『黄金バット』
第十八・五話 黒バット横須賀での死闘
最近横須賀の街が騒がしいです、それはどうしてかといいますと。
「黒バットが出て来たか」
「今度は横須賀に」
「そうして車やものを破壊しているな」
「相変わらずそんなことが好きだな」
「困った奴だ」
「自衛隊にも攻撃してくるしな」
横須賀の海上自衛隊の基地の施設やフェン位まで攻撃をしてです、壊していたりするのです。
「もう三隻中破しているらしいぞ」
「幸い怪我人は出ていないが」
「街で暴れてもな」
「あいつは人は積極的に狙わないからな」
この辺り他の怪人達も同じでしょうか。テロとかをしても確かに火とを積極的に狙うことはしません。
「だから怪我人は出ていないが」
「それでも迷惑だ」
「早いうちに何とかしないと」
「もっと損害が出るぞ」
「自衛隊の船は大事な戦力だ」
日本の海を守るまさにそれです。
「その船を壊させてたまるか」
「護衛艦を守れ」
「施設もだ」
「そして街の車もものも」
「全てだ」
そうしないといけないというのです、そしてです。
横須賀の街も基地も警戒態勢に入りました、特に黒バットが出て来る夜はそうなっていまして。
自衛官の人達もお巡りさん達も街や基地を守っています。市長さんも自衛隊の基地の責任者である基地司令さんとです。
何度もお話をしてです、警備体制について細かく打ち合わせをしています。お二人は今は横須賀市役所の中でお話をしています。
「最近黒バットは出ていないですが」
「それでもです」
すぐにです、基地司令さんは市長さんに応えました。
「油断は出来ないです」
「はい、黒バットといいますと」
市長さんもすぐに応えます。
「神出鬼没です」
「急に出て来てです」
「暴れます」
そこにあるものを破壊してしまうのです。
「ですから」
「はい、ここはです」
「油断せずに」
「警備を続けていきましょう」
「そして出て来たら」
その黒バットはと言った市長さんでした。
「その時はですね」
「相手は魔人です」
怪人とも魔人とも言われています。
「ですから」
「躊躇しないで」
「はい、攻撃をしてです」
自衛隊も警察も威嚇射撃からはじめることが大抵ですが。
「退けましょう」
「倒せないまでにしても」
「やはり倒すのは難しいです」
そこはどうしてもと答えた司令さんでした、海上自衛隊の黒に金色の制服がとても恰好いいです。
「魔人ですから」
「だからですね」
「はい、しかし」
それでもというのです。
「ここはです」
「何とかですね」
「退けてです」
そのうえでというのです。
「横須賀を守りましょう」
「そうすべきですね」
「魔人が出て来たからには」
このことは黒バットに限りません、魔人達はとにかく出て来たらこの上なく迷惑な相手ですから。
「全力で退けて」
「そうしてそのうえで」
「倒していきましょう」
「それでは」
こうお話してそうしてでした。
横須賀の街での警護は続けられました、そしてです。
ある夜です、お巡りさん達は横須賀中央駅からの商店街になっている大通りを歩きながら一緒にいる先輩のお巡りさんに尋ねました。
「本当に何時出るかですね」
「わからない相手なんだよ」
先輩もこう後輩のお巡りさんに答えました。
「それは御前もわかってるよな」
「はい」
後輩さんも苦いお顔で答えました。
「魔人はいつもそうですしね」
「今回だってそうだろ」
「急に出て来てですからね」
「急に暴れる相手だからな」
「あの不気味な姿で」
黒い髑髏のそれで、です。
「そうですからね」
「だからな」
「今もですね」
「俺達がこうしてな」
まさに今そうしているみたいにです。
「パトロールをしているんだ」
「そういうことですね」
横須賀の商店街は今は飲むお店や漫画喫茶以外のお店は閉まっています。そしてそうしたお店も今は黒バットが出るので誰も外に出ないので閉まっているお店ばかりといった状況です。
それで、です。先輩は後輩さんに言いました。
「早くあいつを何とかしないとな」
「居酒屋さんとか商売あがったりですね」
「ああ、だからな」
それでというのです。
「あいつを退けるかな」
「出来ればですね」
「やっつけないとな」
そうしないと、というのです。
「商売もあがったりだ」
「そうなっていいことはないですからね」
「本当にな」
「自衛隊も大変ですね」
「そのうちアメリカ軍にもな」
先輩は前を観ました、大通りの先にそのアメリカ軍の基地があるのでそこを観る為にそうしたのです。
「仕掛けるかもな」
「そういうことは選ばないですからね」
「魔人がアメリカ軍なんか怖がるものか」
例えそれが世界最強の軍隊でもです。
「そうしたことは考えないでな」
「暴れますよね」
「そうなったら余計に大変だ」
