『ドリトル先生とサーカスの象』
第十二幕 サーカスが終わり
皆はサーカス最終日の特別ゲストとしてのお芝居とオーケストラの準備に入りました、せっせと台本や楽譜の確認や練習に励んでいます。
「さあさあ頑張ろう」
「皆でやっていこう」
オシツオサレツが二つの頭で言います。
「お芝居もオーケストラも」
「どちらの練習もね」
「脚本や楽譜が残っていてよかったわ」
ダブダブはこのことに喜んでいます。
「前のサーカス団の時のまま出来るからね」
「いや、懐かしいね」
ガブガブはその時のことを思い出して笑顔でいます。
「僕主演として頑張るよ」
「さて、身なりも整えて」
「皆でやりましょう」
チープサイドの家族もお話します。
「しっかり練習して」
「皆が笑顔になるお芝居とコンサートにしよう」
「楽器も準備出来たし」
チーチーはお野菜や果物で作ったお野菜を確認しています。
「何時でも出来るね」
「終わったら食べようね」
老馬はその楽器達を見て目を細めさせています。
「そうしようね」
「そのことも楽しみだね」
ホワイティは老馬の背中から言います。
「楽しく成功させて楽しく食べようね」
「さあさあ、練習練習よ」
ポリネシアは皆に言います。
「よく練習してよく休むのよ」
「全力で練習することだよね」
ジップはポリネシアに言いました。
「まずは」
「そうだね、お芝居もオーケストラも練習しよう」
トートーも言います。
「どちらも久し振りだけれどね」
「僕が言う前にはじめてくれるなんて」
先生はそんな皆を見て目を細めさせました。
「嬉しいね」
「私達は何でも自分で出来るからね」
「これ位何でもないよ」
「だから安心してね」
「先生は先生のやることに専念してね」
「それじゃあね」
先生は皆の言葉に頷いてでした。
実際に学問やサーカス団の皆を診ることに集中しました、お料理はトミーが作ってくれて王子も何かと世話を焼いてくれて。
マグ氏も来てです、先生に言ってきました。
「皆がお芝居とオーケストラをするならですよ」
「僕の身の回りのことを出来ないからだね」
「練習とかありますね」
「熱心にやってくれているよ、出演のサーカス最終日まであと二日しかないからね」
「ならですよ」
マグ氏は笑顔で言いました。
「その二日の間あっしもでさあ」
「僕を助けてくれるんだ」
「何でも言って下さい」
先生に笑顔のまま言います。
「力にならせてもらいますよ」
「悪いね」
「悪くありませんよ」
先生のその言葉は否定します。
「あっちもしたくてするんですから」
「だからなんだ」
「はい、お気になさらずに」
それでというのです。
「やらせてもらいますよ」
「そう言ってくれるならね」
先生も頷きます、そうしてでした。
二日の間先生は皆と離れる時間が多くなりました、太郎もそんな先生を見て少し目を丸くさせました。
「あれっ、いつも一緒の皆は」
「サーカス最終日にお芝居とオーケストラをするからね」
先生は太郎にもお話しました。
「その練習でね」
「今は一緒じゃないんだ」
「そうなんだ」
「成程ね。僕達今の神戸での公演が終わったらね」
太郎はそれからのことをお話しました。
「今度は岡山に行ってね」
「公演だね」
「そちらでね」
「そうなっているね」
「けれどここでの最終日にね」
その日にというのです。
「僕もね」
「皆のお芝居とオーケストラを観てくれるね」
「他のサーカスの皆とね」
太郎は笑顔で答えました。
「そうさせてもらうよ」
「是非楽しんでね、皆頑張ってるからね」
「それじゃあね」
こうしたお話をしてでした。
太郎も観てくれることが決まりました、先生が研究室に戻ると皆は今はお芝居の練習を熱心にしています。
ダブダブはバレリーナの様に動きガブガブがロミオとジュリエットのロミオのお芝居の練習をしていてです。
他の皆も熱心に励んでいます、そうしてお話しています。
「ここはこうしてね」
「こうしたらもっといいわね」
「ここはこうしたらどうかな」
「ここはこうしてね」
