『ドリトル先生と牛女』




               第九幕  明治からのこと

 先生はこの時大学の中をお散歩して運動と気分転換に励んでいました、この時も動物の皆も一緒ですが。
 皆一緒に歩く先生に口々に言いました。
「先生よく歩く様になったね」
「普通に一日一万歩は歩いてるわね」
「こうして学園の中を歩いたりして」
「そうなったね」
「そうだね、本当によく歩く様になったよ」
 先生自身もこう言います。
「日本に来てからね」
「そうよね」
「お陰でかなり健康になったよ」
「毎日歩いて」
「そうしていって」
「健康にいいものをよく食べる様になって」
 そしてというのです。
「歩く様にもなってね」
「もう健康そのもの」
「そうなったね」
「じゃあこのままね」
「ずっと歩いていくわね」
「毎日ね。そして歩きながらね」
 そうしつつというのです。
「学園の中の動物園や植物園にね」
「博物館や図書館も行って」
「美術館や鉄道図書館にもそうして」
「それで学問もしていくね」
「そうするのよね」
「そうしていっているよ」
 実際にというのです。
「毎日ね」
「歩いて身体にいいものを食べて学問もする」
「毎日充実してるわね」
「それじゃあ健康になるのも当然ね」
「先生の場合は」
「そうだね、そしてお風呂にも入って」
 そうもしてというのです。
「毎日服は洗濯して歯も磨いて」
「余計にだよね」
「健康になってるね」
「そうなってるわね」
「そうしているよ、そしてね」
 それでというのです。
「余計に健康だよ」
「清潔にもしてるとね」
「確かに余計にいいわね」
「身体も奇麗にすると」
「それじゃあね」
「うん、そしてね」 
 それでというのです。
「尚更健康だよ、しかし歯磨きはね」
 こちらはといいますと。
「日本にもおかしなことを言う人がいたからね」
「あれだよね、歯磨き粉を使わないで磨こうっていう人」
「時間をかけて磨けばいいとかね」
「あの買ってはいけないの雑誌で言ってたのよね」
「そうだったね」
「あの雑誌は本当に非科学的で」
 そうした主張が多くてというのです。
「そしてね」
「それでだよね」
「もう文明事態に否定的で」
「鵜呑みにしたらいけない」
「そうよね」
「うん、あの雑誌の主張はどれも鵜呑みにしたらね」
 それこそというのです。
「とんでもないことになるよ」
「というかしっかりと歯を磨かないと」
「歯磨き粉も使ってね」
「お口の中も結構汚くなるから」
「しっかり磨かないとね」
「そうしないとね」
 それこそというのです。
「身体にもよくないよ、だからあの雑誌は批判もよく受けているよ」
「当然だね」
「何か読んだら危ない雑誌ね」
「おかしな人が愛読する様な」
「そんな雑誌だね」
「僕がよく言っているおかしな料理漫画の原作者も連載していたし」
 そうしたこともあってというのです。
「本当にね」
「この雑誌こそ読んではいけない」
「そうだね」
「そうした雑誌なのね」
「うん、何でも鵜呑みにしたら危険だけれど」
 それでもというのです。
「こうした雑誌は特にだよ」
「何でそんな雑誌があるのかな」
「世の中訳がわからないこともあるね」
「変な雑誌もあるね」
「本当にね」
「僕も思うよ」
 先生はどうかという口調で言いました、そして。
 学園の中を歩いていてでした、また言いました。
「そういえば牛女さんは運動は」
「ンまにかね」
「あまりしていないね」
「そんな感じがするわね」
「どうも」
「戦争中はずっと有力者のお家の中に匿われていてね」 
 そうしてというのです。
「ずっとお部屋の中から出なかったみたいだし」
「それじゃあね」
「やっぱり運動してないね」
「そうだよね」
「あの人は」
「今もね、いや今思い出したけれど」
 こうも言った先生でした。
「あの人暴れ回るとかいうお話があったよ」
「そうだったんだ」
「あの人にそんなお話があるんだ」
「物凄く穏やかで上品な人だけれど」
「そんなお話もあるんだ」
「うん、大きなトラックに襲い掛かって体当たりするとかね」
 そうしたというのです。
「そうしたう話もあるんだ」
「そうだったの」
「何か凄いお話だね」
「トラックに襲い掛かるとか」
「物凄いね」
「そんなお話があってね」
