『ドリトル先生と日本に来た仲間達』
第三幕 イギリス行き決定
先生がパドルビーに残して来て今は八条グループが管理運営している動物園等が日本に移転することが決まってです。
先生も移設のアドバイスにイギリスに帰るかどうかというお話になっているのを聞いて日笠さんが先生の研究室に来て言いました。
「あの、イギリスに戻られますか」
「それがまだ決まっていないのです」
先生は日笠さんにミルクティーを出して一緒に飲みながらお話sました。
「これが」
「そうなのですか」
「戻るといっても一時的で」
「すぐに日本にですか」
「帰ります」
そうなるというのです。
「移転の際のアドバイスをするだけなので」
「そうですか、ずっと日本で暮らされるんですね」
「はい」
先生に微笑んで言いました。
「私は」
「それは何よりです」
日笠さんは笑顔で応えました。
「ほっとしました」
「ほっとですか」
「先生がずっと日本におられるので」
「私は日本にお仕事を持っていますし」
「八条大学医学部の教授さんですね」
「お家もありますし」
日本にというのです。
「家族で暮らしていますし」
「国籍もですね」
「日本になりましたので」
だからだというのです。
「ですから」
「それで、ですね」
「はい」
まさにというのです。
「死ぬまでです」
「日本で暮らされますね」
「イギリスに戻っても」
「あくまで一時で」
「お仕事が終われば日本に戻ります」
「本当によかったです」
日笠さんはミルクティーを飲みつつにこにことして頷きました。
「私も」
「そうですか。ただ」
「ただ?」
「はい、何かです」
先生は日笠さんに首を傾げさせつつ言いました。
「日笠さんは特別に」
「特別にですか」
「はい」
その様にというのです。
「思いました」
「そうですか」
「妙に。まさか私がイギリスに帰国して」
そうしてというのです。
「あちらで暮らすと思われましたか」
「実は」
日笠さんは正直に答えました。
「そうでした」
「それはないので」
先生も正直に言います。
「今お話した事情で」
「お仕事もお家も日本にあるので」
「家族も友人も。全ての基盤がです」
「生活のそれがですね」
「今ではです」
「日本にあるので」
「ですから」
それ故にというのです。
「もう他の国にはです」
「イギリスでもですね」
「行くことはありましても」
「住まれることはないですね」
「はい」
そうだというのです。
「私としては」
「そうなのですね」
「はい、そして」
それにというのです。
「日本が好きなので」
「この国が」
「すっかり魅了されました」
ミルクティーを飲みつつ言います。
「もうずっとです」
「日本で暮らされますね」
「そうします」
「それは何よりです。では」
「それではですね」
「これからもです」
まさにというのです。
「日本で暮らします」
「この神戸で」
「八条町で」
「では私も」
日笠さんは笑顔で言いました。
「ずっとです」
「日本で暮らされますか」
「そうします、私もお仕事もお家もです」
「日本にあって」
「日本も好きで」
それでというのです。
「ずっと暮らしていきます」
「そうですか」
「そして先生ともです」
「私ともですか」
「お会いしていいでしょうか」
「私でよければ」
先生は日笠さんに微笑んで答えました。
「宜しくお願いします」
「はい、それでは」
日笠さんは笑顔で応えました、そして上機嫌でご自身が働いている動物園に戻りました。先生はその日笠さんを見送りましたが。
しかしです、動物の皆は自分の席に笑顔で戻った先生に言いました。
「全く先生は」
「困ったものだよ」
「傍から見ていて呆れたわ」
「やっぱり先生だって」
「やれやれだよ」
「何がやれやれなのかな」
先生は皆に論文を書きつつきょとんとして応えました。
「一体」
「いや、だからね」
「先生以外はわかってることだから」
「日笠さんのことについて」
「皆ね」
「何をかな、日笠さんは友人で」
先生が思うにはです。
「それにね」
「それに?」
「それにっていうと?」
「私が日本にずっといることもね」
気付かないまま言う先生でした。
「事実だしね」
「そういうことじゃなくてね」
「僕達が言うのはね」
「先生鈍感過ぎるから」
「こうしたことについて」
「どうもね」
「何が鈍感なのかな」
先生は首を傾げさせてしまいました。
「一体」
「あの、先生あることについて思い込みが強過ぎるから」
トートーが咎める顔で言ってきました。
「本当にね」
「自分はもてないってね」
ジップもそうしたお顔で言います。