改善点もお話しています、そんな皆を温かい目で見てです。
先生は学問に励みます、ここで皆は一旦休憩に入りまして。
「さて、寝よう」
「そうしよう」
「休憩なら寝る」
「睡眠が一番よね」
「一番休めるね」
「そうだよ、寝たらいいよ」
先生も優しい声で言います。
「ここはね」
「そうするね」
「そうさせてもらうわね」
「是非ね」
「今からね」
「僕は論文を書いているから」
やはり優しい声で言います。
「皆はそうするといいよ」
「それじゃあね」
「一時間経ったら起きるわね」
「じゃあその時までね」
「先生は学問に励んでね」
こう先生に言ってです。
皆は寝ます、そして先生はです。
お部屋に来たマグ氏にお茶を淹れてもらって皆を見守りながらそのうえでこんなことを言ったのでした。
「皆が頑張っているのを見るとね」
「先生も嬉しいですね」
「そうなんだ」
笑顔でお話します。
「本当にね」
「先生はそうですよね」
「うん、だからね」
マグ氏に一緒にレモンティーを飲みつつ言います。
「僕は今とても幸せだよ」
「そう感じていますね」
「そうなんだ」
こう言うのでした。
「本当にね」
「それは何よりですね」
「そうなんだ、これはね」
先生は皆を見ながらさらに言います。
「成功するよ」
「お芝居もオーケストラも」
「絶対にね、そしてね」
そうなってというのです。
「サーカス団の公演は全部成功に終わって」
「そうしてですね」
「大団円を迎えるよ」
「お客さんもかなり入ったそうで」
「連日満員御礼でね」
「そのことも何よりですね」
「全くだよ、どうして成功したか」
それはといいますと。
「皆が頑張ったからだね」
「団長さんも生きもの達もですね」
「太郎もね、太郎はまだ子供なのに」
三歳の象だからです。
「赤ちゃんと言っていいね」
「そんな子がですね」
「頑張ってくれてね」
それでというのです。
「そのうえでだよ」
「今回の公演を成功させましたね」
「彼の活躍もね、成功はこれまでで」
「最終日がどうか」
「その最終日も成功したらね」
「本当の成功ですね」
「そうなるよ」
まさにというのです。
「その時にね」
「それじゃあ」
「うん、皆を見守るよ。そして僕に出来ることをね」
「やりますね」
「そうするよ」
「皆を助けますね」
「いつも助けられているからね」
だからだとです、先生は微笑んでお話しました。
「僕もだよ」
「皆の力になりますね」
「そうなる様にするよ」
「それが先生ですね」
マグ氏は先生に笑顔でこう返しました。
「全く以て」
「僕なんだ」
「はい、そう言われて」
そうしてというのです。
「実際にされるのが」
「僕なんだ」
「そうです、それじゃああっしはその先生を助けますね」
「お店で働きながらね」
「はい、ペットショップは上手くいっています」
ペット用品を売るそのお店はというのです。
「お陰様で」
「奥さんと二人でやっていて」
「開店からです」
「いい調子でやっていけてるんだね」
「はい、有り難いことに」
マグ氏はレモンティーが入ったカップを片手にお話します。
「そうなっています、かかあが特に頑張ってくれて」
「それでなんだ」
「もうあっしはかかあに言われるまま動いて」
そうしていてというのです。
「お店は上手くいっています」
「相変わらず出来た奥さんだね」
「家事も店のこともです」
「何でもだね」
「かかあが仕切ってくれていて」
それでというのです。
「上手くいっていますよ」
「奥さんがいい人だとね」
先生はそうであるならと言いました。
「それだけね」
「上手くいきますね」
「そうなるよ」
「そうですよね」
「よくかかあ天下とか尻に敷かれてるとか言うけれど」
「その方がいいですよね」
「そう、世の中はね」
先生は微笑んで言いました。
「女の人の力が強い方がね」
「上手くいきますね」
「そうなるものだよ」
「男だけじゃ駄目ってことですね」
「うん、偏るよね」
どうしてもという口調でお話します。
「世の中が」
「そうですよね」
