『ドリトル先生と日本に来た仲間達』
第十幕 パドルビーの港から
移転準備は予定より早く進んでいます、それでスタッフの人の一人が鼠倶楽部の移転を進めている先生に言いました。
「あと少しで、です」
「移転の準備が全部整ってだね」
「はい、そして」
そのうえでというのです。
「移転出来ます」
「日本までだね」
「もうあちらの準備は出来ていまして」
移転先の日本のというのです。
「ですから」
「こちらの準備が整うとだね」
「皆日本に旅立ちまして」
「そのうえで」
「日本に行けます」
「そうなるんだね」
「はい」
そうだというのです。
「いよいよ」
「あの、先生」
ここでガブガブが先生に尋ねました。
「どうして日本に移転するのかな」
「そのことまだ聞いていないよ」
ホワイティも先生に言いました。
「僕達は」
「僕達はここまで飛行機で来たけれど」
それでもと言うトートーでした。
「皆はどうなるのかな」
「そこまで考えていなかったよ、僕達」
「今の今までね」
オシツオサレツも気付きました。
「迂闊と言えば迂闊だったね」
「移転作業のことばかり考えて」
「飛行機で行くにしても」
ポリネシアは思いました。
「私達みたいにはいかないわね」
「生きものの飛行機での移動って難しいよね」
老馬はこのことを知っていました。
「何かと」
「僕達みたいに先生と一緒にホテルのお部屋の中みたいに快適とか」
ジップは自分達のことからお話しました。
「そうはいかないね」
「そうなるとどうして行くか」
「私達は飛べるけれど」
チープサイドの家族も自分達のことからお話します。
「飛べない生きものが主流だし」
「大体日本までは遠いよ」
「そうなるとね」
まさにと言うダブダブでした。
「一つしかないわね」
「そう、皆船に乗ってもらうよ」
先生は皆に答えました。
「もうこのことは決まっていたんだ」
「最初からだね」
「そうだったんだ」
「皆船に乗って日本まで行くんだ」
「そうするのね」
「私達もそうだったね」
先生は自分達のこともお話しました。
「このパドルビーから旅立って」
「そうそう、船で日本に行ったね」
「それで日本に到着してね」
「日本での生活がはじまったわ」
「今思うと懐かしいわ」
「あの時のことはね」
「そう、あの時の私達の様に」
まさにというのです。
「船に乗ってね」
「日本まで行くんだ」
「はるばると」
「その間楽しい旅になりそうだね」
「僕達も楽しんだし」
「船の旅も快適になったね」
先生は今度は笑顔で言いました。
「そうなったね」
「全くだね」
「昔も楽しいものだったけれど」
「今は遥かにだよ」
「昔よりも楽しいものになったよ」
「その旅を楽しみながら」
そうしつつというのです。
「皆はね」
「イギリスから日本に旅立って」
「日本まで海で進んで」
「そして日本に着いたら」
「いよいよ日本での生活がはじまるね」
「そうなるよ、ユーラシアの西の端から東の端へ」
はるばるというのです。
「行くよ」
「間もなくです」
ここでまたスタッフの人が先生に言ってきました。
「そうなります」
「そうだね」
「船は大きな船でして」
「皆が快適に過ごせるね」
「はい、客船とはいきませんが」
それでもというのです。
「快適にです」
「過ごせるね」
「そうなります、航路も決まっていますし」
こちらもというのです。
「イギリスからフランス、スペインにポルトガルに」
「そこからだね」
「地中海に入りまして」
そうしてというのです。
「イタリア、ギリシアを経て」
「スエズ運河を通って」
「そして紅海からです」
この海からというのです。
「サウジアラビア、インドを経て」
「インドは絶対だね」
「ミャンマーからシンガポールを通り」
そうしてというのです。
「タイ、ベトナムを経て香港に入って」
「中国を通るね」
「そして沖縄から長崎、瀬戸内海からです」
