『ドリトル先生と姫路城のお姫様』
色々な妖怪
八条学園はとても広くて様々な設備や学部、学科があるだけではありません。実は色々な怪談話があります。
このことについてです、先生は大学の中を散策しつつ動物の皆にお話しました。
「この学園は妖怪のお話が多いんだよね」
「そうそう、幽霊とか妖怪とね」
「そうしたお話が多いよね」
「大学もそうだしね」
「動物園や博物館にもあるし」
「それぞれの場所で幾つもあって」
「怪談の宝庫だよ」
動物の皆もこう答えます。
「ガジュマルの木にキジムナーがいるとか」
「あと何処かに幽霊が出るとか」
「真夜中に妖怪が出るとか」
「そんなお話一杯あるよね」
「もうどれだけあるかしら」
「うん、色々な種類の妖怪がいるね」
まさにと言う先生でした。
「それも日本の妖怪だけじゃないからね」
「そうだよね」
「この辺りも妖怪の話あったよね」
「中国から狐だったかしら」
「そのお話があってね」
「そうだったね、中国は狐のお話が凄く多くてね」
ここで中国の妖怪のお話をする先生でした。
「元々九尾の狐もそうだったしね」
「鳥羽法皇を惑わしたっていう」
「あの狐も中国からの妖怪だったね」
「水虎っていう妖怪もだし」
「中国から来た妖怪もいたね」
「他にはドラキュラ伯爵や狼男も出るし」
この学園ではです。
「フランケンシュタインのモンスターもね」
「あとアメリカの妖怪とか中南米の妖怪のお話もいたね」
「アフリカの妖怪とかも」
「日本の妖怪が確かに多いけれど」
「メイドさんの幽霊がいたり」
「本当に色々な怪談がある場所だね」
「実は世界屈指の心霊、怪談スポットだよ」
この学園はそうだというのです。
「百鬼夜行も出るしね」
「あの妖怪が大勢出るっていう」
「真夜中に行列で色々な妖怪が歩くんだね」
「日本の妖怪のパレードね」
「あれも出るんだね」
「そうしたお話もあるよ。妖怪や幽霊はね」
先生は楽しそうにお話します。
「面白いよね」
「先生そちらにも縁があるしね」
「イギリスっていう国自体がそうだしね」
「幽霊や妖怪のお話も多いし」
「先生も馴染みがあるんだね」
「そうなんだ、だから泉鏡花もね」
またこの人のお話をします、丁度先生達は柳の木の傍に来ました。日本では幽霊ととても縁のある木です。
「好きなんだよね」
「そういえばそうだね」
「先生もいつも言ってるけれど」
「泉鏡花さんの作品は妖怪がよく出る」
「お母さんもそうで」
「うん、日本の妖怪がね」
まさにと言う先生でした。
「よく出て来るよ」
「日本の妖怪ってユーモラスだよね」
「怖い妖怪もいるけれどね」
「何処か愛嬌があってね」
「親しみやすいよね」
「そうなんだよね、水木しげる先生の作品もね」
この偉大な妖怪漫画家さんはといいますと。
「親しみやすいよね」
「コミカルでね」
「嫌いになれないよね」
「やたら裏切るねずみ男ですらそうだし」
「憎めないよね」
「そうだね、あの人の作品は多くてね」
それでというのです。
「最初の頃は結構悪い妖怪も出て来るけれどね」
「それがだね」
「ああした親しみやすい感じになったのね」
「悪役のぬらりひょんも憎めないし」
「風格もあって」
「あれが日本の妖怪と言っていいね」
まさにというのです。
「実際にね」
「そうだよね」
「泉鏡花も書いているんだね」
「日本のそうした妖怪たちを」
「そこに美や幻想も入れて」
そうしてというのです。
「独特の作品世界にしているんだ」
「ユーモラスで憎めなくて」
「奇麗で幻想的な」
「そうした作品なのね」
「泉鏡花の世界は」
「そうなんだ、そして天守物語もだからね」
この作品もというのです。
「研究していて楽しいよ」
「そういえばね」
ここで言ったのはダブダブでした。
「あのお城には元々妖怪のお話があったわね」
