『ドリトル先生とタキタロウ』
第九幕 寒い場所なので
先生は魚群探知機を使っての調査を終えて水温もそうしてから陸地に戻りました。それでレポートを書いてです。
三時になるとティータイムを摂りました、ミルクティーにワッフル、生クリームをたっぷりと使ったパンケーキにヨーグルトケーキの三段セットです。
そのセットを楽しみつつです、先生は皆に笑顔でお話しました。
「やっぱり三時はこれだね」
「学問の合間にはね」
「ティータイムよね」
「日本で言うおやつ」
「それだよね」
「僕は三度のお食事にこれがないとね」
どうにもというのです。
「駄目だね」
「十時にもね」
「その時はお茶と一口位のお菓子だけれど」
「必要だよね」
「先生の場合は」
「イギリスで生まれ育ったからね」
その為にというのです。
「やっぱりね」
「これは外せないね」
「スーツでの正装と」
「このティータイムは」
「どうしてもね」
「若しこれがないとね」
ティータイムがというのです。
「元気が出ないよ」
「先生は本当にそうだね」
「これがアメリカ風だったり中華風でもね」
「そして和風でも」
「三時はティータイム」
「それが先生だね」
「お茶が飲めない生活はね」
どうしてもというのです。
「僕には考えられないよ」
「全くだね」
「じゃあ今も楽しみましょう」
「紅茶を飲んでスイーツを楽しんで」
「そのうえでね」
「そうしようね」
皆に笑顔で応えてでした。
先生はミルクとお砂糖をたっぷりと入れた紅茶を飲んででした。
スイーツを楽しみます、ここで先生は言いました。
「お茶もスイーツも普段より甘い感じだね」
「だって寒いからよ」
お料理を主に担当するガブガブが答えました。
「甘くしてカロリーを摂取する様にしたのよ」
「ここは確かに寒いわね」
ポリネシアも言いました。
「北海道程じゃなくても」
「山の中だし余計にだね」
ジップはこのことも言いました。
「寒いよね」
「東北の山奥は雪が凄く積もるっていうけれど」
ホワイティは自分の周りの木々を見回しています。
「それも頷けるわ」
「東北や北陸の雪は有名だね」
チーチーはホワイティに応えました。
「日本では」
「それで屋根も壊す位だから」
トートーはそうした地域の積雪のお話をしました。
「雪の重さをかわす為にこの辺りのお家の屋根は三角だね」
「三角だとその分雪の重みが分散されて雪も落ちるし」
「いいのよね」
チープサイドの家族もお話します。
「雪が多い地域だと」
「欧州でも北欧はそうだし」
「逆に沖縄はお家が低いね」
「そうだったね」
オシツオサレツは二つの頭で今もお話します。
「台風が多いから」
「その風をかわす為にね」
「日本は地域によって気候が随分と違うからね」
老馬は全体を見て言いました。
「お家の形も違うね」
「こうしたところで雪が多いともう来られないね」
ダブダブも周りを見回して言います。
「そうそうはね」
「うん、そのこともあってタキタロウは幻の魚なんだ」
先生は紅茶を飲みながら皆にお話しました。
「こうした人里離れた山奥の湖の中の結構深いところに棲息していて」
「しかも冬は寒くて雪が多くて」
「とても行けないから」
「それでなんだ」
「目撃されることが少ないて」
「幻の魚って言われていたのね」
「そうなんだ、本当に寒くて雪が多くてね」
そうしてというのです。
「中々行けないところに棲息していたら」
「目撃されにくくて」
「それでどうしても研究が進まなくて」
「それでだね」
「未確認動物にもなるんだね」
「そうなんだ、しかも東北は他の地域に比べて人が少ないね」
このこともお話するのでした。
「寒いからね」
「日本は関西や関東が人が多いね」
「どうしても」
「大都市もそこが多いわ」
「昔は近畿がずっと一番人が多かったね」
