『ドリトル先生の名監督』
第八幕 練習試合の準備
王子は先生のお家で先生ご自身から練習試合のことを聞いてです、そのうえでこんなことを言ったのでした。
「そうなんだね」
「うん、練習試合をすることになってね」
「先生も出るんだね」
「僕は何もしないよ」
先生は王子に答えました、王子と一緒にちゃぶ台を囲んでこぶ茶を飲みながら。
「見ているけれどね」
「監督なんだね」
「そう、その立場でね」
「褌着けて土俵にあがらないんだね」
「だからそういうことはね」
実際にスポーツをするかといいますと。
「しないよ」
「やっぱりそうなんだね」
「スポーツはね」
それ自体がというのです。
「しないからね」
「うん、先生は観戦専門だね」
「苦手だからね」
とにかくスポーツは苦手な先生なのです。
「しないんだ、どんなスポーツでもね」
「そうだよね」
「だから監督はしても」
それでもというのです。
「土俵には上がらないしね」
「褌も着けないんだね」
「そうだよ」
「じゃあスーツのままだね」
「それで練習試合の監督をするんだ」
「わかったよ、じゃあ頑張ってね」
王子はここまで聞いて先生に笑顔で言いました、ですが。
ここで、です。先生にです。
王子はふとです、先生にこのことを聞きました。
「ただ、スポーツの時はジャージだけれど」
「いや、イギリスではスーツで監督する人もいるからね」
「ああ、チェアマンみたいに」
「グラウンドに入ったりね」
「だからいいんだね」
「そう、いいから」
だからだというのです。
「僕はジャージは着ないよ、それに持ってないしね」
「先生ジャージ着たことないよね」
「そう、ないんだよ」
スポーツをしないからです、本当に。
「一度もね」
「一着もね」
「そう、持っていないし着たこともないよ」
「そう言う人今は珍しいね」
王子はここまで聞いて先生に言うのでした。
「ジャージを着たことがなくて持っていない人はね」
「そうだろうね、皆持っていてよく着るしね」
「普段着でも使えるからね、ジャージは」
「王子もスポーツの時はジャージだよね」
「そうだよ」
その通りという返事でした。
「実は結構持ってるよ」
「何着もだね」
「ジャージ集めることも好きだしね」
「そうなんだね」
「うん、テニスもジョギングもするしね」
「王子はスポーツマンだからね」
王子はスポーツも好きです、気持ちよく汗を流すことが。
「だからだね」
「そうなんだ、ただ贅沢はしていないよ」
「王室としてだね」
「そのことには気をつけているよ」
ジャージを集めることもまた好きでもです。
「そうしたことにはね」
「それもいいことだね」
「うん、贅沢をしないで」
そしてというのです。
「我慢する時は我慢しているよ」
「いいことだね」
「さもないと国民の皆に悪いから」
「自分だけ贅沢をする様なことは」
「そうだよ、それはイギリスの王室も同じだよね」
「どの方も質素だね」
「そうだよね、特にこの国の皇室は凄いからね」
その質素さがというのです。
「だから気をつけてるんだ」
「贅沢をしない様にだね」
「昭和帝のお話を聞いて驚いたよ」
「あの方は凄い方だったからね」
「ただ国家元首として立派なだけじゃなくて」
「質素でしかも気品がある」
ただ質素であるだけでなく、というのです。
「君主としてそうありたいから」
「王子の目標だね」
「僕は昭和帝みたいな王様になるよ」
「うん、いいことだと思うよ」
先生も王子のその言葉に笑顔で頷きます。
「昭和帝、そして明治帝は素晴らしい方々だったからね」
「今の天皇陛下も素晴らしい方だしね」
「そう、あとね」
「あと?」
「王子は今言わなかったけれど」
それでもとです、先生は王子にお話するのでした。
「大正帝も素晴らしい方だったんだよ」
「あっ、そうだったんだ」
「今一つ影が薄いみたいだね」
「そういえばそうなんだよね」
少し首を傾げさせてです、王子は先生に答えました。
「明治帝、昭和帝は凄く有名な方だけれどね」
「その間におられるけれど」
「どうもね」
「そうだね、どうしても影が薄いね」
「お二人があまりにも偉大だからかな」
王子は腕を組んでこうも言いました。
