『ドリトル先生と山椒魚』
第十一幕 細かいお世話
先生はこの日も皆と一緒に学園の敷地内にある動物園に招かれました、そうしてそこでなのでした。
まずは日笠さんからお話を聞きます、日笠さんは先生にご自身がおられる動物園の事務所の一つの中で言いました。
「オオサンショウウオの夫婦はです」
「どんな感じでしょうか」
「日増しに仲がよくなっていまして」
「そうなのですね」
「もう立派なつがいになっています」
先生ににこりと笑ってお話しました。
「有り難いことに」
「それはいいことですね」
先生もお話を聞いて笑顔になりました。
「僕も彼からお話を聞いてです」
「雄の方のですね」
「奥さんになる娘を一目見てです」
そうしてというのです。
「すぐにです」
「気に入ったのですね」
「そうなりまして」
それでというのです。
「最初からです」
「仲がよかったですね」
「はい」
日笠さんに笑顔でお話します。
「それでこれはいいと思いましたが」
「はい、今はです」
「最初の時以上にですね」
「親密になっていまして」
そうしてというのです。
「このままいけば産卵もです」
「いけますか」
「そうしてです」
日笠さんはさらにお話しました。
「子供が生まれて」
「そこからですね」
「個体数を増やすこともです」
「期待出来ますね」
「そうかろ。オオサンショウウオは希少動物ですから」
「個体数は少ないですし」
「その数が増えれば」
そうすればというのです。
「実にです」
「有り難いですね」
「そうです、天然記念物なので」
それ故にというのです。
「特に保護が必要で」
「それで、ですね」
「何とかですね」
「数が増えれば」
そうなればというのです。
「本当にです」
「有り難いので」
「それで、ですね」
「私達としてもです」
是非にというのです。
「産卵してもらい」
「そうしてですね」
「そしてです」
「個体数を増やして」
「保護を進めたいです」
「そうですね、それでなのですが」
日笠さんは先生にお願いする様に言いました。
「夫婦からです」
「お話をですね」
「聞いて欲しいですが」
「わかりました、では今日はですね」
「彼等とお話をして下さい」
「そうさせて頂きます」
笑顔で応えてでした。
先生はオオサンショウウオのコーナーに赴いてでした。
夫婦からお話を聞きます、すると。
奥さんのオオサンショウウオがです、こう言いました。
「私達はここでずっとゆっくりとしていればいいのね」
「そうだよ、水槽の中でね」
先生は奥さんに笑顔で答えました。
「泳いでご飯を沢山食べてね」
「寝てよね」
「夫婦で仲良くね」
そうしてというのです。
「過ごしてくれたらね」
「いいのね」
「そうだよ、それで子供をね」
「作ることね」
「そうしてね」
こう言うのでした。
「産卵もしてね」
「何か皆それを言うのよね」
「そうなんだよね」
ご主人のオオサンショウウオも言ってきました。
「周りがお話しているの聞くよ」
「そうなのよね」
奥さんも頷いて言いました。
「私達が仲がいいことをいいと言って」
「そうしてだよね」
「早く産卵して欲しい」
「そうして欲しいって」
「私達もそのつもりだけれど」
「何か凄い皆言うよね」
「それはね」
何故かとです、先生は答えました。
「君達は数が少なくてね」
「天然記念物だからかな」
「それでかしら」
「だからだよ」
その通りだというのです。
「だからこそ数が増えて欲しいし研究の為にもね」
「沢山必要なの」
「僕達の子供が」
「そうなんだ、君達についてはまだわかっていないことも多いし」
生きものとしてというのです。
「だからだよ」
「それでなんだ」
「産卵を期待されているんだね」
「そうだよ、ただその季節になれば出来るから」
先生は笑ってお話しました。
「僕が君達を診断したところね」
「出来るんだ」
「ちゃんと子供がなのね」
「だからね」
それでというのです。
「安心してね」
「その時を待つ」
「そうすればいいのね」
「そうだよ、神様が言った通りにね」
先生は二匹ににこりと笑ってこうも言いました。
「産めよ増やせよだよ」
「そうしてだね」
「子供を増やしていけばいいのね」
「そうだよ、ここでゆっくりと夫婦で仲良く暮らしながら」
そうしつつというのです。
「君達はその時が来ればだよ」
「子供をもうける」
「産卵をすればいいのね」
「そうだよ、仲良くね」
