『ドリトル先生と沖縄の蛇達』




                 第五幕  先生の論文

 この日は先生が学会で論文を発表する日でした、先生は朝からその用意をホテルの中でしています。その先生に動物の皆が言います。
「忘れものないようにしてね」
「論文はちゃんと持った?」
「参考資料は?」
「他にも忘れものない?」
「ちゃんとチェックした?」
「うん、したよ」
 実際にと答えた先生でした。
「皆の言う通りね」
「ハンカチもだよ」
「後お財布もね」
「そうしたものも忘れないでね」
「ちゃんと全部ね」
「何か皆に言われてね」 
 用意をしながら少し苦笑いになった先生でした。
「こうしていくのが僕だね」
「本当に先生はうっかりしてるから」
「日常の生活はからっきしだから」
「世事のことには疎いし」
「僕達かサラさんがいないとすっかり駄目だから」
「ちゃんと言わないとね」
「私達がね」
 先生が本当に気になってなのです。
 先生に皆で言うのです、そしてです。
 先生は皆の言う通り持って行くべきものを全部用意しました、むしろ皆がチェックして先生に教えてあげた位です。
 そのうえで、です。先生は用意を全部整えて言いました。
「じゃあ行って来るよ」
「頑張ってね」
「先生の論文の評判楽しみにしてるよ」
「先生そっちはいいからね」
「学問のことは」
「今回の論文はね」
 先生は自分で鞄を持ちつつ皆に応えました。
「環境のことだけれど」
「何処の環境かな」
「沖縄の環境なのはわかるけれど」
「一体何処かな」
「沖縄の何処のこと書いたのかな」
「森だよ」 
 沖縄の、というのです。
「沖縄の森のことを調べてね」
「そしてなんだ」
「それを論文として書いてだね」
「発表するんだね」
「そうなんだね」
「そうするからね」
 また言った先生でした。
「今日これから」
「じゃあセンターの入口まで一緒だから」
「僕達入口で待ってるね」
「涼しい場所で集まって寝ながら」
「待ってるね」
「うん、休んでる時はね」 
 まさにと答えた先生でした。
「そうしていてね」
「寝て待つ」
「暑い時は特にだね」
「寝て休む」
「これがいいよね」
「シェスタだね」
 先生は笑って南欧の風習をお話に出しました。
「つまりは」
「午前中だけれどね」
「それを楽しんでおくよ」
「そして先生を待っておくから」
「気楽にね」
「僕はお昼寝はしないけれど」
 先生はそうしたことはしません、お昼は三時に絶対にティータイムを楽しむことにしているのでお昼寝はしないのです。
「だからね」
「よし、それじゃあね」
「皆で待っているから」
「皆一緒にね」
「そうしているから」
「僕は学問を楽しんでくるよ」
 先生が大好きな、です。
「じゃあね」
「お昼御飯は一緒にね」
「食べようね」
 こうお話してでした、皆は朝御飯も食べてそしてでした。
 ホテルを出てセンターに行きました、そのセンターに入ってです。皆は先生に対して涼しいセンターの端に集まって言いました。
「僕達ここにいるね」
「先生を待っている間寝ているから」
「それじゃあね」
「安心してね」
「よし、じゃあね」
 先生は皆に笑顔で挨拶をしてホールの中に向かいました、そこで安座間さんとお会いしましたが安座間さんにも聞かれました。
「何の論文でしょうか」
「はい、沖縄の森についての」
「環境の論文ですね」
「沖縄の緑も豊かですね」
「そうなんです、ですが」
「その保全にはです」
「注意が必要です」 
 安座間さんも先生に応えます。
「少しでも油断しますと」
「森は破壊されます」
「そのことをですね」
「論文に書かせてもらいました」
「これからどうすべきかも」
「そうです、沖縄の草木は日本の他の地域のものとは違います」
 このこともお話した先生でした。
「ですからそのことも踏まえて」
「論文を書かれましたか」