「だからかな」
「在位期間も短かったし」
先生はその大正帝について先生にお話するのでした。
「十五年、実質十年位だから」
「実質?」
「そう、残り五年は元々お身体の弱い方だったから」
「だから在位期間も短かったんだ」
「そうだったんだ」
実際にというのです。
「そして残る五年はね」
「在位されてても?」
「当時皇太子であられた昭和帝が摂政を務めておられたんだ」
「だから実質十年なんだ」
「そして昭和帝は実質六十九年だね」
「昭和って長いんだね」
「うん、摂政であられた期間を含めるとね」
それだけになるというのです。
「だから短いしお二方が目立つから」
「それでだね」
「そう、影が薄い方だけれど」
「実はなんだ」
「国家元首としての務めに真面目に向かわれてお子さん達にも優しくてね」
「家庭的な方だったんだね」
「そう、凄くね」
王子にこのこともお話するのでした。
「とてもいい人だったんだよ」
「影が薄いと思っていたら」
「大正帝も立派な方だったから」
「勉強するといいんだね」
「王子は将来王様になるからね」
そうした立場の人だからというのです。
「日本の近代の天皇陛下はどの方も勉強すべきだよ」
「折角日本に留学してるしね」
「尚更ね、それと」
ここで先生は話題を変えました、その話題はといいますと。
「この前皇室の方と一緒にお相撲を観戦したね」
「ああ、大阪でのことだね」
「そちらはどうだったかな」
「凄くよかったよ、お相撲の試合もよかったけれど」
「皇室の方もだね」
「内親王殿下だったけれど凄く礼儀正しくて気品があって」
そうした方だったというのです、王子と一緒に観戦された内親王殿下は。
「ご一緒させてもらって楽しかったよ」
「それは何よりだね」
「というか王子ってやっぱり立場があるんだね」
「そうよね」
そのお話を聞いたチープサイドの家族がお話します。
「皇室の方とご一緒して」
「お相撲も観戦するのね」
「王様になる人だから」
ジップもこのことに言うのでした。
「そうしたこともお仕事なのね」
「凄く緊張しない?」
「皇室や王室の方と一緒だと」
オシツオサレツもお話します。
「失礼がないかって」
「そう思って身構えて」
「身だしなみもしっかりしないといけないね」
トートーは服装のことを指摘しました。
「そうした時は」
「正装もしてね」
チーチーは王子の今はラフな、スーツですがそうした服装を見ています。
「埃一つない様にって」
「服にはアイロンもかけないとね」
そうした時もと言うガブガブでした。
「ぴっしりとして」
「正装にそこまでしないといけないなんて」
ダブダブはそう思うだけで大変だとわかりました。
「凄い緊張するよ、僕だと」
「というかそこまでしないと」
ホワイティもしみじみとした口調になっています。
「失礼になるわね」
「どんな時もそれなりの場にはそれなりの服で出席する」
ポリネシアが言うことはといいますと。
「礼儀よね」
「その礼儀を守らないといけないから」
最後に言ったのは老馬でした。
「大変なのね」
「いや、僕はいつも色々な国の皇室や王室の人達と会うから」
それでというのです。
「そんなに緊張しないよ」
「あれっ、そうなの」
「いつもだからなの」
「緊張しないの」
「そうなんだ」
「うん、本当にいつもだからね」
王子にとってはとです、王子は動物の皆にお話します。
「だからそんなにね」
「いつものお仕事だから」
「そんなに緊張しないの」
「日本の皇室の方とご一緒でも」
「そうしても」
「皆が思う様にはね」
そこまではというのです。
「緊張しないよ」
「そうなのね」
「そこまで緊張しないでやってるのね」
「いつものことだから」
「慣れていて」
「そうだよ、別にね」
そこまではというのです。
「真面目にしているけれどね」
「それでもなの」
「そこまで強くはなの」
「うん、別にね」
またお話する王子でした。
「慣れてるからね」
「アイロンがけとかも」
「他の服の手入れも」
「靴も磨かないといけないし」
「洗濯だって」
「それは僕の仕事じゃないからね」
アイロンがけ等はです。
「王宮にいる侍女さんや侍従さん達のお仕事だから」
