『ドリトル先生の林檎園』
第一幕 長野県と聞いて
この時ドリトル先生はお家で皆と一緒に林檎を食べていました、その林檎は真っ赤な林檎ですがその林檎を見て動物の皆は言いました。
「日本って青い林檎少ないよね」
「赤い林檎が全体の半分以上だよね」
「黄色い林檎もあるけれどね」
「青い林檎は少数派だね」
「あるにはあるけれどね」
「そうだね、日本ではね」
先生もちゃぶ台の上に置かれたお皿からトミーが切った林檎を一切れ手に取って食べながら皆に応えました。
「赤い林檎が主流だね」
「そうだよね」
「どう見たってそうだよね」
「日本人も林檎よく食べるけれど」
「お店ではいつも沢山売ってるけれど」
「林檎は半分以上赤いね」
「日本人の好みかな」
こうも言った先生でした。
「赤い林檎が主流なのは」
「イギリスだと青だからね」
「青い林檎が主流だよね」
「だから僕達も青い林檎沢山食べていたけれどね」
「イギリスにいた時は」
「そうだったね、それがね」
日本に来たらというのです。
「今では林檎といえばね」
「赤い林檎ばかりだね」
「本当にね」
「うん、そしてね」
先生は赤い林檎を食べつつさらに言いました。
「この赤い林檎がまたね」
「美味しいんだよね」
「青い林檎も美味しいけれど」
「赤い林檎もね」
「いいんだよね」
「しかも種類も多いね」
林檎のそれもというです。
「赤い林檎もね」
「大きく分けて何種類かあるよね」
「ジョナゴールドとかサン富士とかね」
「あと紅玉もあるしね」
「本当に色々あるね」
「そう、それでそれぞれね」
どの種類の林檎達もというのです。
「美味しいね」
「今僕達が食べてるのはジョナゴールドだけれど」
「この林檎も美味しいよね」
「甘くて食感もよくて」
「素敵な味だよ」
「そうだね、これを食べて」
それでとです、さらに言う先生でした。
「また学問に励むよ」
「林檎はただ美味しいだけじゃない」
「物凄く栄養があるからね」
「一々一個食べていればお医者さんがいらないっていう位」
「そこまでいいからね」
「そう、だからね」
それ故にというのです。
「僕も結構食べているよ」
「トミーも王子も好きだしね」
「美味しくてしかも栄養があるから」
「こんなにいいものはないよね」
「果物全体がそうだけれど」
「全くだね、ちなみに日本での名産地は」
林檎のそれはというのです。
「青森県と長野県が有名だね」
「この二つの県だね」
「気候が林檎の栽培に向いているから」
「だから凄く沢山植えて」
「名産地になっているんだね」
「そうだよ、どちらの県もね」
青森県も長野県もというのです。
「美味しい林檎を売り出しているよ」
「それじゃあこの林檎もだね」
「青森県か長野県だね」
「どちらかの県の林檎だね」
「そうだね」
「そう、これは長野県の林檎だよ」
そちらの産だというのです。
「日本の真ん中辺りにあるね」
「ええと、海がない県だったね」
「奈良県や滋賀県や岐阜県と同じで」
「あと群馬県や茨木県も海ないね」
「あと埼玉県と山梨県もね」
「そう、長野県も海がないんだ」
そうした県だというのです。
「そうした県で面積は大きくて」
「日本の都道府県じゃかなり大きかったね」
「北海道の次位かな」
「結構な大きさでね」
「日本の地図じゃかなり目立つね」
「そうした県だよ、林檎以外には」
先生は林檎をもう一切れ取ってから言いました。
「お蕎麦が有名だね」
「あっ、それも有名なんだ」
「お蕎麦も」
「そうなんだ」
「そうだよ、長野のお蕎麦は信州そばと言われて」
それでというのです。
「こちらも有名なんだ」
「そっちも美味しそうだね」
「お蕎麦も美味しい食べものだしね」
「日本は麺類も豊富だし」
「そちらも美味しそうだね」
「というかね」
ここで言ったのは食いしん坊のダブダブでした。
「お蕎麦って蕎麦粉から作るよね」
「そうよ、お蕎麦の実を粉にしてね」
ダブダブにガブガブがお話します。
「そこから作るのよ」
