『ドリトル先生と沖縄の蛇達』
第十一幕 沖縄の動物園
ヒヤン達は本島に戻ってすぐに動物園の人に引き取られました、そしてその夜です。
動物の皆は先生と一緒に晩御飯を食べつつ先生に尋ねました。
「これで先生のお仕事は終わり?」
「沖縄でのそれは」
「それじゃあね」
「もう神戸に帰る?」
「いや、実はね」
先生は皆にお話をします、今日はそーきそばに足てびちにゴーヤチャンプル、ミミガーにラフテーといったものを沖縄のビールと一緒に楽しんでいます。
ビールを大ジョッキで飲みつつです、先生は答えました。
「明日動物園に行くんだ」
「ヒヤンさんやハイさん達が入った」
「その動物園になんだ」
「行くんだね」
「彼等のお家になるからね」
その動物園がというのです。
「だからね」
「どうしたお家なのか」
「チェックするんだね」
「そこに住んで大丈夫か」
「そういうことを確かめに」
「お話を聞くといい動物園みたいだけれど」
それでもというのです。
「その目で確かめる」
「百聞は一見に如かず」
「だからだね」
「先生自身でも観る」
「そうするんだね」
「特に爬虫類のコーナーをね」
そちらをというのです。
「観たいね」
「ああ、そのヒヤンさんやハイさん達が入っている」
「そこを詳しくだね」
「観てそして」
「大丈夫かどうか確かめたいんだね」
「そうなんだ、だからね」
それでというのです。
「明日はそこに行くよ、そして明後日にね」
「ここを経つんだね」
「長くて楽しい旅だったけれど」
「その旅も終わるんだね」
「そうなるよ、いや沖縄はね」
先生は皆に笑顔でお話しました。
「いい場所だったね」
「本当にね」
「先生にとっては最高の場所の一つだったね」
「学ぶべきことが沢山あって」
「学者さんには最高の場所だね」
「うん、独特の生態系に気候にね」
それにとです、先生はそーきそばを美味しく食べつつお話しました。まずは時間を置くとのびてしまう麺類から食べています。
「文化に歴史にって」
「色々あって」
「だからだね」
「楽しい場所だね」
「学ぶ人にとっては」
「そう思ったよ、機会があれば」
その時はというのです。
「また来たいね」
「そして学びたい」
「楽しみたい」
「そうしたいんだね」
「そう思ったし思っているよ」
今もというのです。
「またね」
「フィールドワークだね」
「それに励む」
「またここに来て」
「そうしたいよ、本当に思ったことは」
ここで先生がお話することはといいますと。
「沖縄は基地だけじゃないんだよ」
「基地しか言わない人いるからね」
ガブガブも先生に応えます。
「沖縄については」
「他に知らないのかな、沖縄のこと」
老馬もそこが不思議です。
「こんなに楽しい場所なのに」
「何かやたらウチナンチューが、って言う人いるけれど」
ジップも首を傾げさせています。
「平和とか言ってね」
「そうした人達って実は」
トートーが見ている分にはです。
「自分のことだけしか見ていない気がするよ」
「そうそう、何かね」
チーチーはトートーのその言葉に頷いて応えました。
「そんな感じだよね」
「民意とか言うけれど」
ホワイティも言います。
「自分と違う意見は聞かないし」
「基地の前で凄かったわね」
ポリネシアは自分の目で見たその光景を思い出しています。
「暴動みたいで」
「全然平和じゃなかったね」
「目でも合っていればどうなっていたか」
チープサイドの家族もこのことを指摘します。
「暴徒そのもので」
「凶暴だったわ」
「ああした人達って沖縄のこと知ってるのかな」
「基地以外のことに興味があるのかな」
オシツオサレツは二つの頭で考えています」
「先生みたいに」
「色々なものに興味あるのかな」
「何で基地しか言わないんだろう」
ダブダブはこのことを悲しくさえ思っています。
「こうして素晴らしいものが一杯あるのに」
「僕はそうしたことは好きじゃないから」