こう言うのでした、そしてです。
そのお話をしてです、先生はまた日笠さんとお話をしました。オオサンショウウオの夫婦とお話したことをそのままです。
日笠さんにお話すると日笠さんは先生に言いました。
「そうですか、産卵の時期になればですね」
「彼等は無事にです」
先生は日笠さんに微笑んでお話しました、今回も動物園の事務所の中でお話しています。そのうえでのことです。
「産卵してくれます」
「それまで待てばいいのですね」
「そうです、焦ることはありません」
こうも言うのでした。
「特に」
「実はです」
日笠さんは先生にお話しました。
「皆です」
「動物園の人達はですね」
「彼等が夫婦になったことで」
「気が逸っていまうね」
「時期が来ないと駄目なのはわかっていても」
頭の中でというのです。
「ですが」
「それでもですね」
「それがです」
どうにもというのです。
「気持ちはです」
「逸ってしまって」
「そうしてです」
そのうえでというのです。
「一刻も早くです」
「産卵してもらって」
「そしてです」
そのうえでというのです。
「増えて欲しいとです」
「願っていますね」
「どうしてもそうなっていましたが」
「それがかえってです」
「よくないですね」
「焦ってもです」
先生は日笠さんに微笑んで答えました。
「仕方ないです」
「やはりそうですね」
「そうです、学問は急ぐことはあっても」
それでもというのです。
「焦るとです」
「失敗しますね」
「そうなります」
まさにというのです。
「ですから」
「それで、ですね」
「決してです」
「焦らないで」
「そしてです」
「じっくりとですね」
「時期を待って」
そうしてというのです。
「産卵してくれたら」
「その時にですね」
「的確にことを進めていくことです」
「それが大事ですね」
「そうです」
こう日笠さんにお話するのでした。
「宜しくお願いします」
「はい、皆さんにお伝えします」
「その様に。彼等にもお話しています」
「焦ることはないとですね」
「そうです」
まさにというのです。
「ですから」
「それでは」
「今すべきことをです」
「的確にですね」
「その様に勧めて下さい」
「そうしていきます」
日笠さんも答えました、そうしてでした。
先生はです、日笠さんとお話をした後で。
大学に戻って研究室に入る前に食堂に行きました、そのうえでナポリタンのスパゲティを食べますが。
ここで、です。動物の皆は先生に言いました。
「焦っては駄目って言うのがね」
「まさに先生だね」
「本当にそうだね」
「実際焦っても意味ないし」
「よく言ったよ」
「流石先生だわ」
「そう言ってくれて嬉しいよ、やっぱりね」
何と言ってもと言う先生でした。
「本当に焦ってもね」
「意味ないよね」
「こうしたことは特に」
「両生類の産卵とか時期が決まってるし」
「そうじゃない時に焦ってもね」
「意味ないわ」
「本当にね」
「そうだよ、そして産卵の時に」
まさにその時にというのです。
「的確なことを行う」
「それが大事だね」
「今から焦っても意味がない」
「焦るんじゃなくてやるべきことをやる」
「それが大事だね」
「そうだよ、しかし皆焦るね」
先生はナポリタンを食べつつ言いました、その量はまるで体育会系それもラグビー部の人が食べる位の量です。
この食堂では普通のその量のナポリタンを食べつつです、先生は言うのでした。
「本当にね」
「まあそれはね」
「気持ちはわかるかな」
「天然記念物のことだし」
「増えて欲しいと思って」
「種の保存の為にも」
「そうだね、けれど本当にだよ」
先生はまた言いました。
「焦ってもね」
「仕方ないんだね」
「結局のところ」
「だからだね」
「ここは焦らないで」
「それでなんだ」
「やっていくべきだよ」
先生は落ち着いた声で言いました。
「落ち着いてね」
「先生は絶対に焦らないからね」
「だからそう思うんだよね」
「その先生の美徳が生きて」
「それでだね」
「そうなるのかな、兎に角僕はね」
先生はあらためてです、皆にお話しました。
「焦らないね」
「そのよさが今回も出たよ」
まさにとです、ダブダブは先生に言いました。
「有り難いことにね」
「オオサンショウウオさんのこともちゃんとわかっているから」
こう言ったのはトートーでした。
「そのこともあって言えたことね」
「ちゃんとわかっていれば焦らない」
こう言ったのはジップでした。