「それは欧州にもあるね」
トートーはこのことを知っていました。
「クレープは高級だと生地は蕎麦粉だね」
「クレープといっても色々で」
「スイーツのもあれば普通のお料理に使うのもあるから」
チープサイドの家族もお話します。
「色々ね」
「あの生地を使ったお料理も」
「スイーツの場合が多いけれど」
ポリネシアは先生も好きなそちらを思い出しています。
「普通のお料理にも使うのよね」
「そしてクレープの生地にも蕎麦粉を使う」
「このことも覚えておかないとね」
ここで言ったのはオシツオサレツでした。
「そして日本じゃね」
「麺になってるんだね」
「東北の方じゃ蕎麦がきとかあったね」
チーチーはこの食べものを出しました。
「あとお菓子でそばぼうろがあったね」
「けれどメインは麺だね」
ジップが指摘します。
「日本だとね」
「関西でもあるしね」
勿論ホワイティも知っています。
「僕達もよく食べてるし」
「じゃあまた今度ね」
最後に言ったのは老馬でした。
「お蕎麦食べようね」
「そうだね、林檎だけじゃなくて」
先生も皆のお話を聞いて言います。
「お蕎麦もいいね」
「じゃあ今度食べよう」
「そうしましょう」
「明日にでも大学の食堂に行って」
「そうしてお蕎麦食べようね」
「いいね」
先生は皆に笑顔で答えました。
「また今度食べようね」
「あれっ、明日食べないの?」
「明日大学に行くけれど」
「お蕎麦食べないの?」
「食堂行くのに」
「うん、明日にならないとわからないからね」
だからというのでした。
「何を食べたいかね」
「ああ、それはね」
「その時にならないとね」
「はっきり言えないね」
「明日のお昼にならないと」
「そうじゃないと」
「そうだよ、お蕎麦もいいけれど」
それでもというのです。
「果たして何を食べるかはね」
「明日のお昼食堂に行って」
「それから決めることで」
「だからなのね」
「今は決めないってことね」
「というか決められないね」
林檎を食べつつ笑ってお話する先生でした。
「ましてや大学の食堂は美味しいものが一杯あるからね」
「そうね、それはね」
「お蕎麦も確かに美味しいけれど」
「おうどんも美味しいし」
「あとラーメンもあるし」
「スパゲティもね」
「麺類だけでも」
それこそというのです。
「美味しいもの一杯あるし」
「他のお料理も美味しいし」
「しかも安い」
「だから選ぶのも大変だし」
「困る位だから」
「そう、明日のお昼も楽しんで決めて」
そしてというのです。
「食べようね」
「お蕎麦とは限らないけれど」
「明日のお昼も楽しく食べる」
「そういうことね」
「明日は明日で」
「そうしようね、あと長野県は」
先生は今度はこの県のことをお話しました。
「面白い場所だよ」
「林檎やお蕎麦だけじゃないんだね」
「広いだけじゃなくて」
「他にもなのね」
「面白いことがあるんだ」
「そうだよ、歴史もあるしね」
こちらのお話もする先生でした。
「木曽義仲さんや真田家だね」
「ああ、源平の時の」
「都に上がったけれど負けたんだよね」
「木曽義仲さんはそうだったわね」
「巴御前を逃がしてね」
「僕はあの人も決して嫌いじゃないよ」
先生は木曽義仲について皆に言いました。
「確かに洗練されていなくて不作法だったけれど」
「それでもだよね」
「先生が言うには物語の中で脚色されていて」
「実際は違う」
「物語程酷くなかったんだ」
「平家物語で有名だけれど」
木曽義仲という人はです、このことは平家物語に出て来る他の人達にしても同じです。平清盛も源義経も。
「平家物語はあくまで物語だから」
「物語は物語で」
「史実じゃないから」
「だからだね」
「物語ってことはわかって」
「そうしてだね」
「そう、木曽義仲も」
あらためてこの人についてお話するのでした。
「平家物語と史実では違うから」
「ここで先生がお話しているのは史実の木曽義仲で」
「実際はどういった人か」
「それが問題ね」