「泉鏡花さんはその妖怪から書いたのね」
ポリネシアも言います。
「そうなのね」
「じゃあ結構有名なんだね」
チーチーはこう考えました。
「姫路城の妖怪のお話は」
「最近の創作のお話じゃなくて」
「昔から知られていたお話だったのね」
チープサイドの家族もお話します。
「それで文学にもなった」
「そういうことだね」
「あのお城は凄く立派だけれど」
今言ったのはトートーです。
「そうしたお話もあるんだね」
「ただ奇麗なだけじゃなくて妖怪のお話もあるとか」
ホワイティの口調はしみじみとしたものになっています。
「贅沢なお城ね」
「イギリスだと幽霊のお話は付きものだよね」
「そうそう、古いお城にはね」
オシツオサレツはイギリスのお話をします。
「それも街のお城じゃなくて」
「領主様が住む様なお城にはよくあるよね」
「ロンドン塔なんか有名だね」
ジップは王家とも関わりの深い場所を出しました。
「幾つあるやら」
「それで日本でもお城には幽霊のお話が付きものかな」
こう言ったのは老馬でした。
「そうなるのかな」
「だから姫路城にも妖怪のお話がある」
ガブガブの言葉です。
「古いお城だから」
「実際日本のお城にも妖怪や幽霊のお話は多いよ」
このことからお話する先生でした。
「中には祟りとかのお話もあるから」
「そこもイギリスと同じね」
「イギリスのお城にもそんなお話多いし」
「怨霊とかね」
「怖い妖精とかもいるから」
「それと同じで姫路城は幽霊のお話もあるんだ」
妖怪だけでなくです。
「お菊井戸ってあってね」
「えっ、お菊っていうと」
「ひょっとしてだけれど」
「番町皿屋敷?」
「日本の怪談の」
「そうだよ、こっちでは播州皿屋敷っていうんだ」
番町ではなくです。
「それでこちらの歌舞伎もあるよ」
「へえ、歌舞伎にもなってるんだ」
「そちらのお菊さんのお話も」
「そうだったんだ」
「番町じゃなくて播州」
「そっちもあるんだ」
「そうなんだ、ただ実際にあのお話が姫路城であったかは」
このことはといいますと。
「よくわかっていないんだ」
「というかあのお話本当のお話?」
「お菊さんのお話って」
「本当にあったの?」
「それで幽霊になってお皿を数えるの?」
「どうだろうね、何処かのお話が全国に広まって」
そうしてというのです。
「江戸や姫路に定着したのかも知れないね」
「そうなんだ」
「じゃあ姫路であったのが江戸に伝わったとか」
「その逆もあるの?」
「ひょっとして」
「そうかもね、こちらのお話は少なくとも二つあるから」
東京と姫路にというのです。
「しかもヒロインの名前は同じだから」
「お菊さんね」
「絶対にあの人なのね」
「幽霊になる人は」
「そうだよ、それで姫時にもあるということはね」
そのお菊さんのお話がです。
「覚えておいてね」
「うん、わかったよ」
「じゃあそうしたことも頭に入れて」
「そうしてね」
「今度姫路城に行くのね」
「そうするのね」
「そうだよ、そして妖怪はね」
今回のお話の主題はです。
「天守閣にいるとされているんだ」
「あの奇麗な天守閣ね」
「白くて大きな」
「あの物凄く奇麗な場所にいるのね」
「その妖怪は」
「一番上に一年に一度出ると言われているよ」
姫路城のです。
「そして城主の人に一年に一度だけ会うそうだよ」
「今は城主さんいないけれど」
「そうしたお話なのね」
「それで次の一年お城がどうなるか伝えるっていうんだ」
そう言われているというのです。
「そうね、正体は狐とも日本の皇室の方の縁者だとも言われているよ」
「あっ、狐なんだ」
「それか日本の皇室の縁者さんなんだ」
「そこは色々なのね」
「そうなんだね」
「うん、そこは本当にね」
どうにもというのです。
「色々説があるんだ」