「神戸だね」
「そうなります」
「スエズ運河を使えることが大きいよね」
「全くです」
スタッフの人は先生にその通りだと答えました。
「何と言いましても」
「欧州からアジアに行こうと思えばね」
「スエズ運河を通るとです」
「便利だね」
「距離は凄く短く済みますし」
そうなってというのです。
「難所も通らないで済みますし」
「喜望峰のところはね」
「あそこは海流が複雑で」
「大変な場所だからね」
「昔はよく事故も起こりましたね」
「そうだったよ」
アフリカの最南端の南にあるその海はというのです、先生は地理学者でもあるのでこのこともよく知っているのです。
「とてもね」
「帆船の時代は特に」
「あそこを通るとなると」
「覚悟が必要でしたね」
「そもそもアフリカを海で一周りするから」
欧州から喜望峰を使ってアジアに向かうとなるとです。
「本当にね」
「大変でしたね」
「距離もとんでもなく長くなって」
そうしてというのです。
「そしてね」
「危険で」
「それよりスエズ運河を使う方がね」
「遥かに短く済んで」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「安全だよ」
「全くですね」
「アメリカ大陸もそうでね」
こちらもというのです。
「若し大西洋側から太平洋側に出ようと思ったら」
「パナマ運河を使うことですね」
「そうしないとね」
さもないと、というのです。
「アメリカ大陸南端のマゼラン海峡を通ることになるけれど」
「あの海峡は小島が多く」
「それで海流も複雑でね」
「難所です」
「そうだね」
「ですから」
そうであるからだというのです。
「アメリカ大陸もです」
「パナマ運河を使うといいよ」
「全くですね」
「これはアジアから欧州、アメリカ大陸でも太平洋側から大西洋側に行く場合も同じでね」
そうであってというのです。
「二つの運河を通ると」
「いいですね」
「そうだよ、喜望峰はね」
この海域はというのです。
「あまりね」
「通ることはですね」
「私はお勧め出来ないよ」
「難所なので」
「遠いしね、ただね」
ここでこうもお話する先生でした。
「皆知ってると思うけれど瀬戸内海もね」
「難所ですね」
「喜望峰やマゼラン海峡も難所だけれど」
それと共にというのです。
「瀬戸内海も難所だよね」
「はい、今回の航海は最後の最後で」
スタッフの人もまさにと答えます。
「難所を通ります」
「世界屈指のね」
「日本人の船員さん達は慣れていますが」
「いつも通っていてね」
「あの海は日本の海運の要地なので」
「日本の船はいつも通ってね」
「慣れていますが」
それでもというのです。
「これがです」
「他の国の船員さん達にとってはね」
「そうはいかなくて」
「あの海を通るには四苦八苦するね」
「はい、ですが今回の船員は日本人ばかりなので」
「安心だね」
「そうです、ただイギリスの人達も」
この国のというのです。
「優れた船員さんが多いですね」
「何しろ日本と同じく四方が海でね」
先生はスタッフの人に笑顔で答えました。
「海運で発展した国だからね」
「七つの海を支配する、ですね」
「そうした国だからね」
「船員さん達もですね」
「優れた人が多いよ」
「そうですね」
「だからイギリスの船員さん達もね」
この人達もというのです。
「頼りにしてね」
「イギリスの人達はいつも頼りにしています」
「そうだね」
「はい、お仕事を頼む時は」
「そうしてくれると嬉しいよ」
「先生にしてもですね」
「イギリス生まれとしてね」
「そうですか、ただ」
ここで、です。スタッフの人は先生にこうも言いました。
「その人達からしても瀬戸内海はです」
「難所だね」
「そう言われます」
「実際世界屈指の難所だからね」
「瀬戸内海は」
「あそこも小島が多くてね」
そうであってというのです。
