『黄金バット』
第十九話 メンインブラック新潟の魔人
世の中実に色々な人がいます、いい人もいれば悪い人もいて中には物凄い力を持っている人もいます。そして凄い力を持っている悪い人が問題なのですが。
メンインブラックはこの時新潟の海の上に浮かんでいて自分の力を使って海を大荒れにしていました。
その状況を見てです、新潟県の知事さんは困ったお顔で言うばかりでした。
「あのままメンインブラックが頑張っていると」
「大変です」
「船を出せないです」
「新潟の港から出る筈の船は停泊しているだけです」
「どの船も予定が遅れています」
「客船も商船も」
「新潟県の港が全部閉鎖されているのと同じです」
県庁の人達も困っています、新潟の海全体が荒れに荒れて新潟県の全部の港が使えなくなっているのです。
それで、です。知事さんも困り果てて言っているのです。
「陸と空は大丈夫にしても」
「それだけではないです」
「海もあります」
「ですがその海を使えないと」
「やはり問題です」
「その通りだよ、どうしたものか」
やっぱり困り果てて言う知事さんでした。
「この状況をどう打開しようか」
「メンインブラックを倒しますか」
「そうするしかないです」
「佐渡ヶ島はもうどうしようもなくなっていますし」
昔金山があったこの山は特に困っています。何しろ海から本土に行き来しないとどうしようもないのですから。島であるが故に。
「メンインブラックに兵糧攻めになっているのと一緒です」
「一刻も早く何とかしないといけないですが」
「どうしますか」
「ここは」
「今自衛隊は色々と大変だし警察は海はあまり強くないし」
知事さんはそうした組織に要請しようと考えました。
「となるとね」
「海上保安庁ですね」
「あちらに要請を出しますか」
「そしてどうにかしてですね」
「メンインブラックを倒すか退ける」
「そうしますか」
「そうしよう、メンインブラックがいる限りどうしようもない」
新潟の海はというのです、特に佐渡ヶ島は。
「だからね」
「はい、海上保安庁に要請を出しましょう」
「自衛隊は今は本当に大変ですし」
「警察も陸です」
「それなら」
保安庁が一番だというのです、こうして知事さんは海上保安庁にメンインブラック退治の要請を出しました。
保安庁の船がすぐに新潟に何隻も向かいます、その先頭の船の船長さんは自分の部下の人達に難しいお顔で言いました。
「いいか、メンインブラックを何とかしないとだ」
「新潟の港は全く使えないですからね」
「それじゃあ」
「我々の船も今は進めますが」
「これ以上荒れますと」
保安庁の頑丈な船でもです、海は本当に大荒れで保安庁のどの船も上下左右に物凄く揺れています。
それで、です。船員の人達は困っていました。
「我々も進めないです」
「今で限界です」
「船酔いで動けなくなっている者すら出ています」
「ですから」
「そうだな、これでは自衛隊の船はおろかタンカーですら」
とんでもなく大きな船でもというのです。
「進めないぞ」
「まだ新潟のところまで行っていないのに」
「それでもです」
「富山の北に来ただけですが」
「これ以上はとても」
「進めないです」
「ヘリを飛ばすしかないか」
空は荒れていません、それでヘリを使ってそれでメンインブラックを攻撃しようというのです。
「ここは」
「そうですね」
「ここはですね」
「空から攻めるしかありません」
「自衛隊が無理ならです」
海上自衛隊だけでなく航空自衛隊も今はナゾー博士や黒バット、フー=マンチュー博士があちこちに一度に出て彼等に向かっていて災害も起こっていてとても大変なのです。勿論陸上自衛隊の人達もです。ですから知事さんも今はメンインブラックに対して自衛隊に要請を出すことは出来なかったのです。
だからこそ保安庁に要請を出したのですが保安庁の船もこれ以上は進めそうになくてだったのです。
「ヘリを出しましょう」
「そしてそのヘリでメンインブラックを攻撃しましょう」
「倒すにしても退けるにしても」
「どちらにしても」
「それしかないな」
船長さんも決断を下しました、そしてでした。
ヘリを出しました、保安庁のヘリは何機も出て空からメンインブラックに向かいます。そうしてメンインブラックを空から囲んででした。
