『ドリトル先生の競馬』
第十一幕 競技
ホフマン君が出る競技の日になりました、先生はこの日になると皆と一緒に競技が行われる競馬場に来ました。
すると王子は観客席で先生にお話しました。
「イギリスの競馬場と似ている感じで」
「また独特だね」
「うん、何処かね」
こう言うのでした。
「庶民的というか」
「猥雑な感じもするね」
「そうだね」
「イギリスの競馬は貴族の嗜みだね」
「優雅に楽しむものだよね」
「余裕を以てね、けれどね」
それがというのです。
「日本の競馬はね」
「一般大衆のものだね」
「今の日本には貴族もいないし」
「戦前は華族だったね」
「その人達もいないから」
だからだというのです。
「それでなんだ」
「こうした雰囲気なんだね」
「今は賭けごとはしていないけれど」
「流石に高校生の大会ではないよね」
「あれはあくまでプロの人達のものだから」
それでというのです。
「今はしていないよ」
「そうなんだね」
「だからそれはないけれど」
「それでもだね」
「日本の競馬もね」
「賭けていてだね」
「そしてその賭ける人達が」
まさにその人達がというのです。
「一般大衆それも中年以上のおじさんが多くて」
「その雰囲気があるんだね」
「そうなんだ」
実際にというのです。
「これがね」
「そういうことなんだ」
「そしてね」
先生は王子にさらにお話しました。
「そのおじさん達の服装にもね」
「独特のものがあるんだ」
「決まってはいないけれど」
それでもというのです。
「ある程度ね」
「決まっていてだね」
「そちらもね」
「独特のものなんだ」
「そうなんだ、日本の競馬場はね」
「独特の雰囲気があるんだ」
「こうしたね」
まさにというのです、そしてです。
先生達はホフマン君が競技の場に出ることを待ちました、その中で皆は競馬場にいる先生がさっき言ったおじさん達を見て言いました。
「確かにね」
「独特だよね」
「帽子といいペンの持ち方といい」
「ズボンと上着の着こなしも」
「何処かね」
「独特だね」
「日本の競馬場の雰囲気を作る重要な要素だね」
先生は皆に微笑んでお話しました。
「まさに」
「今は賭けなくても」
「それでもだね」
「雰囲気はそのままで」
「おじさん達もいるんだ」
「賭けごとはしなくても」
「競馬自体が好きなんだろうね」
今競馬場にいるおじさん達はというのです。
「観ること自体がね」
「そういうことなんだ」
「それじゃあだね」
「今からもだね」
「あの人達も楽しむんだ」
「そうしようね」
是非にと言ってでした、そうしてです。
先生達も競馬を観ますが八条学園の馬だけでなく他の学園の馬達もです、先生は見てそれで皆に言いました。
「どの子も大事にされているね」
「そうだね」
「毛並みも体格もいいし」
「皆健康そうだね」
「そうでないとね」
それこそと言う先生でした。
「いい競技も出来ないしね」
「そうだよね」
「まずはお馬さん達が健康でないとね」
「競馬はよくならないよ」
「いい競技が出来ないよ」
「本当にね」
「だからね」
それでとです、先生はさらにお話しました。
「皆健康状態はしっかり保っているんだよ」
「そうだね」
「どの学校もわかってるんだね」
「馬は生きものであってね」
「健康状態が大事だって」
「どの学校もわかっていてくれて何よりだよ。本当に日本は酷い先生が目立つから」
先生はこのことはどうかというお顔でお話しました。
「生きものどころか人までね」
「粗末に扱うからね」
「暴力振るったりすぐに切り捨てたり」
「消耗品扱いする先生いるからね」
「非常識な先生が」
「そんな先生がいるから」
だからだというのです。
「馬も心配になるけれど」
「とりあえずこの大会に参加している学校の先生達は大丈夫みたいね」
「そんな先生いないね」
「よかったね」
「うん、剣道で竹刀を蹴飛ばす先生なんて絶対に剣道をしたら駄目だし」
もう問題外だというのです。
「馬を大事にしない先生もね」
「乗馬をすべきじゃないね」
「ましてお馬さんは生きものだから」
「余計にだよね」
「命あるものを粗末にする先生なんてね」
「絶対に駄目だよね」
「そのことで安心したよ」
