『ドリトル先生と春の花達』
第九幕 春の希望
先生は学園の中をお散歩していて一緒にいる動物の皆に言いました。
「今日は昨日より暖かいね」
「うん、そうだね」
「昨日よりは暖かいね」
「そうなってきたね」
「急に暖かくなる時もあるけれど」
それでもというのです。
「徐々に暖かくなってきたらね」
「それだけでだよね」
「嬉しいよね」
「そしていつも通り桜が咲いたらね」
「もうそれでいいよね」
「そうだよ、桜があればこそね」
こうも言った先生でした。
「助六も五人男も忠臣蔵も映えるからね」
「歌舞伎も?」
「そちらもなんだ」
「そうだよ、忠臣蔵にしてもね」
歌舞伎だけでなく時代劇でも有名な作品です、日本にいると絶対に何度も観ることになります。
「桜はあるね」
「ええと、切腹する場面?」
「あの殿様が」
「浅野内匠頭さんがね」
「その時だね」
「歌舞伎ではお部屋の中で切腹するけれどね」
実際とは違ってです。
「ドラマとかじゃね」
「そうだね、桜が散る中でね」
「あの人切腹するよね」
「だからだね」
「桜は必要なんだね」
「忠臣蔵でもね、あと忠臣蔵はね」
さらにお話する先生でした。
「雪も必要だよ」
「最後の討ち入りの場面だね」
「あの時は雪だね」
「雪が降ってる中で討ち入りするんだよね」
「太鼓叩いてね」
「だから必要なんだ」
雪もというのだ。
「あの桜と雪の舞うのがまたいいね」
「雪は寒いけれどね」
「舞うのは奇麗だし」
「忠臣蔵はそこも見せるんだね」
「素敵な場面だよね」
「僕もそう思うよ、忠臣蔵はね」
それはといいますと。
「日本以外では知られていないけれどね」
「僕達も知らなかったよ」
「ああした作品があるなんてね」
「こっちじゃイギリスで言うアーサー王みたいに有名だけれど」
「それでもね」
「他の国では知られていないよね」
「そうだね」
「そうだよ、けれどね」
それでもというのです。
「日本じゃ誰でも知ってるね」
「有名な作品だね」
「そこまでね」
「そしてその忠臣蔵にも桜は欠かせない」
「そうなんだね」
「その通りなんだ、あとね」
さらに言う先生でした。
「奈良には面白い桜があるよ」
「面白い?」
「面白いっていうと?」
「うん、又兵衛桜があるけれど」
「それどんな桜なの?」
「その又兵衛桜って」
「戦から逃れたある武将にまつわる桜なんだ」
その桜はというのです。
「その人は死んだと思われていたけれど」
「そこに逃れてたんだ」
「それでその人にまつわる桜なんだ」
「その又兵衛桜っていうのは」
「そうなんだね」
「そうだよ、その又兵衛桜もね」
先生は言いました。
「一度観てみたいね」
「奈良に行って」
「そうしてだね」
「そう思ってるよ、奈良の桜はね」
さらにお話した先生でした。
「奈良市や長谷寺の桜も奇麗だしね」
「長谷寺もなんだ」
「あそこのお寺も有名だよね」
「女人高野っていうね」
「そう言われてるね」
「そうだよ、あのお寺はね」
まさにというのです。
「桜も有名だから」
「だからだね」
「そちらの桜も観たいんだ」
「機会を見付けて」
「そうなんだね」
「そう思ってるんだ、あの時はね」
是非にと言うのでした、そしてです。
先生は桜の木達を見ますがまだ咲いてはいません、ですが。
その木達を見てです、先生は言いました。
「もうすぐ蕾が出るね」
「えっ、全然ないけれど」
「そんなのは全然」
「これで咲くの?」
「まさか」
「出るよ」
お花のそれがというのです。
「明日にでもね」
「そうなんだ」
「先生ならわかるんだね」
「先生植物学者でもあるしね」
「お花の蕾が出るって」
「そのこともだね」
「うん、わかるよ」
本当にというのです。
