『ドリトル先生と奇麗な薔薇達』




               第十二幕  薔薇園の中で

 先生はエンベルグさんとブラウシュタインさんの結婚記念のプレゼントが無事に造られてソノウエデエンベルグさんからブラウシュタインさんに贈られたと聞いてです。
 そうしてです、日笠さんに言われました。
「よかったですね」
「日笠さんも聞かれましたか」
「はい」
 笑顔で答えました。
「そうでした」
「そうでしたか」
「これからはです」
 日笠さんはさらに言いました。
「お二人が幸せになる様にです」
「祈られますね」
「そうしていきます」
「そしてです」
 日笠さんは先生にも言いました。
「これからですが」
「何でしょうか」
「お二人のこととは別に」
「それで、ですか」
「薔薇園に行かれませんか」
「薔薇園ですか」
「はい」 
 まさにというのです。
「そちらにです」
「一緒にですか」
「そうしませんか」
 こう言うのでした。
「これから」
「あっ、それならね」
「僕達はここにいるよ」
「二人で行って来て」
「そうしてきてね」
「是非ね」
 動物の皆はここで先生に言いました。
「いいね」
「お二人で行ってきて」
「そうしてきてね」
「ここで待っているから」
「お昼寝したりしてね」
「あのね、先生」
 ジップは先生に言いました。
「これはかなりのことだよ」
「まさに絶好の機会だよ」
 チーチーも言います。
「神様が与えてくれたね」
「それでだよ」
 ホワイティは先生に強い声で言いました。
「いい機会にしてね」
「そうそう、最高の機会だよ」
 ダブダブも言います。
「これ以上はないまでに」
「その機会を活かさないとね」
「もう駄目だよ」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「それこそね」
「だから頑張るんだよ」
「応援しているからね」 
 老馬の言葉には確かなものがあります。
「僕達だって」
「だから今はここにいるよ」 
 トートーはだからだと言うのでした。
「先生の為にね」
「お邪魔虫はいないに限るわ」  
 ポリネシアは笑って言いました。
「こうした時はね」
「さあ先生行って来るのよ」 
 ガブガブは言葉で先生の背中を押しました。
「日笠さんと一緒にね」
「それじゃあね」
「先生行って来るのよ」
 チープサイドノ家族も言いました。
「今からね」
「日笠さんとお二人でね」
「皆自棄に僕に気を使ってくれているけれど」
 それでもという先生でした。
「何でかな」
「何でじゃないよ」
「そんなことじゃないよ」
「全くね」
「先生はやっぱりわかっていないね」
「やれやれよ」 
 皆は先生の今の言葉を聞いて呆れました、ですが。
 それでもです、皆でまた先生に言いました。
「何はともあれ行ってね」
「お二人でね」
「そうしたらいいから」
「難しいことは抜きにしてね」
「皆がそこまで言うなら」
 それならとです、先生は皆の本意はわからないままです。そのうえで頷いてそうして日笠さんに答えました。
「それじゃあね」
「うん、行ってきてね」
「これはきっといいことになるから」
「今は何もなくても」
「将来に生きるから」
「だからね」
「そうしていってね」
 皆も先生をそうする様に言います、そうしてでした。
 日笠さんにそれではと答えました、日笠さんはとても嬉しそうに宜しくお願いしますと応えてでした。
 そのうえで先生と一緒に研究室を出ました、それからです。
 先生を学園の中にある植物園に案内してです、そしてでした。
 薔薇園に入りました、薔薇園は今も色々な色の薔薇が咲き誇っています。先生はその薔薇達を観て微笑みました。
「何時観てもです」
「素敵ですね」
「はい、それでエンベルグさんもですね」
「ブラウシュタインさんに薔薇を贈られました」
「そうされましたね」
「エメラルドの茎とサファイアの葉で」
 そしてというのです。
「エンベルグさんは白薔薇で」
「ダイアモンドですね」
「ブラウシュタインさんは赤薔薇で」
「ルビーですね」
「その二つの薔薇達がです」
「贈られて」
「お二人の結婚記念となって」
 その象徴になってというのです。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「お二人をです」
「これからもですね」
「結び付けてくれる」
「そうしたものになりますね」
「心がありますので」
 だからだというのです。
「きっとです」
「そうなってくれますね」