どの馬達も健康で、というのです。先生はこうしたことも一目で見てそれですぐにわかってしまうのです。
「ここに来て」
「あの、先生」
トミーが先生に言ってきました。
「今回の大会ですけれど」
「何かな」
「高等部から応援来て今して」
それでというのです。
「チアリーディングと応援団も来ていますね」
「彼等は大会の時は絶対に来てくれるね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「日本の応援団は独特ですね」
トミーは高等部の彼等を見つつお話しました。
「本当に」
「ああ、そのことはね」
「そうですよね」
「着ている学生服も応援の雰囲気も」
「あの長い学生服と」
見れば応援団の人達は黒い前は七つ袖は五つの金ボタンがあってカラーは高くて丈は膝まである学生服を着ています、ズボンもよく見ると少しだぶっとしたものです。そこに白襷を巻いていて派手な身振りと大きな声で応援しています。
「襷も」
「あれがなんだ」
「日本の応援団ですね」
「最近はかなり減ったそうだけれど」
「八条学園ではですね」
「まだあってね」
それでというのです。
「今もね」
「ああしてですね」
「応援しているんだ」
「そうなんですね」
「特に団長さんがね」
見れば三年生のその人は袴姿です、足は下駄です。
「凄いね」
「お一人だけ着物ですから」
「あれもだよ」
「日本の応援団ですね」
「昔ながら、昭和のね」
「その雰囲気ですね」
「そうなんだ」
こうトミーにお話するのでした。
「今もあるのはいいことだよ」
「いや、こうした応援見ていたら」
ホワイティが言いました。
「こっちも気分が高揚するね」
「観客である僕達もね」
トートーも言います。
「楽しくなってくるね」
「これだとね」
「競技も待ち遠しくなるね」
オシツオサレツもそうした気分になっています。
「本当にね」
「いい感じだよ」
「競技がはじまったら」
チーチーは今か今かという感じです。
「今以上に気分が高揚するでしょうね」
「何ていうか」
ポリネシアも今か今かとなっています。
「楽しみになってきたわ」
「この雰囲気もイギリスの競馬場にはないわね」
ガブガブはここでお国のことを思い出しました。
「本当に日本の学校のものだね」
「やっぱりイギリスの競馬場ってね」
「貴族の場所で」
チープサイドの家族もお国のことを思い出してお話します。
「こうした応援もなくて」
「静かだね」
「応援団とか学校の応援は」
今言ったのはジップでした。
「ムードを思い切り盛り上げてくれるね」
「というか」
最後にダブダブが言いました。
「これも日本の文化かな」
「そうだよ、この応援もね」
応援団のそれもとです、先生は皆にお話しました。
「日本の文化だよ」
「やっぱりそうだよね」
「そうなんだね
「それじゃあね」
「日本の応援を楽しんで」
「そうしてね」
「競技もだよ」
是非にとです、先生は言いました。
「楽しもうね」
「観てだね」
「応援して」
「そうして」
「そうだよ、勝敗以上に」
それよりもというのです。
「楽しむものはね」
「それは、だよね」
「スポーツマンシップだね」
「健闘を讃える」
「そうしたことも楽しむんだね」
「それがスポーツの観戦だとね」
その様にというのです。
「僕は考えているよ」
「紳士の楽しみ方だね」
「まさに」
「そうよね」
「先生は」
「そう思っているよ、僕はね」
本当にというのです。
「勝敗以上にだよ」
「健闘とスポーツマンシップだよね」
「その二つを讃えて楽しむ」
「それが先生のスポーツ観戦だね」
「うん、そしてね」
それでと言う先生でした。
「僕は礼儀作法もね」
「守ってだよね」
「ちゃんと」
「そうして観戦しているね」
「紳士でありたいと思っているなら」
それならというのです。
「やっぱりね」
「礼儀作法、マナーはね」
「絶対に守らないと」
「何があっても取り乱さないで」
「紳士でいないと」
「本当に駄目だよ」
それこそというのです。
「こうした時もね」
「何処でもそうしたマナーが駄目な人いるけれど」
「どうしてもね」
「もう怒鳴ったり暴れたり」
