『ドリトル先生と日本に来た仲間達』
第二幕 施設の移転
皆とお寿司を食べながら楽しい時間を過ごした翌日です、先生は大学に出勤しました。そのうえで午前は講義を行い。
それからはまた論文を書いています、今回は月についての論文ですが。
「先生は見たっていうのに」
「そして書き残していてね」
「ちゃんと資料も持って来たのに」
「信じない人いるわね」
「先生が月に行ったことすら」
「うん、事実であってもね」
先生は論文を書きつつ眉を曇らせて動物の皆に応えました。
「信じない人がいるね」
「月に生きものがいて」
「巨人だっていることを」
「植物だって生えている」
「そうしたこともね」
「一切信じない人がいるね」
そうだというのです。
「これがね」
「残念だよね」
「先生にとっては」
「どうにも」
「うん、私は真実を語っているよ」
間違いなくというのです。
「見て来て持って帰ったものをね」
「僕達の中でも一緒に行った面子がいるし」
「ちゃんと証言出来るわ」
「先生が月に行ったことを」
「そして月がどんな星だったのか」
「例え月に行ってもね」
そうであってもというのです。
「到着しただけだとね」
「わからないよね」
「そして宇宙から見ても」
「それだけだとね」
「わからないわよね」
「わかる筈がないよ」
到底というのです。
「月全体をね」
「実際に月に降り立って」
「じっくり見て回らないとね」
「わからないよね」
「そうだよ、ましてや月は広いよ」
そうした星だというのです。
「だったらね」
「尚更だよね」
「降り立った場所だけ見ても」
「そして宇宙から見ただけだと」
「わからないね」
「宇宙から見て降り立って歩き回って観て回ることもする」
どちらもというのです。
「そうしてこそだよ」
「わかるからね」
「どんな場所だってそうだし」
「ひいては月だって」
「そうじゃないとよくわからないわ」
「逆にね」
「挙句私が月に行ったことは嘘だなんて」
また眉を曇らせて言う先生でした。
「その時点で否定するからね」
「間違いだよ」
「そのことは」
「本当にね」
「先生の言うことを信じないなんて」
「先生は嘘は言わないのに」
「学問は嘘を吐いてはいけないよ」
絶対にというのです。
「真面目に学んでね」
「そしてだよね」
「真実に辿り着く」
「そうしたものでないとね」
「学問は駄目だね」
「そうだよ、学問で嘘を吐いたら」
そうすればというのです。
「大変なことになるよ」
「全くだね」
「時としてあるからね」
「それで大きな間違いを犯したこともあるし」
「人類の歴史で」
「人間だから間違えることはあるよ」
学問においてもというのです。
「残念ながらね」
「そうそう、時代によって定説も変わるね」
「どの学問も」
「歴史だって調べると真実は違った」
「そんなことはざらだし」
「ネロは暴君と言われていたけれど」
ローマの皇帝だったこの人はです。
「実は違ったしね」
「そう、調べるとね」
「実は民衆のこと、帝国全体のことを考えてね」
「ちゃんと政治して芸術も好きで」
「節度も弁えていてね」
「短気で政策や行動にムラがあっても」
そうしたところがあってもというのです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「ちゃんと政治をしていて」
「ローマを乱さなかった」
「奴隷の人達にも寛容で」
「色々平民の人達の為の政策も行っていたわね」
「そうしたこともわこあったし」
歴史の学問を行っていてというのです。
「だからね」
「それでだよね」
「学問は間違えることはあっても」
「それでもだね」
「学んでいくと真実がわかる」
「そうなっていくね」
「そうだよ、学問は間違えることはあっても」
人間が行うことだからです。
「真実に辿り着くものでもあるから」
「嘘を吐いてはいけない」
「絶対に」
「そうでもあるね」
「そうだよ、そこはね」
まさにというのです。
「絶対と言ってもよくてね」
「それでだね」
「先生も嘘を吐いていないね」
「絶対に」
「学問においても」
「他のことでもね」
学問でなくともというのです。
「そうしているし」
「その先生が嘘を吐くなんて」
「酷いことを言うわ」
「証拠も持ってきているのに」
「資料館にもあるのに」
