『ドリトル先生と不思議な自衛官』
第三幕 舞鶴への旅
舞鶴に行くことは日程まですぐに決まりました、それで先生は皆に準備万端整えてもらいました。その時にです。
「僕も招待されたよ」
「王子もなんだ」
「うん、というか父上からね」
国王からというのです。
「招待の為にね」
「即位したら軍隊にも関わるからだね」
「僕が将来王様になったら」
即位してというのです。
「首相と国防大臣も軍を指揮出来るけれど」
「王子が最高司令官になるね」
「軍隊のね」
「国家元首になるからね」
「国家元首はね」
その立場の人はというのです。
「どの国でもその国の軍隊の最高司令官だね」
「そうだよ、イギリスでもね」
先生は王子にお話しました、今はお家の居間でちゃぶ台を囲んでくつろいでいます。そのうえでのお話です。
「イギリス国王がね」
「イギリス軍の最高司令官だよね」
「陸空海三軍のね」
「そうだよね」
「ロイヤル=ネービーというけれど」
イギリス海軍はです。
「国王、イギリス王室が指揮するね」
「海軍って意味だね」
「そうだしね」
こうしたこともあってというのです。
「本当にね」
「イギリスではだね」
「国王陛下がね」
「軍の最高司令官だね」
「それはどの国でも同じだよ」
「王様にしても大統領にしても」
「その国家の軍隊の最高司令官だよ」
「そうだね」
「そう、そしてね」
さらにお話する先生でした。
「日本は少し違うんだ」
「天皇陛下は自衛隊の最高司令官か」
「自衛隊は軍隊ではないからね」
そうなっていてというのです。
「そして天皇陛下は国の象徴となっているから」
「どう見ても軍隊で国家元首だけれど」
「そこは色々複雑でね」
「天皇陛下は違うね」
「総理大臣がね」
この人がというのです。
「自衛隊の最高司令官だよ」
「そうなっているんだね」
「けれどそれは僕が思うに」
「ちゃんとすべきだね」
「やっぱり自衛隊は軍隊だし」
そうした組織であってというのです。
「天皇陛下も日本の国家元首であられるのでね」
「日本軍の最高司令官にだね」
「なられるべきだね」
「戦争前みたいに」
「うん、そう思うよ」
こうお話するのでした。
「僕はね」
「それが普通だしね」
「うん、それにね」
さらにお話する先生でした。
「舞鶴に行くけれど」
「これからね」
「とても楽しみだよ」
「僕もだよ、舞鶴もね」
「何かと学べるね」
「いや、調べたら街並みも自然の景色もいいから」
王子はそれでと言うのでした。
「結構以上にね」
「期待しているんだね」
「ネットで調べたらね」
「そうなんだね」
「それに美味しそうなお店もね」
「多いんだね」
「舞鶴は自衛官の人達の街で」
そうであってというのです。
「飲めるお店もね」
「多いからだね」
「しかもトマトアンドオニオンの一号店も」
「あの全国チェーンの」
「そちらもあるから」
このこともあってというのです。
「自衛隊を見られるし」
「何かと楽しみなんだね」
「カレーも楽しみだしね」
「そうそう、カレーはね」
先生は何と言ってもとです、王子に応えました。
「やっぱりね」
「海上自衛隊のお料理の代表だね」
「肉じゃがと並んでね」
「そうだった、肉じゃがも」
こちらもとです、王子は笑顔で言いました。
「海軍からで」
「海上自衛隊を代表するね」
「そうしたお料理だったね」
「あれっ、肉じゃがって」
まずは食いしん坊のダブダブが反応しました。
「どう見てもね」
「日本のお料理ね」
料理上手のガブガブも言いました。
「本当に」
「お醤油にお砂糖に味醂で味付けしてるからね」
ジップも言います。
「完全に和食だね」
「何か海軍って洋食のイメージがあって」
それでと言うポリネシアでした。
「肉じゃがってないわね」
「兵隊さんはご飯ばかりって聞いてるけれどね」
トートーはそのお食事自体のお話をしました。
「士官の人達は洋食で」
「けれどカレーは皆食べていたっていうし」
「海軍は洋食よね」
