『ドリトル先生と不思議な自衛官』
第十一幕 生まれ変わり
先生は学会に出席しました、そして他の人達の説や論文を聞いて読んでご自身の論文も発表しました。
論文はその場で参加者の人達から高い評価を受けましたが。
学会には堀与さんも参加していて先生に挨拶をしてきました。
「暫く振りですね」
「あっ、参加されていたんですか」
先生は学会が開かれている場所で堀与さんにお会いして少し驚いて応えました。
「堀与さんも」
「実は急遽決まりまして」
「そうだったのですか」
「本来参加する人が論文を発表した後です」
まさにその直後にというのです。
「急なお仕事が入りまして」
「そちらに赴かれてですか」
「はい」
その為にというのです。
「私が急遽です」
「こちらに来られたのですか」
「海上自衛隊側の参加者の責任者として」
その立場でというのだ。
「ここに来させてもらいました」
「そうでしたか」
「そして」
堀与さんはさらにお話しました。
「私は論文を発表せず」
「責任者としてですね」
「こちらにいます」
「そうでしたか」
「この度の学会で先生が出席されることは知っていましたが」
それでもというのです。
「お会いするとは私もです」
「思っていませんでしたか」
「そうでした、参加予定はなかったので」
その為にというのです。
「ですが国際法の学会のことはいつもチェックしていて」
「僕の参加はご存知でしたか」
「そうでした」
「そうなのですね」
「そして」
そのうえでというのです。
「お会い出来て何よりです」
「これも縁ですね」
「全くですね、それでなのですが」
堀与さんはここで先生にこうも言いました。
「お昼予定はあるでしょうか」
「お昼ですか」
「お食事は決まっていますか」
先生に昼食のことを尋ねるのでした。
「そちらは」
「いえ、実は」
先生はすぐに答えました。
「それはです」
「まだですか」
「そうでして」
「それならご一緒しませんか」
堀与さんは先生の返事を受けてこう返しました。
「これから」
「堀与さんとですか」
「勿論彼等も」
今も先生と一緒にいる動物の皆も見て言います。
「如何でしょうか」
「お誘いして頂けるなら」
先生は笑顔で答えました。
「是非」
「それでは今から案内させて頂きます」
「はい、それでそちらはどういったお店でしょうか」
先生は堀与さんに笑顔で応えつつお店のことを尋ねました。
「一体」
「食堂です、昔ながらの」
「食堂ですか」
「カレーと肉じゃが絶品です」
先生に笑顔でお話するのでした。
「どちらも」
「海軍に縁のああるお料理が」
「そうです」
こう先生にお話するのでした。
「どちらも。他のお料理も美味しいですが」
「特にですね」
「その二つが絶品でして」
それでというのです。
「先生にもです」
「お誘いしてくれるのですね」
「ではお昼は。こちらから近いですし」
「それで、ですね」
「行きましょう」
「それでは」
こうお話してでした。
先生は皆と一緒に掘与さんにその食堂に案内してもらいました、そして席に座ってカレーと肉じゃがを注文して食べますが。
実際に食べてです、皆笑顔で言いました。
「美味しいね」
「堀与さんの言う通りだね」
「カレーも肉じゃがも美味しいわ」
「とてもね」
「そういえば先生は生きものの言葉がわかりましたね」
堀与さんは皆の言葉を聞いてにこにことそうだねと頷いている先生を見て言いました。
「そうでしたね」
「はい、実は」
先生は堀与さんにも笑顔で答えました。
「皆に教えてもらって」
「それで、ですね」
「わかります」
皆の言葉がというのです。
「猫の言葉もわかります」
「それは凄いですね」
「いえいえ、教えてもらったので」
皆を見つつ謙遜して言うのでした。
「ですから」
「教えてもらわないとですね」
「フィン=マックールとは違います」
「ケルト神話の英雄ですね」
堀与さんはそのお名前を聞いて言いました。
「そうでしたね」
「そうです、特別な鮭を食べて」
「それからでしたね」