「考え方とかも社会の仕組みもね」
「何でも男ばかりになって」
「男性優先になってね」
「バランスが悪くなりますね」
「だからね」
そうなるからだというのです。
「女の人も強くないとね」
「駄目ですね」
「半々がいいよ」
先生はこれ位と言いました。
「大体ね」
「それ位ですね」
「かかあ天下とか言っても実際はですね」
「そうじゃないですね」
「半々だよ、それは奥さんに聞けばわかるよ」
マグ氏のというのです。
「もうね」
「ええ、かかあも言ってます」
マグ氏は実際にと答えました。
「あっしも結構言っていて」
「自分で動いているってだね」
「言ってます」
「そうだよ、女の人は男の人に服従する」
「絶対に」
「そんな観点から見るとね」
そうすると、というのです。
「奥さんが言って動くとね」
「かかあ天下に見えますね」
「けれど実は違うんだ」
「旦那も言ってますね」
「奥さんが言うとね、恐妻家と言う人は」
世の中のというのです。
「これが結構以上にね」
「好き勝手してますね」
「そうしたものだよ、漢の高祖劉邦さんは恐妻家で有名だけれど」
「あの人女好きでしたね」
「遊び人でね」
そうであってというのです。
「そうした人だったよ」
「好き勝手やっていて奥さんに怒られていただけでしたね」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「そんなことを言ってもね」
「実はですね」
「違うからね」
それでというのです。
「かかあ天下と言われる位でいいんだ」
「家も世の中も」
「そうだよ、じゃあ僕は皆を助けて」
「あっしは先生の力になりますね」
「悪いね」
「悪くないですよ」
こうしたお話もしてでした。
先生は皆のフォローもしました、健康状態をチェックして細かいことを観て聴いてアドバイスもしてでした。
本番のお芝居やオーケストラを成功させる様にしました、そして最終日です。
そのお芝居にオーケストラが公演の最後に行われました、お洒落な服を着た皆がお芝居をして踊ってです。
ミュージカルでロミオとジュリエットを行いますと。
「凄いね」
「太郎が観てもだね」
「うん、とても楽しいね」
「しかもこのお芝居はね」
先生は太郎にお話します。
「ハッピーエンドだよ」
「そうなんだね」
「ロミオトジュリエットは本当は悲劇だけれど」
それでもというのです。
「それがね」
「幸せな結末なんだ」
「それで終わるんだ」
「いいね、僕幸せが大好きだから」
太郎はそれでと言いました。
「お芝居もね」
「幸せな結末ならだね」
「最高だよ」
こう言うのでした。
「本当にね」
「それじゃあ最後まで楽しんでね」
「うん、それにだね」
太郎はさらに言いました。
「音楽も演奏するんだね」
「オーケストラをね」
「そちらもよさそうだね」
「期待していいよ」
先生はにこりと笑って答えました。
「そちらもね」
「それじゃあね」
「うん、聴かせてもらうね」
「そちらもね」
こうお話をしながらお芝居を観ます、お芝居は実際にロミオのガブガブが笑顔でジュリエットのダブダブと抱き合って終わりました。
そして次はオーケストラですが。
お野菜の楽器で皆で演奏します、指揮者はトートーでして。
「明るい音楽だね」
「フィガロの結婚の序曲だよ」
先生は太郎に答えました。
「いい曲だね」
「凄くね」
「皆お芝居も練習していて」
「オーケストラもだね」
「練習していてね」
そうであってというのです。
「この通りだよ」
「いい音楽も聴かせてくれるんだ」
「そうだよ」
まさにというのです。
「これがね」
「人参や玉葱や蕪や南瓜を使って」
「ジャガイモもあるね」
「そうだね」
「そしてそのお野菜はね」
今は楽器のそれはというのです。
「後でお料理に使うよ」
「無駄なくだね」
「それで皆で食べるんだ」
「どんなお料理にして食べるのかな」
「カレーだよ」
このお料理だというのです。
「それにするんだ」
「ああ、スタッフの皆が好きな」