「見ればね」
「そこは先生だね」
「そうしたこともわかるなんてて」
「流石は先生だよ」
「植物学者でもあるだけはあるよ」
「これだと若しかしたら」
先生は笑顔で言いました。
「いつも通りにね」
「咲くんだね」
「遅れることなく」
「そうなるんだね」
「そうなるかもね、いや本当にね」
先生は笑顔のまま言いました。
「植物学も学んでいてよかったよ」
「それでも見ただけでわかるって凄いよ」
「学者さんでもね」
「先生医学とか動物学だけじゃないからね」
「色々な学問が出来てね」
「植物学もだからね」
「観ただけでわかる位だから」
そこまで凄いからというのです。
「それで蕾が出ることもわかるんだ」
「凄いことだよ」
「ずっと心配だったけれど」
桜が咲くのが遅れるかとです、チーチーもこのことが気が気でならなかったのです。日本にいてそうなったのです。
「明日蕾が出るんならね」
「いつも通り咲くかしら」
ポリネシアも言います。
「そうなるかしら」
「そうね、明日蕾が出たら」
ダブダブが続きました。
「入学式や始業式には間に合うわ」
「それじゃあ問題ないね」
トートーはまだ出ていない蕾を見ています。
「楽しみに待っていよう」
「先生はこうしたことは間違えないしね」
「学問のことならね」
オシツオサレツは先生を信頼しています、このことは他の皆も同じです。
「それなら明日蕾が出て」
「いつも通り咲くね」
「そして和歌会の時は」
ガブガブが思うにはです。
「和歌会の植物園の中も外も満開だね」
「この学園の全部の桜が咲くとね」
「何千本もあるから」
チープサイドの家族はその時のことを楽しみにしています。
「もう一面桜色でね」
「凄く奇麗なのよね」
「その中で和歌を詠うなんて」
ジップが思うにはです。
「最高だよね」
「花霞っていうのかな」
老馬もその時を想像しています。
「桜達から花びらも舞ってね」
「夜に見てもよさそうだね」
最後にホワイティが言いました。
「夜桜も」
「うん、和歌会もだけれど」
先生も皆に応えてお話しました。
「お花見もしたいね」
「そこで桜酒だね」
「夜桜も観てね」
「凄くよさそうだね」
「お弁当とお酒を持って行って」
「それで楽しもうね」
「そうしよう、その時はね」
もうお花見のことを思う先生でした。
「皆も一緒だね」
「そうだね、僕達とね」
「トミーや王子もいて」
「そしてだね」
「日笠さんも」
「そうだね、日笠さんも大事なお友達だしね」
先生の返事は的を外していました、見事なまでに。
「是非ご一緒にね」
「うん、その通りだけれどね」
「やっぱり先生はそう言うね」
「日笠さんは大切なお友達だって」
「そう言ったね」
「あれっ、その通りだよね」
先生は皆のやれやれという返事に目を瞬かせました。
「日笠さんはお友達だよ」
「それはそうだけれどね」
「何かそこで、なんだよね」
「先生は気付かないし」
「縁もね」
「縁ってお友達の?」
やっぱりわかっていません。
「そうだよね」
「だからそこは違うから」
「もっとしっかりしようね」
「前に出る」
「気付いたうえで」
「皆の言うことがわからないよ、ただ桜が咲くのなら」
遅れることなくです。
「ティータイムのお茶菓子も考えよう」
「桜餅ね」
「遂にあのお菓子を食べる時が来たわ」
「あのお菓子もいいわよね」
「本当に桜色でね」
「あのお菓子を考えた人は天才だよ」
こうまで言う先生でした。
「見ただけで食べたくなる位だよ」
「先生あのお菓子も大好きよね」
「桜餅にしても」
「春は絶対に食べてるわね」
「じゃあ今日にでも食べる?」
「三時に」
「うん、まだ今日のティーセットは用意していないし」