チープサイドの家族もお話します。
「やっぱり」
「そうよね」
「それで肉じゃがなんだ」
ホワイティは思わず首を傾げさせました。
「どうもピンとこないね」
「お肉は明治から食べる様になったけれど」
チーチーはそれでもと言いました。
「元のお料理は江戸時代からあったんじゃないかな」
「明治からの食べものにしても」
ジップはそう仮定してお話します。
「海軍からじゃないんじゃないかな」
「家庭料理じゃないかな」
老馬はこう考えました。
「それか何処かのお店で考えだされた」
「日本ってそうしたお料理多いしね」
「何かとね」
オシツオサレツも二つの頭で言います。
「だからね」
「そういうのじゃないかな」
「いや、これは面白いお話でね」
先生はどうかと言う皆に笑顔でお話しました。
「東郷平八郎さんからなんだ」
「あの帝国海軍の大提督さんだね」
「黄海海戦に勝った」
「何と言っても日本海海戦で大勝利を収めた」
「あの人だね」
「そう、元帥にもなったね」
先生は東郷さんのこのこともお話しました。
「まさに帝国海軍を代表する人だね」
「英雄と言っていいね」
「日露戦争の」
「乃木大将と並ぶね」
「それだけの英雄だね」
「あの人はイギリスに留学したことがあるんだ」
このことからお話します。
「海軍の有望な士官としてね」
「それで海軍のことを学んだんだね」
「イギリスで」
「そうだったのね」
「国際法も学んでね」
海軍のことに加えてというのです。
「そこでイギリス料理にも触れたよ」
「イギリスのお料理って評判悪いけれど」
「世界的に」
「まあそれでも海軍の食事はいいからね」
「士官の人達のは」
「そうだね、その中でね」
イギリス海軍のお料理でというのです。
「ビーフシチューに触れたんだ」
「ああ、あのお料理だね」
「欧州の何処でもある気がするけれど」
「それを食べてなんだ」
「それでなんだ」
「うん、そしてね」
そうしてというのです。
「ビーフシチューが気に入って」
「よく食べたんだ」
「イギリスで」
「そうだったのね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「日本に帰ったけれど」
「その時にビーフシチューを食べたんだ」
「そうだったんだ」
「その時に」
「いや、体調を崩したか食べたくなって」
それでというのです。
「給養、おりょくじを担当する兵隊さんに食材だけ言って作って欲しいって言ったら」
「その人が日本の調味料を使って」
「それで作ったんだ」
「そうだったの」
「それがなんだ」
まさにというのです。
「肉じゃがだったんだ」
「へえ、そうだったんだ」
「それは意外ね」
「まさかそれで誕生したなんて」
「流石に思わなかったわ」
「僕もだよ、お話を聞いて驚いたよ」
先生もというのです。
「食材は同じでもね」
「牛肉にじゃがいもに人参」
「それに玉葱」
「まあ肉じゃがが糸蒟蒻入れる場合もあるけれど」
「基本は同じね」
「それをおソースとかじゃなくて」
調味料はというのです。
「お醤油とお砂糖、味醂を使ったら」
「ああなるんだ」
「肉じゃがに」
「ビーフシチューになると思ったら」
「ああなるんだね」
「思わぬものが出て来て」
そうなってというのです。
「東郷さんも大喜びだったんだ」
「物凄いお話だね」
「何か前にお話した気もするけれど」
「そんなお話だったんだ」
「肉じゃがは」
「そうだね、日本人は色々面白いものを生み出す人達で」
それでというのです。
「それはお料理についてもで」
「それでだね」
「肉じゃがも生まれたんだ」
「そうした経緯で」
「そう、そして」
それにというのです。
「これは舞鶴のお話だよ」
「東郷さんが舞鶴にいた時になんだ」
「そうしたことがあったんだ」
「そうだったんだ」
「佐世保もそう主張しているけれど」
こちらの街もというのです。
「けれどね」
「それでもだね」
「そうしたお話なのね」
「肉じゃがにはそうした誕生のお話があって」