「生きものの言葉がわかる様になって」
そうしてというのです。
「他にも知恵を授かって」
「英雄になりましたね」
「そうです」
「その英雄のお話は私も聞きました」
堀与さんはカレーを食べつつ答えました。
「イギリスに留学していた時に」
「留学!?確か」
先生は堀与さんのイギリス留学のお話を聞いて目を丸くさせて問い返しました。
「堀与さんは留学経験は」
「おっと、失言でしたね」
「失言ですか」
「いや、今も経験はあります」
留学のというのです。
「アメリカに」
「イギリスではないですね」
「今でおそらく察せられたのでは」
「堀与さんはまさか」
「そうです、私は確かに今は自衛官でして」
そのお仕事に就いていてというのです。
「戦後の日本に生まれてです」
「生きておられますね」
「ですが」
先生にそれでもと言いました。
「前世のことは覚えています」
「そしてその前世は」
「はい、東郷平八郎です」
まさにその人だというのです。
「私の前世は」
「そうですね」
「実は子供の頃両親に連れられて東郷神社をお参りしたのですが」
「その東郷さんを祀っている」
「両親と一緒にお賽銭を入れて手を合わせたところで」
その時にというのです。
「全て思い出しました」
「そうでしたか」
「そして私は自衛官になってです」
「再び日本を守ろうと思われましたか」
「そのうえで学業に励み」
そうしてというのです。
「心身を鍛えてきました」
「そうだったのですね」
「日本は当時とは全く違います」
堀与さんの前世即ち東郷さんが生きていた時代とはというのです。
「危機はあってもまだ当時よりはです」
「穏やかですね」
「そう言っていいです、ですが」
それでもというのです。
「油断出来ません」
「そのことはその通りですね」
「ですから私はです」
「海上自衛官としてですね」
「働いていきます、この言葉もです」
働くというそれもというのです。
「かつてはです」
「使わないお言葉でしたね」
「働くのではなく」
この言葉を用いるのではなくというのです。
「奉職ですね」
「日本に対してですね」
「無論今も奉職といえばです」
「そうさせてもらっていますね」
「ですが」
それでもというのです。
「やはり今はです」
「働くという方がですね」
「相応しいでしょう」
「今の日本ではそうですね」
先生もそれはと答えました。
「緊迫した状況ではないので」
「かつてと比べて」
「やはりかつてはです」
「かなり緊張していましたね」
「流石に平時は違いましたが」
「戦争の時は」
「誰もが必死で」
日本の為にというのです。
「まさに日本そして陛下の為にです」
「奉職されていましたね」
「そうでした、ですが今はそう言う位にです」
「穏やかですね」
「しかし危機は何時でもあります」
これはというのです。
「このことはです」
「否定出来ませんね」
「はい、ですから」
その為にというのです。
「私は自衛官、海のそれとして」
「働いていかれますか」
「定年まで、そして定年してからも」
「それからもですね」
「自衛官とは別の形で働かせてもらい」
「国防を担っていかれますか」
「そうしていきます」
こう先生に答えました。
「まさに」
「そうされますか」
「はい、そして」
それにというのです。
「日本がこのまま穏やかで豊かにです」
「暮らせる様にしてくれますか」
「そうしていきます」
「そうなのですね」
「そうです、しかし驚かれないのですね」
堀与さんは自分と向かい合ってお話を聞いてくれた先生を見て言いました、先生はしっかりとお話を聞きながらカレーを食べています。
「そうなのですね」
「はい、僕はです」
決してとです、先生は堀与さんに答えました。
「前世を信じていますので」
「だからですか」
「輪廻転生も」
「キリスト教徒ですが」
それでもというのです。
「僕はそうです、仏教の世界ではです」
「転生があるということですね」
「キリスト教の世界ではなく」
「何か意味がどうも」
「神の世界は一つではないということです」
