『ドリトル先生の野球』




                第十一幕  入団会見

 ドラフトの後で、です。野球の方はクライマックスそうしてシリーズと移っていきましたが阪神の今回の相手はソフトバンクでした。
 そのパリーグの覇者を見てです、動物の皆は朝のお家で言いました。
「本命が出て来たね」
「リーグ優勝をぶっちぎりでしたし」
「クライマックスも何なくだったし」
「もう出て来るべくして出て来た」
「そう言えるわね」
「うん、やっぱり戦力が違うよ」
 先生も皆にこうお話します。
「何といってもね」
「そうだよね」
「確かにプロ同士で実際の戦力差は言われてる程じゃなくても」
「ソフトバンクに戦力があるのは事実だし」
「その戦力に怪我する人が少なくて」
「それで普通の采配を執っているとね」
「それでだよ」
 まさにというのです。
「あのチームは今年も本命だったし」
「その評判通りに優勝して」
「阪神に挑戦してくるのね」
「そういうことね」
「そうだよ、けれど今の阪神には大きな目標があるから」
 その目標はといいますと。
「十連覇というね」
「監督さんも仰ってるね」
「阪神は十連覇を目指すって」
「勿論十連覇で終わりじゃないけれど」
「まずは十連覇」
「そう言われてるね」
「巨人の九連覇を塗り替えるんだ」
 何があってもというのです。
「その偉大な目標があるからね」
「だからだね」
「相手がソフトバンクでも負けられないわね」
「どれだけ強い相手でも」
「そうであっても」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「阪神の健闘を観ていよう」
「僕達としては」
「そうすべきだね」
「敵がどれだけ強くても」
「阪神は必ず勝つ」
「そう信じてね」
「観るべきね」
 皆も先生のお言葉に頷きました。
「それじゃあね」
「今年も観させてもらうよ」
「是非ね」
「阪神の胴上げを」
「福岡か甲子園でのそれをね」
「今みたいになるまではシリーズに出場しても」
 ここで先生は少し苦笑いになってお話しました。
「負けてばかりだったからね」
「一九八五年は日本一になったけれど」
「その後はね」
「どうもね」
「負けが続いていたわね」
「中には酷い敗北もあったね」
 それに終わったシリーズもあったというのです。
「ロッテとのシリーズだけれど」
「そうそう」
「あの時のお話は今でも伝説になってるから」
「三十三対四とかね」
「濃霧とかで」
「ロッテにあまりにも一方的にやられて」
「今だに言われてるね、ちょっとあの負け方はないね」
 先生は少し苦笑いになって皆にお話しました。
「本当に」
「そうだよね」
「有り得ない位に負けたから」
「もうどうしたらそれ位負けられるの?っていう位に」
「一方的にやられて」
「伝説にさえなかったから」
「そのことを思うとね」
 どうしてもというのです。
「阪神は暫くシリーズはどうも、だったけれど」
「それがね」
「随分変わったわね」
「ちゃんとシリーズでも勝ってくれる様になって」
「日本一にもなってくれて」
「しかももう何連覇もしてるから」
「本当に変わったよ、ずっとそのままで変わらないとか」
 そうしたことはといいますと。
「どんなものでもないからね」
「人でもそうだしね」
「世の中変わらないものはない」
「徐々にでも急にでも変わっていく」
「そうしたものだね」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「阪神についてもね」
「変わったんだね」
「ちゃんとね」
「そうなったんだね」
「よくね、巨人は転落という意味で変わったけれど」
 このチームの場合はそうなるというのです。
「阪神はね」
「常勝軍団に生まれ変わった」
「そうした意味で変わったわね」
「いい意味で変わったわ」