「それが姫路城の妖怪なんだね」
「何か凄く格が高そうね」
「お姫様だっていうし」
「そのこともあって」
「おさかべ姫、漢字で刑部と読むよ」
その『おさかべ』というところはというのです。
「そうなるよ」
「ふうん、そうなんだ」
「漢字ではそう書くの」
「そこは日本独自の読み方ね」
「漢字についての」
「そうだよ、刑部は日本の役所の名前だよ」
先生は皆にこのこともお話しました。
「役職でもあるしね。安土桃山時代の武将で大谷吉継という人がいたけれどね」
「あっ、石田三成さんのお友達だった」
「あの人と最後まで一緒に戦った」
「あの人だね」
「あの人のことだね」
「あの人もこの役職にあったんだ」
刑部だったというのです。
「だから当時は大谷刑部って言われていたんだ」
「ふうん、そうだったんだ」
「おさかべっていうのは役職だったんだ」
「そうだったんだね」
「そこからもわかる通りね」
役職が名前になっていることからです。
「おさかべ姫はかなり位の高い妖怪だよ」
「伊達に姫様じゃないね」
「そして姫路城に実質的に君臨しているみたいだし」
「それも格が高い故」
「そういうことね」
「そうなんだ、それで天守物語でもね」
このお話でもというのです。
「姫路城の妖怪達の主になっているよ」
「凄いね」
「妖怪達の主なんてね」
「流石はお姫様ね」
「格が違うわ」
「近畿にはそうした妖怪も多いけれどね」
先生は近畿全体のお話もしました。
「特に京都なんかね」
「あそこは本当に多いね」
「もう妖怪や幽霊の宝庫で」
「格式のある妖怪や幽霊もいるし」
「皇室にまつわるお話も多くて」
「京都は特にそうで近畿はね」
この地域はというのです。
「妖怪や幽霊も格の高いものが多いよ」
「そしておさかべ姫もだね」
「凄く格があるのね」
「そうなんだね」
「そうした妖怪だよ、だから着ている服もお姫様だよ」
そうした服だというのです。
「昔の日本のね」
「じゃあ十二単?」
「服も凄いね」
「何かお会いしたくなったよ」
「本当にそんな妖怪さんがいるなら」
「是非にね」
「そうだね、僕もね」
先生にしてもでした。
「一度お会いしたいね」
「じゃあ姫路城に行ったらね」
「絶対に天守閣登ろう」
「そこが舞台の作品だし」
「それじゃあね」
「そうしようね。ではね」
ここで先生は時計を見ました、見れば三時です。
三時といえばです、先生にとってはとても大事な時間です。それで皆に対しても微笑んでこう言いました。
「お茶の時間だよ」
「あっ、もうこんな時間ね」
「ティータイムね」
「今日もこの時間が来たね」
「そうなったわね」
「十一時と三時はね」
絶対にと言う先生でした。
「お茶を飲まないとね」
「そうよね」
「そしてティーセットも楽しまないと」
「十一時は一口ずつだけれどね」
「三時はしっかりとしたおやつ」
「その三時よ」
「そう、じゃあ皆で楽しもうね」
先生がこう言うとでした。
皆はすぐに紅茶とティーセットの用意をしました、今日はミルクティーでセットはどうかといいますと。
「まずはクッキー」
「そして真ん中はプティングで」
「最後はシュークリームよ」
「いいね、今日はこの三段だね」
そのセットを見て笑顔になっている先生でした。
「では皆でね」
「食べましょう」
「そして飲みましょう」
「やっぱり三時にはお茶よね」
「これがないと駄目だよ」
「その通り、僕はね」
日本に来て何年にもなりますが。
「三時はティーセットがないとね」
「元気が出ないのよね、先生って」
「三時は絶対にお茶を飲まないと」
「それで食べないとね」
「どうしても元気が出ないから」
「こうして今日も飲んで食べるのね」
「そうだよ、是非ね」
絶対にというおのです。
「楽しむよ」
「日本に来てからミルクティーとは限らなくなったけれど」