「その地域それぞれの森があり」
「それぞれの保全の方法がですね」
「ありますので」 
 だからこそ、というのです。
「考えて書かせてもらいました」
「沖縄の森ですか」
「沖縄の気候、沖縄の草木」
「そうしたものも」
「そうです、では」
「今日それを発表されますね」
「そうさせてもらいます」 
 先生はご自身の鞄を手にお話します、そしてでした。
 先生は安座間さんと一緒にこの日の学会に参加してご自身の発表も行いました。そのうえで一旦安座間さんとお別れしてです。
 動物の皆のところに向かいました、皆は寝ていましたが。
 先生が近付くとすぐに一斉に起き上がって先生に声をかけました。
「終わったみたいだね」
「今日の学会はこれで終わりだね」
「じゃあ後はだね」
「またフィールドワークだね」
「そうだよ、皆よく待っていてくれたね」
 笑顔で皆に言う先生でした。
「そしてよく寝ていたね」
「うん、何かね」
「暑いからね」
「涼しい場所に入るとね」
「気持ちよくなってね」
 それでとです、皆は先生に答えます。
「ついついね」
「ぐっすり寝ちゃうよね」
「僕達基本よく寝るけれど」
「こうした時はね」
「特に寝るよね」
「今みたいに」
「暑い場所から涼しいクーラーの効いた場所に入ると」
 それだけでとです、先生も言います。
「それだけで気持ちよくなってね」
「ぐっすり、ってなるね」
「もうそれだけでね」
「いや、気持ちよかったよ」
「だからさっきまで寝てたよ」
「皆でね」
「それは何よりだね、じゃあ今からね」 
 先生は気持ちよく寝ていてそして気持ちよく起きた皆にさらに言いました、
「お昼を食べに行こうね」
「それでだけれど」
「論文はどうだったの?」
「沖縄の森の環境についての論文」
「そっちはどうだったの?」
「先生のお仕事は」
「好評だったよ」
 肝心のそれもとです、笑顔で答えた先生でいsた。
「よかったよ」
「それは何よりだね」
「やっぱり肝心のことが出来たら最高の気持ちになれるよね」
「まあ先生だからね」
「そっちは大丈夫だと思っていたけれど」
「それじゃあね」
「よかったわね」 
 動物の皆も笑顔で応えます、そしてです。
 ここで、です。ポリネシアが言うのでした。
「まあ先生だからね」
「論文は安心していたんだ」
「ええ、完全にね」
「先生は学問については万全だから」
 ホワイティもそこは言います。
「安心していたよ、皆ね」
「先生はこと学問については最高だから」
「安心出来ていたわ」
 チープサイドの家族もこのことは同じでした。
「しかも油断も慢心もしないから」
「私達も心配していなかったわ」
「心配だったのは忘れもの」
「これだったんだ」
 オシツオサレツは朝のことをお話します。
「本当に世間知らずだから」
「忘れものが心配だったんだ」
「けれど忘れものもなかったから」
 トートーもにこりとしています。
「これで成功は約束されていたね」
「ただ、凄いのはね」
 ジップがこう言うことの対象はといいますと。
「先生って色々な学問の論文が書けるよね」
「前は文学だったかな」 
 ダブダブは先生が前に参加した学会のことをお話します。
「日本の近代文学の」
「そして今回は環境ね」 
 ガブガブも言います。
「相変わらず何でも学ぶのね」
「しかも楽しく」
 チーチーも言います。
「むしろ楽しんでるから何でも出来るんだね」
「学問は楽しむこと」
 最後に老馬が言いました。
「あらゆる学問をだね」
「いや、今回の論文もね」
 先生ご自身も応えます。
「最後まで出来てよかったよ」
「それじゃあね」
「その満足感を胸に抱いたまま」
「お昼を食べようね」
「それじゃあね」
「これからね」
「さて、今日はね」 
 今日食べる御飯のこともお話する先生でした。
「ベースに行こうか」
「ベース?アメリカ軍の」
「そっちに行くんだ」
「そうするの」
