『ドリトル先生と日本に来た仲間達』




                第九幕  日本に引っ越すには

 先生は皆に朝起きて食堂でご飯を食べてから言いました。
「場所は違うけれど建物や施設の形はそのままだよ」
「日本に移転するのね」
「ただ移転するだけでなくて」
「この形をそのまま持って行くんだ」
「そうしていくのね」
「そうするよ、そうしたらね」
 皆にさらにお話します。
「これまで通り暮らせるからね」
「違和感なく」
「そう出来るのね」
「このパドルビーで暮らしていた時そのままに」
「建物や施設の外観が同じなら」
「そうなるよ、ただね」
 こうもお話する先生でした。
「やっぱり日本とイギリスは違うから」
「災害対策もして」
「設備も変わってくるね」
「日本の暮らしに合わせた」
「そうしたものになるね」
「そこは絶対にね」
 何と言ってもというのです。
「そうなるよ」
「それは当然だね」
「イギリスと日本は違うから」
「何かと」
「先生今回よくそのことをお話するけれど」
「必然のことね」
「どうしてもね、それでね」
 先生はさらにお話します。
「設備は最新のものになるから」
「冷房や暖房も」
「壁や床や窓も」
「全部そうなるのね」
「建物や施設も」
「そうなるからね」
 だからだというのです。
「パドルビーよりずっと快適になるよ」
「その辺り流石だね」
「八条グループだけあるわね」
「世界的な企業グループだけあって」
「最新の設備にしてくれるんだ」
「そうだよ、もうこれはね」
 最新の設備にすることはというのです。
「既定路線だったよ」
「日本だしね」
「日本人って最新のものを導入するよね」
「いいと思ったら」
「そうするね」
「そうだね、日本人は新しいものを目にして」
 先生も言います。
「いいと思ったらね」
「もう迷わないで」
「すぐに導入してね」
「自分達のものにするね」
「アレンジまでして」
「元のものより遥かによくするのよね」
「鉄道もそうでね」 
 この技術もというのです。
「飛行機もそうだね」
「そうそう、まさにいいと思って」
「それで採り入れて」
「そうしてどんどん用いていくんだよね」
「最初はかなり高価でも」
「お金も出して」
「お金は後で返って来る」
 そうなるというのです。
「そう考えてね」
「お金がかかってもいい」
「その新しいものを手に入れる」
「そうするよね、日本人って」
「いいと思ったら」
「だから日本の今があるんだよ、つくづく凄い国だよ」
 まさにというのです。
「そうしたところもね」
「明治からっていうか」
 トートーは日本の歴史から語りました。
「戦国時代からだね」
「鉄砲も見てね」
 そしてと言う老馬です。
「すぐに受け入れたね」
「火薬もそうして」
 ジップはこちらのお話をしました。
「工夫してあっという間に全国に広まったし」
「そういえば漢詩だって受け入れたわよ」
 ダブダブは文学からお話しました。
「それでずっと詠ってるわね」
「本当に日本人って何でも受け入れるね」
 ホワイティは感心さえしています。
「柔軟だよね」
「それで最新でいいと思ったら採り入れて」
「自分達の技術にして」
 チープサイドの家族はそうしてとお話します。
「さらにアレンジを加えて」
「もっといいものにするんだよね」
「確かこう言ったね」
 チーチーは考える顔で言いました。
「藍は青から出て青より青し」
「いい言葉ね」
 ポリネシアはその言葉に頷きました。
「聞けば聞く程ね」
「魔改造とも言うね」
 ガブガブは現代の言葉を出しました。
「オリジナルより遥かに凄いものにしちゃうから」
「普通新幹線や軽四なんて考えないよ」
 先生は笑ってお話しました。
「鉄道も自動車もね」
「物凄くアレンジして」
「とんでもないもの作るね」
「新幹線なんかその最たるものよ」
「受け入れる柔軟さとアレンジの才能がね」
 そういったものがというのです。