「必ず」
 こうお話します、そしてでした。
 そのお話の中で、です。先生は日笠さんにこう言いました。
「それでなのですが」
「どうしました?」
「いえ、今回はです」
 しみじみとした声で言うのでした。
「薔薇の騎士からヒントを得てですが」
「あの歌劇からですね」
「銀の薔薇はよくなくても」
 夫婦の結婚記念のプレゼントにです。
「ですが」
「それでもですね」
「いい結果になったみたいですね」
「そうですね」
「そのままではよくなくても」
 銀の薔薇ではというのです。
「ですが」
「それでもですね」
「アレンジすれば」
「いいですね」
「考えて。考えて」
 そうしてというのです。
「そこからです」
「別のものにすれば」
「それで、です」
「いいものになりますね」
「今回はそのことがごくわかりました」
 日笠さんに笑顔でお話しました。
「そうなりました」
「先生としては」
「はい、ただ」
「ただ?」
「薔薇は恋愛の象徴の一つでもあることが」
 このことがというのです。
「本当にです」
「おわかりになられたのですね」
「はい」
 まさにというのでした。
「そうなりました」
「そうですか」
「はい、ですから僕にとってもです」
「よかったですか」
「お二人に感謝しています」
 エンベルグさんそれにブラウシュタインさんにというのです。
「左様です」
「それは何よりですね。では今は」 
 日笠さんは先生のお話を聞いて笑顔で言いました。
「二人で」
「薔薇達をですね」
「観て」
 今の様にしてというのです。
「楽しみますか」
「それでは。僕は本当にです」
「薔薇がお好きですね」
「今回のことだけでなく」
「他のことでもですね」
「薔薇を観られるだけで」
 それだけでもというのです。
「幸せです」
「そうですか」
「ですから」
 それでというのです。
「今もです」
「そうですか」
「些細なこともかも知れないですが」
 それでもというのです。
「薔薇が好きなので」
「だからですか」
「観られるだけで」
 それだけでもというのです。
「嬉しいです」
「それでは」
 日笠さんは先生のその話を聞いてです、明るい表情になってそのうえで先生にこんなことを言ったのでした。
「これからもこうして」
「こちらに来てですね」
「そうしてです」 
 そのうえでというのです。
「ご覧になりますか」
「いいですね」
 先生はにこりと笑って応えました。
「それでは」
「はい、そして一緒にです」
「幸せにですね」
「なりましょう」 
 こう先生に言うのでした。
「そうしましょう」
「これからも」
「それでは」
 こうしたお話もしてです。
 赤に白、黄色にピンクに紫に青のです。
 様々な薔薇達を観ていきます、そして一緒に白い席に着いて向かい合って座って紅茶を飲みますが日笠さんはです。
 先生にです、こう言ったのでした。
「お昼ですが」
「それでもですか」
「ティーセットはどうでしょうか」
「いいですね」
 先生は笑顔で応えました。
「それでは」
「そうしましょう」
「今日のセットは」  
 植物園で出るそれはとです、先生はそちらのお話もしました。
「何か」
「はい、スコーンとです」
 まずはそれでというのです。
「苺、そして甘いサンドイッチです」
「その三つですね」
「そうなっています」
「そちらもいいですね」
「そしてです」  
 日笠さんはさらに言いました。
「サンドイッチの中にあるのは」
「挟まれているのは」
「生クリームとジャムです」
「その二つですか」
「苺と」
「ではジャムは」
 先生は苺と聞いてわかりました。
「苺ですね」
「そちらですね」
 メニューを開いて読みつつ先生に言いました。
「今回は」
「いい組み合わせですね」
「そうですね」
「苺はです」
 先生はこのお野菜についてもお話しました。
「そのまま食べても美味しいですが」
「ジャムにしてもいいですね」
「はい、生クリームも使われていますね」
「今日のティーセットのサンドイッチには」
「赤と白で」
 この二色でというのです。
「丁度エンベルグさんがブラウシュタインさんに贈られた」
「宝石の薔薇達とですね」
「同じですね」
「そうですね」
 日笠さんもそれはと頷きました。
「左様ですね」
「いいですね」
「それでは今から」
「薔薇達を観つつ」
「お茶も楽しみまして」
「ティーセットもそうしましょう、実は僕お昼は和食でした」
 食べたばかりのそちらのお話もしました、食堂で皆と一緒に食べて研究室に戻ったところで日笠さんが来たのです。