「アメリカ軍と魔人の全面対決ですね」
「もう戦争だぞ」
そうなればというのです。
「それと同じことになるぞ」
「そうなれば余計に大変ですね」
「だからな」
「何とかですね」
「あいつが出て来たら」
「すぐにですね」
「やっつけるか退けような」
こうお話してです、そしてでした。
二人のお巡りさんは横須賀の商店街をパトロールしていました、するとです。
横須賀中央駅の方からでした、急にです。謎の笑い声が聞こえてきました。
「フフフフフフフフフフフフ!!」
「その笑い声は!」
「まさか!」
お巡りさん達は慌てて駅の方を振り向きました、するとです。
そこに漆黒の髑髏の顔と銀の身体、そして裏地が白の黒マントを羽織った魔人がいました。その魔人こそはです。
「黒バット!」
「出て来たか!」
お巡りさん達は思わず叫びました、そしてすぐにでした。
先輩は後輩さんに叫びました。
「署に連絡だ!」
「はい、そしてですね!」
「黒バットをやっつけるぞ!」
「そうしましょう!」
後輩さんも応えました、こうしてすぐにです。
警察署に連絡がいきました、勿論自衛隊にもです。
皆すぐに集まって黒バットのところに殺到しました、見ればです。
物凄い数の警官と自衛官の人達が駅の方を囲みます、そして。
そのうえで、です。現場に駆け付けた市長さんが司令さんそして警察署の署長さんに尋ねました。
「遂にですね」
「はい、出てましたね」
「また」
「間違いなく」
黒バットは駅の上に仁王立ちしています、正面から月明かりを浴びて。
「黒バットですね」
「あの黒い髑髏間違いありません」
「あれは黒バットです」
「黒バット以外の何でもありません」
「まさに」
署長さんも司令さんも応えます。
「そして出て来たのです」
「それならです」
「すぐに対処しましょう」
「攻撃しましょう」
「はい、市長としてお願いします」
横須賀を預かる立場としてです、市長さんは決断しました。
「黒バットへの攻撃を」
「既に知事から許可は得ています」
司令さんが言ってきました。
「攻撃のそれが」
「では」
「はい、今市長からも許可が出たので」
その攻撃のというのです。
「ですから」
「それではですね」
「今よりです」
まさにというのです。
「攻撃を開始します」
「警察もです、黒バットを倒します」
「これ以上街にも基地にも被害を出させません」
市長さんは強い決意を以て言いました。
「その為にも」
「それでは」
「これより攻撃を開始します」
警察も自衛隊もというのです、こうしてです。
黒バットに向かって拳銃や小銃への攻撃が開始されました、ですがその激しい銃撃は全くでした。
黒バットに当たりません、署長さんは黒バットの周りでことごとく弾き返される銃弾の音を聞いて言いました。
「壁です」
「壁!?」
「どの壁ですか」
「言うならばバリアーです」
こう市長さんと司令さんに答えました。
「オーラか何かで、です」
「そうか、バリアーを張って」
「そうして銃弾を弾いていますか」
「そうです」
こう言うのでした。
「おそらくですが」
「バリアーを張っているとなると」
市長さんはお顔を強張らせて言いました。
「どうすればいいんですか」
「何かバリアーを貫く武器があれば」
司令さんが市長さんに答えました。
「いいですが」
「何かありますか」
「バリアーの防御力をもものとしない」
まさしくというのです。
「そうした武器なら」
「ではミサイルか砲弾が」
「艦艇のそうしたものなら、ですが」
それでもとです、司令は市長さんに苦いお顔で答えました。
「そうした武器で攻撃しますと」
「駅も周りも」
「大変な損害が出ます、特に駅は」
黒バットが今いるそこはといいますと。
「全壊します」
「やはりそうですか」
「はい、そうなってしまいます」
「そんなことになれば」
どうかとは言うまでもありません、それで言うのでした。
「大変なことになります」
「そうですね、ですから私も」
「海に護衛艦があっても」
「既に攻撃態勢には入っていますが」
横須賀の海からというのです。
「ですが」
「それでもですね」
「私としてはとても」
「命令出来ませんか」
「直撃ならバリアーも押し潰せるかも知れないですが」
それでもというのです。
「あくまで直撃で」
「若し外しでもしたら」
「その時はです」
「周りがですね」
「大変なことになります」
こう市長さんに答えるのでした。
「それこそ」
「そうですね、私もです」
そう考えるとでした、市長さんも。
お顔を強張らせてです、こう言いました。
「そうしたことは」
「とてもですね」
「要請出来ません、ですが」
市長さんはさらに言いました。
「このまま黒バットを放置していますと」
「はい、何をするかわかりません」
「その通りです」
