『黄金バット』




             第三十八話  黒バット大雪の中の激闘

 今秋田県は大雪に包まれています、東北の日本海側は特に雪が多いですがこの時は記録的な大雪でした。
 吹雪が何時終わるともなく吹き荒れています、積雪は記録的なものになっていて交通は完全にストップしてです。
 お家から出られない人もどんどん増えていって産業も動かなくなりました、これには困ってしまいました。
 そしてそんな中にでした。
 八郎潟のところに黒バットが姿を現しました、皆大変な時に魔人が出て来て大騒ぎになりました。
「こんな大変な時に黒バットまで出て来るなんて」
「まさに弱り目に祟り目だ」
「一体どうすればいいんだ」
「大雪にもお手上げなのに」
「黒バットはどうしたらいいんだ」
「若しかしてクロバットが大雪を起こしたんじゃないのか?」
 こうした意見も出ました。
「若しかして」
「有り得るな、魔人だからな」
「黒バットならそれ位出来るぞ」
「それじゃあ大雪は黒バットを倒したら止むのか?」
「じゃあ黒バットを倒せばいいのか?」
 こう考える人も出ました、ですが。
 黒バットは吹雪が荒れ狂う八郎潟の平野の中で高らかに言いました。
「私は大雪とは関係はない!」
「何っ、そうなのか」
「この大雪は黒バットとは関係がないのか」
「じゃあどうして起こっているんだ」
「どうしてなんだ」
 皆黒バットの言葉に驚きました、そしてです。
 どうして吹雪が荒れ狂っているのか、あらためて考えますと。
「異常気象か」
「結局はそれか」
「魔人とは関係ないことか」
「全く別の脅威か」
「では我々は大雪に向かおう」
 人々は黒バットの言葉にまさかと思いましたがそれでもです。
 このまま何もしないで大雪のせいで交通も産業もストップしてお家に閉じ込められた人達がそのまま食べものや燃料がなくなって餓えたり寒さに震えたりするよりも前にと必死に考えてです。
 秋田の人達だけでなく日本中から多くの人達、ボランティアや警察、そして自衛隊の人達が集まってでした。
 秋田県全土で除雪作業にあたって大雪をどんどんどけていきました、除雪機や多くの機械それに人手を使ってです。
 大雪はどけていきました、そうして人々は大雪との戦いに一丸となって必死に向かいました。ですが。
 黒バットは八郎潟にずっといます、そして吹雪の中で何かを待っている様でした、人々はその黒バットを見て思いました。
「一体何のつもりなんだ」
「何を考えているんだ」
「黒バットは何かを待っているのか?」
「また悪いことをしようとしているのか?」
 多くの人が思いました、その中で。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
 あの高笑いが聞こえてきました、そしてです。
 吹雪の中黄金バットが姿を現しました、何とです。
 黒バットの前に両手を腰に当ててマントをたなびかせています、そうして。 
 ステッキを抜くとです。
 雪の上を滑る様に進み黒バットに向かいます、黒バットもステッキを抜いてです。
 黄金バットに向かい二人は一騎打ちに入りました、二人はお互いにステッキをフェシングの様に使い激しく突き合います。
 人々が吹雪と戦う中両者は一歩も引かぬ戦いを続けました、二人の戦いは長く続きましたが。
 やがてでした。
 吹雪が止みその時に。
 黄金バットの鋭い突きが入り黒バットはそれを自分のステッキで守ろうとしますが。
 防いだ衝撃でステッキが吹き飛ばされました、吹き飛ばされた黒バットのステッキは空中で激しくバトンの様に回転してです。 
 雪原に突き刺さりました、すると黒バットは。
 忌々し気に呻き素早くステッキのところに滑りステッキを持つと黄金バットに言いました。
「私の負けだ」
 口惜しさに満ちた声を残してでした。
 黒バットは姿を消しました、それを見てです。
 黄金バットも何処かへと飛び去りました、人々はその彼を見ながら雪と戦いつつ思いました。
「魔人は黄金バットが引き受けてくれたのか」
「大雪と共に現れた魔人は」
「大雪、自然と戦うことを選んだ俺達を見て」
「自分はもう一つの脅威にあたってくれたのか」
「そして退けてくれたのか」
「若し黄金バットが出ないと黒バットは何時何をするかわからなかった」
 その絶大な力で、です。
「それを防いでくれた」
「そして俺達を雪に専念させてくれたんだ」
「雪との戦いに」
「それも黄金バットの配慮か」
「俺達への気遣いなんだな」
「俺達を助けてくれたか」
「それならだ」
 人々は決心しました。
「この大雪に勝つぞ」
「除雪を頑張るぞ」
「もう雪は止んだんだ」
「それなら絶対に勝つぞ」
 人々は口々にこう言ってでした。
 皆で力を合わせて懸命に除雪作業をしました、そうしてです。
 吹雪が止んだ秋田で人々は道や屋根から雪をどけて溶かして行き来出来る様にでした。
 交通も産業も復活させて人や車の自由な往来が戻りました、人々は大雪に勝ったことを喜び黒バットを退けてくれた黄金バットに心から感謝しました。人々と謎の超人は共に世の脅威に勝ったのです。


黄金バット 第三十八話   完


                    2021・1・3








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