「江戸時代から江戸を中心に関東も栄えたけれどね」
それでもというのです。
「鎌倉時代は鎌倉があったし」
「けれどね」
「やっぱり人が一番多いのは関西、近畿だったね」
「考えてみたら織田信長さんや豊臣秀吉さんも東海やそちらが基盤で」
「人が多くて産業も栄えている地域を掌握したから」
「大きな勢力になって」
「それで天下人になったね」
皆もそれはと頷きました。
「言われてみれば」
「そうだよね」
「本当に長い間日本は関西が一番人が多くて」
「江戸時代からは関東も本格的に増えていって」
「東北はというと」
「どうしても」
「仙台は栄えているけれど他の地域は他の地域より人が少なくて」
そうであってというのです。
「それはこの地域でも同じでね」
「それ北欧でも同じだしね」
「欧州の北欧各国も人口少ないわ」
「イギリスやフランスと比べたら」
「国土は広いけれど」
「寒い場所はそれだけで人があまり入らなくて少ないんだ」
先生は言いました。
「作物はあまり出来なくて生きものも少ないからね」
「どうしてもそうなるね」
「どの地域でも」
「やっぱり寒いと暮らしにくい」
「それは事実だね」
「シベリアにも殆ど人はいないね」
先生はこのこともお話しました。
「そうだね」
「とんでもなく広いけれどね」
「日本やイギリスが十個は普通に入る位広いのに」
「人は殆どいないね」
「大自然がそのままあるよ」
「だからマンモスがまだいるという噂があるけれど」
それでもというのです。
「それを見たという人はね」
「殆どいないね」
「物凄く広いけれど人は殆どいなくて」
「しかも寒くて雪が多くて外に出ることも一苦労だから」
「どうしても」
「そう、人が少なくて行き来が殆どない場所にいる生きものは」
どうしてもというのです。
「目撃も研究も少なく進まないよ」
「そうなるね」
「残念だけれど」
「どうしてもね」
「そうなんだ、それは仕方ないよ」
先生はパンケーキを食べながらお話しました、生クリームをたっぷりと乗せたそれもかなり美味しいです。
「そこを敢えて入って学んでいくことも学問にしてもね」
「今の先生達もそうだよね」
「実際に」
「ここまで来て調査しているね」
「学問の為に」
「そうしているけれどね」
「いつも来るなんて出来ないからね」
どうしてもというのです。
「現地の大学でもちょっと来にくい場所だしね」
「キャンプ場にもなってるけれど」
「それでもね」
「確かにいつも来られないよ」
「この辺りは」
「そうした場所だということもね」
先生はさらにお話しました。
「タキタロウが発見されにくい理由だよ」
「そしてよくわかってなくて」
「未確認動物となっているね」
「いることは間違いなくても」
「そういうことね」
「目撃例があって魚群探知機に反応があって」
そうしてというのです。
「食べた人がいて剥製があってもだよ」
「殆ど発見されていなくて」
「よくわかっていないから」
「そうなっているのね」
「そうなんだ、ただ漫画にも描かれているんだ」
先生はこのお話もしました。
「タキタロウは」
「前にそんなお話したかな」
「タキタロウについて」
「ビワコオオナマズもそうで」
「タキタロウもだね」
「釣りキチ三平っていう漫画でね」
この作品でというのです。
「描かれていたんだ」
「成程ね」
「漫画に描かれる位に有名なのね」
「タキタロウってそうなんだ」
「有名なお魚なんだ」
「知っている人にはね。ちなみに矢口高雄という人が描いた作品だけれど」
ヨーグルトケーキを食べてからお話しました。
「この人はツチノコも目撃したそうだよ」
「えっ、それは凄いね」
「ツチノコを見たなんて」
「日本で一番有名な未確認動物の一つだね」
「クッシーやヒバゴンと並ぶ」
「そうした生きものだね」