「思い込み過ぎだよ」
「恋愛に縁がないって」
「自分がね」
オシツオサレツも二つの頭で言います。
「それも全く」
「そうだってね」
「太ってるとかもてるお顔じゃないとか」
「そう思い込んで」
チープサイドの家族の声も咎める感じです。
「もうね」
「恋愛に無縁って言って」
「恋愛のことを学んでいても」
それでもと言うポリネシアでした。
「そこで終わりだからね」
「自分のこととは考えないで」
ダブダブも怒っています。
「それで言うんだから」
「全く、先生はね」
チーチーも今は厳しい口調と表情です。
「そこが困るんだよ」
「もっと見たらいいのに」
ホワイティが思うにです。
「日笠さんのことをね」
「そうしたらわかるよ」
まさにとです、ガブガブは言いました。
「凄いことはね」
「先生は実はどうか」
真面目にです、老馬は指摘しました。
「よく見たらいいよ」
「よく見たらなんだ。しかし私はね」
先生が言うにはです。
「子供の頃からだよ」
「もてたことがない」
「一度も」
「運動は苦手で」
「家事もそうで」
「太っていて地味なお顔だし」
「もてないっていうんだよね」
先生に言います、それも皆で。
「全く、人は顔じゃないって」
「顔だけで判断したら駄目だってね」
「先生いつも言ってるのに」
「恋愛についても」
「けれど自分にはそう言うから」
「恋愛とは無縁だって」
「本当にもてたことがないんだよ」
先生の考えは変わりません。
「だから言うんだけれどね」
「お友達は多くても」
「そして僕達家族がいて」
「それでもね」
「こと恋愛には無縁だって」
「全く」
「そうだよ、私自身の経験で言っているから」
このことはというのです。
「本当にね」
「全く、こうなんだから」
「先生は思い込みが強過ぎるよ」
「こと恋愛については」
「どうもね」
皆もやれやれとなっています、ですが。
先生は結局この日も恋愛については考えが変わりませんでした、皆にとってはやれやれとなるばかりでした。
ですがその間も物事は動いていまして。
「正式にですか」
「決定しました」
理事長さんはお昼に先生を招いて理事長室で一緒にカレーライスを食べつつお話しました。
「先生が宜しければです」
「イギリスに行ってですね」
「はい」
そしてというのです。
「アドバイスをして頂ければとです」
「決まりましたか」
「やはりです」
理事長さんはさらに言いました。
「先生が一番よくご存知なので」
「私が造って管理していた場所だからですね」
「はい、ですから」
それ故にというのです。
「先生のアドバイスが頂ければ」
「移転しやすいので」
「ですから」
それが為にというのです。
「後は先生次第です」
「私でよければ」
これが先生の返事でした。
「お願いします」
「イギリスに行かれますか」
「そして」
そのうえでというのです。
「アドバイスさせてもらいます」
「そうしてくれますか」
「是非」
「ではお願いします」
理事長さんはそれならと応えました。
「移転は大学の講義が行われない時ですので」
「夏休みの間ですね」
「そうです」
まさにというのです。
「その時期になります」
「そうですか、では」
「安心していけますね」
「今回の夏休みの間は学会もないですし」
「先生は多くの学会に参加されていますが」
「しかしです」
それでもというのです。
「ないので」
「何も心配なくですね」
「イギリスに帰れます」
「先生のお国に」
「そうしてきます」
「それでは祖国もお楽しみ下さい」
「是非、しかし」
ここで先生はこうも言いました。
「理事長さんこのカレーは食堂のカレーですね」
「大学の」
「左様ですね」
「別に理事長でも」
それでもというのです。
「食べるものは変わりません」
「そうなのですね」
「普段は食堂で」
そちらでというのです。
「当学園には多くの食堂がありますが」
「そのうちの一つに入られて」
「食事を摂っています」
「そうなのですね」
「八条グループは学園に限らず」
「企業の方もですね」
「経営陣も社員の人達と同じ食堂で食べます」
そうしているというのです。
「無論外で食べる時もありますが」
「それでもですね」
「基本はそうです」
「食堂で、ですか」
「左様です。そして八条学園の食堂は」
「何処も美味しいですね」
「有り難いことに。寮の食事もです」
そちらもというのです。
「美味しいので」
「いいことですね」
「食事はです」
「やはり美味しいのが一番ですね」
「そうですね」
「いや、イギリスですと」
