『ドリトル先生とラーメン』
第八幕 屋台のラーメン
王子が先生の研究室に来て先生に笑顔で言ってきました。
「実は面白いお店見付けたんだ」
「何のお店かな」
「ラーメン屋さんでね」
先生と一緒に先生が煎れてくれたミルクティーを飲みつつお話します。
「屋台なんだ」
「ああ、そちらのお店なんだ」
「前から興味あったんだ」
王子は笑顔で言うのでした。
「屋台のラーメン屋さんもね」
「あちらのラーメンも美味しそうだね」
「それでなんだ」
「お店に入ってみたんだね」
「執事さんと一緒にね」
「私もお供させてもらいました」
王子のお傍に控える執事さんも答えてきました。
「そしてご相伴に預かりました」
「いつも通りですね」
「二人で食べたんだ」
王子はにこにことして先生に言いました。
「その屋台のラーメンをね」
「それでどうだったのかな」
先生はその王子に尋ねました。
「味は」
「美味しかったよ」
さらに明るく笑っての返事でした。
「本当にね」
「そうだったんだ」
「満足したよ」
こうも言う王子でした。
「本当にね」
「それは何よりだね」
「それでね、先生もどうかな」
王子は先生にこうも言いました。
「その屋台にね」
「僕も行って」
「そしてね」
「屋台のラーメンを食べるんだね」
「どうかな」
「是非共」
これが先生の返答でした。
「そうさせてもらうよ」
「じゃあ屋台の場所とお店が出ている時間を言うね」
「屋台だと」
そうしたタイプのお店ならというのです。
「やっぱり時間は」
「夜だよ」
「そうだね」
「屋台はね」
「うん、お昼は皆働いていてね」
「いつも皆来ないから」
「夜に仕事帰りに来るお客さん相手が多いから」
「そのお店もね」
「営業時間は夜だね」
「五時位からね」
王子は営業時間のお話をこれまでよりも詳しくしました。
「やってるよ」
「それで場所は何処かな」
「それはね」
王子は場所のお話もしました、その場所も聞いてでした。
先生はその日のお仕事の後でその屋台に行くことにしました、勿論動物の皆も一緒に行くことにしました。
先生はこの日の講義が終わって五時になるとです。
学校を出て皆と一緒に屋台の場所に向かいます、その時皆が言ってきました。
「さて、どんな味かな」
「楽しみだよね」
「今から」
「そうだね、実はね」
先生も言います。
「屋台のラーメンもね」
「食べたかったんだね」
「今ラーメンのことを学んでいるし」
「しかもアンケートも取ってるし」
「それでだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「お店のラーメンもインスタントラーメンも食べて」
「そしてね」
「普通のラーメン屋さんだけじゃなくて」
「学校の食堂のラーメンも食べて」
「屋台のラーメンもだね」
「それも食べたかったんだね」
「食べものを学ぶにはまず食べること」
先生はにこりと笑って言いました。
「そうだね」
「うん、確かにね」
「その通りだよ」
「食べものは食べないとわからないよ」
「そうしないとね」
「だからね」
そう考えるからだというのです。
「僕だってね」
「最近ラーメン食べてるね」
「前からだけれど」
「最近は意識してね」
「そうしているね」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「学んでいるよ、そしてね」
「今からね」
「屋台のラーメンも食べる」
「そうするわね」
「日本の屋台のラーメン屋さんは博多が有名だけれど」
九州のこの地域のというのです。
「結構日本のあちこちにね」
「あるよね」
「昔ながらのね」
「そうしたお店もね」
「これが風情があるね」
にこりとして言う先生でした。
「本当にね」
「そうなんだよね」
ホワイティが笑顔で応えました。
「屋台もね」
「アジアって屋台多いよね」
こう言ったのはトートーでした。
「東南アジアなんかでもね」
「そうそう、木造のお店で」
ジップも言ってきました。
「あれはあれでね」
「凄く風情があって」
それでと言うガブガブでした。
「いいのよね」
「日本の屋台もいいんだよね」
「そうなのよね」
チープサイドの家族も言ってきました。
「やっぱり木造で」
「ラーメン以外にもおでんもあるね」
「そうしたお店に入って食べる」
チーチーは実際にと言いました。
「これもまたよしだね」
「今から楽しみだよ」
ダブダブは実際にそうなっています。
「今から食べるのがね」
「王子は美味しいって言ってるし」
「絶対に美味しいよ」