それならばと応えた先生でした。
「今からね」
「買いに行こう」
「学校の中のコンビニでね」
「お菓子を買って」
「桜餅もね」
「そうしよう、あとお茶はね」
ティータイムですからこちらは絶対に欠かせないです、むしろお菓子はお茶の添えものでしょうか。
「緑茶かお抹茶にしよう」
「日本だしね」
「そうしたお茶がいいね」
「じゃあそっちのお茶も用意して」
「それで楽しもうね」
「そうしよう、是非」
笑顔でこう言ってでした、先生は実際にです。
三時にはお抹茶を出してです、三段のセットには三色団子と桜のういろうそれに桜餅がありました。
その三段のセットを見てです、動物の皆は笑顔で言いました。
「いや、いいね」
「この桜の三段いいね」
「三色団子にも桜あるしね」
「ういろうも桜で」
「そして勿論桜餅もある」
「いい感じだね」
「これもまた日本の春の楽しみ方だね」
先生はしみじみとした笑顔で言いました。
「お菓子についてもね」
「というか日本人ってこんな楽しみ多いね」
「季節に食べものを重ね合わせるの上手だよね」
「お料理にも花鳥風月がある」
「これもいいよね」
「うん、日本のこのこともね」
まさにというのです。
「すばらしいことだよ、ではね」
「今からだね」
「桜の和風セット楽しむね」
「そうするんだね」
「是非ね、じゃあ皆で食べよう」
こう言って実際にでした、先生はその桜の和風ティーセットを楽しみました。そうしてからでした。
先生は満足した笑顔でお茶をもう一杯飲んで皆に言いました。
「桜酒、お花見だけじゃない」
「そうだね、日本の春の味は」
「こうしたお茶もあるんだね」
「桜のお菓子があって」
「この贅沢さときたら」
にこにことしてお茶を飲みつつ言うのでした。
「もう一回味わったら離れられないよ」
「麻薬以上だろうね」
「もうそれこそ」
「この美味しさはね」
「病みつきになるね」
「僕は麻薬はしないよ」
それは絶対にです、先生はそうしたことは一切しません。
「煙草も吸わないしね」
「そうだよね」
「先生煙草も吸わないしね」
「特に麻薬はしないね」
「何があっても」
「どんな種類の麻薬もね」
それこそというのです。
「一度手を出したらね」
「止めるのが大変でね」
「それで中毒にもなって」
「身体がボロボロになってて」
「大変なことになるんだよね」
「そうだよ、だからね」
そうしたことがわかっているからです。
「僕は麻薬はしないんだ」
「犯罪だしね」
「むしろ犯罪になって当然だよね」
「あんな怖いのに手を出すなんてね」
「馬鹿なことだし」
「そう、やったらいけないよ」
先生は麻薬についてこうも言いました。
「あんなことはね」
「若しやったらね」
「先生もそのこと知ってるんだ」
「だからしないんだ」
「医者として観てきたよ」
先生は麻薬中毒についてはとても悲しいお顔になってお話しました。
「身も心もボロボロになって」
「死んだりするんだね」
「凄いことになるんだね」
「もう先生が言えない位」
「そうなってしまうんだね」
「そうだよ、そうした症状をこの目で見たし聞いてね」
そうしてなのです。
「僕は麻薬は絶対にしないんだ」
「例え何があっても」
「麻薬はしない」
「そうしてるんだね」
「そうなんだ」
「あんなことをしたら」
それこそというのです。
「自分が終わってしまうよ」
「先生そのことも真面目だよね」
「麻薬はしないっていうのも」
「身体にも心にも悪いからって」
「ちゃんとやってるね」
「うん、あんなものに手を出したら」
それこそというのです。
「自分が終わってしまうからね」
「他の人にもやらない様に言ってるね」
「麻薬については」
「いつもだね」
