『黄金バット』
第六十三話 ナゾー博士海峡の潜水艦
津軽海峡は今の季節は波も穏やかな筈でした、ですが今その海峡には謎の潜水艦が出ていて大騒ぎになっていました。
「何だあの潜水艦は」
「どの国の潜水艦だ」
「どの国もあんな潜水艦知らないと言っているぞ」
「それじゃあ何なんだ」
「どういった潜水艦なんだ」
海峡を出たり沈んだり海中や海上を進んで進む真っ黒い葉巻の様な形の潜水艦を見て皆不安になっています。
そんな中で、です。海峡の上空に謎のUFOが突然出てきてその上に不気味な映像が空に浮かび上がりました。
「ロ〜〜ンブロンゾ〜〜」
「ナゾー博士!?」
「あの姿間違いない」
「四つの目に禍々しい爪」
「あの姿をした人間は他にいない」
「まさかあの潜水艦も」
「海峡の潜水艦は私が造り上げて私が動かしている」
博士は自分の出現に驚く人々に楽しそうに言います。
「私を倒すか潜水艦を撃沈しない限りはこの海峡は通れない、海峡に来る者は潜水艦が全て攻撃する」
「なっ、潜水艦が艦橋から空に光線を出したぞ」
「あれは破壊光線か」
「見れば魚雷発射管もある」
「海中は魚雷で攻撃するんだな」
「これは大変だ」
「迂闊に海峡を通れないぞ」
「通ったら攻撃されるぞ」
皆そのことがわかりました、それで潜水艦について本格的にどう対処するか政府が閣議を開いてでした。
海上自衛隊の大湊の艦隊が横須賀の潜水艦艦隊の協力を得て総力を挙げて潜水艦そして博士を倒すことになりました、その決定が下ってすぐにです。
自衛隊の艦隊そして多くの航空機やヘリコプターまで津軽海峡に向かいました、海と空そして東西からです。
海峡にいる博士の円盤と潜水艦を包囲してです、いよいよでした。
「攻撃開始だ」
「わかりました」
「ではこれよりです」
「総攻撃に入ります」
「博士と潜水艦を倒します」
「頼むぞ、津軽海峡は日本の海だ」
防衛相は現地にいます、海峡の岸辺にいてそこから陣頭指揮を執っています。
「我々の手で取り戻すんだ、責任は私が取る」
「大臣がですか」
「そうして下さいますか」
「無論だ、私が大臣だ」
だからだというのです。
「総理も仰っている、責任は自分が受け持つとな」
「だから我々はですね」
「臆することなく戦っていいですね」
「ナゾー博士と」
「そうしてくれ」
トランシーバー越しに強い声で告げます、自衛官の人達は司令の覚悟を見て指示を受けてでした。
博士の円盤と潜水艦に攻撃を仕掛けます、ですが博士の円盤は左右に素早く動き潜水艦は何とソナーが反応しない音波を打ち消す技術を用いて海中深くに潜ってです。
見付からなくなりました、これではお手上げでした。
「博士の円盤にも攻撃は当たらない」
「しかも潜水艦がソナーに反応しなくなった」
「どうすればいいんだ」
「どちらかを倒さねばならないのに」
「これではお手上げだ」
「見たか、これが私の技術だ」
空中のモニターに出る博士は楽しそうに言います。
「諸君の攻撃なぞ当たらない、では反撃といこうか」
「くっ、破壊光線が来るのか」
「そして魚雷が」
「博士の円盤からも攻撃が来るぞ」
「これはまずいぞ」
皆絶体絶命のピンチを感じ取りました、そしてです。
今まさに潜水艦と円盤の攻撃がはじまろうとした時にです、津軽の空高くに。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「その笑い声は!」
「まさか!」
「黄金バット!」
誰もが思わず声がした方を振り向きますと。
そこに黄金バットがいました、黄金色に輝く身体を空中に浮かべ両手を腰にやって裏地が真っ赤な黒いマントをたなびかせ仁王立ちしています。
黄金バットは高らかな笑いを終えるとすぐにステッキを出してその黄金色の宝石を海に向けて謎の虹色に輝く光線を出しました。
光線は海深くに入り何とでした。
「潜水艦が海の上に浮かび上がったぞ!」
「丸見えだ!」
「姿を現した潜水艦なぞ何でもない!」
「すぐに攻撃だ!」
自衛隊の護衛艦も航空機もヘリコプターも全てでした。
すぐに潜水艦に照準を合わせ攻撃を開始しました、そしてでした。
潜水艦は瞬く間に破壊され海の藻屑となりました、博士はその状況を見て言いました。
「私の負けだ、また機会をあらためて諸君等とあいまみえよう」
「次も勝ってやる!」
誰もが博士に言い返しました、博士は円盤を飛ばし何処かに消え去ってしまいました。そして今回も人々を助けてくれた黄金バットもです。
何処かへと飛び去りました、皆その黄金バットを見送って感謝の言葉を述べました。
「黄金バット今回も有り難う」
「助けてくれて有り難う」
「心から感謝するよ」
「黄金バットに感謝しよう、だが忘れてはいけない」
防衛相も言いました。
「日本そして日本人を守るのは我々自身だ」
「はい、日本人です」
「日本と日本人は日本人が守ります」
「何があろうとも」
「そうあるべきです」
「どんな魔人が来ようとも」
今回の様にというのです。
「日本を守るのは私達だ」
「その通りです」
「いざとなれば戦いましょう」
「今回の様に」
誰もが誓い合いました、平和になった津軽海峡を見て。平和が戻った海はとても奇麗で澄んでいました。
黄金バット 第六十三話 完
2025・5・28