『ドリトル先生と桜島』




                第九幕  この上なく美しい絵達

 先生は鹿児島本土に戻るとでした。
 すぐに動物の皆と一緒に鹿屋に向かいました、その鹿屋はです。
 海上自衛隊の航空基地がありました、その基地に行くととても広く立派な滑走路があってそこからです。
 多くの哨戒機が飛んで行って着陸しています、皆はその光景を見て言いました。
「凄いね」
「立派な基地よね」
「広くて設備もよくて」
「飛行機も多くて」
「海上自衛隊の航空基地は幾つかあるけれどね」 
 日本の中にとです、先生は皆にお話しました。
「この鹿屋もなんだ」
「そうなんだね」
「海上自衛隊の重要な基地なのね」
「ここはそうなんだね」
「そうだよ、港は五つ重要なところがあってね」
 先生はそちらのお話もしました。
「横渚、舞鶴、呉、佐世保、大湊なんだ」
「佐世保は長崎だったね」
「それで呉は広島」
「横須賀は神奈川で」
「大湊は青森ね」
「そして舞鶴は京都なんだ」
 それぞれの場所をです、先生は皆と一緒にお話しました。
「京都の北の方だよ」
「京都府って海もあるんだよね」
「京都っていうと盆地だけれど」
「盆地の北のその山を越えたら」
「そこは海なんだよね」
「そう、そこにあってね」
 舞鶴がというのです。
「昔は帝国海軍の港で」
「今は海上自衛隊の港ね」
「そうなっていて」
「重要な港なんだよね」
「そして航空基地もあるんだ」
 艦艇の港だけでなくというのです。
「さらにね」
「海軍ってそうだよね」
「大国の海軍だと航空機も多く持っていて」
「艦艇の港だけでなく空港も持っていて」
「海上自衛隊もだね」
「そうなんだ、空港は厚木や大村、館山、八戸、岩国、舞鶴、香川、そしてこの鹿屋にあるんだ。下総には学校があったね」
「あれっ、多いね」
「空港は」
「艦艇の港よりも」
「さらにね」
「実は海上自衛隊はヘリコプターも多く持っているんだ」
 飛行機だけでなくというのです。
「それでだよ」
「ああ、ヘリコプターの空港もあるんだ」
「飛行機のものだけでなくて」
「それでなんだ」
「空港は多いのね」
「そうだよ、それでこの鹿屋は航空機の基地でね」
 それでというのです。
「かなりの規模なんだ」
「成程ね」
「ここはそうした場所なんだ」
「海上自衛隊の重要な空港の一つで」
「設備も充実してるんだね」
「そうなんだ、そしてね」 
 先生は皆にさらにお話しました。
「ここは広いからね」
「うん、かなりね」
「正直歩いていたらかなり時間かかるよ」
「そうした場所よ」
「だから自衛隊の人達にマイクロバスを用意してもらったから」
 それでというのです。
「そちらに乗せてもらってね」
「それでだね」
「基地の中を移動して」
「それでだね」
「見学させてもらうのね」
「そうしようね、種子島でも言ったけれど軍事のことを学ぶことも重要だよ」
 先生は確かな声で皆にお話しました。
「だからね」
「それでだね」
「ここはマイクロバスに乗せてもらって」
「見学させてもらうのね」
「そうするんだね」
「そうだよ、鹿児島に行かせてもらうことが決まった時にね」
 まさにその時にというのです。
「こちらにも来させてもらおうと思ってお願いしたんだ」
「この基地への見学をだね」
「お願いしたんだね」
「そうしたのね」
「そうなんだ、大学の方から自衛隊に連絡してもらって」
 それでというのです。
「認めてもらったんだ、自衛隊は事前に連絡してお願いしたらね」
「見学認めてくれるよね」
「結構以上に気さくに」
「そうしてくれる組織ね」
「しかも説明や案内も親切だし」
 このこともお話する先生でした。
「自衛隊のことを知りたいと思ったらね」
「その時はだね」
「ちゃんと連絡したら」
「許可貰えるんだね」
「自衛隊の人達にとっては自分達の紹介も大事なお仕事なんだ」
 先生は笑顔でお話しました。