「そうだね」
「先生の焦らない性格はちゃんとわかっていることもあるからだね」
「そのことも大きいね」
オシツオサレツも二つの頭で言います。
「学問をじっくりと行っているから」
「知識を備えているね」
「確かに知識もあれば焦らないね」
ホワイティはしみじみとして言いました。
「先生のその性格にプラスされて」
「ううん、焦る位なら知る?」
こう言ったのはポリネシアでした。
「そうしろってことかしらね」
「そうなるね」
ジップはポリネシアに答えました。
「先生を見ていると」
「そうだね、先生は元々焦らなくて」
そうした性格と、とです。老馬も言います。
「そして学問でちゃんとした知識もあるからだよ」
「絶対に焦らないね」
チーチーも言いました。
「いつも」
「成程ね、私達もそうでないとね」
ガブガブは皆のやり取りの最後で頷きました。
「先生みたいにちゃんとした知識を備えないとね」
「まあね、確かな知識があるとね」
それならとです、先生も答えます。
「人は焦らないね」
「そうだよね」
「そうなるよね」
「元々焦らないなら尚更だよ」
「焦らないよ」
「例えば病気になっても」
そうなった場合もというのです。
「その病気の知識があるとね」
「怖くないね」
「どんな病気も」
「そうだね」
「脚気みたいな病気もだよ」
例えとしてです、先生はこの病気を出しました。
「ちゃんとした知識があればね」
「問題ないね」
「ちゃんとビタミンを摂ればね」
「脚気にはならないわ」
「そもそもね」
「パンを食べてもいいし」
その様にしてもというのです。
「麦飯や玄米もいいし」
「小麦がいいんだよね」
「先生が今食べているスパゲティにしても」
「それもいいし」
「あとはトリギモもいいんだったね」
「そうしたものを食べると脚気にならないし」
「なっても治るよ」
そうなるというのです。
「昔は脚気はとても恐れられていたけれど」
「日本ではね」
「昔からあったね」
「源氏物語でも出ていたし」
「江戸時代なんか特にだったね」
「江戸や大坂で問題になっていたわね」
「白いご飯ばかり食べるとよくないんだ」
脚気になるというのです。
「だから栄養バランスを考えてだよ」
「ビタミンを摂る」
「そうすべきよね」
「脚気に大事なことは」
「何といっても」
「そうだよ、脚気もそうしたらいいし」
この病気もというのです。
「他のことだってね、生きものと一緒に暮らすにもね」
「その生きもののことを知る」
「そうすれば問題ないわよね」
「そうすれば」
「それでね」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「僕はいつも学んでね」
「そうして知識を手に入れて」
「その知識を役立てている」
「そうしているからだね」
「先生も焦らないね」
「そのこともあるだろうね、本当に焦ったら」
その時はというのです。
「僕はよくないと思ってるし元々の性分で」
「焦らなくて」
「そしてだね」
「学問で得た知識があるから」
「尚更だね」
「そうだね、やっぱり学問は大事だね」
先生は食べつつ言いました。
「本当に」
「全くだね」
「じゃあこれからも学んでいくね」
「そうするわね」
「あらゆる学問を」
「そうしていくよ」
先生は笑顔で答えました、そうしてです。
ナポリタンを食べ続けます、そのうえでこんなことも言いました。
「この味付けがいいんだよね」
「ナポリタン美味しいよね」
「病みつきになる味だよね」
「具も多いし」
「素敵なスパゲティだね」
「そうだね、ただナポリという名前でも」
それでもというのです。
「けれどね」
「それでもなんだよね」
「実はナポリにこうしたスパゲティないから」
「トマトを使うものは沢山あっても」
「ケチャップを使うとなると」
「ないのよね」
「そうだよ、日本で生まれた」
そうしたというのです。
「独自のスパゲティだよ」
「そうだよね」
「実は」
「何かアメリカのスパゲティの影響を受けて作られた」
「そうしたものらしいね」
「だからね」
それでというのです。
「ナポリ、イタリアの人が聞いてだよ」
「ないって言って」
「それで食べてみたら美味しい」
「そうだっていうんだよね」
「これが」
「そうなんだよね、それでね」
先生はそのナポリタンをさらに食べつつ言いました。
「僕も大好きだよ」
「日本ではじめて食べたけれど」