「確かに不作法で洗練されていない人だったけれど」
先生はまた木曽義仲についてお話しました。
「平家物語程酷い人ではなかったよ」
「それ確か平清盛もだね」
「先生この人について前言ってたけれど」
「実は暴君じゃなかったって」
「家族や家臣をとても大事にする人で」
「思いやりもあったんだよね」
「そうだよ、頭が切れて器も大きくてね」
そうした人だったというのです。
「その時も言ったけれど暴君じゃなかったんだ」
「平家物語だと大悪人だったね」
「まさに暴君で」
「やりたい放題やっていて」
「苦しんで死んだのも天罰っていう位で」
「地獄に落ちたけれどね」
これも物語の中でのことです。
「わざわざ地獄の鬼が迎えに来て」
「娘さんの夢の中でね」
「先生が言うには凄い場面だよね」
「燃え盛る昔の日本の車を鬼が曳いて来るって」
「あの牛の頭の鬼と馬の頭の鬼が」
「牛鬼と馬鬼だね」
この鬼達だとです、先生は皆にお話しました。
「あの鬼達が迎えに来たんだ」
「わざわざだね」
「もう地獄に落ちることが決まっているから」
「そこまでの悪人だってことで」
「そう書かれているんだね」
「その地獄もね」
落ちる場所もというのです。
「無間地獄だったからね」
「仏教の地獄で一番深いところにあるんだよね」
「この世で一番悪い人達が落ちる場所で」
「キリスト教の地獄だと魔王がいる場所だね」
「あの三つの顔のある魔王が」
「ダンテの神曲の地獄だね」
その地獄についてもです、先生はわかっています。
「そちらに該当するね」
「そうだよね」
「平清盛はその地獄に落ちたんだ」
「魔王にずっと咥えられる位の悪人ってことで」
「一番厳しい地獄に落ちたのね」
「そう、落ちてね」
そしてというのです。
「ずっと報いを受けてるってされているんだ」
「ううん、確かに凄い悪人ね」
「物語の中だと」
「けれどそんな悪人かっていうと」
「実は違うってことだね」
「そう、違うからね」
先生は皆に確かな口調で答えました。
「そこは皆もわかっておいてね」
「何ていうかね」
「物語と現実は本当に違うのね」
「イギリスでもそうだけれど」
「日本でもそうなのね」
「アーサー王も例え実在していても」
今度はイギリスのこの人のお話をした先生でした。
「史実は違うよ」
「物語のアーサー王とはね」
「円卓の騎士達に囲まれていなかった」
「エクスカリバーもどうかしら」
「果たして現実は」
「僕はあの物語も大好きで」
それでというのです。
「子供の頃から読んでいるけれどね」
「それでもだね」
「現実のアーサー王は違うのね」
「若し実在していても」
「それでも」
「このことは日本でも同じで」
先生はお話しつつ平家物語を思い出しました、それは戦いの中で人間の生き様死に様が描かれています。
「他の国もだよ」
「史実は違う」
「物語とは」
「そういうものね」
「そして木曽義仲も」
「実は僕はあのお話では源頼朝が好きじゃないんだ」
人を嫌うことがとても少ない先生にとっては珍しいことにです。
「だからあの人に倒された人達はね」
「嫌いじゃないんだ」
「どうしても」
「そうなのね」
「平家も倒されてるし」
先生はさらにお話しました。
「源義経もそうだね」
「実の弟さんなのにね」
「お母さんは違っていても」
「源頼朝ってもう一人の弟さんも殺してるし」
「そして木曽義仲も」
「敵はもう徹底的にね」
源頼朝という人はというのです。
「殺してしまう人だったからね」
「だから日本でも人気ないのね」
「鎌倉幕府を開いた人でも」
「学生さんも嫌いだって言う人ばかりだし」
「先生達もね」
「日本は元々ああした行いは好まれないんだよ」
源頼朝の様に敵に一切情け容赦しない人はというのです。
「織田信長だってあそこまでしていないよ」
「あっ、そうなんだ」
「よく沢山の人を殺した残酷な人って言われてるけれど」
「あそこまで殺さなかったんだ」
「源頼朝よりは」
「自分に背いた人でも最後の最後まで戻れって言ったし降ったらね」