「親子丼と鯖味噌とほうれん草のおひたしと」
「そのお料理ですか」
「そしてお味噌汁でした」
「定食ですね」
「ご飯ではなく親子丼の」
「そうですね」
「その組み合わせでしたが」
「今はですね」
「はい、ティーセットをです」
 こちらをというのです。
「楽しみますね」
「日本の次はイギリスですね」
「イギリスといえば薔薇ですし」
「それならですね」
「はい」
 まさにというのです。
「イギリス尽くしですね」
「そうなりますね」
「日本の次は」
「今僕は日本で暮らしていて」
 日笠さんに注文して自分達の席に運ばれてきた紅茶とティーセットを見つつお話しました。紅茶はお二人ともミルクティーです。
「日本人ですが」
「お生まれはイギリスなので」
「ですから」
 そうであるからだというのです。
「薔薇に紅茶に」
「ティーセットはですね」
「愛しています」
「お好きではなく」
「そうです」
 まさにというのです。
「愛情をです」
「持っておられるんですね」
「そうなのです」
「そこまでのものですね」
「ですから薔薇を観ますと」
「それだけで幸せで」
「そしてです」 
 そのうえでというのです。
「紅茶を飲んで」
「ティーセットをいただけば」
「そちらもです」
「幸せを感じるものですか」
「そうなのです」 
 こう日笠さんにお話するのでした。
「僕は」
「そうなのですね」
「ですから今は」
「その三つ全てを楽しめているので」
「とてもです」
 こう言っていいまでにというのです。
「幸せです」
「そうですか」
「はい、そして」
 それにというのでした。
「和やかな雰囲気ですね」
「今は」
「このこともありまして」
 それでというのです。
「今はです」
「とても幸せで」
「ずっとです」 
 まさにというのです。
「ここにいたい程です」
「そうですか、それでは」 
 日笠さんは先生のそのお話を聞いて言いました。
「私もです」
「日笠さんもですか」
「ご一緒させて頂いて宜しいでしょうか」
「何か断ることがありますか」 
 これが先生の返事でした。
「僕に」
「それでは」
「はい、遠慮なく」
 そうしてというのです。
「このままです」
「一緒にですね」
「おられて」
 そうしてというのです。
「楽しまれて下さい」
「そうしていいですね」
「はい、そして」
 それにというのです。
「薔薇にです」
「お茶にですね」
「ティーセットと」 
 それにというのです。
「雰囲気もです」
「全てですね」
「楽しんで」
 そうしてというのです。
「そのうえで」 
「是非ですね」
「今は僕と一緒に」
「幸せをですね」
「楽しんで」
 そうしてというのです。
「そして」
「そのうえで、ですね」
「お昼の間は」
 是非にというのでした。
「楽しみましょう」
「二人で」
 こうお話してです、そしてです。
 日笠さんはその中で紅茶をまた飲みますがふとです、ティーセットを食べてからお茶を飲んでこんなことを言いました。
「とてもです」
「美味しいですね」
「普通に飲んで食べても美味しいですが」
「それだけではないですね」
「はい」
 まさにというのです。
「薔薇を観てですから」
「これだけ沢山の」
「香りも漂っているので」
 薔薇のそれがというのです。
「これ以上はないまでに」
「素敵ですか」
「そう思います」
 こう日笠さんにお話します。
「本当に」
「そうですか、ですが」
「ですが?」
「私は今先生が言われたものだけではないです」
「今美味しいと思える理由は」
「そうなのです」
 先生をじっと見て言います。
「実は」
「といいますと」
「いえ、一人で飲むと寂しいですね」
「どうしてもそうですね」
「ですが今は」
「僕もいるからですか」
「ですから」
 それでというのです。
「最高にです」
「美味しいと思われますか」
「とても」
「それは何よりです。それでは」 
 先生は日笠さんににこりと笑って応えました。
「僕でよければ」
「これからもですね」
「こちらでティータイムを楽しみましょう」
「二人で、ですね」
「そうしましょう。日笠さんがそうされたいと言われるなら」 
 それならというのです。
「是非」
「宜しくお願いします」 
 日笠さんはお顔を真っ赤にさせて満面の笑顔で応えました、そうしてです。
 お二人で薔薇とティーセットを心から楽しみました。日笠さんはそれ以外のものも楽しみました。そのお話をです。
 サラはまたお仕事で来日した時に聞いてです、先生に言いました。
「合格ね」
「合格っていうと?」
