『黄金バット』




       第十七話  ナゾー博士から金沢城を守れ

 黄金バットにとってナゾー博士は宿敵の一人です、ナゾー博士が出て来ればその時にです。
 果敢に戦い博士の悪事を防ぎます、そうした間柄ですが。
 その博士についてです、内閣総理大臣は首相官邸において厳しい顔をしたうえでこう言ったのでした。
「あの博士の正体は何者だろうか」
「はい、かなり詳しく調べていますが」
「全くわかりません」
 内閣調査室の人達もこう答えるしかありませんでした。
「あの博士につきましては」
「正体が全く不明です」
「まともな人間である可能性は極めて低いですが」
「一体どういった人物か」
「色々な説があります」
「ナチス=ドイツの研究者だったとも」
「若しくは黒バットの正体だとも」
「黒バットの正体ではない様だな」
 総理大臣、即ち首相はこのことは違うだろうと言いました。
「おそらく」
「はい、どうやら」
「ナゾー博士と黒バットは別人です」
「行動や性格が違います」
「悪事の行い方も」
「そうだな、関係があるとも言われているが」
 首相は考えたままさらに言いました。
「しかしな」
「はい、それでもですね」
「あの博士につきましては」
「かつてはどうかわかりませんが」
「今は関係がないかと」
「全く別に行動しています」
「どうやら」
「そうだな、あの博士は今は完全に別に行動している」
 少なくとも今現在はというのです。
「魔人達はそれぞれな」
「全く別々ですね」
「別々に悪事を為していますね」
「黒バットもメンインブラックもフーマンチュー博士も」
「そしてナゾー博士も」
「そうだな、しかし博士が出て来た時は」
 そのナゾー博士がというのです。
「我々も手を尽くしてだ」
「はい、退けましょう」
「あの博士は放置出来ません」
「我々の力で退けてです」
「国民を守りましょう」
「国家もまた」
「それが我々の責務だよ」
 何といってもと言う首相でした。
「君達もそれはわかっているね」
「はい、無論です」
「だからこそここにいます」
「内閣調査室に」
「それならばね」 
 是非にというのです。
「頼むよ」
「はい、全力を尽くしてです」
「魔人達を止めます」
「勿論ナゾー博士も」
「そうします」
「その様にね、では魔人が出た時は」 
 首相はこれまで以上に強い声で言いました。
「全力を尽くしそのうえで」
「国民と国家を守りましょう」
「我々の全てを賭けて」
 首相も内閣調査室の人達も強く誓っていました、自分達の責務を果たそうと。そう誓っている首相達にです。
 数日後その時が来ました、何とです。
「ロ〜〜ンブロ〜〜ンゾ〜〜」
 ナゾー博士が当然テレビ、そしてユーチューブやインターネットの画面に出てきました。そうしたところの画面を全てジャックしてです。
 漆黒の四つの目を持つ顔を表しそのうえで言うのでした。
「今日の夜十時金沢城を攻撃する」
「何っ!?」
「金沢城を!?」
 誰もがナゾー博士のその言葉に仰天しました。
「それは大変だ!」
「ナゾー博士は絶対にやるぞ!」
「魔人は嘘を言わない」
 悪事はしますがそうしたことはしません、魔人達は誇り高いの嘘等は決して言うことがないのです。
 皆このことを知っているからです、ナゾー博士が金沢城を本気で破壊しようとしていることを理解しました。
 それは首相も同じでした、首相はナゾー博士の宣言を聞いてすぐに動きました。
「すぐに金沢城防衛の戦力を集結させよう」
「そしてナゾー博士をですね」
「あの博士を」
「そうだ、出来るならだ」
 首相は周りの人達に言うのでした。
「ナゾー博士も倒すことだ」
「では陸海空の自衛隊を集めましょう」
「即座に」
「そうしよう、陸も海も空も展開させよう」
 自衛隊をというのです。
「そして城を守り博士を倒そう」
「わかりました」
 自衛隊の人達は首相の命令を受けてすぐに金沢城とその周りに集結しました、そうしてです。
 ナゾー博士が予告した時間が来ました、すると空に無数の小型のUFOが展開していました。そのUFO達を見て自衛隊の人達はわかりました。
「あのUFO達で金沢城を破壊するのか」
「そのつもりか」
「ならあのUFO達を攻撃だ!」
「全機撃墜しろ!」