先生は笑ってお話しました。
「キリスト教の神の世界もあれば」
「仏教は仏ですので」
「仏の世界もあります、無論神通の神々の世界もあり」
そうでもあってというのです。
「他の様々な信仰の神々の世界がです」
「存在していますか」
「僕は考えています」
こう前置きしてです、先生は堀与さんにあらためてお話しました。
「神々の世界は多くあり人はその信じる神の世界の中で、です」
「生きていますか」
「はい」
そうだというのです。
「そして死んでからはです」
「それぞれの世界に行くのですね」
「キリスト教ならです」
この宗教を信じていると、というのです。
「死後はキリスト教の天国か地獄か煉獄にです」
「行くのですね」
「はい、そして仏教徒ならです」
「仏教の世界で生まれ変わっていく」
「六つの世界で」
「六道ですね」
「そうなるかと。ただ日本では複数の宗教の信仰は普通ですね」
先生はこのこともお話しました。
「神仏を敬えと言って」
「神道と仏教ですね」
「そうですから」
だからだというのです。
「魂は二つあるかも知れないです」
「それぞれの信仰に行きますか」
「はい」
そうだというのです。
「そうではないでしょうか」
「深いお考えですね」
堀与さんは先生のお話に唸って応えました。
「それはまた」
「そう言って頂けますか」
「はい、それで私もですか」
「東郷さんの生まれ変わりでもです」
そうであってもというのです。
「そうしたこともあるとです」
「仏教ではそうであるので」
「当然とです」
その様にというのです。
「受け入れています」
「そうですか」
「はい、そして」
それにというのです。
「堀与さんの生き方は間違っていません、素晴らしい生き方の一つとです」
「認めてくれますか」
「国防は素晴らしいお仕事です」
それに携わることはというのです。
「国家と国民を守ることは」
「私もそう信じています」
「戦前の日本軍も今の自衛隊もそれは同じです」
「その通りですね」
「それを否定することは」
国防をというのです。
「その時点でおかしいです、何処か攻めて来る国がなくとも」
「災害がありますね」
「災害に向かうことも国防です」
そのうちの一つだというのです。
「ですから」
「それを忘れてはいけないですね」
「はい」
絶対にというのです。
「ですから」
「自衛隊は必要ですね」
「自衛官も、自衛隊でないと大規模な災害にどう対処するか」
「出来ると言う人もいますね」
「それは現実がわかっていない人です」
先生はまた言い切りました。
「それも全く」
「だからそう言うのですね」
「大規模な地震や台風、津波に叛乱にとです」
「日本は災害が多いです」
「土砂崩れに雪崩に洪水、落雷に山火事もあります」
「今は大火事はごく稀で対処も出来ますが」
「日本は江戸、今の東京が何度も大火事に襲われていますね」
日本の歴史からお話しました。
「そうですね」
「そしてかなりの犠牲者が出ています」
「火山の噴火もありますし、災害が非常に多いです」
「だからこそですね」
「例え戦争にならずとも」
軍隊と言えばこのことがどうしても関わるけれど、というのです。
「ですが」
「それでもですね」
「災害がこれだけあるのに」
「軍隊、自衛隊が不要とはですね」
「言えません」
現実を見ていればというのです。
「自衛隊の確かな組織力とすぐに動ける行動力とです」
「兵器ですね」
「船や飛行機や重機が多くありますので」
自衛隊にはというのです。
「やはり必要です」
「そうなりますね」
「戦争も災害も起こって欲しくないですが」
「戦争は政治で避けられもしますが」
「それでも災害はです」
こちらはというのです。
「どうしてもです」
「起こりますね」
「避けられません」
災害はとです、堀与さんも答えました。
「事前に対応出来ることはありましても」
「天気予報等もありますし」
「堤防等を築いて耐震設備も整えれば」
「備えも出来ますね」
「ですが災害は避けられません」
またこう言うのでした。