「本当にね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「どんなものも、阪神でも変わったんだよ」
「7それで今の阪神がある」
「文字通りの猛虎軍団になった」
「そういうことね」
「まさに」
「そうだよ、その猛虎のシリーズでの活躍を楽しみにしていようね」
 是非にとお話する先生でした、そしてです。
 先生は皆と一緒に出勤しました、すると大学はその人の阪神からのドラフト一位指名のお話で持ち切りでした。
 そえで、です。先生は皆に研究室で言いました。
「やっぱりね」
「話題はそれで持ち切りだね」
「彼のことで」
「大学の皆がお話してるわ」
「若しかしたら普段野球に興味がなさそうな人でも」
「そうしてね」
「阪神でどんな活躍してくれるか」
「そんなお話をしてるわね」
 皆も先生に応えて言います。
「そのことを見ると」
「やっぱり阪神に指名されたって大きいんだね」
「ドラフト一位指名は」
「逆指名だったにしても」
「やっぱり凄いことだよ、そのスポーツをしていてもね」
 先生は野球だけでなくスポーツ全体のお話をしました。
「そのスポーツでプロになれる」
「そうなれるってね」
「それだけで凄いことだよね」
「まさにそれだけで」
「そうよね」
「そう、もっと言えばそこから大活躍出来る人はさらに僅かだけれど」
 それでもというのです。
「それでもね」
「プロに選ばれること自体が凄くて」
「皆お話してるんだね」
「そうなのね」
「そうだよ、ただね」
 ここでこうもお話する先生でした。
「八条リーグだとね」
「このリーグだとなんだ」
「何かあるの?」
「一体」
「若しプロ野球選手として大成出来なくても」
 それでもというのです。
「その企業がちゃんと最後まで面倒を観てくれるよ」
「社員として働かせてくれるんだ」
「引退や退団の後も」
「それはいいね」
「第二の人生のこともしっかりしてるなんて」
「どうしても気になるね」
 引退後の生活のことはというのです。
「誰だって」
「それこそね」
「どうして生計を立てていくか」
「やっぱりそれが凄い問題だからね」
「そのことを考えると」
「どうしても」
「そうだよ、八条リーグはちゃんとその企業もっと言えば八条リーグ全体で面倒を見てくれるから」
 ユニフォームを脱いだ後もというのです。
「いいんだよ」
「そういうことだね」
「その辺りは福利厚生だね」
「それが凄くしっかりしているとか」
「いいプロ野球リーグね」
「むしろ日本プロ野球機構よりもね」
 こちら以上にというのです。
「そうしたところがしっかりしているから」
「こちらのプロ野球もいいんだね」
「日本のもう一つのプロ野球機構緒よりも優れている点もある」
「そうなんだね」
「そうなんだ、だからこちらのリーグに入る人も多いよ」
 そうなっているというのです。
「これはフットボールでもそうだけれどね」
「日本で言うサッカーね」
「八条グループこちらのプロリーグも持っていたわね」
「あとはアメフト、バスケット、バレーボール、ホッケーでも持っているし」
「人気があるね」
「そうだよ、スポーツのチームの運営は一見すると赤字経営になりやすくても」
 それでもというのです。
「毎日その親会社やスポンサーの名前がネットやマスコミで出るからね」
「最高の宣伝ね」
「こんないい広告材料はない」
「そういうことね」
「そうだよ、実際軍需産業に積極的に進出するよりも」
 それよりもというのです。
「スポーツチームの親会社持った方がね」
「いいんだね」
「そうしたものなの」
「その実は」
「そうだよ」
 まさにとです、先生は皆にお話しました。
「多少の赤字経営でも最高の宣伝材料だからね」
「だからだね」
「それでだね」
「こんないいものはない」
「そうなのね」
「そうだよ、軍需産業は設備にも技術にもいつも物凄い投資が必要だけれど」
 それでもというのです。
「市場は限られてるからね」