「そうだよ、実はね」 
 そのアメリカ軍のお食事のこともお話する先生でした。
「アメリカ軍の食事は安くて美味しいんだ」
「あっ、そうなの」
「自衛隊さんは知ってるけれど」
「自衛隊のカレー美味しいわね」
「あれはね」
「そしてアメリカ軍の食事はね」
 こちらのことをまたお話した先生でした。
「一人当たり千円以下でね」
「日本円にして」
「そのうえで」
「食べられるんだ」
「安いわね」
「それもビュッフェでね」
 この形式でというのです。
「お肉もお野菜もデザートも芋料理もね」
「千円以下でなの」
「好きなものが好きなだけ食べられる」
「そうなの」
「それは凄いわね」
「それを食べに行こう」
 今日のお昼はというのです。
「きっと楽しめるよ」
「よし、それじゃあね」
「これからベースに行ってだね」
「そして食べようね」
「アメリカ軍のビュッフェを」
「これは横須賀でもなんだ」
 この街にあるベースでもというのです。
「あそこには海軍さんの基地があるね」
「うん、かなり大きな基地があるよ」
「海自さんの基地や防衛大学もあるけれど」
「アメリカ海軍の基地もあるね」
「沖縄と同じで」
「アメリカ軍は食事については」
 先生はこちらのこともお話します。
「物凄いんだ」
「むしろお食事も?」
「そっちもなのかな」
「アメリカ軍は強いしね」
「装備もいいし」
「そしてお料理もいい」
「そうなんだね」
「いや、それを考えたら」
 先生がここでまた言うことはといいますと。
「イギリス海軍はね」
「うん、お料理でもだね」
「負けてるんだね」
「そっちも」
「まずいんだね」
「日本に来て自衛隊の食事も食べたよ」 
 自衛隊のことも学んでいる先生です、お食事のことも含めて。
「するとイギリス軍よりも美味しくて」
「アメリカ軍はだね」
「その自衛隊よりも美味しい」
「そうなんだね」
「僕が知っている限り一番だよ」
 アメリカ軍の味はというのです。
「軍隊の中ではね」
「それじゃあだね」
「今から皆で食べに行こう」
「アメリカ軍のベースまで行って」
「そのうえで」
「そうしようね、ただ」 
 ここでこうも言った先生でした。
「ベースの前にいる平和平和と言う人達はね」
「無視するんだね」
「そうした人達は」
「あえて無視して」
「通り過ぎるんだね」
「ああした人達は相手にするだけね」
 反論するなりしてもというのです。
「無駄というか危ないから」
「暴れてるから」
「凶暴だからだね」
「確かにテレビで観てると凶暴だし」
「近寄ったら駄目だね」
「会話も出来そうにないから」
 このことはとても残念なお顔でお話した先生でした。
「平和になって平和を守る為にどうするのか」
「それがお話出来ればだね」
「いいけれど」
「それが出来ない人達だから」
「あくまで自分達だけの人達だから」
「だからだね」
「反論したら何するかわからない人達だから」
 本当にそうした人達だからです。
「殴られたりするかも知れないかな」
「何でかな」
「平和っていいながらあそこまで凶暴なのかな」
「人の話を聞かないで」
「自分達だけの主張ばかりで」
「他は認めないのかしら」
「そうした人達もいるからね」
 世の中には、というのです。
「だからそうした人達だと思って」
「最初から近寄らない」
「それで僕達はだね」
「お食事を楽しむ」
「そうするのね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「じゃあいいね」
「行きましょう、皆で」
「ベースの美味しいお食事を楽しみに」
「これからね」
「お酒も売ってるから」
 こちらのこともお話した先生でした。
「僕はこちらも楽しむよ」
「楽しみ方はそれぞれ」
「ベースについての考えもそれぞれ」
「食べに行ってもいい」
「そういうことね」
「その通りだよ」
 先生は皆に笑顔で言いました。