「月の植物だって細工したとかね」
その様にというのです。
「言えるしね」
「言おうと思ったら何とでも言えるよね」
チーチーは残念そうに述べました。
「どんなことでも」
「違うとも言えるし」
「言いがかりも言えるしね」
オシツオサレツの二つの頭も残念そうなお顔を見せています。
「嘘だってそうだし」
「本当に何でも言えるね」
「否定って楽なのよ」
ダブダブは怒って言いました。
「違うって言えばいいだけだからね」
「最悪あれだよ」
トートーもどうかというお顔です。
「否定の為にこじつけてもいいしね」
「月の植物だって地球のものだとか言えるね」
ホワイティも言います。
「DNAとかの検査しても嘘とか」
「認めないとなったら認めない」
「意地でもね」
チープサイドの家族も言います。
「先生がちゃんと証拠を出しても」
「月のどの部分にどんな生きものがいたかとか書いてもね」
「事実かどうか調べるのはいいことでも」
それでもと言うガブガブでした。
「意固地に否定するの駄目だよ」
「全くそれをわかっていないで」
ポリネシアも怒っているのがわかります。
「否定ばかりするのって学問じゃないわよ」
「学問は否定するものじゃないよ」
老馬も思うことです。
「事実かどうか調べていくものだよ」
「真実に至るのに最初から否定したら」
どうかとです、ジップは言いました。
「辿り着けないよ」
「全くだね」
先生は皆の言葉に頷きました、そうしたお話をしてです。
月について自分で見てきたものを書いていきます、それはかなり緻密なもので先生も力を入れています。
その中で、です。研究室に先生に内線がありましたが。
「理事長さんからだよ」
「学園の?」
「八条家の」
「あの方からなの」
「理事長室に来て欲しいっていうんだ」
皆に電話の後でお話します。
「今からね」
「何かな」
「理事長さん直々になんて」
「相当なことだよね」
「それって」
「うん、この学園全体の最高責任者だから」
それでというのです。
「保育捲から大学院、そしてね」
「動物園も水族館も博物館も」
「美術館や植物園、鉄道博物館も大図書館も」
「全部理事長さんが最高責任者だから」
「相当なことだね」
「この学園は世界でも屈指の巨大さで」
八条学園はというのです。
「学園都市とも言われるけれど」
「その市長さんだって思うと」
「本当に凄い人よ」
「その理事長さんから直々にって」
「何かしら」
「気になるわね」
「それは行ってみてわかるよ、ただ」
先生は何かと思う皆にお話しました。
「悪いことをした覚えはないよ」
「うん、ないよ」
「先生が悪いことするとか」
「ちょっとないから」
「有り得ないからね」
「僕達も言えるよ」
皆は先生に言いました。
「悪いことじゃないって」
「先生悪いことしていないし」
「どんな悪いこともね」
「犯罪なんて無縁だから」
「セクハラとかパワハラとかモラハラとも」
「私自身そう思うし悪いことじゃないと思うから」
だからだというのです。
「そこは安心してね」
「それでだね」
「そのうえで行くね」
「理事長さんのところに」
「そうしてくるよ」
こう皆に言ってでした。
先生は理事長さんのいる学園の中でも特に立派な建物赤煉瓦の十九世紀イギリスを思わせる建物の中に入ってです。
皆と一緒に赤い絨毯の木造の中を歩いて進んで、でした。理事長室のまで皆と別れてノックの後どうぞと言われて入りますと。
背が高くてすらりとしたスーツがとても似合うアジア系のとても整ったお顔立ちの男性である理事長さんにです、挨拶を交えた後でお部屋のソファーに座って下さいと言われ座ると理事長さんは向かい側に座りまして。
そうしてです、理事長さんは先生に言いました。
「パドルビーの動物園等先生の施設ですが」
「グループで保管してくれていますね」
「はい、ですが今度です」
理事長さんは先生に言いました。
「施設を全部こちらに移転しようとお話が出ています」
「日本にですか」
「はい、兵庫県に」
「この県にですか」
「左様です、丁度いい場所がありまして」
兵庫県にというのです。
「それで、です」
「移転ですか」
「先生の旧宅はそのままで」
それでというのです。
「資料館として利用しますが」
「動物園等はですか」
「馬の老人ホーム、犬や鼠のお家等もです」