「日本人は飛び抜けているよ」
「それを移転する施設にも用いる」
「それで皆快適に暮らせるのね」
「このパドルビーにいる時よりも」
「そうなのね」
「そうだよ、勿論震災対策もしているしね」
 こちらのこともお話します。
「他の災害のこともね」
「先生、そのことだけれど」
「日本って災害多過ぎるよね」
 二匹の蝙蝠が寝る前に天井にぶら下がった状態で言ってきました。
「地震とか台風とか」
「津波、洪水、火事、雷、竜巻って」
「大雨に大雪、火山の噴火」
「しかもどれも多いんだよね」
「イギリスの比でなくね、私も沢山見てきたよ」
 先生にしてもです。
「災害をね」
「そうだよね」
「日本にいるだけでだよね」
「災害には遭うね」
「絶対に」
「そうだよ、雷の数も」
 これもというのです。
「多いしね」
「そこが怖いね」
「そのことだけが心配だよ」
「対策を立ててくれていても」
「いざ何かの災害が起こったら」
「その為にスタッフの人達もいてね」
 施設のとです、先生は蝙蝠達に答えました。
「私もいるし」
「自衛隊の人達もだね」
「ちゃんといてくれてるね」
「悪い人が来たら警察で」
「火事だと消防署だね」
「日本はそういったところが全部しっかりしているから」
 だからだというのです。
「本当にね」
「安心出来るね」
「災害が起こっても」
「そうだよ、自衛隊は戦闘経験は掃海位だね」
「ああ、機雷を除去する」
「あのお仕事だね」
「あれを戦闘と言ったらそうなってね」
 それでというのです。
「そちらの経験は豊富だけれど戦争はね」
「経験していないね」
「日本自体がだし」
「それでそちらの経験はないけれど」
「それでもだね」
「出動や活動の経験は多くて」
 そうであってというのです。
「それが災害に対してなんだよ」
「そういうことだね」
「災害が多くてね」
「災害の都度出動して」
「救助や復興にあたっているね」
「いいか悪いかは別にして」
 災害の種類も数も多いことはです。
「自衛隊の経験は豊富だからね」
「救助も復興も信頼出来るね」
「じゃあ僕達もだね」
「その時は自衛隊の人達がいてくれるから」
「安心なのね」
「建物の耐震もしっかりしたものになるし」
 先生はお話を続けます。
「他の災害に対してもね」
「しっかりしているんだね」
「じゃあ安心して暮らせるね」
「日本でも」
「そうだね」
「そう、そして」 
 そのうえでというのです。
「自衛隊は規律も訓練もしっかりしているんだ」
「それは嬉しいね」
「そうした軍隊が一番頼れるよ」
「自衛隊は軍隊じゃないけれど」
「そのことは有り難いわ」
「いつも隅から隅までお掃除していてね」
 自衛隊はとです、先生はお話します。
「服はアイロンをかけて靴は磨かれて」
「まさに埃一つない」
「誰も何処もピカピカできちんとしていて」
「訓練もしっかりして」
「ぴしっとしてるんだよね」
「自衛隊って」
「だからね」 
 それでとです、先生は皆にも応えてお話します。
「いざという時しっかり動いてくれるね」
「驚く位ね」
「規律正しく」
「テキパキと動いてくれて」
「本当に助かるわ」
「PKOでも頑張ってくれているしね」
 こちらでもというのです。
「頼りになる人達だよ」
「何でか日本では嫌う人達がいるけれど」
「それはおかしいわ」
「実際は頼りになって」
「凄く有り難い人達だよ」
「本当にね」
 皆も言います、そうしてこの日もお仕事をしますが。
 その中で犬ホームの移転のアドバイスもしますが先生はそこでスタッフの人達のお話を聞いて唸りました。
「そうですか、室内運動場も設けますか」
「はい、そうです」
「雨の日も皆運動が出来る様に」
「そうした場所も用意します」
「ドッグレースも出来ますし」
「馬も歩けます」 
 スタッフの人達は先生にお話しました。
「雨の日はです」
「そこで皆運動が出来ます」
「飛ぶことも出来ますし」
「雨や雪の日はそちらでとなります」