 それでというのです。
「今は運動はしてるかな」
「そうなんだ」
「じゃあ運動の分は健康なんだ」
「そうなのね」
「そうじゃないかな」
 こうしたお話をしていると、です。
 先生はお散歩から研究室に帰ってそうしてから今度は論文を書いていると動物の皆は
ティータイムの用意をしつつ先生に言いました。
「いや、健康の為には色々しないとね」
「清潔にしてね」
「運動もしてね」
「そして身体にいいものも食べることね」
「そうだよ、そしてね」 
 それにとです、先生は言いました。
「睡眠もね」
「そうそう、よく寝ることもね」
「そのことも大事だね」
「僕達もよく寝ているし」
「そのことも大事だね」
「今は睡眠についての論文を書いているけれど」
 それでもというのです。
「本当に生きものはよく寝た方が健康でよく動けるよ」
「そしてよく休める」
「そうよね」
「よく寝たらよく動けて」
「そしてよく学ぶことも出来るね」
「その方が長生きも出来るしね」
 よく寝た方がというのです。
「睡眠も大事だよ」
「寝不足だとね」
 ジップも言います。
「それだけで大変だよ」
「僕達もそうだし」
 トートーもです。
「よく寝てこそ充分なことが出来るからね」
「若しも」
 ここで言ったのはガブガブでした。
「寝不足だとあらゆることに支障が出るよ」
「僕達は特にそうだね」
 ホワイティが言いました。
「人間以上に寝ないとね」
「実際に私達よく寝てるわよ」
 ポリネシアは言いました。
「毎日ね」
「毎日ぐっすりと寝て」
「それで快適に暮らしているわね」
 チープサイドの家族もです。
「睡眠不足って感じることはね」
「ないね」
「僕食べることも好きだけれど寝ることも好きだよ」
 ガブガブはそうでした。
「本当にね」
「睡眠は本当に大事で」
 ダブダブにとってもです。
「徹夜は出来る限りしないことね」
「先生もどんな時でも絶対に寝る様にしてるね」
「そうしてるね」
 オシツオサレツは先生に言いました。
「丸一日寝ないってことはしないで」
「毎日絶対に寝ているね」
「だからいいんだね」
 最後にチーチーが言いました。
「先生は健康なんだね」
「そうだよ、僕は毎日よく寝る様にしているよ」
 実際にと言うのです。
「本当にね」
「そうだよね」
「睡眠にも気をつけてるね」
「そうだよね」
「こちらも毎日ね」
「毎日よく寝て」
 そしてというのです。
「学問にも励んでいるよ」
「よい学問には健康であれ」
「そして睡眠は健康の秘訣の一つ」
「それでだね」
「よく寝ることも忘れていないのね」
「そうだよ、ただ僕はお昼寝はね」
 これはといいますと。
「来日してからはしていないね」
「そうそう、毎日学問をして」
「そうしてね」
「それでよね」
「お昼寝はしないね」
「それはしなくて」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「夜にしっかりと寝てるね」
「お昼は頑張って」
「そうしてね」
「うん、イタリアやスペインだとシェスタがあって」
 そうしてというのです。
「お昼は寝ているけれどね」
「そうそう、皆ね」
「南欧では皆シェスタするね」
「そうして楽しんでるわね」
「そうしてるね」
「あれもいいけれどどうも来日してから」
 先生の場合はです」
「お昼は寝ないね」
「ティータイムもあるしね」
「先生は三時のそれは欠かせないから」
「それでよね」
「それを楽しまないといけないから」
「だからね」
 このこともあってというのです。
「僕はお昼寝をしないね」
「そうだよね」
「それでお昼は学問に励んで」
「そうしてね」
「夜は寝てるわね」
「遅くても十二時には寝て」
 そうしてというのです。
「それからはね」
「ぐっすりだね」
「先生毎日よく寝てるよ」
「それでその分健康で」
「しっかりやってるわね」
「だからね」
 それでというのです。
「いつも快適だよ」
「そうだね」
「じゃあ今日もだね」
「夜はしっかり寝るね」
「そうするね」
「そうするよ」
 こう言ってでした、先生は論文を書いてです。
 和風のティーセット、お抹茶と和菓子の奇麗なお饅頭と羊羹そしてお団子を食べました。その奇麗なそれこそ宝石みたいな和菓子も楽しんで。