「舞鶴のお話なんだ」
「その舞鶴に行って」
先生は笑顔でお話しました。
「海軍のことを学ばせてもらって」
「コラムも書かせてもらって」
「そして肉じゃがも食べて」
「色々飲んで食べるんだね」
「そうしようね」
こう言ったのでした。
「皆でね」
「いいね、肉じゃがも凄く美味しいよね」
王子は満面の笑顔で応えました。
「あちらも」
「そうだよね」
「うん、京都府にあっても」
「京都市とは全く違うね」
「けれどね」
それでもというのです。
「舞鶴は舞鶴でね」
「いい街だね」
「調べてそう思ったから」
だからだというのです。
「本当にね」
「今から楽しみだね」
「行くことがね」
本当にというのです。
「僕もね」
「僕もだよ」
先生も言います。
「今からね」
「そうだよね、それじゃあ」
「行こうね」
「僕は留守番ですね」
王子はこう言ってきました。
「今回は」
「お願い出来るかな」
「はい、講義もありますし」
大学のというのです。
「お家のお掃除もしっかりやらせてもらいます」
「頼むよ、僕はお掃除はね」
先生はご自身から言いました。
「お料理もお洗濯も駄目だからな」
「まあそれは」
「得意不得意かな」
「誰にもありますよね」
「スポーツとね」
こちらにというのです。
「家事それに世事のことは」
「先生は、ですか」
「全く駄目だからね」
それでというのです。
「自覚しているよ」
「それはそうだけれど」
「本当に誰でも得意不得意はあるでしょ」
「僕達だってそうだし」
「先生もそうでしょ」
「それだけのことよ」
動物の皆が先生に言います。
「そんな悪く言うこともないし」
「思うこともないよ」
「先生は学問が凄くて」
「しかも公平で優しい紳士だし」
「問題ないよ」
「先生程いい人はいないよ」
王子も言います。
「本当にね」
「そうだよね」
「先生凄くいい人でね」
「紳士でね」
「物凄く幸せになれるよ」
「これからもね」
皆で先生にお話します。
「今も幸せだけれど」
「これからもっとね」
「幸せになれるよ」
「本当にね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「もっと周りを見ようね」
「そうしようね」
「今度は恋愛かもね」
「そちらになるかもね」
「ははは、恋愛は僕には無縁だよ」
こちらのことは全く自覚のない先生でした。
「得意不得意以前にね」
「もてる要素がない」
「そうだっていうんだね」
「先生は」
「うん、だからね」
それ故にというのです。
「僕はそちらは求めないよ」
「求めたらいいじゃない」
王子は呆れたお顔でこう突っ込みを入れました。
「周り見てね」
「王子もそう言うね」
「というか先生お見合いすら考えないね」
「来日してから暫く勧められていたよ」
「そうだったんだね」
「けれど僕が結婚するとか」
「想像出来なかったからだね」
「お断りしていて。そうそうどういう訳か」
先生はふと気付いて言いました。
「日笠さんとお知り合いになったら」
「それからだね」
「どうもね」
考えつつ言うのでした。
「そうしたお話が来なくなったね」
「それはどうしてかな」
「どうしてだろうね」
何もかもがわかっていないことが誰もが物凄くわかる返答でした。
「不思議だよ」
「かなりあからさまだと思うけれど」
「そうなのかな」
「まあね、ただ舞鶴に行ったなら」
王子は呆れつつ言いました。
「トミーに他の親しい人にサラさんに」
「お土産を買わないとね」
「そしてね」
「そして?」
「日笠さんには何があっても」
それこそというのです。
「買わないとね」
「何処かに行ったらいつも言われるね」
「僕も言うしね」
「トミーも皆もね」
「言わないでいられないからだよ」
それでと言う王子でした。
「本当にね、ただね」
「ただ?」
「京都駅から舞鶴に行くね」
「うん、八条駅から神戸に行って」
そしてとです、先生は王子に答えました。