「凄いですね、こちらにはないですから」
 先生は唸ったまま言いました。
「そうした施設は」
「そうですよね」
「だから雨の日は皆じっとしていましたね」
「大抵は」
「そうでしたね」
「イギリスは雨が多いですが」
 それでもというのです。
「仕方ないということで」
「ですがあちらでは違います」
「ちゃんとそうした場所も設けます」
「ですから皆雨の日も安心です」
「運動を楽しめます」
「有り難いです、犬はです」
 この生きものはといいますと。
「やはり散歩、運動が必要です」
「そうですよね」
「もう絶対のことですよね」
「こちらの子達も皆散歩が大好きですし」
「どの子もですね」
「そうです、ですからそうした場所があることは有り難いです」
 先生は心から言いました。
「設けて頂き有り難うございます」
「いえ、絶対にと思いまして」
「皆のことを考えますと」
「室内運動場も必要だと」
「そして他にも必要な施設は考えていますが」
「見せて頂けますか」
 その設ける施設をとです、先生はスタッフの人達に申し出ました。
「これから」
「是非ご覧下さい」
「こちらも見て頂きたいと思っていました」
「今からお見せするつもりでしたので」
「ご覧になって下さい」
「それでは」
 先生も頷きます、そうして見せてもらってまた唸りました。そのうえでピピネッラと一緒にいるステファン氏にお昼前にお話しました。
「獣医さんに理髪師さんも常駐してくれていて」
「食べるものも毎日送られますし」
「うん、かなり充実しているよ」
 ステファン氏に食堂に向かって歩きつつお話します。
「私の予想以上にね」
「スタッフの人達も専門家ですから」
「生きものについての」
「ですから色々考えてくれています」
「そうなんだね」
「ですから」
 それでというのです。
「色々な施設もです」
「考えてだね」
「設けます」
「そうなんだね」
「そして」
 ステファン氏はさらにお話します。
「皆日本では快適にです」
「暮らせるんだね」
「そうです」
 実際にというのです。
「そうしてもらえます」
「私の予想以上だね、皆が幸せなら」
 それならと言う先生でした。
「有り難いよ」
「あと見学の人達もです」
「受け入れるね」
「はい、ですが」 
 ここでステファン氏は先生に少し微妙な感じになってお話しました。
「見学料は頂きます」
「入場料と同じだね」
「この辺りはイギリスと違います」
「うん、イギリスの博物館とかは無料で入場出来るよ」
 先生はステファン氏に答えました。
「素晴らしいことだけれどね」
「運営費の確保が問題になりますね」
「博物館のね」
「寄付で賄っていますが」
「寄付だとね」
 それならというのです。
「どうしても収入が不安定になるからね」
「博物館もお金が必要ですからね」
「運営にはね」
「それで、ですね」
「見学料を頂くことにはね」
 それにはというのです。
「私も反対しないよ」
「そうですね」
「私はお金に執着しなくて」
 先生のお考えの特徴の一つです、先生はお金に執着しなくてあれば使いますしまた悪いことをして貰ったり儲けようともしないのです。
「その辺りは無頓着でね」
「本音では無料ですね」
「それでいいと思うけれどね」
「現実はそうもいかなくて」
「お金は大事だね」
「はい」
 そうだというのです。
「やはり」
「そうなのよね」
 ステファン氏の左肩にとまっているピピネッラも言ってきました。
「お金がないとね」
「博物館もどんな場所でもだよ」
「維持出来ないわね」
「そうだよ、この動物園や犬ホームもね」
「お金が必要よね」
「私の本の印税とかで賄ってきたよ」
 そうだったというのです。
「日本に入るまでね」
「そうだったわね」
「結構以上に苦労したね」
 先生は笑ってお話しました。
「皆がね」
「全くだよ」
「先生本当にお金に執着しないから」
「あれは使うし」
「しかも付け届けみたいなの受け取らないし」