 お抹茶も飲みます、すると先生はこんなことを言いました。
「お抹茶は飲むと目が覚めるね」
「コーヒーみたいにね」
「一気に目が覚めるね」
「そうなるわね」
「これがいいね、気が抜けていたり眠い時も」
 そうした時もというのです。
「お抹茶をのむとね」
「目が覚めてね」
「あらためて頑張れるわね」
「そうよね」
「これがいいね、だから飲み終わったら」
 そして食べ終わったらというのです。
「またね」
「頑張るね」
「論文書いていくわね」
「そうするわね」
「そうするよ、目が覚めて」
 そしてというのです。
「また頑張れるからね」
「和菓子も楽しんでるし」
「そのこともあって」
「それでよね」
「また頑張れるわね」
「うん、お茶は元々目覚ましの為でもあったしね」
 その為に飲まれていたというのです。
「お寺の修行の時に」
「先生前に言ってたね」
「そこからお寺に定着して」
「そうして日本全体に広まったのよね」
「茶道もあって」
「そうだよ、千利休さんも元は商人だったけれど」
 それでもというのです。
「出家してね」
「お坊さんになってたね」
「出家したから」
「だからお茶とも縁が深かったのね」
「そうなんだ、そして千利休さんの存在もあって」 
 そうしてというのです。
「お茶は大いに普及して」
「日本全体で飲まれる様になった」
「そして今に至る」
「そうよね」
「そうなんだ、そのお茶を飲んで」
 そしてというのです。
「また論文を書いて」
「お家に帰ってもね」
「また論文書くね」
「そうするのね」
「晩ご飯を食べてお風呂にも入るけれど」
 それでもというのです。
「お酒を飲むまではね」
「論文書くよね」
「いつも通り」
「そうするのね」
「絶対にね」
 こう言うのでした、そしてです。
 先生は実際にティータイムの後はすぐに論文に戻って調べて書いてです、お家に帰ってからもそうしました。
 翌日も研究室で書いていますと。
 お部屋にお客さんが来ました、見れば河童でした。河童さんは先生に研究室に入れてもらいますと明るく言ってきました。
「僕はこの学園に住んでいまして」
「この学園は妖怪も沢山いるからだね」
「はい、それでです」
「河童君もいるんだね」
「はい、そして」
 そうしてというのです。
「今日は牛女さんのことでお話したいことがありましてお邪魔しました」
「というと」
「あの人噂がありますね」
「トラックに襲い掛かったとかいう」
「それですが」 
 この噂話はというのです。
「そうしたお話はないです」
「あくまで噂だね」
「はい、物凄く穏やかな人ですから」
 それでというのです。
「そうしたことはです」
「されないね」
「間違っても」
 それこそというのです。
「いません」
「うん、僕もね」
「このことはですね」
「わかっていたよ」
「左様ですね」
「というか噂はではね」
 先生は河童にお話しました。
「色々言われるよ、君達もそうだね」
「僕達もですか」
「河童は尻子玉を抜くというね」
「あのお話ですね」
「そんなことはしないね」
「というか尻子玉ってないですから」
 河童は先生にこう返しました。
「実は」
「そうだよね」
「はい、人間の身体には」
「ないならね」
「ないものは誰も取れないですから」
 それでというのです。
「ですから」
「そうだね、というか大型のトラックに襲い掛かって吹き飛ばすとか」
「無茶苦茶ですよね」
「牛女さんの体格ではね」
 それこそというのです。
「無理だよ」
「もうその時点で、ですか」
「ないお話であの人の性格を見ても」
「やっぱりですね」
「ないよ、そうした噂話はね」
「根拠がなくて」
「鵜呑みにしたらいけないよ」
 そうだというのです。
「本当にね」
「やっぱり先生はそうしたことはおわかりですね」
「これでも学者だし」
 先生は河童に答えました。
「医師が噂を信じたり鵜呑みにしたり偏見があるとね」
「よくないですか」
「絶対にね」  
 それこそというのです。
「医師はそうしたものには特に気をつけないと」
「患者さんを診察してもですか」
「よくないから」
 だからだというのです。
「本当にね」
「気をつけておられるんですね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「僕はね」