「じゃあね」
「うん、アメリカ軍のベースに行って」
「そうして食べようね」
「皆で」
 動物の皆も応えてです、先生達はアメリカ軍のベースまで行きました。確かにフェンスのところでは大勢の騒いでいる人達がいました。
 その人達を見てです、ダブダブは言いました。
「今日平日なのに」
「あっ、そういえばそうだね」
 ホワイティも応えます。
「お昼なのにね」
「あの人達いるね」
「しかも案外少なくない?」
 チーチーはその人達の数を見ました、基地の門の近くのフェンス、基地とこちら側を分けているそこの前で騒いでいる人達を。
「いつもテレビじゃ大勢いるって言ってるけれど」
「しかも沖縄の言葉の訛りじゃない人多いね」
「そうよね」 
 チープサイドの家族はこのことに気付きました。
「本州の方の言葉?」
「関東の人達多くない?」
「あの人達平日のお昼に沖縄以外から来てるんだ」
 ジップはこのことを理解しました。
「お仕事は?」
「ここに来るだけでも運賃とかかるよ」
 トートーはこのことを指摘しました。
「お仕事休んでお金出してきてるのかな」
「何かプラカードとか赤いしあの人達の服装も」
 そうしたものを見てです、老馬が言うことは。
「原発反対とか戦争反対とか安保とか慰安婦とか」
「そういうデモに出てる人そっくりね」
 ポリネシアも気付きました。
「というか一緒の人達?」
「いつもデモやってるのかな、あの人達」
「あちこちで」
 オシツオサレツも気付きました。
「それがお仕事?」
「デモするお仕事なんてあるの?」
「だとしたら変な人達ね」 
 最後にガブガブが首を傾げさせました。
「そうだとすると」
「あっ、言ったけれど」
 先生はあえてです、ロンドンの下町の言葉であるコックニーを早口で使ってその人達にわからない様に動物の皆に言いました。
「観ない方がいいよ」
「何観てるってこっちに来て」
「何してくるかわからないから」
「だからよね」
「観ない方がいいのね」
「早くベースの中に入ろう」
 その人達を観ないで、というのです。
「そうしようね」
「それじゃあね」
「早く中に入って」
「それからよね」
「あの人達のことも話すからね」
 コックニーでお話を続ける先生でした。
「じゃあ行こうね」
「うん、じゃあね」
「ベースに入ろう」
「今からね」
 皆も応えてでした、そのうえで。
 皆でベースの中に入りました、そして先生は皆にあらためて言いました。ベースの中はとても広くて色々な建物があります。
「皆の言う通りね」
「あの人達沖縄の人達じゃない人多いよね」
「しかも平日のお昼に集まって」
「どういう人達?」
「何をしている人達なの?」
「プロ市民とかいうらしいんだ」
 皆にこの名前を教えるのでした。
「ああしてデモとか抗議活動とかしてるけれど」
「平日のお昼から」
「それがお仕事?」
「そうなの」
「どうして生計を立てているかは」
 それはといいますと。
「僕も知らないんだ」
「何か見る限りだと」
「変な人達だよ」
「胡散臭いっていうか」
「怪しい人達よね」
「僕は何度も言うけれど」
 自分のお考えについても話す先生でした。
「平和が最高にしてもね」
「軍隊も必要で」
「そして人それぞれの考えがある」
「そのことも認めることが大事で」
「反対する人達に暴力を振るってはいけないよね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「そうすることが大事でね」
「ああして抗議したりするのは」
「先生のやり方じゃないよね」
「先生デモとかには参加しないし」
「そこはしっかりしてるわね」
「デモに参加するよりも」
 先生の場合はです。
「やっぱり僕は本を読んで論文を書いて」
「講義に出てね」
「手術や実験をしてね」
「学問に励む」
「研究にも力を入れて」
「そうすることがね」