「そんな人がいるわね」
「それはね」
本当にというのです。
「僕は絶対にしない様にね」
「思ってだね」
「心に定めて」
「そしてしないね」
「何があっても」
「その様にしているよ、それとね」
先生はさらにお話しました。
「基本こうした時は熱中して場も暑いから」
「あっ、水分もね」
「それもよね」
「ちゃんと補給しないとね」
「飲まないと」
「そうだよ、飲まないとね」
それでもというのです。
「駄目だよ」
「熱中症ですね」
トミーも言ってきました。
「それですね」
「そうなんだ、それが怖いからね」
「競技場ではですね」
「僕達観る側もね」
「ちゃんと水分を摂らないとってことですね」
「うん、お水かね」
「スポーツドリンクですね」
「そういったものがいいね」
「そう思ってね」
王子も先生に言ってきました。
「僕もだよ」
「飲みものを持って来たんだね」
「そうしてきたよ」
「では」
ここで執事さんが言ってきました。
「これを」
「あっ、スポーツドリンクだね」
「持ってきましたので」
「だからだね」
「皆さんの分も持ってきましたので」
だからだというのです。
「安心してお飲み下さい」
「いつも悪いね」
「私は殿下の侍従でありますので」
「そして執事さんだからなんだ」
「当然のことです」
「それでなんだね」
「感謝には及びません」
こう王子に言うのでした。
「それには」
「いやいや、それでもね」
「殿下はですか」
「人は感謝を忘れたら駄目じゃないから」
だからだというのです。
「それでだよ」
「感謝して頂けるのですか」
「そうだよ、本当に有り難う」
「こちらこそ有り難うございます」
執事さんは王子に笑顔で答えました、そうしてです。
王子だけでなく皆にペットボトルのすぽーつどりんくを差し出しました、そのうえで皆に対して言うのでした。
「では」
「それではですね」
「お代わりもありますので」
こう先生に言うのでした。
「遠慮なくお飲み下さい」
「それでは」
先生も笑顔で応えて飲みます、そうしながら観戦しているとです。
ホフマン君の番になりました、そこで先生は言いました。
「いよいよだよ」
「そうだね」
「彼の番が来たね」
「いい馬に乗ってるね」
「いい具合に引き締まってきて」
「凄く速く走れそうだね」
「うん、いい感じだよ」
まさにと言う先生でした。
「僕が見た通りだよ」
「夏は太っていて」
「少し速度が落ちていたけれど」
「それがだよね」
「いい具合に運動してきて」
「脂肪が落ちてね」
「走るのに向いた筋肉がついて」
それでというのです。
「走られる様になったね」
「そうだよね」
「先生の言った通りに」
「秋になったらそうなったね」
「うん、夏に太っていると」
それならというのです。
「夏バテしていない、よく食べているって証拠だから」
「それじゃあね」
「秋にはよくなる」
「運動していったら脂肪も落ちて」
「それでいいんだ」
「そうだよ、夏は馬も熱中症になるから」
このことがあってというのです。
「乗馬部も運動を控えていたけれど」
「今の季節はね」
「秋はね」
「涼しくなって思いきり運動するし」
「それじゃあね」
「脂肪が落ちて」
「いい筋肉がついていくね」
今ホフマン君が乗っている馬の様にです。
「夏と同じ様に食べて」
「お水も飲んで」
「夏以上に運動するから」
「だからいいね」
「今度の競技も」
「絶対にね」
まさにと言う先生でした。
「彼も練習してきたし」
「それじゃあだよね」
「今回のことは」
「安心して見ていられるね」
「そうなんだね」
「そう出来るよ」
実際にと言うのでした、先生も。
そうして彼の競技を観ますと。
もの凄い速さです、他の馬を寄せ付けません。馬だけでなく彼の乗馬の腕も見事なもので。他の馬を大きく引き離してでした。
ゴールしました、先生はそれを観て言いました。
「よかったね」
「うん、スポーツマンシップも守ったし」
「よかったよ」
「本当にね」
「これならね」
実際にと言う先生でした。
「何も言うことはないよ」
「先生にしても」
「そうだよね」
「一等だっただけじゃなくて」
「スポーツマンシップも万全で」
「本当によかったね」