「それは何よりです。ですから」
「ですから?」
「僕達ともお付き合い出来るんですね」
「ああ、妖怪だからとか」
「それで偏見はないんですね」
「ないつもりだよ」
 先生は河童に答えました。
「そちらもね」
「やっぱりそうですか」
「うん、妖怪も人間も心があるね」
「だからですか」
「動物もね。その心を大事にしないと」
 それこそというのです。
「駄目だよ」
「そのお考えがです」
 河童は先生のお話を受けて笑顔で言いました。
「素晴らしいです」
「そう言ってくれるんだね」
「はい」
 先生に実際にと答えました。
「実際にそう思いましたから」
「そうなんだね」
「そうです、それで牛女さんのことですが」
「何かな」
「お礼を言われています」
 先生にというのです。
「そのことをお話に来ました」
「歯のことでかな」
「そうです、治してくれて有り難うと」
「まだ一回あるけれど」
「それでもとのことで」
 河童は先生にさらにお話しました。
「お礼を言われていたので」
「それでなんだ」
「僕はそのことをお伝えに来ました」
「牛女さんから言われてかな」
「牛女さんは今ちょっと広島に行ってまして」
「妖怪さん達のお付き合いかな」
「僕達も色々ありまして」
 妖怪もというのです。
「それで、です」
「広島の方にだね」
「呉に行かれています」
「呉っていうと」
 その街の名前を聞いて先生はすぐに言いました。
「自衛隊の基地があるね」
「海上自衛隊ですね」
「大きな港に教育隊に」
「かなり大きいですね」
「そうだったね」
「海軍の頃からでして」 
 河童は先生に明るくお話しました。
「あそこと広島市は妖怪が多いんですよ」
「そうなんだね」
「それで呉の方にです」
「今はお付き合いでだね」
「行かれていまして」
 それでというのです。
「僕が伝言を頼まれました」
「お礼を伝えに」
「それと次の治療の日までには帰って来るので」
「そのこともなんだ」
「お伝えに来ました」
「そういうことだね」
「そうです、あと僕の場合は」
 河童は先生に笑ってこうもお話しました。
「虫歯はないですね」
「君達は嘴だからね」
「歯がないですから」
「そうだね」
「歯がある仲間もいますけれど」
 そうした河童もというのです。
「僕の場合はです」
「歯がないからだね」
「磨く必要はないです、ただお口の中は」
「奇麗にしているね」
「いつも丁寧に洗っています」
 そうしているというのです。
「専用のブラシを使って」
「歯磨き粉もだね」
「そうしています、さもないとよくないですから」
「お口の中は歯がなくてもいつも奇麗にしないとね」
「駄目ですからね」
「だからだね」
「僕も毎日お口の中を洗っています」
 こう先生にお話します。
「そうしています」
「それはいいことだね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「前から西瓜が好きなんですが」 
 この甘いお野菜がというのです。
「それでなんです」
「何かあるのかな」
「はい、西瓜も食べ過ぎると歯によくないって」
「言う人がいるんだね」
「友達のキジムナー君達に言われました」
「そうだったんだ」
「甘いですからやっぱり」
 先生に言うのでした。
「歯によくないですね。僕は歯がなくても」
「糖分は確かに問題だけれど」
 それでもとです、先生は河童に答えました。
「西瓜は殆ど水分で実は糖分もあまり多くないからね」
「そんなにはですか」
「スポーツドリンクみたいなものだから」
 それでというのです。
「特にね」
「気にしなくていいですか」
「そうなんだ」
「そういえば西瓜は胡瓜の仲間ですね」
「匂いでわかるね」
「はい、だから僕も好きなんです」
 河童と言えば胡瓜です、兎に角胡瓜が大好きなのが河童という妖怪です。それなら胡瓜の中まである西瓜もなのです。
「西瓜が」
「そうだね、胡瓜も水分が多いね」
「固いですが」
「それでね、西瓜はもっとでね」
「スポーツドリンクみたいなものですね」
「だからね」 
 それ故にというのです。
「別にね」
「気をつける程じゃないですか」
「果物よりずっと糖分は少ないよ」
「実はお野菜ですし」