「それでもだよね」
「美味しいんだよね」
「これが」
「そうなんだ、美味しくてね」
食べてみてそう感じてというのです。
「こうしてだよ」
「時々食べてるね」
「そうしてるわね」
「それも楽しんで」
「そのお味を」
「イギリスもパスタはよく食べる方だけれど」
それでもというのです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「本当にイタリアにはなくて」
「イギリスにもなくて」
「日本に出会って」
「嬉しいよね」
「全くだよ、日本のお料理には感激するばかりだよ」
食べつつ言うのでした。
「常にね」
「そうだよね」
「それではだね」
「今も食べて」
「それからだね」
「また学問に励むよ」
こうお話してでした。
先生はナポリタンも楽しみました、そしてです。
その後で、でした。先生は実際に研究室に戻ってそのうえでまた学問に入りました。そうしてでした。
論文を書いてです、一緒にいる皆に言いました。
「オオサンショウウオの論文もだよ」
「終わりそう?」
「終わりが見えてきた?」
「そうなの?」
「うん、学んで書いていって」
そうしていってというのです。
「遂にだよ」
「今回の論文もなんだ」
「終わりが見えてきたんだ」
「そうなってきたんだ」
「どんな論文も書いていけばね」
それを続けていけばというのです。
「必ず終わるよ」
「そうだよね」
「どんなものでも終わりがあって」
「論文だって同じよね」
「書いていけばね」
「終わりが近付くね」
「そうなるよ、やっぱり論文はいいね」
書いていてとです、先生は笑顔で言いました。
「学んで書いてね」
「そうしていって」
「それでよね」
「本当にいい」
「先生の楽しみの一つだね」
「はじめた時のやろうかって気持ちも好きで」
最初のそれもというのです。
「そしてだよ」
「書いている最中のね」
「どんどん学んで書いていく」
「それも好きで」
「今もだね」
「終わりが見えてきてね」
そうしてというのです。
「そしてだよ」
「そのうえで終わらせる」
「その終わった時こそだね」
「これまでで最高の気持ちになる」
「そうだよね」
「ものをやり遂げた時こそね」
まさにというのです。
「最高だよね」
「よく言われるけれど」
「先生もそうだね」
「だから論文は必ず脱稿する」
「書き上げる様にしているのね」
「そうだよ、終わりが見えてきたなら」
それならというのです。
「是非だよ」
「このまま書いていくね」
「そうするね」
「それじゃあね」
「先生頑張ってね」
「その論文も最後まで書いてね」
「そうするよ」
皆に笑顔で応えてでした。
先生は終わりが見えてきた論文をさらに書いていきます、そうしていってこの日はお家に帰る時間まで論文を書いてです。
その後でお家に帰りましたがそこではです。
次の論文の用意に入っていました、お家に来ていた王子はその先生を見て言いました。
「先生今度は何の論文を書くのかな」
「うん、日本の近現代の文学でね」
「そこでのなんだ」
「そうなんだ、井伏鱒二さんの論文をね」
「書くんだ」
「その用意をね」
それをというのだ。
「今からね」
「進めているんだ」
「僕は常に論文を書いていないと」
さもないと、というのです。
「どうもね」
「よくないんだね」
「学者は論文を書くものだから」
それでというのです。
「今はオオサンショウウオの論文を書いていて」
「それが終わったらね」
その時はというのです。
「もうすぐにだよ」
「井伏鱒二さんの論文を書くんだね」
「そうするよ」
こう王子にお話します。
「その時はね」
「成程ね、先生は頑張ってるね」
「そうかな」
「いや、日本ってまともに論文書かない学者さんなんてね」
王子はそれこそとお話しました。
「結構いるからね」
「学者さんだけれどだね」
「それで碌に学問をしないで」
そうしてというのです。
「テレビでとんでもないことばかり言う人もね」
「いるね、確かに」
「何でも三十年近くね」
それだけの間です。
「何度も何度も論破されても反省しないで」
「そこから学ぼうとしないとだね」
「同じことばかり言う」
そうしたというのです。
「酷い学者さんもいるよ」
「それは女の人かな」
「四角い眼鏡かけて赤いマッシュルームみたいな髪型で」
「ああ、あの人だね」
先生もその人が誰かわかりました。
「あの人はどう見てもね」