先生はカレーを食べつつ笑ってお話しました。
「大学の食事は無料であることはいいことですが」
「それでもですね」
「味については」
「よく言われていますね」
「期待してはいけません」
そうだというのです。
「驚く位にです」
「左様ですね」
「実は日本の作家さんで」
先生はさらにお話しました。
「何かとイギリスを持ち上げ日本を貶める」
「そんな人がいますか」
「それで大学の食事のこともです」
「無料だとですね」
「それで日本は駄目だと」
その様にというのです。
「言っていたのですが」
「それはですね」
「大きな間違いです」
このことはきっぱりと言いました。
「その人は明らかにイギリスのことも日本のこともです」
「知らないというのですね」
「それも全く」
そうだというのです。
「そのことがよくわかりました」
「その作家さんの発言を聞いて」
「文章も。博物館の入舘が無料であることも」
「理由があり問題もですね」
「あります、運営が大変です」
そうだというのです。
「大学の食事もそうで」
「無料ならですね」
「そのお金はどう工面するか」
「そこが問題ですね」
「そうです、ですからメニューや味は」
そうしたものはといいますと。
「言われている通りです」
「そうなりますね」
「そうしたことを知らないで」
「イギリスを持ち上げることは」
「そしてそこから日本を貶めることは」
そうしたことはというのです。
「全く以て浅はかな」
「そうしたことですね」
「見ていてです」
先生は雲ったお顔で言いました。
「この人は何も知らないことがわかりました」
「イギリスのことも日本のことも」
「はい」
そうだというのです。
「それも全く」
「先生ならおわかりのことですね」
「そうです、イギリスにも問題はあり」
「日本にいい部分もある」
「どちらがいいとは言えません」
先生は断言しました。
「確かにイギリスの料理はよく言われますが」
「それでもですね」
「私はイギリスも愛しています」
「日本も愛していて」
「どちらの国もです」
まさにというのです。
「愛しています」
「左様ですね」
「はい、ですから戻ることが」
イギリスにというのです。
「楽しみです」
「左様ですか」
「心から。実は今回の決定を待っていました」
「イギリスに行かれることを」
「そうです、ですから」
「是非ですね」
「イギリスに戻ります」
そうするというのです。
「喜んで」
「そうされますね」
「夏休みに」
先生はカレーを食べつつ笑顔で答えました、そしてです。
理事長さんとさらにお話しました、その後研究室で待っていた皆にお話しますと皆も大喜びでした。
「やったね」
「イギリスに行くんだね、僕達も」
「先生と一緒に」
「懐かしいパドルビーに行って」
「動物園とかも観るんだね」
「そうなるよ、私だけじゃなくてね」
先生は皆にお話します。
「皆も一緒だよ」
「そうだね」
「それじゃあね」
「一緒にイギリスに帰ろう」
「そうしましょう」
「さて、久し振りのイギリスだけれど」
さらに言う先生でした。
「果たしてどうなっているかな」
「ニュースでは聞くけれど」
「けれどこの目で見るとどうか」
「楽しみよね」
「本当に」
「全くだよ」
笑顔で言います。
「果たしてね」
「流石にロンドン塔は変わらないし」
「ロンドン橋だってね」
「二階建てのバスもあって」
「赤い軍服の衛兵さんもいるね」
「そうだけれど」
それでもというのです。
「やっぱりね」
「何かと変わってるね」
「僕達も日本に来て長いし」
「それじゃあね」
「楽しみにしていよう」
「是非ね」
笑顔で言う先生でした、そして皆にお昼のことを聞きますと。
「僕達も食べたよ」
「サンドイッチと牛乳をね」
「先生が食べる様に言って置いていってくれたね」
「それを食べたよ」
「ならいいよ、私はカレーを食べたけれどね」
理事長さんとです。
「皆も食べたら何よりだよ。ただサンドイッチもいいよね」
「先生好きだよね」
「サンドイッチもね」
「勿論カレーも好きだけれど」
「そちらもね」
「食べやすくて美味しいからね」
サンドイッチはというのです。
「だからだよ」
「そうだよね」
「それでサンドイッチ好きだよね」
「結構食べるよね」
「日本に来ても」
「うん、しかし日本はね」
今自分達が暮らしている国はというのです。
「サンドイッチも美味しいね」
「そうなんだよね」
「パンの生地がよくて」
「挟むものも質がよくて」
「それでね」
「色々な種類があって」
サンドイッチにというのです。
「カツサンドとかツナサンドもね」