「どうしても」
「左様ですね」
「ですから」
そうであるからだというのです。
「絶対にです」
「自衛隊は必要ですね」
「自衛隊、他の国では軍隊ですが」
「訓練で鍛えられ体力があり」
「そして組織力があり」
そうしてというのです。
「物資の運搬に役立つ兵器を多く持ち」
「被災地の復興等に役立つ重機や道具も多くありますね」
「そうした組織なので」
「自衛隊は必要ですね」
「日本に。もうこれはです」
このことはというのです。
「絶対とです」
「言っていいですね」
「はい」
まさにというのです。
「私は断言します」
「僕もです」
先生も確かな声で答えました。
「その様にです」
「お考えですね」
「そうです、イギリスですとそうですね」
「軍隊が不要と言う人はまずいないですね」
「国防、国益を守り」
そうしてというのです。
「そして災害にもです」
「対さないといけないですね」
「イギリスにも災害はありますから」
「災害がない国は存在しないですね」
「地球の何処にも、災害がない国があれば」
先生は少し苦笑いになって言いました。
「それだけで楽園です」
「そう言っていいですね」
「そう思います」
「左様ですね」
堀与さんもその通りだとです、肉じゃがを食べつつ先生に頷いて応えました。見ればカレーも肉じゃがもとても美味しそうに食べています。
「災害はそこまで恐ろしいです」
「多くのものを破壊しまして」
「人命も奪います」
「その災害対策に対して甘く見ていますと」
「それだけで問題ですね」
「戦後それがわかっていない人が多くて」
堀与さんは前世のことも思い出しつつお話しました。
「悲しいと思っています」
「軍隊、自衛隊が不要と言う人がいることが」
「政治家や知識人に」
「活動家と呼ばれる人達にもですね」
「こうした人達は一つに固まっていまして」
そうしてというのです。
「おかしなことばかりです」
「言っていますね」
「していますが」
「自衛隊を否定する人達は一つの法則がありますね」
先生はカレーを食べつつ堀与さんに応えました。
「企業、資本主義、皇室、原発にです」
「反対していますね」
「そして何かと日本の過去を事実でないことを主にしまして」
「攻撃してきますね」
「そして北朝鮮に好意的です」
「そうした人達ばかり言ってきます、ですが」
「多くの、日本人の殆どはわかっていますね」
先生は堀与さんににこりと笑って答えました。
「左様ですね」
「そうです、基地の前で抗議活動を行う人達よりも」
遥かにというのです。
「基地に来て自衛隊を見て楽しんでくれたり時には撮影もです」
「してくれる人達の方が多いですね」
「それも遥かに」
堀与さんご自身も言いました。
「そうです」
「嬉しいことですね」
「そうした人達の方が遥かに多いことが」
「その通りですね」
「そしておかしな人がおかしなことを言えば」
その時はといいますと。
「すぐに多くの人に批判されますね」
「自衛隊を貶める様なことを言えば」
「心ある人達がそうしてくれますので」
「それは他の事柄でもですね」
先生は言いました。
「おかしな人がおかしなことを言えば」
「批判されますね」
「日本で地震が起これば地震を起こす兵器を政府が使ったとか」
「そんな兵器存在しません」
堀与さんはきっぱりと言い切りました。
「とても」
「そんなことが出来れば」
「どれだけ凄いか」
「地震のエネルギーは凄いですからね」
「核兵器以上と言っていいです」
「そんなエネルギーが生み出せるなら」
それならというのです。
「エネルギー問題にもです」
「かなり貢献してくれるかも知れないですね」
「ですから」
そう考えられるからというのです。
「有り得ないです」
「そんな兵器が存在していることは」
「はい、それに」
さらにお話しました、先生も学者さんなのでわかっています。
「そんなデマは陰謀論で」
「陰謀論には注意ですね」
「その言葉をよく検証してです」
そうしてというのです。
「事実かどうかをです」
