『黄金バット』




            第四十七話  黒バット新幹線の前での死闘

 新幹線は今も走っています。
 日本を北から南につないで風の様な速さで進んでいます、事故を起こすことも停まることもなく速く走っても揺れることなくです。
 皆そんな新幹線を心から愛して利用しています、ですがその新幹線を動かすにあたって心臓と言っていい東京駅の新幹線用の線路にです。
「フフフフフフフフフフフフフフフフフ!!」
「なっ、黒バット!」
「黒バットが出て来たぞ!」
「線路の上に立っているぞ!」
 皆新幹線の線路の上に黒バットがいるのを見て驚きの声をあげました。
「このままで新幹線が出せないぞ!」
「黒バットが線路の上にいるからな」
「それどころか放っておいたら何をするかわからないぞ」
「線路や新幹線用の設備を破壊しかねないぞ」
「新幹線の車両自体もだ」
「駅も危ないぞ」
 皆不安になりました、そしてです。
 すぐに東京駅にいる鉄道警察の人達が総動員して黒バットに向かいました、そして鉄道警察だけでなくです。
 相手が相手、魔人であるので普通の警察だけでなく自衛隊も動員されて黒バットを包囲します、そのうえでどうすべきか東京駅の駅長さんは鉄道警察の隊長さんに言いました。
「迂闊には手を出せないが」
「それでもですね」
「速く何とかしないと駅に何をされるかわからないしな」
「ダイヤルにも支障が出ていますし」
「何とかしないとな」
「はい、では機動隊も用いて」
「黒バットを排除しよう」
 駅長さんはこのことを決断しました。
「一刻も早く」
「手をこまねいていると何をされるかわからない」   
 駅を破壊されてその際駅にいる多くの人達に何をされるかわからない、駅長さんは真剣に心配していました。
「だからこそだよ」
「それがいいですね」
「自衛隊にも協力を要請してもらって」
 そのうえでというのです。
「一刻も早く排除しよう」
「では今から」
「黒バットへ攻撃を開始しよう」
 鉄道警察の人達だけでなくです。
 普通の警察それに自衛隊の人達も協力してでした。  
 黒バットに催涙弾だけでなく実弾での攻撃を行い機動隊の人達が盾を持ったうえでの突撃の用意にも入りました。
 後は駅長さんの命令を待つだけでした、そして駅長さんも実際にです。
 命令を出そうとしました、ですがここで。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「!?この笑い声は」
「まさか!」
「プラットフォームの屋根の上からだ!」
 その場にいた誰もがそこに目を向けました、するとです。
 そこに黄金バットが立っていました、黄金色に眩く輝く身体にです。
 裏が深紅の黒マントをたなびかせ両手を腰に当てて高らかに笑っています、そうしてその場に颯爽と立っていてです。
 黄金バットは右手にステッキを出してでした。その尖った先をフェシングの様にして黒バットに向かいました。黒バットもです。
 自分のステッキの先をやはりフェシングの様にしてでした、そのうえで黄金バットに対します。善悪二人の異形の魔人達は新幹線の線路の上で勝負を繰り広げます。
 皆両雄の一騎打ちを見守りました、ですがその中で駅長さんははっとなって皆に言いました。
「黄金バットだけに闘わせてはいけない」
「そ、そうですね」
「彼だけを闘わせてはいけません」
「我々も戦えます」
「戦えるのなら」
「そうだ、黄金バットを援護してだ」 
 そうしてというのです。
「戦おう、攻撃開始だ」
「わかりました」
「そうしましょう」
「これより」
 皆も頷いてでした。
 そのうえで総攻撃を開始しました。銃を持っている人達は黄金バットを援護して黒バットに対して銃撃を行い。
 機動隊の人達も攻撃に入ります、こうなっては多勢に無勢となり。
 黄金バットと互角の勝負を繰り広げていた黒バットはたまりかねて黄金バットとの間合いを開けてそうしてでした。
 空に舞い上がり悔しそうに飛び去りました、それを見てです。
 黄金バットは両手を上げて空を飛びました、マントをたなびかせ空を飛んで何処かへと飛び去りました。
 その光景を見届けてです、駅長さんは鉄道警察の隊長さんそして他の人達に言いました。
「戦えるなら戦わないといけないな」
「そうですね」
「誰かに任せるだけでなく」
「誰もがですね」
「そうだ、今我々は戦えたからこそ」
 だからだというのです。
「戦った、それでよかったんだ」
「黄金バットを助けて」
「その前に攻撃を決意して」
「そうしてですね」
「よかったんだ、だからこそ」
 まさにというのです。
「またこうした時があれば」
「はい、戦いましょう」
「戦えるなら」
「絶対にそうしましょう」
「自分達の危機を自分達の力で乗り越える」
 駅長さんはこうも言いました。
「そうしないと駄目だね」
「全くです」
「ではまたこうしたことがあれば」
「その時は」
「向かっていこう、その危機に」
 戦いもしてとです、こう言ってでした。 
 駅長さんは自分と一緒に戦ってくれた人達と共にでした。
 黒バットという危機を退けたことを喜び最初に彼に向かってくれた黄金バットに心から感謝しました。真剣線は再び動き多くの人を速く安全に運んでくれました。


黄金バット第四十七話   完


                   2022・9・28








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