「うん、よかったよ」
心から言う先生でした。
「今回はね」
「それじゃあね」
「それじゃあ今はだね」
「彼を素直に祝えるね」
「それが出来るね」
「よかったよ、これなら」
先生はまた言いました。
「僕は何も言うことはないよ」
「いい意味でね」
「そうだね」
「このことは」
「どうするか」
「そうだよ、ただまだ競技はあるから」
だからだというのです。
「観ていこうね」
「それじゃあね」
「飲みものを飲みながら」
「それじゃあね」
「観ていこうね」
「そうしていこう」
「是非ね、水分とね」
それにというのでした。
「塩分もだよ」
「ああ、塩分ね」
「スポーツドリンクにはそっちも入ってるからね」
「飲むといいんだったね」
「そうだったね」
「そう、さもないとね」
本当にというのです。
「お水を飲むと水分補給になるけれど」
「塩分はね」
「それは出ていくからね」
「だからだね」
「塩分も大事だね」
「水分と一緒に」
「塩分は多少でいいけれどね」
それでもというのです。
「水分はやっぱりね」
「沢山飲まないとね」
「本当にね」
「さもないとね」
「本当に熱中症になるし」
「どんどん飲んでいこうね」
「今も」
皆も言ってでした、そのうえで。
観戦の間スポーツドリンクをどんどん飲んでいきます、そうしている時に先生は満ち足りた顔でこんなことも言いました。
「いいものが出たよね」
「スポーツドリンクは、ですよね」
「うん、ただお水を飲むだけでもいいけれど」
「こちらの方がですよね」
「身体にもいいからね」
「水分をよく補給出来て」
「塩分とか他の栄耀も補給出来るから」
それでとです、先生はトミーにお話しました。
「いいんだよ」
「そうですよね」
「夏のこうした時はね、そして特に」
「スポーツをしている時はですね」
「本当にね」
「お水よりもですね」
「こちらの方がいいから」
だからだというのです。
「スポーツ選手も部活をしている子達もね」
「よく飲んでいますね」
「昔は試合中はお水を飲んだら駄目とかね」
「言われていましたね」
「そうだったけれどね」
「今は違いますね」
「本当に熱中症になったりするから」
だからだというのです。
「試合中でもね」
「飲むべきですね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「身体の為にね」
「というか試合中飲むなとか」
ここで王子が言いました。
「昔は言っていたけれど」
「そのことはだよね」
「うん、無茶だね」
「僕もそう思うよ」
「部活の間とかも」
「そうだったんだ」
「余計に危ないね」
王子はまた言いました。
「それは」
「けれど昔はそうだったんだ」
「試合や部活の間は飲まない」
「練習中もね」
この時もというのです。
「そうだったんだ」
「成程ね、けれど今は」
「そう、それがよくないってわかったから」
だからだというのです。
「今はしていないよ」
「そうなんだね」
「そう、だからね」
それでとです、先生は王子にもお話しました。
「今は飲んでいいんだよ」
「身体の為にだね」
「うん、適度な体温にしておかないとね」
「本当に熱中症になるから」
「そこは注意だよ」
「そうなんだね、そう言うところは」
王子は先生に笑顔でお話しました。
「まさに先生だね」
「そう言ってくれるんだ」
「お医者さんだけあるね」
「うん、やっぱり医師だとね」
「こういうことはだね」
「しっかりわかっていないとね」
それこそというのです。
「駄目だからね」
「それで言うんだね」
「医学も日進月歩でね」
「スポーツ医学の方もだね」
「そうだよ、医学は科学で」
「スポーツもだね」
「科学だからね」
それ故にというのです。
「日進月歩でどんどん進歩していくんだ」
「そうしてお医者さんは日々学んでいく」
「そうしてね」
「スポーツにもだね」
「よりよくだよ」
「していくんだね」
「そうなんだ、だからスポーツの時も観戦の時も」
この時もというのです。
「しっかりとね」
「飲んでいくべきだね」
「そしてそれに一番いいのが」
まさにというのです。
「スポーツドリンクなんだ」
「成程ね」