「そう言ってるね」
「覚醒剤なんかはね」
麻薬の中でこれを出すのでした。
「やっていいと思うかい?」
「何かあの麻薬凄いらしいね」
「一週間位寝なくても平気になるっていうけれど」
「それだけ寝ないとね」
「それだけで危ないよね」
「うん、人はちゃんと寝ないといけないよ」
一日の間でというのです。
「絶対にね、徹夜だけでもよくないのに」
「それが一週間になると」
「一日の徹夜じゃなくて」
「それだけでどれだけ身体に悪いか」
「そうなるよね」
「身体にかかる負担も酷いんだ」
覚醒剤はというのです。
「力を引き出すっていうらしいけれど」
「何か体力を補給してないよね」
「ものを食べたり飲んだりするのとは違って」
「お茶やコーヒーで目が醒めるのを遥かに凄くしたもので」
「身体にもだよね」
「そうだよ。お茶やコーヒーも飲み過ぎたら寝られなくなるけれどね」
目が冴えてしまってです。
「覚醒剤はそんなものじゃなくて」
「身体から力を引き出すけれど」
「それってエネルギーを燃やしていてね」
「危ないよね」
「凄い体力を消耗してるよね」
「筋肉や骨格のエネルギーまで消耗するんだ」
覚醒剤の場合はです。
「気分も高揚するっていうけれど」
「それもだね」
「よくないんだね」
「精神にも影響を与えて」
「やっぱりよくないね」
動物の皆も聞いて言うのでした。
「とんでもない幻覚や幻聴もあるんだよね」
「変なもの見たり聴いたり」
「それじゃあおかしくなるよね」
「頭の方もね」
「そこも問題だよ、筋肉も骨酷くなって内臓の働きにまで影響を与えて」
勿論悪い影響です。
「幻覚や幻聴もあって精神もおかしくなって」
「ボロボロになってだね」
「食欲もなくなるっていうし」
「その分エネルギーの補給もしなくなって」
「身体が悪くなってだね」
「どんどん酷くなっていくんだ」
「だから絶対にしたら駄目なんだ」
覚醒剤もというのです。
「他の麻薬も一緒だけれどね」
「手を出したら破滅、だね」
「本当にそうなるのね」
「だから先生もしないし」
「他の人にもしない様に言ってるんだ」
「麻薬は」
本当にという言葉でした。
「したら駄目だよ、刺激を求めたり寂しいからするのは」
「絶対に駄目だね」
「芸術に関わる人達が手を出したりするけれど」
「やったら駄目だよね」
「刺激を求めても」
「厳しいことを言うかも知れないけれど」
こう前置きしてのお言葉でした。
「刺激は他のもので得るべきだよ、麻薬も脳内麻薬っていうね」
「自分で気分が高揚してだね」
「それでやっていくべきなんだ」
「麻薬は自分で作る」
「頭の中で」
「ドーパミンが出るから」
人間の脳からというのです。
「だからね」
「そちらを出すべきで」
「そうした麻薬はしたら駄目だね」
「それは何にもならないから」
「破滅しちゃうからね」
「お酒も過ぎたらよくないし」
アルコール中毒になるからです、こちらはこちらでかなり怖いことになってしまうのです。
「けれどそれよりも遥かにね」
「麻薬はだよね」
「そのお酒よりも怖いから」
「やったらいけない」
「芸術をやっていても」
「僕はそう思うよ。刺激が欲しくてもスランプになっても」
スランプになってもと言うのでした。
「その時は色々見て回ったり考えたりとにかくヒントを得ることを目指してね」
「そこからだね」
「スランプも脱出すべきだね」
「刺激もそうして得て」
「やっていくいべきね」
「そうだよ、スランプになっても」
例えその場合もというのです。
「麻薬をやったら逃げることだよ」
「悪い方に」
「先生は逃げることも否定しないけれどね」
「逃げ方や場所は選ぶべき」
「そういうことね」