「そう、あのお料理だよ」
「あれにするんだね」
「そうなんだ、これがね」
このカレーがというのです。
「また美味しいんだ、お肉も入れるんだよ」
「ああ、僕象だからね」
太郎はそれでと言いました。
「お肉はね」
「食べないね」
「お魚もね、そうしたものは全くね」
「そうだね」
「それにカレーも食べないけれど」
「皆は食べるんだ」
「先生もだね」
先生にも尋ねました。
「そうだね」
「そうだよ」
「カレー好きかな」
「大好きだよ」
笑顔での返事でした。
「だからよく食べるよ」
「そうなんだね」
「それでね」
先生はさらに言いました。
「そのカレーを食べるよ」
「公演の後で」
「そうするよ」
「楽しみだね」
「凄くね」
こうお話してでした。
先生は太郎と一緒にオーケストラの演奏を見守り終わって拍手と歓声が起こるとこのことを素直に喜びました。
サーカスの公演は最終日も大成功でした、それで団長さんは先生に笑顔で言いました。
「最後まで大成功でして」
「よかったですね」
「はい、興行収入がです」
「かなりのものになりましたね」
「そうなりました」
実際にというのです。
「我が社としてもです」
「いいことですね」
「全く以て」
満面の笑顔で言うのでした。
「私も満足しています」
「それは何よりですね」
「先生のご協力もあって」
先生にも言うのでした。
「それで、です」
「成功したというのですね」
「はい」
まさにという返事でした。
「本当に」
「僕は何も」
「いえいえ、診察をしてくれて生きもの達と話をして」
「彼等の気持ちや状況を伝えてですね」
「どれだけ助かったか」
こう言うのでした。
「それで、です」
「そう言われますか」
「左様です」
まさにというのです。
「本当に助かりました」
「左様ですか」
「それでなのですが」
団長さんはさらに言いました。
「また我々が神戸に来て」
「そうしてですか」
「はい、公演をする時は」
「協力させて頂きます」
「そうしてくれますか、では今回のお礼もです」
「お礼ですか」
「サーカス団に協力してくれたので」
だからだというのです。
「我が社としてです」
「お礼をしてくれますか」
「学園の方にお話を先生の口座に振り込んでおきますので」
「いえ、お金は」
先生はお金のお話には恐縮しました。
「僕は元々否定的で」
「ない方がいいですか」
「そうも考えていまして」
「必要なだけあればいいですね」
「そう考えているので」
だからだというのです。
「報酬は」
「いえ、これは社会のマナーなので」
団長さんはお金はいいと言う先生にこう返しました。
「ですから」
「受け取らないと駄目ですね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「お願いします」
「それでは」
それならと頷いてでした。
先生は報酬を受け取りました、そして団長さんに連れられて公演の成功と終わりをお祝いする宴会に呼ばれました。
そこは焼き鳥屋さんで、でした。
「焼き鳥にビールをですね」
「堪能してきたよ」
お家に帰ってトミーに真っ赤になったお顔でお話します。
「どちらもね」
「そうなんですね」
「だから今日はもう歯を磨いて」
「お休みになられますね」
「お風呂でなくてシャワーを浴びてね」
「今湯舟は危ないですね」
「だからシャワーにして」
今夜はというのです。
「それでね」
「朝に入られますね」
「そうするよ」
こう言うのでした。
「朝にね、二日酔いになってるだろうし」
「その解消にも」
「お風呂は朝にするよ」
こう言って夜はシャワーを浴びて歯を磨いて寝ました、翌朝実際にお風呂に入ってすっきりしてからです。
先生は朝ご飯を食べてから出勤しました、サーカス団は今まさに学園から次の公演場所に向かおうとしていましたが。
先生を見てです、スタッフの人達も生きもの達も先生に言いました。
「先生有り難うございます」
「お陰で助かりました」
「何かと有り難うございます」