「だから飲んでいこうね」
「わかったよ」
王子は先生の言葉に頷いてそうして観戦の間時々スポーツドリンクを飲みました、そうしてでした。
競技が終わってです、先生は皆と一緒にホフマン君のところに行くとです。ホフマン君は先生に笑顔で言いました。
「よかったです」
「うん、一位だったね」
「努力の介がありました」
ホフマン君は笑顔でこうも言いました。
「今回は」
「そうだね、流鏑馬も成功したし」
「この競技でもです」
「一位でだね」
「本当によかったです、これで」
「これで?」
「流鏑馬の後も飲みましたけれど今回も」
まさにと言うのでした。
「美味しいビールを飲めます」
「一位のお祝いにだね」
「はい、今日は寮に帰ったら」
「その時はだね」
「ビールをです」
このお酒をというのです。
「飲みます、実は今寮にビールが沢山ありまして」
「そうなんだ」
「はい、八条ビールからの差し入れてで」
「学生さん達へのだね」
「それが物凄くあるので」
「それでだね」
「それをもう今日は徹底的に飲んで」
そうしてとです、ホフマン君は先生に笑顔で言いました。
「お祝いします」
「それもいいことだね」
「そうですよね、やっぱりこうした時は」
「飲むといいよ」
「そうですよね、ドイツ風にです」
「しこたまだね」
「飲みます、日本人はあまり飲まないんですよね」
ここでホフマン君はこうも言いました。
「どうも飲む量が」
「ドイツ人と比べてだね」
「小食ですし」
それにというのです。
「飲む量も」
「そのことは日本人の遺伝でね」
「お酒、アルコールに弱い要素がですね」
「あるからね」
「だからですね」
「それで他の国の人と比べたら」
どうしてもというのです。
「お酒に弱い人が多いんだ」
「そうなんですね」
「だからね」
「このことはですね」
「仕方ないよ、あとドイツ人の方が体格がいいから」
このこともあるというのです。
「食べる量もね」
「日本人は少ないんですね」
「そうだよ、ただ個人差はあるから」
それでというのです。
「その辺りは一概に言えないよ」
「そうなんですね」
「そう、君は一八〇を超えているから」
ホフマン君の背丈のお話もします。
「日本人の間ではかなり大きいよ」
「よく言われます、他の国の人達との間でも」
「大きい方だね」
「ドイツ人はそうですね」
「ドイツ人と北欧の人達はそうだね」
「はい、どうも」
ホフマン君はその長身で答えます。
「そのせいか食べる量も」
「多いね」
「日本人と比べて」
「そしてそれがね」
「日本人が少食に思えるんですね」
「そういうことだよ」
こうホフマン君にお話しました。
「このことはね」
「体格の違いですね」
「食べることはね」
「そういうことですね」
「そうだよ、そして今日はだね」
「お祝いに」
一位になったそれでというのです。
「痛飲します」
「そのおつまみは何かな」
「最近お豆腐と枝豆が大好きで」
「そういったものでだね」
「もうとことん飲みます」
「じゃあ楽しんできてね」
「そうしてきます」
ホフマン君は先生に笑顔で答えました、そうしてです。
先生はホフマン君とご自身も笑顔でお別れをしてそのうえで帰路につきました、その途中皆が先生に言いました。
「よかったね」
「今回はね」
「ホフマン君も一位だったし」
「応援団の応援も素敵だったし」
「何かとね」
「よかったね」
「そうだね、今日もいい日だったよ」
先生は皆に笑顔で答えました。
「何もかもがね」
「先生にとって悪い日ってあまりないね」
このことはジップが言いました。
「というか記憶にないね」
「先生っていつもいい日だね」
ダブダブも言いました。
「どうもね」
「僕達もそうだけれど」
チーチーはそれでもという口調でした。
「先生は僕達以上かな」
「先生にとって悪い日って何時?」
ホワイティは首を傾げさせました。
「一体」
「何しろいつもいい日だから」
老馬もそこを先生に尋ねます。
「逆に悪い日は何時か」
「そう思うね」
「そうだよね」
オシツオサレツも思いことでした。
「悪い日ってないんじゃ」
「それこそね」
「確かに先生は幸運にも恵まれているけれど」
トートーはそれでもと思いました。