「お金に清潔なのはいいことでも」
「こだわらないからね」
 その皆が言います。
「お金入ってもすぐに使って」
「自分の手元に置かないから」
「それが困ってきたよ」
「いつもね」
「うん、昔からお金には執着がなくて」
 それでというのです。
「お金儲けもね」
「しないね」
「というか興味ないね」
「それも全く」
「そうだよね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「私はね」
「賄賂とか要求しなくて」
「汚職もしない」
「当然脱税だって」
「そうしたことしないからね」
「どれも悪いことだしね」
 だからだというのです。
「しないよ」
「そのことはいいのよ」 
 ピピネッラも認めることです。
「清潔でモラルがあることはね」
「このことはいいね」
「けれど先生って経営とか運営には不向きね」
「お金にこだわらないとね」
「そこまで執着がなくて」
 そうであってというのです。
「なくてもいいとさえ考えているから」
「だからだね」
「その人の考えに関わらずね」
 それこそというのです。
「お金はね」
「必要だね」
「現実としてね」
「そのことはわかっているけれどね」
「先生の考え方ね」
「お金よりも大切なものが沢山あるともね」 
 その様にもというのです。
「考えているしね」
「友情や優しさね」
「思いやり、公平さに寛容さとね」
「お金より大切なものは一杯あるわね」
「礼節に品性とね」
「そうしたものが一切ないと」
 それならとです、ピピネッラは言いました。
「物凄い悪人になるわね」
「お金だけを求めるとね」
「モラルもなくて」
「そうなると世界一のお金持ちになってもだよ」 
 例えそうなろうともというのです。
「何の価値もないよ」
「その通りね、お金はなくなるしね」
「そう、特にね」
 先生はピピネッラにお話しました。
「今お話に出たみたいな人と取引がしたいかな」
「誰も思わないわね」
 ピピネッラもすぐに答えました。
「まともな人なら」
「そうなるね」
「嫌悪だけ感じて」
 そうなりというのです。
「信用なんて絶対に出来ないから」
「そうなるとね」
「お金なんてなくなるわね」
「あっという間にね」
 それこそというのです。
「あからさまに下劣な悪人なんてだよ」
「誰も信じないわね」
「そうなるからね」
 それ故にというのです。
「もうね」
「お金もなくなって」
「後に残るのは」
「何もないわね」
「そうだよ、お金はそんなものだよ」
 先生も言います。
「本当にね」
「そうよね」
「この世で儚いものは沢山あるけれど」
 それでもというのです。
「お金もね」
「そのうちの一つよね」
「だからね」
「お金だけだとね」
「もうね」
 それこそというのです。
「こんな虚しいものはないよ」
「先生にとっては」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「私はお金にはこだわらないし」
「なくてもいいとさえなのね」
「考えてるよ」
「確かにお金しかないというのは駄目ですね」
 ステファン氏も言いました。
「本当にです」
「虚しいよね」
「例え世界一のお金持ちでも」
 そうであってもというのです。
「お金なんてすぐになくなりますから」
「まさに煙の様にね」
「しかもその人がとんでもなく悪い人で品性も思いやりも何もないなら」
「皆その人を嫌って信用もしなくなってね」
「相手にしなくなって去って」
「そしてね」
 そうなりというのです。
「お金もね」
「なくなりますね」
「文字通りあっという間にね、例えお金と共に権力があっても」
 それでもというのです。
「あっという間に全部失うよ」
「一緒に働きたくもないですしね」
「そうなるに決まってるよ、これはもう能力の問題じゃないんだ」
「その人のですね」
「そう、全く信用出来なくてしかも嫌悪しか抱けない人の為にお金に関係することを行えるかなんてね」