「広報、つまり宣伝もね」
「それはどの官庁でもだよね」
「それで企業もね」
「そうだね」
「うん、だからね」
 それ故にというのです。
「自衛隊もそちらに力を入れていて」
「お願いしたら見学も認めてくれるんだね」
「そして説明や案内も気さくだね」
「そうなのね」
「江田島でもそうだからね」
 こちらでもというのです。
「海上自衛隊幹部候補生学校のあるね」
「昔は海軍兵学校だった」
「あの学校ね」
「あの学校に行ってもだね」
「気さくに案内、説明してくれるのね」
「あちらは観光地でもあるしね」
 江田島はというのです。
「それでだよ」
「ううん、あちらも行ってみたいね」
「機会があれば」
「江田島の方にも」
「是非ね」
「そうだね、ちなみに僕達は奈良県に行ったことがあるけれど」  
 先生はその時のお話もしました。
「あちらには航空自衛隊幹部候補生学校があるんだよね」
「そうなんだね」
「航空自衛隊の学校が」
「そういえば先生あちらのお話もしていたね」
「奈良県のことをお話してくれた時に」
「そうだよ、それで久留米にはね」
 福岡県のこちらにはというのです。
「陸上自衛隊幹部候補生学校があるんだ」
「陸上自衛隊は九州だね」
「それも久留米なんだね」
「確かチェッカーズの人達の故郷だね」
「あの人達あちらから出たんだったね」
「そうだよ、その久留米にね」
 まさにその街からというのです。
「陸上自衛隊の幹部候補生学校があるんだ」
「成程ね」
「それぞれの地域にあるんだね、学校が」
「軍隊って学校もあるけれどね」
「その中に」
「防衛大学、他の国で言う士官学校は横須賀にあってね」
 そうしてというのです。
「それぞれの学校が今僕が話した場所にあるんだ」
「あっ、士官学校一つなんだ」
「それぞれの自衛隊の幹部候補生学校があって」
「他の国だと陸空海の軍隊で士官学校分かれてるけれど」
「自衛隊はそうなんだ」
「昔の帝国陸海軍では分かれていたけれどね」
 日本でもというのです。
「今ではだよ」
「日本はそうなってるのね」
「自衛隊では」
「軍隊じゃなくて自衛隊っていうのも独特だけれど」
「士官学校もそうなってるんだね」
「そうなんだ、じゃあそろそろマイクロバスが来るからね」 
 それでと言う先生でした。
「そちらに乗せてもらって」
「それでだね」
「基地を案内してもらって」
「説明や紹介もしてもらって」
「学ばせてもらうんだね」
「そうさせてもらおうね」
 笑顔で応えてでした。 
 先生は皆と一緒に青い海上自衛隊の作業服に乗せてもらってそのうえでなのでした。
 鹿屋の基地を案内してもらいました、基地の中は本当に広くて歩いてでは行き来がとても難しい場所でした。
 そして、です。皆でなのでした。
 マイクロバスの中で基地を移動させてもらい説明も受けました、基地は滑走路も格納庫も実に立派で。
 倉庫も一杯ありました、皆その中を巡ってです。
 そうしてです、お昼には食堂に案内してもらってです。
 皆で食べます、そのメニューはといいますと。
「カレーだね」
「物凄く美味しそうだね」
「思えば朝早くに種子島の旅館で朝ご飯食べて」
「それで戻ってきて」
「基地まで来て案内してもらって」
「ずっと動いて学んでいて」
「お腹の中が空っぽだね」
 先生は皆に笑ってお話しました。
「そうなってるね」
「うん、本当にね」
「そうなってるわ」
「じゃあ今からね」
「カレー食べよう」
「是非ね」
 こうお話してでした。
 皆でいただきますをしてからカレーを食べます、するとでした。
「美味しいね」
「そうだよね」
「この基地のカレーもね」
「凄くね」
「実は自衛隊では毎週決まった曜日にカレーを食べていてね」
 先生はカレーをとても美味しそうに食べつつお話しました。
「海上自衛隊では金曜日となっているんだ」
「成程ね」
「自衛隊では毎週カレー食べてるんだ」