「それはしない」
「そうなの」
「服や靴の手入れは」
「そうしたことは」
「逆にすると執事に怒られるんだよね」
その執事さんを見て少し苦笑いになって言うのでした。
「それはその人達のお仕事だからって」
「そうです、王子は王子の為されることをされてです」
その執事さんが答えます。
「そしてです」
「侍従さんや侍女さん達にはだね」
「彼等のお仕事がありますので」
「それはしたら駄目だね」
「すべき仕事は奪わないで下さい」
くれぐれもという口調で言う執事さんでした。
「それはお願いします」
「それじゃあね」
「はい、その様に」
「王族になるとそうしたことも考えないといけないからね」
ここで先生も言います。
「どうしてもね」
「自分がする仕事を全うして」
「そう、他の人の仕事は奪わない」
「そうした人達がそれが仕事だから」
「それを奪うとね」
「その人達が働けなくなるね」
「だからだよ」
それでと言う先生でした。
「そこは弁えないとね」
「実際にそう言われてるよ」
「王子が趣味で靴を磨いたりアイロンがけをすることはいいよ」
「それは構わなくてもね」
「けれど侍女さんや侍従さんのお仕事を奪うことはね」
「したらいけないね」
王子も頷きます。
「お仕事として定められているのなら」
「そういうことだよ」
「質素であり自分のすべきことを果たす」
「それが王子が気をつけなくてはいけないことだよ」
「全くだね」
「まあ僕は家事が全然出来ないから」
ここで笑って自分のことをお話する先生でした。
「トミーや動物の皆に任せっきりだけれどね」
「それが僕達のお仕事だからね」
「先生といつも一緒にいて身の回りお世話をすることがね」
「私達のお仕事よ」
「だから先生は家事をしないでね」
「僕達のお仕事奪わないでね」
「そうなるんだね、僕は王様じゃないけれど」
紛れもなくお医者さんです、そして学者さんです。
「家事は出来ないから任せて」
「それが私達のお仕事になってるから」
「任せてね」
「むしろ家事が出来て世事に長けている先生とかね」
「先生じゃないから」
もうそれでドリトル先生でなくなるというのです。
「学問はしっかりしていてもね」
「家事や世事は全く駄目」
「そしてスポーツも出来ない」
「まあ恋愛ごとにはもう少しだけわかって欲しいけれど」
「それでもね」
「それが先生だから」
先生の個性でもあるというのです、そうした抜けている部分もあればこそ。動物の皆は親しみと共に言うのでした。
そしてです、こうも言った皆でした。
「だからこそいいんだよ」
「僕達も余計に先生が好きなんだ」
「先生は決して完璧な人じゃないから」
「余計にね」
「欠点があるからなんだね、僕は」
その皆の言葉を聞いてです、先生は。
考えるお顔になってです、こうも言ったのでした。
「皆に余計に好かれてるんだね」
「そうだよ、駄目なところもあるから」
「僕達余計に先生が好きなんだよ」
「そこに愛嬌があってね」
「魅力になるんだよ」
「確かに完璧な人ってね」
王子もにこにことして言うのでした。
「かえって魅力ないね、何でも出来たら」
「王子もそう言うんだ」
「先生にアイロンをかけてもらうとなると」
服にです、言うまでもなく。
「怖いからね」
「焦がすからかな」
「うん、そうだよ」
その通りという返事でした。
「どうもね」
「確かに僕はそうしたことは苦手だね」
そのことを否定しない先生でした。
「アイロンがけも靴磨きも洗濯もね」
「洗濯機は使えてもね」
「先生うっかりしてよく洗い方間違えるから」
「食器洗うのはもっと下手だし」
「お掃除はもうアウト」
「お風呂沸かすのも不安」
「生活力はないから」
本当にそうした方面にはスポーツ並に才能のない先生なのです。
「だからね」
「僕達も何とかしないって思うから」
「先生が出来ないだけにね」
「僕達がしっかりしないとって思うから」
「余計にいいのよ」
「そうみたいだね、かえってなんだね」
先生はしみじみとして言いました。
「僕は好かれるんだね」
「そう、ただ僕達はいつもいるけれど」
「先生、やっぱりね」
「いいお相手が必要よ」