「海流もね」
「複雑ですね」
「迷路みたいだよ」
瀬戸内海はというのです。
「しかも漁船も多いしね」
「あの辺りは水産も豊かなので」
「漁網もで船の行き来もかなり多くて」
「世界の船員にとって鬼門ですよ」
「全くだね」
「よく言われます」
「その瀬戸内海の呉をね」
この街をというのです。
「海上自衛隊は重要な母港にしているね」
「帝国海軍の頃から」
「よく出来るものだってね」
先生はしみじみとして言いました。
「思うよ」
「昔は大和も母港にしていました」
「あのとんでもなく大きな船がね」
「考えてみると凄いですね」
「全くだよ、そもそも日本の周りの海は難所ばかりでね」
先生は少し困ったお顔になってお話しました。
「船の行き来は多いけれど」
「何処も大変ですね」
「江戸湾だって」
こちらもというのです。
「海流が複雑でね」
「一旦狭くなりもして」
「浦賀水道がね」
「しかも世界屈指の船の往来場所で」
「やっぱり漁船も多くてね」
そうであってというのです。
「当然漁網もあって」
「海流もありますし」
「大変だよ、太平洋側は黒潮があって」
「やはり難所ですね」
「日本海側は荒れるので有名だしね」
こちらの海もというのです。
「長崎県の辺りにしても」
「あと津軽海峡の方もです」
「海が荒れやすくてね」
「大変です」
「そんなところでお仕事をしている人達は凄いよ」
先生は素直に敬意を表しました。
「全く以てね」
「そうですよね」
「日本の海はそうだからね、漁師さん達も商船の人達もで」
そうであってというのです。
「自衛官や海上保安庁の人達もね」
「凄いですよね」
「うん、頭が下がるよ」
「先生は船を動かすことも出来ますね」
「何度も後悔して来たよ」
スタッフの人にその通りだと答えました。
「船長にもなったよ」
「凄いですね」
「航海士の資格も持っているよ」
「造船の知識もおありですね」
「現代の船についてもね」
「でしたら」
先生にそれならとお話しました。
「またです」
「船長になってみればいいかな」
「機会があれば」
「その機会があればね」
先生も微笑んで応えました。
「そうさせてもらうよ」
「そうしてくれますね」
「機会があればね」
「宜しくお願いします」
そうしたお話もしました、そして実際にです。
移転の準備が全て整い皆はパドルビーの港に停泊している船に乗り込むことになりました、そうしてでした。
皆次々と乗り込みます、そうしてでした。
その中でジムはです、先生に言いました。
「先生それじゃあね」
「日本でまた会おうね」
「そうなるね」
「私達は先に飛行機で日本に戻るから」
「先回りの形になるね」
「そうなるよ、先に日本に帰って」
そうしてというのです。
「神戸の方で受け入れ準備を進めてね」
「僕達が日本の神戸に着いたら」
「出迎えさせてもらって」
そうしてというのです。
「そこからだよ」
「施設まで案内してくれるんだ」
「そうさせてもらうからね」
だからだというのです。
「また会おうね」
「日本でね」
「それまでのお別れだよ」
そうなるというのです。
「一時のね」
「また会えるね」
「必ずね」
そうだというのです。
「だからね」
「悲しく思う必要はないね」
「お別れは悲しいけれど」
そうしたものであるけれど、というのです。
「また会えるならね」
「悲しむことはないね」
「そうだよ」
「それじゃあ再会を楽しみにして」
そうしてとです、ジムは言いました。
「船に乗るね」
「そうしてね」
「そうだね」
ジムは笑ってこうも言いました。
「ここは船旅もね」
「楽しんでだよ」
「日本に向かうことだね」
「そう、そうしたら」
そうしたらというのです。
「凄くね」
「いい旅行になるね」
「そうなるよ、旅をするなら」
「楽しむに限るね」
「旅行自体が楽しいものだからね」
そうだからだというのです。