「お菓子もイギリスのものだけでなくなったし」
「日本やアメリカや中国のものも楽しむ様になって」
「たまにコーヒーも飲む様になって」
「昔はミルクティーだけだったよ」
まさにこれ一本でした。
「けれど来日してからね」
「そこも変わったね」
「作務衣やどてらを着るだけじゃなくて」
「和食も日本酒も楽しんで」
「ティーセットも色々なものを楽しむ様になったから」
「本当に変わったよ」
まさにというのです。
「そこもね、そしてね」
「そしてだよね」
「たまにコーヒーも飲む様になったね」
「イギリスにいた時は飲まなかったのにね」
「ミルクティーだけだったのが」
「そうなったよ、何ていうか」
まさにというのです。
「僕は本当に変わったよ」
「そうそう、今日はイギリス風だけれどね」
「そっちのティ―セットだけれど」
「今はどうか」
「色々なものを楽しんでるね」
「そうなったね」
こう言うのでした。
「今の僕は」
「それじゃあ飲みましょう」
「そして食べましょう」
「そしてお茶の後はね」
「またお仕事ね」
「今日も論文を書くから」
そうするというのです。
「楽しくね」
「ええ、ただね」
「今日の紅茶はホットだけれどね」
「沸騰させてないわよ」
「泉鏡花さんみたいにはしていないから」
「お茶は沸騰させたら駄目だよ」
戦士絵もそこは笑ってお話します。
「味がおかしくなるよ」
「そうだよね」
「お湯は沸騰させていいけれど」
「それが消毒になるしね」
「水道水だとカルキも飛ばせるし」
「それはいいけれど」
「けれどね」
お茶はというのです。
「一旦お茶の葉を入れたらね」
「もう沸騰させたらいけないね」
「味が変わるから」
「それはもうしないで」
「そのまま飲むことね」
「泉鏡花もしなかったと思うよ」
この人にしてもというのです。
「本当にね」
「お水をお湯にしてね」
「そこからお茶の葉を入れるから」
「お茶にしてからだと」
「もう何になるか」
「手順が違うわね」
「その手順を間違えたら」
それこそというのです。
「大変なことになるよ」
「その通りだね」
「そこは間違えたら駄目だね」
「幾ら消毒でもね」
「お茶は沸騰させない」
「沸騰させるのはその前」
「お水の段階だね」
「そうだよ、しかし思うことは」
それはといいますと。
「泉鏡花は今だとどうかな」
「極端な潔癖症でも」
「本当にどんな人になってるか」
「そうも思うんだね」
「やっぱりあれかな」
先生は少し考えるお顔になって言いました。
「いつもウェットティッシュで手を拭いてお掃除もして」
「そんな人になってるかな」
「やっぱり食べものは何でも沸騰させて火を通して」
「そうした人になっているかしら」
「そうかもね、こう言うと」
少し首を傾げさせて言う先生でした。
「日本のドラマの登場人物かな」
「ああ、特撮の」
「凄いキャラだったよね」
「潔癖症だけじゃなくて性格もね」
「あんなキャラ見たことないよ」
「うん、あのキャラとは性格は違うけれど」
泉鏡花はというのです。
「それでもね」
「あのキャラみたいにだね」
「何かあるとウェットティッシュで手を拭くみたいな」
「そんな潔癖症になっていたのね」
「ひょっとしたら」
「そうかも知れないね、とにかくね」
さらに言う先生でした。
「泉鏡花は独特な人だったことはね」
「調べて思うのね」
「何かと」
「そうなのね」
「そうだよ、芸術家は個性的な人が多いけれど」
先生は首を少し傾げさせて言うのでした。
「泉鏡花も然りってことだね」
「まあ潔癖症なだけでね」
「別に性格は悪くなかったんだね」
「底意地が悪いとかね」
「そうした人じゃなかったね」
「そうした話は聞いていないね、真面目な人だったみたいだよ」
人間としてはというのです。