だからと言う先生でした。
「色々なものをね」
「沖縄の」
「そうしたものを」
「学んでいるんだね」
「今回もそうで」
「そうなんだ、本当にね」
さらに言うのでした。
「こんなに楽しく学べる場所なのにね」
「残念だよね」
「基地しか観ないっていうのは」
「生きものや文化とか」
「本当に素晴らしいところなのに」
「基地しか観ないのなら」
それこそというのです。
「来ない方がいいかもね」
「最初からね」
「沖縄には」
「そういうことしか観たくないのなら」
「最初から」
「そうも思うよ、基地だけじゃないってことはね」
心から思う先生でした。
「忘れたらいけないよ」
「全くだね」
「先生の言う通りだと思うよ」
「そんなことしか見られないのなら」
「来ても仕方ないし」
「そもそも楽しくもないだろうし」
「あの人達は何もわかっていないし」
先生はとても残念なお顔で言いました。
「何も見えていないんだ」
「基地のことすら」
「全く」
「僕はそう思うよ、僕は観光は好きだけれど」
それでもというのです。
「運動家じゃないからね」
「だよね、先生は運動家じゃないよ」
「学者さんだよ」
「何よりもお医者さんだよ」
「だからね、学者であり続けるよ」
絶対に運動家にはならないというのです、こうしたことをお話してでした。先生はこの日の夜の晩御飯も楽しみました。
そしてその次の日です、先生は動物の皆と一緒に動物園に赴きました。その動物園はといいますと。
アマゾンやオセアニア、そして何といっても沖縄の様々な生きもの達がいます、皆熱帯の生きもの達で。
「沖縄の気候をね」
「そのまま活かしていて」
「暑いところの生きものをね」
「集めてるね」
「うん、この動物園はね」
まさにとです、先生もお話をします。
「沖縄の亜熱帯の気候を活かして」
「こうしてだね」
「色々な生きものを集めてるんだね」
「暑い場所の生きもの達を」
「それで保護もしているんだね」
「そうした動物園なんだ」
まさにというのです。
「それで沖縄の生きものもいて」
「ヒヤンさんやハイさん達も」
「一緒にいるんだね」
「この中に」
「住んでいるんだね」
「そうなるんだ、これからね」
まさにというのです。
「それでなんだ」
「この動物園をだね」
「具体的にどうした場所か」
「細かい場所まで観て」
「確かめるんだね」
「うん、のどかでしかも」
先生は動物園の中を実際に見回しつつ言います。
「清潔だね」
「隅までね」
「そこにいる生きものことを考えていて」
「ちゃんとね」
「考えられて設計とかされているわね」
「動物は、人間もだけれど」
それこそともお話する先生でした。
「とても繊細だから」
「いつも注意しないといけないわね」
「八条動物園でもそうだけれど」
勿論水族館や植物園もです、皆生きていて繊細なのです。粗末に扱っていい生きものはこjの世にはないのです。
「細かいところまで注意して」
「大事にしないとね」
「さもないとね」
「よくないね」
「そうだよ、だからヒヤンやハイも」
彼等についてもです。
「大事にしてくれるか、そして」
「そして?」
「そしてっていうと」
「うん、彼等の生態のことは」
このことはというのです。
「動物園の人にお話をしないとね」
「そうそう、そのこともあるね」
「ちゃんとお話してくれないと」
「さもないと」
「ちゃんと飼育してもらえないかも知れないから」
「大事にしたいという情熱と」
それと一緒にというのです。
「ちゃんとした知識」
「その二つは欠かせない」
「絶対に」
「何があっても」
「そう、だからこそ」
それ故にというのです。
「動物園の人達にもお話をしないと」
「これまでは集めてね」
「それで来てもらって」
「動物園の人達にお渡しするだけだったけれど」
「それを」
「そう、生態系のことをね」
まさにこれのことをというのです。
「彼等から直接聞いて」