「それじゃあね」
「もうね」
「積極的に進出しても採算を取りにくい」
「そうなのね」
「そうだよ、そしてね」
 そのうえでというのです。
「評判もよくないね」
「兵器を売るからね」
「どうしても」
「必要なものにしても」
「死の商人とか言われるわ」
「だから余計にね」  
 軍需産業に進出するよりもというのです。
「スポーツチームを持つ方がいいんだ」
「成程ね」
「そういうことね」
「だから結構な数の企業がスポーツチームを運営したりしてるのね」
「スポンサーになったりもしてるのね」
「多少赤字でもプラスになっている」
 ここで言ったのはホワイティでした。
「宣伝に役立っているから」
「そういえば阪神だって関西の私鉄だけれど」
 ダブダブはその阪神のお話をしました。
「全国区になっているのは球団持っているからだしね」
「もう阪神知らない日本人いないね」
 こう言ったのはチーチーでした。
「野球に興味ない人でも」
「まず皆知ってるよ」
 ジップは断言しました。
「イギリスから来た僕達もすぐに覚えたし」
「それも親会社までね」
 老馬もこう言います。
「覚えてるから」
「確かに凄い宣伝だね」
「これ以上はないまでの」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「親会社にとってもね」
「こんないいものはないかもね」
「そういえば楽天も」
 トートーは東北のこのチームを思い出しました。
「あのチーム持って親会社凄い宣伝になっていて」
「オーナーの人もはしゃいで経営しているとか」
 ポリネシアも言ってきました。
「そう聞いてるわね」
「それだけ球団持つって宣伝になるのね」
 ガブガブは成程というお顔になっています。
「毎日それだけで全国に宣伝されるから」
「大阪と神戸をつなぐだけの阪神電鉄も」
「全国区の超メジャー企業だし」
 最後にチープサイドの家族がお話します。
「わかるわね」
「どれだけ企業の宣伝にいいのか」
「そうだよ、イメージアップにもなるしね」
 その親会社のとです、先生はこうもお話しました。
「だからだよ」
「球団経営はいいものだね」
「親会社の最高の宣伝材料でもあるから」
「持っているだけでいつも日本全土に名前が言われて」
「名前が知られるから」
「これは最高だね、だから本当にね」
 先生は皆にさらにお話しました。
「球団を持てたらね」
「軍需産業に進出するよりずっといい」
「そうなのね」
「下手にお金がかかって市場の狭い分野に力入れるより」
「球団経営の方が採算もいいのね」
「多少の赤字すらおつりが来る位だからね」
 そこまでの宣伝効果があるからだというのです。
「そうなるよ」
「成程ね」
「よくわかったわ」
「先生の言う通りね」
「それも資本主義のいいところね」
「そうだよ、しかし阪神は」
 先生がここでこの名前についてお話することはといいますと。
「関西の五大私鉄では小さい方なんだよね」
「ええと、近鉄に阪急に南海に」
「京阪にね」
「それに阪神だったね」
「八条鉄道は置いておくね」
 こちらの企業はというのです。
「ちょっとね」
「そうするんだ」
「そういえばあそこはもう関西だけじゃないし」
「本社関西にあるけれどね」
「昔の国鉄みたいに全国に路線持ってるし」
「また違うね」
「うん、それでこの企業は置いてお話するね」
 あえてそうするというのです。
「とにかく阪神の路線面積はね」
「小さい方なのね」
「関西の私鉄の中では」
「そうなのね」
「うん、路線だけでは本当にね」
 まさにというのです。
「他の関西の私鉄に後れを取っているかな」
「近鉄なんか凄く広いしね」
「大阪から奈良、京都、名古屋にまで至ってるし」
「あの路線面積は凄いね」
「もうダントツだよ」
「けれどその近鉄と阪神日本全土ではどちらが有名か」
 路線面積は近鉄の方が圧倒していてもです。
「わかるね」