「そうそう、美味しいよ」
「どっちも日本独自だけれどね」
「他の国にはないんだよね」
「それで物凄く美味しいよね」
「ツナサンドなんてね」
先生は特にこのサンドイッチのお話をしました。
「よく考えたよ」
「全くだね」
「食べてみてびっくりしたよ」
「こんなサンドイッチあるんだって」
「滅茶苦茶美味しいって」
「そうしたものを生み出すのが」
それがというのです。
「本当にね」
「日本だね」
「サンドイッチも美味しいよ」
「さっき私達も満喫したし」
「よかったよ」
「しかし本場はというと」
サンドイッチのというのです。
「やっぱりね」
「そう、イギリス」
「先生の祖国だよ」
「ブリッジ好きのサンドイッチ伯爵が考えだした」
「ブリッジをしながら食べられるものよ」
「実に素敵な食べものだよ」
先生はミルクティーを飲みつつ言いました。
「サンドイッチはね」
「そのサンドイッチを生み出したからね」
「イギリスも実は捨てたものじゃないわ」
「美味しいものを生み出せるんだ」
「料理の才能は備わっているよ」
「ちゃんとね」
「そうだよ、そのサンドイッチもね」
この食べものもというのです。
「イギリスで食べようね」
「是非ね」
「ティーセットもモーニングも」
「カレーもだけれど」
「フィッシュアンドチップスやローストビーフも」
そうお話してでした。
皆はイギリス行きのことをさらにお話しました、夏休みに行くことはもう既に決まっていることでした。
そしてです、先生はトミーと王子、マグ氏夫妻にもお話しますが。
トミーはそのお話を聞いてです、笑顔で言いました。
「よかったですね」
「うん、そうなると思ったけれどね」
お家で笑顔でお話します。
「決まってよかったよ」
「正式に」
「それでその時が来たら」
「飛行機で行かれますね」
「イギリスにね、そしてね」
そのうえでというのです。
「移転のアドバイスをさせてもらうよ」
「パドルビーで」
「懐かしいあの街でね」
「いや、あっしもですよ」
マグ氏も笑顔で言います。
「あの街が懐かしいですよ」
「今ではだね」
「ええ、この神戸よりずっと静かですけれどね」
「大阪と比べるとね」
「ははは、あそこはまた特別ですね」
「賑やかでお笑いも盛んなね」
そうしたと言う先生でした。
「また違うね」
「そうした街ですよね」
「パドルビーはずっと静かだよ」
先生は微笑んでお話しました。
「神戸特に大阪と比べたら」
「ですがそれがいいんですよね」
「のどかでね」
「大阪って忙しいですからね」
「ははは、神戸だってね」
「日本全体がそうですよね」
「日本人が考える最大の美徳はね」
それはといいますと。
「勤労、勤勉だからね」
「何といいましても」
「だからね」
そうであるからだというのです。
「本当にね」
「休まないですね」
「のどかな場所があっても」
「世界的には違いますからね」
「うん、兎に角動く人達だよ」
日本人はというのです。
「働いているか学んでいるか」
「遊んでいるかで」
「兎に角休むことは少ないね」
「休日でもです」
そうした日でもというのです。
「何かしてますからね」
「何もしないということは少ないね」
「ですよね」
「それでね」
そうであるからだというのです。
「のどかといっても」
「他の国とは違いますね」
「何もしないということが少ないから」
日本人はというのです。
「パドルビーに戻ったら」
「そののどかさも楽しめますね」
「そうなるよ」
笑顔で言うのでした。
「その時はね」
「そうだね」
「うん、アフリカだとね」
王子は自分の国のことを思い出しつつお話しました。
「こんないつも何かしている人達少ないから」
「そうだね」
「日本人が休むのは」
その時はといいますと。
「もうね」
「寝る時だね」
「そうした時でね」
それでというのです。
「電車の中でもね」
「ああ、皆スマホ見たり本読んだりね」
「何かしているね」
「そうなんだよね」
「休むことがね」
それがというのです。
「兎に角少ない国だよ、電車の中で寝る人はいるけれどね」
「実は少ないね」
「イギリス人以上にね」
「働く人達で」
それでというのです。
「休まないよ」
「イギリスではのどかさも楽しむよ、そして」
「そして?」
「しかし」
それでもとです、王子は言いました。
「先生も段々ね」
「私もかな」
「休まない時が多くなっているね」
「そういえばそうだね」
先生も言われて気付きました。
「私もね」
「そうだよね」
「いつも論文を書いて資料を読んで」
「学会に出て発表してね」