「日本に移転しますか」
「この学園から程近い。先生の施設なので」
それでというのです。
「先生のお傍にあればいいと思いまして」
「移転してくれますか」
「はい、今はまだお話をしている段階で」
「決定していませんか」
「そうすると決定しましたら」
その時はというのです。
「学園としてもです」
「バックアップしてくれるのですね」
「左様です、今はグループの学術や慈善事業の分野で」
「お話してくれていますか」
「はい、ですが」
それでもというのです。
「おそらくそうなるかと」
「日本に移転ですね」
「そうなります、そして」
理事長さんはさらにお話しました。
「日本に移転しますと」
「私もですね」
「兵庫県しかも神戸市です」
「学園そして私のお家がある」
「そちらか近くにです」
「置いてくれるんですね」
「ですから」
そうであるからだというのです。
「先生は何時でもです」
「動物園等に行けますね」
「そうなります、先生はそれで宜しいでしょうか」
「そうなれば嬉しい限りです」
先生は理事長さんに明るい笑顔で答えました。
「全く以て」
「左様ですね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「決定して移転しましたら」
「宜しくお願いします」
「それでは。思えば日本に来まして」
先生はイギリスでの日々を思い出しつつ理事長さんにお話しました。
「随分経ちますが動物園等にです」
「行かれたことはないですね」
「残念ながら。旧宅にもです」
「そうですね、ですが」
「動物園等がですね」
「こちらに移転しまして旧宅は」
そちらはといいますと。
「これまで通りです」
「資料館として用いてくれますか」
「そうしていきます」
「そうなのですね」
「それで決定しましたら一度移転の際のアドバイスをです」
「それをですね」
「して頂きたいので」
それでというのです。
「あちらに行って頂けますか」
「パドルビーにですね」
「飛行機で」
「わかりました、日本に来た時は船でしたが」
「飛行機がお嫌いで」
「あの時だけはそうでして」
それでというのです。
「飛行機ではなかったです」
「左様ですね」
「ですが今は大丈夫です」
「特別に動物も一緒にいられる機を用意しますので」
「それに乗ってですか」
「一緒にです」
家族である彼等と、というのです。
「イギリスに行かれて下さい」
「パドルビーに」
「はい」
まさにと言うのです。
「心地よく」
「それでは」
「はい、そして」
それにというのです。
「あちらで何かとアドバイスをお願いします」
「その時は。何かです」
先生は理事長さんに自然と穏やかな笑顔でお話しました。
「久し振りにイギリスにとなりますと」
「嬉しいですか」
「生まれ育った国なので」
「だからですね」
「確かに今は国籍は日本でして」
「日本がお好きですね」
「心から愛しています、ですが」
それでもというのです。
「生まれ育った国であることは事実なので」
「特別ですね」
「はい、ですから」
「帰られるとなりますと」
「嬉しくて仕方がありません」
「そうですね、ではです」
理事長さんは笑顔でお話する先生にこの人も笑顔になって言いました。
「その時が来ましたら」
「喜んで、ですね」
「帰国されて下さい」
「故郷である国に」
「そしてです」
そのうえでというのです。
「久方ぶりの祖国をです」
「満喫すればいいですね」
「はい」
まさにというのです。
「そうされて下さい」
「それでは」
「きっとです」
理事長さんはこうも言いました。
「いい帰国になります」
「思えば随分とです」
先生は日本に来てからのことを振り返りつつお話しました。
「日本に来て時間が経っています」
「そしてその間ですね」
「一度もです」
「イギリスに帰られていなかったですね」
「そうでした、情報はいつも見て聞いていましたが」
それでもというのです。
「しかしです」
「それでもですね」
「帰国したことはなかったので」
「その時が来れば」
「帰国して観てみたいです」
「その時が来ることをご期待下さい」
理事長さんはこの言葉も笑顔で出しました、そしてです。
先生は理事長さんとのお話を終えて皆のところに戻りました、まずは皆に詳しいお話は研究室でとお話しまして実際にそちらに戻りました。
