『黄金バット』




              第十四話  メンインブラック人影を持つ怪鳥

 何とです、広島駅の一番上のところにメンインブラックが出てきました。そのうえで彼を見て驚く広島の人達に問うのでした。
「諸君、この街はいい街とは思わないか」
「いい街だと思えばどうだ!」
「また悪いことをするつもりか!」
「今度は何をするつもりだ!」
「この大空から諸君に会って欲しい者達を呼ぶ」
 メンインブラックは高らかに言うのでした。
「ペリュトンという者達をな」
「ペリュトン!?まさか」 
 ペリュトンと聞いてです、ある人が真っ青になりました。
「あの人の影をした怪鳥か!」
「知っている者がいるな、そうだ」
「あのペリュトンをか」
「この街に呼んで君達に会わせたい」
「馬鹿な、そんなことをすれば」
 それこそというのです。
「広島は大変なことになるぞ!」
「どうしたんだ?一体」
 その人の驚きを見てです、人々はペリュトンを知っている人に尋ねました。
「ペリュトンがどうしたんだ?」
「怪鳥と言うけれど」
「ペリュトンに何があるんだ?」
「どんな鳥なんだ?」
「鳥の胴体と翼、鹿の頭と足を持っているんだ」
 その人はまずはペリュトンの姿について答えました。
「足は二本、そして人の影を持っているんだ」
「人の影!?」
「鳥なのにかい?」
「しかも鹿の頭と足って」
「また奇妙な姿をしているな」
「この鳥は人を襲うんだ」
 知っている人はさらに言いました。
「どういう理由か知らないけれど人を殺すのが大好きなんだ」
「何だって!?」
 誰もがそのお話を聞いて驚きました、メンインブラックが広島に出ると皆びっくりしてテレビで報道されてツイッターでも拡散されていますがペリュトンのこともです。
 情報が伝わって大騒ぎになりました、人を襲って殺すと聞いてです。
「それは大変だ!」
「ペリュトンは人を襲って殺すぞ!」
「とんでもない怪鳥だ!」
「メンインブラックは広島にその怪鳥達を送り込んで来るぞ!」
「しかもペリュトンは普通の武器じゃ倒せないらしい」
 このこともです、ペリュトンを知っている人はお話しました。
「カルタゴを攻める時に船の上にいるローマ軍の兵士達が襲われたらしいが」
「普通の武器じゃ倒せないのか!?」
「じゃあ銃や大砲も駄目なのか」
「ペリュトンは倒せないのか」
「そうらしいんだ」
 このこともお話するのでした。
「どうも」
「そんなのどうすればいいんだ」
「どうして倒せばいいんだ」
「普通の武器じゃ倒せないとなると」
「一体」
「それはわからない」
 ペリュトンを知っている人もこう言うしかありませんでした。
「けれどペリュトンが一杯来るのならどうすればいいんだ」
「ははは、諸君に彼等を会わせてあげよう」 
 メンインブラックはまだ広島駅の上にいます、そこで言うのでした。
「是非共もてなして欲しい」
「何てことだ」
「そんなのが出て来たら大変だぞ」
「広島が破壊される」
「そうなってしまうぞ」
「明日の正午私はまた現れる」
 メンインブラックはここで宣言しました。
「その時にペリュトン達も一緒だ」
「何ということだ」
「大変なことになるぞ」
「明日の正午までに何とかしないと」
「広島は大変なことになるぞ」
 メンインブラックの宣言に広島いえ日本中が大騒ぎでした、沢山の人が広島市から他の場所に逃げていきます。 
 ホテルや親戚の人の場所、とにかく広島市の外に急いで出ます。広島市はあっという間に殆どの人がいなくなりました。
 ですがお役所や警察といったどうしても残っていないといけない人達やペリュトンを何とか迎え撃とうとする自衛隊の人達は残ってです。安全な場所に隠れたり迎撃の用意を整えていました。電車も正午の頃にはです。
 広島市を通らず市内の鉄道、路面電車もバスもです。全部停まってしまいました。そしてそのうえでなのでした。