 すぐに戦闘機が動き海からはイージス艦や他の護衛艦達からミサイルが放たれました、陸からも対空砲それにミサイルも放たれました。
 そのミサイルや機関砲はUFO達に命中しそうして多くのUFO達が撃墜されていきます、そうして金沢城を必死に守りますが。
 小型のUFO達の他に巨大なUFOまで来ました、そのUFOを映像で見て首相は驚愕しました。
「まずい、これは」
「はい、小型のUFO達への迎撃で手が一杯です」
「あのUFOまでは手が回りません」
「しかしあの巨大UFOを倒さねば」
「そうしなければ」
「そうだ、しかし」
 首相はわかっていました、そこに展開している戦力は集められるだけ集めていました。それで何とかUFO達を迎え撃っていました。
 しかしそこで新たに出てきた巨大UFOについてはです、どうしてもです。
 手が回りません、それでなのでした。
 巨大UFOの攻撃にどうしようもないと思っていました、ですが。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
 突如として高笑いが聞こえてきました、そしてです。
 その高笑いを聞いてです、首相も日本の誰もが驚きました。
「!?あの笑い声は!」
「黄金バット!」
「間違いない!」
「黄金バットだ!」
 見れば金沢城本丸の最も大きな櫓の屋根に黄金バットがいました、黄金バットはマントをたなびかせ両手を腰にやって仁王立ちしていました。
 その黄金バットを見てです、誰もが言いました。
「まさか今回もか」
「共に戦ってくれるのか」
「そうしてくれるというのか」
「黄金バットは自ら動く者、誰もが救えない者を助けてくれるという」
 首相も言います。
「ではだ」
「戦っている自衛隊を助けに来てくれたのですか」
「今こうして」
「金沢城に」
「その様だ、ではだ」
 首相は意を決した顔で頷きました、そのうえで言うのでした。
「ここは頼みたい」
「黄金バットに」
「この窮地を」
「そうだ、何としても」
 意を決して、黄金バットを信じてことの成り行きを見守ることにしました。そうしてなのでした。
 黄金バットは必死に戦い続ける自衛隊の人達に囲まれたうえで夜空に舞い上がりました、そうして光となってです。
 巨大UFOに向かって飛んで行き自分自身がミサイルの様になってでした、UFOを貫きました。するとUFOは。
 貫かれた中央部分から爆発し空中で四散しました、巨大UFOが空から消えた時には他のUFO達も全て撃墜されていました。
 その状況を観てです、首相は言いました。
「今回も黄金バットに救われたな」
「そうですね」
「黄金バットがまた助けてくれました」
「我々を」
「そうしてくれた、本当にな」
 実にというのでした。
「有り難いことだ」
「小型UFOは全て自衛隊が撃墜してくれました」
「彼等がやってくれました」
 このことは確認されています、もう金沢の空には一機もいません。黄金バットも元いた場所に戻っています。
「我々も攻撃を受けましたが犠牲者はいません」
「負傷者も軽傷です」
「手当をしていきましょう」
「そうしよう、そして黄金バットに感謝をしよう」
 是非にと言うのでした。
「今回も助けてもらってな」
「はい、そうですね」
「黄金バットもいてこそです」
「金沢城を守れました」
「無事に」
「そうだ、彼に心から感謝をしよう」
 日本中から黄金バットに感謝の言葉と歓声、それに拍手が送られます。ですがナゾー博士だけは夜空に映像として表れ言うのでした。
「今回は敗北を認めるが次はこうはいかない」
 こう言って姿を消しました、そしてです。
 黄金バットも姿を消しました、正義の超人は人々の無数の拍手を受けてそのうえで何処かへと飛び去っていきました、超人は人々の喝采には一切目を向けずそうしてまた戦いに向かうのでした。来たるべき時に。


黄金バット第十七話   完


               2017・4・10



今回もバットの活躍で無事に終わったな。
美姫 「そうね。今回はナゾー博士が出てきたけれど」
自衛隊も活躍も頑張ったな。
美姫 「金沢城が無事でよかったわね」
今回も投稿ありがとうございます。
美姫 「ありがとうございました」



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