「そのうえで」
「動物園の人達にお話をして」
「そしてだね」
「しっかりとしてもらうんだね」
「そうだよ、そして彼等は」
ヒヤン、ハイ達はです。
「この動物園で暮らしてもらうんだ」
「ずっと」
「これからも」
「そうなってもらう為に」
「聞いてお話をするんだね」
「このことは極端だけれど」
ここで先生が前置きをしてお話をすることはといいますと、
「リュウグウノツカイはね」
「あの深海魚」
「八条水族館に剥製のある」
「凄く形の変わった深海魚」
「具体的なことは殆どわかっていない」
「若し彼等のことがわかっていれば」
その場合はといいますと。
「ひょっとしたらだけれど」
「水族館でも飼育出来る」
「それが出来るかも知れないんだ」
「生態系を知っていれば」
「そうしたことも」
「勿論飼育してからもね」
動物園、水族館等といった場所で。
「生態系をさらに知ることになるけれど
「まずはある程度の知識だね」
「それが必要ってことなんだ」
「その生きものの生態系のある程度の知識」
「それが」
「そういうことだよ、このことはどの生きものでも同じだよ」
それこそというのです。
「だから彼等のことを聞くんだ」
「そういえばヒヤンさんやハイさんって」
「ずっと実際にいるかとかすら言われてたし」
「わかっていることはね」
「少なそうだね」
「うん、謎が多い蛇だよ」
実際にそうだというのです。
「本当にね」
「だからだね」
「動物園に来てもらったけれど」
「その生態系も聞いて」
「それを動物園の人にお話するんだね」
「そうする為にも来たから」
先生はとても真面目で誠実な人です、ですから彼等を動物園の人達に預けてそれで終わりにはしなかったのです。
「是非ね」
「うん、じゃあね」
「是非ね」
「動物園の中を観て回って」
「それから」
「彼等のお話を聞くよ」
実際にとです、先生は答えてでした。
皆をr連れて動物園の中を隅から隅まで観てそうしてここなら大丈夫だと確信してからです、ヒヤンやハイ達のところに行きました。
そして彼等からです、直接お話を聞くのでした。
「皆のことを聞きたいけれど」
「僕達のことを?」
「そのことを」
「ここまで案内してくれたけれど」
「そのことも聞きたいんだ」
「そうだよ、じゃあね」
それならと言う先生でした。
「今からどうして暮らしているのか聞かせてくれるかな」
「うん、じゃあね」
「今からね」
「お話させてもらうね」
「僕達の詳しいことをね」
ヒヤン、そして二種類のハイ達もです。先生に応えて。
それでお話しました、そのお話は先生も他の誰も知らないことが実に多かったです。
先生は聞いたことをメモしていきます、そのうえで。
お話を聞き終えてメモし終えてから言いました。
「いや、有り難う」
「うん、これでね」
「全部お話することはお話したよ」
「これでいいかな」
「僕達のお話は」
「有り難う」
帽子を取って頭を深々と下げて応えた先生でした。
「このことは動物園の人達にもお話をさせてもらうよ」
「僕達の飼育係の」
「あの人達にだね」
「今は水槽の中にいるけれど」
「コーナーに移るらしいし」
「それからのことを」
「聞かせてもらったから」
生態系、それをというのです。
「だからね」
「うん、じゃあね」
「このことお話してね」
「そしてね」
「活かしてね」
「先生が」
「いやいや、僕は聞いて確かに学問に役立てるけれど」
それでもというのです。
「君達がここで暮らす為にね」
「必要なんだ」
「僕達自身の為になる」
「そういうものなんだ」
「そうだよ、だからね」
先生はヒヤン、そしてハイ達にお話します。
「聞いたんだ、このことを飼育係の人にお話をして」
「その人達が僕達のお世話をしてくれて」
「僕達のことを知ってくれて」
「だからだね」
「このことは大事なんだ」
「それで僕達自身に聞いた」
「そうだったんだ」