「うん、それはね」
「もう言うまでもないわ」
「何といっても阪神」
「この企業よ」
「西武もだね、西武は東京と埼玉をつなぐ路線だけれど」
 関東のこの鉄道会社はといいますと。
「やっぱりね」
「そうだよね」
「球団持ってるからね」
「それがいい宣伝になって」
「関西でも知られてるわ」
「それもよくね」
「こうした効果があるから」
 だからこそというのです。
「企業にとってスポーツチームを持つことは決して悪いことじゃないんだ」
「成程ね」
「そういえば昔はその近鉄も球団持ってたし」
「阪急も南海もね」
「パリーグの関西のチームは全部親会社が鉄道会社だったのね」
「そうだったんだね」
「そうだよ、西武は昔の親会社は九州の鉄道会社西鉄だったし」
 先生は皆にさらにお話しました。
「ヤクルトの最初の親会社は国鉄だったんだ」
「うわ、じゃあ十二球団のうち六球団が鉄道会社が親会社」
「凄いね」
「そんな風だったんだ」
「鉄道会社が線路と鉄道を軸として」
 そしてというのです。
「球団だけじゃなくて劇団や百貨店、テーマパークを運営していく」
「つまり事業の多角化だね」
「八条グループも同じ様なことやってるね」
「鉄道から色々なものを運営していくってやり方は」
「八条グループもそうしてるね」
「これをはじめたのは小林一三さんという人なんだ」
 先生はこの人の名前を出しました。
「阪急グループの総帥さんだった人でね」
「その人が球団持つ様にしたのね」
「劇団も百貨店もテーマパークも」
「そうしたのね」
「そうだよ、そしてね」
 そのうえでというのです。
「鉄道経営の在り方を変えたんだ」
「凄い人だったんだ」
「そんな人が昔おられたんだ」
「そうだったんだ」
「そうだよ、ちなみにこの人が阪急ブレーブスと宝塚歌劇団の創設者だったんだ」
「劇団って宝塚だったんだ」
「そういえばあそこ阪急だし」
「阪急といえば宝塚だけれど」
「それをはじめられた人だったのね」
「そうだったんだ、そしてね」
 先生はさらにお話します。
「近鉄の佐伯勇さんが小林さんの経営方針を学んでね」
「同じ様にされて」
「それで立派なグループにされたんだ」
「そうだったのね」
「そうだったんだ、そして南海には川勝傳さんというこれまた凄い総帥さんがおられて」
 それでというのです。
「この人の経営手腕もね」
「よかったんだ」
「そうだったんだ」
「凄くね、関西の私鉄はとても優れたトップの人達が出たんだ」
 先生は皆に目を輝かせてお話します。
「そして黄金時代を迎えていたんだよ」
「それぞれ球団も持って」
「そのうえでなんだ」
「お互いに繁栄していたんだ」
「そうだったんだ」
「かつては」
「そんな風だったんだね」
 皆もお話を聞いて頷きました。
「鉄道会社が親会社のチームが多かったんだ」
「全体の半分を占める位に」
「今は阪神と西武だけだけれど」
「かつてはそうだったのね」
「それで東映や大映も球団を持っていたんだ」
 こうしたチームもというのです。
「映画会社もね」
「今は持ってないけれどね」
「どの映画会社もね」
「今持ってるのはIT関係が多いよね」
「ソフトバンクとか楽天とか」
「そしてDENAとか」
「そうだね、そういえばある漫画家さんがね」
 先生はふと思いう出したことがあってそれを皆にお話しました。
「親会社がDENAになったからその間応援しないって言ってたけれど」
「何でなの?」
「その親会社嫌いなのはわかるけれど」
「その嫌いな理由を知りたいところね」
「この人元々マスコミ出身なんだ」
 漫画家になる前はそちらの仕事に就いていたというのです。
「今もマスコミの人達と親しいんだ」
「ああ、日本のマスコミってネットと仲悪いからね」
「自分達の悪事をいつも言われるから」
「それで自分達の退潮にも貢献しているから」
「だからなんだ」
「その人のお仕事はどうも大抵がマスコミのつてで来てるみたいで」