「例えば部活で先生が暴力を振るうならね」
学校の場合を例えるのでした。
「辞めるべきだけれどね」
「その先生がどうしようもない先生なら」
「日本にはヤクザ屋さんと変わらない先生も多いし」
「そんな先生からは逃げた方がいいわね」
「自分が怪我をする前に」
「自分じゃなくても些細なことでとんでもない暴力を振るう先生が部活の顧問ならね」
若しそうならというのです。
「辞めた方がいいよ」
「自分が暴力を受けて怪我をする前に」
「その前にだね」
「逃げるべきで」
「それでなのね」
「逃げることは悪いことじゃないんだ」
先生は皆にあらためてお話しました。
「そのことにも決断する勇気が必要だし」
「悪い場所から去る勇気」
「まさにそれね」
「悪い人がいる場所は悪くなるから」
「そこから去るのも大事ね」
「そう、だから悪いことじゃないんだ」
逃げること自体はというのです。
「けれどね」
「逃げ方と場所ね」
「それがどうなのか」
「麻薬に逃げたらいけない」
「そうしたことには」
「それは自分を壊してしまうから」
また麻薬のことをお話しました。
「絶対に駄目だよ」
「じゃあ芸術はだね」
「刺激は前にお会いした人みたいになのね」
「勉強をして描いて手に入れる」
「スランプを抜け出す方法を見付けるにしても」
「そうだよ、お酒も多少ならいいし」
アルコール中毒にならない範囲で、です。
「遊んでもスポーツをしても読書をしてもいいんだ」
「けれどだね」
「麻薬は駄目」
「それについては」
「先生はよくないって言うんだね」
「そうだよ、自分自身が壊れてどうなるのかな」
先生は悲しいお顔で言うのでした。
「時には酷い人が周りにいてあえて麻薬を勧めたりするけれどね」
「先生とは逆にだね」
「そんなことをする人もいるんだね」
「絶対にやっちゃいけないことに引き込む」
「麻薬とか」
「ジミ=ヘンドリックスはね」
先生は今も伝説になっている名ギタリストのことをとても悲しいお顔になって思い出しました。
「あまりにもね」
「あっ、アメリカの人だね」
「ギターの人だね」
「若くして亡くなったんだよね」
「まだ二十代で」
「うん、無茶苦茶なツアーのスケジュールを組まされてね」
所属していた事務所にです。
「それで麻薬も渡されてね」
「酷いね」
「先生と真逆じゃない」
「絶対にやっちゃいけないことを渡すなんて」
「一体何を考えてるのよ」
「それでツアーの疲れと麻薬のせいでね」
まさにそうしたことでというのです。
「若くしてだったんだ」
「凄く才能があったのに」
「そうなっちゃったのね」
「周りの人達は凄く酷い人達だったのね」
「もう呆れるわ」
「最悪だよ」
「周りの人達は彼を消耗品、お金のあてにしか思っていなかったんだ」
偉大なギタリストをです。
「そしてそうした風にしてね」
「若くしてなのね」
「ジミ=ヘンドリックスさんは亡くなったのね」
「そうなってしまったんだ」
皆もそのお話に悲しいお顔になりました。
「先生はそんなことしないけれど」
「絶対に」
「そんなマフィアみたいなことはね」
「何があってもしないから」
「実際彼のマネージャーはおかしいんだ」
どうもというのです。
「おかしかった、かな。自殺したとされてるし」
「されてる?」
「自殺したんじゃなくて?」
「それどういうこと?」
「マフィアと関係があったというし」
マフィアのお話が出たところでという感じでした。
「自殺した筈なのに見たというお話が何件かあったり」
「身をくらましたのかしら」
「何かの事情で」
「そうした人?」
「胡散臭い」
「うん、元々彼が麻薬とかを渡したりとんでもないツアーを考えていた可能性が高いしね」