このことも言うのでした。
「絶対にね」
「つまり奥さんがね」
「そろそろいいんじゃない?」
「先生はそうしたお話には縁がなかったけれど」
「実はもてるから」
「女の人にも人気があるよ」
「僕が?ないよ」
笑って返した先生でした。
「幸い嫌われたことはないみたいだけれどね」
「もてたことはない」
「自分はそう言うんだよね」
「そう思ってるけれど」
「実は、とは考えないからね」
「実はじゃなくてね」
それこそと返した先生でした、やっぱりという展開です。
「本当にもてないからね」
「僕もそうは思わないよ」
王子も思っていて言うことでした。
「そうはね」
「王子もそう言うんだ」
「嘘は言ってないよ」
くすりと笑っての返事でした。
「それはしないって決めてるからね」
「だからなんだ」
「そう、僕は嘘は言ってないから」
また先生に言いました。
「先生はもてるよ」
「この外見で?」
太っていてお鼻は丸くて目は穏やかな感じです、確かに映画俳優の様な外見ではとてもありません。穏やかな紳士といった感じです。
「もてるかな」
「だから人は外見じゃないから」
「王子もそう言うんだ」
「本当のことだからね、幾ら顔がよくても」
「性格が悪いとだね」
「どうしようもないよ」
こう先生に言うのでした。
「顔につられる人もいるけれど、お金や地位とかにもね」
「そうした人ってね」
「結局大したことないんだよね」
「そうした付録でしか人を判断出来ない人って」
「絶対に碌な人じゃないよ」
動物の皆もこう言います。
「そんな人は先生に相応しくないし」
「先生にはいい人が来るよ」
「先生の性格を見る人がね」
「ちゃんといるのよ」
「だといいけれどね、まあ僕は今で最高に幸せだから」
本当にこう思っているのです、先生は。
「だからね」
「結婚まではなんだ」
「求めないんだね」
「僕達がいて王子もトミーもいるし」
「お家があってお仕事もしっかりとあるし」
そして定収もあります。
「本は好きなだけ読めるし美味しいものもある」
「それでなんだ」
「幸せなんだね、先生は」
「学生の皆にも慕われてるし」
「それで最高なんだね」
「そうだよ、これ以上はないじゃない」
今の時点でというのです。
「もうね」
「そうなのかな」
「先生って本当にそこで終わるからね」
「すぐに満足するから」
「イギリスにいた時からだけれど」
「もう充分だって」
「そうだよ、だからね」
それこそとです、また言った先生でした。
「結婚まではね」
「求めないんだね」
「そこまではなのね」
「到底なの」
「それこそ」
「そう、幸せをこれ以上求めたら」
先生が言うには。
「神様に怒られるかな」
「だから先生は求めていいの」
「別に悪いことしてる訳じゃないし」
「結婚もね」
「求めていいのよ」
「そうしても」
「だったらいいけれどね」
笑って返した先生でした、そうしてでした。
先生はあらためてです、王子と動物の皆に言いました。
「じゃあ今からね」
「今からっていうと」
「お茶の時間には時間があるから」
午後の一時です、お昼も食べたばかりです。
「何をしようか」
「お散歩とかどうかな」
王子は先生にこう提案しました。
「これからね」
「お散歩だね」
「先生テレビゲームとかしないよね」
「そういえばしないね」
「ネットゲームもね」
「うん、インターネットでよく調べものはするけれど」
それでもというのです。
「テレビゲームもネットゲームもしないね」
「趣味じゃないんだね」
「あまりね」
実際にというのです。
「読書は好きでもね」
「それじゃあね」
「今からだね」
「お散歩をしたらどうかな」
「そうだね、それじゃあね」
「そう、お散歩行こうね」
先生にあらためて言いました。
「これからね」
「そうしようか」
「うん、じゃあね」
こうお話してでした、そしてです。
先生達は実際にお散歩に出ました、そして八条町の中を歩いていましたがここでなのでした。動物の皆は王子を見て言いました。
「そういえばボディーガードの人は」
「執事さん?」
「その人がボディーガードも兼ねてるの」
「そうなんだ」
「うん、そうだよ」