オシツオサレツは王子の発言から言います。
「王子は嘘吐かないからね」
「何があってもね」
「神戸、関西だから薄口醤油かな」
老馬はラーメンが具体的などんなものか考えました。
「やっぱり」
「そうね、麺は縮れていてね」
ポリネシアはこちらのお話をしました。
「そんな風ね」
「さて、全ては行ってみてのお楽しみだよ」
笑顔で言う先生でした。
「そしてね」
「食べてみてわかる」
「そうだね」
「そうしたことはね」
「そうだよ、だから今から行こうね」
笑顔で言ってでした。
皆で王子が紹介してくれた屋台に行きます、屋台は昔ながらの木造のお店で傍にライトバンがあります。何人か座れる席があってです。
先生はラーメンを注文して待っているとでした、そのラーメンがすぐに来ました。
「速いね」
「もう出来たんだ」
「こんなに速いなんてね」
「屋台は速さも勝負だからね」
先生は皆にお箸を取ってから言いました。
「それでだよ」
「ああ、さもないとね」
「お客さんどんどん来るし」
「席もあまり用意出来ないし」
「それでだね」
「建物のお店よりもね」
そうしたお店と比べてというのです。
「どうしてもね」
「速くなるね」
「出来るのもスピード勝負」
「そうなるね」
「そうだよ、じゃあ食べようね」
先生はすぐに食べはじめました、そのラーメンはといいますと。
皆の分もどんどん来ます、それで皆も食べつつ言います。
「薄口醤油だね」
「鶏ガラスープで」
「それで麺は縮れていて」
「チャーシューにメンマ、お葱に海苔に」
「半分に切ったゆで卵も入っていて」
「これはまさにね」
先生は麺をすすって言いました。
「昔ながらの屋台のね」
「ラーメンだね」
「そう言っていいわね」
「このラーメンは」
「そう、そしてね」
今度はスープを少し飲んでから言いました。
「味もね」
「スープは飲みやすくて」
「適度に濃厚で」
「それで麺はコシも風味もある」
「具もいいね」
「美味しいよ」
先生ははっきりと言いました。
「このラーメンは」
「そうだね」
「王子が言う通りね」
「美味しいわ」
「紹介してもらってよかったよ」
こうも言う先生でした。
「全く以てね」
「うん、そうだね」
「それじゃあね」
「このままね」
「皆で食べよう」
「そうしようね」
こう皆に言ってでした。
屋台のラーメンを食べます、そしてです。
食べ終わってからお家に帰ってトミーにそのお話をしますとトミーにこんなことを言われたのでした。
「それはいいですが夕食前に:」
「食べることはだね」
「どうも、ですね」
「夕食が入らないからだね」
「それは大丈夫ですか?」
「一杯だけだから」
食べたのはとです、先生はトミーに答えました。
「だからね」
「大丈夫ですね」
「うん、晩ご飯はね」
「そうだといいですが」
「それで今日の晩ご飯は何かな」
「カレイの煮付けです」
トミーはすぐに答えました。
「そちらです」
「ああ、カレイだね」
「それともやしのおひたしとお味噌汁です」
「お味噌汁もあるんだね」
「茸の」
「いいね、じゃあいただくね」
「はい、ですが屋台のラーメンですか」
トミーはこちらのお話もしました。
「美味しかったんですね」
「満足したよ」
先生は実際に満足したお顔で答えました。
「凄くね」
「それは何よりですね」
「そちらのラーメンもね」
「じゃあ僕も機会があれば」
「行って来るね」
「そうします」
「それはいいことだよ、何でもね」
それこそと言う先生でした。
「興味があるならね」
「食べることですね」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「その味をだよ」
「自分で知ることですね」
「そうすることがね」
まさにというのです。
「食べることでそれでね」
「学問ですね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「食べることもまたね」
「学問ですね」
「そうなんだ」
「食べることもですか」
「それもまたね」
「先生はまさに全てを学問とされますね」
「そう、読んで調べて書くね」
具体的に言っていく先生でした。
「見て」
「それにですね」
「フィールドワークもね」
「時には飲んで食べることもですね」
「発掘だってそうだしね」
こちらもというのです。
「兎角あらゆるものがね」
「学問ですね」
「そうなんだ」
まさにというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「僕はね」