敵でもというのです。
「赦していたから」
「そうだったんだ」
「源頼朝みたいに全て殺さなかったんだ」
「敵は皆殺しとか」
「そうだよ、それは平清盛も同じで」
平家物語では最大の悪人のこの人もというのです。
「降れば赦していたし」
「戻ればそれでいい」
「そうした人だったの」
「その証拠に源氏は身内で殺し合ったね」
源頼朝のこの家はです。
「けれど平家は殆どないから」
「ふうん、そうなんだ」
「平家は身内はまとまっていたんだ」
「源氏と違って」
「そうだったのね」
「そうだよ、決してね」
本当にというのです。
「源氏みたいにまず身内を粛清するとか」
「そんなことはなくて」
「身内はしっかりしていた」
「争わなかったの」
「平清盛がしっかりとまとめていたから」
実はとても家族思いだったこの人がというのです。
「家臣もそうだったしね」
「そういえば家臣思いだったね」
「先生が調べた史実では」
「そうした人だったから」
「家臣もまとまっていたんだ」
そうだったというのです。
「何しろ外で寒さで震えている身分の低い家臣の人達に部屋に入って温まる様に言う人だったからね」
「あれっ、優しいね」
「当時身分は絶対だったのに」
「欧州でも日本でも」
「身分の低い人にそうするって」
「いい人だね」
「口調も穏やかだったそうだよ」
傲慢ではなくです。
「そんな人だったから」
「平家は身内でまとまって」
「家臣の人達もついて来ていて」
「源氏みたいなことはなかったんだね」
「源氏は結局ね」
苦い顔で甘い林檎を食べつつ言う先生でした。
「身内で争い続けたからね」
「それってよくないね」
「欧州でもそうしたお話あるけれど」
「身内で争うのが一番駄目だよ」
「何といっても」
「そう、だから源氏は滅んだんだ」
そうなったというのです。
「源頼朝、そのお祖父さんの源為義の家系はね」
「殺し合い続けて」
「遂にだね」
「そうなったのね」
「それで鎌倉幕府は将軍は源氏じゃなくなったんだ」
将軍になる人がいなくなってです。
「源氏の血を引く家自体は沢山あったけれどね」
「確か武田信玄もだよね」
「あの人源氏だったね」
「あと今川義元も」
「そうだよ、武田家も今川家も源氏だよ」
その通りだとです、先生は皆に答えました。
「そして室町幕府の足利家もね」
「そうなんだね」
「源氏なんだね」
「けれど源氏の本家というか嫡流はね」
「皆いなくなったんだね」
「身内同士で殺し合いばかりしてるから」
今度は悲しいお顔でお話する先生でした。
「そうなるんだよ」
「源義経も殺したし」
「そうなるのも当然ね」
「木曽義仲もそうで」
「皆殺しにばかりしてたから」
「誰もいなくなったんだ」
最後はそうなってしまったというのです。
「アガサ=クリスティ―の小説みたいにね」
「もう何それ、だよね」
「身内同士で殺し合って」
「それで誰もいなくなったって」
「ある意味滑稽ね」
「皮肉なお話だよ」
「こんなことになったし」
先生は源氏のこのことにさらに思うのでした。
「源氏についてはね」
「先生もよく思ってないね」
「源頼朝という人には」
「どうしても」
「そうだよね」
「うん、僕も義経さんの方が好きで」
それでというのです。
「あの人が生きていて欲しいとも思っているよ」
「衣川で死んだけれど」
「生きていたっていう噂もあるし」
「それじゃあね」
「北海道で生きていて欲しいね」
「流石にチンギス=ハーンにはなっていないだろうけれど」
「流石にそれはないね」
先生は義経さんがチンギス=ハーンになったという説は否定しました。
「幾ら何でも」
「そうだよね」
「性格も戦術も全然違うしね」
「何でそんな説が出たのか」
「日本だけの説にしても」
「それだけ義経さんが人気があるということだね」
日本人の間で、です。
「悲しい結末だっただけにね」
「お兄さんに殺されるなんて」
「本当に悲しい結末だしね」
「やっぱりそう思うよね」
「義経さんについて」