「是非にだよ」
「楽しむことね」
「そして」
そのうえでというのです。
「美味しい者を食べるんだ」
「それも沢山」
「そうしたらいいよ」
「何かね」
ジョージョーが言ってきました。
「ノアの箱舟みたいだね」
「そうだね」
先生も笑顔で頷きました。
「言われてみるとね」
「皆が乗るからね」
「一脈通じるね」
「あらゆる生きもの達が」
「そう、ただね」
先生はそれでもとお話しました。
「ノアの箱舟と違って新天地を見付けるとかはないよ」
「そこは違うね」
「ノアさんはどうもね」
先生が知っているこの人はといいますと。
「お話を聞いていると」
「いい人じゃなかったみたいだね」
「彼等のお話を聞いているとね」
あの太古の亀達のことを思い出しつつ言います、彼等に対して懐かしいものを感じつつもノアさんについては眉を曇らせています。
「どうもね」
「いい人じゃなくて」
「私は好きになれないよ」
「聖書だと偉大な人なのにね」
「聖書は素晴らしい本だけれど」
それでもというのです。
「真実を書いていると共にね」
「神様のことだね」
「実は、ということもあるね」
「ノアさんのことだね」
「こうしたことはよくあるんだ」
そうだというのです。
「聖書に出ている人でもね」
「ノアさん以外のかな」
「コーランで出ていても」
イスラム教の経典でというのです。
「行動や結末が全く違うんだ」
「へえ、そうなんだ」
「うん、キリストさんなんかね」
この人はといいますと。
「生きているしね」
「へえ、そうなんだ」
ジョージョーもこれには驚きました。
「キリストさん死んでいないんだ」
「コーランだとね」
「そうなんだね」
「ダビデさんもソロモンさんもハッピーエンドだしね」
「お二人共最期は残念なのに」
「そうならなくてね」
「ハッピーエンドなんだ」
先生に言いました。
「それはまたね」
「意外だね」
「そうだよ」
まさにと言います。
「そんな風なんだ」
「イスラム教だとね」
「それでノアさんもなんだ」
「確かにノアの箱舟はあってね」
「皆その中に入ったね」
「けれどね」
このことは事実でもというのです。
「ノアさん自身はね」
「聖書にある様な素晴らしい人じゃなくて」
「お世辞にもね」
「いい人じゃなかったんだね」
「そうだったんだ」
これがというのです。
「どうもね」
「そうだったんだね」
「そして」
そのうえでというのです。
「色々皆困っていたみたいだね」
「箱舟の中で」
「私としてはね」
先生はこうも言いました。
「ノアさんみたいなことはだよ」
「したくないのね」
ソフィーも来て言ってきました。
「そうなのね」
「うん、絶対にね」
先生はソフィーに答えました。
「ノアさんは悪い意味でルールを守る人だったからね」
「杓子定規とううか」
「ことなかれ主義というかね」
そうしたというのです。
「最初から責任を取るつもりはなくて」
「誰かの為にもなのね」
「自分のお仕事を最低限だけして」
そうしてというのです。
「他は何もしないね」
「そうした人だったのね」
「そんなことはしたくないよ」
「先生とは全く違うわね」
「よくないと思うなら」
ノアさんがです。
「ノアさんの様にはならない」
「そうなることね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「私はね」
「ノアさんみたいなことはしないわね」
「そのことを念頭に置いてね」
そのうえでというのです。
「船のこともね」
「手配してくれたのね」
「皆日本まで船旅を快適に楽しめる様に」
その様にというのです。
「手配したよ、だからね」
「私達は日本までずっと楽しめるのね」
「素敵な旅をね。海にいる間は船から出られなくても」
それでもというのです。
「停泊している間はね」
「出られるのね」
「それで若しその時迷子になっても」