司令さんだけでなく署長さんも答えました。
「今は駅の上にいるだけですが」
「そこから動いてです」
「街を破壊するか基地に向かうか」
「アメリカ軍の方に向かうか」
「どうなっても大変なことになります」
「そうですね、アメリカ軍にでも攻撃したら」
その場合については市長さんもわかっています。
「それこそ」
「そうです」
「ですから何とかしないといけないですが」
「それでもです」
「あのバリアーは」
銃弾が効きません、海上自衛隊の人達が来ているので陸上自衛隊の人達程陸上装備が強くないのも困ったところでしょうか。とにかくです。
今の黒バットには銃弾が効きません、それでです。
どうしようもないとそう思った時にでした、横須賀の商店街にまたしても笑い声が響きました。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「この笑い声は!」
「まさか!」
「黄金バットか!」
「黄金バットが来てくれたのか!」
皆その笑い声の方を観ました、するとです。
そこに黄金の髑髏の顔と金色に輝く身体、裏地が赤の黒マントを羽織った黄金バットがです、両手を腰に当てて高笑いをしてビルの上にいました。
そして黄金バットはです、颯爽と夜に空に舞い上がってでした。
黒バットに向かいます、すると黒バットもです。
空に舞い上がりました、両者はそのまま空中で。
お互いにレイピアを出して激しい空中戦をはじめました、市長さんはその状況を観て言いました。
「超人と魔人の対決ですね」
「そうですね」
「黄金バットが来てくれました」
「これは有り難いです」
「本当に」
司令さんも署長さんも言います。
「よく来てくれました」
「あのままだとどうしようもありませんでした」
「バリアーを張られていたので」
「それで」
「全くです、ですが」
それでもというのです。
「今は黄金バットが来てくれました」
「黄金バットなら必ずです」
「黒バットを何とかしてくれます」
「例えバリアーを出していても」
「黄金バットなら」
「頑張ってくれ、黄金バット」
市長さんは心から言いました。
「君に横須賀の全てがかかっているんだ」
「そうだ、頑張れ黄金バット!」
「ここは頼んだ!」
お巡りさん達も自衛官の人達も言います。
「今の黒バットはバリアーを張っているんだ!」
「銃弾は効かない!」
「だからあんたに頼む!」
「俺達の代わりに戦ってくれ!」
黄金バットは心では応えませんですが。
それでもです、その動きで応えます。黒バットと空中で激しい一騎打ちを繰り広げそうしてでした。
百合二百合と繰り広げ遂にでした。
黒バットのレイピアが黄金バットのレイピアに弾かれました、レイピアは空中でくるくると回転し道のアスファルトに突き刺さりました。
その状況にです、黒バットは敗北を悟ったのか。
悔しそうに踵を返してそうしてでした、何処かへと飛び去っていきました。その状況を観てです。
市長さんは皆にです、こう言いました。
「黒バットが去った」
「はい、確かに」
「黄金バットが退けました」
「黄金バットが勝って」
「そうして」
「街は救われました」
その黄金バットの手によってというのです。
「今ここで」
「そうなりましたね」
「今回も黄金バットがやってくれました」
「全くです、有り難う黄金バット」
市長さんはこうも言いました。
「横須賀を救ってくれて」
「有り難う黄金バット!」
「お陰で助かったぞ!」
お巡りさん達も自衛官の人達も声援を送ります。
「どうなるかって思ってたけれど」
「助かったぜ」
「本当に有り難う!」
「心から!」
やはり黄金バットは何も言いません、ですが皆の方を一瞥してふと笑った様な感じになってです。
何処かに飛び去っていきました、その後には何も残っていませんでしたが。
皆は確かにです、その残っていたものを見て思うのでした。
「人がどうしようもない時に助けてくれる」
「それが黄金バットだ」
「それは今回もそうだった」
「ヒーローだ」
まさにというのです。
「そのヒーローのことは忘れてはならないな」
「今回も助けてくれた」
「果たして黄金バットがいなければどうなっていたか」
「本当に」
こう思ってでした、そのうえで。
颯爽と去った黄金バットを讃えるのでした、横須賀は黄金バットの活躍で危ういところを救われ彼のことを何時までも忘れまいと誓いました。
黄金バット第十八・五話 完
2017・8・12
今回は黒バットと。
美姫 「バリアを使われたらどうしようもないものね」
だな。でも、黄金バットのお蔭で助かったな。
美姫 「今回も無事に黒バットを退けられたわね」
良かった、良かった。
美姫 「投稿ありがとうございました」
ありがとうございました。