「言うまでもないですね」
「だからね」
 それでというのです。
「もうね」
「そんな人はお金をあっという間に失いますね」
「そうなるよ、しかも驕り昂ったなら」
 それならというのです。
「日本にいい諺があるよ」
「どんな諺ですか」
「驕る平家は久しからずだよ」
 先生はステファン氏にこの諺を紹介しました。
「こうした諺があるんだ」
「日本にはですね」
「驕る人はすぐに没落する」
「そういう意味ですね」
「昔平家という一族があったんだ」
 日本にはというのです。
「平安時代の最後に出てきてね」
「権勢を振るったんですね」
「まさに位人臣を極めたけれど」
 それでもというのです。
「没落したんだ」
「そうですか」
「それも戦いに敗れ続けて」
 そうなってというのです。
「最後は滅んだよ」
「そうなりましたか」
「こうしたことは歴史にあるね」
「確かに」
 ステファン氏もその通りだと答えました。
「歴史上そんな人がどれだけいるか」
「わからない位いるね」
「お金も権力も手に入れて」
「驕り昂ってね」
「それで、ですね」
「皆から嫌われて忌まれてね」
 そうなってというのです。
「離れていって敵になって」
「没落して破滅する」
「そんな人がどれだけいたか」
「人類の歴史において」
「巷でもね」
 世の中のあちこちでというのです。
「あるしね」
「そうしたことは」
「誰でも驕ったら駄目だよ」
「まして人格があまりにも酷いと」
「例え世界一のお金持ちになってもだよ」
「あっという間にお金はなくなりますね」
「全部ね、そしてその時助けてくれと言っても」
 そうしてもというのです。
「誰も助けないよ」
「悪人を助ける人はいないですね」
「そうだよ、そして無残な末路を迎えるよ」
「そうなりますね」
「だからね」
 それでというのです。
「私はお金よりも大切なものが沢山あると考えていて」
「主張されていて」
「実践もしているつもりだよ」
「そういうことですね」
「そもそも若し酷いインフレになって」
 先生は腕を組んで困ったお顔になってお話しました。
「お金の価値がなくなったらどうなるかな」
「そんなこともあるね」
「世の中ってね」
「実際に今もあるわね」
「お金の価値がなくなることも」
「そうだよね」
 皆も言います。
「ハイパーインフレっていうね」
「第一次世界大戦の後のドイツでもあったし」
「今だとジンバブエとかね」
「もうお金の価値が全くなくなって」
「札束の山出して卵一個しか買えなくなったりするわ」
「そうなるからね」
 実際にとお話する先生でした。
「本当にね」
「お金は絶対じゃない」
「お金だけとは考えない」
「他にも大切なものが一杯ある」
「そう言うんだね」
「その通りだよ」
 先生は皆に答えました。
「私はね」
「そうなんだね」
「正しい考えではあるよ」
「世の中お金以外にも大切なものが一杯ある」
「その通りだね」
「けれどね」 
 皆は先生にそれでもとお話しました。
「先生は極端だよ」
「お金に無頓着過ぎるよ」
「暮らせればいいって考えだから」
「賄賂とか取らないし泥棒なんて絶対にしなくて」
「贅沢もしないけれど」
「欲がなさすぎるんだよね」
 こうお話するのでした。
「どうもね」
「それが過ぎてね」
「うちのお金がすぐになくなって」
「イギリスにいた時どれだけ困ったか」
「今は特にだけれど」
「思えば動物園と科の維持や運営にかなりのお金がかかっていたね」
 先生は何でもないといった調子で言いました。
「日本に引っ越す時に全部八条グループが運営を引き受けてくれてね」
「そっちのお金がかからなくなって」
「先生の印税とか教授としてのお給料もあって」
「今は生活が安定しているけれど」
「それでもね」
「先生は相変わらずお金に無頓着だね」
「趣味は読書とか汚職とか学問だけでも」 
 先生の趣味のお話もします。
「ギャンブルとかしないし」