「確か首輪に」
「そう、GPSを付けているから」
だからだというのです。
「それでね」
「見付けてくれるのね」
「そうなっているからね」
「安全ね」
「それにステファン氏が一緒だから」
「あの人も私達の言葉がわかるし」
「本当に何があってもね」
それでもというのです。
「大丈夫だよ」
「快適な旅になって」
「日本にも笑顔で来られて」
そうしてというのです。
「そのままの気持ちでね」
「日本で暮らせるのね」
「そうなるよ」
「楽しいままなのね」
「うん、だから今からね」
先生はソフィーに明るい笑顔でお話しました。
「旅立ってね」
「そうさせてもらうわ」
ソフィーも他の皆もです。
先生に笑顔で応えました、そして日本でまた会おうと一時のお別れの挨拶をしてそうしてなのでした。
皆を乗せた船は出港しました、先生は手を振って見送り船が見えなくなってからいつも一緒にいる家族に言いました。
「では私達もね」
「うん、これからね」
「ロンドンの空港に向かって」
「そこから飛行機に乗って」
「そのうえで日本に戻ろう」
「そうしましょう」
「そうしよう、やっぱりね」
先生は家族の皆にも笑顔で応えました。
「今の私達にとって日本は自国だね」
「イギリスは母国でね」
「僕達の国籍は日本になって」
「日本語を喋って日本文化にも親しんで」
「そうなっているね」
「うん、ただいい旅館だったね」
先生はお仕事の間泊まっていたそちらのお話もしました。
「見事なまでに日本の趣でね」
「畳も襖もあって」
「木造りでね」
「和食に温泉に」
「最高だったわね」
「いい旅館だったよ」
笑顔でお話する先生でした。
「本当にね」
「全くだね」
「また泊まりたい位よね」
「パドルビーに戻ってきたら」
「その時は」
「また戻って来る時があるよ」
先生は皆にお話しました。
「絶対にね」
「そうだよね」
「その機会は来るね」
「絶対に」
「またね」
「だからね」
それでというのです。
「その時にまた泊まろう、そしてね」
「パトルビーも楽しみましょう」
「僕達の故郷を」
「この街をね」
「よく何もない街と言われるけれど」
先生はそれでもと言います。
「私達にとっては違うね」
「とても多くのものがあるよ」
「ここで暮らしてきたから」
「楽しさも懐かしさも思い出も」
「何もかもがね」
「そう、暮らしているとね」
その場所にというのです。
「誰でもそこに多くのものを育んでいってね」
「そうしてだよね」
「そこにある様になるね」
「とても沢山のものが」
「そういうものだよ、そのバドルビーにもね」
またというのです。
「戻るよ、では今はね」
「うん、ロンドンに行ってね」
「そうして戻ろう」
「日本に」
「僕達の国にね」
皆も言ってそうしてです。
先生は電車に乗ってロンドンまで行ってでした。
空港から飛行機に乗ってそのうえで神戸に到着しました、神戸に到着するとまさに出発した時のままでした。
「変わらないね」
「結構な間留守にしていたのに」
「神戸は変わらないね」
「僕達が出発した時のままだよ」
「まあ言う程留守にしていなかったからね」
先生は空港を出て神戸の街に戻って皆にお話しました。
「八条町だってね」
「変わっていないね」
「あの町も」
「そうだね」
「王子やトミーがいつもスマートフォンで連絡していてくれたけれど」
それでもというのです。
「やっぱりね」
「変わっていないね」
「八条町も」
「神戸の中にあるし」
「それじゃあね」
「だからね」
それでというのです。
「その八条町にね」
「これから戻って」
「どうするか」
「一体」
「その時にはお昼になっているから」
それでと言う先生でした。
「まずはお昼を食べようか」
「いいね」
「じゃあお昼食べよう」
「そうしよう」
「まずはね」
「そのお昼は」
食べるものはといいますと。