「その噂を聞いていたら不思議な生きものだよ」
ツチノコはというのです。
「太い棒みたいな形で尻尾の先だけが細くてね」
「ちょっと蛇の形じゃないね」
「蛇っていうけれど」
「どうしても」
「身体を縦に動かしてそれでジャンプ出来て」
このこともです、先生はお話しました。
「いびきをかいてお酒も飲む」
「蛇の習性じゃないよね」
「身体を縦に動かしたりね」
「いびきをかくことも」
「お酒は日本では蛇は酒好きって言うけれど」
「大酒飲みの人をうわばみって呼ぶ位だし」
「実際には飲まないしね」
蛇はというのです。
「しかも身体の動きやいびきはね」
「絶対に蛇じゃないよね」
「ジャンプしたりとか」
「それ本当に蛇?」
「いびきをかくとかもね」
「哺乳類に近いよ」
先生が見るにです。
「シー=サーペントも大海蛇と呼ばれるけれど」
「蛇つまり爬虫類かっていうと」
「そうとも限らないしね」
「これが」
「そう、鯨かアシカやアザラシの可能性もあるしね」
こちらの未確認動物もというのです。
「昔の絵で潮を吹いていたりするね」
「それ鯨だよね」
「どう見てもね」
「それになるね」
「そうだね、シー=サーペントは他には魚類の可能性もあるよ」
哺乳類だけでなくというのです。
「大きな鮫やリュウグウノツカイ未発見の大きなお魚とね」
「鰻かも知れないしね」
「大きなね」
「あと哺乳類だって」
「昔の鯨は細長かったし」
「昔鯨類の生き残り説は濃厚だね」
シー=サーペントはというのです。
「あとステラーカイギュウはまだ生き残っているという説もあるし」
「北極海とかで」
「ステラーカイギュウは九メートル位あったのよね」
「だったらシー=サーペントも見間違えるね」
「たまたまあちらの方で見て」
「鰐だって海で泳ぐね」
先生はこのこともお話しました。
「イリエワニだけれど」
「イリエワニも十メートル位のがいるから」
「それじゃあシー=サーペントとも見間違えるね」
「勿論恐竜の生き残りの可能性もあるし」
「恐竜とも限らないね」
「ツチノコも同じだよ」
あらためてこの未確認動物のお話をしました。
「噂を聞くとね」
「蛇には思えない」
「そんなお話も多いね」
「むしろ哺乳類じゃないか」
「そんな風だね」
「お酒が好きなのはおかしいしね」
このことはというのです。
「人間はアルコールを分解出来るけれど」
「多くの哺乳類は無理で」
「毒になるから」
「そうしたことも考えたら」
「哺乳類かもね」
「わからないね」
「うん、ただ実在の可能性は完全には否定出来ないんだ」
おかしなことはあれどというのです。
「だって目撃例は昔から日本全土にあるからね」
「そうみたいだね」
「ツチノコについては」
「昔から見たっていう人がいて」
「それは日本全土だから」
「矢口さんは東北の人でね」
その出身はというのです。
「バチヘビと呼んでいたけれどバチヘビというのはツチノコの東北の呼び方なんだ」
「へえ、そうなんだ」
「東北じゃツチノコはバチヘビなんだ」
「そう呼ぶのね」
「こちらでは」
「関西ではツチノコで他にはノヅチって呼ぶ地域もあるよ」
皆にワッフルを口にしつつお話します。
「この通り地域によって呼び名が違うことからもわかる通りにね」
「日本全土で目撃されていて」
「しかも昔からなんだ」
「ツチノコについては」
「野槌という妖怪もいてね」
今度は妖怪のお話もするのでした。
「ツチノコと混同されているけれど」
「本当にツチノコは妖怪かも知れないんだ」
「蛇じゃなくて」
「そうなの」
「餌を丸呑みにして身体が膨らんだ蛇を見たか」
若しくはというのです。
「ペットから逃げた海外から輸入した太った形のトカゲを見たか」
「実際にツチノコか」
「妖怪か」
「そこはわからないんだ」
「けれど妖怪なら」
それならというのです。