「判官贔屓という言葉もね」
日本にあるこの言葉もです。
「義経さんからだね」
「あっ、そうだったね」
「源九郎判官義経さんだからね」
「官位が判官だったからね」
「それでだね」
「そうだよ、その判官がね」
まさにというのです。
「義経さんで」
「それでだね」
「頼朝さんに追い詰められて殺されるけれど」
「その義経さんに思いを寄せる」
「それが日本人の特徴だね」
「敗れ去った人や劣勢で苦しんでいる人を応援する」
まさにというのです。
「そうした感情が日本人にはあって」
「それでだね」
「皆義経さんに生きていて欲しいって思うんだね」
「そういうことだね」
「それで北海道に逃れたとか言われているんだ」
「僕もそう思いたいしね」
先生としてもというのです。
「衣川で死んでいて欲しくないよ」
「そうだよね」
「というか頼朝さんっていいイメージないわね」
「暗くて嫌な人って感じするわね」
「義経さん以外にも沢山の人を殺してるし」
「だから日本の歴史でもかなり人気のない人なんだ」
そうした人だというのです。
「もうそれこそ日本の歴史上でトップクラスだね」
「義経さんが人気がある分ね」
「逆に頼朝さんは人気がないね」
「まあ当然だけれど」
「僕達も好きじゃないから」
「その木曽義仲さんも殺してるし」
長野のこの人もというのです。
「どうしてもね」
「人気がないね」
「頼朝さんは」
「はじめての武家政権を開いたのに物凄く人気がない」
「その不人気たるや日本屈指だね」
「だから主人公にした小説とかも少ないんだ」
そうなっているというのです。
「漫画でもアニメでも舞台でも大抵悪役だよ」
「あとゲームでもだね」
「今の日本人にも愛されてないから」
「それでだね」
「そうなんだよね、そして長野県には」
先生は長野県のお話をさらにしていきます。
「もう一人有名な人がいるんだよね」
「誰かしら」
「一体誰なのかな」
「その有名な人って」
「どなたなの?」
「真田幸村さんだよ」
この人だというのです。
「大坂の陣のね」
「ああ、あの人だね」
「大坂の陣で大活躍した」
「戦国時代の最後を飾った」
「あの人も長野の人だったの」
「そうだよ、戦国の幕を下ろしたこの人はね」
先生はまた林檎を手に取ってお話しました。
「一族が長野県の上田に代々いたから」
「それでだね」
「幸村さんも長野の人なんだね」
「あの人も」
「そうだよ、今は長野県最大の英雄かな」
こうも言っていい人だというのです。
「日本の歴史上の人物でもかなり人気がある人で」
「戦国時代は織田信長さんも人気があるけれど」
「幸村さんも負けてないよね」
「強くて頭がよくて忠誠心に満ちていてね」
「家臣達に慕われていて」
「十勇士達がいてね」
先生は今はにこにことしてお話をしています、頼朝さんについて語る時とは全く違ったお顔になっています。
「家臣に」
「幸村さんに仕える十人の忍者達」
「一人一人が一騎当千の猛者達で」
「どんな状況でも幸村さんを助けて戦う」
「そんな人達だね」
「実は十勇士で実在人物は多くて六人位で」
先生は十勇士のその真実もお話します。
「後の人達はモデルになった人達がいたんだ」
「そうだったの」
「十勇士達は実在していてもモデルだったんだ」
「三銃士もそうだね」
先生はこの物語のお話もしました。
「あのお話に出て来る三銃士はそれぞれモデルの人達がいたんだ」
「そうした意味で実在だけれど」
「物語の名前じゃないね」
「実際の三銃士は」
「主人公のダルタニャンは実在していて物語の殆どの登場人物が実在していたよ」
そうだったというのです。
「けれど三銃士自体はそうなんだ」
「モデルがいたという意味で実在で」
「また違うね」
「そういうことだね」
「そうなんだ、そして十勇士もね」
幸村さんに仕えたこの人達もというのです。
「実在人物はいてもね」
「モデルになった人がいた」
「そうした人もいるんだ」
「十勇士の中には」
「猿飛佐助なんかはね」