そのうえで紅茶を飲みながらお話しましたが皆そのお話を聞いて驚きました。
「へえ、動物園とかパドルビーの先生の施設がなんだ」
「こっちに移転するのね」
「日本しかも兵庫県に」
「学園や先生のお家の近くに」
「そうなるんだ、そして」
そうであってというのです。
「若し移転したら私も積極的に関わって」
「移転が決定したら」
「どう移転すべきかのアドバイスでだね」
「先生があちらに行くんだ」
「イギリスに」
「そうだよ、パドルビーにね」
かつて皆と一緒に暮らしていた街にというのです。
「帰るよ」
「その時は私達も一緒なのね」
「楽しみだよ」
「とてもね」
「そうなったら」
「うん、皆もね」
まさにというのです。
「一緒だよ」
「いや、ずっと日本にいて」
「そして楽しいけれど」
「祖国に行くとなると」
「楽しみだよ」
「全くだね」
先生は皆に笑顔でお話しました。
「若しそうなれば」
「イギリス、懐かしいね」
「今思うと」
「もうずっと帰っていなくて」
「僕達もすっかり日本に馴染んだけれど」
「それでもね」
「今では頭の中で思考に使う言語も日本語がメインになって」
そうなりというのです。
「考え方もね」
「日本的になってきたね」
「どうも」
「僕達だってね」
「日本に長い間いて」
「日本に親しんで」
「そうなってね、食べものや飲みものだって」
先生はほうじ茶を飲みつつ言いました、今飲んでいるお茶はそちらのお茶で先生も皆も大好きです。
「日本のものになって」
「そしてね」
「楽しんでいるし」
「周りも日本のもので」
「日本を満喫しているけれど」
「それでもだね」
先生は皆に言いました。
「イギリスはまた別だね」
「祖国だからね」
「僕達の」
「生まれ育った」
「そうした国だから」
「中にはアフリカ生まれもいるけれど」
それでもとです、皆も言います。
「やっぱり祖国だよ」
「イギリスは私達にとって」
「本当に特別の国で」
「別格だよ」
「そのイギリスに帰るのなら」
それならとです、先生は言いました。
「嬉しいね」
「パドルビーどうなっているかな」
「一体」
「イギリスだってね」
「僕達がいた頃と比べて」
「そのことも見たいね、イギリスの紅茶も」
そちらもというのです。
「飲んでみたいね」
「うん、イギリスの紅茶も飲んでいないね」
「日本に来てから」
「日本の紅茶を飲んでるけれど」
「ミルクティーにしても」
「お水が違うから」
イギリスと日本ではです。
「また違うからね」
「同じミルクティーでもね」
「確かに日本の紅茶は美味しいよ」
「物凄くね」
「けれどね」
「それでもだよね」
「ずっとイギリスの紅茶を飲んできたからね」
日本に入るまではとです、先生は実際にイギリスの紅茶を思い出しながらそのうえで皆とお話をしました。
「懐かしいよね」
「あの味と飲み心地が」
「全くだね」
「懐かしいわ」
「あちらも美味しかったね」
「そうだったね、だからね」
それでというのです。
「イギリスに戻ったらまずは」
「紅茶飲みましょう」
「ミルクティーを」
「そしてティーセットを食べよう」
「そうしよう」
「是非ね」
こうお話します、そしてでした。
皆とイギリスにいた頃を懐かしんで何かとお話をしました、そしてお家に帰るとトミー達にもお話をしました。するとです。
「イギリス、懐かしいですね」
「全くだね」
トミーも王子も言います。
「あの頃も楽しかったし」
「いい思い出が一杯あります」
「あっし等はこの前までしましたが」
マグ氏も言います。
「今思うと懐かしいですね」
「全くよね、日本は確かにいい国だけれど」
マグ氏の奥さんも言います。
「私達にとってイギリスは祖国だし」
「また別格だよな」
「何と言っても」
「こっちは料理が美味いけれどな」
「イギリスのお料理も懐かしいわ」
「ははは、ダブダブが作ってくれたお料理は美味しくても」
先生はそれでもと言いました。
「イギリス料理は評判が悪いからね」
「それも世界的にでさあ」
マグ氏は先生に笑って応えました。
「まずいって」
「そうだね」
「それこそ昔から」
「美味しいっていう人は少ないよ」
「どうしても」
「けれどね」
それでもと言う先生でした。
「帰ったらね」
「その時はですね」
「食べてみるよ」