「そうした風になっているよ」
「先生イギリスにいた時よく徹夜で色々していたね」
そうだったというのです。
「あの時も」
「うん、しかしね」
「今はだね」
「あの時よりもだね」
「毎日しっかり寝ているけれど」
それでもというのです。
「今はイギリスにいた時よりもね」
「働いているね」
「トータルで見るとね」
「僕もだしね」
王子にしてもというのです。
「これがね」
「学ぶことが多いね」
「日本にいて学ぶことは多いよ」
「とてもだね」
「イギリスにいた時も学問に励んでいたけれど」
王子はその頃のことを思い出しつつ言いました。
「今はね」
「よりだね」
「学んでいるよ」
「そして私も」
「というか先生毎日朝から晩まで学問に励んでいるよ」
ホワイティははっきりと指摘しました。
「凄くね」
「そうそう、徹夜はしなくなっても」
ガブガブも言います。
「トータルで見ると働いている時間増えてるよ」
「休日だって本を読んでね」
「論文を書いているから」
オシツオサレツが見てもです。
「働いている時間増えて」
「忙しくなっているよ」
「何処かに行く時も増えてない?」
ジップも言います。
「パドルビーにいた時よりも」
「気付いたら」
チーチーはこう言いました。
「日本人並に働いているね」
「そうした意味でも日本人になったね」
「先生はね」
チープサイドの家族も思うことでした。
「いつも働く」
「そうした意味でもね」
「ティータイムでお茶を飲んでも」
トートーはこの時のことをお話しました。
「飲んで食べ終わったらすぐに働くしね」
「いや、もう休まなくなったわ」
ポリネシアは心から思いました。
「先生は」
「これで徹夜なんてしたら」
老馬は強い声で言いました。
「とんでもないことになるよ」
「過労で倒れるわよ」
ダブダブは厳しいお顔と声で言いました。
「本当にね」
「うん、私も徹夜をしなくなったのは」
どうしてかとです、先生ご自身も言います。
「身体に悪いからだよ」
「それもかなりね」
「物凄く悪いよね」
「負担が凄くて」
「少しでも寝ないとね」
「だからしなくなったんだ」
今はというのです。
「不眠不休でというのは。とはいっても」
「うん、トータルで見るとね」
「先生働いている時間増えたから」
「朝から夜まで」
「かなりね」
「教授にもなってね」
このこともあってというのです。
「色々な学会にも参加して」
「そして論文も書いて」
「発表していてね」
「パドルビーにいた時よりも」
「そうなったわね」
「本当に働いている時間が増えて」
トミーも言います。
「寝られた方がいいです」
「そうだね」
「昔は徹夜されても」
その時もというのです。
「お昼寝されていましたね」
「うん、そうしていたね」
先生も確かにと頷きます。
「寝ることは寝ていたよ」
「ですが今はお昼寝もされないですね」
「朝から晩まで学問に励んでいてね」
「ですから」
そうなっているからだというのです。
「夜はです」
「寝ることだね」
「そうしないと駄目です」
「だから夜は絶対に寝ているよ」
先生は確かな声で答えました。
「毎日ね」
「しっかりと寝ておられますね」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「あらためてね」
「次の日も働いておられますね」
「そうしているよ、若しね」
「若し?」
「三日三晩徹夜をしたら」
その時はといいますと。
「後が大変だよ」
「物凄く疲れますね」
「寿命にも関わるよ」
そこまでのことだというのです。
「冗談抜きでね」
「徹夜自体がそうで」
「それが三日にもなると」
「相当なことですね」
「日本の昔の漫画家さんはそんなことをして」
そうしてというのです。
「若くしてという人が多かったんだ」
「手塚治虫さんもですね」
「今六十かその辺りで亡くなると」
そうであると、というのです。
「若くしてだね」
「そう言えますね」
「手塚さんも石ノ森章太郎さんもでね」
「藤子不二雄さんもでしたね」
「Fさんはそうだったね、そんな無茶を続けていたら」
そうして描いていると、というのです。
「若くしても当然だよ」
「そうですね」
「小説家でも織田作さんは」
織田作之助さんのお話もします。
「生前はね」
「ああ、何か相当書いていたね」
王子が応えました。
「死ぬ直前は」
「結核で死にそうでもね」
「ずっと書いていて」
「徹夜もね」
「ざらだったね」
「そう、そして」
そうであってというのです。
「ヒロポン、覚醒剤を打って」
「書いていたね」