「そうだよ、じゃあ飼育係の人達にお話をさせてもらうよ」
こうしてです、先生はヒヤンそしてハイ達から聞いて書いたことを全てです、彼等の飼育係の人達にお話をしました。
この時にメモのコピーもお渡ししましたが。
そのメモを読んでです、飼育係の人達は驚いて言いました。
「これはまた」
「凄いことがわかりましたね」
「細かいところまで」
「ヒヤンやハイ達のことがわかります」
「こうした生態系だったのですね」
「そうだったのですね」
「はい、僕もです」
先生もお話します、飼育係の人達に。
「いい勉強をさせてもらいました」
「これは凄い発見です」
「ヒヤンやハイは謎の蛇でした」
「沖縄に生まれ育っている私達から見てもです」
「非常に珍しい蛇でして」
それでというのです。
「その生態は謎の部分が多かったです」
「それがここまでわかるとは」
「素晴らしいです」
「有り難いことです」
実にというのです。
「いや、本当に」
「これだけわかれば」
「飼育に困りません」
「凄く役に立ちます」
「是非です」
先生は飼育係の人達に笑顔で応えました。
「そうして下さい」
「そうさせてもらいます」
「実は我々も不安がありました」
「ヒヤンやハイ達をちゃんと飼育出来るか」
「このことがです」
「不安でしたが」
それでもというのです。
「先生が今教えてくれたことを活かして」
「そして育てていきます」
「この動物園で」
「そうしていきます」
「お願いします」
先生も動物園の人達に言います。
「彼等を宜しくお願いします」
「いえいえ、あれだけの彼等を連れて来てくれて」
「本当に感謝しています」
「とにかく稀少な蛇達ですから」
「何かと」
とにかくこのことがヒヤンやハイにとっては重要です、数がとても少なくて見ることすら稀ということはわかっていることも少ないということですから、彼等について。
「情報は少しでも必要です」
「彼等のことはこれからも学んでいきます」
「私達もそうしていきますが」
「まずは今先生に教えて頂いたことをです」
「活用していきますので」
「その様に」
先生は最後はにこりと笑って応えました、そしてです。
動物園の人達とお別れをして今は動物園を後にしました、そのうえで。
動物の皆にです、こんなことを言いました。
「これでかなりね」
「うん、ヒヤンさん達ハイさん達がだね」
「楽になったね」
「飼育係の人達があの蛇さん達のことがよりわかったから」
「沢山のことを先生達に教えてもらったから」
「だからだね
「そうだよ、本当にね」
心から言う先生でした。
「これで違うよ」
「動物園でだね」
「ヒヤンさんやハイさん達は増えていくんだね」
「その生活が学問の対象にもなって」
「知られていくんだね」
「そうなっていくよ、いや本当にね」
また言った先生でした。
「今回も無事に事態を進められてよかったよ」
「カワウソさんや狼さん達の時と一緒で」
「何とかね」
「よくね」
「お話が整ったね」
「今回も」
「うん、彼等が無事に保護されて」
そしてというのです。
「それからのこともね」
「何とかなる様に出来たから」
「本当によかったね」
「保護してからも問題だから」
「どうやって飼育していくか」
「そう、何もわかっていないと」
保護をしたその生きものことをです。
「どうしようもないからね」
「そうだよね」
「けれど今回もね」
「先生は保護してからのことも考えてくれて」
「それで動いてくれているから」
「何とかなるね」
「よかったよ」
「うん、本当にね」
また言った先生でした。
「最後の最後まで考えていかないと」
「動物は駄目だね」
「どんな種類の動物も」
「そうだよ、ただ」
ここでこの生きもののことを思い出した先生でした。
「ダイオウグソクムシ君はね」
「ああ、八条水族館の」
「まだ御飯食べていないらしいわ」
「もう全然」
「それでも平気だし」