「日笠さんって人とこれからも一緒にお茶を飲む約束をしたことはね」
 このことはというのです。
「本当にね」
「合格なんだ」
「貴重な一歩よ」
 先生と一緒に神戸のお寿司屋さんでお寿司を一緒に食べつつ言います。
「本当にね」
「そうなんだね」
「ええ、言うならね」
 サラは言葉を続けました。
「ナイストライよ」
「ラグビーで言うんだね」
「そうよ、イギリスではやっぱりね」
「ラグビーだね」
「サッカーとクリケットと」
「ラグビーで」
「うちの人今でも楽しんでいるから」
 それでというのです。
「例えたのよ」
「ご主人はスポーツマンだね」
「水泳とラグビーをね」
 この二つの競技をというのです。
「ずっとね」
「楽しんでいるんだね」
「スポーツマンシップを守ってね」
「それはいいことだね」
「ええ、じゃあこのままゲームを続けていって」
 いくら巻きを食べつつ言いました。
「いいわね」
「お友達だからね、日笠さんは」
 先生は海胆巻きを食べて言いました。
「そうさせてもらうよ」
「今のは駄目よ」
 サラはむっとしたお顔で応えました。
「ボールを落としたわね」
「そうなんだ」
「そうよ、ゲーム展開は難しいわね」
 やれやれとなって言うのでした。
「日笠さんも大変ね」
「日笠さんが?」
「そうよ、そしてね」
 それにというのでした。
「私も出来る限りのことをしないとね」
「サラもなんだ」
「つくづく思うわ」
「イギリスにいてなんだ」
「こうして時々、二ヶ月に一回は来日するでしょ」
「大体そうだね」
「だからよ」
 それでというのです。
「私もね」
「出来る限りのことをするんだ」
「そうするわ、あと流石に今薔薇はないわね」
 サラは大トロを食べて言いました。
「お寿司にはね」
「お寿司に薔薇ね」 
 そう言われてガブガブが言います、勿論皆は今も先生と一緒です。
「ないわね」
「聞いたことないね」 
 ダブダブも言います。
「その組み合わせは」
「お寿司といっても色々で」
「ネタは魚介類だけじゃないけれど」
 チープサイドの家族も言います。
「薔薇はね」
「ないね」
「花弁を添えることもないね」
 ホワイティも言いました。
「お寿司の横に」
「欧州のお料理ならあるけれど」 
 それでもというトートーでした。
「確かにないね」
「お花だと菊だね」
「あのお花だね」 
 オシツオサレツはこう言いました。
「お寿司に添えるなら」
「あのお花だね」
「そうだね、実際一緒にあるのを想像しても」
 チーチーは考えて述べました。
「ちょっと違うね」
「お寿司って日本料理の代表格だから」
 それでと言ったのはポリネシアでした。
「欧州の色が強い薔薇はちょっと違うわね」
「やっぱり日本は薔薇とはあまり縁がないかな」
 ジップも言います。
「他のお料理とも合わないね」
「案外お寿司に合うお花って限られるのかな」
 老馬も考えるお顔になって言いました。
「少なくとも薔薇はそうだね」
「薔薇ってね」
 このお花はとです、先生も言います。
「日本料理じゃないのは確かかもね」
「ちょっと想像出来ないわね」
 サラも首を傾げさせました。
「どうも」
「そうだね」
「ええ、ただね」
 ここでサラはお兄さんに少し苦笑いになって言いました。
「イギリスのお寿司だと一緒にあっても」
「薔薇がだね」
「アバンギャルドになってね」
 そうした芸術にというのです。
「それでね」
「いいんだね」
「そうも思うわ、何かね」
 サラは苦笑いのままさらに言いました。
「イギリスのお寿司はね」
「日本のものと比べて」
「形がチーズケーキだったりお握りそっくりだったりして」
「何か違うね」
「ええ、だからね」
 そうしたものだからだというのです。
「本当にね」
「合うかも知れないんだね」
「かえってね」 
「そうなんだね」
「いや、日本に来たら」
 今度は鳥貝を食べて言いました。
「本当の日本料理が食べられるからね」
「お寿司もだね」
「やっぱりいいわね、魚介類がね」
「日本は本当にいいからね」
「ええ、あと今回兄さんが関わった薔薇もね」 
 このお花もというのです。
「奇麗よね」
「日本で咲いている薔薇はだね」
「日本って四季があってね」
 そうであってというのです。
「それぞれの季節で色々なお花が咲くでしょ」
「そのこともいいことだね」
「それでね」
「薔薇もだね」
「咲くけれど」
「その薔薇がだね」
「凄く奇麗に見えるわ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうなんだね」
