『黄金バット』




            第四十三話  ナゾー博士ハウステンボスを守れ

 ハウステンボスの上空に突然ナゾー博士の円盤が出てきました、円盤にはしっかりとナゾー博士が乗っていて四つの赤青黄緑の四色の目と右手の三本の指左手の二本の指もあります。
 その博士がです、高らかに言いました。
「ロ〜〜ンブロンゾ〜〜この奇麗なハウステンボスを破壊してやろう」
「くそっ、いきなり出て来てか」
「またとんでもないことをするな」
「そんなことさせるか」
「どんなことをしてきてもな」
 人々は博士のその言葉を聞いてすぐにそうさせるかと身構えました、そしてです。
 即座にハウステンボスの方に自衛隊の航空機や戦闘車両それに艦船が集結しました。その頃にはです。
 ハウステンボスの上空に無数の円盤が展開していました、それはナゾー博士の乗っている円盤の人が乗っていないものでした。
 その円盤が何百も出ました、現場に来ていた自衛隊の最高司令官である総理大臣は言いました。
「あれだけの数の円盤に攻撃されてはハウステンボスはひとたまりもないぞ」
「では総理どうされますか」
「総攻撃を許可する」
 総理は傍にいた自衛隊の偉い人に告げました、こうしてです。
 戦闘機や艦船や戦闘車両からミサイル、対空砲撃が行われました、その弾幕の様な攻撃に円盤は次々と破壊され空中で四散していきました。
 ですが円盤は自由自在に動きかつ素早いです、しかも数があまりにも多くて撃破してもそれでもまだ沢山あります。
 それでナゾー博士も上空から言いました。
「私が造った円盤そう簡単にすべて破壊出来ると思うか、諸君等に今は攻撃を許しているが一機でも残ればその一機の怪光線でハウステンボスは消し去ると言っておこう」
「くっ、そんなことはさせるか」
「円盤を一機残さず撃墜してやる」
「絶対にそうしてやる」 
 総理も自衛官の人達もそうはさせじとなります、ですが円盤はあまりも多くとんでもない速さで上下左右に自由に動くので。
 ミサイルも対空砲撃も倒しきれません、それで皆これはまずいと思いました。
「このままじゃ駄目だ」
「これでは倒しきれないぞ」
「ミサイルや砲弾には限りがある」
「一機でも残れば駄目だというのに」
「どうすればいいんだ」
 皆不安を感じはじめました、ですが総理は諦めていなくて。
 それで、です。こう指示を出しました。
「ここにもっと自衛隊の兵器を急いで集めよう、そしてだ」
「最後の一機まで撃墜する」
「そうするんですね」
「そうするんだ、諦めたら駄目だ」
 こう言うのでした、そしてです。
 その指示を出しました、そのうえで最後の最後まで戦おうとしますと。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
 宝かな笑い声が聞こえてきました、そしてです。
 ハウステンボスの観覧車の頂上にです、黄金バットが姿を現しました。裏地が赤い黒マントを風にたなびかせ両手は腰の横に置いています。
 黄金バットは姿を現すとすぐにでした。
 ステッキを出して右手に持ってステッキの宝玉の部分を上空を自由自在に動き回る円盤達に向けました。そうしてです。
 ステッキの宝玉から金色に輝く謎の光を放ちました、その光は忽ち無数に分かれ円盤達一機一機を貫いてです。 
 動きを完全に止めました、総理はそれを見てはっとなりました。
「円盤達の動きが止まった、それならだ」
「はい、一機一機的確に狙えます」
「そうして破壊出来ます」
「それだけのミサイルや砲弾は残っています」
「それなら」
「今から一機一機狙いを定めて的確に破壊するんだ」
 こう指示を出しました、そしてです。
 動きを完全に止められた円盤達は一機一機確実に破壊されてです。
 瞬く間に全機空からいなくなりました、ナゾー博士はそれを見て言いました。
「今回は私の負けだ、だが次はこうはいかないぞ」
 こう言い残して円盤を飛ばして何処かへと消え去りました、コウシテハウステンボスの危機は去りました。
 その時にはもう黄金バットは何処にもいませんでした、ですが総理の傍にいた自衛隊の偉い人が言いました。
「おそらく総理の最後までハウステンボスを守ろうという姿を見てです」
「黄金バットは姿を現してくれたのか」
「そして力を貸してくれました」
 そうしてくれたというのです。
「そうだったのです」
「最後まで諦めないで守る」
「その姿勢に感じ入ったのです」
「そうなのか、だから黄金バットは助けてくれた」
「絶対に守ろうという総理の姿に」
「わかった、では私はこれからも」
 総理はその言葉を聞いて強い声で頷きました。
「全力で最後の最後まで」
「守っていかれますね」
「日本をね」
 総理はこのことを約束しました、そして青い空を見上げました。危機が去り平穏に戻ったその空を。


黄金バット 第四十三話   完


                   2021・11・28








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