本場のイギリス料理をというのです。
「そうするよ」
「そうですか」
「フィッシュアンドチップスや鰻のゼリーも」
そうしたものもというのです。
「食べてみるよ」
「ああいうのもですね」
「そうしてくるよ」
「そうされますか」
「うん、ただイギリスも最近はね」
「美味くなっていますか」
「インド料理や中華料理、ハンバーガーが入ってね」
そうしてというのです。
「かなりよくなってるよ」
「あの、先生」
王子はそうしたお料理がと聞いて先生に突っ込みを入れました。
「全部イギリス料理じゃないよ」
「そうだけれどね」
先生も否定しません。
「美味しいものは食べられる様になっているよ」
「そういうことなんだ」
「かなりアレンジされているけれど」
かなりオブラートに包んで言いました。
「日本料理も入っているしね」
「お寿司にしてもだね、この前お話したね」
「そのお寿司を食べている時にね」
「かなりアレンジされていてもだね」
「入ってきていることは事実だから」
それでというのです。
「よくなっているよ」
「そうだね」
「だからね」
それでというのです。
「よくはなっているよ」
「昔よりはだね」
「特にインド料理が定着して」
そうなってというのです。
「カレーをね」
「やたら食べるね」
「そうなっているよ」
「僕達がいた頃よりもだね」
「そうなっているみたいだよ」
王子にお話します。
「これが」
「カレーは普通に美味しいですからね」
トミーも言います。
「スパイスを沢山使っていて」
「そう、だからね」
それでというのです。
「よく食べるそうだよ」
「ではイギリスに帰られたら」
「カレーもだよ」
「召し上がられますね」
「多分ね、ただ日本のカレーとは違うね」
「日本のカレーはまた違うよ」
チーチーが言ってきました。
「物凄いことになっているからね」
「何か一つの世界になっているよね」
ホワイティはそう見ています。
「カレーだけで」
「物凄い種類があるからね」
「一口にカレーと言っても」
チープサイドの家族もお話します。
「食材も多くて」
「甘口とか辛口とか中辛もあって」
「カツカレーなんてのもあるし」
ダブダブはこのカレーを出しました。
「凄いことになっているわよ」
「その店オリジナルのカレーもあるしね」
ガブガブも言います。
「色々とね」
「もう一つの世界になっているよ」
トートーはホワイティの言う通りだと言いました。
「本当に」
「そんな異次元みたいなことになっているから」
「日本のカレーは別だよ」
オシツオサレツも二つの頭で言います。
「ラーメンもそうだけど」
「日本人って好きなものはそんなことにしてしまうからね」
「イギリスのカレーとも全く違っているよ」
老馬は断言しました。
「どう考えてもね」
「というかイギリスのカレーってビーフカレーだけかな」
ジップはこう考えました。
「やっぱり」
「日本だと色々なカレー食べられるけれどね」
ポリネシアはそれでもと言いました。
「イギリスは違うかもね」
「日本が異常なだけだから」
王子は皆に笑って応えました。
「あれだけ多くの種類があって世界にさえなっているのはね」
「全くだよね」
「日本はまた特別だね」
「そうだよね」
「日本のカレーが」
「僕この前シーフードカレーを食べたけれど」
王子はさらに言いました。
「海老や烏賊や白見魚や貝が入った」
「あっ、美味しそう」
「それもかなり」
「今度うちでも作ろう」
「そして皆で食べよう」
「そうしようね」
「まあイギリスにシーフードカレーはないね」
先生も言います。
「シーフードにあまり縁のない国だからね」
「いや、烏賊をこんなに食べるなんて」
マグ氏が笑って言ってきました。
「日本に来て驚きましたよ」
「そうだよね」
「蛸も食べるんですから」
「こちらでは特にたこ焼きにしてね」
「驚きですよ」
それこそというのです。
「本当に」
「日本は四方を海に囲まれているからね」
「海の幸をよく食べますね」
「それで烏賊も蛸も食べて」
「シーフードカレーもですね」
「よく食べるよ、スパゲティだってね」
このお料理もというのです。
「ペスカトーレとかボンゴレとかね」
「そうしたものを食べますね」
「イカ墨だってね」
「イタリアやスペインで使うって聞いていました」
マグ氏の奥さんも言ってきました。