「診察してくれて有り難う」
「お話を聞いてくれてね」
「皆次の場所でもお元気で」
先生はその皆に笑顔で応えました。
「頑張って来て下さい」
「そうしてきます」
「今度は岡山です」
「岡山で頑張ってきます」
「そうしてきます」
「先生、また会えるよね」
太郎もいて先生に言ってきました。
「そうだよね」
「僕は基本この街にいるからね」
先生は太郎に温和なお顔で答えました。
「だからここでまた公演をしたら」
「何でも神戸では年一回来てね」
「公演するんだね」
「そうするらしいよ」
「それならね」
そうすると、というのです。
「年に一回先生と会えるね」
「うん、僕は時々他の場所に行くけれどね」
「お仕事でだね」
「そうするけれど」
それでもというのです。
「基本はね」
「この街にいるね」
「そうだよ」
「それじゃあまた来たらね」
「宜しくね」
「こちらこそね、じゃあそれまで元気でね」
「お互いにね」
太郎だけでなく他の生きもの、ライオンともアシカともその他の生きもの達とも笑顔で一時のお別れを笑顔でして再会を約束してでした。
団長さんがです、最後に言いました。
「ではまた」
「はい、お会いしましょう」
「その時は飲みましょう」
「楽しみにしています」
団長さんとスタッフの人達生きものの皆とそれぞれ握手もしてでした。
先生は皆と手を振り合って別れました、それが終わると研究室に入りましたが。
そこで、です。皆から言われました。
「いいお別れだったね」
「とてもね」
「お互い笑顔で別れて」
「再会を約束してね」
「お別れは辛くても」
それでもと言う先生でした。
「ああしたお別れはいいね」
「そうだよね」
「悲しいお別れと明るいお別れがあって」
「今回は明るいお別れでね」
「よかったわね」
「誰にとっても」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「今回は僕もよかったと思うよ」
「全くだね」
「ケニーのお話も聞いて悲しい思いもしたけれど」
「笑顔で終わってよかったね」
「本当にね」
「人も生きものも別れた時のお顔を覚えているよ」
先生は皆にお話しました。
「再会の時までね」
「それならだよね」
「笑顔に限りよね」
「それも明るい」
「それでお互い別れるべきよね」
「今回はそうなってね」
それでといのです。
「最高だよ、ではね」
「うん、それならね」
「再会の時までお互いいい気持ちでいられるから」
「今回はよしとしようね」
「そうしようね」
「うん、そしてね」
先生はさらにお話しました。
「僕達もお祝いしようか」
「打ち上げやったし」
「オーケストラで使ったお野菜でカレー作って」
「それでだね」
「お祝いだね」
「そうしようね」
笑顔で言って実際にでした。
この夜はそのお野菜を使ったカレーでした、トミーが作ったそれを皆、王子と執事さんにマグ夫妻も招いて食べます。
王子と執事さんがです、まずは言いました。
「美味しいね」
「はい、とても」
「お野菜もお肉も入っていて」
「素晴らしいです」
「母ちゃん、今度うちでもカレーにしような」
マグ氏は奥さんに笑顔で言いました。
「こうしてお野菜を沢山入れてな」
「いいわね」
奥さんも笑顔で頷きます。
「それじゃあね」
「家でも食おうな」
「日本人って本当にカレー好きですけれど」
トミーも言います。
「それがわかりますね」
「これだけ美味しいからね」
先生も食べつつ言います。
「それも当然だね」
「全くですね」
「インドからイギリスに入ってね」
「日本に伝わって」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「今では日本では何処でも何かあれば食べる」
「そんなお料理ですね」
「インドのカリーとは随分違った風になってるけれど」
ダブダブはそれでもと言いました。
「物凄く美味しいのよね」
「うん、僕も大好きだよ」
食いしん坊のガブガブならではの言葉です。