「このことは事実で」
織田作さんがヒロポンを使っていたことはというのです。
「それで死にそうな身体を無理に起こして」
「徹夜もしていたんだね」
「もうこうなるとね」
「無茶苦茶だね」
「私だったら止めるよ」
先生はお医者さんとして言いました。
「絶対にね」
「先生はお医者さんだからね」
「うん、絶対にね」
それこそというのです。
「何があってもね」
「止めるね」
「今は結核は助かるし」
「入院してもらうね」
「そこでじっくりと療養してもらうよ」
「結核を治すね」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「書いてもらうけれど」
「徹夜なんてだね」
「絶対に勧めないし」
そうであってというのです。
「ヒロポン、覚醒剤なんてね」
「絶対に勧めないですね」
「昔はイギリスも阿片やコカインが法律で禁じられていなくて」
「ホームズさんもでしたね」
王子と一緒にいる執事さんが言ってきました。
「そうでしたね」
「コカインをしていましたね」
「はい、それが問題でした」
「そうでありましたが」
「本来はですね」
「使ってはいけないものです」
先生は真顔で言いました。
「コカインも」
「そうですね」
「確か覚醒剤は」
マグ氏の奥さんも言いました。
「私も聞いています」
「やはり麻薬の中でも」
執事はさらに言いました。
「特にですね」
「とんでもない麻薬です」
「阿片やコカインよりも」
「恐ろしい勢いで身体を蝕みます」
「身体を奮い立たせて」
「そして中毒にも陥れば」
その時はといいますと。
「身体も心も破滅します」
「そうしたものですね」
「ですから」
それ故にというのです。
「絶対にです」
「手を出しては駄目ですね」
「一度もです」
それこそというのです。
「しては駄目です」
「そうしたものですね」
「織田作さんの頃は合法で」
「その人も使っていましたね」
「はい、ですが」
それでもというのです。
「結核で死にそうな人を徹夜までさせるのですから」
「とんでもないものですね」
「身体のエネルギーを無理に引き出すのです」
覚醒剤はというのです。
「ですから」
「どれだけ危険なものか」
「それだけで一目瞭然ですから」
「使うものではないですね」
「織田作さんはもうそうまでして書くしかなかったので」
先生は言いました。
「結核で死にそうで」
「もう後がなかったんですね」
「ですから」
そうした状況だったからだというのです。
「使いました」
「もう後がないので」
「実際にです」
「織田作さんは間もなくでしたね」
「ヒロポンを使いだして」
そうしてというのです。
「亡くなりました」
「もう残り僅かな状況で」
「麻薬は絶対に使っては駄目です」
「身体にも心にも悪いので」
「法律で禁止されています」
今はというのです。
「そしてそれはです」
「当然だよね」
「今思うとね」
「昔がルーズだったね」
「どうも」
動物の皆も言います。
「阿片もコカインもそうで」
「覚醒剤だってね」
「禁止も当然だよ」
「本当に」
「うん、私は煙草も止めたよ」
先生もです。
「健康のことを考えてね」
「そうだよね」
「先生煙草吸わなくなったね」
「昔は吸っていたけれど」
「パイプを持っていて」
「それでね」
「それも止めたよ、止めたらね」
煙草をというのです。
「その分健康になったしね」
「お金も使わなくなったね」
「煙草もお金かかるしね」
「しかも最近買いにくいし」
「特に煙草の葉はね」
動物の皆も言います。
「パイプに入れるにしても」
「葉巻だってそうだし」
「箱に入っている煙草だってだしね」
「随分買いにくくなったよ」
「そのこともあるしね、もうね」
それこそというのです。
「煙草を手軽に買える時代じゃなくなったよ」
「全くだね」
「自動販売機も減ったしね」
「お店で買うにも手間がかかる様になって」
「買いにくくなったよ」
「止めて悪いことはないね」
そうしたことを考えてもというのです。
「煙草はね」
「そうだね」
「別に吸わなくても死なないし」
「というか吸ったら身体に悪いし」
「吸わなくてもいいね」
「そうだよ、もう吸わないよ」
先生はきっぱりと言いました。
「そうするとご飯も美味しくなったしね」
「煙草って味覚にも影響するしね」
「お口で吸うから」
「そのこともあるし」
「尚更だね」
「吸わないならそれでいいよ」
こう言ってでした。
先生は皆と他にも色々とお話をしていきます、そしてその中にイギリスのこともかなりあったのでした。