その通りとです、王子は皆に答えました。
「ボディーガードも兼ねてるんだよ」
「そうなんだね」
「だからいつも一緒にいるんだね」
「そしてボディーガードの人もいるからなんだ」
「こうして普通にお散歩もしてるんだ」
「出来てるんだね」
「うん、一人での外出はね」
先生の場合はです。
「僕は出来ないんだ」
「何かあるといけないから」
「王国の後継者だしね」
「用心しないといけないから」
「だからだよね」
「そうだよ、それでなんだよ」
まさにそうだというのです。
「僕もお散歩が出来てるんだよ」
「ボディーガードでもある執事さんが一緒だからだね」
「王子としてそうした人がお傍にいないとなんだ」
「外出も出来ない」
「そうなんだね」
「うん、それと先生と君達も一緒だしね」
皆もというのでした。
「父上も母上もいいって言ってくれてるんだ」
「先生も僕達も信頼されてるんだ」
「王子のお友達として」
「何かあれば王子を守ってくれるって」
「王様も王妃様も思ってるんだね」
「そうだよ、若し先生と君達が傍にいなかったら」
それこそというのです。
「僕はもっとガードの人が必要なんだよ」
「執事さんだけじゃなくて」
「それこそ何人も必要なんだね」
「そのうえで外出しないといけない」
「そういうことだね」
「そうだよ、とにかくね」
また言った王子でした。
「今はお散歩を楽しもうね」
「こうして歩くのっていいんだよね」
ジップは尻尾をぱたぱたと横に振っています。
「それだけで気持ちいいよ」
「運動にもなるから」
老馬も上機嫌です。
「いいんだよね」
「やっぱり運動もしないとね」
ダブダブも気持ちいい感じです。
「食べるものも美味しいんだよね」
「そうよ、運動もしないとね」
ガブガブは持ち前のお母さん気質を出しています。
「食べるものも美味しくないのよ」
「健康にもいいし」
トートーはお空をぱたぱたと飛んでいます。
「外に出て動くこともいいんだよ」
「僕はよく動いてるけれどね」
鼠のホワイティは少し歩けばそうなります。
「けれど動かないと何か気分が晴れないんだよね」
「そうそう、沈んだ時に身体を動かすと」
ポリネシアも飛んでいます。
「気持ちが晴れるのよね」
「スポーツは最高のストレス解消ってね」
チーチーは二本足で歩いています。
「そうも言うしね」
「ストレスが溜まったままだと」
「とんでもないことになるわよ」
チープサイドの家族は皆の周りを飛んでいます。
「それだけでね」
「だからそれは解消していかないと」
「そうそう、だからお散歩もいいんだ」
「こうして歩くこともね」
オシツオサレツも今のお散歩を心から楽しんでいます。
「運動にもなってストレス解消にもなる」
「それがいいんだよね」
「僕もスポーツは苦手だけれどね」
先生も言います。
「こうして歩くことは嫌いじゃないよ」
「ストレス解消にもなって」
「運動にもなるし」
「先生実際に痩せたしね」
「身体にもいいから」
「そう、だからね」
それでというのです。
「歩くことは好きだよ」
「それじゃあね」
「今は歩いてね」
「そして三時にはだね」
「ティータイムだね」
「そうしようね、それにしてもね」
ここでこうも言った先生でした。
「日本に来て体重も脂肪率もかなり減ったね」
「外見はあまり変わってなくても」
「実はね」
「先生日本に来てから痩せたね」
「健康になったわよ」
「うん、健康診断を受けたり人間ドックに入って調べてもらったら」
大学の職員さんとしてそうしたものを受けているのです。
「凄く健康だって言われたよ」
「血液とかもだね」
「うん、さらさらしてて他の病気もね」
王子に答えます。
「心配ないってね」
「痛風とか糖尿病もだね」
「癌もね」
そうした怖い病気はというのです。
「心配ないってね」
「凄く健康なんだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「イギリスにいた時よりもね」
「そういえばイギリスにいた時は」
「健康診断はだね」
「今みたいに定期的に受けてなかったよね」
「そうだったよ」
「大学の教授さんになってだね」