「身体を縦に動かしたりジャンプしたりいびきをかいたりお酒を飲むのもね」
「あると言えるね」
「妖怪ならそうよね」
「蛇とは思えない行動を取っても」
「それでも」
「そうだよ、妖怪もいるからね」
世の中にはです。
「そうだね」
「先生実際にお静さんとお友達だしね」
「猫股の」
「しかも姫路城のお姫様ともお付き合いあるし」
「兵庫の妖怪の総大将のあの人と」
「だから妖怪はいると僕は知っているよ」
もう確信ではありませんでした、その目で見てお会いしているので。
「多くの人が否定してもね」
「そうだよね」
「妖怪もこの世には存在するよ」
「そもそもイギリスだって妖精多いしね」
「妖精を見た人も多いし」
「妖精と妖怪は同じ様なものだよ」
先生は両者の区分をしませんでした。
「その生まれや行動もね」
「あっ、確かに」
「妖精と妖怪ってね」
「違いは呼び名だけで」
「同じだね」
「そうだよ、イギリスでは妖精と呼んでね」
そうしてというのです。
「日本では妖怪と呼ぶ」
「それだけだね」
「精霊をそう呼ぶ」
「様々なそうした存在を」
「神様がそうなってり人や生きものやものがそうなったりはじまりは色々でも」
それでもというのです。
「妖精と妖怪の違いは実はないよ」
「そうだね」
「そしてツチノコは妖怪かも知れないんだ」
「蛇の姿をした」
「その可能性もあるんだ」
「うん、タキタロウはお魚で間違いないけれど」
今先生が調査しているこの生きものはです。
「ツチノコについてはね」
「妖怪の可能性もあるんだ」
「じゃあ矢口先生は妖怪を見たんだ」
「そうなんだね」
「その可能性はあるね、どうも矢口先生は嘘を言う人ではなかったから」
そうした人だったというのです。
「本で書いてツチノコの漫画も描いておられたから」
「矢口先生がツチノコを見たことは間違いないね」
「そのことは事実ね」
「嘘は言われていない」
「そうなんだね」
「僕はそう思うよ、だからツチノコの実在もね」
こちらのこともというのです。
「否定しないよ、蛇かどうかはわからないけれど」
「蛇と思えないお話もあるから」
「そこは調べるのね」
「そのことは」
「けれどそのお話を聞くと」
「蛇や哺乳類じゃなくて」
「妖怪ともね」
その可能性も否定出来ないというのです。
「思うよ。お話の真偽を確かめてね」
「本当に縦に動いてジャンプしたか」
「いびきをかくか」
「お酒を好きなのか」
「そうもして」
そしてというのです。
「確めないとね」
「何かとあるね」
「ツチノコについても」
「学問として真剣に考えていくと」
「生物学か」
「それも生物学だけじゃなくてね」
この分野に限らずというのです。
「民俗学からも考えて」
「調べていくことだね」
「一つの分野だけでなく」
「様々な分野から考えて」
「調べていって」
「突き詰めていくんだ」
「そうしていくべきだよ、一つを見て全体を判断しないで」
先生は紅茶を飲みつつお話しました。
「聞いたことを全て検証してね」
「真実を明らかにする」
「それこそが学問で」
「そうした考えや行動こそが学問的ね」
「そういうことだね」
「そうだよ、だからタキタロウもね」
このお魚もというのです。
「僕が調べていくと大きさは」
「二メートルもないね」
「七十センチ位ね」
「そこまで大きくない」
「そうなんだね」
「二メートルもあったら」
そこまで大きいと、というのです。
「この大鳥池でずっと種類としていられるか」
「ここにいる生きもの全部食べそうだね」
「そこまで大きな生きものが何十匹もいたら」
「流石にね」
「そうなるね」
「そうもなるしね」
このことも考えられるというのです。
「それにだよ」
「それに?」
「それにっていうと」
「まだあるの?」
「何かあるんだ」
