『黄金バット』




                 第六話  電車の危機を救う

 最近です、都内の線路で困ったことが起こっていました。
「また石か」
「線路に石を置いた奴がいたのか」
「下手したら電車が脱線して大変なことになるぞ」
「一体誰がそんなことしているんだ」
「悪い奴がいるな」
「ナゾー博士か?」 
 黄金バットのライバルの一人の名前が出ました。
「あの博士がしたのか?」
「いや、ナゾー博士はしないだろ」
 あの博士はというのです。
「あの博士はそうしたことはな」
「しないか、そういえば」
「ああ、あの博士ならな」
「こうしたことはしないな」
「もっと凄いことするよな」
「電車に襲うにしても」
「もっとな」
 だからだというのです、ナゾー博士ではないとです。皆もお話をしてそれはないと答えを出したのでした。
 では誰が線路に石を置いているのか、さらに考えてみますと。
「黒バットでもない」
「メンインブラックでもない」
「フー=マンチュー博士でもない」
「どの悪人もそうしたことはしないな」
「じゃあ誰だ?」
「誰がそんなことしているんだ?」
「線路に石なんか置いているんだ」
 そんな悪いことをです。
「そうした悪人達がしていないとなると」
「本当に誰なんだ」
「誰がこんな悪いことをしているんだ」
「早く捕まえないと」
「今は事前に見付けてばかりだからいいけれど」
「そのうち大変なことになるぞ」
「事故が怒るぞ」
 皆心から心配していました、事故にならないうちに犯人が捕まって欲しいと願っていました。ですが中々です。
 犯人は見付かりませんでした、そして。
 石だけが見付かります、そうしたことがさらに続いて。
 駅員さん達もです、心配になって言うのでした。
「早く犯人を捕まえないと」
「事故になる前に」
「線路を見回って」
「夜にでも」
「そう、夜なんだよ」
 この時間にというのです。
「こういうことする奴はな」
「絶対に夜にやるんだよ」
「見付からない様に」
「そうするんだよな」
 悪いことは見付かっては駄目です、やる方もそれがわかっているからです。
 だからです、線路の上に石を置く悪者達もというのです。
「だから余計に性質が悪いな」
「本当に」
「夜の見回りとかな」
「大変だな」
「どの線路に石置くかわからないし」
「大変だよ」
「事故になったらもっと酷いことになるしな」
 駅の職員さんや車掌さん達は見回りながらぼやくのでした、線路は多くて長くてです。石は一個でもあると駄目だからです。
 皆大変でした、石はどけていましたが。
 その中で、です。皆は。
 疲れが溜まってきていました、ですが犯人はまだ見付からず。
「早く犯人見付かれよ」
「困るな」
「さもないと休めないよ」
「昼は仕事、夜は見守りで」
「誰か何とかしてくれ」
「犯人を見付けて捕まえてくれ」
 こう思うのでした、しかし。
 犯人は見付かりません、そしてこのことは。
 当の犯人達もいいことにしてです、言うのでした。
「見付かるかよ」
「そうだよ、俺達だってな」
「見付からない様にしてるからな」
「だから真夜中に出てな」
「毎日場所をランダムに変えて石置いてるんだよ」
「悪戯してるんだよ」
 実に性質の悪い悪戯です。
「駅員達も困ってるな」
「その顔見るの楽しいよな」
「世の中俺達のことで話題持ちきりだしな」
「いい感じだな」
「気持ちいいぜ」
 自分達の悪事で駅員さん達が困っていてしかも世の中に注目されていることがです、彼等は楽しくて仕方ないのです。見れば全員高校生位です。
「これからもやるか」
「そうだな、事故になればな」
「それが余計に注目されるしな」
「事故になることを待って」
「どんどん置いていくか、石」
「そうしていこうぜ」
 こんなことを言いながらです、悪者達は今日も真夜中に線路のところに出てその上に石を置くのでした。殆どの人が寝静まり電車も通っていない時間に。
 ですが彼等がこの日も線路の上に石を置いて帰ろうとした時にです、不意に。
「ハハハハハハハハハハハハハハ!」
 笑い声がしてきました、その笑い声を聞いてです。
 悪者達はハッとしてでした、笑い声の方を見ますと。
 電柱の上にです、黄金に輝く髑髏の顔と身体、そして黒い裏地が赤のマントを羽織った男が両手を腰にやって立っていまいsた。その男こそは。
「黄金バット!」
「まさか俺達の悪事を見ていたのか!?」
「そんな、今は皆寝てるだろ」
「近くにコンビニもないんだぞ」
 車も全くと言っていい位通っていません、悪者達はまさかと思ったのです。 
 ですが黄金バットは確かにいました、そして。
 悪者達のところに颯爽とマントで飛びながら降りて来てでした、瞬く間に。
 彼等を叩きのめしてです、そのまま交番の前に連れて行きました。そして出て来たお巡りさんに対してです。
 悪者達を突き出して線路の方を指指し彼等が置いていた石も見せました。お巡りさんはその無言の説明を受けて言いました。
「まさかこの連中が最近世を騒がしている線路の上に石を置く」
「・・・・・・・・・」 
 こくりと頷いての返事でした。お巡りさんはそれを見て言いました。
「そうですか、捕まえてくれたんですか」
「・・・・・・・・・」
「有り難うございます」
「・・・・・・・・・」
 黄金バットは喋りません、無言で頷くだけです。
 そして悪者達をお巡りさんに突き出した後でなのでした、空を飛んで消えました。
 このことはお巡りさんからマスコミに伝えられニュースになりました、黄金バットが悪者達の悪事を防ぎ成敗したことは。
 そのニュースを見てです、駅員さん達は言うのでした。
「黄金バットが今回もやってくれた」
「世の悪を成敗し人を助けてくれたんだ」
「またそうしてくれた」
「有り難いことだ」
 このことに感謝するのでした。
「これで仕事に専念出来るぞ」
「もう見回りをすることはないんだ」
「寝る時は寝られる」
「心配ごともなくなった」
 線路の上に石を置かれて事故になる心配もです。
「よかった」
「黄金バットのお陰だよ」
「本当にそうだよ」
「黄金バット万歳だ」
「黄金バットはいつも人間の傍にいるんだ」
 そしてというのです。
「そして人間を助けてくれる」
「ヒーローは実際にいるんだ」
「人を助けてくれるヒーローが」
 確かにいるというのです、このことにも感謝するのでした。
 今回の事件も黄金バットが解決しました、世の為人の為にです。黄金バットは今も夜の街を跳び駆けています。


第六話   完


                           2015・7・23



今回の黄金バットは大立ち回りはしていないな。
美姫 「それでも、悪者を退治したわよ」
だな。おまわりさんたちにとっても良い事だしな。
美姫 「こういう解決もあるのね」
だな。投稿ありがとうございました。
美姫 「ありがとうございます」



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