「突き止めることですね」
「そうしないと大変なことになります」
「その通りです、何かありますと」
堀与さんも真剣なお顔で答えました。
「デマがです」
「よく出ますね」
「中には意図的にです」
「悪質なデマを流す人がいますね」
「画像を作成してまでして」
「行う人がいますね」
「悪質な人はいます」
どうしてもというのです。
「世の中には」
「その通りですね」
先生も残念に思いつつ答えました。
「世の中にはです」
「いい人もいればです」
「悪い人もいますね」
「そしてそうしたことを行う人もいますが」
意図的に悪質なデマを拡散する人がです、堀与さんはそのことを強く思いながらそのうえで先生にお話するのでした。
「そうしたことにはです」
「惑わされないことですね」
「何があっても」
それこそというのです。
「そのことが大事だとです」
「思われますね」
「まことに」
こう先生に言うのでした。
「まことに」
「それが時として取り返しのつかないことにつながります」
「その通りです、ただ今の我々は震災の経験が多く」
「それで、ですね」
「震災に対して冷静です」
そうだというのです。
「地震にも台風にも」
「津波や洪水にもですね」
「土砂崩れにも雪崩にも」
「大雨や竜巻、大雪も立派な災害ですが」
「兎に角災害が多く」
そうしたお国柄でというのです。
「経験することは常なので」
「災害に対して冷静ですね」
「冷静である分です」
それだけというのです。
「対応もです」
「冷静ですね」
「そうですし」
その為にというのです。
「私達もです」
「災害が起こった時にですね」
「有り難いです」
被災した人達が冷静であることがというのです。
「まことに」
「僕もそう思います、日本人は冷静です」
「災害が起こっても」
「このことは素晴らしい美徳です」
「そう言っていいですね」
「災害が起こりますと」
先生は暗いお顔でこうもお話しました。
「どうしてもで火事場泥棒という様な」
「よからぬことを働く人がいますね」
「はい」
まさにというのです。
「日本でも出ますが」
「そうしたことが起これば」
「ですが非常にです」
「火事場泥棒の様な輩が少ないですね」
「被災しても冷静でモラルを守り」
そうしていてというのです。
「真面目に救助と復興を待ち」
「救助や復興を活動する人達もですね」
「真面目に働いて」
そうしてというのです。
「そのうえで、です」
「迅速な救助と復興を果たしてくれますね」
「はい」
まさにというのです。
「自衛隊もまた」
「そうです、僕は自衛隊のことも学ばせてもらっていますが」
「理解してくれていますね」
「そのつもりです」
まさにというのです。
「常に。ですから」
「それで、ですね」
「これからも頑張って欲しいです」
「自衛隊にはですね」
「自衛官の方々にも。それに」
堀与さんを見て笑顔で告げました。
「堀与さんにもです」
「私にもですか」
「そうです、堀与さんご自身にも」
「そう言ってくれますか」
「ですから」
それでというのです。
「応援させてもらいます」
「有り難うございます、ではこれからも」
「頑張ってくれますね」
「日本と日本国民の為に」
是非にという返事でした。
「そうさせて頂きます」
「左様ですね」
「そして今は言葉の中に入れていますが」
そのまま出しはしないというのです。
「陛下の為にも」
「あの方の為にもですか」
「これは前世ではです」
「言えましたね」
「皇軍でしたので」
当時の日本軍はです。
「兵器一つ一つに菊の御紋が入っていましたし」
「日本軍はそうでしたね」
「ですから私もです」
「前世ではですね」
「皇軍であることに誇りを持ち」
そうであってというのです。
「陛下への忠義もです」
「持っておられましたね」
「ですから言葉の中にです」
「忠誠もですね」
「述べさせてもらっています」
「今の日本人も殆どの人が皇室に敬意を持っていますね」
「いいことです、北朝鮮の世襲の共産主義なぞと比べますと」