「イカ墨は」
「そして日本でもだよ」
「食べますね」
「そう、そして」
それにというのです。
「普通にそうしたスパゲティを受け入れてだよ」
「食べますね」
「そうなんだ」
これがというのです。
「面白いことにね」
「本当に面白いですね」
「けれどイギリスだと」
「日本程食べなくて」
「それでね」
そうであってというのです。
「そうしたカレーもないよ」
「シーフードカレーは日本のカレーですね」
「そうだよ」
「そうなんですね」
「そして」
さらにです、先生はお話しました。
「カツカレーもないよ」
「先生あのカレーもお好きですね」
トミーが言ってきました。
「そうですね」
「うん、あのカレーもいいカレーだよ」
「カレーとカツの味が一つになった」
「凄くね」
実際にというのです。
「いいカレーだよ」
「そうですよね」
「けれどね」
それでもというのです。
「カツカレーもね」
「イギリスにはないですね」
「日本で生まれたカレーだからね」
「カレーとカツを両方食べようと思って生み出した」
「そうしたね」
まさにというのです。
「アイディアから生まれたからね」
「日本のプロ野球選手の」
「洋食が好きな千葉茂さんが考えて」
そうしてというのです。
「生み出したね」
「そうしたカレーでして」
「イギリスにあるか」
「日本料理のお店ではあるかも知れないですが」
「うん、けれど定着しているかというと」
イギリスにです。
「やっぱりね」
「そうではないですね」
「そうだよ」
「イギリスではそうですね」
「カツもカレーもあるけれど」
「カツカレーはないですね」
「やっぱりね」
先生はトミーに少し残念そうに笑って応えました。
「そうだよ」
「ではイギリスではですね」
「イギリスのカレーを食べよう」
「そのことを楽しむことですね」
「そうしようね、そういえば」
ここで王子はふと思い出した様に言いました。
「サラさんもよく日本に来てね」
「日本料理を楽しんでいるよ」
「カレーだってそうだね」
「この前に来た時は自由軒で食べたそうだよ」
「大阪の難波にあるお店だね」
「そう言っていたよ」
そうだったというのです。
「美味しかったってね」
「そうだったんだね」
「こんなカレーはないってね」
「イギリスではだね」
「そう言ってね」
それでというのです。
「また食べるって言ったいたよ」
「それは何よりだね」
「それにね」
さらに言いました。
「河豚もよかったってね」
「言ってたんだ」
「そうなんだ」
これがというのです。
「てっさやてっちりを食べてね」
「イギリスじゃ河豚はまず食べないね」
「けれどね」
それでもというのです。
「その河豚も食べて」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「楽しんだらしいよ」
「僕も河豚好きだよ」
「私もだよ、魚介類の中でもね」
「かなり美味しいね」
「そうだね」
「けれどイギリスだとね」
先生達の祖国ではというのです。
「河豚はまず食べないからね」
「うん、毒があることもあるし」
「そう、河豚は毒があるからね」
「そのことも問題になってね」
そうであってというのです。
「本当にね」
「河豚は食べないね」
「そうだよ、若し見ても」
イギリス人が河豚をです。
「食べようなんてね」
「思わないですね」
トミーが言ってきました。
「そうだね」
「私もイギリスにいた頃は日本では食べると聞いていても」
「食べなかったですね」
「そうだったよ」
実際にというのです。
「本当にね」
「そうでしたね」
「毒があることが」
何と言ってもというのです。
「最大の問題だとね」
「考えてましたね」
「けれど日本で食べて」
「とても美味しくて」
「大好きになったよ」
そうだったというのです。
「本当に」
「僕もです」
トミーもというのです。
「それこそ」
「そうだったね」
「僕も美味しいと思いまして」
「そう、じゃあ若しイギリスに行くことになったら」
「その時は」
「すぐに戻るけれどね」
日本にというのです。
「やっぱり名残惜しいし」
「河豚を食べてから行きますね」
「カレーもね」
「カツカレーですね」
「それを食べて」
そしてというのです。
「そのうえでね」
「行きますね」
「そうしよう」
こう言うのでした。