「論文書いてないよね」
「そしてまともな学問もね」
「していないよね」
「あの人が本当に学者さんか」
先生は首を傾げさせつつです、王子に言いました。
「僕は甚だ疑問だよ」
「そうだよね、言ってることも全く論理的でなくてね」
「学問的じゃないからね」
「あの人学者さんかな」
「凄く疑問だね」
「本当にね」
こうお話するのでした、ですが。
先生はちゃんと次の論文の用意もしました、そうしてです。
晩ご飯の時間になるとご飯を食べます、この日のメニューは沖縄料理でゴーヤチャンプルとラフテーに足てびちといったものです。
その沖縄料理を見てです、先生は笑顔で言いました。
「今日も美味しそうだね」
「そうだね、トミーってどんどんお料理のレパートリーが増えていってるね」
ご馳走になる王子も笑顔です、執事さんも着席しています。
「日本に来てから」
「そうだよね」
「イギリスのお料理だけでなくて」
「和食もそうで」
「中華料理もそうで」
「沖縄料理もだしね」
「いや、日本人って色々なもの食べるから」
だからだとです、トミーは皆に答えました。
「だからなんだ」
「その日本人の中にいたらだね」
「僕も自然とだよ、皆のお手伝いも受けてね」
動物のというのです。
「色々作っているよ」
「そうしてるね」
「実際にね」
「今日は沖縄料理だったし」
「明日は明日でね」
「また作るしね」
「明日はハヤシライスにしようかな」
トミーは考えて言いました。
「そうしようかな」
「そちらもいいね」
「ハヤシライスも美味しいよね」
「そうだよね」
「あちらもね」
「そうだね、だから僕も好きだよ」
先生も言ってきました。
「素敵な日本のお料理の一つだよ」
「カレーが強過ぎるけれど」
ポリネシアはこちらのお料理のお話からしました。
「ハヤシライスもいいわよ」
「そう、素敵な食べものだよね」
「ハヤシライスだってね」
オシツオサレツも二つの頭で言います。
「お肉沢山入っていて」
「玉葱もたっぷりでね」
「あのソースがまたいいのよ」
こう言ったのはガブガブです。
「ハヤシライスはね」
「ビーフシチューに似てるけれどまた違うんだよね」
トートーもそのソースについて言います。
「この場合はルート言うかも知れないけれどね」
「ご飯とまた合うんだよ」
しみじみとです、老馬は言いました。
「あれがね」
「だから洋食屋さんでも大抵あるね」
「そうよね」
こうお話したのはチープサイドの家族です。
「カレーライスもあってね」
「ハヤシライスもだね」
「ハヤシライスも最高だよ」
ジップもこう言います。
「カレーもいいけれどね」
「というかカレーが進化し過ぎじゃないかな」
ホワイティが思うにです。
「幾ら何でもね」
「それはあるね」
チーチーも言います。
「カレーは日本で凄い進化をしてるからね」
「カレーって鶏肉でも豚肉でもいいし」
王子もカレーについてお話します。
「魚介類でも野菜だけでもでね」
「あと茸でもいいし」
「中の具は何でもいけるわ」
「シーフードカレーもあるし」
「ベーコンやソーセージでもいいし」
「あとシーチキンとかスパムでもいいわ」
「それにカツカレーやフライでもいいしね」
王子はこちらのカレーのことも言います。
「兎に角何でもだよね」
「カレーはいけるよ」
「それこそね」
「そう思うとね」
「カレーは別格よ」
「何と言っても」
「だからといってハヤシライスが駄目か」
先生は言いました。
「決して違うね」
「そうだよ」
「ハヤシライスも素敵だよ」
「美味しい食べものだよ」
「本当にね」
「だから明日食べられるならね」
それならというのです。
「楽しみにしていようね、それじゃあね」
「うん、今からね」
「楽しみにしていましょう」
「そして今はね」
「沖縄料理を食べよう」
「そうしようね、それでだけれど」
先生は目の前の沖縄料理を見つつ言いました。
「ゴーヤチャンプルもいいけれど」
「ラフテーもいいね」
「そちらもね」
「かなりいいね」
「本当に」
「これがまたいいよ」
本当にとというのです。
「足てびちもだけれどね」
「じゃあ今から食べよう」
王子は笑顔で応えました。
「そうしようね」
「うん、美味しくね」
先生も笑顔で応えます、そうしてです。
皆で沖縄料理をおかずにして晩ご飯を食べます、ご飯を食べ終わるとラフテーが残っていました。ここでです。
トミーがです、先生に言いました。