「そんな大きな生きものがそれだけいられる広さか」
この大鳥池はというのです。
「そうしたことも考えるとね」
「それもないね」
「食べられる量も広さも」
「二メートルの大きなお魚が何十匹もいたら」
「アマゾンじゃあるまいしね」
「ちょっとないね」
「大きな生きものは広くて食べものが豊富だからいられるんだ」
この条件をお話するのでした。
「伊勢神宮の鯉なんてそうだね」
「あそこの食べものは豊富だね」
「伊達に日本一の大社じゃないよ」
「それだけにだよ」
「食べものも豊富だし」
「鯉も大きくなるね」
「池田湖だってそうだよ」
九州のこの湖もというのです。
「一メートルの鯉にね」
「鮒もだね」
「あの湖は」
「しかも二メートルのオオウナギも入るし」
「あそこは有名だね」
「イッシーでも有名だけれどね」
この未確認動物でもというのです。
「そうした生きもの達でも有名だけれど」
「何故そうか」
「広くてだね」
「そして食べものが豊富だから」
「それでだね」
「そうだよ、だからタキタロウが二メートルもあるか」
そこまで大きいかといいますと。
「多分これは噂でね」
「実際はそこまで大きくないのね」
「一メートルもなくて」
「大体七十センチ位?」
「それ位なんだ」
「多分ね。ただ七十センチといっても相当だよ」
かなりの大きさだというのです。
「日本の淡水魚ではね」
「そうだよね」
「日本の淡水魚っておおむね小さいからね」
「ビワコオオナマズは最大で一メートルで」
「それ位だし」
「そのことを思うとね」
それならというのです。
「タキタロウが七十センチ位でもね」
「結構な大きさなんだ」
「そうなんだね」
「充分凄いのね」
「日本の淡水魚では」
「そうだよ、ちなみにソウギョもいるね」
日本にはというのです。
「このお魚も」
「何かあまりいない?」
「鯉と比べると」
「何でも日本の川は流れが速くて」
「ソウギョには合わないんだね」
「日本は山が多くて土地が狭いからね」
大陸と比べると、というのです。
「川の流れが急だからね」
「どうしてもそうなるね」
「山が多くて土地が狭いと」
「日本は領土自体は世界的には結構広いけれど」
「島国で幾つもの島に分かれていて」
「しかも細長いから」
「どうしても川の流れは急になるんだ」
そうなってしまうというのです。
「日本はね」
「それで元々大陸の大河に住んでいるソウギョには住みにくいね」
「どうしても」
「いられるとしたら淀川や利根川で」
「世界的に見たら然程大きくない川だね」
「そうなんだ、それでソウギョがここにいるかというと」
この大鳥池にというのです。
「ちょっとね」
「ないんだね」
「そうなんだね」
「どうしても」
「うん、タキタロウはソウギョ説もあるけれど」
それでもというのです。
「あの剥製も違うしね」
「全然似てないね」
「イワナとか言われたらわかるけれど」
「ソウギョはないね」
「ソウギョはあんな険しい感じじゃないよ」
「もっと穏やかな感じだよ」
「僕もそう思うよ」
先生にしてもです。
「ソウギョではないね」
「そうだよね」
「剥製を見たら」
「ソウギョじゃないね」
「かといって鯉でもないね」
「鮒でもないわ」
「イワナに近いね」
先生は断言しました。
「僕はそう思うよ」
「そうだね」
「イワナの大きな種類じゃないの?」
「この大鳥池だけにいる」
「特別な種類じゃないかしら」
「そうだろうね、少なくとも日本古来の淡水魚でね」
そうしてというのです。
「この東北に多くいる種類だよ」
「そうだね」
「やっぱりそうなるね」
「タキタロウがどんなお魚か考えると」
「やっぱりね」
「うん、そして二メートルもないよ」
このことを強く言う先生でした、そうしてです。
先生はティータイムの後は夕暮れになるまで書き仕事をしました、それからは晩ご飯となりましたが。