「ご飯にかける時を見る時も嬉しいよ」
「日本のお米はジャポニカ米で独特だけれど」
それでもと言うトートーです。
「日本のカレーはそれに合わせてるね」
「そうなんだよね」
ホワイティはトートーの言葉に頷きました。
「それでこうした味になってるんだよね」
「イギリスのカレーはまた違うしね」
「あちらでもよく食べるけれどね」
それでもとお話するのはチープサイドの家族です。
「また違うのよね」
「そうそう、イギリスのカレーは」
「イギリスのカレーもいいけれど」
チーチーはそれでもと言います。
「日本のカレーは物凄い独自の進化をしているからね」
「物凄い種類にもなってるし」
それでと言うジップでした。
「とんでもないことになってるよね」
「もうそれが一つの世界みたいな」
そこまでと言う老馬でした。
「日本のカレーはそこまでになってるよ」
「それで僕達も食べてるね」
「先生と一緒にね」
オシツオサレツは二つの頭でお話します。
「今もね」
「美味しくね」
「今のカレーはお野菜が凄く入ってるけれど」
ポリネシアも食べつつ言います。
「これもまたよしね」
「そうだね、楽器に使ったお野菜をどうするか」
先生は笑顔で言いました、
「楽器に穴は必要でね」
「くり抜いた部分だってね」
「入れられるしね」
「カレーにするといいわね」
「そうだよね」
「そうした意味でもカレーはいいよ」
とてもというのでした。
「優れたお料理だよ」
「全くだね」
「そう言うしかないわね」
「全くだよ、お肉も入れらるしね」
牛肉も食べて言います。
「栄養バランスもいいんだ」
「だからどんどん食べていいよね」
「カレーは」
「イチロー選手は毎朝食べていたそうだし」
「私達もね」
「そうしようね」
こうしたお話をしながら先生も皆もカレーを食べていきます、その中でトミーが先生に言ってきました。
「またサラさんが来られますね」
「ご主人のお仕事でね」
先生は笑顔で応えました。
「そうしてくるね」
「今度は宗教のことで」
「ご主人は宣教師でもあるからね」
お茶の会社を経営してです。
「だからね」
「それで今回はですね」
「学園に呼ばれて」
「それで、ですね」
「キリスト教のことでね」
「何かとされますね」
「それでサラも一緒に来るから」
彼女もというのです。
「その時にね」
「うちに来てくれますね」
「そうだよ、今回もね」
「それじゃあ」
「またもてなそうね」
「そうしましょう」
「そういえば」
ここでマグ氏が先生に言いました。
「あっしもサラさんと暫く会っていないです」
「日本に来てからだね」
「はい」
そうだというのです。
「イギリスにいる間も暫く会っていなくて」
「それで日本に来てだね」
「それで、です」
そのうえでというのです。
「会っていやせん」
「じゃあ彼女が来た時にね」
「一緒にですね」
「会うかい?」
「それじゃあ」
それならとです、マグも頷きました。
「そうさせてもらいます」
「それではね」
「その時は」
笑顔でお話してでした。
皆でカレーを食べて楽しみました、そしてサラをお迎えしましたが。
ここで、です。サラはマグ氏を見て言いました。
「マグさんもお久しぶりね」
「ええ、お元気そうで何よりです」
「お互いね。日本で移住したと聞いていたけれど」
「先生の近くに住んでいまして」
「働いているのね」
「女房と一緒にペットショップやってます」
先生のお家に来たサラにお話します。
「今は」
「そうなのね」
「はい、そして」
サラにさらにお話します。
「楽しく明るく暮らしています」
「健康によね」
「そうでさあ」
「日本は気候もお水もいいしね」
サラは先生の言葉に微笑んで頷きつつ言いました。
「食べものも美味しいし治安もよくて」
「いい国ですよね」
「満足しているわね」
「ええ、ただ」
「ただ?」
「行き来が大変なのよね」
少し苦笑いになって言いました。
「これが」
「イギリスから遠くて」
「飛行機でも半日かかるから」
だからだというのです。