 まさにというのです。
「僕だから」
「それでよね」
「先生はああしたことはしないのね」
「先生は学者さんだから」
「学問に励むのね」
「選挙には行くけれど」
 ちなみに先生は今も国籍はイギリスです、ですからイギリスの選挙には日本から投票をしているのです。
「それでも積極的に関わることはね」
「しないね」
「政治学は専門じゃないし」
「そっちについてはね」
「先生は専門外よね」
「うん、法学は学んでいるけれど」
 こちらの学問には励んでいてもです。
「政治学、それに経済学はね」
「専門外で」
「言うこともないね」
「これといって」
「何かあの人達にはどうかと思うけれど」
 それでもというのです。
「僕は政治にはね」
「選挙に行くだけで」
「他のことはしない」
「そういうことね」
「これまで通り
「そうだよ、じゃあね」
 ここまで話してです、そしてでした。
 先生達はレストランのある建物に行きました、場所は門のところで警護をしている兵隊さんに教えてもらいました。 
 レストランの中に入るとです、実際にでした。
 お肉やお野菜、お芋のお料理にパンがコーナーにビュッフェ方式で用意されていてパンも果物も他のデザートも一杯あります。動物の皆はそれを見て先生に言いました。
「あっ、実際にね」
「ビュッフェであるね」
「お料理の種類もかなり多いね」
「しかも量も多くて」
「パスタもあるじゃない」
「特に肉料理が充実してるよ」
「アメリカだから」
 アメリカ軍のベースの中のお店だからというのです。
「それでね」
「ああ、お肉をよく食べる国だから」
「それでなんだ」
「肉料理が充実している」
「そうなのね」
「そうだよ、じゃあね」
 あらためて言った先生でした。
「これからね」
「うん、食べようね」
「お酒も注文して」
「そのうえで」
「お酒はワインにするよ」
 先生がこの時選んだお酒はこれでした。
「これを集めて」
「そしてだね」
「お酒を飲みながらね」
「お食事を楽しもうね」
「こうしたことも楽しむ」
 先生は目を微笑まさせて述べました。
「僕はそれでいいと思っているよ」
「そうね、ただね」
「お肉の料理は多いけれどね」
「お魚はないわね」
「そちらのお料理は」
「アメリカだからね」
 またこう答えた先生でした。
「お魚よりも」
「お肉だね」
「牛肉や豚肉、鶏肉だね」
「アメリカだから」
「うん、じゃあお肉を楽しもう」
 こちらのお料理をというのです。
「お魚は夜かな」
「沖縄のお魚だね」
「夜はそちらを楽しんで」
「今はお肉」
「アメリカ軍のお料理だね」
 皆も応えてです、そしてでした。
 皆は席に着いて先生はワインも注文してでした、ビュッフェのコーナーに行ってサラダや野菜スープに野菜料理にです。
 肉料理、ハンバーグやローストビーフ、ステーキを食べました。牛肉や豚肉だけでなく羊や鶏の肉もです。
 そうしたものにマッシュポテトやフライドポテト等の芋料理、パスタもあればパンもありますが。
 動物の皆は食べてです、目を丸くさせて言いました。
「あっ、これは」
「美味しいね」
「それもかなりね」
「味付けいいわ」
「焼き加減、煮加減も」
「どれも」
「アメリカ軍は食事もいいんだ」
 先生はソーセージを赤ワインと一緒に楽しみながら言いました。
「この通りね」
「アメリカのお料理はどうかっていう人いるけれど」
「美味しいよね」
「ハンバーガーにしてもね」
「美味しいよ」
 見ればハンバーガーもありますがそちらも皆は食べています。
「イギリスよりはずっとね」
「イギリス軍のお食事よりいいよね」
「勿論自衛隊よりもいいね」
「そうだよね」
「自衛隊は質素だからね」
 先生は自衛隊についてはこう言いました。
「食事についても」
「こうはいかないんだ」
「福利厚生とかがだね」
「アメリカ軍程凄くない」
「充実していないんだ」
「アメリカ軍は別格だよ」
