことを素直に喜んでいた。
「有り難いわ。華雄将軍もこれで楽になるわ」
「そしてです」
 董卓の顔と言葉が変わった。厳しいものになったのだ。
「詠ちゃん」
「どうしたの?急に」
「村の人達がお役所にこのことを話しても化け物だと言って取り合わなかったそうだけれど」
「いえ、それは」
 また長老が言ってきた。
「もう済んだことですし」
「いえ、そういう訳にはいきません」
 董卓は真剣だった。
「どんなことでも民の言葉はおろそかにしてはいけません。民あっての国なのですから」
「だからですか」
「はい。だから詠ちゃん」
「え、ええ」
「二度とこういうことがないように厳しく注意しましょう」
 自分に対する言葉だった。
「それはね」
「わかったわ。それはね」
「それと」
 話はまだあった。
「ワンちゃんや猫さん達だけれど」
「どうしたの?」
「うちで飼わない?兵隊さん達と一緒に警護にあたってもらうってことで」
「犬や猫を?」
「ええ。それでどうかしら」
「けれどそれは」
 賈駆はそのことを聞くと困った顔になった。
「それ位のお金はあるし」
「ううん、犬とか猫は」
 何故か困った顔になる賈駆だった。
「僕、あまり好きじゃないっていうか」
「駄目なの?」
 賈駆の言葉を聞いた董卓は困った顔になった。
「それは」
「駄目って訳じゃないけれど」
「御願い、詠ちゃん」
 うるんだ目での言葉だった。
「放っておいても可哀想だし」
「うう、そう言われたら」
「警護も手伝ってくれるし。それに皆も楽しめるし」
 犬や猫はいるだけで人の癒しになるのである。賈駆もそれは知っているのだ。
「だから」
「わかったわよ」
 遂に賈駆も折れた。
「それじゃあいいわ。擁州で置きましょう」
「有り難う、詠ちゃん」
「けれど勘違いしないでよ」
 ここからが賈駆の真骨頂だった。董卓から顔を背け腕を組んで言い返す。
「今回だけだからね。本当だからね」
「詠ちゃん大好き」
 しかし董卓は賈駆のその言葉を聞いて満面の笑みになってだ。そのうえで彼女に抱きついたのである。
「有り難う!」
「だから勘違いしないでよ」
 まだ言う賈駆だった。
「今度だけなんだからね」
 それでも董卓のその頬を摺り寄せてくるのにはまんざらではないようである。素直ではないがそれでもそれは誰が見てもわかるものだった。
 そして呂布もそれを見てだ。静かに二人のところに来てだ。
 そのうえで賈駆に頬を摺り寄せてきた。二人で彼女を囲む形になっている。
「ちょっと、何であんたまで入って来るのよ」
「皆でいると楽しい」
 だからだというのである。
「だから」
「わかったから。犬も猫も面倒見るわよ」
 賈駆は二人に抱かれながら言った。
「だからもう離れてよ。あっ、月はいいから」
「うん、詠ちゃん」
 こうして化け物の話は終わった。関羽達は董卓達と別れ今度は洛陽に向かうことにした。そしてそこでは思わぬ再会が彼女達を待っていたのであった。


第八話   完


                       2010・4・21



どんな化け物かと思ったら。
美姫 「ここに来て呂布、恋の登場ね」
にしても、七人がかりだったのに凌ぐか。
美姫 「やっぱり武においては抜き出ているわね」
だな。次回は再会があるらしいけれど。
美姫 「どうなるかしらね」
ではでは。



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