「本当にね」
「そうですね」
「そして」
そのうえでというのです。
「イギリスに行こう」
「僕達の祖国に」
「パドルビーにね」
「じゃあ明日はカツカレーにしましょう」
このカレーをというのです。
「晩ご飯は」
「そうしてくれるんだ」
「まだ行くと決まっていないですが」
それでもというのです。
「お話に出ましたし」
「それでだね」
「そして決まれば」
「河豚をだね」
「召し上がって下さい」
「そうさせてもらうね、大阪に行けば」
この街にというのです。
「もうね」
「大阪は河豚も名物ですからね」
「美味しいお店が多いよ」
「そうですよね」
「多くの人が食べてきたしね」
河豚をというのです。
「あの街でね」
「昔からですね」
「海がすぐ前にあるから」
大阪という街はです。
「だからね」
「それで、ですね」
「魚介類は豊富で」
「河豚もですね」
「蟹も食べるしね」
「ああ、大阪で蟹は」
マグ氏が笑顔で言ってきました。
「あっしも見ましたよ」
「道頓堀のだね」
「あのお店ですね」
「そう、かに道楽だよ」
「あの大きな動く看板ですね」
「大阪のシンボルの一つになっているね」
「はい、最初見た時はびっくりしましたよ」
先生に笑って応えます。
「こんなでかい動く看板があるんだって」
「全くだよね」
「あれは僕達も驚いたよ」
「最初先生と一緒に見た時はね」
「何これって」
「とんでもなく大きな蟹が動いているから」
動物の皆も言います。
「模型にしてもね」
「これはないってね」
「そう思って」
「それでだよ」
「こんなのがあるのかって」
マグ氏はさらに言いました。
「驚いたよ」
「あれは最初見たらそうなるよ」
「誰だって」
「動く巨大な蟹の模型なんて」
「他にないんじゃないかな」
「そうだよな、あと通天閣に行って」
そうもしてというのです。
「大阪の街も観て新世界で串カツも食って」
「あっ、わかってるしね」
「マグ氏もね」
「日本のお料理が」
「大阪の楽しみ方も」
「そうなってるね」
「いや、まだまだだよ」
マグ氏は皆に笑って言いました。
「あっしはな」
「日本に来て間もないから」
「それでかな」
「それでそう言うのかな」
「そうさ」
その通りだというのです。
「まだ殆ど知らないよ、日本語だってな」
「うん、今マグ氏英語で話してるし」
「皆と違って」
「先生達は日本語で話してるけれど」
「僕達とはそうしてるね」
「おっと、何時の間に」
マグ氏も言われて気付きました。
「英語になってたか」
「ふとそうなるよね」
「日本に来て間もないと」
「まだ日本語に親しんでいなくて」
「そうなるね」
「頭の中で使ってる言葉もな」
これもというのです。
「英語だよ」
「そうだね」
「まだだな」
マグ氏は自分から言いました。
「あっしは日本語に馴染んでないってことだな」
「喋れてもね」
「いや、これがな」
日本語がというのです。
「随分難しいよな」
「それは確かにね」
王子も否定しません、少し苦笑いになって答えます。
「そうだね」
「こんな言語ないよな」
「文字が三つあるしね」
「平仮名、片仮名、漢字と」
「読み方も色々だし」
「音読みとか訓読みとか」
「挙句音訓読みとかね」
王子はこちらの読み方も出します。
「しかも文法も独特だから」
「こんな難しい言語ないよ」
「僕もそう思うよ」
「私も学ぶのに苦労しているよ」
先生も言います。
「今もね」
「今もなんだ」
「今日本語の論文を書いているけれど」
王子に右手を顎にあてたうえでお話します。
「やはりね」
「難しいんだ」
「英語の方がずっと簡単だよ」
「それは言えるね」
「今は頭の中で使う言語も日本語になっているけれど」
それでもというのです。
「それでもね」
「学ぶことが大変だね」
「悪魔の言語と言う人もいるけれど」
日本語をです。
「あまりもの難しさにね」
「その通りかな」
「否定出来ないね、本当にね」
「日本語はだね」
「難しいよ、けれどマグ氏も徐々にね」
マグ氏に言います。
「慣れていくよ」
「そうなりますか」
「そして頭の中で使う言語もね」
「日本語になりますか」
「日本にいて日本語の中にいるとね」
「そうなる様に努力しますよ」
今は日本語で応えるマグ氏でした、皆そうしたお話をしながら楽しい時間を過ごしたのでした。