この日は寄せ鍋でした、沢山のお野菜にソーセージやスパムにベーコンといったものが入っています。
先生は皆と一緒にそうしたものを食べて言いました。
「やっぱりこうしたところではね」
「野外のキャンプだとね」
「お鍋よね」
「そうだね」
「そうだね、あとね」
先生はここで、でした。
お米を棒に付けて形作ったものを食べて笑顔でお話しました。
「きりたんぽもいいね」
「これ面白いよね」
「秋田県名物だね」
「お米を棒に付けて作る」
「それだね」
「そのきりたんぽがね」
本当にというのです。
「またいいね」
「そうだね」
「このきりたんぽがまたいいね」
「関西でも売ってるけれど」
「こちらが本場だったね」
「秋田県がね」
まさにこの県がというのです。
「そうだよ」
「東北ってお米ってイメージ強いね」
ホワイティが言いました。
「秋田にしてもね」
「そうそう、きりたんぽは秋田で」
「あと仙台もよね」
チープサイドの家族も言います。
「お米ってね」
「そんなイメージあるね」
「福島もだったかな」
ジップは食べつつやや首を傾げさせました。
「お米は」
「お蕎麦にお米だね」
トートーは東北ならと言いました。
「そんな風だね」
「昔は飢饉に悩まされたらしいけれど」
老馬は東北の歴史について言及しました。
「そんなイメージあるね」
「東北ってお米ね」
ガブガブはきりたんぽを食べながらお話します。
「まさに」
「お蕎麦は非常食でね」
「お米が主食だね」
オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「まさに」
「そうだね」
「そしてだね」
ここで言ったのはチーチーでした。
「このきりたんぽも出来たんだね」
「お米は暖かいところの作物だけれど」
このことはダブダブが言いました。
「よくこんな寒いところでも出来るね」
「それが凄いわ」
ポリネシアはしみじみとした口調で述べました。
「考えてみたら」
「そう、東北は本当に飢饉に苦しめられてきたよ」
先生もその通りだとお話します。
「長い間ね」
「江戸時代だってそうだったね」
「天明や天保の頃に」
「それでも欧州の豊作の時より餓えた人少なかったみたいだけれどね」
「飢饉の時でも」
「それは欧州がこの東北よりさらに寒いからだよ」
だからだというのです。
「パリが宗谷岬より北にあってね」
「イタリアでこの東北位だから」
「そう思うと欧州って寒いね」
「実際冬はかなり厳しいし」
「夜も長いからね」
「しかも土地は痩せているしね」
欧州はというのです。
「だから欧州の豊作の時よりもね」
「日本の飢饉の方がよかったんだ」
「そうなっていたんだ」
「大変な状況でも」
「この東北でもね。それでお米が多いのはね」
東北ではです。
「お米の品種改良でだよ」
「東北でも育つ様になって」
「それでなんだね」
「お米を植えられる様になった」
「それでなんだ」
「そうだよ、ただ本当に飢饉の心配はいつもあって」
その為にというのです。
「非常食としてね」
「お蕎麦があったんだね」
「飢饉の時に食べる為に」
「そうだったんだ」
「そうだよ、それと寒くて冬は中々外に出られないから」
このこともあってというのです。
「甘酒やお漬けものもよく飲んで食べたんだ」
「ああ、東北って甘酒も多いね」
「そうだね」
「甘酒で身体温めて」
「それでお漬けものでビタミンも補給していたんだ」
「そうだよ、東北は寒いだけにね」
その為にというのです。
「そこから何かと文化が発展してきたんだ」
「寒いなら寒いで」
「お家が三角形になって」
「お蕎麦が普及して」
「それでお米も品種改良されたんだね」
「そうだよ、それとね」
先生はきりたんぽを食べながら皆にさらにお話しました。