マネージャーだっただけにです。
「それでそんな人だから」
「それでなのね」
「そうした逃げ方もしていて」
「ジミ=ヘンドリックスも死なせた」
「そうなのかな」
「うん、悪い人もいるからね」
世の中にはです。
「だから僕はこの人みたいにはならないよ」
「というか先生全然違うから」
「そうした人とは正反対だから」
「人を粗末にしたりしないし」
「利用したりもしなくて」
「麻薬なんて絶対に勧めないし」
「そういうことも聞いたから」
過去にです。
「だから僕はお薬や治療法は勧めるけれど」
「麻薬は絶対に進めない」
「そうなのね」
「それじゃあ和歌についても」
「そうするのね」
「そうだよ、刺激は景色や読書で得るよ」
そして学問です。
「必要だと思ったらね」
「お酒でもだよね」
「ちゃんとそうしたことでなのね」
「刺激を得て」
「真面目に和歌会に赴くのね」
「お酒は多少ならいいんだ」
そちらはというのです。
「だからね」
「それでだね」
「お酒は飲む」
「桜酒を」
「そちらで」
「いやいや、桜酒はお花見の時にだよ」
その時に飲むというのです。
「今でも和歌会の時でもないよ」
「わかったよ、じゃあね」
「お花見の時に飲みましょう」
「私達もいてトミーや王子もいて」
「そして日笠さんもね」
「日笠さんはよく気がつくんだよね」
先生は皆の言葉に誘われて日笠さんにも言及しました。
「いい人だね」
「いい人だから先生のこともわかってるんだよ」
「ちゃんとね」
「それじゃあ先生もね」
「応えないとね」
「そうだね、是非ね」
先生は頷いてでした、日笠さんをお友達として応えようと思いました。そうしたお話をしてでした。
先生はお家ではテレビを観ました、すると。
時代劇の再放送で桜を観るとでした、すぐにこんなことを言いました。
「こうした時も桜はいいね」
「お侍と桜ってね」
ジップが最初に言いました。
「絵になるよね」
「江戸時代の街に桜吹雪があってもね」
チーチーは桜と一緒にある江戸の町を観ています、テレビの中にあるその奇麗な景色をです。
「抜群に絵になるね」
「何か桜って何時の時代の日本にも合ってるのかな」
ガブガブは首を傾げさせて言いました。
「やっぱり」
「いや、日本が桜に合わせてるのかな」
ホワイティはこちらではないかと考えました。
「何時の時代もね」
「だからどんな時代の建物も桜と一緒にあったら絵になるの?」
老馬はこう考えました。
「桜を意識して建ててるから」
「撮影にしても」
トートーはその桜の中の江戸の町を観ています、他の皆と一緒に。
「桜を意識してるね」
「それは間違いないわね」
ポリネシアが観てもです。
「桜をどんどん映してるし」
「桜が先か建物が先か」
ダブダブも考えています。
「そういうお話ね」
「人にしてもね」
「桜の方を先に出してないからし」
チープサイドの家族は人も観ています、テレビの中で時代劇の服を着て行きかっている人達をです。
「人じゃなくてね」
「そっちかしら」
「お花をクローズアップさせる時はあるけれど」
「桜以外にもね」
最後にオシツオサレツが言いました。
「けれど桜はね」
「日本では特にだね」
「やっぱりあれだね」
先生もテレビを観つつ言うのでした。
「日本は桜の国だね」
「桜が本当に好きで」
「もう咲いていたら絶対に前に出して」
「それで映えさせる」
「そんな感じね」
「うん、皆の言う通りにね」
本当にというのでした。
「桜の方が先かもね」
「人や建物が先じゃなくて」
「桜の方がなのね」
「自然の中にある桜が」
「それが主かしら」
「うん、桜はね」
このお花はというのです。
「そこまで凄いよ」
「日本ではね」