「そうしているんだ」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「軍隊特に海軍からカレーは日本に普及したね」
「そうなんだよね」
「先生よくお話してくれるけれど」
「カレーは日本の殆どの人が大好きだけれど」
「海軍からだね」
「栄養があって沢山食べられるお料理だから」
 それでというのです。
「注目されてね」
「それでだね」
「定着したんだね」
「日本に」
「そうだよ、このことを見てもね」
 カレーをというのです。
「軍隊、軍事のこともまた文化だよ」
「何か戦争は文化じゃないとか」
「選挙に出ようとしていた俳優さん言ってたけれど」
「それは間違いだね」
「そうだね」
「そうだよ、もっともあの人選挙には結局出なかったけどね」 
 そうしたけれど、と言う先生でした。
「よかったかもね」
「奥さんと奥さんのお父さんに止められたのかな」
「奥さんのお父さん元プロ野球選手でね」
「とても怖い人で知られてるけれど」
「あの人に怒られたのかな」
「そうかもね、しかしね」
 さらに言う先生でした。
「ここのカレーは本当に美味しいね」
「幾らでも食べられるよ」
 笑顔で、です。老馬は言いました。
「このカレーは」
「僕達イギリスにいた時からカレーは食べてるけれど」
 ジップも言います。
「日本に来てから増えたね」
「いや、日本って何処でもカレーが食べられるから」
 ポリネシアは笑って言いました。
「カレーの国みたいね」
「全くよ、日本はカレーの国よ」
 ダブダブはポリネシアの言葉に頷きました。
「そう言っていい位よ」
「本当に皆よくカレーを食べてね」
 ホワイティも思うことでした。
「色々な種類があるしね」
「イギリスのカレーよりずっと凄いね」
「日本のカレーはね」
 チープサイドの家族が見てもです。
「まさにカレーの国」
「そう言っていいわ」
「カレーライスだけじゃなくてカレーうどんやカレー鍋もあって」 
 トートーはそうしたお料理のお話もしました。
「カレースープとかカレー丼、カレーラーメンもあるね」
「僕全部好きだよ」
 食いしん坊のガブガブらしい言葉でした。
「本当にね」
「こんなにカレーが多い国はないよ」 
 チーチーは断言しました。
「カレーパンなんてものもあるしね」
「いや、まさにカレーの国だよ」
「日本はね」
 オシツオサレツが見てもです。
「他にも色々なお料理あるけれど」
「カレーとそのお料理がとても多いからね」
「そうだね、しかしね」
 ここで先生は少し残念そうに言いました。
「インスタントでのカレーラーメンがあるけれど」
「何かよく出るけれど」
「暫くしたらなくなるよね」
「企業が生産止めて」
「また別の企業が作って」
「それでまた止めるよね」
「定着しないね」
 先生は少し残念そうなお顔のまま言いました。
「どういう訳か」
「あれ不思議だよね」
「美味しいのね」
「どうしてかしら」
「インスタントのカレーうどんは定着しているのに」
「カレーラーメンは定着しないのかしら」
「それが不思議で」
 そしてというのです。
「残念だよ」
「全くだね」
「カレーの七不思議かもね」
「インスタントのカレーラーメンが定着しないことは」
「どうもね」
「本当にね」
「そこが気になるけれど」
 それでもというのです。
「このカレーライスは本当に美味しいよ」
「うん、お代わりしようかな」
「あまりにも美味しいから」
「そうしようか」
「皆で」
「そうしようかな」 
 こうしたお話をしてでした。
 皆でカレーをお代わりもして食べてです。
 そうしてから午後は特攻隊の資料館にバスで案内してもらいました、すると皆さっきとはうって変わってです。
 しんみりとなってです、こうお話しました。
「ここがだね」
「あの特攻隊の人達がいた場所だね」
「ここで寝泊まりして」
「それから出撃して」