「どういった身体の仕組みかしら」
「凄く謎だよ」
動物の皆も彼についてはこう言います。
「何ていうか」
「ずっと食べなくても平気とか」
「何年もって」
「有り得ないわ」
「ドクトカゲだとね」
アメリカやメキシコにいる生きものです、トカゲとしては大きくてそのお口の中にある牙は鋭くて沢山あります。
「何ヶ月もだけれど」
「それが何年もって」
「ちょっと以上にね」
「有り得ないけれど」
「どうにも」
「そうだよ、それがね」
何年もとなるとというのです。
「僕も不思議だよ」
「うん、ああしたこともあるんだね」
「最初からわからなくて」
「何年一緒にいてもわからない」
「そうした生きものもいるんだね」
「中には」
「彼とはお話をしたけれど」
先生にしてもです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「どうして食べないのか」
「グソクムシさん本人から聞いたけれど」
「何かね」
「よくわからない感じだったね」
「そうした生物だというけれど」
それでもと言う先生でした。
「普通は有り得ないから」
「何年も食べないことは」
「まずないんだね」
「そうだよ、本当に不思議だよ」
しみじみとして言う先生でした。
「ヒヤン君はハイ君達はね」
「そこまで不思議じゃないんだね」
「よくわかっていないだけで」
「それだけなんだね」
「そう、彼等はね」
ダイオウグソクムシとは違い、というのです。
「知られていないだけで普通の蛇とね」
「変わらない部分が多いんだね」
「あの人達のお話を聞くと」
「そうだったんだね」
「そうだったよ、だからね」
それでというのです。
「まだわかったよ」
「ううん、数が少ないから」
「わかっていなかっただけで」
「グソクムシさん達とはだね」
「違うんだね」
「そうだよ、それは何よりだったよ」
よかったというのです。
「だからね」
「うん、それじゃあね」
「後は動物園の人達がだね」
「頑張ってくれて」
「ヒヤンさんとハイさん達を育ててくれるね」
「そうしてくれるよ、後は」
これからのこともお話する先生でした。
「あの人達が頑張ってくれるよ、ただね」
「先生もだね」
「神戸に戻るけれど」
「それでもだね」
「何かあれば」
「すぐに沖縄に、しょっちゅうは行けないけれど」
それでもというのです。
「電話とかでね」
「相談出来るんだね」
「お話が出来るから」
「だからだね」
「何かあれば」
「うん、そうさせてもらうよ」
是非にと言う先生でした、そしてです。
先生は皆と一緒に喫茶店に入りました、三時になったのでティータイムを楽しみたくなったからです。先生の憩いの一時です。
その喫茶店でラスクとシュークリーム、ケーキの三段セットとミルクティーを頼みましたが先生は皆にこうも言いました。
「明日の十時、ここを発つ前はね」
「最後のティータイムだね」
「その時は」
「うん、沖縄のティーセットをね」
まさにそれをというのです。
「楽しもうね」
「最後の最後は」
「それをだね」
「楽しんで」
「そしてだね」
「ここを発つんだね」
「そうするからね」
是非にというのです。
「最後の最後にね」
「そうだね、最後はね」
「やっぱりそれだよね」
「沖縄のティーセット」
「それを楽しもうね」
「そうしようね」
是非にと言う先生でした、そのうえで。
今のティーセットを楽しみます、先生はシュークリームを食べてそうして紅茶を飲んでまた皆に言いました。
「この紅茶もね」
「うん、美味しいね」
「沖縄の紅茶も」
「いい味だよ」
「お水もいいし」
「そう、お水もね」
チーチーがその沖縄のお水について言います。
「沖縄はいいよね」
「大体日本はお水がいいけれど」
ガブガブもお茶を作っているお水を味わっています。
「沖縄のお水もいいわね」
「関東のお水はちょっと、な感じがするけれど」