 正午が近付いていました、広島駅の前には自衛隊や警察の人達が完全武装でいてメンインブラックそしてペリュトン達を迎え撃とうとしていました。
「銃は効くだろうか」
「どうかな」
「メンインブラックには効かないにしても」
「ペリュトンにはどうだ?」
「剣や矢は効かなかったらしい」
 だからローマ軍は為す術もなくやられたと言われています。
「しかし銃はどうだ」
「大砲やミサイルは効くんじゃないか?」
「若しかしてペリュトンを倒せるかも知れない」
「ひょっとしたら」
 こう思いながらペリュトンへの迎撃用意を整えていました、ペリュトンを知っている人も避難した先でネットで実況されている動画を見つつ言うのでした。
「頼む、銃や大砲は聞いてくれ」
 こう思うのでした、そして正午になってです。
 メンインブラックが出てきました、彼は前に現れた広島駅の一番上の場所から腕を組んで立った姿勢で高らかに言いました。
「さて、ではパーティーのはじまりだ」
「総員迎撃用意!」
「ペリュトン達を倒せ!」
 誰もがペリュトンが怪鳥であることから空から来ると思って自分達の上を見上げました、すると実際にでした。
 急にです、地面に人影が無数に現れてでした。
 知っている人が言った通りの鹿の頭と脚、鳥の身体と翼を持った奇怪な鳥が現れました。人影はその鳥達の影でした。
「間違いない!」
「ペリュトンだ!」
「人の影を持っている!」
「言われている通りの姿だ!」 
 まさにというのです、そしてそのペリュトン達は人々に空から襲い掛かってきました。その怪鳥達にです。
 警官や自衛官の人達は攻撃を加えました、銃や大砲はミサイルで。すると。 
 ペりゅトンは倒せました、銃や大砲を受けると断末魔の声をあげて姿を消していきます。その人の影もです。
「効くぞ!」
「ペリュトンに銃や大砲は効くぞ!」
「きっとローマ軍は空を飛ぶ相手だったから剣や矢が当てにくかったんだ」
「だから効かなかったんだ」
 このことがわかりました、ペリュトンもちゃんと普通の武器が聞きました。皆このことがわかって励まされてです。
 頑張ってペリュトン達に攻撃を仕掛けました、するとペリュトン達はどんどん消えていきました。ですがメンインブラックは余裕の顔で言うのでした。
「彼等は人を一人殺すと自分の影を取り戻すと言われている」
「人を一人!?」
「一人殺すとか」
「あの人の影じゃなくて自分の影を取り戻す」
「そう言われているのか」
「だから広島市民の数だけの彼等を呼んだ」
 この広島市にというのです。
「その彼等を全て倒せるか」
「何てことだ」
「それだけの数のペリュトンを呼んだのか」
「とんでもない数だぞ」
「広島市の人口だけだなんて」
 広島市は物凄く人が多いです、中国地方一の大都市で百万は優にいるでしょう。その広島市と同じだけの数になりますと。
「倒しきれるか?」
「弾丸がもつか?」
「そんなにないぞ」
「百万以上の相手となると」
「その彼等を倒しきれるか」
 メンインブラックは実に楽しそうに言います。
「見せてもらおう」
「くっ、やってやる!」
「全てのペリュトンを倒してやる!」
「そしてこの難を逃れる!」
「そうしてやる!」
 皆負けじとこう言ってです、この難に向かおうとします。ですがペリュトンの数はあまりにも多くてです。
 どんどん倒していっていても遂に銃弾も砲弾もミサイルも尽きようとしてきました、この状況に誰もが危ないと思いました。
「もう弾がないぞ」
「後はアーミーナイフ位か」
「銃剣もあるが」
「これでペリュトンを倒せるのか?」
「空を飛ぶ彼等を」
 これまでは何とかです、ライフルや散弾銃、自動小銃でまとめて撃って倒してきたのですがいよいよ武器はそうしたものしかなくなってです。