それこそというのです。
「あの国の軍隊も日本という国自体もです」
「比較するまでもない位ですね」
「日本の方が素晴らしいです」
「勿論皇室もそうで」
「自衛隊もです」
「その通りです、何故か自衛隊や皇室を嫌う人は北朝鮮が好きですが」
「私からしてみればおかしいことこの上なく」
そうであってというのです。
「今の言葉で言う変態とさえです」
「思われますね」
「そうした人達は気にしないことですね」
「はい」
まさにというのです。
「このことは」
「そうですね、ですがあくまで」
「日本人の殆どはわかっています」
「ご安心して下さい」
「そのこともわかっています」
堀与さんは笑顔で応えました、そうしてです。
先生はその堀与さんとカレーと肉じゃがを動物の皆も交えて食べました、そしてです。
午後も学会に出ました、先生は学会が終わった後で晩ご飯を食べてからホテルでくつろぎました。その時にです。
皆がです、先生に言ってきました。
「いや、まさかと思ったけれど」
「そうじゃないかしらってね」
「けれど実際にそうだったね」
「堀与さん東郷さんの生まれ変わりだったね」
「そうだったね」
「そうだね、多分ね」
先生は皆にお話しました、お風呂にも入ったのですっかりくつろいでいます。
「堀与さんに生まれ変わる前も」
「転生していたんだね」
「東郷さんの人生の後も」
「そうしていたのね」
「生まれ変わりはあるからね」
このことは事実だからだというのです。
「そうだったと思うよ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「人は滅多なことでは前世のことを知ることは出来ないよ」
このことは無理だというのです。
「どうしてもね」
「そうだよね」
「それは無理だよね」
「どうしてもね」
「それは出来ないね」
「そうだよ、輪廻転生は仏様のお仕事だから」
だからだというのです。
「人ではね」
「わからないよね」
「どうしても」
「そのことは仕方ないね」
「人間なら」
「そうだよ、人間の力は限られていて」
そうであてっというのです。
「仏様、そして神様から見るとね」
「小さいね」
「それこそ何でもないものだね」
「どんな人でも」
「それで若し自分がこの世で一番偉いとか思っていたら」
そうであったらというのです。
「信仰心がない、仏様も神様も信じていなくて」
「人間もわかっていない」
「そしてとんでもなく自惚れている」
「そんな人だね」
「ましてそんな人こそね」
自分がこの世で一番偉いと思っている様なというのです。
「何もわかっていなくて全く努力していない」
「そんな人だよね」
「まさに全くの無能」
「そんな人こそそうだね」
「そうであるものだよ」
皆にお話しました。
「勝手に天狗になっていてね」
「他の人も馬鹿にしてね」
「人の話も聞かなくなっていて」
「それでだよね」
「どうにもならなくなるんだよね」
「勝手にそう思っていたら」
そうであるならというのです。
「もう現実の自分も見なくて済むしね」
「まさに全くの無能」
「何もしないし出来ない」
「そして何も持っていない」
「そうした人だってことを」
「だからいいんだ、けれどそれは現実逃避でしかないから」
それ故にというのです。
「駄目だよ、それよりもね」
「努力しないとね」
「そして信仰も持つこともいいよね」
「本当にね」
「そうだよね」
「僕はそう思うよ、生まれ変わりを信じるということは」
まさにそのことはというのです。
「少なくともそれを行っている仏様や神様の存在を理解してね」
「信じていることだね」
「その形や大きさは人それぞれでも」
「そういうことだね」
「そうだよ、そしてね」
先生はさらにお話しました。
「僕が思うにね」
「何かな」
「どうなのかな」
「一体」
「いや、東郷さんが堀与さんに生まれ変わって」
このこと自体のお話もするのでした。
「今も日本の為に働いてくれていることはね」
「素晴らしいこと」
「そうだっていうのね」
「先生としては」