「そのこともあってね」 
「そうですか」
「うん、ただ西瓜はいいね」
 先生はその西瓜のお話もしました。
「本当に」
「そうですよね」
「あの優しい甘さと水気がね」
「最高ですよね」
「僕も大好きだよ」
 先生もです。
「お野菜や果物は好きなものが多いけれど」
「西瓜はですね」
「大好きでね」
 それでというのです。
「よく食べるよ」
「そうなんですね」
「夏は特にね」
「夏の西瓜は最高ですね」
「本当にね、ただね」
「ただ?」
「いや、最近黄色い西瓜は食べていないなってね」
 先生は気付いた様に言いました。
「今思ったんだ」
「クリーム西瓜ですか」
「あちらはね」
「あの西瓜も美味しいですね」
「そうだね、じゃあ今日はね」
 思い立ったらという感じで言う先生でした。
「その黄色い西瓜をね」
「召し上がられますか」
「夜にね、そうするよ」
 こう河童に言うのでした、そしてです。
 河童が帰ってからまた論文を書いて家に帰る時にトミーに連絡をしてその黄色い西瓜を買ってお家に帰りました。それから晩ご飯の後で。
 皆で黄色い西瓜を食べました、お家に来ていた王子はその黄色い西瓜を見て明るい笑顔で言いました。
「この黄色い西瓜もね」
「いいよね」
「赤い西瓜もいいけれど」
 こう先生に言うのでした。
「黄色い西瓜もね」
「独特の味があってね」
「僕は好きだよ」
「僕もだよ。じゃあ皆で食べようね」
「そういえば先生」
 チーチーが先生に言ってきました。
「商店街の八百屋さんにメロンもあったね」
「あのメロンも美味しそうだったね」
 老馬も言います。
「それもかなり」
「大きくてよく熟れた感じで」
 ジップも言います。
「美味しそうだったね」
「今回は西瓜を買ったけれど」 
 ホワイティもその西瓜を見ています。
「メロンもいいね」
「値段も変わらないし」 
 西瓜と、とです。ガブガブは言いました。
「今度はそれでね」
「西瓜もいいけれどね」
「メロンもいいね」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「どちらもね」
「そうだよね」
「何か昔はメロンが高かったそうだね」
「日本ではね」 
 チープサイドの家族はかつてのメロンのお値段のお話をしました。
「もう驚く位にね」
「そうだったみたいだね」
「それで滅多に買えなくて」
 ダブダブも言います。
「皆食べられなかったそうね」
「バナナもそうだったらしいね」 
 トートーはこの果物のお話をしました。
「昔の日本では」
「とにかくメロンは高いもので」
 最後にポリネシアが言いました。
「そうそう食べられなかったのね」
「そうだよ、昔は冷凍技術も発達していなかったし夕張メロンとかもなくて」
 先生は皆に答えました。
「日本ではメロンは凄く高かったんだよ」
「そうだよね」
「もう驚く位高くて」
「皆もそうそう長けられない」
「そうだったのよね」
「今じゃ西瓜と変わらない値段だけれど」 
 先生は西瓜を食べながらお話します。
「昔はね」
「全然違って」
「驚く位高くて」
「皆食べられなかった」
「そうよね」
「そうだよ、けれどね」
 それがというのです。
「冷凍技術、保存技術も発達して」
「日本でも作られる様になって」
「それでだね」
「うんと安くなって」
「それで皆食べられるんだね」
「そうなんだ、あとバナナも」
 お話に出たこちらの果物もというのです。
「今ではね」
「安いよね」
「メロンよりもずっとね」
「そうなってるね」
「昔は高かったっていうのに」
「それがね」
「そうだよ、技術が進歩すると」
 冷凍技術に保存技術そして農業のそれもです。
「皆色々なものが食べられるんだ」
「そうよね」
「旬のもの以外も食べられる様になってるし」
「今じゃ冬に西瓜食べられるし」
「夏に蜜柑だってあるし」
「確かに旬のものが一番美味しいけれど」
 それでもというのです。
「旬の時以外にも食べられることはいいことだね」
「本当にそうよね」
「西瓜も夏以外にも食べられるし」
「そう思うとね」
「本当に技術が発達していいね」
「ハウス栽培もね」
 これもというのです。
「素晴らしい技術だよ」
「そうよね」
「ハウス栽培で色々なお野菜が作れてね」
「何時でも食べられるから」