「皆死んだんだね」
「そうだよ、絶対に帰って来ない出撃に出てね」   
 先生も悲しい表情でお話します。
「そのうえでね」
「敵艦に体当たりして」
「敵艦ごと死んだんだね」
「そうしたんだね」
「もうね」 
 それこそというのです。
「その時の日本は後がなくなって」
「決死の覚悟でだね」
「自分が死んでも敵を倒す」
「その必殺の精神を以て」
「それでそうしたんだね」
「日本人に意地を見せて」
 そしてというのです。
「散華と言うけれどね」
「それを見せて」
「戦争の後も侮れない」
「そして魂だけになっても日本を護る」
「その考えで特攻したんだね」
「こんなことは人類の歴史でなかったよ」
 特攻隊の様な行動はというのです。
「確かにスパルタ軍は死ぬまで戦ってネルソン提督もね」
「そうそう、トラファルガーで戦って」
「勝ったけれど戦死したね」
「そうして天国に行かれたね」
「けれどそのネルソン提督もね」 
 英雄であるこの人もというのです。
「自分の命をぶつけてね」
「敵を倒すことはしなかったね」
「あの戦いでは狙撃されて戦死されてるから」
「特攻とは違うね」
「またね」
「死ぬまで戦う、戦わさせられることはあるよ」 
 その場合はというのです。
「ソ連軍なんか無理にでもだね」
「後ろに機関銃持った人達がいて」
「退いたら撃たれたね」
「味方である人達に」
「それで無理矢理突撃させられたりね」
 若しくはというのです。
「地雷原を突っ込まさせられたりしたよ」
「物凄く酷いね」
「ソ連軍のそのやり方は」
「無茶苦茶にも程があるよ」
「人の命を何と思ってるのかな」
「僕の最悪の行いだと思ってるよ、けれどね」
 それでもというのです。
「やっぱりね」
「特攻とは違うね」
「爆弾搭載した航空機で体当たりして敵艦を倒すのとは」
「またね」
「そうだよ、他に回天なんて兵器もあったよ」 
 先生は皆にこちらの兵器のお話もしました。
「人間が乗り込んで操縦して敵艦に体当たりする兵器だよ」
「それも凄いね」
「そこまでする?って思うよ」
「本当にね」
「そこまでした事例は他にはないから」
 全く、というのでした。
「特攻隊は悲しくて恐ろしいよ」
「そうだよね」
「何よりもね」
「そんなものだね」
「そして美しいね」
 そうでもあるというのです。
「今はわかるよ、昔はとんでもない戦術だと思ったよ」
「死ぬことは絶対だからね」
「それで敵諸共なんて」
「他の国じゃ有り得ないわ」
「当然イギリスでもね」
「そう、だからね」 
 それ故にというのです。
「イギリスにいた頃は日本人はよくそんなことが出来たってね」
「思って」
「それでだね」
「先生も驚いて」
「信じられなかったんだね」
「そうなんだ、恐ろしい戦い方だとしかね」
 それこそというのです。
「若し僕が艦艇に乗っていて」
「こんなの来たらね」
「怖くて仕方ないよね」
「爆弾搭載して全速力で体当たりしてきたら」
「自分は死んでも相手を倒すなんて」
「そんな人達と戦ったらね」
「そんな人達の顔を想像出来るかな」
 先生は皆に尋ねました。
「こっちに命を捨てて倒さんとして来るんだよ」
「物凄い顔だね」
「間違いなく」
「そんな顔で突っ込んできたら」
「そしてその顔を見たら」
「想像するだけで寒気がしたよ」 
 先生は真顔でした、そのお顔で言うのでした。
「ドイツ軍よりも日本軍とね」
「戦いたくなかったんだ」
「先生としては」
「そうだったのね」
「うん、絶対にだよ」
 それこそというのです。
「戦いたくなかったよ」
「そうだろうね」
「僕達なんか想像もしたくないよ」
「何があっても」
「それこそね」
「そう思っていたよ」
 かつてはというのです。
「けれどね」
「今はだね」
「先生は違う考えだね」
「そうなのね」
「確かに今も怖いよ」
 特攻隊のその戦い方はというのです。
「有り得ないからね、けれどね」