「今回は新幹線でね」
「まず京都まで行って」
「そしてね」
「そこから舞鶴だね」
「そうして行くよ」
「京都から舞鶴に路線があるから」
「それに乗って」
そうしてというのです。
「行くよ」
「そうするね」
「今回は鉄道でね」
「そうだね、しかしね」
「しかし?」
「新幹線なんだ」
「それがどうかしたのかな」
「皆も一緒なんだね」
「うん、手配してもらったよ」
生きものの皆にお顔を向けつつ王子に答えました。
「今回はね」
「それは何よりだね」
「新幹線もいいよね」
「まさに日本の鉄道の象徴だね」
「本当にね」
「それでだね」
「僕も乗るのが楽しみだよ」
こう言うのでした。
「本当にね」
「新幹線いいよ」
王子は満面の笑顔で応えました。
「速いし乗り心地もよくて」
「最高だね」
「うん、世界にもね」
「あんないい鉄道はないね」
「まさに鉄道大国日本の象徴だよ」
そう言うべきものだというのです。
「その新幹線に乗ってだね」
「まずは京都まで行こうね」
「そうしようね」
こうしたお話をしてでした。
先生達は実際に新神戸駅から新幹線に乗りました、するとお話した通りに物凄い速さでしかもでした。
「うわ、快適だね」
「乗り心地いいね」
「これが新幹線なのね」
「素敵だね」
「そうだね、皆もそう思うね」
先生は席に座りながら一緒にいる皆に応えました。
「新幹線は」
「うん、噂には聞いていたけれど」
「これはいいね」
「ずっと乗っていたい位よ」
「そこまで素晴らしいよ」
「そうだね、いや乗っていると」
先生はしみじみとした口調で言いました。
「日本の鉄道の凄さもわかるよ」
「そうだよね」
「明治維新で早速導入して」
「日本全土に線路を敷いてね」
「色々な列車も出て来たね」
「その数と種類もね」
先生は列車のお話もしました。
「凄いからね」
「日本はね」
「文字通りの鉄道大国で」
「その象徴が新幹線だね」
「日本の鉄道技術の結晶だね」
「そう言っていいよ、しかもね」
先生はさらに言いました。
「日本全国の駅弁も食べられるよ」
「そうだね、それじゃあね」
「丁度お昼だしね」
「駅弁も食べましょう」
「そうしましょう」
皆も応えてでした。
皆で駅弁も食べました、そして京都駅に着くとそこから舞鶴線に行ってそこで舞鶴に行く特急に乗りました。
すると今度はすぐに山の中に入ったので。
「こんな山の中にまで線路があるからね」
「これまた凄いね」
「険しい山を幾つも越えて」
「それで進んでいくんだ」
「うん、こうした鉄道の旅もいいね」
王子は皆と一緒に凄く満足しているお顔でお話しました。
「凄くね」
「そうだよね」
「日本は山が物凄く多くて」
「線路も山の中にある場合が多いけれど」
「その山道を進んでいくのもいいね」
「本当にね」
「この山を進むことはね」
先生は皆にお話しました、新幹線でお弁当を沢山食べてお腹一杯ということもあり普段以上に穏やかな笑顔になっています。
「やっぱりね」
「そうそうだよね」
「出来ないよね」
「線路を敷くことも大変だし」
「車道だってね」
「だから昔はね」
かつてはというのです。
「敦賀から滋賀県の西を通ってね」
「琵琶湖西岸の方だね」
「あちらを通って」
「それで舞鶴辺りまで行っていたのね」
「うん、この丹波高地がね」
今列車を通っているそこがというのです。
「京都の北にあるから」
「それでだね」
「中々進めなくて」
「回り道していたんだね」
「敦賀なら滋賀県を通った方が速いけれど」
この街ならというのです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「舞鶴からどう京都に行くか」
「昔だと」
「回り道をして」
その丹波高地を避けてというのです。
「行っていたんだ」
「そうだったんだね」
「そうして行き来していたのね」
「昔は」
「そうなんだ、日本は本当に山が多くて」
そうした地理的状況でというのです。