 まさにというのです。
「やっぱり予算が違うから」
「こうしたお店もあって」
「美味しいものも食べられるんだ」
「自衛隊やイギリス軍と違って」
「そうなんだね」
「食べるものはね」
 それはというのでした。
「やっぱり美味しくないとね」
「そうだよね」
「美味しくないとね」
「食べるのなら」
「それもお腹一杯ね」
「自衛隊の人達から見ると」
 先生は食べつつこの人達のことを思うのでした、フォークとナイフを丁寧に使ってワインも飲みながらです。
「こんなお店があるなんて夢みたいだろうね」
「しかも安く食べられて」
「お酒だってね」
「こうして飲めるし」
「全然違うね」
「美味しいよ、ワインも」
 こちらのこともお話した先生でした。
「こちらもね」
「そうなんだ」
「こっちも美味しいから」
「余計にだね」
「自衛隊の人達から見たら」
「夢みたいなのね」
「バーもあるけれど」
 ベースの中にはです。
「こちらも安くてね」
「そっちもなんだ」
「安くて美味しい」
「しかもサービスがいいんだ」
「アメリカ軍はね」
 この国の軍隊はというのです。
「そうした軍隊なんだ」
「強いだけじゃなくて」
「こうしたことも充実してる」
「そうなんだね」
「そうしたことを知ることもね」
 そうしたこともと言う先生でした。
「いいと思うんだけれど」
「まああの人達よりはいいよね」
「ああして騒いで暴れてるだけの人達よりは」
「先生は健全だと思うよ」
「他の人の意見も聞くしね」
「百人いればね」
 それこそというのです。
「百人の考えがあるからね」
「それをどうこう言うことはね」
「よくないよね」
「自分と違う意見でも」
「反対して黙らせようとか」
「よくないことね」
「僕はそう思うから」
 だからというのです。
「今もこうしてね」
「楽しんでるんだね」
「食事を楽しむ」
「アメリカ軍の」
「そうしてるんだ、けれど」 
 先生は食べつつ少し苦笑いになって言いました、どうしてそうなったかといいますと。
 皆と囲んでいるテーブルを見てです、こう言ったのでした。
「ちょっと持って来過ぎかな」
「うん、ちょっとね」
「美味しいからっていってね」
「それでもね」
「持って来過ぎたかな」
「幾ら何でも」
「そうしたかな」
「持って来たからには全部食べないといけないから」
 だからというのです。
「皆でね」
「うん、食べようね」
「頑張ってね」
「何でも残さず食べる」
「勿体ないから」
「ワインもね」
 先生はお酒も見ました、二本目になっています。
「全部飲んで」
「最後はデザートね」
「それも食べないと」
「絶対に」
「そう、全部食べて」
 そしてというのです。
「それからね」
「お店を出て」
「そしてだね」
「また観光を楽しむのね」
「沖縄を」
「そうするよ」
 これからもというのです。
「食べて観てね」
「楽しんで学ぶ」
「そうするんだね」
「そうしていこうね」
 笑顔で、です。先生は皆に言ってでした。頑張って食べていくのでした。そしてデザートまで全部食べてお酒も飲んでです。
 先生は皆を連れてお店を出ました、その時にです。
 チップを置くことも忘れませんでした、皆はベースを後にしてから先生に言いました。騒いでいる人達はまだいましたが無視しました。
「チップはね」
「日本では殆どないけれど」
「アメリカだからね」
「出したんだね」
「そうだよ、これはね」 
 そのチップはと言う先生でした。
「忘れたらいけないからね」
「そうだよね」
「アメリカ軍だからアメリカで」
「これを忘れたら失礼だから」
「どうしてもね」
「日本にいるとね」 
 どうしてもと言う先生でした。
「チップの風習は殆どないからね」
「そうだよね」
「この辺りも文化の違いね」
「日本じゃお金出して終わり」
「チップは本当にないから」
「だからね」 
 先生も日本にいて長いからです。