「食べることもですね」
「するよ」
「そうですよね」
「ただ日本に来て」
そうしてからというのです。
「食べることはね」
「増えましたね」
「学問としてもね」
そちらでもというのです。
「そうなっているよ」
「左様ですね」
「そこはね」
何と言ってもというのです。
「日本がね」
「色々な食べものがあるので」
「それぞれの地域の食文化を確かめる為に」
「そしてですね」
「そう、楽しみだから」
先生はここでも明るく言いました。
「そうしているよ」
「そうですよね」
「いや、日本はそれぞれの都道府県に美味しいものがあって」
「飽きないですね」
「存分に楽しめるよ」
そうだというのです。
「それこそね」
「ラーメンもそうですね」
「そうだよ、何しろ国民食だから」
日本のというのです。
「もうね」
「都道府県ごとにですね」
「名物ラーメンがあって」
それでというのです。
「食べられるよ」
「そうですよね」
「だから今回のアンケートでも」
「その確認を取る意味でも」
「聞いているんだ」
「どのラーメンが一番好きか」
「そのことをね」
まさにというのです。
「そうしているよ」
「そうですね」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「中には日本ならではの」
「そうしたラーメンもありますか」
「中国ではスープのだしは鳥や豚の骨から取るね」
「中華料理の特徴の一つですね」
トミーもそれはと答えます。
「まさに」
「そう、それをね」
それがというのです。
「お魚からね」
「スープのだしを取るんですか」
「そうしたラーメンもね」
「あるんですね」
「そうなんだ」
こうトミーにお話しました。
「おうどんやおそばのおつゆみたいにね」
「それは面白いですね」
「そうしたラーメンがあるのも」
「日本で」
「そしてね」
それでというのです。
「こちらもね」
「美味しいんですね」
「そうみたいだよ」
「そうですか」
「他にも海老なんかも」
この生きものもというのです。
「だしにね」
「使いますか」
「これも中国にもないね」
「そうは聞かないですね」
「そうした発想があって」
そしてというのです。
「実際にあるのがね」
「日本ですね」
「僕もこの発想はね」
先生にしてもというのです。
「なかったよ」
「そうでしたか」
「全く以て日本人の発想は凄いよ」
「お料理についても」
「何かを知って」
そうしてというのです。
「そこからね」
「思わぬものを生み出しますね」
「魔改造という言葉があるね」
「インターネットでもありますね」
「それを行えるのが」
まさにというのです。
「日本人でね」
「お料理についてもそうですね」
「そう言えるよ」
「色々なものにそうして」
「そしてね」
「お料理でもですね」
「そうなんだ」
こうトミーにお話しました。
「これがね」
「そうなんですね」
「それでね」
「お魚からだしを取るラーメンもね」
こうしたラーメンもというのです。
「魔改造と言っていいね」
「そうなりますね」
「そうしたものを生み出せる発想と実行力がね」
「日本人の凄いところだね」
「まさにね」
先生はさらに言いました、
「それを生み出せるのは九十九パーセントの努力と」
「一パーセントの閃きですね」
「そうだよ、まずはね」
「努力ですね」
「九十九パーセントの努力をして」
そうしてというのです。
「そこにね」
「一パーセントの閃きですね」
「その閃きを得るには」
「努力があって」
「その中で得られるから」
「日本人の多くは努力していますね」
「それぞれの分野でね」
そうしているというのです。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「閃きを得る、多分それはね」
「神様が授けてくれますね」
「閃きは不思議だね」
先生は閃きに対してこんなことも言いました。
「必死に努力していると」
「その中でふとですね」
「来るからね」
「そうしたものですね」
トミーもそれはと応えました。
「本当に」
「だからね、閃きは何処から来るか」
「そのことを考えると」
「神様が授けてくれるとね」
「考えられますね」
「僕はそう考えているよ」
先生は穏やかな声で答えました。
「本当にね」
「そうなんですね」
「エジソンの言葉だけれどね、今のお話は」
「天才とはですね」
「日本ではそう言われていたけれど」
その実はというのです。
「実はあの人は努力があっても」
