『黄金バット』
第四十六話 未曽有の台風から林檎を守れ
青森県は日本の北の方にあります、ですからここまで台風はあまり来ません。ですがこの時は別でした。
とんでもない大きさの台風が日本列島を縦断して青森県まで来ました、台風は死んだ人こそ出しませんでしたが各地で沢山の人を困らせていました。
そうして青森県まで来ました、丁度その時は林檎の収穫期で。
それで林檎農家の人達は苦いお顔で言いました。
「こんな時に来るなんて」
「こっちには滅多に来ないのに」
「これは厄介だな」
「嫌なことになったわ」
皆こう言います、そうしてです。
何とか台風が来る前に林檎の収穫を済ませてしまおうと必死に働きはじめました、ですが台風は速度を速めてです。
青森県に迫ってきました、それを受けて農家の人達は必死に林檎の収穫にかかりました。
「急げ!」
「早く収穫するんだ!」
「さもないと林檎が台風で吹き飛ばされるぞ!」
「傷めつけられるぞ!」
こう言ってでした。
皆で大急ぎで林檎を木から取って収穫します、ですが。
それに間に合いそうにもありませんでした、台風はどんどん速くなってきていました。林檎農家の人達は家族総出で収穫を急いで。
助っ人に来られる人は皆読んで働いてもらいました、ですがそれでも強い雨が降り出してきてでした。
風も出てきました、皆台風が来たとわかりました。
「まずい、間に合わない」
「まだ半分位なのに」
「急がないといけないのに」
「もう来るなんて」
「兎に角急がないと」
「さもないと林檎が吹き飛ばされたり傷めつけられてしまうわ」
皆は台風に絶望することなくです。
お仕事をさらに急がせます、林檎を取って籠に入れて倉庫の中に入れていきます。雨が降って風が吹いてきてもです。
そうします、誰もが本当に必死に働いています。それでも台風はいよいよ林檎を吹き飛ばそうとしてきましたが。
そこで、です。林檎園の上空にでした。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「その笑い声は!」
「間違いないわ!」
「黄金バット!」
「黄金バットが来てくれた!」
黄金バットは宙に浮かんででした。
両手に腰を置いてマントを風にたなびかせてそのうえで仁王立ちしていました、そうして両手を自分のお顔の前で交差させてです。
その両手を思いきり腰の横まで手を拳にして肘から一気に戻してでした。
身体全体から黄金の光を台風に向けて放ちました、すると。
台風は見る見るうちに弱まりました、まだ雨や風はありますが。
林檎の収穫には全く問題がない位になりました、黄金バットはそれを見届けると両手を肩の上に垂直に伸ばしてです。
何処かへと飛び去っていきました、その姿を見送ってです。
農家の人達は林檎の収穫を続けつつ言いました。
「よかった、黄金バットに助けられた」
「本当によかったわ」
「台風の力を弱めてくれたから」
「これで収穫が出来る」
「安心して出来るよ」
「黄金バットのお陰だ」
「黄金バット有り難う」
皆で黄金バットに感謝します、そうしてです。
無事に林檎を収穫しました、青森県の林檎は今年も無事そうされて日本全土に出回りました。そのうえで皆を美味しく楽しませました。皆その林檎を食べて黄金バットに感謝もしました。
黄金バット 第四十六話 完
2022・6・29