「それでもなんだね」
「悲しいと思って」
「そして美しい」
「そう思ってるんだね」
「先生は」
「そうだよ、悲痛美って言うんだね」
 しみじみとしたお言葉でした。
「これは」
「不思議な言葉ね」
「悲痛、悲しくて痛い」
「けれど美しいって」
「とてもね」
「あの戦争の日本軍はそうだったんだ」
 特攻隊だけでなくというのです。
「敗色濃厚となってもドイツ軍も奮闘したけれど」
「日本軍はまた違っていて」
「自分は死んでも相手を倒す」
「死んでも靖国神社に入る」
「そして英霊となっても日本を護るつもりだったんだね」
「それで死ぬまで、玉砕までね」
 そうなるまでというのです。
「戦って敵を倒したからね」
「沖縄でも凄かったっていうしね」
「サイパンでもアッツ島でも」
「それで硫黄島でも」
「ペリリュー島でも」
「特に硫黄島なんてね」
 この島ではとうのです。
「完全に包囲されて制空権も制海権もなくて」
「もう終わりだね」
「どう考えても負けるよ」
「戦っても全滅するだけだよ」
「絶対に勝てないわ」
「その状況でも戦い抜いて」
 そうしてというのです。
「玉砕したけれど自分達より多くの敵を倒したんだ」
「完全に囲まれて」
「それで空も海も完全に敵のものになっていて」
「それでもだったのね」
「そうだよ、戦い抜いて」
 最後の最後までというのです。
「玉砕したけれど」
「それでもだね」
「自分達より多くの敵を倒したんだね」
「絶対に全滅する状況で」
「そうしたんだね」
「そうだよ、そして戦死したけれど」 
 それでもというのです。
「その魂は東京の靖国神社に入って」
「本当に死んでも日本を護っているんだ」
「今も尚」
「そうしてるんだ」
「特攻隊の人達も」
「そうだよ、日本に来てそうしたことがわかって」 
 それでというのです。
「今はこの上なく美しいと思っているよ、ではね」
「うん、これからね」
「中に入って」
「資料を見よう」
「そうしよう」 
 こうお話してでした。
 皆で資料館に入りました、そこにはです。
 日本の国旗、日章旗に日の丸を中心に傘上に名前を書いたものにと特攻隊の人達の遺品に写真、そういったものがあってです。
 逸話等も紹介されていました、その中にはです。
「へえ、野球選手もいたんだ」
「石丸進一さんだね」
「中日のピッチャーだったんだ」
「こんな人もいたんだ」
「この人のことは聞いていたけれど」
 それでもと言った先生でした。
「こうして資料を目にすると」
「もっとわかるね」
「この人のことが」
「そうなるね」
「最後に投げて出撃したのがね」
 このことがと言うのでした。
「悲しくてそして」
「見事だね」
「本当に奇麗だよ」
「真の心があって」
「それでね」
「全くだよ、ピッチャーとして投げて出撃して」 
 そうしてというのです。
「今は靖国神社に魂があって中日もね」
「ドラゴンズだね」
「名古屋の球団だよね」
「所属していたこのチームを」
「そうしているよ、英霊になってね」
 まさにというのです。
「あのチームも護っているよ」
「そうだね」
「今中日今一つって言われてるけれど」
「石丸さんは護ってくれてるね」
「中日も」
「その筈だよ」 
 こう言うのでした。
 その他にも様々なものを観てです、出入り口に戻ってです。
 そこで特攻隊の人達が実際に乗っていた零式艦上戦闘機を見てでした、そこにある二枚の絵を観ましたが。 
 一つは散華した特攻隊の人を天女達が戦闘機のコクピットから天界に引き上げている絵でもう一つはです。
 天国に行ったお婆さんが飛行服姿の英霊の人達に迎えられている絵です、この二枚の絵を観てでした。
 皆まずは沈黙しました、そのうえで口を開きました。
「奇麗だね」
「こんな奇麗な絵がこの世にあるんだ」
「僕達も色々な絵を観てきたけれど」
「この上奇麗だよ」
「最高の絵だよ」
