『黄金バット』
第二十九話 メンインブラック鎌倉を襲う闇
鎌倉にメンインブラックが姿を現わしました、すると魔人は誰も知らない不思議な力を使ってです。
鎌倉の街を闇で覆ってしまいました、闇はとても暗くて太陽の光を遮り街を常に夜にしてしまいました。
それで街の人達は大変なことになりました、街の灯りで何とか生活は出来ますがそれでいつも夜になったのです。
朝やお昼に出来ることが大きく制約されて大変なことになりました、それで皆でどうしようかとお話しました。
「メンインブラックを何とかしないと駄目だ」
「あいつが闇を出してそうなったんだ」
「あいつの妖しい力のせいだ」
「あいつを何とかしないと駄目だ」
「あいつを倒そう」
「絶対に」
こうお話してです、皆で鎌倉の街を闇に包んだ魔人を探します。すると魔人は鎌倉の極楽寺にいました。
そのことを聞いて鎌倉の市長さんは苦いお顔で言いました。
「よりによってあの場所でか」
「はい、この鎌倉の名刹です」
「そこにいるとは」
「今度は極楽寺に何をするかわかりません」
「これは放置出来ません」
「何があろうとも」
「そうだ、だがこのまま放っておくとだ」
どうしてもとです、市長さんは言うのでした。
「この鎌倉は夜の闇に包まれたままでだ」
「既に市民の生活に深刻な影響が出ています」
「何しろ常に夜なのですから」
「しかも植物が育ちません」
「農作物やお花への影響も気になります」
「早いうちに何とかしなければ」
「ここは」
「そうだ、だからだ」
それ故にとです、市長さんも必死のお顔です。
「ここは一刻も早くだ」
「何とかしましょう」
「そうして夜の闇を取り払いましょう」
「夜も必要ですが常に夜だと困ります」
「本当にこれ以上大変なことになっては困ります」
「鎌倉警察署、いや神奈川県警にも要請を出して」
そうしてというのです。
「必要とあれば自衛隊にもだ」
「要請を出して」
「そうしてですね」
「何とか魔人を排除する」
「そうしますね」
「何とか魔人を退けよう」
そうして鎌倉を救おうとです、市長さんは即座にでした。警察と自衛隊の人達に要請を出しました。するとです。
警察と自衛隊の特殊部隊の人達が極楽寺の前に集結しました、どの人もとても緊張したお顔でお寺の前にいます。
そしてです、警察の特殊部隊の隊長さんが部下の人達に言いました、
「いいか、これからだ」
「お寺の中に潜入し」
「そうしてですね」
「メンインブラックを倒す」
「そうしますね」
「そうだ、もうお寺の人達は逃れている」
お寺を出ているというのです。
「いるのは魔人だけだ」
「だからですね」
「魔人だけを倒せばいいですね」
「そしてそうすれば」
「鎌倉の街は元に戻りますね」
「そうなるからだ」
ここはというのです。
「今回は何としてもだ」
「作戦を成功させましょう」
「我々の手で」
「市民そして街を守るのが我々の仕事です」
「それが警察の仕事ですから」
「絶対に成功させるぞ」
「警察と共同してだ」
今度は自衛隊の特殊部隊の隊長さんが部下の人達に言います。
「魔人を倒すぞ」
「了解」
「ではこれよりですね」
「寺の中に入り」
「そうして魔人に攻撃を仕掛け」
「そのうえで」
「倒すのだ」
是非にと言うのだった。
「いいな、若し倒せなくてもだ」
「退けましょう」
「この鎌倉から」
「日本という国を守るのが我々です」
「自衛隊です」
「その責務を全うしましょう」
「必ずな」
こう言ってでした、そのうえで。
警察と自衛隊の特殊部隊の人達は共同して極楽寺の中に入りました、そうして警戒しつつ魔人を探していますと。
魔人はお寺の伽藍の屋根上にいました、皆その魔人を見て言いました。
「そこにいたか」
「まるで弁天小僧だな」
「極楽寺の屋根上にいるとは」
「魔人がそうしてくるとは」
「どういうつもりだ」
「只の洒落だ」
まさにとです、魔人は腕を組んで直立した姿勢で屋根上に立って警察や自衛隊の人達を見降ろしつつ言うのでした。
「私のな、それで何用で来た」
「貴様を倒す」
「そうして鎌倉を救う」
「そうする」
「そうか、ならそうしてみせてみることだ」
魔人は悠然と笑ってでした、そのうえでその場に残りました。警察の人達も自衛隊の人達も下から魔人に総攻撃を浴びせますが。
魔人に一発も当たりません、魔人はその身体の周りに闇のバリアーを出して銃弾がそれに触れるとでした。
銃弾は闇の中に飲み込まれ溶ける様に消えていきます、警官の人達も自衛官の人達もこれには苦いお顔になりました。
「流石魔人だな」
「この攻撃が通用しないか」
「銃弾を闇のバリアーで防いでいる」
「一体どうすればいいんだ」
「この攻撃を」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
ここで山門の上からでした、高笑いが聞こえてきました。皆その笑い声に驚いて山門のところを見るとです。
その上に黄金バットがいました、金色に輝く身体を持つ正義の魔人は両手を自分の腰に当ててそのうえで漆黒のマントをたなびかせ仁王立ちしています。
そして右手にステッキを出すとです。
ステッキの先、黄金の宝玉をメンインブラックに向けるとそこからでした。銀色に眩く輝く光線が魔人に向かって放たれて。
メンインブラックの闇のバリアーが消えました、するとです。
これまで全く通じなかった攻撃が魔人に当たる様になりました、魔人は流石に頑丈で銃弾を受けても殆どダメージを受けませんが。
それでもあまりにも多くの攻撃を受けるのでたまりかねてでした。
忌々し気なお顔になってそうしてです、身を翻して闇の中に姿を消しました。するとこれまで鎌倉の街を覆っていた闇がです。
完全に消えました、すると鎌倉の街がお昼に戻りました。これまで街を覆っていた闇は何処にもありません。
極楽寺にいる警官の人達も自衛隊の人達も大喜びです、それで言うのでした。
「やったぞ!」
「鎌倉の街は救われたぞ!」
「黄金バットのお陰だ!」
「黄金バットがまた助けてくれた!」
「そのお陰で魔人を退けることが出来た!」
「全ては黄金バットの力だ!」
「今回も有り難う!」
皆で言います、ですが黄金バットは。
そうした褒め言葉は恥ずかしいのか何処かに去っていました、ですがお寺の中に突入し戦った人達も鎌倉の人達もです。
皆黄金バットの感謝の気持ちを強く抱きました、それで市長さんも言いました。
「この度のことは黄金バットが助けてくれた」
「全くです」
「黄金バットがいなければどうなっていたか」
「全くわかりません」
「そう思うとです」
「感謝の気持ちに堪えません」
「このことは是非讃えなくてはならない」
黄金バッドが鎌倉の街を救ってくれたことはというのです、こう言ってでした。
黄金バットに鎌倉市として感謝の言葉を述べました、そうして誰もが正義の魔人に心から感謝するのでした。
黄金バット 第二十九話 完
2019・7・3