「いいわよね」
「うん、こうした農業技術をどんどん発展させて」
 そうしてというのです。
「皆何時でも美味しいものを食べられる」
「そうなっていくべきだね」
「農業についても」
「それがいいことね」
「僕はハウス栽培は素晴らしいものだと思うよ」
 そう考えているというのです。
「本当にね」
「色々なものが何時でも食べられる」
「そうなるからね」
「本当にいいね」
「その土地やお水、季節で栄養は変わるけれど」
 お野菜の中のそれはです。
「それでも食べられることはいいことだよ」
「そうだね」
「そういえばあの料理漫画ハウス栽培も批判してたね」
「作られたお野菜の栄養が凄く低いって」
「数字に出てるって」
「だからそれぞれの土の質やお水、季節があるから」
 だからというのです。
「一概に言えないよ」
「極端に低い場合を一般にしたら駄目ね」
「そうしたら」
「そう思うと本当にあの漫画は危険だね」
「読んで鵜呑みにしたら」
「日本には色々な漫画があるけれど」
 それでもというのです。
「あの漫画は特に有害だよ」
「牛乳もそうだし他にも色々あるよね」
「もう問題だらけの漫画で」
「読んだら危ない」
「登場人物の真似をしても」
「そうだよ、あの漫画は反面教師にしないと」
 鵜呑みにしないで、です。
「よくないよ」
「いや、凄い漫画だね」
 王子はスプーンで黄色い水位化を食べながら言いました。
「僕も知ってる漫画だけれどね」
「王子もそう思うね」
「先生が言う意味で凄いってね」
「そうだよね」
「少なくとも先生には合わないよ」 
 その漫画はです。
「理知的で冷静で科学的に考える先生にはね」
「科学を出しても非科学的だしね」
「出て来る人が皆先生と真逆ですよね」
 トミーも言ってきます、勿論トミーも黄色い西瓜を食べています。
「本当に」
「トミーはそのことが気になるんだ」
「はい、もうすぐに怒って騒ぐ」
「確かにそんな登場人物ばかりだよ」
「無教養で野蛮で」
 登場人物全員がです。
「主人公側も相手側も」
「ゲストキャラもね」
「本当に皆そうですから」
「皆僕と真逆だっていうんだね」
「先生お店の料理で化学調味料使って暴れます?」
 お店の中で、です。
「絶対にしないですよね」
「それはおかしいからね」
「おかしな行いですね」
「うん」 
 そう言うしかないというのです。
「本当にね」
「化学調味料は法律に触れてないですね」
「だからお店でも使ってるよ」
「そうですよね」
「それにね」
 先生はさらに言います。
「幾ら口に合わなくてもね」
「お店の人や他のお客さんの迷惑ですし」
「そんなこと誰がしても許されないよ」
「絶対に」
「そう、絶対にね」
 まさにというのです。
「許されないよ」
「そうですよね」
「けれどその許されないことがね」
「普通に行われている漫画ですから」
「鵜呑みにしては駄目だよ」
「その全部を」
「全部どうかって思いながら読まないと」 
 それこそというのです。
「あの漫画は駄目だよ」
「物凄い漫画ですね」
「ああした新聞記者は絶対に暴れる様子を動画でインターネットで拡散しないと」
「よくないですね」
「日本のマスコミは自分達の悪事は隠蔽するからね」
 先生はこのことも指摘しました。
「だからね」
「若し現場を見たらですね」
「すぐに動画に撮ってね」
 スマートフォンでそうしてというのです。
「そしてね」
「世に知らしめて」
「新聞社全体の責任もね」 
 その記者が所属しているなら新聞社にも責任があるからです。
「追及しないとね」
「駄目ですね」
「うん、しかもあの漫画の記者みたいな記者がね」
「現実にいますね」
「それが日本だから」 
 現実にいるからというのです。
「ああしたことはどんどんしないとね」
「駄目ですね」
「しかもそれで主人公だから」
「余計に駄目ですね」
「何でも原作者の人もああらしいよ」
「お店のお料理が口に合わないと、ですか」
「暴れるらしいから」
 そうするからというのです。
「創作者の中にあるものが作品にも登場人物にも出るけれど」
「あの作品もですね」
「そうだよ、酷い人の作品はね」
「酷い作品になりますね」
「そうなるから」
 だからだというのです。
「気をつけないとね」