「そうだね、人間が描いた絵の中でもだよ」
 先生も言います、皆感銘しきっています。
「最高のものの一ついや二つだね」
「そうだよね」
「最高の二枚の絵だね」
「この絵は」
「本当にね」
「この二枚の絵を観られてよかったよ」
 先生はこうも言いました。
「鹿児島に来てね」
「本当にそうだね」
「どんな巨匠の絵にも負けてないよ」
「最高の絵達よ」
「本当にね」
「このお婆さんがだね」
 チーチーは先生に言いました。
「特攻隊の人達に最後のご馳走をした人だね」
「卵丼をあげた人だったね」 
 食いしん坊のガブガブも今はしんみりとしています。
「当時は食べものもなかった中で」
「そうして特攻隊の人達の為に尽くした人だね」
 トートーも言います。
「素晴らしい人だね」
「死にに行く人の為に動くなんてね」
 心から言ったのはジップでした。
「そうそう出来ないからね」
「見ているだけで辛かったでしょうに」
 ダブダブはお婆さんのことを思いました。
「ずっと寄り添ってあげたのね」
「そして見送ったんだね」
「英霊の人達を」
 チープサイドの家族は英霊の人達に迎えられるお婆さんの絵を観つつ言いました。
「最後の最後まで」
「靖国に行く時まで」
「この人がいてくれたから」
 しみじみとです、ポリネシアは思いました。
「特攻隊の人達もどれだけ嬉しかったか」
「覚悟は決めていてもね」
 老馬は特攻隊の人達のそれから言いました。
「やっぱり誰かいてくれたら嬉しいからね」
「この人の行いがどれだけ素晴らしいか」 
 ホワイティはしんみりとなっています。
「言葉では言い尽くせないね」
「そしてそのお婆さんを描いてくれるなんて」
「この場所に飾ってくれるなんてね」
 オシツオサレツも言いました。
「素晴らしいよ」
「本当にね」
「全くだよ、僕は鹿児島に来てよかったよ」 
 先生もまた言いました。
「心から思うよ」
「全くだよ」
「人間の心の美しさがわかったよ」
「人間はここまで美しくなれるんだ」
「素晴らしいものになれるのね」
「そうだよ、イギリスにいた時日本は敵だったからね」
 第二次世界大戦の時はというのです。
「特攻隊は恐ろしいものでしかなかったよ」
「怖くてね」
「体当たりで向かって来る」
「自分は最初から死ぬつもりで」
「そうしてくるから」
「だからね」 
 それでというのです。
「本当に日本軍自体と戦いたくなかったよ」
「そう思わせることも目的だったしね」
「特攻隊は」
「そして負けた後も日本が侮れない」
「それで国を護れたらって思っていたから」
「その狙いは当たってね」
 そうしてというのです。
「日本は今もあるよ」
「それも繁栄してるね」
「戦災から復興して」
「そこからさらに繁栄に至って」
「そうなったね」
「そうなったからね」
「だからね」 
 それでというのです。
「特攻隊の人達の願いは果たされているよ」
「日本は負けても残っていて」
「繁栄もしている」
「そして日本とは戦いたくない」
「先生みたいに思う人も多いから」
「この人達の犠牲は無駄じゃなかったよ」
 特攻隊の人達のというのです。
「全くね」
「そうだよね」
「無駄な筈がないよ」
「今の日本を見たらわかるわ」
「それでね」
「そうだね、それでだけれど」 
 さらに言うのでした。
「靖国神社のお話もしたけれど」
「特攻隊の人達がいて」
「その他の人達もいるね」
「日本の為に戦って死んだ人達が」
「そうだね」
「そう、だからね」
 先生は皆にお話しました。
「あの神社は大切にしないといけないよ」
「祀られている英霊の人達もね」
「絶対にだよね」
「大事にしないといけないね」
「絶対に」
「そうだよ、それに霊は日本では神様になるけれど」
 祀られると、というのです。
「それだけじゃないね」
「ああ、怨霊にもなるよね」
「日本ってそうしたお話も多いよね」
「昔からね」
「悪魔よりも怖いね」