「奇麗なお姉さんのいる場所なんてもっとだし」
「お金のかかる趣味はないけれど」
「全くね」
「けれど」
 それでもというのです。
「先生ってね」
「寄付もよくするし」
「寄付はいいことだけれど」
「沢山寄付するし」
「今持っているお金のことを考えないでね」
「お金は困っている人達の為に使われないとね」
 先生はそれ故にとお話しました。
「だからだよ」
「その考え自体はいいのよ」
 ポリネシアも認めます。
「とてもね」
「ただ先生は無頓着でね」
 それでと言うダブダブです。
「無欲過ぎるのよ」
「執着がないから考えずに使って」
 トートーも言います。
「入ってもそうなんだよね」
「今も基本そうだよね、先生は」
 ホワイティは今の先生を見て言います。
「だから思ったより貯金ないんだよね」
「今は貯金あるだけましだけれどね」
「ええ、昔は入ればすぐにすっからかんになっていたから」
 チープサイドの家族はイギリスにいた時を思い出してお話します。
「その時よりはましでも」
「今も収入と比べたら少ないよ」
「若し僕達がいなかったら」
 チーチーはその場合のことを考えました。
「先生いつもすっからかんだよ」
「普通ギャンブルやお姉さんと遊んでお金ってなくなるのに」
 それでもと言う老馬でした。
「先生は寄付とかでなくすんだよね」
「人の為に使ったりすることはよくても」
 ガブガブはそれでもと言いました。
「先生はお金を意識し過ぎないんだよね」
「この動物園や犬ホームに使ってくれることは嬉しくても」
 ジップにしてもです。
「先生はお金は残すものとは考えないからね」
「使う、それも他の誰かの為に」
「それが先生だからね」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「もう少しお金のことを考えてくれたら」
「嬉しいのにね」
「そう言われてもね、借金はしない様にしてるけれど」
 先生もそこは気を付けています。
「今はね」
「借金は駄目だよ」
「今は借金取りもまともな人が多いけれどね」
「昔はとんでもない人多かったし」
「ヤクザ屋さんがやっていたりして」
 皆もそのことはいいと言います。
「酷かったよね」
「違法な高利貸しとかいて」
「借りて困っている人もいたし」
「それも大勢ね」
「それで借金はしないからね」
 先生も言います。
「安心して欲しいね」
「うん、安心しているよ」
「僕達もね」
「先生借金はしない様にしているから」
「カエサルさんとは違ってね」
「カエサルさんっていうとローマの英雄よね」
 ピピネッラはカエサルさんと聞いてこう言いました。
「そうだったわね」
「そうだよ、ローマを建て直して新たなローマにした人だよ」
「そうよね」
「それで借金が凄かったんだ」
「政治資金にしたりして」
「あと本を買ったりね」
 借金をしてというのです。
「女の人へのプレゼントにしていたんだ」
「それで借金が凄いことになっていたのよね」
「とんでもない位になっていて」
 それでというのです。
「皆驚いていたんだ」
「当時のローマの人達が」
「天文学的な借金でね」
「カエサルさんも困っていたわね」
「いや、この人は借金をしても平気だったんだ」
 カエサルさん自身はというのです。
「政治のことを行えて本を買えて読んでね」
「女の人にプレゼントをして」
「そう、そしてね」
 それが出来てというのです。
「よかったんだ、あと服にも凝っていたそうだよ」
「当時のローマの」
「トガという神話に出て来るみたいな」
「丈の長い服ね」
「公の場で着る今で言うスーツだよ」
「先生が今着ているタキシードみたいな」
「そう、そんな感じでね」
 まさにというのです。
「トガというのは」
「それでそのトガにも凝って」
「そちらにもお金を使ってね」
「借金をして」
「凄いことになっていたんだ」
「そうだったのね」
「そこは私と違うね」
 先生は自分から言いました。
「お金に無頓着でも」