ジップはそちらのお水のお話をしました。
「世界的には悪くないかな」
「むしろ関東のお水も」
ホワイティもその関東のお水のお話をします。
「イギリスのお水よりはずっと美味しいよ」
「というかイギリスのお水って」
「硬水の中でもね」
オシツオサレツはイギリスのお水のことを思い出しています。
「味がね」
「特によくないね」
「そこのお水と比べたら」
トートーが言いますに。
「日本のお水は何処も凄く美味しいよ」
「沖縄のお水も」
「こうして普通に飲めて」
チープサイドの家族も紅茶を飲んでいます。
「お茶にしても美味しい」
「氷にしてもね」
「氷にしても美味しいことは」
ポリネシアが言いますに。
「かなり大事だよね」
「美味しくないお水は氷にしてもね」
ダブダブも氷のお話をします。
「美味しくないんだよね」
「というかね」
最後に老馬が言います。
「お水ってそのままお料理にも関係するからね」
「そう、お水で洗って煮るから」
先生も応えます。
「お茶だけじゃないんだよ」
「そう考えると」
「沖縄もね」
「お水がよくて」
「本当にいい場所ね」
「日本は雨も多くて水源も豊かで」
湖や川が沢山あるからです。
「しかも土壌がいいから」
「お水が美味しい」
「そうなんだね」
「尚且つ一杯ある」
「そうした国ってことね」
「空気と水と安全はただ」
先生はこうした言葉も出しました。
「こうした言葉もある国だしね」
「安全はね」
「やっぱり用心しないとだけれど」
「確かに治安のいい国だけれど」
「それでも」
「お水はね」
本当にこちらはとです、皆も言います。
「本当に沢山あって」
「しかも美味しいわ」
「水道水でもだよ」
先生はこちらのお水のお話もしました。
「普通に飲めるね」
「カルキが気になるなら一旦沸騰させて」
「それで冷ましてから飲めばいいし」
「カルキを飛ばして」
「それだけでいいから」
「お店でお水を買わなくていいことは」
欧州ではこうしたことも多いのです、日本でもお水を売っていますがこれは美味しいお水を飲みたいことが理由です。
「嬉しいことだよ」
「このこともね」
「いや、素晴らしいよ」
「お水が美味しくて沢山あるって」
「このこと自体が」
「お風呂に入っても」
先生はこちらの楽しみのお話もしました。
「いいお水だとね」
「気持ちがいい」
「お水の質がいいと」
「お肌にも合って」
「それでいいわよね」
「うん、皆の毛にもね」
羽毛も含めてです。
「いいしね」
「そういえば日本に来て」
「僕達もお風呂に入ることが増えたけれど」
「シャワーで済まさずに」
「身体もあったまってほぐれて」
「しかも毛の質もよくなったわ」
「いいお水で身体を洗ってあったまっているからだよ」
先生は皆がそうなった理由についてもお話しました。
「だからね」
「毛並みもよくなった」
「そうなのね」
「いいお水に浸かったりして」
「それで」
「そうだと思うよ、いいものも食べてるしね」
このことも当然大きいです。
「栄養のあるものをバランスよくね」
「先生の生活が安定して」
「収入がずっとよくなったから」
「イギリスにいた時とはうって変わって」
「そうもなったしね」
「ははは、そのこともあるね」
ケーキを食べつつ笑った先生でした。
「言われてみれば」
「そうそう」
「イギリスにいた時は患者さん全然来なかったから」
「収入もね」
「困った感じだったしね」
今は大学教授で確かな収入があります、本も出してそちらも売れています。先生の生活も変わったのです。
「それで僕達もね」
「今みたいにいいもの食べてないし」
「それでね」
「そっちのことでもね」
「そうだね、しかも日本は栄養バランスのいい食事が多いから」
日本人の考えも影響してです。
「結果的にね」
「そちらからもね」
「健康になって」
「それでね」
「毛並みもよくなってるね」
「そうなるね、いや日本に来て」