「魔王にさえなって」
「迂闊にお話出来ない位だね」
 怨霊というものはというのです。
「本当に」
「そうそう、もうね」
「迂闊にお話するとね」
「祟られるね」
「怨霊については」
「日本程怨霊が強くて恐れられている国はないよ」
 このことも先生が日本に来てからわかったことです。
「事実それで天皇陛下が儀式を行われたりするね」
「そうだよね」
「本当にね」
「今だってそうみたいだし」
「日本は怨霊を恐れていて」
「どうするかをよく考えている国だね」
「それでね」
 そうした国だからだというのです。
「靖国の英霊達を粗末にするとね」
「怨霊にもなるね」
「それで大変なことにもなるね」
「祟られもするね」
「そうなりかねないからね」
 それ故にというのです。
「僕達もだよ」
「大切にしないといけないね」
「靖国の英霊の人達は」
「神様としてね」
「そうだよ、護国の鬼とも言うしね」 
 先生はこの言葉も出しました。
「大切に祀って手を合わせようね」
「鬼って霊のことだね」
「中国ではそう言うんだよね」
「だから死んだら鬼籍に入るって言うね」
「それで護国の鬼って言うんだね」
「この場合の鬼は日本の鬼とは違うけれど」
 童話とかに出て来る角を生やしたとても大きな金棒を持った鬼とはというのです、先生は皆にお話しました。
「けれどね」
「何か鬼っていうとね」
「つながるよね」
「本当に」
「そうなるからね」
「だからだよ」 
 それでというのです。
「そう考えると大事にしないとって思うね」
「鬼って言うとね」
「どうしても童話とかのあの鬼連想するし」
「尚更だね」
「靖国の英霊の人達は注意しないとね」
「うん、まあ世の中神様も仏様も信じない人もいて」
 無神論者の人達がです。
「こうした人達が靖国神社に何か思うとはね」
「考えられないね」
「全く」
「神様も仏様も信じないなら」
「それならね」
「けれどそうした人がね」
 その無神論者の人達がというのです。
「日本では日本の皇室を否定して北朝鮮の共産主義なのに世襲の独裁を肯定してるのを見ると」
「いるからね、そんな人」
「完全な無神論者でね」
「神様も仏様も信じない」
「そうした人でね」
「共産主義だったりするけれど」
「こんな人が真っ当に生きられるか」 
 先生は心から思いました。
「日本の皇室を否定するのは君主制だからって言うけれど」
「いや、北朝鮮だってね」
「あそこもそうだよ」
「しかも世襲を否定している共産主義の国なのに」
「おかしいなんてものじゃないよ」
「それをあそこの人民の人達が支持しているからいいってね」
 その様にというのです。
「言ってるから」
「あの国にそんなのないよ」
「子供でもわかるよ」
「僕達だってわかってるよ」
「その人絶対に大丈夫じゃないね」
「他にはテロやった組織潰すのは民主主義に反するともね」
 その様にもというのです。
「そうした人言うけれどね」
「テロって犯罪だよ」
「人だって殺すよ」
「そんな組織置いておいたら駄目だよ」
「民主主義以前じゃない」
「しかも自衛隊はなくせって言うしね」  
 そうも主張しているというのです。
「こんなこと言う人を無神論者で見てきたから」
「無神論者にどうかって思うよね」
「流石に皆こんな人じゃなくても」
「そんな人を見ると」
「流石にね」
「日本の無神論者の人はね」 
 それこそというのです。
「こうした考えの人が多いんだ」
「先生よく言うよね」
「それも知識人や運動家に多いって」
「運動家はこうした人ばかりだって」
「そうだってね」
「そうした人を見てね」
 それでというのです。
「イギリスにいた時から無神論には懐疑的だったけれど」
「日本に来てだね」
「そんなおかしな無神論の人達を見て」
「尚更だね」
「うん、駄目だと思って」
 それでというのです。
「尚更信仰そして神仏のことを考える様になったよ」
