『黄金バット』




        第四十五話  フー=マンチュー博士異形の蝙蝠達

 琵琶湖の上空に無数の蝙蝠達が姿を現しました、よく見ればその蝙蝠は全てチスイコウモリでした。
「何て数だ」
「何千万といるぞ」
「そして何をしてくるかわからないぞ」
「とんでもないことになったな」
 滋賀県の人達は無数の蝙蝠達が出て来て困りました、そして滋賀県の彦根城の大手門の屋根の上にでした。
 フー=マンチュー博士が現れました、博士はそこから高らかに言いました。
「私が妖術で出した蝙蝠達防げるか」
「くっ、この蝙蝠達はフー=マンチュー博士が出したのか」
「どうして出て来たのかと思えば」
「これは危険だ」
「この蝙蝠達は只の蝙蝠じゃないぞ」
「血を吸うだけじゃないな」
「それだけじゃないな」
 皆すぐにわかりました、それで身構えますが。
 蝙蝠達に対してです、博士はさらに言いました。
「蝙蝠達は病気を持っている」
「何て恐ろしいことだ」
「感染症によるが怖いぞ」
「命を落とす場合もあるぞ」
「そんな蝙蝠達を出してくるなんて」
「何て恐ろしいことをするんだ」
「この蝙蝠達倒してみせることだ」
 博士は彦根城の大手門の屋根の上から高らかに言いました、その挑戦を受けてです。
 滋賀県の人達は警察も消防署の人達もそして動ける人は全てです。
 完全武装して襲い来る蝙蝠達と戦いました、防護服を着ていると蝙蝠の恐ろしい牙も通じず犠牲者は出ずに蝙蝠達を次々と倒せます。
 ですがそれでもです。
「何て多さだ」
「幾ら倒してもいるぞ」
「空は蝙蝠で埋め尽くされている」
「病原菌も持っている」
「総てやっつけないといけないのに」
「狂犬病だとどうするんだ」
「何千何万とやっつけてもいるのに」
 それでもお空にはまだ蝙蝠達が空を埋め尽くさんばかりにいます、倒しても倒しても一向に減る気配はありません。
「流石博士が妖術を使っただけはある」
「何て多さだ」
「このままだと力尽きるぞ」
「そうなってしまうぞ」
「そうなったら終わりだ」
「もう皆へとへとだぞ」
「他の県からも助けを呼ぶんだ」
 こう言ってすぐにでした。
 他の府県からも助っ人が呼ばれました、そうしてそのうえで蝙蝠達をやっつけていくのですがまだ蝙蝠達はいます、そうして何時琵琶湖上空からいなくなるかわかりません。
 それで、でした。
「何時琵琶湖上空から出るか」
「広まったら大変だぞ」
「その前に全部やっつけたいのに」
「全然減らないぞ」
「助っ人に来た人達もへとへとだ」
「どうすればいいんだ」
 助っ人に来た人達もへとへとになってしまいました、そうしてもう皆もう動けないと言いそうになったところで。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「その声は!」
「黄金バットだ!」
「彦根上の天守閣の上に出たぞ!」
「そこにいるぞ!」 
 見ればそこにです。
 黄金バットがいました、黄金バットは両手を腰にあてて裏地が赤い黒のマントをたなびかせてそこで高笑いをしています。
 そうしてその高笑いの後で、でした。
 黄金バットはステッキを右手に先の尖った部分をレイピアの様に先にして持ってでした。
 空を舞い大手門の上にいるフー=マンチュー博士に挑みました、そうしてです。
 青龍刀を出してやはり空に舞った博士と一騎打ちに入りました、正義の超人と邪悪な魔人は空の上で激しく激突し。
 何十合と打ち合いそれが二百三百となった時にです。
 博士の動きが疲れか僅かに鈍くなった時にです。
 黄金バットのステッキが一閃し博士の青龍刀を弾きました、青龍刀は空で激しく回転しそのうえでお城の地面に刃から突き刺さりました。
 博士はそれを見て苦い顔になり自分の負けだと告げて消え去ってしまいました。
「私の負けだ」
「博士が負けを認めたぞ」
「何処かに消え去ったぞ」
「すると蝙蝠達も消えたぞ」
「一匹残らず消え去ったぞ」
「博士が去り妖術が消えたか」
「だからか」
 蝙蝠達は博士が消えると一匹残らず消えてしまいました、皆どうして蝙蝠達が消え去ったかすぐにわかりました。
 そして博士を退けてくれた黄金バットにお礼を言おうとしましたが。
 黄金バットは何処かへと颯爽と飛び去ってしまいました、それで人達は黄金バットが飛び去った方を見て手を振って言いました。
「有り難う黄金バット」
「今回も黄金バットに助けられたよ」
「今回も有り難う」
「滋賀県を助けてくれて有り難う」
 皆で手を振って黄金バットに心から感謝の言葉を贈りました、黄金バットは何も言いません。ですが皆その黄金バットに自分達を助けてくれたことに対して深く深く心からお礼を言うのでした。


黄金バット  第四十五話   完


                  2022・4・27








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