「あの、ラフテーがあるので」
「それでかな」
「ミミガーとインスタントですがソーキそばもありますので」
「その三つでお酒をだね」
「どうでしょうか、泡盛もありますよ」
「いいね」
お酒のことを聞いてでした。
先生は笑顔で、です。こう言いました。
「では早速ね」
「いただきますね」
「そうさせてもらうよ」
「では今からソーキそばを作って」
そうしてというのです。
「ミミガーも出します」
「ではその三つでね」
「泡盛を楽しまれますね」
「そうさせてもらうよ」
「そうするんだね、じゃあ僕はこれでね」
王子は遠慮する様に言ってきました。
「お暇させてもらうよ」
「いえ、運転は私がしますので」
笑顔で、です。執事さんが言ってきました。
「王子もです」
「楽しんでいいんだ」
「はい」
こう王子に答えます。
「そうされて下さい」
「悪いね」
「私も帰りましたら楽しみます」
こうも言うのでした。
「そうさせてもらいます」
「飲むんだね」
「お仕事の後で」
王子ににこりと笑ってお話しました。
「そうさせてもらいますので」
「今はなんだ」
「王子が飲まれて下さい」
「泡盛もだね」
「沖縄のお酒もお嫌いではないですね」
「うん、前に飲んだけれどね」
それでもとです、王子も答えます。
「美味しいと思ったよ」
「それではです」
「今はなんだ」
「お楽しみ下さい」
「じゃあお言葉に甘えてね」
「それでは」
「是非ね、そういえばだけれど」
王子はここであらためて言いました。
「沖縄にはオオサンショウウオはいないね」
「そう、あれは西日本にいるけれど」
「それでもだね」
「沖縄にはいないよ」
「そうだったね」
「沖縄は沖縄でね」
それでというのです。
「独自の生態系になっているんだ」
「日本の中でだね」
「北海道は本州の生きものの亜種が多くてね」
「狐や狸や鹿とかね」
「それで沖縄はだよ」
この地域はというのです。
「北海道ともまた違ってね」
「独自だね」
「アマミノクロウサギやヤンバルクイナもそうでね」
「ハブもだね」
「オオコウモリやウミヘビもね」
こうした生きものもというのです。
「独自だよ」
「イルオモテヤマネコもかな」
「そうだよ、ジュゴンだっているし」
「また別なんだね」
「日本にあってもね」
そうであってもというのです。
「その生態系はね」
「また別だね」
「そうなっているんだ」
「だからオオサンショウウオはだね」
「いないよ」
この生きものはというのです。
「そうなっているよ」
「そうだよね」
「うん、だから僕は沖縄に行った時はね」
「沖縄の生きもの達をだね」
「学んでいたんだ」
そうしていたというのです。
「こうした生きもの達がいるとね」
「そうしたんだね」
「ヒヤンやハイ達についてもね」
動物園に連れて来た彼等もというのです。
「そうしたんだ」
「成程ね」
「うん、そして今度は西表島に行きたいね」
「イリオモテヤマネコのだね」
「そうだよ、あの生きものについても学びたいし」
ここでソーキそばが来ました、先生は王子と一緒に丼に入っているそれをお箸で食べながらさらにお話をします。
「実はもう一種類ね」
「あそこに生きものがいるんだ」
「ネコ科の生きものがいると言われているんだ」
「イリオモテヤマネコ以外にもなんだ」
「そう言われているんだ」
「そうなんだ」
「そして先生としてはなんだ」
「出来ればね」
先生は王子に目を輝かせて答えました。
「その生きものと会いたいよ」
「そう考えているんだね」
「是非ね」
「先生らしいお願いだね」
王子も聞いて思いました。
「そのことは」
「そうだね」
「会えればいいね」
ソーきそばをすすりつつ言います。
「本当に」
「出来ればね」
「そうだね、しかし日本も色々な生きものがいるね」
「その生態系も面白いよ」
「それは虫や甲殻類もだね」
「そうだよ、ザリガニにしても」
この生きものもというのです。
「ニホンザリガニがいるしね」
「アメリカザリガニは外来種でね」
「本来はね」
「ニホンザリガニがだよね」
「日本にいるザリガニでね」
「銭亀と一緒だね」
「そうだよ、そうしたことを学んでも」
そうしてもというのです。
「面白いのがね」
「日本の生態系だね」
「そうなんだ」
先生もソーキそばをすすります、そうしてです。
泡盛をロックで飲んでからです、またお話しました。
「そのことも素敵だよ」
「日本は何かとあるね」