「お好み焼きにしようかな」
「そういえばずっと食べてないね」
お好み焼きと聞いてです、老馬は言いました。
「イギリスにいる間は」
「旅館じゃ和食は出ても」
ホワイティも言います。
「お刺身とか天婦羅とかお鍋とかでね」
「お好み焼きは出なかったわ」
ポリネシアが続きました。
「焼きそばとかたこ焼きもね」
「そうしたものも日本のお料理なのに」
「食堂でもなかったわね」
チープサイドの家族もお話します。
「あちらはローストビーフとかイギリスのお料理が多くて」
「和食は多少位で」
「カレーはあっても」
それでもと言うチーチーでした。
「お好み焼きはなかったね」
「先生お好み焼きも好きなのに」
「日本に来てからそうなったのに」
オシツオサレツはそれでもとお話しました。
「イギリスにいる間は食べなかったね」
「出なかったし」
「先生焼きそばやたこ焼きも好きだけれど」
トートーはこうしたお料理もお話に出しました。
「食べていないね」
「お好み焼きやたこ焼きと言えばまさに烏賊に蛸だけれど」
ジップは食材のお話をしました。
「イギリスじゃどっちも殆ど食べないしね」
「私達もないと思っていたら」
まさにと言うダブダブでした。
「今出て来たわね」
「じゃあ食べよう」
ガブガブは先生にそれならと提案しました。
「是非ね」
「そうしようね、お好み焼きは海老玉で」
先生はこれを食べてとお話しました。
「焼きそばにたこ焼きもね」
「食べようね」
「そうしよう」
「色々楽しみになってきたね」
「久し振りのお好み焼きが」
「お好み焼きは素敵な日本のお料理の一つだよ」
先生はにこりと笑ってこうも言いました。
「色々なものが入れられてね」
「お好み焼きの名前通りにね」
「海老でも烏賊でもね」
「キャベツも沢山入っていてお野菜も食べられるし」
「ソースやマヨネーズ、青海苔や鰹節で味付けして」
「それで食べるけれど」
「いいね、じゃあ食べに行こう」
その為にも八条町に戻ろうとです、先生は皆に言ってでした。
すぐに電車で八条町に戻って大学の傍の商店街にあるお好み焼き屋さんに入りました。そして皆でお好み焼きに焼きそばにたこ焼きを食べますが。
そういったものを食べつつビールも飲んでです、先生は言いました。
「日本に戻って来たって実感するね」
「全くだね」
「こうしたお店に入ってこうしたものを食べても」
「そうしてもね」
「とてもいいよ、日本語のお品書きを見るのも」
木造の壁のお好み焼きのそれを見てもです。
「とてもね」
「風情があってね」
「日本ならではだね」
「そう思えるよね」
「本当に」
「やっぱり今の私達は日本人だね」
そうなっているというのです。
「こうしたものが大好きなんだから」
「日本語に囲まれて」
「木造の建物が好きでね」
「アーケードの商店街だってそうで」
「日本人になっているわね」
「そうだね、イギリスに生まれても」
それでもというのです。
「そうなっているね、けれどね」
「うん、イギリスだってね」
「僕達の母国だってね」
「忘れられないよ」
「絶対にね」
「二つの国を共に楽しめる」
先生は言いました。
「そう考えるとね」
「いいね」
「そうだよね」
「それじゃあね」
「イギリスも楽しんで」
「日本もね」
「どちらの国も同じだけね」
日本もイギリスもというのです。
「愛して大好きであってね」
「楽しもう」
「そうしよう」
「皆でね」
「是非ね」
こう言ってでした。
先生はお好み焼きを食べていきます、そこで皆に日本に移住する為に今は船の中にいる彼等のお話をしました。
「今どうしているかね」
「わかるね」
「ステファン氏に連絡すれば」
「スマートフォンを使って」
「そうすればね」
「そう、すぐにね」
実際にと皆にお話しました。
「わかるよ」
「そうだね」
「スマートフォンって便利だよね」
「電波が届けば連絡出来るから」