 ローマ軍の様にそうした武器でしか戦うしかない、そしてローマ軍の様に一方的にやられるのかと覚悟しました。ですが。
 突如です、広島駅の近くのビルの中で最も高いビルからです。あの笑い声が聞こえてきました。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「あの笑い声は!」
「まさか!」 
 皆、ネットで状況を見守っている人達もです、その声でわかりました。まさにその声の主こそです。
 黄金バットです、黄金バットはそのビルの一番上で両手を腰の横にやってマントをたなびかせて高笑いしていました。
 そしてその彼がです、颯爽とビルから宙に舞い上がってです。
 ステッキの先をサーベルの様にしてペリュトン達に向かいます。そして自分のところに来た怪鳥達を次から次にでした。
 宙を華麗に蝶の如く舞ってひらひらと敵の攻撃をかわしつつ闘牛士の様に彼等を突いて斬って倒していきます。そうして瞬く間にでした。 
 残ったペリュトン達を全て倒してしまいました、それはまさに一瞬のことでした。
 その状況を見てです、メンインブラックは歯噛みして言いました。
「くっ、またしても黄金バットか」
「・・・・・・・・・」
 黄金バットは何も語りません、そのうえでメンインブラックの前にいます。宙で腕を組んでそのうえで立っています。
 その黄金バットにです、メンインブラックは悔しそうに言うのでした。
「今回も私の負けだ、だが次はこうはいかない」
 こう言ってでした、姿を消しました。ペリュトン達を召喚した彼もまたいなくなりました。
 これで広島市は完全に難を逃れました、ですが。
 そのうえで、でした。黄金バットもでした。
 全てが終わると何処かへと姿を消しました。それを見てでした。皆は思いました。
「また黄金バットが助けてくれた」
「今回も危ないところで助けてもらったな」
「我々に協力して」
「そのうえで」
「黄金バットは自分達で限界になるまで頑張ったからかな」
 ペリュトンを知っていた人はふと言いました。
「そして弾丸が尽きようとしてこれ以上は犠牲者が出るかも知れない」
「そうした時になったから」
「そこまで警察や自衛隊の人達が頑張ったから」
「人の頑張る気持ちに応えて」
「そして出て来てくれたのかな」
「そうかも知れない」
 こう言うのでした。
「黄金バットは頑張る人の味方なのかもね」
「ううん、そうなのかな」
「黄金バットは人がどうしようもない時に出て来てくれるのかな」
「人を助ける為に」
「そうしているのかな」
「そう思ったよ、黄金バットは何も語らないけれど」 
 笑い声以外は何も喋りません、ですが。
「そうした人達の味方なのかな」
「これまでもそうだったしこれからも」
「そうなのかな」
「そうかも知れないね」
 こう言うのでした、そしてでした。
 人々は黄金バットに感謝すると共に自分達も頑張らねばと思うのでした。黄金バットに感謝しつつ。それは必死に戦った警察や自衛隊の人達もです。
 同じで、です。口々に言うのでした。
「限界まで頑張るんだ」
「自分達で」
「出来れば黄金バットが来てくれなくてもいい様に」
「自分達で頑張らないと」
 頼るだけでなくまずは自分達でとです、強く思うのでした。激しい戦いを限界まで戦ったその後で。


黄金バット第十四話   完


                         2016・10・8



今回の敵は厄介だったな。
美姫 「何よりもその数がね」
だな。何とか善戦はしていたんだがな。
美姫 「流石に数が多すぎたものね」
危ない所で黄金バットが登場。
美姫 「何とか切り抜ける事が出来たわね」
ああ。良かった、良かった。
美姫 「投稿ありがとうございました」
ではでは。



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