「閃きがないとどうにもならないとですね」
「言っていたよ、けれどその閃きは」
「努力の中で、ですね」
「生み出されるもので」
「神様は授けてくれますね」
「そしてエジソンさんは確かにいつも努力していたよ」
この言葉を言った人はというのです。
「それこそ寝る間も惜しんでね」
「何かそれでね」
「自分の会社の人達も物凄く働かせていたんだよね」
「まさに寝る間もない位に」
「そうだったんだよね」
皆このことを言います、実は先生はエジソンさんについて調べていたこともあって皆も傍にいてその調べたことを聞いて知っているのです。
「何か結構以上にね」
「行いは問題のある人だったんだよね」
「黒い噂もあったりして」
「聖人君子じゃなかったみたいだね」
「そうした人だったけれどいつも努力していたことは事実でね」
先生はエジソンさんのそのことを見て言うのでした。
「それでね」
「そのうえでだね」
「いつも一パーセントの閃きを神様から貰って」
「多くの発明をしたんだね」
「そうだね」
「そうだよ、凄い人だったことは確かだよ」
色々と問題があってもというのです。
「そしてそのエジソンさんが言ったことはね」
「多くの日本人にも当てはまって」
「ラーメンにもだね」
「そうであって」
「それでだね」
「そんなラーメンも出て来てるんだ」
お魚からスープのだしを取ったそれがというのです。
「そうなんだよ」
「成程ね」
「ラーメンも努力だね」
「必死に努力すれば神様が閃きを授けてくれて」
「新しいラーメンも出来るんだ」
「そうなんだ、本当に色々なラーメンがあるけれど」
日本にはです。
「どれもね」
「九十九パーセントの努力と一パーセントの閃き」
「そこから生まれたんだね」
「そうだね」
「そうなんだ、そのことを知って食べると」
そうすると、というのです。
「ラーメンは尚更美味しくなるね」
「全くだね」
「先生の言う通りだね」
「本当にね」
「そうだよ、だからまた食べようね」
先生は皆に笑顔で言いました。
「そうしようね」
「是非ね」
「努力と閃きから得られたものを」
「そうしていこうね」
「いや、ラーメンからもこうしたことがわかるなんて」
トミーは目から鱗が落ちた様なお顔になって言いました。
「思いも寄りませんでした」
「そうだね、ラーメンと一口に言ってもね」
「物凄く色々なものがあるんですね」
「その中にはね」
「そうした食べものですね」
「そうなんだ、だからラーメンだけを扱った漫画もね」
こうしたものもというのです。
「あったりするんだ」
「それだけ深く大きなものがあるので」
「広くてね」
「そうした食べものだからこそ」
「皆食べてね」
「先生も学ばれてるんですね」
「アンケートも取ってるよ」
そうしているというのです。
「僕もね」
「そうですね」
「うん、じゃあ今から」
「晩ご飯です」
こうしたお話をしてでした。
皆で晩ご飯を食べました、その後で先生は歯を磨いてお風呂に入って作務衣姿になって学問に励みますが。
その先生にです、皆は言いました。
「いや、どんなものかって思ったけれど」
「屋台のラーメンって」
「美味しかったね」
「そうだったね」
「そうだね」
先生は今は地理の本を読んでいます、そのうえで言うのでした。
「よかったね」
「あの、何ていうか」
ダブダブが言ってきました。
「物凄く速く出て来たね」
「麺茹でるのもスープが出来るのもね」
ガブガブも言います。
「凄い速さだったわ」
「手際がいいというか」
チーチーは考えるお顔で言いました。
「スピード勝負?」
「先生も言ってたけれど」
トートーは先生のお話を思い出して言うのでした。
「お客さんを待たせない為にそうなってるのかな」
「兎に角建物のお店よりずっと速かったね」
「そうね」
チープサイドの家族に言います。
「そのことは確かね」
「それがどうしてかというと」
「そうした理由があってで」
それでと言うポリネシアでした。
「速いんだね」
「そういえば麺も速く茹でやすい感じで」
ジップは麺のことを思い出しました。
「考えられているね」
「屋台を見てもすぐに出来る様になってたね」
ホワイティも言います。
「建物のお店よりも」
「だからあっという間に出来て」
それでと言う老馬でした。
「食べられるんだね」
「屋台には屋台のラーメンがあって」
「その作り方があるんだね」
オシツオサレツは二つの頭で考え言います。
「そうなんだね」
「そういうことなんだね」
「そうだよ、屋台はファーストフードだね」
先生は皆に言いました。
「言うなら」