「やがて林檎やさくらんぼもね」
「作る様になったね」
「東北では」
「青森の林檎にこの山形のさくらんぼ」
「そういうものが作られる様になったね」
「それで暮らせる様になったんだ」
果物を植えて売ってというのです。
「やがてね」
「それはいいことだね」
「昔は飢饉に苦しめられたけれど」
「今は違うんだね」
「そうだね」
「そうなったよ、いいことにね」
先生は笑顔でお話しました。
「豊かになって飢饉もね」
「なくなったね」
「だから東北もこうしてだね」
「色々なものが食べられるのね」
「今では」
「色々な作物が採れる様になって」
そしてというのです。
「日本全体が豊かになってね」
「それでだよね」
「こんなに豊かになったからね」
「じゃあもう飢饉もないね」
「その心配はなくなったね」
「有り難いことにね、餓えないで豊かに暮らせたら」
それならというのです。
「こんないいことはないよ」
「全くだね」
「それが今の日本でね」
「そして今の東北だね」
「そうなっているね」
「そうだよ」
こう言ってでした。
先生は日本酒を飲みました、今日飲むのはそのお酒ですが。
その日本酒を飲んで、です。笑顔で言いました。
「いやあ、山形のお酒だけれど」
「美味しいんだね」
「先生日本酒も好きだけれど」
「そちらもだね」
「美味しいんだね」
「そう、美味しくてね」
それでというのです。
「こうしたお鍋にもだよ」
「合うんだね」
「しかもあったまるし」
「最高なんだね」
「そうだよ、これはいいよ」
飲みつつ言います。
「日本酒も」
「先生色々なお酒飲むけれどね」
「ウイスキーにワインにブランデーに」
「ビールも飲むし」
「焼酎や梅酒もだね」
「それで日本酒もだね」
「飲むよ、ただ日本酒をこうしてよく飲む様になったのは」
それはというのです。
「日本に来てからだよ」
「そうだね」
「というか先生の食生活って来日するまでイギリスのままで」
「豊かじゃなかったね」
「イギリスってそっちは評判よくないから」
「世界的にね」
「世界的だけじゃないね」
先生はイギリスの食文化について少し苦笑いになってお話しました。
「もう歴史的にね」
「そうだよね」
「美味しいって言われたことないよ」
「朝食やティータイムは兎も角として」
「全体的にね」
「それで僕もただ飲んで食べてるだけだったけれど」
それがというのです。
「来日してからね」
「変わったよね」
「色々なものを食べてね」
「そして飲んでね」
「変わったね」
「そうなったね」
「それで日本酒もだよ」
今飲んでいるお酒もというのです、きりたんぽを食べてなのでお米にお米でという組み合わせになっています。
「こうしてだよ」
「飲んでるね」
「イギリスにいた時は知っていても」
「飲むことはなかったけれど」
「それが今ではね」
「心から楽しんでいるね」
「あるイギリス人の人が一家で来日して日本の食文化を堪能して」
そうしてというのです。
「本に書いて紹介していたけれど」
「日本酒もなんだ」
「飲んでいるんだ」
「そうしているんだ」
「そうだよ、堪能してね」
そうしてというのです。
「気持ちよく酔っていたよ」
「それ先生と一緒だね」
「というか先生今お湯呑みで飲んでるけれどね」
「おちょこでも飲む時あるし」
「お箸も上手に使ってるし」
「物凄い日本的だね」
「国籍も日本になったけれど」
それでもというのです。
「僕も随分に馴染んだね」
「それでだね」
「今の飲む姿も日本人そのものだね」
「お箸を使うそれも」
「そうなっているね」
「自分でも驚く位合っていてね」
日本にというのです。
「それでだよ」
「今ではだよね」
「お箸を使うのも得意で」
「お鍋も大好きで」
「日本酒も飲むね」
「日本人みたいな動きで」