「だからね」 
 それでというのです。
「私日本に来たらね」
「薔薇もだね」
「観てね」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「楽しんでいるんだね」
「そうなの」
 実際にというのです。
「これがね」
「そうなんだね」
「だから後でね」 
 サラは先生に言いました。
「薔薇を観に行くわ」
「何処でかな」
「八条学園の植物園のね」
「あちらのなんだ」
「そう、あちらに行って」
 そうしてというのです。
「主人と一緒にね」
「行くんだ」
「子供達も連れてね」
 そうしてというのです。
「それでね」
「行くのね」
「そうするんだ」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「楽しませてもらうわ」
「それはいいことだね」
「ティーセットもね」
 今はお寿司今度は鰯を食べて言いました。
「楽しませてもらうわ」
「そういえばご主人とお子さん達は何処かな」
「今は大阪でオムライスを食べているわ」
「あのお料理をなんだ」
「子供達がどうしてもね」
「オムライスを食べたいって言ったんだ」
「私はいつも通りね」
 先生を見て言うのでした。
「こうしてよ」
「僕と会って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「兄さんと日本に来たらいつも会っているから」
「今回もだね」
「会ってるけれど」
「それでなんだ」
「そう、こうしてね」 
 お寿司を食べながら言うのでした。
「会ってるのよ、主人が子供達に付き添って」
「お寿司を食べているんだね」
「子供達にもお寿司を言ったけれど」
「それよりもオムライスなんだね」
「そう言ってね」
「子供にとって最高のご馳走の一つだからね」 
 先生はバッテラを食べて応えました。
「オムライスは」
「イギリスで日本のお料理のお話をしてたのよ」
 サラはそれでと答えました。
「テレビでね」
「それで視たんだね、オムライスを」
「それで物凄く美味しそうって言って」
「その日本に来たし」
「それでなのよ」
 まさにというのです。
「あの子達はオムライスを食べてるわ」
「大阪でだね」
「大阪が本場でしょ」
「オムライスのだね」
「そうらしいわね」
「そうだよ、オムライスはね」
 まさにというのです。
「銀座説もあるけれど」
「東京のね」
「大阪説もあってね」
「大阪が本場ね」
「実際に美味しいお店あるよ」
 オムライスのというのです。
「新世界の方にね」
「そう、あちらに行ったの」
 サラはまさにと答えた。
「皆ね」
「そうなんだね」
「あちらは串カツも有名で」 
 新世界はというのです。
「それでね」
「オムライスもだね」
「有名で」
 そうであってというのです。
「そのお店に行ったのよ」
「そのこともいいことだね」
「そうよね、ただね」
「ただ?どうしたのかな」
「お寿司もいいから」
 それでと言うサラでした。
「今回はね」
「サラはお寿司を言ったんだね」
「けれど子供達はね」
「オムライスを言ったんだね」
「どうしてもってね」 
 その様にというのです。
「言ってね」
「それでだね」
「あちらに行ったのよ」
「そうなんだね」
「オムライスも魅力あるお料理よね」
「サラもオムライス食べたことあるわね」
「ええ、ただね」 
 ここで、でした。サラは先生に言いました。
「私は今回もね」
「僕と会うことを選んだんだ」
「気になって仕方ないから」
「僕のことが」
「そうよ、確かに皆にトミーに王子がいつも一緒にいてくれているけれど」
「お仕事もお家もあってね」
「幸せだけれど」 
 それでもというのです。
「昔から抜けているところは徹底的に抜けているから」
「家事にスポーツは駄目だね」
「世事のことに全く疎いし」
 そうした抜けている部分のお話もします。
「変に思い込むところあるし」
「思い込む?」
「そうよ、もてないってね」
「実際もてないよ」
「自惚れもよくないけれど」 
 それでもというのです。
「思い込んで」
「もてないのは事実だよ」
「ちゃんとした人は人間性を見るのよ」 
 サラはきっぱりと言いました。
「外見やお金じゃなくてね」
「人柄をだね」
「兄さんはちゃんとした紳士で」 
 そうであってとうのです。
「そしてね」
「それでなんだ」
「温厚で公平で親切で思いやりがあって」
「そうした性格だからなんだ」
「ちゃんとした人はね」