「お釈迦様のお母さんとお師匠さんをずっと信仰していてね」
「信仰心もあってだね」
「そこから倫理観もあって」
「真面目ではあったんだ」
「そうみたいだよ、それとね」
さらにお話をする先生でした。
「お師匠さんも凄い人だったからね、尾崎紅葉も」
「あっ、金色夜叉の」
「あの人だね」
「あの人がお師匠さんだったんだね」
「そうだよ、あの人がね」
先生は皆にシュークリームを食べつつお話します。
「泉鏡花のお師匠さんだったんだよ」
「凄い人がお師匠さんね」
「本当にそうね」
「じゃあね」
「あの人から何かと教わって」
「それで大成したのね」
「そうなんだ、だからね」
そうしたことがあったからだというのです。
「泉鏡花は尾崎紅葉を終生敬愛していたんだよ」
「作風は違う感じがするけれどね」
「そうね、金色夜叉のお話を聞くと」
「泉鏡花の話とはね」
「また違うね」
「作風は違うけれど」
それでもというのです。
「泉鏡花が大成したのはね」
「尾崎紅葉と出会ったから」
「だからだね」
「お師匠さんを敬愛していたのね」
「それもずっと」
「そうなんだ、ちなみに金色夜叉は未完だよ」
尾崎紅葉のこの代表作はというのです。
「尾崎紅葉の手では終わっていないよ」
「あれっ、変な言い方だね」
「尾崎紅葉さんの手ではって」
「ちょっと引っ掛かる言い方だけれど」
「何かあるの?」
「尾崎紅葉は終わらせていないけれど」
このことは事実でもとです、先生は皆にお話します。一緒に紅茶を飲んでティーセットを楽しみながら。
「他の人が書いてね」
「終わらせたの」
「そうだったの」
「尾崎紅葉さんが終わらせてなくても」
「他の人が書いてなんだ」
「終わらせたの」
「今の日本でもあるね」
他の人が書いて完結させることはです。
「作家さんが亡くなってしまったりして」
「あるね、残念なことだけれどね」
「書いている人がお亡くなりになってって」
「それで未完に終わるってね」
「世の中どうしてもあるからね」
「そう、けれどね」
それでもというのです。
「他の人が志を受け継いでね」
「そうしてだよね」
「作品を何とか終わらせることはね」
「あるよね」
「この日本でもね」
「僕が思うに作品はね」
先生はしみじみとして言いました。
「小説だけでなく絵画でも彫刻でもね」
「何でもだね」
「一旦創作をはじめたら終わらせる」
「そうしないと駄目だね」
「絶対に」
「その通りだよ、これは創作者の義務と思うけれど」
それでもというのです。
「亡くなってしまったらね」
「仕方ないからね」
「そうした場合はね」
「だからね」
「その時は他の人が受け継ぐ」
「そうしないと駄目ね」
「その時は」
「うん、さもないとね」
そうでないと、というのです。
「その作品も浮かばれないよ」
「じゃあ書いても未完のままっていうのは」
「絵でも彫刻でも」
「完成させないでほったらかしはね」
「よくないんだね」
「そう思うよ、完結させるのは義務と思うから」
それ故にというのです。
「ほったらかしはよくないよ」
「そうだね」
「先生の言う通りね」
「一旦創作をしたら完結させる」
「それが作品に対する義務だね」
「終わらせることが一番難しくても」
それでもというのです。
「終わらせないといけないよ」
「完結させる、完成させる」
「そうしてこそだね」
「それが一番難しくても」
「終わらせないといけないんだね」
「日本語で言うと風呂敷を畳むだね」
この言葉になるというのです。
「そしてそれをしてこそ」
「本当に捜索をしている?」
「そうなるのかな」
「小説も戯曲も詩も」
「絵も彫刻も」
「漫画も」
「そうだよ、ゲームは完成させないと発売出来ないね」
ゲームからお話した先生でした。
「ドラマも完結させるものだね」