十勇士で最も有名な人はというのです。
「モデルになった人はいても」
「猿飛佐助という名前じゃなかった」
「そうだね」
「また違う名前でいたんだ」
「幸村さんに仕えていたんだ」
「そうみたいだよ」
先生は動物の皆にお話しました、お家での平和な一幕です。そして次の日学校に行くと先生は食堂でお蕎麦を注文したかといいますと。
注文したのはカレーライスでした、動物の皆は先生と一緒にカレーライスを食べながらこう言いました。
「結局お蕎麦じゃないね」
「カレーライスだね」
「カレーライス食べてるね」
「今日は」
「こちらを食べたいと思ってね」
それでというのです。
「注文したんだ」
「特盛のカツカレーだね」
「これがまた美味しいんだよね」
「ハンバーグカレーがね」
「つくづく凄い食べものだよ」
こう言ったのはジップでした。
「カレーとハンバーグを合わせるなんて」
「これが凄く合うんだよね」
チーチーもこう言います。
「抜群に」
「どっちだけでも美味しいけれど」
ポリネシアにしてもです。
「どっちもで二度美味しいね」
「この美味しさたるや」
ダブダブはもう舌鼓を打っています。
「芸術の域だね」
「というかね」
ホワイティが言うにはです。
「カレーは凄いバリエーションがあるね」
「そうそう、チキンカレーやカツカレーがあって」
「ソーセージのカレーもあるし」
チープサイドノ家族はカレーライスの具体的なお話をします。
「海老フライカレーもいいわね」
「シーフードカレーも」
「これだけのカレーがあるから」
まさにと言ったのはトートーでした。
「飽きないんだよね」
「カレーだけのお店があることもわかるよ」
「全くだね」
オシツオサレツも納得することです。
「色々な種類があるからね」
「しかも全部美味しいから」
「それじゃあ先生も今食べても仕方ないね」
老馬はこのことを笑って言いました。
「カレーの魔力は素晴らしいから」
「お蕎麦はまたの機会にして」
それでとです、最後にガブガブが言いました。
「楽しんで食べましょう」
「そうしようね」
先生も笑顔で応えて今はカレーライスを食べました、そして皆でお腹一杯食べてから研究室に戻りましたが。
研究室に農学部の教授さんが来て先生に言ってきました。
「あの、今度の近代農業の学会ですが」
「何処になったのですか?」
先生は農学部の教授さんに尋ねました。
「それで」
「はい、長野です」
「長野県ですか」
「長野県の松本市になりました」
そこにというのです。
「来月に」
「そうですか、では僕もですね」
「先生の論文を発表して頂ければ」
松本市で開かれる学会でというのです。
「有り難いのですが」
「わかりました」
先生は農学部の教授さんに笑顔で答えました。
「それでは」
「来て頂けるのですね」
「是非」
これが先生の返事でした。
「そうさせて頂きます」
「それではその時に松本市で」
「お会いしましょう」
こうお話しました、かくして先生は来月長野県に行くことになりました。動物の皆はそのやり取りを見てです。
農学部の教授さんが帰ってから今は社会学の論文を書いている先生に対して明るく笑いながらこんなことを言いました。
「いや、まさかね」
「昨日お話してね」
「それで長野県に行くことになるなんて」
「面白いわね」
「これも神様のお導きかしら」
「ははは、お話をすればというのはね」
まさにとです、先生も皆に笑顔で応えます。
「本当に神様のお導きかもね」
「そうだよね」
「僕達が長野県に興味を持ったからね」
「神様がその僕達をご覧になられて」
「それでだね」
「長野県に導いてくれるんだね」
「そうかもね、それならだよ」
先生は皆に陽気にこうもお話しました。
「是非長野県に行って」
「先生は論文を発表してね」
「それでだね」
「長野県の林檎やお蕎麦を食べて」
「木曽義仲さんや真田幸村さんのことも学ぶんだね」
「そうしようね」
是非にと言うのでした。
「来月は」