 それこそというのです。
「兄さんを好きになるわよ」
「そうなるんだ」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「その兄さんが気になって仕方ないから」
「神戸に来たんだ」
「今回は大阪のホテルに宿泊しているけれど」
「大阪の八条ホテルだね」
「そう、梅田の方にあるね」
「あちらにいて」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「お仕事のお話もしたけれど」
「主に観光でだね」
「今回は来たのよ」
「だから子供達も一緒だね」
「そうだけれど」
「サラは僕に会いに来てくれたんだね」
「日本に来たら見ないと」
 蛸を食べつつはまちを食べる先生に言いました。
「そう思うからよ」
「それでだね」
「そうよ、それでね」
「今もだね」
「一緒にお寿司を食べてるのよ」
「そうなんだね」
「全く、兄さんは昔からこうなんだから」
 やれやれといったお顔で言うのでした。
「いい人なのにね」
「抜けてるんだね」
「そうした部分は徹底的にね」
「それでだね」
「時々会ってるけれど」
「今回もそうで」
「いい一歩よ」 
 表情を一変させました、微笑んだものに。
「これはね」
「そうなんだね」
「ええ、何時かはね」 
 きっと、というのでした。
「兄さん幸せになれるわ」
「今凄く幸せだよ、僕は」
「今以上によ」
 先生にこう返しました。
「なれるのよ」
「そうなんだ」
「幸せに上限はないでしょ」
 鰻を食べる先生に言いました。
「だからね」
「それでなんだ」
「そう、きっとね」
「今以上にだね」
「幸せになれるから」
「それでなんだ」
「本当にね」
 まさにというのです。
「私嬉しいわ」
「僕が今以上に幸せになれるから」
「そうよ」
「今以上の幸せってあるのかな」
「あるから言ってるのよ」
 これがサラの返答でした。
「私もね」
「そうなんだね」
「そうよ、あとね」
「あと?」
「今私達お酒も飲んでるけれど」
 大吟醸を飲みつつ言いました。
「このお酒じゃなくてね」
「何かな」
「今ふと思ったけれど」 
 同じく大吟醸を飲んでいる先生に言うのでした。
「ワインも飲むでしょ」
「ああ、お寿司を食べる時に」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「魚介類だから白ワインだけれど」
「ロゼの場合もあるね」
「ロゼ、薔薇ね」
 先生ににこりと笑って言いました。
「丁度いいわね」
「じゃあ飲むんだ」
「大吟醸を飲んだら」
 今飲んでいるお酒をというのです。
「次はね」
「丁度メニューにあるよ」
 お品書きを見ればそうでした。
「それじゃあね」
「そちらをいただくわ」
「それじゃあね、あとね」
「あと?」
「兄さんも飲むわよね」
 先生にも言うのでした。
「そうするわね」
「うん、それならね」
「一緒に飲みましょう」
「そうしようね」
「兄さんのお陰で」 
 ロゼと飲むことを決めてからです、サラはあらためて言いました、
「一組のカップルが幸せになったし」
「プレゼントを贈れてだね」
「そして日笠さんもね」
「一歩進めたっていうんだね」
「よかったわ、その二つのことにもね」
 是非にというのでした。
「お祝いしてね」
「それでなんだ」
「今日はね」
「ロゼをだね」
「今思いついたけれど」
 それでもというのです。
「楽しんでね」
「飲むんだね」
「そうさせてもらうわ」
「それで僕もだね」
「一緒に飲みましょう」
 薔薇即ちロゼのワインをというのです。
「そうしましょう」
「それではね」
「薔薇は最高のお花の一つね」 
 こうも言うサラでした。
「本当にね」
「そうだね、僕もそう思うよ」
「それならね」
「これからだね」
「二人で薔薇を飲みましょう」
 笑顔で言ってでした。
 二人でロゼのワインも飲みました、そのワインは不思議と薔薇の味がする様に感じられました。それでサラはまた言いました。
「これからもね」
「ロゼのワインをだね」
「飲むわ」
「僕もだよ、そして薔薇もね」
「好きでいていくわね」
「そうしていくよ」
 そのワインを飲みつつ言うのでした、そのワインはとても美味しいものでした。


ドリトル先生と奇麗な薔薇達   完


                     2024・5・11








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