「主人のお仕事で結構行き来してるけれど」
「年に三回位ですね」
「そうしているけれど」
「飛行機で半日はですか」
「やっぱり辛いわね」
「そこは仕方ないですね」
マグ氏は少し苦笑いになって応えました。
「それでも昔に比べれば」
「ええ、船で行き来するとね」
「遥かに時間がかかりますから」
「そのことを思えば」
「今は楽よね」
「飛行機で行き来出来て」
「そうよね」
こうマグ氏に応えました、そこには当然先生と皆がいてトミーと王子もでした。サラは王子にも言いました。
「王子もお元気そうだし」
「元気そのものだよ」
満面の笑顔での返事でした。
「この通りね」
「トミーもね」
「はい、僕もです」
トミーも笑顔で応えます。
「健康そのものです」
「とてもいいことよね」
「そうですよね」
「そして兄さんもね」
先生にも言います。
「元気ね」
「そうだよ、凄くね」
「心もね」
「いつも明るく楽しくね」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「兄さん働き過ぎないでね」
こうも言うサラでした。
「くれぐれもね」
「よく休みよく寝ることだね」
「兄さん昔はよく徹夜したでしょ」
「学問特に研究に没頭してね」
「そんなことしないでね」
「今はよく寝ているよ」
「毎晩よね」
このことを確認しました。
「そうよね」
「長い時間ぐっすりとね」
「寝ないと駄目よね」
「本当にね、だからね」
それでというのです。
「毎日夜になるとね」
「しっかり寝ているわね」
「そうしているよ」
「そうしてくれて嬉しいわ」
サラにしてもです。
「本当にね」
「まず寝ることだね」
「身体にいいものを沢山食べてね」
「その通りだね」
「私もそうしているしね」
サラもです。
「毎日ね、それでずっと健康でいてね」
「そうなる様にするよ」
「お医者さんならね」
「尚更だね」
「健康には気を付けないと」
「自分でも思うよ」
「そうしてね」
サラはさらに言いました。
「お土産買ってきたけれど」
「お土産?」
「そう、これね」
こう言ってです、サラはあるものを出してきました。それはお団子でそれを出してからこう言ったのでした。
「日本のお団子ね」
「買ってきてくれたんだ」
「そうよ」
その通りだというのです。
「きび団子よ」
「岡山の」
「そうなの、日本の童話でも有名よね」
「桃太郎だね」
「ええ、あの童話でね」
「奇遇だね」
先生はきび団子を見て笑顔で言いました。
「これはまた」
「奇遇っていうと」
「いや、最近までお世話させてもらっていたサーカス団だけれど」
「ラインでそんなこと言ってたわね」
「そのサーカス団岡山に行くんだ」
「今度は」
「そう、だからね」
そうであるからだというのです。
「これはまたね」
「奇遇なのね」
「そうだよ」
こう言うのでした。
「その岡山のものだからね」
「それでよね」
「奇遇だって思ったよ」
「そういうことね」
「うん、それじゃあね」
「今から食べてね」
そのきび団子をというのです。
「そうしてね」
「それじゃあね」
「皆でね」
サラはにこりと笑って言いました。
「そうしてね」
「うん、サラも食べるね」
「私も食べていいのね」
「皆でって言ったね」
先生は妹さんに微笑んで言いました。
「それじゃあね」
「私もってなるのね」
「だからね」
それでというのです。
「今からね」
「私もいただくのね」
「そうしよう、皆で食べて」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「皆で笑顔になるのね」
「そうしよう、サーカス団の岡山での活躍を期待しながら」
「岡山名物を楽しむのね」
「そうしよう、いいね」
「ええ、わかったわ」
サラは笑顔で頷きました、そうしてです。
皆できび団子を食べます、そのうえでサーカス団の岡山での活躍と順調な興行を心から祈るのでした。
ドリトル先生とサーカスの象 完
2025・1・11