 これは先生の憶測です。
「テレビにも出てるけれど」
「それもマスコミの中の親しい人のつてなんだ」
「それで出ているんだ」
「そうなんだね」
「どうもね、完全にマスコミあっての人だからね」  
 その漫画家さんはというのです。
「だからそう言ってるみたいだよ、それに」
「それに?」
「それにっていうと」
「どうもその論理でポケモンGOも批判していたよ」
 このゲームもというのだ。
「している人を軽蔑するとか言って」
「プレイしてもいいじゃない」
「何が悪いの?」
「というか軽蔑するとか」
「幾ら何でも極端よ」
「そうだね、そこまでマスコミべったりなんだろうね」
 スマートフォンのゲームさえ嫌う程にです。
「つまりは」
「そういうことなんだ」
「何かそこまでマスコミべったりだと」
「私達がこれまでお話してきたことから見て」
「どうも、という人かな」
「そうかも知れないね、野球漫画も描いてるけれど」
 それでもというのです。
「僕はあまり面白いと感じないよ」
「野球漫画も多いけれどね」
「その人も描いていて」
「それでそう思ったのね」
「先生としては」
「そうだよ、そしてね」
 先生はみんなにさらにお話しました。
「最近は野球漫画も巨人にこだわらなくなったからね」
「プロ野球を扱っていても」
「そうなってきたのね」
「そう思うといいね」
「一球団だけ偏向ってどう考えてもよくないし」
「今の風潮の方がずっと健康的よ」
「健全だよ」
「本当にね、さっきお話が出た横浜を主役にした四コマ漫画もあったけれど」
 そういった漫画もあったというのです。
「当時のチームの選手を細かく描いているし横浜や選手の人達への愛情が出ていて」
「面白いんだ」
「その漫画は」
「そうなのね」
「そうだよ、かなり面白かったよ」
 先生は皆に笑顔でお話しました。
「あの読んでいてね」
「そうした漫画がもっともっと出てくれたらいいね」
「本当にそう思うわ」
「野球っていうと巨人よりはね」
「ずっといいと思うよ」
「横浜への愛情に」
 それにというのです。
「他チームへのリスペクトもあるからね」
「つまり誰もこき下ろしてない」
「そうした漫画なのね」
「そうした漫画だとね」
「確かに読めるね」
「そうだね」
「僕もそう思うよ」
 先生も皆に満面の笑顔でお話します。
「このままね」
「そうした漫画が増えていけば」
「野球漫画もよくなっていくね」
「きっと」
「そうなるわね」
「そう、そして」
 先生はここでこうもお話しました。
「横浜もドラフトでいい選手を指名したね」
「そうなんだ」
「あのチームもいい選手を獲得しているんだ」
「そうなのね」
「先生が昨日言っていた通りね」
「クライマックスに出ても不思議じゃないよ」
 そうなってもおかしくないというのです。
「今年も出ていたけれどね」
「横浜ファンって何かクライマックスに出たら凄く喜ぶよね」
「夢みたいだとか言って」
「これ他のチームもそうだけれど」
「横浜は特に凄いね」
「その傾向強いわね」
「そうだね、あれは多分ね」
 先生は皆にお話しました。
「横浜はずっと弱かったからだよ」
「もう負けて負けて負け過ぎて」
「それでずっと最下位で」
「そんな状況が長く続いたから」
「横浜ファンの人は凄く喜ぶんだ」
「そうなるのね」
「そうだよ、だからね」
 それ故にというのです。
「横浜ファンの人達はクライマックスに出たら他のチームのファンの人達以上に喜ぶんだ」
「そうなるんだ」
「ずっと弱かったから」
「それでなのね」
「そうだと思うよ、阪神は結構ね」
 ここでこうも言った先生でした。
「クライマックスは最初から結構出ていたね」
「当初は負ける方がずっと多かったね」
「途中でね」
「そうなってきたけれど」
「最初から結構出ていたから」
「そんなに喜ばないのね」
「そうだと思うよ、けれどその横浜がクライマックスに勝って」
 そしてというのです。