「先生は確かにいつもタキシードやスーツだけれどね」
「シルクハットを被ってね」
「けれどね」
 それでもというのです。
「もうずっと着ているし」
「服は最後の最後までだよ」
「着る主義ね」
「そうであって本もね」
 こちらもというのです。
「当時は財産だったからね」
「とても高価だったわね」
「紙がなくて」
「しかも印刷はずっと後でね」
「手書きね」
「そうだったからね」 
 そうした状況だったからだというのです。
「かなり高価だったんだ」
「今とは全く違うわね」
「そうだよ、しかもカエサルさんはね」
「政治資金に女の人へのプレゼントね」
「どちらも私には無縁だね」
「先生は政治学も学んでいて見識もあるけれど」
 ピピネッラは先生に言いました。
「政治家にはならないわね」
「立候補したこともないよ」
「投票して発言してもね」
「特定の政治家の人の応援もしたことがないよ」
「そうよね」
「民主主義と人権、そして法律は大事だと主張しているけれどね」
 それでもというのです。
「政治家になろうと思ったことはないよ」
「応援もよね」
「私はあくまで学者でね」
 そうであってというのです。
「政治家向きとは思っていないから」
「それでよね」
「政治資金もね」
「必要ないわね」
「そして特にね」
 自分から笑って言う先生でした。
「女の人については」
「先生は無縁だっていうのね」
「全くないよ」
 それこそというのです。
「これが一番だね」
「縁がないわね」
「生まれてからずっとね」
「そのことだけれど」
 ピピネッラはここでステファン氏にお顔を向けてお話しました。
「先生ならね」
「棒も思うよ」
 ステファン氏はピピネッラの言葉に頷きました、この人も生きもの言葉を学んでいてピピネッラともお話が出来るのです。
「きっとね」
「いい人に出会えてね」
「縁があってね」
「幸せになれるよ」
「先生の人柄なら」
「絶対にね」
「いやいや、私には関係ないよ」
 二人の言うことを聞いてもです、先生の考えは変わりません。
「恋愛はね」
「先生同性愛にも興味ないしね」
「そちらの人でもないのよね」
「だから尚更なんだよね」
「女の人と無縁だって思うのよね」
 皆も困ったお顔で言います。
「いつも人は外見じゃないって言うのに」
「中身だって」
「そう言うのに」
「自分のことはそうなんだよね」
「何でかしら」
 ピピネッラは首を傾げさせてしまいました。
「先生って自分のことにはこうなのかしら」
「生まれてからずっともてないって思っていてね」
「もっと言えば思い込んでるよ」
「自分が太っていてお顔も冴えないからだって」
「それでもてないってね」
「そう思うけれど」
「しかも昔は小柄だとされていたしね」 
 このことも言う先生でした。
「イギリスの貴族の人達から見ると」
「平民の人達だと普通位だったかな」
「やや小柄位だったかしら」
「パドルビーにいた頃は」
「あの頃の日本人だと高いけれどね」
「今の私は一八〇でね」
 先生の身長はそれ位です。
「日本人の中では高いね」
「平均よりもね」
「昔から平均の日本人よりは高いね」
「けれどイギリスの貴族から見るとね」
「貴族と平民で結構体格違ったからね」
「あの頃はそうだったわね」
「その中では私は小さかったよ、このこともあったし」
 先生はそれでとお話します。
「私は生まれてずっともてなかったし」
「別にそれでもいい」
「そう思っているよね、今も」
「その考えは変わらなくて」
「今に至るわね」
「もてなくても幸いお友達が多くて」 
 先生はです。
「しかも皆がいるからね」
「いいんだね」
「満足していて幸せだから」
「それでだね」
「先生はもてなくてもいいんだね」
「充分過ぎる程幸せだからね」 
 心から言うのでした。
「もてる必要なんて全くないよ」
「子供の頃からだよね」
「先生お友達が多くて」
「それで充分幸せだから」
「気にしていないね」