「うん、そうだね」
「未完成でゲームを発売するなんてないよ」
「あとドラマもね」
「結末まで放送しないとかね」
「そうはないよね」
「だからね」
それ故にというのです。
「絶対にね」
「世に出したなら」
「絶対に完結させないといけない」
「それが創作だね」
「そうだよ、泉鏡花も沢山の作品を書いているけれど」
それでもというのです。
「ちゃんとね」
「完結させているんだ」
「しっかりと」
「そうしているんだ」
「そうだよ、だからね」
先生は紅茶を飲みつつ皆にお話しました。
「僕も論文を書きはじめたらね」
「先生絶対に論文書き終えるからね」
「最後の最後までね」
「その論文を書いてから次の論文に移ってるね」
「そうしているわね」
「そうだよ、あれこれ書いて手を拡げることは苦手だしね」
先生は一つ一つのことをコツコツとしていくタイプなのです。
「だからね」
「それでだよね」
「真面目にだよね」
「一つの論文を書いて」
「完成させてね」
「それから次の論文に移るね」
「そうしているよ」
まさにというのです。
「僕はね」
「それで完成させなかった論文ないからね」
「先生は立派よね」
チープサイドの家族も太鼓判を押します。
「一つ一つ真面目にやっていくから」
「論文を書いていってるね」
「書いた論文は書き終えて」
そしてと言ったジップでした。
「それからすぐに次の論文書くね」
「一度に二つの論文書かないね、基本」
チーチーはこのことを指摘きました。
「どれだけ幾つもの論文の話が出ていても」
「一つのことを調べて書く」
ダブダブがぴしゃりと言いました。
「そしてまた次だからね」
「先生は一度に幾つもってタイプじゃないし」
ポリネシアもこのことはよくわかっています。
「一つ一つコツコツなのは正解よ」
「文学も医学も何でも出来るけれど」
それでもと言うホワイティでした。
「一つ一つ確実にしていくからそうなったのかな」
「あれをはじめてこれをはじめて全部中途半端は」
どうかとです、トートーは言いました。
「何にもならないしね」
「先生の一つの論文に専念して絶対に書き終えることはその通りだよ」
まさにと言った老馬でした。
「正解だね」
「学問は一つ一つをじっくりしないと」
「身に着くものじゃないから」
オシツオサレツも二つの頭で言います。
「だったらね」
「先生のスタイルであるべきだね」
「先生は食事でもそうだしね」
最後に言ったのはガブガブでした。
「一つのお料理を確実に食べるね」
「そうだね、やっぱり僕は」
まさにとです、先生は皆に応えました。
「学問、論文でもね」
「お食事もね」
「一つ一つ確実に食べていくね」
「飲むことだって」
「そして絶対に残さないね」
「そういうこともしないね」
「残さない様にしたのは日本に来て特に」
まさにと言うのでした。
「残さない様になったね」
「そこも変わったね」
「いや、何ていうかね」
「先生は日本に来てどんどん変わって」
「長所が伸びたね」
「さらに」
「それならいいことだよ」
先生は皆ににこりとして言いました。
「僕にしてもね」
「そうだね」
「先生の学問も凄いことになっているし」
「イギリスにいた時は誰も来ない病院にいるだけだったのに」
「今では大学教授になって」
「論文も大量に書いてるし」
その論文もというのです。
「一つ一つね」
「そうしているから」
「やっぱり凄いね」
「物凄くよくなったよ」
「今の論文は日本語で書いているけれど」
天守物語のそれはです。
「日本語で書くこともね」
「なかったね」
「イギリスにいた時は」
「本当に変わったね」
「何もかも」
「そうしたことも」
「そう思うよ」
まさにと言ってです、そのうえで。
