『黄金バット』
第五十話 フー=マンチュー博士静岡での空中戦
静岡市は平和でした、ですがその平和は突如として破られてしまいました。
何と突如駿府城跡にフー=マンチュー博士が現れたのです。博士は登場すると即座にお空に漆黒の身体を持つ巨大な龍を出してきました。
そのうえで、です。博士は自分と龍に恐れ慄く人達に対して言いました。
「この龍明日の朝までに倒してみせよ、そうせぬ場合この黒龍が縦横に暴れこの城跡を完膚なきまで粉々にする」
「な、何ということだ」
「駿府城の跡を破壊するなんて」
「駿府城は跡になっても公園になっているんだ」
「静岡の人達の貴重な憩いの場所なんだぞ」
「しかも歴史的な資料としても貴重なんだ」
「そんな場所を壊させるか」
「絶対に許さないぞ」
静岡の人達はそんなことはさせないと立ち上がりました、そして城跡に集まり博士と対峙します。ですが。
静岡の人達の前にです、何と知事さんが出て来て言いました。
「馬鹿なことは止めろ!」
「馬鹿なこと!?」
「一体何がですか」
「何が馬鹿なんですか」
「公園を守らないといけないじゃないですか」
「暴力は駄目だ!こんな公園の為に暴力は振るうな!」
知事さんはこう言うのでした。
「こんな公園どうでもいいだろう!博士に暴力は振るうな!」
「あんた何言ってるんだ!」
「相手は魔人だぞ!」
「公園を破壊すると言ってるんだぞ!」
「そんなことを許すのか!」
「暴力を振るっているのはどっちだ!」
静岡の人達はおかしなことを言う知事さんに怒って言いました。
「あんた何言ってるんだ!」
「前から変なことばかり言ってたが今回もか!」
「自分達の大切なものを自分達で守らないでどうするんだ!」
「何が暴力だ!」
「これは守る為の戦いだ!」
こう言って知事さんを無視して博士そして黒龍に向かおうとします、知事さんはそれでも皆の邪魔をしようとしますが。
自衛隊そして警視庁の人達が静岡の人達のところに来て言ってきました。
「お話は聞いています」
「総理から出動要請が出ました」
「駿府城の城跡は守らなくてはいけないと」
「ここは市民の憩いの場、貴重な歴史資料だとのことで」
「守らなくてはならないと言われてです」
「私達も皆さんと一緒に戦います」
「一緒に城跡を守りましょう」
こう言ってです、自衛隊と警視庁の人達は静岡の人達と一緒に博士と黒龍に向かいます。知事さんは総理大臣に携帯電話で必死に抗議しようとしますが総理大臣はもう首相官邸からヘリコプターで現場に向かい陣頭指揮に入ろうとしているところで抗議は受け付けられませんでした。
そして総理大臣を乗せたヘリコプターも到着していよいよ博士と黒龍に皆が力を合わせて戦おうとしたところで。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「その笑い声は!」
「天主台の方から聞こえるぞ!」
「家康公が築かれた天主台からだ!」
「この笑い声は間違いない!」
「黄金バットだ!」
見れば天主台の真ん中にでした。
黄金バットがいました、黄金バットは両手を腰に置いてそのうえで裏地が真っ赤な黒いマントをたなびかせながら仁王立ちしていました。
黄金バットは皆にその雄姿を見せるとでした。
颯爽と空に舞い上がり博士の頭上にいる黒龍に向かいました、黒龍は神通力で無数の衝撃波を放って黄金バットを攻撃します。
衝撃波だけではありません、突如青空に黒雲をもくもくと出してそこから数えきれないだけの雷を落とします、そちらでも黄金バットを攻撃します。衝撃波に雷とまるでこの世の終わりの様な攻撃でした。
ですが黄金バットはその攻撃をまるで闘牛士の様にひらりひらりと舞ってかわします、空を飛びながらそうしてです。
黄金バット自身も攻撃を繰り出します、ステッキの尖った先を前にしてサーベルの様に持って縦横に振るってです。
そこから鎌ィ足を放って攻撃します、その攻撃は黒龍に的確に当たっていき。
遂にその額に一撃を浴びせました、すると黒龍は苦しそうな絶叫をあげて煙の様に消えていきました。博士もそれを見て歯噛みして言いました。
「今日も敗れたか、だがまた会おう」
「博士も消えたぞ」
「煙の様に消えたぞ」
「黒龍が消えて諦めたんだ」
「そうしたんだ」
「暴力は駄目だ!」
博士が消えたのを見て口々に言った皆にです。
知事さんがまた言いました、ですが誰もがその知事さんに冷たい目を向けて言いました。
「あんたの言う通りにしたらここはなくなっていたぞ」
「徳川家康公が建てた貴重なお城の跡が」
「そして静岡の人達の憩いの場所が」
「そんな大切な場所がどうなってもいいか」
「それが静岡県の知事さんの言葉か」
「忘れないからな」
「くっ・・・・・・」
知事さんは皆の冷たい目と言葉に怯んででした。
尻尾を巻いて逃げていきました、皆そんな知事さんを軽蔑しきった目で見送りました。そうしてでした。
皆で黄金バットにお顔を向けて言いました。
「黄金バット有り難う」
「今回も助けられたな」
「黄金バットは自ら奮い立つ人達を助けてくれる」
「今回もそうだったな」
「心から勇気を出した人達を助けてくれるんだな」
その黄金バットを見て言います、そしてです。
戦いを終えて天主台に戻った黄金バットは皆に挨拶をする様にお顔を向けてからです。
何も言わずお空に両手を挙げて飛び上がってでした、そのうえで何処かへと飛び去っていきました。その黄金バットをです。
皆総理大臣の掛け声で手を振って見送りました、戦いが終わった後はお日様がお空にありました。そうして駿府城跡の公園を暖かく照らすのでした。
黄金バット第五十話 完
2023・3・29