「うん、出るのはね」
「まさにすぐに出来て手軽に食べられる」
「それがファーストフードで」
「屋台もだね」
「たこ焼きのお店もそうだね」
先生はこちらのお店のお話もしました。
「出店とかでも」
「そうそう、あっという間にね」
「目の前で見ている間に出来て」
「それで出されるね」
「たこ焼きも」
「ラーメンはファーストフードの一面もあるから」
それ故にというのです。
「屋台のラーメンはね」
「本当にスピード勝負で」
「あっという間に出来て」
「それで食べられる」
「そうしたものだね」
「そうなんだ、それで博多に行くと」
九州のこの街にというのです。
「もう街の象徴の一つみたいにね」
「屋台があって」
「それでだね」
「ラーメンも食べられるのね」
「屋台のそれが」
「豚骨のね、あの白いスープは」
豚骨のそれはというのです。
「九州のラーメンの特徴だね」
「長崎ちゃんぽんもそうでね」
「熊本や鹿児島のラーメンもそうだけれど」
「博多が一番有名かな」
「九州のラーメンとなると」
「そうだよ、それとね」
さらにお話する先生でした。
「薬味だけれど」
「ああ、ラーメンも」
「お葱とかだね」
「今日の屋台のラーメンにも入っていたわね」
「お葱がね」
「そうだったわね」
「これも欠かせないね」
ラーメンにはというのです。
「おうどんやお蕎麦もだけれど」
「そうだね」
「薬味のお葱は欠かせないね」
「ラーメンは他に具でメンマやチャーシュー入れて」
「もやしもだけれど」
「お店のラーメンでお葱がないのは」
これが入っていないことはというのです。
「まずね」
「ないよね」
「おうどんやお蕎麦もだけど」
「ちょっとね」
「そうだね、お葱は欠かせないよ」
しみじみとして言う先生でした。
「ラーメンにも」
「そう思うとお葱って凄いね」
「日本においてね」
「お鍋にも欠かせないけれど」
「ラーメンにもだから」
「全くだね」
先生もこう言いました。
「僕はお葱のこともね」
「ラーメンを通じてだね」
「そのうえでわかったね」
「そうだね」
「そうなったよ」
皆に本を読みつつお話します。
「ラーメンを通じて」
「いや、色々なことがわかるね」
「ラーメンのことを学んで」
「ただラーメンのことだけじゃなくて」
「色々なことが」
「そう、一つのことを学ぶと」
そうすると、というのです。
「そこから他の色々なこともね」
「わかっていくんだね」
「その学んでいることだけじゃなくて」
「他のこともだね」
「そう、例えば欧州の地理のことを学ぶと」
見れば先生は今はドイツ語のドイツの地理の本を読んでいます。この言語のほんもすらすらと読んでいます。
「他の地域の地理のこともね」
「学んでいくね」
「そうなっていくね」
「自然と」
「今僕はドイツの地理の本を読んでいるけれど」
実際にというのです。
「隣国のポーランドやイタリアの地理もね」
「学ぶことになるね」
「ドイツの地理だけじゃなくて」
「そうした国の地理も」
「互いに影響し合っているからね」
それ故にというのです。
「そうなるよ」
「それも学問だよね」
「それでラーメンもそうで」
「色々わかるね」
「他の分野のことも」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「学問に励むとね」
「実に色々なことを知って」
「そして学べる」
「そうしたものだね」
「だからいいんだ、特に欧州の学問はそうだね」
先生は皆に穏やかにお話しました。
「まず神学があるね」
「キリスト教のね」
「それがあるね」
「もう幹って言っていいね」
「欧州の学問の」
「神学から」
この学問からはじまってというのです。
「哲学や法学、文学もあって」
「芸術もだよね」
「絵画や音楽も」
「教会つまり神学の影響が多いから」
「本当に欧州の学問は神学からだね」
「だから神学を学ぶと」
そうすると、というのです。
「これ以上はないまでに多くのものを学べるよ」
「そうだね」
「そうなるよね」
「もう本当に神学を学ぶと」
「凄くなるね」
「日本でも文学を学ぶと」
そうすると、というのです。
「芥川龍之介にしても」
「大正の文豪さんだよね」
「羅生門とか芋粥の」
「あの人だね」
「この人は古典にも造詣が深かったから」
そうした人だったからだというのです。
「そちらに興味を持ったりお師匠さんにあたる夏目漱石さんのこともね」
「学ぶことになるね」
「芥川さんを学ぶと」
「そうなるね」
「そして芥川さんに影響を受けたのが太宰治さんだから」