先生は皆と一緒にお茶を飲んでセットも楽しんででした、それからまた論文を書いていきます。そうしてでした。
「甘いものを食べて飲むとね」
「論文もはかどるわね」
「そっちも」
「そうなるわね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「ティーセットは欠かせないよ」
「先生にとってはね」
「論文を書くうえでもそうだね」
「三時のティータイムはいいエネルギー補給だね」
「そして憩いの時間でもあるね」
「その通りだよ、僕にとって三時のティータイムは」
また言うのでした。
「絶対だよ」
「絶対のものだね」
「学問においても」
「三度のご飯と同じだけ大事だね」
「その通りだよ、僕は実質一日四食だね」
そうなっているというのです。
「ティータイムも入れたら」
「イギリスだと女王陛下も楽しまれているしね」
「あの方もね」
「三時は絶対にお茶を楽しまれているし」
「ティーセットをね」
「そう、イギリスは食べることでは散々言われているけれど」
それでもというのです。
「ティータイムはね」
「これはね」
「評判いいよね」
「イギリスのお食事でもね」
「世界的に評判いいわね」
「お菓子はね」
イギリスのそれはというのです。
「クッキーにしても評判がいいから」
「他のものもね」
「紅茶にもよく合うし」
「こういったものは評判いいのよね」
「イギリスの食べものでも」
「そうだね、日本でもね」
先生が今いる国でもというのです。
「評判がいいしね」
「この学園でもティーセット人気あるよ」
「喫茶店でも人気メニューの一つだよ」
「この学園にはティーセットある喫茶店もあるけれど」
「そっちも評判いいよね」
「僕も行くし」
先生はここで楽しむことが多いですがそちらのお店に行ってそのうえで楽しむこともあるのです。尚セットのメニューは日替わりです。
「あそこのお店のセットは美味しいね」
「むしろイギリスで飲んで食べるより美味しいかも」
「日本はお水がいいしね」
「それにお菓子も美味しいから」
「むしろ日本よりもね」
「そうかも知れないね」
論文を書きつつ言う先生でした、そして。
お家に帰ると王子もお邪魔していました、そうしてお肉を出して言いました。
「今日はこれですき焼きとかどうかな」
「もう今日のお料理は決めてるよ」
トミーが王子に答えました。
「肉じゃがだよ」
「あれっ、決まってたんだ」
「うん、だからね」
それdでというのです。
「今日はね、悪いけれど」
「すき焼きじゃないんだ」
「折角お肉持ってきてくれたけれどね」
「お野菜も全部持って来たけれどね」
「お豆腐とかもかな」
「糸蒟蒻もね」
この食材もというのです。
「そうしたけれど」
「そうだったんだ、じゃあ明日にね」
「明日だね」
「作らせてもらうよ」
そうするというのです。
「だからね」
「今日はだね」
「肉じゃが作るよ」
「じゃあね」
「すき焼きは明日ということでね」
「じゃあ明日また来るよ」
王子はトミーににこりと笑って答えました。
「そうさせてもらうよ」
「明日だね」
「そう、明日ね」
「それでだね」
「一緒にすき焼き食べようね」
「そうしようね」
「すき焼きだね、やっぱりいいよね」
先生は明日すき焼きと聞いてにこりと笑いました。
「和食の中で一番好きかもね」
「特に冬はだね」
「うん、この季節はね」
何といってもというのです。
「とりわけ好きだよ」
「先生が日本に来るきっかけになった食べものだしね」
「あの時のことは一生の思い出だよ」
先生は王子に笑顔のまま答えました。
「そのこともあってね」
「それでだね」
「そう、すき焼きは大好きだよ」
「しかもお肉は神戸牛だよ」
「奮発したね」
「いや、実は日本領事館にお呼ばれしてね」
王子は先生に明るい笑顔で答えます。