攻撃しようとします、ですがメンインブラックは今度はお空にも力を使ってとんでもない大嵐を起こしました、その嵐のせいで。
保安庁のどのヘリコプターも進めなくなりました、それでパイロットの人達はメンインブラックを攻撃どころか自分達は嵐から逃れることだけでもどうにしないといけなくなって。
慌ててメンインブラックの周りから下がりました、そうして何とか嵐が起こっていない場所からメンインブラックを見つつ言いました。
「どうしようか」
「折角囲んだというのに」
「あれじゃあ近寄れないぞ」
「攻撃をするどころじゃない」
「どうしたものか」
「攻撃射程にはとても近寄れないぞ」
皆途方に暮れてしまいました、これではメンインブラックを倒すか退けるかしてそうして新潟の海を元の平和な海に戻して船が自由に行き来出来る様にすることなぞとても無理です。それで皆歯噛みしました。
ですがその保安庁の人達の耳にあの笑い声が高らかに聞こえてきました。
「ハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「あの笑い声は黄金バット!?」
「黄金バットが来てくれたか!」
「いや、今黄金バットは災害に向かっているとの情報が入ったぞ!」
「ナゾー博士に向かっているんじゃないのか?」
「いや、黒バットと戦っているらしいぞ」
「フー=マンチュー博士と対峙していると聞いたが」
調べるととの情報も事実です、そしてメンインブラックの前にもです。
黄金バットがいました、紛れもない黄金の髑髏の顔と身体にマントといういで立ちでメンインブラックに向かっています。
そしてです、メンインブラックと激しい戦いに入りました。メンインブラックは黄金バットにも激しい嵐をぶつけますが。
黄金バットはその嵐をものともせずメンインブラックに向かいそうして右手に持っているステッキをレイピアの様に使ってメンインブラックを攻撃しだしました、するとこれまで海を荒らし空を乱していたメンインブラックはどうしようもなくてです。
海や空のことは放っておいて黄金バットに超能力をぶつけました、嵐だけでなく衝撃波や鎌ィ足を繰り出しますが。
黄金バットの素早い接近戦の前に次第に劣勢となり形勢不利を認めたのか苦々しい顔になって姿を消しました。そして他の場所でもでした」
「災害は止まったぞ」
「ナゾー博士は逃げた」
「黒バットは戦場を離脱したぞ」
「フー=マンチュー博士は撤退した」
災害も他の場所で暴れていた魔人達も止められるか逃げていってしまいました、各地の危機は見事に救われたのです。
それは新潟もでした、メンインブラックがいなくなった新潟の海に平和が戻りました。すると黄金バットは一人空高く何処かに飛び去っていきました。
その報告を聞いた知事さんは心の底から黄金バットに感謝して言いました。
「今回は黄金バットに救われた」
「他の地域もですね」
「何故か同時に幾つもの場所に救われた黄金バットによって」
「救われましたね」
「有り難いことに」
「どうやら黄金バットは分身も出来る様だね」
何故同時に幾つもの場所に黄金バットが出て来たのか、知事さんはこう考えました。
「それで複数の場所に同時に出られるんだ」
「成程、だからですか」
「他の場所のピンチも救って」
「そしてですね」
「新潟の海も救った」
「そうしてくれたんですね」
「そうだと思うよ、流石は黄金バットだよ」
凄い力を持ったいい人だというのです。
「人々のピンチには必ず表れて助けてくれる」
「偉大なヒーローですね」
「何処の誰かは全くわかりませんが」
「それでもです」
「人々を守ってくれる偉大なヒーローですね」
「そのヒーローに心から感謝しよう」
知事さんは県庁の人達に笑顔で言いました、新潟の海は平和が戻りこれまで通り船が自由に行き来出来る様になりました。そして佐渡ヶ島もピンチから救われました。他ならない黄金バットの手によって。
黄金バット第十九話 完
2017・10・9
今度は新潟に。
美姫 「話を聞くに各地でほぼ同時に活躍したようね」
凄いな。
美姫 「無事に解決して良かったわね」
ああ。今回も黄金バットの活躍で事件も解決したし。
美姫 「投稿ありがとうございました」
ありがとうございます。