「シリーズに出た時のシリーズは名勝負だったね」
「確か相手はソフトバンクで」
「あの物凄く強い」
「その横浜と戦って」
「名勝負を繰り広げたんだ」
「そうだったんだ」
 まさにというのです。
「ずっと弱かったチームでもね」
「シリーズに出られて」
「そして日本一を争える」
「そうした風にもなれるのね」
「努力すればね」
 その時はというのです、そうしたお話をして先生は講義や研究を行っていってお昼ご飯も食べてです。
 三時にはティータイムを楽しみました、ミルクティーにです。
 上段はスコーン、中段はサンドイッチ、下段はケーキとフルーツです。その三段のティ―セットを楽しみますが。
 それを食べる時にです、こう言ったのでした。
「うん、今日のティ―セットもね」
「美味しいね」
「そうよね」
「今日のティーセットも」
「随分とね」
「美味しいわ」
「学問にティーセット」
 先生は笑顔でお話します。
「この組み合わせがいいんだよね」
「そうよね」
「何といっても」
「先生にとってもね」
「そうなのよね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕は毎日こちらも楽しんでいるよ」
「そうよね」
「逆に先生にティーセットがないとか」
「その方がね」
「ピンとこないわ」
「そう言ってくれるね、僕もね」
 先生ご自身もというのです。
「そこはね」
「自覚してるよね」
「やっぱり」
「毎日飲んでるし」
「そのことを見てもね」
「うん、本当に三時のティータイムがないと」
 先生としてはです。
「それ以降困るよ」
「力が出なくて」
「それでよね」
「先生にしてみたら」
「どうしても」
「お茶を飲むと」
 最近はたまにコーヒーを飲むこともありますがやっぱり先生といえばこちらです。特にミルクティーです。
「目が覚めて英気もね」
「養われて」
「学問にもやる気が出る」
「そうなるのよね」
「先生としては」
「そうだよ、だからね」
 それ故にというのです。
「僕としてはね」
「ティ―セットでお茶を飲んで」
「一緒にあるお菓子とかを食べて」
「それでだね」
「それからも頑張るのね」
「そうだよ、やっぱりこの辺りイギリス人だね」
 先生はこうも言いました。
「三時にティーセットがないと」
「どうしてもよね」
「力が出ないのよね」
「先生としては」
「そうなんだ、だから毎日楽しんでるよ」
 今の様にです。
「そうしているんだ」
「そういうことだよね」
「じゃあ私達と一緒にね」
「今日も楽しみましょう」
「そして食べてからまた学問に励みましょう」
「是非ね」
 こう言って先生はミルクティーを飲みますがここで動物の皆がこんなことを言ってきました。
「お酒を飲む時や三度のご飯の時もだけれど」
「先生にこにことしてるけど」
 最初にオシツオサレツが二つの頭で言います。
「ティータイムの時が一番かな」
「一番機嫌よさそうかな」
「そうだよね、どうもね」
「先生ってティータイムの時こそね」
 チープサイドの家族もお話します。
「一番機嫌がいいかも知れないわね」
「何だかんだで」
「最近は色々な国のタイプのティーセットも楽しんでるし」
 このことはトートーが指摘しました。
「一日で最大の楽しみの時になってるかな」
「そうだね」
 ジップはトートーに続きました。
「言われてみると」
「ささやかな楽しみかも知れないけれど」
 ガブガブもミルクティーを飲みつつ言います。
「先生にとっては絶対の楽しみだし」
「イギリスにいた時から楽しんでるけれど」
 それでもとです、ダブダブは言いました。
「日本に来てからさらに、って感じだね」
「何しろ日本はお水がいいから」
 だからだとです、ポリネシアはお水のお話をしました。
「余計にいいっていうし」
「お水がいいとお茶の味も違ってきて」
 ホワイティはサンドイッチを食べつつお話しました。