「その時に領事さんにプレゼントしてもらったんだ」
「そうだったんだ」
「我が国と日本の文化交流の式典に参加して」
「その時に神戸牛のお肉を貰ったんだね」
「すき焼きのね、領事館でステーキをご馳走になったけれど」
神戸牛のそれをというのです。
「こちらもね」
「美味しかったんだね」
「最高だったよ」
その味を思い出してです、王子はにこにことしています。
「こちらもね」
「ううん、神戸牛は別格だからね」
「というか日本の牛、和牛はね」
「他の国のお肉とはまた違うね」
「独特の美味しさがあるね」
「そうだね」
「アメリカやオーストラリアのお肉はふんだんに食べられるけれどね」
安くてです。
「和牛は高いけれどね」
「味が違うからね」
「まさに別格だから」
文字通りにというのです。
「明日が楽しみだよ」
「皆で食べようね」
「是非ね、しかもお豆腐もあるね」
「うん、すき焼きには欠かせないよね」
こちらもとです、王子は先生に答えました。
「やっぱり」
「だからだね」
「持って来たよ」
「それもいいね、最近お豆腐を結構食べるけれど」
「そうなんだ」
「湯豆腐も食べたしね」
この前にというのです。
「それも美味しかったしね」
「すき焼きのお豆腐もだね」
「楽しむよ」
「それじゃあね」
「そしてね」
先生は王子にさらにお話しました。
「泉鏡花も好きだったからね」
「今先生が論文で書いている作家さんだね」
「そう、この人もね」
「そうだったみたいだね、冷奴を絶対に食べないで」
「僕は冷奴も好きだけれどね」
「僕もだよ、夏は特にね」
王子はにこにことして冷奴のことにも言及します。
「美味しいよね」
「西瓜と並ぶ夏の名物だね」
「日本のね」
「だからそちらも好きだけれど」
「泉鏡花はね」
「そのことも考えながらね」
そうしつつというのです。
「明日もね」
「学問をしていくんだね」
「日常も楽しんでね」
先生は王子に笑顔で答えました。
「そうしていくよ」
「ではね」
「うん、それとね」
「それと?」
「いや、おさかべ姫は妖怪だね」
姫路城にいるこのお姫様はです。
「それで妖怪の話はこの学園に凄く多くて僕自身ね」
「あっ、先生結構妖怪と縁があるね」
「日本に来てからそうなったね」
「愛媛の方でもだったね」
「狸勲や獺君達と話したね」
「動物だったけれど」
「変化だったからね」
そちらでもあったからだというのです。
「妖怪変化のね」
「そうだったね」
「そう、日本と動物と変化の違いは曖昧だから」
「動物が長生きしたら変化になるんだったかな」
「妖怪の方にもなってね」
「狸や獺は元々妖力が強いから」
日本ではそうなのです。
「それでだね」
「そう、愛媛でもお話したし」
先生は王子にさらにお話します。
「この神戸でもね、猫又のね」
「お静さんだね」
「彼女とも知り合いになったしね」
「そうだったね」
「だからね」
それでというのです。
「今度お静さんとお話しようかな」
「それで姫路城のお姫様のこともだね」
「詳しく聞きたいけれど」
「いいね、じゃあ明日にでもお静さんとお話してみる?」
「そうしようか」
「それがいいね、しかし妖怪も普通にいるとか」
こうも言った王子でした。
「世の中面白いね」
「いやいや、世界に住んでいるのは人間や他の生物や植物だけか」
「それはだね」
「そうとは限らないからね」
「妖怪変化がいても不思議じゃないんだ」
「イギリスでは妖精と呼ぶね」
「ああした存在もまただね」
王子は先生のお話ににこりとして応えました。
「いても不思議じゃないんだね」
「そうだよ、それでね」
「これからもだね」
「僕は妖怪の皆ともね」
「お友達でいるね」
「そういていくよ」
笑顔で言う先生でした、そしてお静さんに連絡を取るとお静さんも快諾してくれました。