『黄金バット』




           第四十九話  メンインブラック長野の雪原で

 冬は皆スキーを楽しみます、それで長野県のスキー場も今は多くの人で賑わっています。
 皆スキーやスノーボードで滑って楽しんでいます、中には温泉であったまったりお酒を飲んでそういったことを楽しんでいる人もいます。
 ですがあるスキー場の一番上に突然でした。
 メンインブラックが現れました、するとそれまで普通に降っていた雪がです。
 猛吹雪になりました、雪の量が桁外れに増えて風が物凄く強くなりました、こうなるとスキーとどころではありません。
「折角スキーに来たのに」
「これではとても滑れないぞ」
「それにこの吹雪だとスキー場が埋まってしまう」
「幾ら何でもリフトや食堂まで埋もれる位だとスキーは出来ないぞ」
「温泉街も埋もれてきているぞ」
「これは大変だ」
「そうだ、私はこのスキー場とその傍にある温泉街を吹雪で埋めてやるのだ」
 メンインブラックは白い吹雪の中に漆黒の姿を見せつつ笑って言いました。
「その為にこの場所に現れたのだ」
「くっ、そうなのか」
「今度はその為に来たのか」
「実際にそうなってきているしな」
「そんなことさせるか」
「このスキー場を守るんだ」
「温泉街も守るんだ」
 皆メンインブラックの言葉を聞いてです。
 そんなことをさせるものかと立ち上がりました、スキー場と温泉街にいた人達が誰もが吹雪の中サングラスや防寒着にブーツに帽子に手袋で武装してです。
 そのうえでスキー場の頂上にいるメンインブラックに向かい怪人をやっつけて彼が出している吹雪を止めようとします。
 ですが吹雪はあまりにも強く思う様に前に進めません。
「何て吹雪だ」
「このままでは僕達も雪に埋もれてしまうぞ」
「この天気じゃ飛行機もヘリも動けない」
「ラッセル車を持って来てるがラッセル車も満足に動けない」
「恐ろしい吹雪だ」
「これは前に進めないぞ」
「しかしだ」 
 それでもとです、皆意を決して言いました。
「負けてたまるか」
「吹雪に負けるものか」
「スキー場と温泉街は我々が守るんだ」
「その二つが大好きな皆が」
「頑張るんだ」
「ここで負けたら全部雪に埋もれてしまうぞ」
 皆口々に言って励まし合い身を寄せ合って怪人に向かっていきます、怪人を何としてもやっつけてスキー場と温泉街を守ろうと進んでいきます。
 そんな時にでした、突如として。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「この笑い声は!」
「まさか!」
 皆がハッとしたその時にです。
 スキー場の頂上の右側にある林の先頭の一番高い木の上にでる。
 黄金バットがいました、黄金バットは吹雪の中でも裏が赤い漆黒のマントをたなびかせ両手を腰にやって立っています。そしてそこからでした。
 右手にステッキを出してステッキの宝玉の部分をです。
 天高く掲げますと宝玉から黄金色の光が天を覆う雲を破り。
 忽ち青空に変えてしまいました、青空から姿を見せる太陽が光を夏の時の様に出し雪を照らしこれまで積もっていた分そして降っている分までです。
 全て溶かしてしまいます、自分が出した吹雪を破られたメンインブラックはそのお顔を忌々し気に歪ませて言いました。
「今回も私の負けか、だがこの借りは何時か返す」
 こう言ってでした。
 怪人は身体を翻すと影が光に照らされた時の様に姿を消しました、後に残ったのは黄金バットと怪人と戦おうとしていた人々だけでしたが。
 黄金バットも怪人が姿を消すと自身のマントを左手に持ってさっと自分の身体を包みます。そうしてその仕草と共に姿を消しました。
 黄金バットも姿を消したのを見てです、皆は思いました。
「今回も黄金バットに助けられたな」
「黄金バットが吹雪を止めてくれて」
「そしてスキー場や温泉街を埋めていた分の雪を溶かしてくれて」
「スキー場も温泉街も救ってくれた」
「黄金バット有り難う」
「これでまた楽しめるぞ」 
 もう太陽は夏の様な日差しから穏やかなものになっています、青空も元のスキー場に相応しい天気に戻っています。
 黄金バットが救ったスキー場と温泉街はまた楽しめる場になりました、皆正義の怪人に心から感謝しました。


黄金バット 第四十九話   完


                    2023・1・29








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