「全くね、もてるだけが幸せじゃないよ」
 本当に何とも思っていない、そんな笑顔で言う先生でした。
「皆がいるのにもてる必要ないよ」
「先生絶対にもてるわ」 
 ですがこれまであちこちを散歩して見回っていたイティーが言ってきました。
「私が見てもね」
「この外見でかい?」
「だから大切なのは人柄でしょ」
 先生ご自身が言う通りにです。
「だからね」
「私の人柄ならなんだ」
「絶対にね」
 まさにというのです。
「ずっと好きな女の人いてる筈よ」
「先生をね」
「いつもそう言ってるけれどね」
「僕達にしても」
「今だってね」
「それが信じないのね」
 イティーは皆に言いました。
「そうなのね」
「困ったことにね」
「その通りだよ」
「どうしたものか」
「結婚なんて絶対にないと思い込んでるし」
「どれだけ言っても」
「自分のことだからわかっているよ」
 先生の考えは変わりません。
「私は女性、恋愛とは無縁の人間だよ」
「あの、日本はお見合いがありますよね」
 ステファン氏も言ってきました。
「でしたら」
「いや、それもね」
「いいですか」
「どうも気分じゃないよ」
 そうだというのです。
「私はね」
「そうですか」
「折角のアドバイスだけれど」
「お見合いもですか」
「縁がないから」
 それ故にというのです。
「私と結婚してもその人が幸せになれるか」
「なれないですか」
「こんな冴えない人間だからね」
 また外見のことを言うのでした。
「それじゃあだよ」
「僕も外見は関係ないと思いますよ」
「君もなんだ」
「幾ら顔やスタイルがよくても」
 それでもというのです。
「性格が悪いと」
「どうにもならないね」
「はい」
 まさにというのです。
「そうですから」
「私は性格がいいからなんだ」
「誰よりも」
「太っているとね」
「嫌だって人いますか」
「それが普通じゃないかな」
 こう言うのでした。
「もてない理由は」
「お顔もですね」
「そして背丈もね」
「ですから外見で人を判断する人は」
 それこそと言うステファン氏でした。
「その程度ですよ」
「レベルが低いんだね」
「そうです」
 まさにというのです。
「そんな人は絶対に後悔します」
「詐欺師に騙されたりしてね」
「よくあることですね」
「お顔がよくても性格が最悪でね」
「交際してもです」
「大変なことになったりするよ」
「ですから」
 そうしたことがあるからというのです。
「人はです」
「外見じゃないね」
「先生を外見で判断するなら」
 そんな人はというのです。
「その程度です」
「そう言っていい人なんだね」
「レベルが低いと言ってもいい」
 スフテァン氏はまたこう言いました。
「そんな人でいい人はです」
「私の外見を見てくれるかな」
「間違いなく」
 断言して言うのでした。
「そうしてくれます」
「そうだといいけれどね」
「本当に」
「いつもそう言ってるのに」
「先生わかってくれないから」
「困るんだよね」
「一体どうしたものか」
 皆やれやれとなって言います。
「先生はね」
「このことだけは思い込みが激しくて」
「信じてくれないからね」
「僕達がどう言っても」
「つくづく困るよ」
「いつもね」
「日笠さんのことだって」
 パドルビーでもこの人のことを考えるのでした。
「そうだしね」
「そうだよね」
「日笠さんも困るよね」
「いつも頑張ってるのに」
「それで困らないなんて」
「もういてくれているのね」
 ピピネッラは皆のお話を聞いてすぐにわかりました。
「よかったわね」
「いいけれど」
「問題は先生だよ」
「どうしたものやら」
「僕達も頑張らないとね」
「本当にね」
 皆やれやれとなります、しかしでした。
 先生は相変わらずでした、本当にこうしたことについては思い込みが激しくて何の進展もないのでした。








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