この人のお名前も出すのでした。
「太宰さんのこともね」
「学ぶことになるね」
「芥川さんを学ぶと」
「そうもなるね」
「そして太宰さんからこの人のお師匠さんだった井伏鱒二さんや親しかった織田作之助さんのこともだよ」
先生は笑ってお話しました。
「学べるよ」
「あれっ、ここで織田作さん出るんだ」
「意外ね」
「大阪の人と思ったら」
「ここでお名前が出て来るなんて」
「織田作さんは無頼派と言われる作家さん達のグループに属していてね」
それでというのです。
「太宰さんも同じグループで対談もしているから」
「それでなんだ」
「織田作さんここでお名前出たんだ」
「そうなるんだ」
「そうなんだ、こうしたこともわかるんだ」
先生は皆に微笑んでお話しました。
「学問は掘り下げるもので」
「掘り下げていくとね」
「穴は深く広くなるね」
「そうなるものだね」
「だからね」
それでというのです。
「色々知っていくんだ」
「それは凄いね」
「ここで織田作さんが出て来るなんて思わなかったし」
「余計に凄いね」
「そうだね」
「だからね」
それでというのです。
「学問は凄く楽しいんだ」
「全くだね」
「先生が励むのもわかるよ」
「学者になったこともね」
「そのことも」
「お医者さんも学者さんだからね」
先生は言いました。
「紛れもなく」
「医学も学問だしね」
「そして先生今教授さんだし」
「医学を教えるね」
「だからね」
それ故にというのです。
「僕は医学者であってそして」
「他の分野の学問にも励んでるよね」
「医学に励んで」
「そこから他の理系の学問にも励んで」
「神学から文系の学問も励んで」
「あらゆる分野の学問に造詣が深くなってるね」
「そうなったよ、言語だって」
ドイツ語の本を読みながら言うのでした。
「学んでるしね、ただ日本語はね」
「独特過ぎるよね」
「他の言語と比べて」
「あまりにも」
「文法がかなり違っていてね」
他の多くの言語と比べてです。
「文字も数種類あるからね」
「こんな言語他にないよね」
「どうもね」
「独自の進化を遂げた」
「そうした言語だね」
「バスク語も独特だけれど」
それでもというのです。
「日本語もまたね」
「独特だよね」
「日本に来て痛感してるよ」
「私達にしても」
「本当に」
「全くだよ、けれど今の僕達は」
心から思う先生でした。
「頭の中で考える時に使っている言語は」
「その日本語だよね」
「先生にしても」
「トミーも王子もね」
「そうなっているね」
「皆もわかる様になっているね」
その皆にも言いました。
「そうなったね」
「うん、もうね」
「日本語わかるわ」
「最初はこんな言語聞いたことなくて驚いたけれど」
「読んでみても」
「けれどずっと日本にいてね」
今はです。
「日本語を聞いて読んで喋って」
「そうしたら」
「もうね」
「日本語で考える様になったね」
「そうなったよ、ただあらゆる言語で考えることは」
それはといいますと。
「僕は出来るけれどね」
「色々な言語を知ってるから」
「それでだよね」
「出来るね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「出来るよ
「そうだよね、先生は」
「特に英語でね」
「そうなるね」
「それでも今メインで思考に使っている言語は」
それは何かといいますと。
「日本語になったよ」
「そうなったね」
「今もよね」
「日本語で考えてるね」
「そうしているね」
「そうなんだ、喋っているのも日本語だし」
今現在というのです。
「考えているのもね」
「日本語においてで」
「本当にそうなってるね」
「そうした意味でだね」
「今の先生は尚更日本人になってるね」
「イギリス生まれでも」
それでもというのです。
「今の僕はね」
「日本人だね」
「紛れもなく」
「そうなっているね」
「自覚してるよ」
笑顔での返事でした。
「そのことを。イギリスに生まれたけれど」
「日本に来てね」
「日本に馴染んで」
「どんどん日本の中に入っていって」
「国籍もそうしたしね」
日本に変えたというのです。
「だからね」
「もうだね」
「日本人になるね」
「そうだね」
「そうだよ、だからね」
それでというのでした。
「日本語で考える様になってるし」
「これからもだね」
「日本人になって」
「そしてだね」
「これからも暮らしていくよ」
日本でとです、こうしたお話をしながらです。
先生は寝るまで学問に励みました、そしてこの日も穏やかにぐっすりと寝て明日への英気を養ったのでした。