「意識していたよ」
「チップのことを覚えていた」
「そうだったんだね」
「お店に入る時から」
「最初から」
「そうだよ、そしてチップの額も」 
 これもというのです。
「やっぱりね」
「多くだね」
「出来るだけね」
「そうすればいいのね」
「そうしたらね」
 笑顔でお話する先生でした。
「お店の人も喜んでくれるからね」
「そうだよね」
「アメリカじゃチップが大事だから」
「お店の人の収入になるから」
「大事なのよね」
「そうだよ、だからチップを弾んで」
 それでというのです。
「そうしてお店を出たんだ」
「それがわかるのもね」
「大事ってことね」
「何かと」
「そうよね」
「うん、じゃあまた観光に行こうね」 
 先生はチップのことをお話してから皆とまた観光に出ました、そして沖縄の昔ながらの建物を見ているとです。
 皆は狛犬みたいな石像を見ました、それでこう言ったのでした。
「これ狛犬?」
「本州とかにある」
「神社の前に左右で一つずつあるね」
「あれ?」
「それが沖縄にもあるんだ」
「そうなのかしら」
「これは狛犬じゃないよ」
 先生はその狛犬に似た姿と配置の石像達を観る皆にもお話しました。
「シーザーっていうんだ」
「シーザー?」
「シーザーっていうんだ」
「狛犬じゃなくて」
「そうなんだ」
「役割は狛犬と同じでね」 
 それでというのです。
「魔除けだよ」
「ふうん、そうなんだ」
「役目は同じなんだ」
「狛犬と」
「そうなんだね」
「そうだよ、そこはね」
 それはというのです。
「変わらないんだ」
「何か姿も似てるし」
「言うなら沖縄の狛犬?」
「そう言っていいんだ」
「そう思っていいね、沖縄は日本だけれど」
 それでというのです。
「独特の文化があるからね」
「魔除けの存在も違うんだ」
「狛犬じゃなくてシーザー」
「そこは違うけれど」
「役割は同じなのね」
「何かそれって」 
 皆はこうも思ったのでした。
「沖縄らしい?」
「そうよね」
「日本だけれど独自の文化がある」
「それがね」
「あと妖怪も独特なんだ」
 こちらの存在のお話もした先生でした。
「ここはね」
「ああ、そういえば」
「八条学園にガジュマルの木あるけれど」
「あれ沖縄の木で」
「実際に沖縄に多いね」
 皆は今周りにそのガジュマルの木も観ています、丁度その木がある場所に来ているのです。
「ガジュマルの木にだよね」
「妖怪が住んでいるんだよね」
「キジムナーっていう妖怪が」
「そうだよね」
「そう、この妖怪もね」
 キジムナーもというのです。
「沖縄独特の妖怪なんだよ」
「八条学園には出るって話があるけれど」
「あれはガジュマルの木があるからだね」
「それでいるんだね」
「あの学園には」
「そうだよ、キジムナーは河童に似てるかな」 
 先生はキジムナーについてこうも言いました。
「あの妖怪は」
「そうなんだ」
「河童に似てるんだ」
「お水の妖怪なんだ」
「海に出たりもするんだ」
 実際にというのです。
「河童は川やお池に出ることが多いけれどね」
「そこは違うんだね」
「河童さん達とは」
「そうだよ、けれどお水と縁が深いということはね」 
 このこと自体はというのです。
「同じだよ」
「河童もキジムナーも」
「そこは同じなんだね」
「そうだよ、それにね」
 さらにお話する先生でした。
「キジムナーには独特の好きな食べものがあるんだ」
「好きなって?」
「っていうと何なの?」
「キジムナーの好きな食べものって」
「何が好きなの?」
「お魚の目なんだ」
 それだというのです。
「よく人間が獲ったお魚の片目だけを取って食べるんだ」
「へえ、目なんだ」
「お魚の目が好きなんだ」
「そうなんだ」
「実際目は美味しいね」
 先生もお魚の目の美味しさは知っています、実はこのことも日本に来てから知ったことであります。食べてみて。
「そうだね」