「そうだよ」
皆に笑顔でお話しました。
「前世でもいいことをしてね」
「そうそう、今の人生でもいいことをする」
老馬が応えました。
「それはいいことだね」
「徳を積むっていうんだよね」
こう言ったのはダブダブでした。
「それって」
「徳を積んでいって魂を磨いて」
トートーはそうしてと言いました。
「やがては解脱するんだよね」
「解脱は悟りを開くことだね」
「仏教ではそう言ってるね」
オシツオサレツは二つの頭でお話しました。
「輪廻転生を出て」
「それでずっと仏様になって生きるんだね」
「じゃあ東郷さんもなのね」
ガブガブは堀与さんを前世からお話しました。
「解脱に近付いているのね」
「それでやがては仏様になるのね」
ポリネシアも言いました。
「そうなのね」
「そう考えると今自衛官さんなのはいいことだね」
チーチーは腕を組んで考えるお顔で言いました。
「本当に」
「東郷さんだった頃は海軍で徳を積んで」
「今は自衛官としてなのね」
チープサイドの家族も考えるお顔でお話しました。
「そうなのね」
「どんどん徳を積んでいってるね」
「真面目で良心的な人だし」
ホワイティは堀与さんを見てお話しました。
「今も凄い徳を積んでいることは間違いないよ」
「僕もそう思うよ、そしてね」
先生は皆にお話しました。
「僕達も仏教の考えだとね」
「輪廻転生の中にあるね」
「そして何度も生まれ変わってるね」
「数えきれないだけ」
「そうなっているね」
「そして徳を積むか不徳を積むかして」
そうしてというのです。
「生きていっているんだ」
「何度も生まれ変わって」
「それぞれの生をだね」
「そうしているんだね」
「今も」
「そうなっているよ、そしてね」
それでというのです。
「やがてはだよ」
「解脱だね」
「それを迎えるね」
「そうなる様にしていくのね」
「そうだよ、僕も何度も生まれ変わっていて」
そうしていてというのです。
「そのうえでだよ」
「徳を積んでいるか不徳をそうしているか」
「前世はわからないけれど」
「解脱するのね」
「やがては」
「悟りを開いたらね、どうもね」
先生はさらにお話しました。
「座禅を組んだり修行を重ねたりね」
「徳を積む」
「そうしていっているとだね」
「いいんだね」
「そうみたいだね」
こうお話するのでした。
「解脱には。それにそうしていけば周りもね」
「助かるしね」
「人を助けて我が身助かるっていうけれど」
「天理教じゃね」
「仏教でもそうだね」
「若し自分さえよくて悪いことばかりしてるなら」
そうした人はといいますと。
「人に好かれる筈ないし」
「徳なんて積まずに」
「そうしてだね」
「生きていくとね」
「そんなことをしたら」
先生は皆にお話しました。
「その人生でもいいことはないし」
「結末はね」
「いいものである筈がないね」
「皆から嫌われて」
「何処にも居場所がなくなってね」
「そして誰もが助けるどころか」
むしろというのです。
「敵になってね」
「それだよね」
「大変なことになるよね」
「そして悲惨なことになるね」
「絶対に」
「そして生まれ変わっても」
そうした末路を迎えてというのです。
「それでもだよ」
「いいことはないね」
「絶対に」
「そうよね」
「碌なはじまりじゃないね」
「生まれ変わっても」
「そうなるよ、それが生まれ変わりで」
輪廻転生でというのです。
「それぞれの生の中でだよ」
「徳を積む」
「そして何度も生まれ変わって徳を重ねていって」
「そうしてだね」
「解脱に至ることだね」
「それが仏教の教えだよ、その教えをね」
まさにというのです。
「堀与さんも添っているってことだね」
「そうだよね」
「まさにそうなるわね」
「あの人いい人生送っておられるわね」
「そうよね」
「そう思うよ」
先生は確かなお顔で言いました、そうしてです。
この日はその後で寝ました、そして学会の間も学問に励み堀与さんとお話しました。それが終わると堀与さんとお互い再会を約束して神戸に戻るのでした。