『黄金バット』
第二十七話 黒バット夜の新宿で
今東京では大変な問題が起こっていました。
何と毎夜黒バットが街に現れてです、そうして電車を止めたり車を破壊したり歩道橋をステッキで真っ二つにしたりするのです。
この事態に東京の人達は困ってしまいました、それで警察の人達も黒バットを何とかやっつけようとしますが。
幾らお巡りさん達でも悪人とはいえ超能力者である黒バットには勝てません、夜に拳銃を持ってやっつけに行ってもです。
黒バットはそのステッキから出す衝撃波や素早い動き、圧倒的なパワーに様々な超能力でお巡りさん達を退けてしまいます、そうしていつも高笑いと共に夜の闇の中に姿を消します。
「フフフフフフフフフフフフフフフフフ!!」
「くそっ、まただ」
「また黒バットにやられたぞ」
「何て強さだ」
「とても敵わないぞ」
「相変わらずの強さだ」
退けられたお巡りさん達は怪我人を助けながら言います、今のところお巡りさん達にも黒バットの破壊行為に巻き込まれたりして死んだ人はいません。
ですがあくまで今のところで、です。
「このままじゃ何時死ぬかわからないぞ」
「犠牲者が出てもおかしくない」
「これまでの破壊行為で多くの損害が出ているしな」
「早く何とかしないと」
「何とかしないといけないというのに」
こうお話します、それでです。
黒バットを何とかやっつけようとです、拳銃だけでなく散弾銃や機関銃まで出してヘリコプターまで用意しました。そしてことの事態を重く見た内閣総理大臣もです。
自衛隊にも出動命令を出しました、こうして警察と自衛隊が黒バット一人の為に大勢動員されることになりました。黒バットはそこまでの脅威だからです。
そうしてこの夜こそ黒バットを何とかしようとしましたが。
黒バットはこの夜は新宿の方に出てきました、そうして夜の繁華街のネオンライトに照らされながら空を舞い街にあるものを次々にステッキをサーベルみたいに振るって真っ二つにして破壊していきます。
「信号機も木も電話ボックスも切ってるぞ」
「とんでもないことをしているぞ」
「警察に連絡をしろ」
「自衛隊にもだ」
その黒バットを見てです、この時新宿にいた人達は警察や自衛隊に連絡をしました、するとすぐにお巡りさん達に自衛官の人達が駆け付けれくれましたが。
拳銃も散弾銃も機関銃も自動小銃もです。黒バットには全く当たりません。黒バットはお空を素早く飛んで身体を透明にしたり分身の術を使ったりしてです。
銃弾をかわしてしまいます、そうして目から怪光線を出したりステッキの宝石の部分から稲妻を出してです。
お巡りさん達も自衛官の人達も寄せ付けません、この状況に皆困ってしまいました。もう黒バットを倒せないのではと思いましたが。
ここで、です。新宿のある高いビルの一番上からです。あの笑い声が聞こえてきました。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「この笑い声は!」
「まさか!」
「あのビルの上か!」
「あそこか!」
皆その笑い声の方を見ますと。
そこに黄金バットがいました、黄金バットは闇夜の中でも金色に輝く全身でマントを羽織って両手を腰にやっていました。
そうしてです、右手にステッキを出すとです。
ひらりと舞い降りて黒バットの前に出て来ました、そうして右手に持っているステッキをサーベルの様に使い。
黒バットと空中を舞いつつ激しい一騎打ちを繰り広げました、両者はまるで華麗な舞を舞う様に闘いを繰り広げ。
遂に黒バットのステッキが黄金バットのステッキの一撃で粉々に砕け散ってしまいました、それを見た黒バットは敗北を悟ったのか。
左手でマントを動かし自分の身体を包んでです、悔しそうにその場から姿を消しました。後に残ったのは黄金バットだけとなりました。
ですがその黄金バットもです、闇夜を照らすお月様に向かってです。
颯爽と飛んでいき姿を消しました、ですが皆わかっていました。
「今回も助かった」
「黄金バットに助けられたぞ」
「よかったよ」
「お陰で助かった」
「大変な損害が出たけれど」
それでもというのです。
「犠牲者が出るまでに何とかなった」
「全ては黄金バットのお陰だ」
「黄金バット有り難う」
「今回も有り難う」
皆黄金バットに心から感謝しました、ですが黄金バットは皆のその声は聴きませんでした。まるでそんなことよりも困っている人達を助けることこそが自分の義務であるかの様に。
黄金バット第二十七話 完
2019・3・3