「京都府も同じでね」
「盆地だしね」
「もうすぐそこに山があって」
「その山に囲まれていて」
「府全体でも多いしね」
「だからだよ」
それでというのです。
「昔は行き来が難しかったよ、しかしね」
「今はだね」
「この舞鶴線があるから」
「それで行き来出来るね」
「かなり楽に」
「そうだよ、じゃあ舞鶴に行こうね」
こうお話してでした。
皆で舞鶴に向かいます、そしてその舞鶴に着いて駅から降りるとまずは大きな開けた道があってです。
商店街もあります、皆はその街並みを見てお話しました。
「日本の街って結構入り組んでいるけれど」
「京都は違うけれど」
「舞鶴は違うね」
「整ってる感じがするわね」
「軍港の街だからね」
それでとです、先生はお話しました。
「こうして駅から街並みはね」
「整備されているんだ」
「道は」
「そうなのね」
「そうだよ、日本は確かに入り組んでいるけれど」
街並みはというのです。
「こうした街もあるんだよ」
「そうなのね、ただね」
ここでガブガブはこんなことを言いました。
「肌寒いわね」
「そうね、神戸と比べても」
ポリネシアはガブガブの言葉に頷きました。
「そんな感じがするわ」
「京都駅に出た時よりも寒いよ」
ホワイティはこう実感しました。
「舞鶴に出たら」
「何でこんなに寒いのかな」
トートーは思わず首を傾げさせてしまいました。
「同じ京都府なのに」
「神戸ともそんなに離れていないのに」
それでもとです、ジップも言います。
「結構寒いね」
「流石に北海道程じゃないけれど」
「確かに寒いね」
オシツオサレツも二つの頭で言いました。
「神戸や京都よりも」
「どうもね」
「そういえば先生スーツの下にセーター着てるね」
ダブダブはこのことに気付きました。
「そうしてるね」
「そういえばそうだね」
チーチーも見て気付きました。
「王子もセーターにマフラーだしね」
「寒いからだね」
「実際にそうだし」
チープサイドの家族も言います。
「それでなんだ」
「着たんだ」
「こんなに寒いなんて思わなかったよ」
老馬は本音を言いました。
「まさかね」
「うん、日本海側は雪が多くてね」
先生は皆にお話しました。
「それで気候もね」
「寒いんだ」
「そうなのね」
「この舞鶴も」
「そうなんだ」
こう皆にお話します。
「日本海もあるしね」
「そういえば日本海って荒れやすくて」
「風が強くて」
「そのこともあってなのね」
「太平洋側より寒いんだ」
「そうなんだ、だから同じ京都府でも」
それでもというのです。
「京都市よりもね」
「舞鶴市は寒いんだね」
「京都市も冬寒いけれど」
「舞鶴市はもっとなんだ」
「寒くてね」
それでというのだ。
「僕達もセーター着たんだ」
「そういうことだね」
「じゃあ僕達も気を付けないとね」
「この寒さにはね」
「そうしてね、じゃあまずはホテルに入ろうね」
先生は舞鶴駅から宿泊先のホテルに向かいました、途中歩きましたがそこで海が見えました。その海はといいますと。
「暗いね」
「重い感じがするね」
「まさに冬の海だね」
「しかも波が高いし」
「そう、これが舞鶴の海で」
先生達は海沿いの道を歩いています、その中で先生は皆に説明しました。
「冬はこうなるんだ」
「何か船で出ても」
「動かすのが難しそうだね」
「どうもね」
「かなり難しいよ」
皆にその通りだと答えました。
「舞鶴もっと言えば冬の日本海はね」
「やっぱりそうだね」
「この波の高さだとね」
「進むのは難しいわ」
「操艦が大変だよ」
「その冬の日本海でも多少は出てね」
そうしてというのです。
「行動しているんだ」
「海上自衛隊の護衛艦は」
「そうしているのね」
「こんな荒れた海に出て」
「そうしても」
「あの通りね」
見れば実際に海に一隻の護衛艦があります、その海を進んでいます。
「動いているよ」
「うわ、本当だ」
「本当にこの海を進んでいるよ」
「これは凄いよ」
「物凄いわね」
「この舞鶴の辺りも航海が大変で」