「悪い日もあるのが当然じゃないかな」
「人生晴れの日ばかりじゃないって言うわ」
ガブガブはこの言葉を出しました。
「だったら悪い日もあるでしょ」
「雨の日も雪の日も大風の日もあるわよ」
ポリネシアはガブガブの言葉からお天気に例えました。
「それこそ」
「だったらね」
「先生だってそうした日がある筈よ」
最後にチープサイドの家族が言います。
「だからね」
「先生だって」
「僕は美味しいものが食べられて」
先生はその皆に答えました。
「学問が出来て皆がいたらね」
「それでなんだ」
「先生は幸せだから」
「それでなんだ」
「毎日幸せなんだ」
「そうなのね」
「何かとても好きなものがあって」
それでというのです。
「毎日それに打ち込めたら」
「そんな幸せなことはない」
「そうだっていうの」
「先生は」
「僕はそうした考えなんだろうね、だからね」
それでというのです。
「毎日幸せなんだ」
「そうなんだ」
「何時だって」
「幸せで」
「それでなんだ」
「毎日幸せだよ、大好きな学問を毎日出来て」
そしてとです、先生はまた皆にお話しました。
「美味しいものも食べられて」
「そして僕達がいる」
「お友達と家族が」
「それでなんだ」
「先生は毎日幸せなのね」
「最高に幸せだよ」
心から満足している言葉でした。
「しかもちゃんとしたお家にお仕事もあるんだから」
「尚更っていうのね」
「先生は幸せで」
「それもこれ以上はないまでに」
「それで満足しているのね」
「そうだよ、悪い日なんて」
先生にとってはというのです。
「ないよ」
「そこまで言うのね」
「ある意味先生らしいけれど」
「本当に無欲ね」
「その辺りは」
「無欲ならその分幸せになれるのかな」
王子はここで首を傾げさせて言いました。
「ひょっとして」
「そうかも知れないね、やっぱりね」
「無欲ならだね」
「満足することが多いから」
だからだとです、先生はトミーに答えました。
「そうかも知れないよ、けれど」
「けれど?」
「無欲な人でも不幸を感じたり欲の深い人でも幸せを感じたり」
「そうしたことはなんだ」
「人それぞれで」
それでというのです。
「どう感じるかだろうね」
「それで先生はだね」
「毎日これ以上はない幸せを感じているから」
だからだというのです。
「幸せなんだろうね」
「そうなんだね」
「そしてね」
先生は王子にさらにお話しました。
「他の皆もだよ」
「自分を幸せと感じていたら」
「幸せなんだ」
「主観ですね、若し自分を不幸と感じていたら」
トミーも言います。
「不幸なんですね」
「そうだと思うよ、貧しくてもね」
「それでもですね」
「人はね」
「幸せと感じていたら」
「幸せだよ、逆に大金持ちでも」
それでもというのです。
「不幸と感じていたらね」
「不幸ですね」
「幸せは富によっても決まらないしね」
「やっぱり主観ですね」
「だから僕はね」
本当にというのです。
「主観としてね」
「幸せなんですね」
「これ以上ないまでね、皆はもっと幸せになれるっていうけれどね」
先生は笑ってこうも言いました。
「僕は今最高に幸せじゃないかな」
「そうしたお話ならね」
「先生は実際にもっと幸せになれるよ」
「本当にね」
「今以上にね」
「先生に相応しい人と恋愛をして」
「結婚をしてね」
そしてというのです。
「今以上に幸せになれる」
「そうなれるから」
「だからね」
「ちょっとだけ周りを見る」
「そうしてみたらいいんだよ」
「さて、それはどうも信じられないけれど」
先生は皆の言葉に笑って応えました。
「そうだったらいいね」
「というか先生やっぱり無欲だよ」
「幸せも多くのことも求めないし」
「今の状況で満足しているから」
「もっと幸せになろうってね」
「そう思ったらいいのに」
皆は心から思います、ですがこの思いだけは先生には届きません。それで皆やれやれとなります。それは王子も同じで。
どうかというお顔で先生に言いました。
「先生は自信がない、そして自分をわかっていないよ」
「王子もよくそう言うよね」
「あることについてはね」
「そのあることがわからないよ」
「わかって欲しいよ」