「そうなっているよ、いや本当に美味しいよ」
日本酒の味についてこうも言いました。
「このお酒はね」
「お米で造ったものも」
「麦や葡萄じゃなくても」
「それでもだね」
「美味しいんだね」
「うん、だからついつい止まらなくて」
飲むことがというのです。
「飲み過ぎてしまうよ」
「飲み過ぎには注意してね」
「飲み過ぎは身体によくないから」
「そこは注意してね」
「わかっているよ、それに日本酒はね」
その味を楽しみながらお話します。
「糖分が多いからね」
「ああ、それでだね」
「糖尿病だね」
「それになるね」
「上杉謙信さんは無類の酒好きだったね」
越後の戦国大名だったこの人はというのです。
「何しろ毎晩かなり飲んでいた位の」
「もうお酒が趣味で」
「出陣した時も飲んでいたのよねあの人」
「馬に乗っている時も飲んで」
「その為の杯まで造らせた位で」
「それで糖尿病だったという説もあるんだ」
お酒の飲み過ぎでというのです。
「肴はお塩や梅干し、干し魚とかお味噌でね」
「それ危ないね」
「もう聞いただけでわかったわ」
「どれも塩分高いし」
「毎晩それを肴に物凄く飲んでいたら」
「身体によくないよ」
「だから糖尿病説以外にも」
それ以外にもというのです。
「脳卒中で倒れたという説があるよ」
「そうなってもおかしくないね」
「毎晩物凄く飲んで肴がそれなら」
「もうね」
「成人病にならない方がおかしくて」
「糖尿病でもおかしくないね」
「そうだね、日本酒を飲み過ぎると」
どうしてもというのです。
「そうなる危険性があるよ」
「だから気をつけようね」
「糖尿病にならなくても」
「適量を守ってね」
「先生のね」
「そうするよ、健康診断受けたらイギリスにいた頃より健康的だしね」
それでというのです。
「その健康を維持する様にするよ」
「頑張ってね」
「そうしてね」
「是非ね」
「これからも」
「そうするよ」
こう皆にお話するのでした。
「僕もね」
「そうしてね」
「これからも」
「そしてだよ」
「これからも健康でいてね」
「そうして飲んで食べていくよ」
今度はお碗の中にお葱や白菜、菊菜に椎茸を入れてそうしたものを食べています。お野菜等もよく食べる様になっているのです。
「これからもね」
「頑張っていってね」
「是非ね」
「そうしていってね」
「そうしていくよ」
こう言うのでした。
「僕もね」
「そうしていってね」
「私達も全面的にバックアップするから」
「家事も一緒にね」
「先生の健康のこともね」
「任せてね」
「悪いね、僕は家事とかは出来ないし」
それも全くです。
「世事のこともね」
「その為に僕達がいるから」
「任せてね」
「こうしたことについては」
「先生の為なら火の中水の中だから」
「お願いするよ、それとね」
さらに言う先生でした。
「皆も一緒にね」
「健康になるんだ」
「僕達も」
「そうなるのね」
「そうなっていこうね」
笑顔で応えてでした。
先生は日本酒をまた飲みました、そうして鍋も食べて言いました。
「最高だね」
「そうだよね」
「それじゃあね」
「食べようね」
「そうしようね」
「デザートもあったね」
先生はこちらのお話もしました。
「確か」
「うん、さくらんぼだよ」
「スタッフの人達が買ってきたのがあるよ」
「その山形の名産があるよ」
「それがあるよ」
皆は先生に笑顔で答えました。
「それを食べようね」
「お鍋を食べた後は」
「そうしようね」
「是非ね。お鍋の最後はおうどんでね」
今日はそれになるのでした。
「それを食べたら」
「さくらんぼ食べよう」
「皆でね」
「そうしようね」
「うん、是非ね」
そうお話している間におうどんがお鍋に入れられました、そうしてです。
皆でお鍋を全部食べてからさくらんぼも食べました、そのさくらんぼも素敵な味でした。