それでというのです。
「横須賀は世界一船の行き来が多くて」
「ああ、江戸湾わね」
「東京や横浜があるから」
「どちらも世界屈指の港町だから」
「船の行き来がとんでもなく多いね」
皆もこのことは知っています。
「そして佐世保の辺りは海流が複雑で」
「やっぱり船が進みにくいんだ」
「あの辺りも」
「そうなのね」
「大湊の辺りも北海道のオホーツク海でね」
「あそこも荒れるよね」
「冬のオホーツク海って」
「大湊ってあちらに近いから」
「あそこまで行ったりするのね」
「そうだよ、そして特にね」
先生は一呼吸置いてお話しました。
「呉がね」
「瀬戸内海にある」
「広島県のあの街ね」
「あそこも軍港だったし」
「今も海自さんの基地があるわね」
「瀬戸内海も世界各国の船が行き来しているね」
先生は瀬戸内海についてまずこのことをお話しました。
「大阪に神戸って港があるから」
「そうそう」
「瀬戸内海って船多いのよね」
「もう色々船が行き来してるわ」
「あまり広くない海の回廊みたいな場所だけれど」
「しかもあそこは小島も多くて」
そうした地理的環境でというのです。
「海流も複雑でそれが季節によって変わるし」
「とんでもないわね」
「船の行き来が多くて小島も多くて」
「海流もそうって」
「迷路みたいじゃない」
「しかも日本近海は漁業が盛んだから」
その為にというのです。
「漁船や網もね」
「多いんだ」
「尚大変だね」
「そんな環境だと」
「そうした海をいつも行き来しているから」
それでというのです。
「海自さんの操艦技術は凄いんだ」
「何処も大変だから」
「難所ばかり進んでいるから」
「その技量は凄いんだ」
「特に呉の辺りは世界屈指の難所で」
航海するにはというのです。
「そこを母港にしているとね」
「あまりにも大変だから」
「それでなんだね」
「操艦技術が物凄いんだ」
「そんなところを母港にしているから」
「そうなんだ、だから海自さんは強いよ」
そうでもあるというのです。
「とんでもない操艦技術を持っているからね」
「そういえば帝国海軍もだったね」
王子は海上自衛隊の前身であるこの組織のお話をしました。
「操艦技術が物凄かったね」
「むしろ海自さん以上だったと言われてるね」
「猛訓練があってね」
「月月火水木金金のね」
つまり一週間休みなしのです。
「それを行ってね」
「物凄い技術を備えていたね」
「だから強かったんだ」
「そうだね」
「陸軍さんも強かったけれど」
「海軍さんもだね」
「桁外れにね」
そう言っていいまでにというのです。
「強かったんだ」
「そうだったね」
「しかも軍律も厳しかったから」
このこともあってというのです。
「規律もよくて」
「そうだと軍が引き締まってね」
「気持ちがね」
「整理整頓も行き届いて」
「尚更強かったんだ」
「そうだったね」
「数が同じなら」
先生はそうであったらとです、王子にその海と護衛艦を観つつお話しました。護衛艦は荒れた海を何なく進んでいます。
「あの海軍に勝つことはね」
「難しかったね」
「実際イギリス海軍は負けたよ」
「お手本にされていたけれど」
「言うならイギリス海軍がお師匠さんだったけれど」
帝国海軍から見てです。
「けれどね」
「負けたね」
「二次大戦でね、戦争自体には勝ったけれど」
「連合国の中にいてね」
「あの戦争ではね」
先生は少し苦笑いになってお話しました。
「イギリスだけではね」
「日本に勝っていないね」
「マレー沖で負けて」
「そのイギリス海軍が」
「シンガポールもマレーも失ってミャンマー、かつてのビルマもだったから」
それでというのです。
「もうね」
「勝ったとはだね」
「言えないよ、いや凄いお弟子さんとね」
「帝国海軍は言えるね」
「お師匠さんにあたるイギリス海軍を叩きのめしたんだから」
「それだけ負けたってだね」
「僕は思うよ」
実際にというのです。
「本当にね」
「凄いお弟子さんだね」