「幾ら何でも酷過ぎるしね」
「日本の皇室に反対ならね」
「普通は北朝鮮なんか絶対に否定するよ」
「間違ってるってね」
「その人の話を聞いて本気で思ったことは」
 それはといいますと。
「この人大丈夫かってね」
「そこまで思うよね」
「大体北朝鮮の人達が仮に支持してるならね」
「日本の皇室もそうじゃない」
「そうしているのに」
「どうせ自分が支持してるかしてないかでしょ」
「そうだと思うよ、挙句は阪神ファンは全体主義的って言うから」
 そうもというのです。
「応援がああでね」
「じゃあ巨人何かな」
「あのチームのやってきたことは」
「完全にファシズムじゃない」
「あのチームはどうなのかな」
「僕はその人と話してこの人が沖縄の基地の前にいても驚かないと思ったよ」 
 その様にというのです。
「完全にそんな考えだったから」
「絶対に満ち間違えるね」
「運動家になってデモばかりしてるね」
「そんな人だね」
「間違いなく」
「ああはなりたくないよ」
 絶対にというのです。
「人間としてね」
「そこまで思うならね」
「無神論自体に否定的になるわね」
「どうしても」
「そんな無神論の人を見たら」
「そうなったよ、沖縄の基地の前にずっといてね」 
 そうしてというのです。
「勝手におトイレまで造っているしね」
「それって違法じゃないの?」
「誰かに許可得たとは思えないし」
「沖縄の警察とか何してるのかな」
「知事さんもね」
「その辺りも疑問だしね」
 それにというのです。
「こうした人になったら」
「それこそね」
「終わりだよね」
「人間として」
「道を間違え過ぎていて」
「だから僕は神様も仏様も大事にしたいよ」
 その両方をというのです。
「心からね」
「それでだね」
「靖国の英霊の人達もだね」
「そこにいる特攻隊の人達も」
「大事にしたいね」
「皮肉にお国の為とかその人は言ったけれど」 
 またその人のお話をしました。
「自衛隊でもね」
「その人誰かの為に何かするかな」
「思えないよね」
「運動家になって馬鹿なこと言ってやって」
「軽蔑されるのが精々じゃないかな」
「先生も大丈夫かと言う位だしね」
「うん、こんな人が誰かの役に立てるとはね」 
 それこそというのです。
「僕もね」
「思えないよね」
「やっぱり」
「僕達だってそう思うし」
「本当にね」
「そうだね」
 皆にどうかというお顔で言いました。
「運動家の人達は自分しかないからね」
「もう自分の主張だけ」
「それだけが絶対に正しくてね」
「他の人はどうでもいい」
「全く意に介さないでね」
「自分の意見を押し通す」
「その為には何でもするね」
 まさにというのです。
「手段を一切選ばず」
「どんな汚いことも卑怯なこともね」
「平気でするよね」
「周りの迷惑も考えないで」
「そうしていくからね」
「そもそも自分のことしか考えてなくてね」
 それでというのです。
「他の人に何かするか」
「しないよね」
「もうね」
「自分のことだけしかないのに」
「他の人のことなんて一切考えないしする筈がないよ」
「そうだよ、そんな人が皇室の方々や自衛隊の人達みたいに」
 それこそというのです。
「日本そして誰かの為に何かすることはないから」
「もうどう見てもね」
「自分達が嫌っている人達より酷いね」
「そうした人達だね」
「どう考えても」
「そうだよ、零点どころかね」
 そうした人達はというのです。
「マイナスだよ、こんな人達になったら」
「終わりだね」
「もう人間として」
「本当にね」
「そうだよ、もう全くね」
 それこそというのです、そしてでした。
 先生は皆と一緒に鹿屋を後にしました、そのうえでなのでした。
 ホテルに戻りました、そうして皆にまた地質調査を行うとお話しました。








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