「また楽しい旅になりそうだね」
「今度はどんな旅かしら」
「長野県の旅は」
「どんなものかしらね」
「今の時点で楽しみだよ」
かなりと言う先生でした。
「長野県に行く機会も出来たしね」
「先生これまで色々巡っているけれどね」
「北海道や沖縄にも行ったし」
「奈良にも行ってね」
「京都にも行ったし松山にも」
「そして今度は長野だよ」
そちらだというのです。
「そこに行って楽しもうね」
「さあ、長野のお蕎麦はどんな味かしら」
「とにかく物凄く美味しいらしいけれど」
「お蕎麦は静岡や福島も有名だけれど」
「長野もだからね」
「そうだね、関西じゃおうどんが美味しいけれど」
先生ご自身もおうどんが大好きです。
「あちらはお蕎麦の本場の一つだから」
「絶対に食べましょう」
「勿論林檎もだけれど」
「お蕎麦も食べてね」
「楽しまないと」
「そのことも当然だよ、あとね」
先生は皆にこんなことも言いました。
「長野で林檎が植えられる様になったのは最近なんだよね」
「あれっ、そうなの」
「長野っていえば林檎だけれど」
「青森と並んでね」
「それでも最近のことなんだ」
「日本に林檎が入ったのは明治からだからね」
この時代からのことだからというのです。
「江戸時代はね」
「長野県には林檎なかったんだ」
「それで皆食べていなかったんだ」
「長野県といえば林檎でも」
「じゃあ木曽義仲さんも林檎食べていないんだ」
「それで真田幸村さんも」
「そうだよ、皆ね」
本当にというのです。
「林檎は食べていないよ、あとお蕎麦も麺になって定着したのは江戸時代のことだから」
「ううん、それじゃあだね」
「幸村さんも義仲さんもお蕎麦食べてないんだ」
「こちらも」
「そうなんだね」
「そうだよ、そちらもね」
本当にというのです。
「食べていないよ」
「お蕎麦も林檎もない長野県」
「ちょっと想像出来ないね」
「僕もだよ、例えるなら」
ここでこうも言った先生でした。
「紅茶のないイギリスかな」
「うん、何でもない感じだね」
「紅茶がないとね」
「あれだけ食べもので世界的に言われてるのに」
「それまでないとなると」
「もう何って感じで」
「何もなくなるね」
皆も口々に言います。
「イギリスは紅茶の国なのに」
「他にあるのは何っていう位に」
「他の食べものは散々言われてるから」
「お酒はウイスキーがあるけれど」
「飲みものはね」
普通のそれはというのです。
「まさに紅茶あってこそなのに」
「その紅茶がないとね」
「イギリスってね」
「凄く弱いね」
「本当にそうだね」
例えを出した先生ご自身も言います。
「言った僕も思うよ」
「そうだよね」
「かく言う先生も今紅茶飲んでるしね」
「ミルクティーをね」
「イギリスの紅茶をね」
「お水は日本のでパックもミルクもだけれどね」
それでもというのです。
「紅茶は紅茶だからね」
「ミルクティーだからね」
「それでだよね」
「じゃあそのミルクティーを飲んで」
「論文を書いていくね」
「そうするよ、そして三時になったら」
先生にとっては何があっても忘れてはならない時間です。
「ティータイムにしようね」
「絶対にね」
「やっぱり三時はティーセットよ」
「それがないとどうにもね」
「先生も僕達も困るよ」
「若しもだよ」
先生はミルクティーを飲みつつお話をします。
「僕が三時にティーセットを楽しまないと」
「ちょっとね」
「本当に先生?って思うし」
「先生だって三時にティーセットがないと駄目だね」
「一日の中で絶対だよね」
「うん、三時はティ―セットを楽しんで」
そしてというのです。
「夜まで頑張るんだよ」
「そうだよね」
「じゃあ三時はティーセットね」
「今日もね」
「それを楽しもう」
動物の皆もこう言います、ですがここで皆であらためて言いました。
「問題はセットの中身だけれど」
「今日は何かだね」
「ティーセットを楽しみにして」
「今日のセットはどんなのかな」
「ビスケットと生クリームとフルーツのサンドイッチとプティングだよ」