それでというのです。
「よかったよ」
「お水もいいし」
「こうしてお茶を飲んでもね」
「美味しくて」
「素敵だよね」
「本当にね、じゃあ今夜も」
そちらのお話もするのでした。
「飲んで食べて」
「そのうえで」
「楽しむんだね」
「今夜はバイキングだよ」
ビュッフェというのです。
「勿論沖縄のお酒も一緒だよ」
「泡盛だね」
「それかビールだね」
「泡盛かな、氷を入れて」
ロックにしてというのです。
「飲むよ」
「泡盛もいいし」
「これも沖縄のお水がいいから」
「だからお酒も美味しい」
「そういうことだね」
「そう、いいお水はいいお酒も造るんだ」
お茶もお料理もです。
「そういうことになるからね」
「じゃあね」
「今はお茶を楽しんで」
「そしてだね」
「お酒もだね」
「楽しむんだね」
「そうなるよ」
ラスクも食べましたが砂糖をまぶしてあってとても甘いです。
「夜も楽しみだよ」
「沖縄も楽しかったね」
「今日まで色々あって」
「色々見て食べて回って楽しんで」
「凄くよかったわ」
「うん、沖縄もよかったよ」
先生の言葉は今はしみじみとしたものになっています。
「じゃあまたね」
「機会があれば」
「その時はだね」
「また沖縄で」
「楽しむのね」
「そうしようね、皆で」
笑顔で言う先生でした、そして。
夜はそのビュッフェを楽しんでからお外で夜の散歩をしていますと。
夜空からです、先生に声がしてきました。
「ドリトル先生かしら」
「誰かな」
「蝙蝠よ」
先生達はホテルでビュッフェを食べて今は繁華街の中を歩いていましたが繁華街のお店の屋根にです。
蝙蝠が逆さで止まりましたがその大きさは。
「うわ、オオコウモリさんなんだ」
「蝙蝠さんっていっても」
「大きいね」
「凄いね」
動物も皆もその蝙蝠を見てびっくりです。
「そういえば沖縄にもね」
「蝙蝠はいるね」
「蝙蝠さん達は世界中にいるけれど」
「日本にもね」
「そうだよ、彼女はね」
先生は声から蝙蝠の性別がわかりました。
「オオコウモリだね」
「そうよね」
「普通の蝙蝠さんじゃなくて」
「そちらの種類ね」
「そうね」
「うん、日本では沖縄と小笠原諸島にね」
この二つの地域にというのです。
「オオコウモリはいるんだ」
「だから僕達の前にも出て来た」
「そうなんだね」
「今ここで」
「そうだよ、ただ食べるものはね」
オオコウモリ達のそれはといいますと。
「蜜とかだから」
「それで大人しい」
「怖くないのね」
「そうなのね」
「そうよ、別にあんた達に何かをするつもりはないから」
オオコウモリの方もこう言います。
「安心してね」
「うん、それじゃあね」
「安心させてもらうよ」
「是非ね」
「そうさせてもらうわ」
「ええ、私は先生が沖縄に来たって聞いて」
そしてというのです。
「挨拶をしに来ただけだから」
「だから余計になんだ」
「安心していい」
「そういうことで」
「そうよ、いや先生にお会いしたかったけれど」
それでもというのです。
「中々お会い出来なくて困っていたのよ」
「それがだね」
「こうしてお会い出来て」
オオコウモリは先生を見て笑顔になっています、そのお顔は何処か人間にも似ているそうした不思議なお顔です。
「何よりよ」
「僕に挨拶しに来たんだ」
「ええ、一度お会いしたいと思っていてたし」
このこともあってというのです。
「それで夜探していたら」
「今だね」
「お会い出来たのよ」
こうお話するのでした、先生に。
「だから嬉しいわ」
「僕に会いに来ただけなんだ」
「そうよ、お顔を見たくて」
ただそれだけというのです。
「本当にね」
「ううんと、何処か悪いとかは」
「そういうのじゃないの」
そこは断るのでした。
「別にね」
「本当に会いに来ただけなんだね」
「そうよ、いや確かにね」
「確かに?」
「穏やかでいい人ね」
先生はというのです。
「見てもわかるわ」
「そうそう、凄くいい人だよ」