「有り難いね」
「若しスマートフォンが使えなくても」
電波が届かなくてです。
「それでもね」
「パソコンがあるね」
「パソコンで連絡を取れるね」
「じゃあそうしたものを使ってステファンさんに聞くね」
「皆がどうしているか」
「そうするよ」
是非にというのです。
「私もね」
「そうしようね」
「是非ね」
「じゃあね」
「ステファンさんにも尋ねよう」
「皆のことを」
「やはり気になるからね」
船にいる彼等のことはというのです。
「だからね」
「うん、連絡しよう」
「船にいるステファンさんに」
「皆は元気か」
「船旅を楽しんでいるか」
「そのことをね」
こうお話してでした。
先生はステファン氏にも連絡することにしました、そしてお好み焼きを食べてビールもごくごくと飲みますが。
「イギリスのビールともね」
「また味が違うよね」
「日本のビールって」
「同じビールでもね」
「それでもね」
「また味が違っていて」
それでというのです。
「飲むとね」
「いいよね」
「美味しいんだよね」
「イギリスのビールもいいけれど」
「日本のビールもね」
「いいね、こうしてお好み焼きや焼きそばを食べてね」
勿論たこ焼きも食べています。
「ビールも飲むとね」
「最高だよね」
「おソースやマヨネーズが利いていてね」
「青海苔や鰹節で味付けされている」
「お好み焼きとかを食べてビールを飲むと」
「物凄く美味しいね」
「日本ならではだよ」
満面の笑顔で言う先生でした。
「本当にね」
「日本に帰ってきたって実感するね」
「これはまた」
「全くだね」
「今日は休日だから」
そうした日だからだというのです。
「お昼から飲めるね」
「ビールもね」
「そのこともよかったよ」
「日本ってお昼から飲まないけれど」
「お仕事があると飲まないから」
「そうしたお国柄だからね」
「だからね」
それでというのです。
「平日は飲めないけれど」
「今は違うね」
「ちゃんと飲めるね」
「こうしてね」
「美味しく」
「そのこともいいことだよ」
今度は焼きそばをすすって言いました。
「それで食べ終わったらね」
「お家に帰ってね」
「学問をして」
「それ晩ご飯も食べるね」
「お風呂にも入って」
「そうしようね、それと」
さらにお話する先生でした。
「トミーにさっき連絡したら」
「トミーも元気だよね」
「暫く神戸にいたけれど」
「それでもだね」
「元気だね」
「そう、元気でね」
そうであってというのです。
「晩ご飯のお話もしてくれたよ」
「今日の晩ご飯何かな」
「気になるね」
「お昼ご飯食べながら言うのもあれだけれど」
「それでもね」
「晩ご飯はオムライスらしいよ」
このお料理だというのです。
「王子も一緒にね」
「へえ、オムライスなんだ」
「あれも美味しいよね」
「日本独特のお料理なのよね」
「オムライスもね」
「いや、オムライスとは思わなかったから」
先生は笑顔でお話しました。
「だからね」
「それでだよね」
「意外にも思って」
「尚更だね」
「楽しみだね」
「凄くね、オムライスをはじめて食べた時は」
先生はその時のお話もしました。
「驚いたものだよ」
「全くだね」
「オムレツの中にチキンライスなんて」
「凄い発想よ」
「本当にね」
皆も言います。
「あんなものを考えるなんて」
「しかも物凄く美味しいから」
「それじゃあね」
「今晩も楽しみね」
「オムライスも」
「そこにサラダと野菜が沢山入ったスープに」
そうしたものもあってというのです。
「デザートには洋梨だよ」
「全部楽しみね」
「オムライスだけじゃなくて」
「じゃあそうしたものも食べて」
「それならね」
「今晩も楽しもう」
「そうしましょう」
皆も笑顔で応えます、そうしてでした。
先生は神戸の空港から我が家に戻りました、そのうえで夜に美味しいオムライスと他のメニューを楽しんだのでした。