「そこまで重要な位置にあって」
「時代劇でもこうで」
「江戸時代でも」
「浅野内匠頭さんもそうだったし」
またこの人の名前が出ました。
「いつも桜がある」
「それで意識されてるのね」
「そうだね、僕も日本にいて」
先生にしてもです。
「桜が段々ね」
「心の中に入ってきていて」
「それでなのね」
「日本にいる」
「そうなってきたの」
「桜の中に」
「そうなってきたよ、桜があったら」
春、この季節にです。
「やっぱり前に出してしまうね」
「じゃあ先生も日本人になってきてる?」
「日本に入って」
「桜が好きになって」
「それで」
「そうなのかもね、これがサラならね」
先生の妹さんのこの人の場合は。
「また違うことを言うだろうね」
「サラさんは薔薇?」
「ガーデニングも好きだし」
「そうしたお花かしら」
「そうかもね」
「そうだね、サラならそちらになるし」
薔薇とかお庭のお花でというのです。
「お庭にあるだけだよ」
「いつも前に出すんじゃなくて」
「お花はお庭にあるもの」
「そこから出ることはない」
「そうした感じなの」
「振り向けばある、かな」
サラのお花はというのです。
「そうなるかな」
「成程ね」
「サラさんのお花はそうなの」
「日本人の桜とは違って」
「お庭にあって観ればあるのね」
「いつもあるんじゃなくて」
「うん、いいか悪いかじゃなくて」
そうしたお話でなくと、というのです。
「サラはそうかな」
「というか日本人が桜意識し過ぎ?」
「あまりにもね」
「春の一時期しか咲かないお花なのに」
「物凄く意識してね」
「何でも出して」
「撮影でも前に出して」
「そう、ここまで一つのそれも咲く時期が短いお花を意識するなんて」
どうにもというのです。
「日本人はね」
「かなりだよね」
「桜を意識してね」
「何でも桜で」
「他のお花もあるのね」
「二月は梅、三月や桃や菊、五月は皐や菫、六月は紫陽花や菖蒲とあるけれど」
それでもというのです。
「桜はまた別格だね」
「本当にそうね」
「何といっても」
「ふと道を見れば蒲公英もあって」
「蒲公英も愛されているけれど」
春、四月にはこちらのお花もあります。
「けれどね」
「桜は別格で」
「もう何処にも植えてあって」
「観るのを楽しむ」
「お花見っていったら桜だし」
「お菓子にもなって」
「あまりにも愛情が深いね」
日本人の桜への想いはというのです。
「だからサラがおかしいんじゃなくて」
「日本人が特別で」
「そう考えていいんだね」
「そういえばサラさん薔薇の手入れ忘れないしね」
「お仕事で忙しいのに」
「うん、サラはお庭が好きでね」
趣味の一つにガーデニングがある程です。
「将来はマープル夫人になるとも言ってるよ」
「あのちょっと意地の悪いお婆さん?」
「推理小説の」
「あの人みたいにっていうんだ」
「推理小説も読んでるしね」
ガーデニングだけでなくというのです。
「そちらもね」
「好きでなんだ」
「ああしたちょっと意地の悪い人になりたいのね」
「それで推理も出来る」
「そんな人に」
「そうみたいだね、シャーロック=ホームズにも憧れていたし」
子供の時のサラはそうだったみたいです。
「だからね」
「名探偵だね」
「そうした人になって」
「難解な事件をどんどん解決する」
「そうした人になりたいのね」
「そうみたいだね、しかしね」
ここで少し苦笑いになって言った先生でした。
「サラはマープル夫人かっていうと」
「ちょっと違うわね」
「少なくとも今は」
「あの人と同じで庭いじりが好きで編み物もだけれど」
「けれどあの人みたいにね」
「お婆さん猫みたいじゃないわ」
「猫なら若いお母さん猫だね」
先生が見る今のサラはです。