王子だけでなく他の皆もです。
「先生みたいないい人はいないから」
「だからかな」
「そう、だからね」
それ故にというのです。
「今以上にね」
「幸せになんだ」
「なるべきだよ、後ね」
「後?」
「先生野球では幸せかな」
ここで王子はこんなことも尋ねました。
「そちらでは」
「野球っていうと」
「野球の応援の方でね」
「幸せだよ、阪神はいつも楽しませてくれるからね」
「あの、昨日のカープとの試合は」
トミーがそちらのお話をしました。
「甲子園で大敗しましたけれど」
「いつもだね」
「毎年ですよね」
それこそというのです。
「カープには大きく負け越していますよね」
「そうなんだよね」
「優勝しそうになっても」
それでもとです、トミーは残念そうに言いました。
「いいところで負けますよね」
「阪神の常だね」
「それで滅多に優勝出来ないですけれど」
「それでもだよ」
「阪神の方でもですか」
「幸せだよ、あんな華があるスポーツチームはないからね」
それでというのです。
「だからね」
「阪神は負けてもですか」
「応援しているとね」
「それだけで、ですか」
「幸せだよ、勝っても負けても華があるから」
先生は帰りの王子のキャンピングカーの中で言うのでした、まずは先生のお家に向かっています。その中でのお話です。
「どんな勝ち方も負け方も縁があるからね」
「そう言われますと」
「阪神はそうしたチームだよね」
「不思議とそうですよね」
「その華がね」
まさにというのです。
「いいんだよ」
「そうなんですね」
「だから負けても」
「優勝出来なくても」
「僕は好きだよ、まああのチームはね」
先生は笑いながらこんなことも言いました。
「日本一ともね」
「無縁ですか」
「一度日本一になったことがあるけれど」
それでもというのです。
「中々ね」
「それはですね」
「阪神には縁がないから」
「華があってもですね」
「そうしたチームだからね」
「日本一には滅多にならないんですね」
「それが阪神だよ」
先生は笑ってお話しました。
「だから華を楽しむんだよ」
「勝つことではなくて」
「実際何があっても絵になるね」
「はい、どんな状況でも」
トミーが見てもそうでした、阪神タイガースというチームは。
「先生もさっき言われましたけれど」
「どんな勝ち方でも負け方でもね」
「華があって絵になりますね」
「それが阪神だからね」
「イギリスにも他の国にもないチームですね」
「その華をね」
まさにと言うのでした。
「楽しんでいくよ」
「左様ですか」
「これからもね。しかしね」
「しかし?」
「出来たら日本一になって欲しいね」
先生はこうも思うのでした。
「やっぱりね」
「本音としては」
「うん、だってね」
「プロのチームなら」
「やっぱり日本一になって」
そうしてというのです。
「胴上げを達成してこそね」
「プロチームの目的だから」
「そしてファンもね」
「その胴上げをですね」
「見てこそね」
まさにというのです。
「ファンだからね」
「だからですね」
「そう、本当にね」
まさにというのです。
「阪神も日本一になって欲しいよ」
「そうも思われますね」
「魅力的なチームだけにね」
それが為にというのです。
「心から思うよ」
「そうですか、ですが」
「あのチームにとって優勝することは」
「他のチームよりも」
「戦力があっても」
そのシーズンでもというのです。
「どうしてもね」
「優勝することはですね」
「難しいというのが」
「現実ですね」
「とにかく阪神は」
「勝することはですね」
「何か超常現象みたいな感じで」
科学的に説明がつかない、先生は阪神にそうしたものを見つつそのうえでトミー達にこうも言ったのでした。
「運とかね」
「信じられない負け方が多いですね」
「ここぞという時にね」
「そうしたことがいつもですから」
「だから優勝、そして日本一になることはね」
「難しいですね」
「毎年ね、けれど何時かは」
先生にしてもです。
「阪神の日本一を観たいね」
「そうなればいいですね」
「全くだよ」
二人でお話してです、そうしてでした。
先生達は野球のお話もしました、そちらも先生達の関心ごとになっているので。