「いいお水なら尚更美味しいってことだね」
「イギリスは硬水で日本は軟水」
 このことはチーチーが言います。
「先生いつも言ってるね」
「その日本の紅茶の味に魅了されて」
 今言ったのは老馬でした。
「先生は今ティータイムが大好きなのね」
「そうだろうね、じゃあこれからも」
 是非にと言う先生でした。
「毎日楽しんでいくよ」
「三時になったら」
「その時はね」
「そうしていくのね」
「是非ね」
 こう言ってまた紅茶を飲みます、とても甘いミルクティーを。
 そしてです、こうも言ったのでした。
「僕は今心から幸せを感じているよ」
「そうよね」
「何といっても」
「今の先生は」
「うん、そしてね」
 先生は皆にさらにお話します。
「もう一つあるよ」
「もう一つ?」
「もう一つっていうと」
「それが一体」
「うん、僕は一人じゃないね」
 このこともお話するのでした。
「そうだね」
「私達も一緒よ」
「この通りね」
「何時でもね」
「そのことは安心してね」
「そうだよね、だからね」
 それでというのです。
「余計に幸せだよ」
「一人で楽しむより皆で」
「その方がずっと楽しい」
「だからなのね」
「先生にしても」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「僕はこれ以上はないまでに幸せだよ」
「そこでそう言うのはどうかだけれど」
「すぐに満足するのはね」
「先生ってすぐにこれで充分ってなって」
「そこからは求めないけれど」
「無欲なのはいいとして」
 それでもというのです。
「もっとね」
「冒険してみたら?」
「今以上の幸せを求めてみたら」
「そうしてみたらどうかしら」
「いや、僕はね」
 どうしてもというのです。
「本当にだよ」
「今で充分幸せだから」
「それでなのね」
「もういい」
「そう言うのね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「だからもうこれ以上はね」
「確かに僕達はいつも先生と一緒にいるよ」
「例え火の中水の中でね」
「何度も一緒に冒険したね」
「それで月にも行ったよね」
「この絆は強いよ」
 もう言うまでもなく、というのです。
「それこそね」
「トミーも王子もいるし」
「学生さん達もいてくれてるし」
「街の人達もいるよ」
「先生お友達多いよ」
 このことは間違いないというのです。
「本当にね」
「先生の貴重な財産の一つで」
「他の人が持っていない位じゃないかしら」
「だから僕はもうね」
 先生はまた笑顔でお話します。
「満足しているんだ」
「その気持ちはわかるけれど」
「それでもだよ」
「先生にしてもね」
「今以上にね」
 まさにというのです。
「幸せ求めていいよ」
「先生いつも言ってるじゃない」
「幸せにも上限がないって」
「それじゃあね」
「この度もね」
「そう言ってくれることは嬉しくても」
 それでもというのです。
「僕としてはね」
「満足してるんだね」
「だからこれ以上はない」
「そう言うんだ」
「今以上の幸せは求めないんだ」
「これ以上の幸せはないから」 
 だからだというのです。
「本当にね」
「全く、無欲なんだから」
「その無欲さも魅力の一つだけれど」
「それでもね」
「もっと求めたらいいのに」
「今以上の幸せを」
「そうしたらね」
「具体的にはどんな風にかな」
 先生は皆に尋ねました。
「一体」
「日笠さんに声をかける?」
「そうしたら?」
「先生の方から」
「そうしてみたら?」
「何で日笠さんなのかな」
 先生は確かに無欲です、ですがそれだけでなくご自身のこうしたことには本当に鈍感でです。それでこう言うのでした。
「どうしてかな」
「考えてね、そこは」
「じっくりとね」
「そうすればそのうちわかるよ」
「きっとね」
「先生が気付かなくても神様が気付かさせてくれるよ」
 皆今はこう言うだけでした。