「こんないい人いないわよ」
「先生みたいないい人はね」
「他にいないから」
動物の皆もオオコウモリにお話します。
「凄くね」
「僕達も一緒にいて幸せだよ」
「こんないい人いないから」
「優しくて穏やかで」
「紳士だよ」
「本当の意味でも紳士だよ」
「そうでありたいね」
先生ご自身の言葉です。
「僕も」
「ここでこう言う人だよ」
「ここからもわかるよね」
「先生は紳士なんだ」
「誰よりもね」
まさにとです、動物の皆もお話します。
そしてです、オオコウモリも頷くのでした。
「わかるわ、しかも」
「しかも?」
「私顔相もわかるけれど」
「そうなんだ」
「ええ、先生の相はかなりいいわ」
その顔相を見ての言葉です。
「いつも皆に慕われて愛されていて」
「有り難いことにね」
「学問にも励むことが出来て」
「神様のご加護でね」
「信仰心も備えているわね、凄く徳があるわ」
オオコウモリは先生ご自身にお話します。
「女の人にも人気があるわね」
「いや、それはないよ」
先生はオオコウモリの今の言葉には少し苦笑いになって返しました。
「僕は女の人からは人気がないよ」
「あら、声をかけられてるでしょ」
「君が言うのはもてるってことだよね」
「そうよ」
「お友達でいてくれてる人は多いよ」
女の人のです。
「けれどね」
「それでもなの」
「そう、もてるってことはね」
「ないっていうの」
「生まれてからそんなことは一度もなかったよ」
「あら、不思議ね」
オオコウモリは逆さになっている蝙蝠の休んでいる姿勢でそのうえで首を傾げさせてそのうえでこう言ったのでした。
「こんなにもてる人滅多にいないのに」
「いやいや、そればかりはないから」
「そうなのかしら」
オオコウモリはこのことには首を傾げさせました、そしてさらにお話をしようと思ったのですがそれでもです。
首を戻してさらにお話をしようとしましたが。
「おい、いいか?」
「あら、あなた」
別のオオコウモリが来てです、隣に停まったうえでオオコウモリに声をかけてきました。
「どうしたの?」
「子供達が呼んでるぞ」
「何か用なの」
「蜜のことで聞きたいことがあるらしくて」
「それでなの」
「来てくれるか」
「わかったわ、じゃあ先生」
先生にです、オオコウモリはお顔を戻して言いました。
「また機会があったら」
「会おうね」
「先生ってこの人がドリトル先生か」
「そうよ」
オオコウモリはご主人にもお話しました。
「この人がね」
「あの有名な、そうか」
「お会い出来てどう?」
「いやいや、思わぬ出会いだけれど」
それでもというのです。
「嬉しい出会いだな」
「そうでしょ」
「じゃあ先生」
ご主人も先生に笑顔で応えます。
「また縁があったら」
「うん、宜しくね」
ご主人にも挨拶を返した先生でした、そのうえで飛び去る夫婦を動物の皆と一緒に手を振って別れの挨拶を交わしましたが。
その後で、です。先生はこんなことを言いました。
「まあ僕がもてることはね」
「はいはい、それはね」
「全く以てね」
「僕達と先生の意見は違うから」
「これ以上は言わないわ」
呆れて返す皆でした。
「こんな調子だと」
「皆困るわ」
「自分のそうしたことには気付かないから」
「悪いことは気付くのに」
ご自身の短所にはです。
「やれやれよ」
「本当にどうしたものか」
「いつも春と一緒にあるのに春には気付かない」
「困った人よ」
こうしたことも言うのですが。やっぱり気付かない先生でした。
動物園に行ったヒヤンとハイに会いに行って。
美姫 「そこで聞いた話を飼育員さんへ」
これほど確かな情報はないよな。
美姫 「そうよね。これで先生の沖縄でのお仕事もお終いね」
無事に終わったようで何よりだ。
美姫 「後は帰るだけかしら」
かな。次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」