「年齢的にも」
「それでそのサラさんまただよね」
「日本に来るんだよね」
「それも今日来ていて」
「またお仕事のお話で」
「そうだよ、明日うちに来るよ」
そのサラがというのです。
「だからサラにも桜餅を食べてもらうよ」
「サラさん桜餅食べるかしら」
「日本のお菓子も」
「お茶は好きだけれど」
「そっちはどうかな」
「まずは出してみてだよ」
それからだというのです。
「反応を見よう、それじゃあね」
「うん、まずはね」
「それからだね」
「桜はまだ咲いてないけれどね」
「桜餅出してみようね」
動物の皆も先生に言います。
「そして出してみてね」
「サラさんの反応次第だね」
「他のお菓子も出してみよう」
「春のお菓子もね」
「そう考えているよ、あとね」
さらに言う先生でした。
「サラにも桜を観てもらいたいね」
「そうだね、イギリスにはあまりないし」
「そこは是非だね」
「サラさんには桜も観てもらいたいよ」
「是非ね」
皆で言います、こうしてサラのこともお話してでした。
そのうえで、です。先生はここでまた言いました。テレビを観つつ。
「アーサー王とかロビンフッドでは森は出るけれど」
「お花はね」
「ここまで出ないよね」
「桜吹雪の刺青とかも」
「発想の時点でないよ」
見れば今は遠山の金さんが放送されています、お白洲の場で金さんが見事桜吹雪の刺青を悪人達に見せています。
「アーサー王が薔薇の刺青?」
「ロビンフッドとかが」
「騎士や提督さんがそうするとかね」
「想像も出来ないよ」
「これも面白いね」
先生は金さんを観つつ腕を組んでいます。
「この人は実在人物だしね」
「あっ、そうなんだ」
「遠山の金さん実際にいた人なの」
「忠臣蔵はそうだって知ってたけれど」
「大岡越前、暴れん坊将軍、水戸黄門も」
「それで遠山の金さんもだったんだ」
「実際にお奉行だったんだ」
金さんはそうだったというのです。
「桜吹雪じゃなかったけれど刺青も入れていたそうだよ」
「へえ、刺青まであったんだ」
「本当にいただけじゃなくて」
「お奉行もしていて」
「そうしたこともなんだ」
「実際に名奉行でざっくらばらんとした性格で人気もあってね」
それでというのです。
「今も愛されているんだ」
「成程ね」
「金さんのこともわかったよ」
「先生本当に色々知ってるね」
「学者さんだけあるね」
「僕も調べていて面白かったよ」
金さんのことをというのです。
「金さん以外の人のこともね」
「時代劇も面白いんだね」
「実際にいた人達を扱っていて」
「それでだからね」
「ここまで面白く出来るんだから」
「じゃあ金さんのことも思いつつね」
そうしてというのです。
「桜を楽しみにしていようね」
「あれっ、桜吹雪じゃなかったのに?」
「実際には」
「それでもなの?」
「桜を楽しみにするの」
「そこはそれだよ」
笑って返した皆でした。
「時代劇の方の金さんってことで」
「ああ、そういうことだね」
「実際の遠山さんじゃなくて」
「時代劇の方の金さんを思って」
「それでだね」
「そうだよ、桜も観ようね」
和歌会、そしてお花見でというのです。
「いよいよね」
「うん、そうだね」
「いよいよ蕾も出て来たし」
「先生が言った通り」
「そうしようね」
皆もこう応えます、そしてでした。
先生達は金さんの一件落着の声を聞きました、そちらではもう桜は見事な満開の状況でした。
皆でほのぼのとお話を。
美姫 「のんびりとした日だったわね」
だな。歌会ももうすぐみたいだし。
美姫 「そろそろ桜も咲くかしら」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」
ではでは。