「全く以てね」
「そして今もだね」
「海自さんは強いよ、勿論陸自さんも空自さんもね」
こちらもというのです。
「凄くね」
「強いんだね」
「訓練が行き届いていて規律厳正で」
そうしてというのです。
「兵器も質がよくて整備も行き届いているから」
「強いんだね」
「だから災害の時もね」
地震や台風の時もです。
「確かに動けているんだ」
「強いからこそ」
「若し弱い軍隊なら」
そうであるならというのでした。
「あそこまで万全にはね」
「動けないね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「とてもね」
「そうなんだね」
「弱い軍隊はああしたね」
「災害の時にだね」
「どれだけ動けるかでわかるよ」
「戦争じゃなくて」
「うん、よく訓練されていて規律正しくて」
そうしてというのです。
「組織として行動出来る軍隊がね」
「強いんだね」
「それも万全に動ける」
「考えてみたら」
王子はここまで聞いて言いました。
「災害も戦争と変わらないね」
「人の命がかかっていてね」
「守って助けるから」
「脅威からね」
「だから戦争と変わらないね」
「そうだよ、確かに日本は戦争には直接関わっていなくてね」
そうした状況でというのです。
「平和だけれどね」
「それでもだね」
「災害がとても多いから」
そうした自然環境の中にある国だからだというのです。
「もう常にね」
「脅威を受けているね」
「そうした国だから」
「すぐにわかるね」
「うん、自衛隊の強さもね」
このこともというのです。
「わかるよ」
「災害が起こった時いつも万全に動いてくれるから」
「そして多くの人達を助けてくれてね」
そうしてというのです。
「復旧作業もしてくれるから」
「強いってわかるんだね」
「そうだよ、戦争だけじゃないんだ」
軍隊やそうした組織が動く時はというのだ。
「災害が起こってもだよ」
「脅威だね」
「その脅威に見事に対応出来るならね」
「その軍隊は強いね」
「うん、組織としてね」
「軍隊は組織だからね」
「組織として打動けたら」
そうであるならというのです。
「本当にね」
「強い軍隊だね」
「それで自衛隊もだよ」
「強いってわかるね」
「そうなんだ」
先生はこのことは笑顔でお話しました、そのうえで皆と一緒にホテルに入りました。先生は動物の皆と同じお部屋で王子はホテルのロイヤルスイートに入りました。
「僕達もスイートだけれどね」
「やっぱり王子はね」
「一国の太子さんだからね」
「ホテルのお部屋はいつもロイヤルスイートね」
「一番いいお部屋になるね」
「それはね」
皆にそのスイートルームの中でお話します。
「もうね」
「絶対だよね」
「王子様なんだから」
「しかも王太子であられるから」
「僕達はお友達として接しているけれど」
王子に対してです。
「やっぱりね」
「王子は王子だね」
「一国の」
「日本の皇室の方々ともお会いして会談出来る」
「そうした立場だね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「彼はね」
「そうだよね」
「やっぱり王室の人って違うわね」
「その立場がね」
「どうしても」
「そうだよ」
まさにというのです。
「かなりのものだよ」
「いや、だからね」
「ホテルのお部屋も別で」
「それでも何かあったらね」
「お邪魔させてもらうね」
「王子が呼べばね、そしてね」
そのうえでというのです。
「これからね」
「海自さんの基地に行って」
「そしてだね」
「見させてもらうのね」
「何かとね」
そうだというのです。
「そうさせてもらうよ」
「うん、それじゃあね」
「そうしたこともしながらね」
「学んでいって」
「そしてコラムも書きましょう」
「そうしようね」
皆に笑顔で応えました、そうしてでした。
先生は王子に皆と一緒に自衛隊をその目で見て学ぶことに入りました。冬の舞鶴の中でのことでした。