『黄金バット』




      第二十四話  メンインブラック冬の函館で

 冬の函館はこの季節にもいえこの季節だからでしょうか観光客が沢山来て奇麗な夜景に美味しい函館の海の幸にラーメンを食べて楽しみます。ですがこの夜はです。
 函館の駅の上に突如として姿を現したメンインブラックに誰もが恐れおののいていました。
「いきなり出て来たな」
「今度は何をするつもりなんだ」
「いつも何をするかわからない魔人だが」
「今度は何だ」
「何をするつもりなんだ」
「ふふふ、冬の函館はこの寒さだからこそいい」
 メンインブラックは函館駅の上で悠然と立ちそのうえで笑って言うのでした。
「しかしその寒さが夏の暑さに変わればどうなるのか」
「!?それは大変だ」
「函館の冬の海の幸は冬だからこそなのに」
「若し函館そして海が暑くなれば」
「海の幸がなくなるぞ」
「大変なことだ」
「私は今からそれを行うのだ」
 函館を自身の力で暑くしてみせるというのです。
「実際に次第に暖かくなっていないか」
「零下じゃなくなっているぞ」
「函館にしては暖かいな」
「北海道で零下にいかない冬だと」
「かえって怖いぞ」
 暖かい冬は暖かい冬で危険なのです、自然の摂理が乱れると農作物もそうですが漁場にも深刻な影響が出るからです。
 ですから函館の人達の人達も観光客の人達もどうしようかと困っていました、それで函館の人達はすぐにです。
 本当に暖かくなっていく中でこうお話しました、勿論観光客の人達も一緒になってどうしようかとお話をしています。
「どうしようか」
「このままだと本当に夏みたいな気温になるぞ」
「そうなったら雪も溶けるし」
 函館の景色の一つになっているそれもです。
「そして漁場がどうなるか」
「鮭やホタルイカはどうなるんだ」
「海胆はどうなるんだ」
「早くメンインブラックを何とかしないと」
「さもないと大変なことになるぞ」
 こうお話します、それで函館の駅の周りに集まって皆で武器やそうしたものを持ってメンインブラックをやっつけようとしますが。
 皆のところに函館の市長さんが来て駅を囲む皆に言うのでした。
「皆さん待って下さい」
「どうしたんですか?」
「早くメンインブラックを何とかしないといけないですよ」
「このままだと函館が大変なことになりますよ」
「市長さんもわかってますよね」
「わかっています、ですが」
 それでもというのです。
「相手は魔人です、迂闊に戦っても」
「駄目ですか」
「勝てる相手じゃないですか」
「そう言われるんですか」
「ですから」
 それでというのです、市長さんは。
「ここは皆さんでは」
「ですがこのままでは」
「函館が大変なことになりますよ」
「冬なのに夏みたいに暑くなったら」
「どれだけ大変か」
「皆さんに何かあっては大変です」
 市長さんはメンインブラックと戦ってでも何とかしようとする人達のことを心配してそれで言っているのです。
「ですから」
「それで、ですか」
「我々に何かあってはいけないので」
「だからですか」
「そう言われるんですか」
「はい、ここはご自重を」
 こう言って必死に皆を止めます、市長さんの懸命の説得で函館の人達や観光客の人達の安全は守られました。
 ですがそれでもです、函館はその間にも暖かくなってきていて十度になってさらに暖かくなってきています、それは海も同じで。
 皆さらに暖かくなってくればどうなるか、本気で怖くなりました。皆がそう思う中メンインブラックは函館の駅の上にい続けています。
 この状況にどうすればいいのか、皆どうしようかと困り果てているとそこでなのでした。
 函館駅のすぐ近くにあるビルの屋上から高らかな声がしてきました。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「!?この笑い声は」
「まさか」
「そのまさかだ!」
 見ればそこにです、黄金バットがいました。いつもの両手を腰に置いたポーズで高笑いをしています。
 そして黄金バットが姿を現すと、でした。
 上がり続けていた函館の気温が次第にでした、下がっていき。
「あっという間に零下になったぞ」
「しかもまだ下がっていっている」
「函館のこの季節の平均気温になった」
「海の方もだ」
「函館の気温が戻った」
 皆このことに大喜びです、本来の冬の函館に戻ったので。
 それで大喜びです、ですが折角上げた気温を元に戻されたメンインブラックは憤懣やるかたなく。
 黄金バットに向けて衝撃波を放って攻撃に移ります、黄金バットもそれに応え超能力での闘いがはじまりました。
 二人共空を舞い衝撃波を繰り出しステッキとフェシングのサーベルでそれぞれ闘います、メンインブラックはサーベルを繰り出すのですが。
 空中で激しく斬り合う中で、でした。そのサーベルを。
 弾かれそしてでした、函館の道路に突き刺さったのを見て。
 歯噛みしてそうして悔しそうに函館の街から飛び去りました、後には黄金バットが残ったのですがその黄金バットはといいますと。
 メンインブラックが飛び去ったのを見届けると彼も何処かへと飛び去りました、そうしてなのでした。
 後には元の気温に戻った函館市と海がありました、そしてその中で。
 函館の市民の人達も観光客の人達もほっとしました、そうして言うのでした。
「よかった」
「気温が元に戻った」
「これも黄金バットのお陰だ」
「全くだ」
 こうお話するのでした、そしてです。
 皆で黄金バットに深く感謝してそうして口々に言いました。
「今回も助けられた」
「お陰で函館は救われた」
「メンインブラックも退散したし」
「全て黄金バットのお陰だ」
「黄金バット有り難う」
 皆で言うのでした。
「今回も助けてくれた黄金バットに感謝しよう」
「今回は本当に助けてもらった」
「何と有り難いことか」
 こう思ってそしてでした、皆を必死に止めた市長さんもです。
 翌日黄金バットに心から感謝する声明を出しました、ですが黄金バットはこのことに何も言わず何処かでまた困っている人達を救うのでした。


黄金バット第二十四話   完


                   2018・8・1








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