「そういうことですね」
「作品は鏡でもあるからね」
 先生はこうも言いました。
「創作者の中にあるものが出るんだ」
「書いたり描いたりする中で」
「そうだよ、ダ=ヴィンチやミケランジェロの絵もね」
 ルネサンス期の有名な人達のお話もしました。
「それぞれの中にあるものがね」
「出ているんですね」
「そうだよ、小説や漫画もそうでね」
「あの漫画も然りですね」
「原作者の中にあるものがね」
「出て、ですね」
「ああなっているんだよ」
 こうトミーにお話しました。
「本当にね」
「そういうことですね」
「今あの漫画はネットで批判され続けているけれど」
「当然のことですね」
「そうだよ、歪んだ海図は捨てられるし」
 そうなってというのです。
「おかしな漫画もね」
「批判されますね」
「信じられなくなってね」
 そうしてというのです。
「徹底的に検証されて批判されるよ」
「何でも書いたらいいんじゃないね」
「おかしかったら批判される」
「そして創る人も出る」
「それが作品なのね」
「うん、例えばガリバー旅行記も」
 先生は動物の皆にこの作品のお話をしました。
「ジョナサン=スウィストの考えが出ているよ」
「巨人の国に行ったり小人の国に行ったり」
「馬の国に行ったりね」
「天空の城にも行くわね」
「当時のイギリスを風刺したりもしてるし」
 そうしたことも入っていてというのです。
「スウィストの考えも入っているんだ」
「成程ね」
「そうしたことも読んでいくのね」
「先生は文学も学んでるけれど」
「文学にも出てるのね」
「そうだよ」
「そういえばね」
 王子は麦茶を飲んで西瓜を食べている先生に言いました。
「不思議の国のアリスそれに鏡の国のアリスだけれど」
「ルイス=キャロルだね」
「あの作品もだね」
「うん、ルイス=キャロルの考えが出てね」
 そうしてというのです。
「ああした作品になっているよ」
「風刺と言葉遊びに」
 王子は言いました。
「あと幼女趣味?」
「そのことだね」
「あれは作者さんの趣味だね」
「実はルイス=キャロルはね」
 先生は王子に少し苦笑いでお話しました。
「そちらの趣味があったんだ」
「実際にそうだったんだ」
「それもかなりね」
「やっぱりそうだね」
「生涯独身だったのは」
 そのこともお話するのでした。
「どうもね」
「その趣味がなんだ」
「影響しているかもね」
「実際にそうなんだ」
「うん、本当にそうしたお話もあるし」
 ルイス=キャロルという人にはというのです。
「小さい女の子が好きな」
「実際になんだ」
「あってね」
「じゃあ今だと」
「警戒されていたと思うよ」
 先生は王子にお話しました。
「あの人はね」
「そこまでなんだ」
「今だとね」
「そうなんだね」
「理知的な紳士だったけれど」
 それでもというのです。
「今だとね」
「幼女趣味が過ぎて」
「そう、本当にね」
「警戒されていたんだ」
「警察のご厄介になることも」
「えっ、警察って」
 王子はそのお話に驚いて言いました。
「そこまでの人だったんだ」
「うん、これがね」
「そんな人だったんだ」
「今だとね、当時は問題にならなかったけれど」
「今だとだね」
「今はそういうことが厳しいから」 
 そうなっているからだというのです。
「問題になるよ」
「偉大な作家さんも逮捕されるかも知れないんだ」
「今もね、というかね」
「というか?」
「ルイス=キャロルは本来は理系の学者さんだからね」
「小説家は本業じゃなかったんだね」
「そうだよ、そのことも覚えておいてね」
 こう王子にお話しました。
「色々調べると面白いから」
「あの人のことも」
「作家さんそれぞれぞの生い立ちを調べても」
 そうすると、というのです。
「本当にね」
「面白いんだね」
「そう、だからね」
「じゃあ日本の作家さんもかな」
「そうだよ、森鴎外もそうだし」
「他の人達もだね」
「それをすることも学問だから」
 それでというのです。
「僕もそうしていくよ」
「これからもだね」
「文学を学ぶ時はね」
 先生は笑顔でお話しました、そうしてこの日の残りも楽しい時間を過ごしました。








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