「その時どうか、だから」
「先生がどう動くか」
「それが大事だから」
「それでね」
「頑張ってね」
「このことも」
「そうさせてもらうよ、しかしね」
 ここでまた言った先生でした。
「皆時々わからないこと言うね」
「王子もトミーもだよね」
「皆そうだって言うんだよね」
「そうした時は何故か日笠さんのお名前が出る」
「そうだって」
「うん、それがね」
 どうにもというのです。
「わからないけれど」
「だからそこは考えてね」
「ちゃんとね」
「答えに辿り着くことを願うよ」
「心からね」
 皆先生にやれやれと思いつつお話しました、そしてです。
 皆でティーセットを楽しんでから先生はまた論文を書きました、先生は無事にその論文を書き終えましたが。
 ここで、です。こんなことも言いました。
「今度スポーツについて論文を書かせてもらうけれどね」
「スポーツ医学だね」
「それを書くのね」
「そうさせてもらうんだね」
「うん、そうしたものは書かせてもらいたいと思うけれど」
 それでもというのです。
「スポーツの業績もね、ただ不祥事はね」
「どのスポーツでもあるよね」
「そしてプロだとお金が絡んで」
「その分ですね」
「凄く嫌なこともあるから」
 だからだというのです。
「そうしたことはね」
「書かれたくないですか」
「うん」
 トミーにもお話しました。
「日本でもあるしね」
「お相撲なんか凄かったですね」
「何かと問題になったね」
「ああしたことが野球でもですね」
「昔あったよ、メジャーでもあったけれど」
「確か八百長とかで」
「うん、黒い霧事件と呼ばれていてね」
 先生はその事件の具体的な名前も挙げました。
「調べていて凄く嫌な気持ちになったよ」
「そうした事件だったんですね」
「そう、だからね」
「先生はその事件についてはですね」
「書くかどうか声がかかってもね」
 先生はいつも論文はそれだけで書かせてもらっています、だからその分もあって沢山の論文を書いているのです。
「例え頼まれても」
「書かれたくないですか」
「誰一人として幸せになっていない、嫌な思いしかしていない」
「そんなお話ですか」
「だからね」
 それでというのです。
「このことについては」
「学ばれることもないですか」
「これは冤罪のお話なんだ」
「冤罪ですか」
「僕は法学博士でもあるから冤罪についての論文を書いたことがあるけれどね」
 それでもというのです。
「学んでいて、そして論文を書いてもね」
「やっぱり面白いものではないですよね」
「僕はやっぱり人間や社会、地球の明るい部分を学ぶことが好きでね」
「暗部についてはですね」
「学ぶ中で知っていて頭には入るにしても」
「それを学問の題材にされることは」
「苦手でね」
 それでというのです。
「僕としてはね」
「そのことはですね」
「抵抗があってね」
 それでというのです。
「論文を書く手も重いよ」
「冤罪の論文もですか」
「だから一度書かせてもらったけれど」
 それでもというのです。
「もう二度目はね」
「書かれたくないですか」
「どうもね」
 実際にというのです。
「そう考えているよ」
「そうですか」
「うん、僕はね」
 どうしてもというのです。
「この事件についてもなんだ」
「そうですか」
「この世界は何でもいい部分と悪い部分があってね」
「その悪い部分もですね」
「そう、それはね」
 本当にというのです。
「ちゃんと学んでね」
「その悪い部分をなおしていくことが大事ですね」
「そうだよ、けれど学問のスタイルにも向き不向きがあってね」
「先生は暗部を論文までされるには」
「向いていないみたいだね」
 こうトミーにお話してでした、先生は次に書く論文のお話もしました。その論文の内容はその学問の未来を見た明るいものでした。








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