「うん、職員としてサービスも受ける様になったよ」
それで健康診断等も受ける様になっているのです。
「それでチェックも出来てるからね」
「先生余計に健康なんだね」
「そうなんだよ」
「それはいいことだね、健康であることはね」
「まず幸福の第一歩だね」
「全くだよ」
それこそというのです。
「先生も健康だからね」
「幸福の基本にいるよ」
「健康であれだね」
「うん、あと僕はお酒は飲むけれど」
こちらは大好きです、ですが。
「煙草は吸わないよ」
「そうそう、先生煙草は吸わないね」
「あと変なお薬もしていないよ」
「あんなのをしたらね」
「それこそだよ」
そうした危険なお薬についてです、動物の皆はお顔を曇らせて言いました。
「人間お終いだよ」
「人間止めたのと同じだよ」
「イギリスにもそうした人いるけれど」
「日本にもいるしね」
「そう、コカインも覚醒剤もね」
そうしたお薬はというのです。
「絶対にね」
「やったら駄目だね」
「破滅よね」
「もう一回手を出したらっていうし」
「それこそ」
「ああしたお薬は身体にも心にも悪いから」
だからだというのです。
「それをやったら駄目だよ」
「絶対にね」
「先生もそう言ってるよね」
「あんなことしたらね」
「駄目よね」
「僕は煙草もお薬もしないよ」
そのどちらもというのです。
「お酒は飲んでも」
「それでもだね」
「そうした露骨に身体に悪いものはしない」
「そうしてるんだね」
「健康第一で」
「そう、健康であることを楽しまないと」
それこそと言う先生でした。
「まずはね」
「というか覚醒剤とかね」
王子はかなり真剣なお顔で首を傾げさせて言うのでした。
「何でするのかな」
「色々忘れたいとか刺激を求めてとかね」
「そういうのでやるんだね」
「そうみたいだよ」
先生は王子にお話をします。
「どうやらね」
「それで身体も心も破滅するんだね」
「そうなるよ」
「酷い話だね」
それこそとです、また言った王子でした。
「というか馬鹿な話かな」
「そうしたお薬に手を出すことはね」
「犯罪だしね」
「使用が禁止されているのには訳があるんだよ」
「手を出したらとても危険だから」
「だからだよ」
まさにというのです。
「法律でも決められているんだ」
「そうだよね」
「身体も心も破滅させる楽しむことだよ」
「幸せであることだね」
「ああしたお薬では幸せになれないよ」
確信を以て言う先生でした。
「地獄が待っているだけでね」
「全くだよ」
「あんなのをやっても幸せになれないよ」
動物の皆も言います。
「若しそんなことをしたらね」
「身体も心もボロボロになって」
「生きながら地獄に落ちる」
「そうなるわね」
「そう、絶対にそうなるから」
だからだというのです。
「僕は最初から手を出さないよ」
「そうあるべきだね」
「何があっても」
「そうしたことはしない」
「そうだよ、まあお酒もね」
それはとも言う先生でした。
「あまり飲み過ぎたらよくないよ」
「お酒もだよね」
「アルコール中毒になるし」
「飲み過ぎたらね」
「身体に悪いね」
「そちらも」
「お酒は過ぎないことだよ」
飲んでもいいけれどというのです。
「あと悪酔いはしない」
「酒癖の悪い人いるけれど」
「そういう風にはならない」
「そうなるまで酔わない」
「そのことも大事だね」
「僕は幸い酔っても変わらないみたいだね」
お酒を飲む量は多いですが。
「そうみたいだね」
「そう、別にね」
「先生悪酔いしないね」
「酒乱じゃないし」
「幾ら飲んでも変わらないわね」
「幸いね」
このことも神様に感謝している先生です。
「僕は飲んでも変わらないね」
「暴れたり絡んだりとかね」
「そうした酒癖じゃないから」
「先生はそのことも有り難いね」
「お酒についても」
「そう思っているよ」
実際にというのです。
「僕はね」
「そうなんだね」
「それじゃあだね」
「お酒も飲んで」
「そして楽しむんだね」
「今日もそうするつもりだけれど」
ここで楽しげな笑みになってです、先生はこんなことを言いました。
「何を飲もうかな」
「ウイスキーかワインか」
「イギリスにいた時はどちらかだったわね」
「それかエールかビール」