「うん、美味しいよ」
「お魚の目ってね」
「食べるところは少ないけれど」
「唇とね」
「その目が好きで」
 それでというのです。
「片目だけ食べるんだ」
「両目じゃなくて」
「片目だけなんだ」
「そっちの目を食べて」
「そうしてるのね」
「そうだよ、だから沖縄の人はお魚の目を片目だけ残す人がいるんだ」
 その片目をというのです。
「それだけをね」
「成程ね」
「片目だけを残すんだ」
「キジムナーが食べる分だけは」
「そうしているんだ」
「そうだよ、それにね」
 さらにお話する先生でした。
「実は八条学園にもそうした話があるんだ」
「先生が勤務している学校でも」
「僕達もいつも研究室にいるけれど」
「あそこでもなんだ」
「キジムナーのお話があるんだ」
「出るという話があるしね」
 何しろキジムナーのお家であるガジュマルの木があるのです、そして見たという人がいる位だからです。
「食堂で調理に使うお魚の目がね」
「片方だけない」
「そうしたことが起こってるんだね」
「あの学園でも」
「そうだったんだ」
「僕も実際にそうしたお魚を食べたことがあるよ」
 その八条学園の食堂で、です。
「秋刀魚の塩焼き定食を食べたらね」
「先生秋刀魚も好きだしね」
「鯵も鯖もね」
「鰯も食べるし」
「青魚も好きになったわね」
「御飯と合うからね、それでその秋刀魚がね」
 先生が食べたまさにその秋刀魚がというのです。
「右目がなかったんだ」
「ってことはやっぱり」
「キジムナーが食べたの」
「その右目がなかったんだ」
「そうだったの」
「そうだったんだ、それでそれを見てね」 
 先生はというのです。
「キジムナーだって思ったよ」
「そうなのね」
「それじゃあね」
「キジムナーはいるんだ」
「沖縄だけじゃなくてあの学校にも」
「ガジュマルの木があるから」
「そうだと思うよ、そう考えるとね」 
 先生は皆に楽しくお話をするのでした、一緒に沖縄の青い空の下にある道を進んでいきながら。
「面白いよね」
「そうだよね」
「お魚の片目だけ食べることもそうだけれど」
「キジムナーが本当にいて」
「沖縄だけじゃなくてあの学校にもいる」
「そのことがね」
「地球に、この世界にいるのは人間だけじゃないんだ」 
 先生は皆に笑顔でこうもお話しました。
「動物の皆もいて」
「神様も妖怪もいる」
「そうなんだね」
「妖怪を妖精と言ってもいいね」 
 先生は皆に言い換えもしました。
「同じ様な存在だから」
「イギリスじゃ妖精と言って」
「日本じゃ妖怪だね」
「そしてその妖怪もいる」
「それが世の中なんだね」
「人間だけじゃないからね」
 また言った先生でした。
「楽しいんだよ」
「それじゃあね」
「その妖怪達を見て」
「そしてその世の中を楽しむ」
「そうするんだね」
「そうだよ、この沖縄でも沢山の妖怪達がいるから」
 だからというのでした。
「そちらも学ぶと楽しいよ」
「沖縄は楽しい学問の宝庫なんだね」
「気候も文化も生きものもそうなんだね」
「とにかく楽しいものの宝庫」
「それが沖縄なんだね」
「そうだよ、じゃあ晩御飯はね」
 先生は皆にさらに言いました。
「お魚を食べようか」
「そうだね」
「皆でね」
「沖縄のお魚食べようね」
「そうしようね」
 皆も先生に笑顔で応えました、そのうえで沖縄の道を楽しく進んでいくのでした。



今日は先生の論文の発表だったみたいだな。
美姫 「みたいね。まあ、論文の方は問題ないでしょうけれど」
だな。動物の皆が先生の世話をしている感じが面白いな。
美姫 「先生たちらしいわね」
だな。昼食も終えて、晩御飯の話と。
美姫 「楽しそうで何よりね」
次回はどんな話になるのか待っています。
美姫 「待っていますね〜」
ではでは。



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