「あっ、いいね」
「じゃあ今日はそれを楽しんで」
「そうしてね」
「そのうえで皆で楽しみましょう」
「それじゃあね」
皆でお話をしてです、実際に先生はティ―セットを食べて飲んででした。そのうえでお家に帰るまで論文を書きました。
そしてその後で、です。
先生は皆と一緒にお家に帰ってそうしてそこでも論文を書きました。それから晩ご飯を食べている時にトミーそしてお邪魔している王子に来月長野県に行くことをお話しました。するとトミーはそのお話を聞いてこう言いました。
「そうですか、長野ですか」
「行って来るね」
「わかりました」
「トミ―も行けたらね」
「ご一緒していいですか」
「勿論だよ、王子もね」
先生は王子にも笑顔で声をかけました。
「よかったらね」
「うん、時間があったらね」
王子はトミーに笑顔で応えました。
「宜しくね」
「長野県も楽しみだからね」
「そうさせてもらうね、しかし」
「しかしというと」
「長野県といったら諏訪大社があるね」
「ああ、あの神社だね」
「凄く大きくて歴史のある神社だね」
こう先生にお話するのでした。
「そうだね」
「神道の中でも特別な神社でね」
先生はトミーに諏訪大社のお話もしました。
「それでね」
「歴史もあるね」
「そうなんだ、あそこにも行きたいね」
こうも答えた先生でした。
「これまで色々な場所に行ってるけれど」
「日本の中のね」
「その中のね」
「諏訪大社にもだね」
「うん、行って」
そうしてというのです。
「楽しみたいよ」
「先生としてはだね」
「そうだよ、それとね」
「それと?」
「林檎にお蕎麦もね」
食べものもというのです。
「楽しみたいしね」
「食べることは欠かせないよね」
「あとお酒もね」
言うまでもなく先生はこちらも大好きです。
「楽しんでくるよ」
「その辺り先生らしいね」
「そうだね、だから今から楽しみだよ」
「そういうことだね」
「何かとね、じゃあ論文を書いて」
そしてというのでした。
「行って来るよ」
「そして僕達もだね」
「行けたらね」
その時はというのです。
「宜しくね」
「こちらこそね」
「しかし先生も色々な場所に行きますね」
トミーは晩ご飯を食べつつ先生にお話しました、今日のメニューは鰯の生姜煮に韮と茸のお味噌汁にわけぎの味噌あえです。
「日本に来てから」
「そうだね、本当にね」
「まさに日本全国ですよね」
「そうなっているね」
「学会やフィールドワークで」
「そうなっているよ」
「イギリスにいた時も」
王子も言ってきました。
「アフリカに行ったり月に行ったり」
「色々行っていたね」
「そうだったね」
「僕はどうも旅行に縁があるね」
「そうだよね」
「だから日本に来てもね」
そして住む様になってというのです。
「今回もそうだしね」
「あちこちを旅しているね」
「そうなっているね」
こう言うのでした。
「本当に」
「そうだよね」
「いや、何ていうか」
また言う先生でした。
「今度も楽しみだよ」
「長野県に行くこともだね」
「そうだよ、さて何で行こうかね」
今度は移動手段についても考えるのでした。
「新幹線を使ってもいいしね」
「八条鉄道で行ってもいいよね」
「そうだね、まあここは」
ここで動物の皆を見た先生でした。
「皆と一緒だし」
「それじゃあいつもみたいにですね」
「貨物列車での移動かな」
「そうなるかな、それもまたね」
先生はトミーと王子に笑顔で応えました。
「いいね」
「そうしたことを考えることも楽しみだね」
また言った王子でした。
「先生にとっては」
「本当にそうだよ、どうして行くかを考えることも」
「そのこともだね」
「凄く楽しみだよ、それで行く時も」
実際にそうして逝く時もというのです。
「楽しむよ」
「そうするんだね」
「うん、是非ね」
こうお話してでした、そのうえで。
先生は長野県に行くことに考えを向けはじめました、もう先生は旅に入っている様なものでした。来月のそちらに。