「それ位だったわね」
「日本に来てから色々飲むね」
飲むお酒の種類も増えた先生です。
「日本酒も焼酎もね」
「バーボンや桂花陳酒も飲む様になったし」
「梅酒とかね」
「それとウォッカ」
「この前ブランデーも飲んでたわね」
「ウイスキーとエールが馴染みだけれど」
この辺りはイギリス生まれだからでしょうか。
「それでも今はね」
「他のお酒もよね」
「飲んでるわね」
「日本酒なんか特によく読むし」
「昨日も飲んでたから」
「美味しいね、日本酒は」
日本酒についてもにこにことしてお話するのでした、先生は来日してから日本酒も大好きになったのです。
「お米は偉大だよ」
「じゃあ今日も?」
「今日も日本酒にするの?」
「そちら飲むの?」
「そうするの?」
「それもいいけれど」
考えながら言う先生でした。
「他のお酒もいいね」
「そこは色々」
「そういうことね」
「日本酒以外のお酒もある」
「そういうことね」
「そうだよ、何がいいかな」
今日飲むお酒はとです、先生は考えていましたが。
ここで、です。先生にこうした声がかかってきました。
「それなら焼酎はどうかしら」
「焼酎だね」
「先生そちらも飲むでしょ」
「好きだよ、けれど」
ここでこう言った先生でした。
「その声は」
「そう、私よ」
見ればです、皆が歩いている道の右手の壁の上にです。お静さんが猫又のその姿でいます。くつろいで寝転がっています。
「暫くぶりね」
「この前会わなかったかな」
「私としてはなのよ」
お静さんの感覚としてはというのです。
「そうなのよ」
「だからなんだ」
「こう言ったのよ」
「そうなんだね」
「それでね」
お静さんは先生にあらためて言いました。
「どうかしら、焼酎」
「それもいいね」
「そうでしょ、じゃあね」
「うん、今夜はだね」
「焼酎ならね」
お静さんは猫のお顔を綻ばせて言います、何処かチェシャ猫を思わせます。
「今うちのお店にいいのが入ってるわよ」
「商売だね」
「お家のね」
まさにそれだというのです。
「それで言ったけれど」
「そうだったんだ」
「そう、お家のことを考えないと」
商売、それのことをです。
「やっぱりね」
「駄目だね、確かに」
「ご主人達にはお世話になってるし」
代々の、です。
「それで先生にも声をかけたのよ」
「成程ね」
「それで焼酎がね」
お静さんは先生にさらに言います。
「安いわよ、それにね」
「美味しいんだね」
「うちのお酒はただ安いだけじゃないのよ」
「美味しいんだね」
「そう、飲みやすくてね」
「その焼酎をだね」
「お薦めしてるのよ」
お家の商売としてもです。
「どうかしら、それで」
「そうだね、丁度お家には焼酎もないし」
先生はお静さんのその言葉を聞いて言いました。
「それならね」
「来てくれるのね」
「うん、そうさせてもらうよ」
こう言ったのでした。
「是非ね」
「それじゃあね」
「今から酒屋さんに行くよ」
「焼酎買ってね」
「是非ね」
「昔はうちのお店も日本酒ばかりだったわ」
売っているお酒はというのです。
「本当に昔はね」
「それがだね」
「今では色々なお酒があるわ」
「焼酎もあればビールもあって」
「洋酒も一杯あるわ」
ウイスキーやワインといったものもというのです。
「お酒も変わったわ」
「売っているそれも」
「昔は日本酒を置いてればそれが飛ぶ様に売れたけれど」
「それが今ではだね」
「そうもいかなくなったわ、日本酒もあるけれど」
あるにはあってもというのです。
「それだけが売れる時代じゃないのよ」
「それに酒屋さんだけで売ってる訳じゃないしね」
「スーパーやコンビニでも売ってるから」
「酒屋さんも大変だね」
「そういうことなの、じゃあね」
「うん、行かせてもらうよ」
「毎度あり」
お静さんは猫の姿のままにこりと笑いました、そうした商売のこともお話しながらです、先生達はお酒も楽しむのでした。
練習試合に向けて準備をと。
美姫 「まあ、先生は特に何かするという訳でもないけれどね」
確かにな。先生は普段通りに。
美姫 「後は皆の努力次第ね」
次はどうなるのか。
美姫 「次回も待っていますね〜」
ではでは。