「うん、栗鼠やヤマネを見ても」
こうした生きものもというのです。
「面白いしね」
「日本のリスも他の地域とは違うね」
「ホンドリスとね」
そしてというのです。
「エゾリスがいるよ」
「そうだね」
「エゾリスは名前の通り北海道にいるね」
「ホンドリスの亜種だね」
「亜種だけれど大きさがね」
これがというのだ。
「違うからね」
「そこでわかるね」
「そうなんだ」
王子に今度はミミガーを食べつつ応えました、見ればトミーも今は飲んで食べています。三人で泡盛を沖縄料理で楽しんでいます。
「これがね」
「大きさだね」
「実際に見比べるとね」
「大きさが違って」
「そこでわかるんだ」
「そうだね」
「そうしたことを見ても」
そうしてもというのです。
「本当にだよ」
「日本は面白い国だね」
「そうだよ、しかしね」
「しかし?」
「本州と四国、九州はね」
この三つの島はというのです。
「俗に本土と呼ばれてね」
「生態系は大体同じでね」
「それがまた東西それに南北でね」
「違ったりするんだ」
「オオサンショウウオは東にはいないし」
それにというのです。
「岩魚とかのお魚は東北にいるね」
「タキタロウだってそうだね」
「そうだよ、あのお魚もね」
先生がこの前調査したこの謎のお魚もというのです。
「岩魚や鱒と言われているけれど」
「どちらも北のお魚だね」
「モリアオガエルもね」
この生きものもというのです。
「東北にしかいないね」
「珍しい生きものだね」
「そうなんだ」
これがというのです。
「東北にオオサンショウウオはいないけれど」
「そうした生きものがいるね」
「そうだよ、あとね」
「あと?」
「猿の北限とされるのもね」
「東北なんだ」
「そうだよ、あの地域でね」
それでというのです。
「あそこから北にはね」
「いないんだ」
「そうなんだ」
「そのことも面白いんだね」
「生物学的にね」
また飲んで言いました。
「青森の下北半島までなんだ」
「猿がいるのは」
「北海道にはいないんだ」
「エゾサルはだね」
「だからアイヌの人達のユーカリには猿は出ないんだ」
「あの人達の伝承だね」
「これがかなり沢山あるけれど」
そのユーカリはというのです。
「それでもだよ」
「猿は出ないんだ」
「いないからね」
北海道にはというのです。
「やっぱり基本見た生きものがだよ」
「伝承にも出るんだ」
「そうだよ、だから東日本にはオオサンショウウオのお話はないんだ」
「西にあるんだね」
「そこからそのお話がどの地域のものかもわかるよ」
「出ている生きものでだね」
「アフリカの南では狼のお話はないね」
先生はこの例えも出しました。
「ライオンや虎や豹だね」
「それはね」
王子はそのアフリカの国の王子として答えました。
「そうだね」
「本当にそこにいる生きものがだよ」
「伝承に出るね」
「北海道には猿のお話がないし」
ユーカリにはというのです。
「本土にはライオンや豹のお話がないね」
「そうだね」
「ちなみに狼が悪役のお話も少ないね」
「そうそう、日本では殆どないね」
王子もそれはと応えます。
「実際にね」
「これは狼に襲われた人が殆どいないからだよ」
「迷惑をかけられた人もだね」
「むしろ田畑を荒らす獣を食べてくれるいい生きものだったからね」
「獣害を防いでくれるね」
「だから日本ではだよ」
ミミガーを食べて言いました、とてもコリコリした食感です。
「狼が悪役のお話はね」
「殆どないんだね」
「そうなんだ」
実際にというのです。
「これがね」
「いい生きものだからだね」
「悪役じゃないんだ」
「そういうことだね」
「そこが欧州とは違うんだ」
まだというのです。
「日本はね」
「悪役は鬼だね」
「そうである場合が多くてね」
それでというのです。
「狼はね」
「そもそも童話とかで出番少ないね」
「そして狐や狸は化かして」
「ばれて懲らしめられるね」
「そんな風でね」
そうした役でというのです。
「まただよ」
「ないね」
「だからね」
それでというのです。
「そのことも覚えておこうね」
「日本では狼は悪役じゃない」
「むしろ有り難い生きものだよ」
「獣害を防いでくれる」
「それぞれの国で生きものも違うんだ」
「それぞれの見方があるね」
「そうだよ、日本ではそうなんだよ」
先生は沖縄料理を食べつつお話しました、そうしてです。
泡盛も楽しみます、この夜も先生はそうして過ごしました。